【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成25年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「超低消費電力型光エレクトロニクス実装システム技術開発」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)。
【文献】
M. Nogawa et al.,"A 10Gb/s Burst-Mode CDR IC in 0.13um CMOS",ISSCC Digest of Tech. Papers,米国,IEEE,2005年 2月,ISSCC 2005/12.5,pp. 228,229,595.
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)につき詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態であるエッジ検出回路の構成図である。
エッジ検出回路100は、縦続接続された偶数個(n個)の反転増幅器10a,10b,・・・,10hと、縦続接続された偶数個(n個)の反転増幅器11a,11b,・・・,11hと、反転増幅器11a,11b,・・・,11hに縦続接続された奇数個(m個)の反転増幅器13a,13b,・・・,13gと、ヒステリシスコンパレータ20とを備え、反転増幅器10aの正転入力端と反転増幅器11aの正転入力端との双方が入力端子INに接続される半導体装置である。なお、二つ縦続接続された反転増幅器10a,10bは非反転増幅回路を構成するので、偶数個(n個)の反転増幅器10a,10b,・・・,10hは、一つ以上の非反転増幅回路を構成する。また、電源には、正の電源電圧V
DDと負の電源電圧V
SSとが印加されるものとする。
【0015】
n個の反転増幅器11a,11b,・・・,11hと、反転増幅器11a,11b,・・・,11hと、m個の反転増幅器13a,13b,・・・,13gとは、同一回路であり、それぞれの反転増幅器は遅延時間Δtを有する。このため、偶数個(n個)の反転増幅器10a,10b,・・・,10hと、偶数個(n個)の反転増幅器11a,11b,・・・,11hは、遅延時間がn×Δtとなり、奇数個(m個)の反転増幅器13a,13b,・・・,13gは、遅延時間がm×Δtとなる。なお、この遅延時間Δtは、ゲート遅延時間が主要因である。
【0016】
反転増幅器11hの出力端は反転増幅器13aの入力端に接続される。最終段の反転増幅器10hの出力端は、ヒステリシスコンパレータ20の正転入力端に接続され、最終段の反転増幅器13gの出力端は、ヒステリシスコンパレータ20の反転入力端に接続される。なお、ヒステリシスコンパレータ20の出力端は、出力端子OUTに接続される。
【0017】
図2は、本発明の第1実施形態であるエッジ検出回路の動作を説明するための波形図である。
入力端子INは、パルス幅T1、振幅V1の矩形波状のバースト信号が入力されるものとし(
図2(a)参照)、振幅V1は、反転増幅器10,11の電源電圧V
DDよりも小さいとする。これは、ONUとOLTとの距離が極めて長い場合があり、受信する光信号のパワーが小さいことがあるからである。
【0018】
入力したバースト信号(入力信号)は、反転増幅器10a,11aに同相で入力され、反転増幅器10a,11aの出力電圧V
Cは、n×Δtの遅延時間を有した振幅V2のパルス幅T1の波形である(
図2(b)参照)。ここで、反転増幅器10a,10b,・・・10h、及び反転増幅器11a,11b,・・・,11hは、偶数個(n個)なので、反転増幅器10hの出力信号は、入力信号(
図2(a))に対して、反転しない正転遅延信号となる。なお、振幅V2は、電源電圧V
DDにほぼ等しい電圧である。つまり、反転増幅器10a,10b,・・・,10h、及び反転増幅器11a,11b,・・・,11hは、振幅が小さいパルス信号を同相で増幅していることになる。
【0019】
反転増幅器13a,13b,・・・,13gは、奇数個なので、反転増幅器13gの出力電圧V
Bは、反転増幅器13aの入力電圧V
Cに対して、逆相になり、且つ、遅延時間m×Δtがある(
図2(c)参照)。つまり、反転増幅器13a,13b,・・・,13gは、遅延時間m×Δtの反転遅延信号を生成する。ここで、反転増幅器13aの入力電圧V
Cは、ほぼ電源電圧V
DDであるので、反転増幅器13a,13b,・・・,13gの増幅率は1にできる限り近くするものとする。
【0020】
ヒステリシスコンパレータ20は、正転入力端の電圧V
Aと反転入力端の電圧V
Bとの電位差である差動電圧(V
A−V
B)が所定電圧V
Hよりも大きくなると出力が“0”=V
SSから“1”=V
DDに遷移し、該差動電圧(V
A−V
B)が所定電圧V
Lよりも小さくなると、“1”=V
DDから“0”=V
SSに遷移する比較回路である(
図4参照)。
【0021】
差動電圧(V
A−V
B)は(
図2(d))、V
AとV
Bとの遅延時間m×Δtだけ、V
B=0となるので(
図2(c)参照)、反転増幅器10hの出力電圧V
A=V
2が現れ、その後、(T1−m×Δt)だけ(|V
A|−|V
B|)の電圧が現れ、その後、遅延時間m×Δtだけ、V
A=0となるので、反転増幅器13gの出力電圧V
B=−V
2が現れる。
【0022】
ヒステリシスコンパレータ20は、この電位差(V
A−V
B)が入力され、反転増幅器10hの出力電圧V
Aの立ち上がりで、出力が“0”から“1”に遷移し、反転増幅器10hの出力電圧V
Aの立ち下がりで“1”から“0”に遷移する。結果的に、ヒステリシスコンパレータ20は、入力信号(
図2(a))から遅延時間n×Δtだけ遅れたパルス幅T1のデジタル信号を生成(再生)する。
【0023】
エッジ検出回路100は、入力信号(
図2(a))のパルス幅T1が極めて短い瞬時パルスであっても、パルス幅m×Δtのパルスを出力する。つまり、ヒステリシスコンパレータ20は、正転入力端の電圧V
Aが瞬時にゼロまで低下しても、反転入力端の電圧V
Bが−V
L未満にならなければ、出力が“0”から“1”に遷移したままであり、m×Δt遅れた瞬時パルスが反転入力端に到達してから“1”から“0”に遷移するからである。
【0024】
また、エッジ検出回路100は、入力信号(
図2(a))の振幅V1が反転増幅器10a,10b,・・・,10hの数(偶数)だけ増幅されて電圧V
Aの正転遅延信号を生成するが、その電圧V
Aの振幅がヒステリシスコンパレータ20の閾値電圧V
Hよりも小さいときには、ヒステリシスコンパレータ20からパルス信号が出力されない。つまり、入力信号の振幅V1は、しきい値電圧V
Hを反転増幅器10a,10b,・・・,10hの増幅率(各増幅率のn倍)で除した値以上、少なくとも必要である。
【0025】
本実施形態のエッジ検出回路100は、入力信号(バースト信号)が偶数個(n個)の反転増幅器10a,10b,・・・,10hにより増幅され、別途、該入力信号が偶数個(n個)の反転増幅器11a,11b,・・・,11hにより増幅される。これにより、反転増幅器10h,11hの出力信号は、入力信号に対してn×Δtだけ遅れた遅延信号となる。
【0026】
さらに、反転増幅器11a,11b,・・・,11hにより増幅された増幅信号が奇数個(m個)の反転増幅器13a,13b,・・・,13gにより増幅される。このため反転増幅器10a,10b,・・・,10hの出力信号と奇数個分の反転増幅器13a,13b,・・・,13gの出力信号とは、遅延時間(m×Δt)が発生する。また、反転増幅器10hの出力信号と反転増幅器13gの出力信号とは、互いに逆相の関係になる。この差分信号をヒステリシスコンパレータ20に入力することにより、パルス幅T1の入力信号を再生した再生信号を得ることができる。
【0027】
図3は、ヒステリシスコンパレータの回路図である。
ヒステリシスコンパレータ20は、4個のNMOSのトランジスタM
1,M
2,M
3,M
8と、4個のPMOSのトランジスタM
4,M
5,M
6,M
7と電流源Iとを備える。電流源IはトランジスタM
8のドレイン、及びゲートに接続され、トランジスタM
8のゲートはトランジスタM
3のゲートに接続され、トランジスタM
3,M
8のソースは負の電源電圧V
SSが印加される。これにより、トランジスタM
3は、電流源Iに比例したドレイン電流が流れる。
【0028】
トランジスタM
1のゲートは、正転入力となり、電圧V
Aが印加され、トランジスタM
2のゲートは、反転入力端となり、電圧V
Bが印加される。また、トランジスタM
2のドレインが出力端子V
OUT1であり、トランジスタM
1のドレインが反転出力端V
OUT2である。
【0029】
トランジスタM
1のドレインは、トランジスタM
4のソース、及びゲートとトランジスタM
5のゲートとトランジスタM
6のソースとに接続されている。トランジスタM
2のドレインは、トランジスタM
7のソース、及びゲートとトランジスタM
5のソースとに接続されている。また、トランジスタM
4,M
5,M
6,M
7のドレインは、正の電源電圧V
DDが印加されており、トランジスタM
1,M
2のソースはトランジスタM
3のドレインに接続されている。
【0030】
図4は、ヒステリシスコンパレータの動作を説明する特性図である。
まず、差動電圧(V
A−V
B)を上げていく場合を考える。V
A−V
B<V
Hのときには、V
OUT1は、負の電源電圧V
SSであり、V
A−V
B=V
Hを境界に、V
A−V
B>V
Hのときには、V
OUT1は、正の電源電圧V
DDとなる。次に、差動電圧(V
A−V
B)を下げていく場合を考える。V
A−V
B>V
Hのときには、V
OUT1は、正の電源電圧V
DDであり、V
A−V
B=V
Hを境界に、V
A−V
B<V
Hのときには、V
OUT1は、負の電源電圧V
SSとなる。
【0031】
V
Bを固定して、V
A をV
A−V
B<V
Lから上げていく場合を考える。V
A−V
B<V
L ではトランジスタM
1がオフ、トランジスタM
2がオンとなり、V
OUT1≒0、V
OUT2=V
DD である。トランジスタM
4,M
5はオフになり、トランジスタM
6は線形領域にある。ここで、さらに、V
Aを上げていき、トランジスタM
1に電流が流れ始めると、V
OUT2が下がるトランジスタM
4,M
5はオフを保ったまま、トランジスタM
6は飽和領域に入り、トランジスタM
6に電流が流れ、トランジスタM6からトランジスタM1に流れる電流パスが形成される。このトランジスタM
6が飽和領域に入る点がV
A−V
B=V
H に対応する。
【0032】
図5は、本発明の第1実施形態であるエッジ検出回路が使用されるPONシステムの全体構成図である。
PONシステム800は、複数の加入者宅700,701,702と、局600と、スプリッタ750とを備え、局600と複数の加入者宅700,701,702とがスプリッタ750を介して、通信可能に接続されている。
【0033】
局(OLT)から、加入者宅(ONU)に送信される下りデータは、連続信号であるが、加入者宅(ONU)から局(OLT)に送信される上りデータは、データとデータとの間に信号が存在しないバースト信号になっている。また、加入者宅700,701,702から送信される信号の振幅は一定であるが、加入者宅700,701,702と局600との距離はまちまちなので、局600がバースト信号を受信する際には、特定の加入者宅700からのバースト信号は強くなり、異なる加入者宅701からのバースト信号が弱くなることがある。このため、局(OLT)は、これらの強度やタイミングの異なる光バースト信号を、強度とタイミングが一定の電気信号に変える受信機(バーストモード受信機)が必要である。
【0034】
図6は、本発明の第1実施形態であるエッジ検出回路を用いたバーストモード受信機の構成図である。
局(OLT)に設置されるバーストモード受信機500は、光(バースト信号)を電流に変換するフォトダイオード(PD:Photo Diode)210と、フォトダイオード210が出力する出力電流を電圧に変換するバーストTIA(Trans Impedance Amplifier)220と、バーストTIA220が出力する比較的大きな電圧信号を一定振幅に制限するバーストLA(Limiting Amplifier)230と、一定振幅に制限された電圧信号のタイミング(エッジ)を検出してノイズの少ないクロックで波形を整形するバーストCDR(Clock and Data Recovery)とを備える。
【0035】
バーストCDR200は、前記したエッジ検出回路100と、ゲート回路110と、VCO回路120と、D−FF回路130と、バッファ140,145と、PLL回路150とを備える半導体装置である。
【0036】
VCO回路120は、電圧制御発振回路であり、ゲート回路110を介して入力したエッジ検出回路100の出力信号と、PLL回路150に入力される参照クロックとが同期させられ、参照クロックに同期した整形クロックを出力する。PLL回路150は、VCO回路120が出力するクロックを参照クロックに同期させるようにVCO回路120を電圧制御する。
【0037】
D−FF回路130は、エッジ検出回路100の出力信号を、VCO回路120が生成したクロックのタイミングで、出力する。D−FF回路130に入力されるデータ(D)は、整形クロックの立ち上がりタイミングのセットアップタイム以上前から該立ち上がりタイミングのホールドタイムまで必要である。このため、エッジ検出回路100の特性「入力信号(
図2(a))のパルス幅T1が極めて短い瞬時パルスであっても、m×Δtのパルス幅のパルスを出力する。」は、有用である。つまり、遅延時間(m×Δt)は、D−FF回路130のセットアップタイムよりも長いことが必要であり、セットアップタイムとホールドタイムとの和よりも長いことが好ましい。なお、D−FF回路130は、通常、セットアップタイムの方がホールドタイムよりも長い。
【0038】
バッファ回路140は、D−FF回路130の出力信号のまま許容電流を増加して出力する。バッファ回路145は、VCO回路120が生成した整形クロック信号を、そのまま許容電流を増加して出力する。
【0039】
以上説明したように、第1実施形態のエッジ検出回路100は、トランジスタやFETのような能動素子で形成された半導体装置である。これらの能動素子は、通常のフォトリソグラフイ、エッチング等の製造工程によって、ほぼ均一に作ることができる。また、これらの能動素子の遅延時間Δtは、ゲート長で定まり、予め分かっているものなので、設計段階で所望の遅延時間を実現することが可能である。
【0040】
(比較例)
図7は、本発明の比較例であるエッジ検出回路の回路図である。
エッジ検出回路101は、遅延線路40と、4つの差動増幅器15a,15b,15c,15dと、ヒステリシスコンパレータ25と、2本の抵抗器Rtと、帰還抵抗器Rf1,Rf2と、コンデンサCfとを備える。なお、
図7において、ヒステリシスコンパレータ26が破線で記載されているが、これは後記する変形例で説明する。
【0041】
差動増幅器15aは、正転入力端に入力信号(バースト信号)が入力され、反転入力端には、該入力信号が遅延線路40を介して入力される。差動増幅器15aの出力信号は差動増幅器15b、及び縦続接続された差動増幅器15c,15dを介して、ヒステリシスコンパレータ25に入力される。
【0042】
図8は、比較例のエッジ検出回路に使用される遅延線路の回路図、及びコイルの等価回路である。
遅延回路40は、2つのコイルLd及びコンデンサCdからなる2段のLCフィルタ回路から構成されており(
図8(a)参照)、コイルLdは、その両端間、両端と接地との間にコンデンサを有した等価回路で表現され、両端と接地との間のコンデンサは、コンデンサ及び抵抗器の並列回路が挿入される(
図8(b)参照)。
【0043】
図9は、比較例のエッジ検出回路に使用されるシステリシスコンパレータの回路図である。
ヒステリシスコンパレータ25は、ヒステリシスコンパレータ20(
図3)と回路構成が異なるが、
図4と同様の入出力特性を有し、第1実施形態のエッジ検出回路にも使用可能である。
【0044】
図10は、本発明の比較例であるエッジ検出回路の動作を説明するための波形図である。
波形Aは、エッジ検出回路101(
図7)の入力端子INの波形であり、差動増幅器15aの正転入力端の波形でもある。波形Bは、遅延線路40の出力波形であり、差動増幅器15aの反転入力端の波形でもある。波形Cは、波形Aから波形Bを減算した波形であり、ヒステリシスコンパレータ25に入力される差動電圧波形でもある。波形Bは、波形Aを時間τだけ遅延させた遅延波形であるので、(波形A−波形B)である波形Cは、波形Aの立ち上がりタイミングから立ち上がり、パルス幅τの正の矩形波と、該正の矩形波の立ち下がり後の電圧0の無電圧区間と、波形Aの立ち下がりによる、パルス幅τの負の矩形波とから構成される。
【0045】
波形Dは、ヒステリシスコンパレータ25が閾値V
H,−V
Lを有した場合、波形C=(波形A−波形B)の差動電圧が入力されたときの出力波形である。波形Dは、波形Aの電圧が閾値V
Hを超えたときに立ち上がり、波形Bの反転電圧が閾値(−V
L)を下回ったときに立ち下がる。つまり、波形Dは、波形Aの電圧が閾値V
H,−V
Lに到達するまでの時間差が存在するものの、波形Aと略同一のパルス幅の電圧が出力される。しかしながら、波形Aのパルス幅が、遅延線路の遅延時間τよりも短いときには、波形Dは、パルス幅τの矩形波になる。
【0046】
第1実施形態のエッジ検出回路100は、全て能動素子で構成されていた。能動素子の遅延時間はゲート遅延時間で定まるので、全遅延時間は、能動素子の個数で定まり、設計が容易である。これに対して、比較例のエッジ検出回路101(
図7)は、受動素子で形成された遅延線路40を備えているので、設計が容易でない。特に、コイルLdは、等価回路がキャパシタや抵抗器を含み(
図8(b))、煩雑であり、設計が容易でない。つまり、エッジ検出回路100は、ウエハ上の面積をスパイラルインダクタ等の受動素子よりも小さくすることが可能である。また、エッジ検出回路100は、能動素子の等価回路もよく知られているので、比較例のエッジ検出回路101よりも短時間で設計が可能になる。
【0047】
(第2実施形態)
第1実施形態のエッジ検出回路100(
図1)は、入力端子INに接続される偶数個の反転増幅器は、反転増幅器10a,10b,・・・,10hと、反転増幅器11a,11b,・・・,11hとの2組設けていたが、一組の反転増幅器10a,10b,・・・,10hのみでも実現することができる。
【0048】
図11は、本発明の第2実施形態であるエッジ検出回路の構成図である。
エッジ検出回路102は、偶数個の反転増幅器10a,10b,・・・,10hと、奇数個の反転増幅器13a,13b,・・・,13hと、ヒステリシスコンパレータ20とを備え、反転増幅器10aの正転入力端に入力端子INが接続されており、反転増幅器10hの出力端と反転増幅器13aの正転入力端とヒステリシスコンパレータ20の正転入力端とが接続されており、反転増幅器13gの出力端とヒステリシスコンパレータ20の反転入力端とが接続されている。なお、二つの反転増幅器10a,10bの縦続回路は、正転増幅器を構成するので、偶数個の反転増幅器10a,10b,・・・,10hは、一つ以上の正転増幅器を構成する。
【0049】
偶数個の反転増幅器10a,10b,・・・,10hは、入力端子INに入力された微小なバースト信号を増幅させつつ、遅延した正の矩形波を出力し、該正の矩形波をヒステリシスコンパレータ20の正転入力端に印加する。奇数個の反転増幅器13a,13b,・・・,13hは、偶数個の反転増幅器10a,10b,・・・,10hが出力した遅延した正の矩形波を反転させ、反転した矩形波をヒステリシスコンパレータ20の反転入力端に印加する。
【0050】
エッジ検出回路102は、エッジ検出回路101と同様に、ヒステリシスコンパレータ20が入力信号(
図2(a))から遅延時間n×Δtだけ遅れたパルス幅T1のデジタル信号を出力する。また、エッジ検出回路102は、入力信号のパルス幅T1が極めて短い瞬時パルスであっても、パルス幅m×Δtのパルスを出力する。
【0051】
(第3実施形態)
第1の実施形態のエッジ検出回路100や第2実施形態のエッジ検出回路101は、奇数個分の反転増幅器による遅延時間しか設定できないが、任意の個数の反転増幅器の遅延時間とすることができる。
【0052】
図12は、本発明の第3実施形態であるエッジ検出回路の構成図である。
エッジ検出回路103は、差動増幅回路15と、縦続接続された任意の個数の非反転増幅器16a,16b,・・・,16hと、非反転増幅器16a,16b,・・・,16hと同数の非反転増幅器17a,17b,・・・,17hと、非反転増幅器17a,17b,・・・,17hに縦続接続された偶数個(m個)の反転増幅器13a,13bと、ヒステリシスコンパレータ21とを備えている。また、エッジ検出回路103は、差動増幅器15の正転入力端にバースト信号が入力され、ヒステリシスコンパレータ21の出力端子OUTにデジタル信号が出力される。
【0053】
差動増幅器15は、正転入力端と反転入力端と正転出力端と反転出力端とを備え、正転入力端は入力端子INを接続し、反転入力端は接地されており、正転出力端は、非反転増幅器16aの入力端に接続されており、反転出力端は、非反転増幅器17aの入力端に接続されている。
【0054】
非反転増幅器16hの出力端は、ヒステリシスコンパレータ21の正転入力端に接続され、非反転増幅器17hの出力端は、反転増幅器13aの入力端に接続され、反転増幅器13bの出力端は反転入力端に接続される。
【0055】
図13は、第3実施形態のエッジ検出回路の動作を説明するための波形図である。
入力端子INは、パルス幅T1、振幅V1の矩形波状のバースト信号が入力されるものであり(
図13(a)参照)、振幅V1は、反転増幅器10,11の電源電圧V
DDよりも小さい。
【0056】
入力したバースト信号は、差動増幅回路15に入力され、正相電圧が非反転増幅器16aに入力され、逆相電圧が非反転増幅器17aに入力される。非反転増幅器16aの入力電圧V
Cと非反転増幅器17aの入力電圧V
Dとは互いに逆相であり、双方の振幅はV
2である(
図13(b)参照)。
【0057】
非反転増幅器16hの出力電圧(つまり、ヒステリシスコンパレータの正転入力端の電圧VE)は、差動増幅回路15に入力されるバースト信号に対して、遅延時間n×Δtがある(
図2(c)参照)。つまり、非反転増幅器16a,16b,・・・,16hは、遅延時間n×Δtの遅延信号を生成する。一方、非反転増幅器17hの出力電圧は、差動増幅回路15に入力されるバースト信号に対して、遅延時間n×Δtの逆相電圧を出力する。
【0058】
偶数個(m個)の反転増幅器13a,13b,・・・は、遅延時間m×Δtの遅延信号を生成する。このため、ヒステリシスコンパレータの反転入力端の電圧V
Fは、正転入力端の電圧V
Eに対して、遅延時間m×Δtだけ遅れた逆相電圧となる(
図13(c)参照)。つまり、ヒステリシスコンパレータの反転入力端の電圧V
Fは、差動増幅回路15に入力されるバースト信号に対して、遅延時間(nΔt+mΔt)だけ遅れた逆相電圧になる。
【0059】
差動電圧(V
E−V
F)は(
図13(d))、V
EとV
Fとの遅延時間m×Δtだけ、V
F=0となるので(
図13(c)参照)、非反転増幅器16hの出力電圧V
E=V
2が現れ、その後、(T1−m×Δt)だけ(|V
E|−|V
F|)の電圧が現れ、その後、遅延時間m×Δtだけ、V
E=0となるので、非反転増幅器17hの出力電圧V
F=−V
2が現れる。
【0060】
ヒステリシスコンパレータ21は、この電位差(V
E−V
F)が入力され、非反転増幅器16hの出力電圧V
Eの立ち上がりで、出力が“0”から“1”に遷移し、非反転増幅器17hの出力電圧V
Fの立ち下がりで“1”から“0”に遷移する。結果的に、ヒステリシスコンパレータ21は、入力信号(
図13(a))から遅延時間n×Δtだけ遅れたパルス幅T1のデジタルパルスを生成(再生)する。
【0061】
また、エッジ検出回路103は、入力信号(
図13(a))のパルス幅T1が極めて短い瞬時パルスであっても、パルス幅m×Δtのパルスを出力する。ここで、m個は偶数個に制限されているが、非反転増幅器17を1個追加することにより、ヒステリシスコンパレータ21は、パルス幅(m+1)×Δtのパルスを出力するので、偶数個に制限されることはない。
【0062】
エッジ検出回路103は、片方の信号に対して、必要な分だけ非反転増幅器17を付加することにより任意の遅延時間n×Δtや(m+1)×Δtを実現することができる。これにより、設計の自由度が、第1実施形態のエッジ検出回路100のように、奇数個に制限されることはない。このため、エッジ検出回路103は、設計の自由度が拡がる効果が期待できる。
【0063】
(変形例)
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような種々の変形が可能である。
(1)前記第1実施形態のエッジ検出回路100は、偶数個の反転増幅器10a,10b,・・・,10h及び偶数個の反転増幅器11a,11b,・・・,11hを備えていた。また、第3実施形態のエッジ検出回路103は、任意個の非反転増幅器17a,17b,・・・,17h、及び偶数個の反転増幅器16a,16b,・・・,16h,13a,13bを備えていた。この偶数個の反転増幅器10a,10b,・・・,10h、偶数個の反転増幅器16a,16b,・・・,16h、偶数個の反転増幅器13a,13bは、一つ以上の非反転増幅器で構成することができる。つまり、第3実施形態の非反転増幅器17a,17b,・・・,17h、及び偶数個の反転増幅器13a,13bは、一つ以上の非反転増幅器、及び偶数個の反転増幅器の何れか一方又はこれらの組み合わせから構成することができる。
【0064】
(2)前記各実施形態のエッジ検出回路100,102,103は、半導体集積回路であるヒステリシスコンパレータ20(
図3)を用いたが、ディスクリート回路で構成することもできる。例えば、正転入力端の電位と反転入力端の電位との大小により出力が反転するコンパレータを用い、該コンパレータの正転入力端に出力電圧を抵抗器で分圧した分圧電圧を正帰還させた回路を使用することもできる。また、このコンパレータ回路は、前記分圧電圧をシフトする電圧端子が設けており、反転入力端と共に、二入力回路として構成される。
【0065】
(3)
図7に示す4つの差動増幅器15a,15b,15c,15dとヒステリシスコンパレータ25との代わりに、破線で示すように単一のヒステリシスコンパレータ26で構成し、遅延線路の代わりに、一以上の非反転増幅器を用いることもできる。つまり、このエッジ検出回路は、入力信号と、該入力信号を一以上の非反転増幅器で遅延させた正転遅延信号との双方を差動入力するヒステリシスコンパレータ26とを備える。なお、この入力信号は、バースト信号を任意個の増幅回路で増幅したものである。
)を出力する、縦続接続された一つ以上の非反転増幅回路(2つの反転増幅器10a,10b)と、前記入力信号を入力する縦続接続された一つ以上の非反転増幅器が出力する第2の正転遅延信号と、前記入力信号を複数の能動素子(反転増幅器11a,11b,・・・,11h)で遅延させた第3の正転遅延信号(V