(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1主面に対して垂直な方向にみたときに、前記第1の部分と前記貫通孔の中心軸との間の距離は、前記貫通孔に最も近接した前記ヒータの第2の部分と前記貫通孔の中心軸との間の距離よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
前記第1主面に対して垂直な方向にみたときに、前記第1の部分における前記連通路の幅は、前記第2の部分における前記ヒータの幅よりも広いことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載の静電チャック。
前記第1主面に対して垂直な方向にみたときに、前記第2の仮想円が前記ヒータと交わる部分の長さは、前記第2の仮想円の円周の長さに対して50パーセント以上、80パーセント以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の静電チャック。
前記第1主面に対して垂直な方向にみたときに、前記セラミック誘電体基板の面積に対する前記ヒータの面積の割合は、20%以上80%以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の静電チャック。
前記第1主面に対して垂直な方向にみたときに、前記セラミック誘電体基板の面積に対する前記連通路の面積の割合は、20%以上80%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の静電チャック。
前記第1主面に対して垂直な方向にみたときに、前記連通路の面積に対する前記ヒータの面積の割合は、60%以上180%以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の静電チャック。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0037】
図1は、本実施形態に係る静電チャックの構成を例示する模式的断面図である。
図1に表したように、本実施形態に係る静電チャック100は、セラミック誘電体基板11と、電極層12と、ヒータ131と、ベースプレート50と、を備える。セラミック誘電体基板11は、ベースプレート50の上に取り付けられている。
【0038】
セラミック誘電体基板11は、例えば多結晶セラミック焼結体による平板状の基材であり、半導体ウェーハ等の処理対象物Wを載置する第1主面11aと、第1主面11aとは反対側の第2主面11bと、を有する。
【0039】
セラミック誘電体基板11に含まれる結晶の材料としては、例えばAl
2O
3、Y
2O
3及びYAGなどが挙げられる。このような材料を用いることで、セラミック誘電体基板11における赤外線透過性、絶縁耐性及びプラズマ耐久性を高めることができる。
【0040】
電極層12は、第1主面11aと、第2主面11bと、の間に介設されている。すなわち、電極層12は、セラミック誘電体基板11の中に挿入されるように形成される。電極層12は、セラミック誘電体基板11に一体焼結されている。静電チャック用基板110は、セラミック誘電体基板11と、セラミック誘電体基板11に設けられた電極層12と、を含む板状の構造物である。
【0041】
なお、電極層12は、第1主面11aと、第2主面11bと、の間に介設されていることに限定されず、第2主面11bに付設されていてもよい。そのため、電極層12は、セラミック誘電体基板11に一体焼結されていることには限定されない。
【0042】
静電チャック100は、電極層12に吸着保持用電圧80を印加することによって、電極層12の第1主面11a側に電荷を発生させ、静電力によって処理対象物Wを吸着保持する。ヒータ131は、ヒータ電極電流導入部132を介してヒータ用電流133が流れることによって、発熱し処理対象物Wの温度を昇温することができる。
【0043】
セラミック誘電体基板11は、電極層12と第1主面11aとの間の第1誘電層111と、電極層12と第2主面11bとの間の第2誘電層112と、を有する。ヒータ131は、例えば第2誘電層112に内蔵されている。ただし、ヒータ131の設置形態は、内蔵型に限定されるものではなく、ヒータ金属を第1誘電層111または第2誘電層112に凹部を形成して接合したものや、ヒータを内蔵した誘電体を第2誘電層112に接合または積層したものでも良い。また、ヒータ電極電流導入部132の形状は、金属埋め込みや接合など、特には限定されない。
【0044】
図1に表した静電チャック100では、ヒータ131は、第2主面11bよりも電極層12の側に設けられている。但し、ヒータ131は、第2主面11bと同じ位置に設けられていてもよく、第2主面11bからみて電極層12とは反対の側に設けられていてもよい。
【0045】
ヒータ131は、第2主面11bより電極層12の側に設けられている場合には、例えばグリーンシートに電極およびヒータを印刷し、積層したグリーンシートを焼成した焼結体内部に内蔵されていてもよい。
【0046】
ヒータ131は、第2主面11bと同じ位置に設けられている場合には、例えば第2主面11bにスクリーン印刷などの適切な方法で形成されていても良く、あるいは溶射、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)などの方法により形成されていてもよい。
【0047】
なお、実施形態において、ヒータ131は、処理対象物Wの面内温度分布の制御のために用いることができればよく、ヒータ131の位置や構造などは、特に限定されない。例えば、ヒータ131は、セラミック誘電体基板11の内部に設けられていてもよいし、セラミック誘電体基板11とは別部材として設けられていてもよい。ヒータ131は、ベースプレート50とセラミック誘電体基板11との間に挟まれていてもよい。ヒータ131は、導体や絶縁体のプレートや、熱電素子を含むヒータプレートであってもよい。また、ヒータ131は、セラミックに内蔵していてもよいし、セラミック誘電体基板11の第2主面11b側にコーティングが施されていてもよい。ヒータ131の製法は、特に限定されない。
【0048】
ここで、本実施形態の説明においては、第1主面11aと第2主面11bとを結ぶ方向をZ方向、Z方向と直交する方向の1つをX方向、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向ということにする。
【0049】
電極層12は、第1主面11a及び第2主面11bに沿って設けられている。電極層12は、処理対象物Wを吸着保持するための吸着電極である。電極層12は、単極型でも双極型でもよい。また、電極層12は、三極型やその他の多極型であってもよい。電極層12の数や電極層12の配置は、適宜選択される。
図1に表した電極層12は双極型であり、同一面上に2極の電極層12が設けられている。
【0050】
セラミック誘電体基板11のうち少なくとも第1誘電層111における赤外線分光透過率は、20%以上であることが好ましい。本実施形態において、赤外線分光透過率は、厚さ1mm換算での値である。
【0051】
セラミック誘電体基板11のうち少なくとも第1誘電層111における赤外線分光透過率が20%以上あることで、第1主面11aに処理対象物Wを載置した状態でヒータ131から放出される赤外線がセラミック誘電体基板11を効率良く透過することができる。したがって、処理対象物Wに熱が蓄積し難くなり、処理対象物Wの温度の制御性が高まる。
【0052】
例えば、プラズマ処理を行うチャンバ内で静電チャック100が使用される場合、プラズマパワーの増加に伴い処理対象物Wの温度は上昇しやすくなる。本実施形態の静電チャック100では、プラズマパワーによって処理対象物Wに伝わった熱がセラミック誘電体基板11に効率良く伝わる。さらに、ヒータ131によってセラミック誘電体基板11に伝わった熱が処理対象物Wに効率よく伝わる。したがって、処理対象物Wを効率良く伝熱して所望の温度に維持しやすくなる。
【0053】
本実施形態に係る静電チャック100では、第1誘電層111に加え、第2誘電層112における赤外線分光透過率も20%以上あることが望ましい。第1誘電層111及び第2誘電層112の赤外線分光透過率が20%以上あることで、ヒータ131から放出される赤外線がさらに効率良くセラミック誘電体基板11を透過することになり、処理対象物Wの温度制御性を高めることができる。
【0054】
前述したように、セラミック誘電体基板11は、ベースプレート50の上に取り付けられている。セラミック誘電体基板11をベースプレート50に取り付けるときには、シリコーン等の耐熱性樹脂、インジウム接合及びろう付などが用いられる。接着材料は、使用温度帯やコスト等の観点から適宜選択されるが、赤外線を透過しやすい材料がより好ましい。
【0055】
ベースプレート50は、例えば、アルミニウム製の上部50aと下部50bとに分けられている。上部50aと下部50bとの接続には、ろう付けや電子ビーム溶接や拡散接合等を用いることができる。但し、ベースプレート50の製造方法は、上記に限定されない。
【0056】
上部50aと下部50bとの間の境界の部分には、連通路55が設けられている。つまり、連通路55は、ベースプレート50の内部に設けられている。連通路55の一端は、入力路51に接続されている。連通路55の他端は、出力路52に接続されている。
【0057】
ベースプレート50は、セラミック誘電体基板11の温度調整を行う役目を果たす。例えば、セラミック誘電体基板11を冷却する場合には、入力路51を通して連通路55へ冷却媒体を流入し、連通路55を通過させ、出力路52を通して連通路55から冷却媒体を流出させる。これにより、冷却媒体によってベースプレート50の熱を吸収し、その上に取り付けられたセラミック誘電体基板11を冷却することができる。
【0058】
一方、セラミック誘電体基板11を加熱する場合には、連通路55内に加熱媒体を入れることも可能である。または、ベースプレート50にヒータ131を内蔵させることも可能である。このように、ベースプレート50によりセラミック誘電体基板11の温度が調整されると、静電チャック100で吸着保持される処理対象物Wの温度を容易に調整することができる。
【0059】
また、
図1の断面において、連通路55の横寸法Dh(後述する幅D3に相当する)は、連通路55の縦寸法Dv(Z方向に沿った長さ)よりも小さい。これにより、温度を調整する媒体が流れる範囲の制御性を向上させつつ、第1主面11aに対して垂直な方向に沿って見たときに連通路55が設けられた領域の割合を高くすることができる。例えば、温度を調整する媒体の圧力損失を抑制しつつ、処理対象物Wの温度の面内均一性を向上させることができる。
【0060】
また、セラミック誘電体基板11の第1主面11a側には、必要に応じて凸部13が設けられている。互いに隣り合う凸部13の間には、溝14が設けられている。溝14は、互いに連通している。静電チャック100に搭載された処理対象物Wの裏面と、溝14と、の間には、空間が形成される。
【0061】
溝14には、ベースプレート50及びセラミック誘電体基板11を貫通する導入路53が接続されている。処理対象物Wを吸着保持した状態で導入路53からヘリウム(He)等の伝達ガスを導入すると、処理対象物Wと溝14との間に設けられた空間に伝達ガスが流れ、処理対象物Wを伝達ガスによって直接加熱もしくは冷却することができるようになる。
【0062】
ベースプレート50には、例えばリフトピン孔やセンサ孔などの貫通孔57が設けられている。リフトピン孔(
図1では導入路53の右側の貫通孔57)は、ベースプレート50及びセラミック誘電体基板11を貫通する。リフトピン孔には、第1主面11aに載置された処理対象物Wを静電チャック100から取り除くピン(図示せず)が挿入される。センサ孔(
図1では導入路53の左側の貫通孔57)は、ベースプレート50を貫通する。センサ孔には、セラミック誘電体基板11の温度を検知するセンサ(図示せず)が設置される。つまり、貫通孔57は、ベースプレート50及びセラミック誘電体基板11を貫通する場合がある一方で、ベースプレート50を貫通しセラミック誘電体基板11を貫通しない場合がある。なお、貫通孔57は、リフトピン孔やセンサ孔などには限定されない。
【0063】
セラミック誘電体基板11の第2主面11bおよび第2誘電層112には、接続部20が設けられている。接続部20の位置と対応するベースプレート50の上部50aには、コンタクト電極61が設けられている。したがって、静電チャック100をベースプレート50の上部50aに取り付けると、コンタクト電極61が接続部20と接触する。これにより、コンタクト電極61と電極層12とが、接続部20を介して電気的に導通することになる。
【0064】
コンタクト電極61には、例えば可動式プローブが用いられている。これにより、コンタクト電極61と接続部20との確実な接触を実現することができる。また、コンタクト電極61が接続部20と接触することによる接続部20のダメージを最小限に抑制することができる。なお、コンタクト電極61は、上記に限定されず、接続部20と単に接触するだけの構成や、接続部20と嵌合または螺合によって接続されるものなど、どのような形態であってもよい。
【0065】
図2は、本実施形態の貫通孔の近傍を表す模式的平面図である。
図2は、静電チャック100を
図1に表した矢印Aの方向にみたときの模式的平面図である。言い換えれば、
図2は、静電チャック100を第1主面11aに対して垂直な方向にみたときの模式的平面図である。なお、
図2に表した模式的平面図では、説明の便宜上、ヒータ131および連通路55を破線ではなく実線で表している。
【0066】
図2に表したように、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、ヒータ131のうちの少なくとも一部は、貫通孔57に最も近接した連通路55の部分(第1の部分)55aからみて貫通孔57の側に存在する。「貫通孔57に最も近接した部分」とは、例えば、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに貫通孔57の中心軸57aに最も近接した部分をいう。
図2に表した連通路55において、貫通孔57に最も近接した部分は、部分55aである。
【0067】
第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、貫通孔57の中心軸57aと貫通孔57に最も近接した連通路55の部分55aとの間の距離D1は、貫通孔57の中心軸57aと貫通孔57に最も近接したヒータ131の部分(第2の部分)131aとの間の距離D2よりも長い。
【0068】
第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、貫通孔57に最も近接した連通路55の部分55aにおける連通路55の幅D3は、貫通孔57に最も近接したヒータ131の部分131aにおけるヒータ131の幅D4よりも広い。幅D3は、例えば約5ミリメートル(mm)以上、10mm以下程度である。幅D4は、例えば約0.5mm以上、3mm以下程度である。
【0069】
第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、貫通孔57の径D7(
図3参照)は、例えば、0.05mm以上10mm以下である。
【0070】
第1主面11aに対して垂直方向な方向にみたときに、ヒータ131の部分131aを含む一部、及び、連通路55の部分55aを含む一部は、それぞれ、貫通孔57を取り囲む形状を有することが望ましい。貫通孔57を取り囲む形状とは、貫通孔57からみて、外側に凸の形状をいい、貫通孔57を中心とした略円弧状が望ましい。
【0071】
図2に表したように、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、ヒータ131の内側(貫通孔57の側)の径で近似される円を第2の仮想円C2とする。あるいは、
図2に表したように、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、貫通孔57に最も近接したヒータ131の部分131aと、ヒータ131のうちの貫通孔57の側(内側)のいずれか2つの部分(
図2では、部分131bおよび部分131c)と、を通る円を第2の仮想円C2とする。このとき、第2の仮想円C2がヒータ131と交わる部分(
図2では円弧CA1および円弧CA2)の長さは、第2の仮想円C2の円周の長さに対して50パーセント(%)以上、80%以下である。
【0072】
連通路55の位置およびヒータ131の位置は、例えばX線CT(Computed Tomography)を用いて測定される。ヒータ131の位置だけであれば、例えば超音波探傷器を用いて測定することができる。走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy:SEM)等の顕微鏡を用いる断面観察などの破壊検査によって、連通路55の位置およびヒータ131の位置を観察することも可能である。
【0073】
本実施形態によれば、最も熱しにくい箇所と、最も冷却しにくい箇所と、を略同一とすることで、処理対象物の面内の温度調整を制御できない範囲を限定することができる。本実施形態において、最も熱しにくい箇所および最も冷却しにくい箇所は、貫通孔57の近傍の箇所である。これにより、貫通孔57とは異なる他の領域における処理対象物の面内の温度分布の均一化を向上させることができる。また、貫通孔57近傍においても、最も熱しにくいクールスポットの領域と、最も冷却しにくいホットスポットの領域と、が略同一となることで、加熱と冷却の平衡を取り易くなり、処理対象物の面内の温度分布の均一化を向上させることができる。
【0074】
図3は、本実施形態の貫通孔の近傍を表す模式的平面図である。
図4は、本実施形態のヒータの折り返し部を表す模式的平面図である。
図3は、静電チャック100を
図1に表した矢印Aの方向にみたときの模式的平面図である。言い換えれば、
図3は、静電チャック100を第1主面11aに対して垂直な方向にみたときの模式的平面図である。なお、
図3に表した模式的平面図では、説明の便宜上、ヒータ131および連通路55を破線ではなく実線で表している。
【0075】
図2に表したように、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、連通路55の内側(貫通孔57の側)の径で近似される円を第1の仮想円C1とする。あるいは、
図2に表したように、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、貫通孔57に最も近接した連通路55の部分55aと、連通路55のうちの貫通孔57の側(内側)のいずれか2つの部分(
図3では、部分55bおよび部分55c)と、を通る円を第1の仮想円C1とする。このとき、第1の仮想円C1の中心55dと、第2の仮想円C2の中心131dと、の間の距離D5は、0.2mm以内である。このとき、
図4に表したように、ヒータ131の折り返し部131eの外側(外周)の部分(ラウンド部)の寸法D6は、例えば約0.6mm以上、1mm以下(R0.6以上、R1以下)程度である。
【0076】
第1の仮想円C1の中心55dと、第2の仮想円C2の中心131dと、の間の距離は、0mmであることがより好ましい。つまり、第1の仮想円C1の中心55dは、第2の仮想円C2の中心131dと重なることがより好ましい。
【0077】
図5は、本実施形態の他の貫通孔の近傍を表す模式的平面図である。
図5は、
図2および
図3と同様に、静電チャック100を
図1に表した矢印Aの方向にみたときの模式的平面図である。
【0078】
図5に表した貫通孔57の近傍におけるヒータ131の配置パターンは、
図2および
図3に表した貫通孔57の近傍におけるヒータ131の配置パターンとは異なる。
図2および
図3に表した貫通孔57の近傍では、上側のヒータ131は、連続している。一方で、
図5に表した貫通孔57の近傍では、上側のヒータ131は、連続していない。
図2、
図3および
図5に表したいずれの例の場合でも、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、ヒータ131の配置パターンは、貫通孔57の中心軸57aを通る任意の直線57bからみて左右対称である。貫通孔57がリフトピン孔である場合には、ヒータ131の配置パターンが貫通孔57の中心軸57aを通る任意の直線57bからみて左右対称となることが比較的多い。
【0079】
図5に表したヒータ131の配置パターンの場合でも、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、ヒータ131のうちの少なくとも一部は、貫通孔57に最も近接した連通路55の部分55aからみて貫通孔57の側に存在する。また、第2の仮想円C2がヒータ131と交わる部分(
図5では円弧CA1、円弧CA2および円弧CA3)の長さは、第2の仮想円C2の円周の長さに対して50パーセント(%)以上、80%以下である。距離D1、距離D2、幅D3、幅D4、距離D5および寸法D6は、
図2および
図3に関して前述した通りである。
【0080】
図6(a)及び
図6(b)は、本実施形態の他の貫通孔の近傍を表す模式的平面図である。
図6(a)及び
図6(b)は、
図2及び
図3と同様に、静電チャック100を
図1に表した矢印Aの方向にみたときの模式的平面図である。
【0081】
図6(a)における上側のヒータ131の平面形状の曲率は、
図2及び
図3に表した貫通孔57近傍における上側のヒータ131の平面形状の曲率よりも大きい。
図6(a)では、上側のヒータ131の一部は、貫通孔57近傍において、連通路55の一部とZ方向において重なっている。
図6(b)においては、ヒータ131は、X−Y平面に沿って直線的に延在するパターンにより構成されている。
図6(a)及び
図6(b)に示した例においても、距離D1、距離D2、幅D3、幅D4及び距離D5は、
図2及び
図3に関して前述した通りである。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一化を向上させることができる。
【0082】
図7(a)及び
図7(b)は、本実施形態の他の貫通孔の近傍を表す模式的平面図である。
図7(a)及び
図7(b)は、本実施形態の他の貫通孔の近傍を表す模式的平面図である。
図7(a)及び
図7(b)は、
図2及び
図3と同様に、静電チャック100を
図1に表した矢印Aの方向にみたときの模式的平面図である。
【0083】
図7(a)及び
図7(b)に表した例では、連通路55の配置パターンにおいて、
図2及び
図3に表した例と異なる。
図7(a)及び
図7(b)の例では、連通路55は、貫通孔57近傍において、本流路551と副流路552とに分岐している。
図7(a)に表したように、副流路552の幅D8aは、本流路551の幅D3よりも狭い。また、
図7(b)に表したように、副流路552の幅D8bは、本流路551の幅D3よりも狭い。なお、流路の幅は、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、冷却媒体が流れ込む方向に対して略垂直な方向に沿った流路の長さである。
【0084】
本願明細書において、このように連通路55が分岐する場合には、「貫通孔57に最も近接した連通路55の部分55a」とは、「貫通孔57に最も接近した本流路551の部分」をいう。この場合、
図7(a)及び
図7(b)に示した例においても、距離D1、距離D2、幅D3、幅D4及び距離D5は、
図2及び
図3に関して前述した通りである。
【0085】
図8は、周長の比率と、温度低下率と、の間の関係の一例を例示するグラフ図である。
図8に表したグラフ図の横軸は、第2の仮想円C2がヒータ131と交わる部分の長さと、第2の仮想円C2の円周の長さと、の間の比(第2の仮想円C2がヒータ131と交わる部分の長さ/第2の仮想円C2の円周の長さ(%))を表す。
図8に表したグラフ図の縦軸は、平均温度に対する温度低下率(%)を表す。
【0086】
図8に表したように、第2の仮想円C2がヒータ131と交わる部分の長さと、第2の仮想円C2の円周の長さと、の間の比が高くなると、平均温度に対する温度低下率は、低くなる。平均温度に対する温度低下率は、10%以下であることが好ましい。平均温度に対する温度低下率が10%よりも高くなると、貫通孔57の近傍の領域を適切に加熱することが困難となる。
【0087】
つまり、第2の仮想円C2がヒータ131と交わる部分の長さと、第2の仮想円C2の円周の長さと、の間の比が約50%未満である場合には、貫通孔57の近傍におけるヒータ131が不足している。そのため、貫通孔57の近傍の領域を適切に加熱することが困難となる。言い換えれば、貫通孔57の近傍の領域がクールスポットになることがある。
【0088】
一方で、第2の仮想円C2がヒータ131と交わる部分の長さと、第2の仮想円C2の円周の長さと、の間の比が80%よりも高い場合には、貫通孔57の近傍におけるヒータ131が過剰となる。そのため、ヒータ131同士の間の絶縁距離を確保できないおそれがある。
【0089】
これによれば、第2の仮想円C2がヒータ131と交わる部分の長さと、第2の仮想円C2の円周の長さと、の間の比は、50%以上、80%以下であることが好ましい。
また、第2の仮想円C2がヒータ131と交わる部分の長さと、第2の仮想円C2の円周の長さと、の間の比は、70%以上、80%以下であることがより好ましい。この場合には、ヒータ131同士の間の絶縁距離を確保しつつ、比較的多くのヒータ131を貫通孔57の近傍に設けることができる。
【0090】
図9は、温度ばらつきと、ヒータ面積率と、の関係の一例を例示するグラフ図である。
図9に表したグラフ図の横軸は、ヒータ面積率(%)を表す。ヒータ面積率は、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、セラミック誘電体基板11の面積に対する、ヒータ131の面積の割合である。
【0091】
図9の左縦軸は、静電チャックに載置され、温度が制御された処理対象物W(例えばウェーハ)の温度ばらつきΔT(℃)を表す。温度ばらつきΔTは、 処理対象物Wの面内(X−Y平面内)において、最高温の箇所と最低温の箇所との温度差である。
図9の右縦軸は、処理対象物Wの、基準からの温度ばらつきの比Rt(%)を表す。例えば、静電チャックによって処理対象物Wの温度を温度T1から温度T2へ変化させた場合、比Rt(%)=(温度ばらつきΔT)/(温度T2−温度T1)×100と表される。
【0092】
図9では、
図1に関して説明した静電チャックにおいて、ヒータ131の幅を変化させたりヒータ131を密に配置することでヒータ面積率を変化させることができる。
図9に表したように、ヒータ面積率が20%以下の場合、温度ばらつきΔTは5℃以上であり、比Rtは10%以上である。ヒータ面積率がさらに低下すると、温度ばらつきΔT及び比Rtは、急峻に増加する。これは、ヒータ131が粗の場合、ヒータ131から離れた領域は熱しにくいためと考えられる。
【0093】
一方、ヒータ面積率が80%以上の場合においても、温度ばらつきΔTは5℃以上であり、比Rtは10%以上である。ヒータ面積率がさらに増加すると、温度ばらつきΔT及び比Rtは、急峻に増加する。これは、例えば、ヒータ131が密に配置された領域が熱しやすくなる一方で、ヒータ131が配置されていない領域は熱しにくいままであるためと考えられる。このため、温度差が顕著となる。
【0094】
また、ヒータ面積率は、温度ばらつき以外の要因によっても制限される。例えば絶縁距離の確保のため、ヒータ131同士の間の最近接距離は、0.2mm以上5mm以下であることが望ましく、ヒータ131からセラミック誘電体基板11の外周までの距離は、0.05mm以上7mm以下であることが望ましい。このため、ヒータ面積率は、100%未満となる。例えば、ヒータ面積率が90%以上の場合には、ヒータ−ヒータ間の絶縁耐圧が不十分となり、ヒータ面積率が85%以上の場合には、ヒータ−外周間の絶縁耐圧が不十分となる。
【0095】
以上により、実施形態においては、ヒータ面積率は、20%以上80%以下であることが望ましい。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一化を向上させることができる。ヒータ面積率は、40%以上60%以下がより望ましい。これにより、温度バラツキΔTを2℃以下とし、比Rtを4%以下とすることができる。
【0096】
図10は、温度ばらつきと、連通路面積率と、の関係の一例を例示するグラフ図である。
図10の横軸は、連通路面積率(%)を表す。連通路面積率は、第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、セラミック誘電体基板11の面積に対する、連通路55の面積の割合である。
【0097】
図10の左縦軸は、
図9の左縦軸と同様の、温度ばらつきΔT(℃)を表す。
図10の右縦軸は、
図9の右縦軸と同様の、基準からの温度ばらつきの比Rt(%)を表す。
【0098】
図10では、
図1に関して説明した静電チャックにおいて、連通路55の幅を変化させたり連通路55を密に配置することで連通路面積率を変化させることができる。この例では、連通路55には冷却媒体を通過させている。
図10に表したように、連通路面積率が20%以下の場合、温度ばらつきΔTは5℃以上であり、比Rtは、10%以上である。連通路面積率がさらに低下すると温度ばらつきΔT及び比Rtは、急峻に増加する。これは、例えば、連通路55が粗の場合、連通路55から離れた領域がホットスポットとなり易いためと考えられる。
【0099】
一方、連通路面積率が80%以上の場合においても、温度ばらつきΔTは5℃以上であり、比Rtは10%以上である。連通路面積率がさらに増加すると、温度ばらつきΔT及び比Rtは、急峻に増加する。これは、例えば、連通路55が密に配置された領域が冷却されやすくなる一方で、連通路55が配置されていない領域は冷却されにくいままであるためと考えられる。このため、温度差が顕著となる。
【0100】
連通路面積率は、温度ばらつき以外の要因によっても制限される。例えば強度の確保のため、連通路55同士の間の最近接距離は、0.3mm以上15mm以下であることが望ましく、連通路55からベースプレート50の外周(上部50aの外周)までの距離は、0.3mm以上10mm以下であることが望ましい。このため、連通路面積率は100%未満となる。
【0101】
以上により、実施形態においては、連通路面積率は、20%以上80%以下であることが望ましい。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一化を向上させることができる。連通路面積率は、40%以上60%以下がより望ましい。これにより、温度バラツキΔTを2℃以下とし、比Rtを4%以下とすることができる。
【0102】
図11は、温度ばらつきと、連通路の面積に対するヒータの面積の割合と、の関係の一例を例示するグラフ図である。
図11の横軸は、連通路面積に対するヒータ面積の割合を表す。これは、(ヒータ面積)/(連通路面積)(%)によって算出される。ヒータ面積は、第1主面11aに対して垂直な方向にみた場合における、ヒータ131が有する面積である。連通路面積は、第1主面11aに対して垂直な方向にみた場合における、連通路55が有する面積である。
【0103】
図11の左縦軸は、
図9の左縦軸と同様の、温度ばらつきΔT(℃)を表す。
図11の右縦軸は、
図9の右縦軸と同様の、基準からの温度ばらつきの比Rt(%)を表す。
【0104】
図11では、
図1に関して説明した静電チャックにおいてヒータ131の幅及び連通路55の幅を変化させたり、ヒータ131及び連通路55を密に配置させることで、連通路の面積に対するヒータの面積の割合を変化させることができる。ここで、ヒータ131の幅の最小値は、0.5mmであり、連通路55の幅の最小値は、1mmである。また、この例では、連通路55には冷却媒体を通過させている。処理対象物Wの温度の制御は、連通路55に冷却媒体を流しつつ、ヒータ131によって熱することによって行われる。
【0105】
図11に表したように、連通路面積に対するヒータ面積の割合が60%以下の場合は、温度ばらつきΔTは5℃以上であり、比Rtは10%以上である。連通路面積に対するヒータ面積の割合がさらに低下すると温度ばらつきΔT及び比Rtは、急峻に増加する。これは、ヒータ131に対して連通路55の密度が高く、クールスポットが発生し易いためと考えられる。
【0106】
一方、連通路面積に対するヒータ面積の割合が180%以上の場合においても、温度ばらつきΔTは5℃以上であり、比Rtは10%以上である。 連通路面積に対するヒータ面積の割合がさらに増加すると温度ばらつきΔT及び比Rtは、急峻に増加する。これは、連通路55に対してヒータ131の密度が高く、ホットスポットが発生し易いためと考えられる。
【0107】
以上より、実施形態においては、ヒータ131及び連通路55が、共に適度に密であることが望ましい。連通路面積に対するヒータ面積の割合は、60%以上180%以下であることが望ましい。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一化を向上させることができる。連通路面積に対するヒータ面積の割合は、100%以上140%以下がより望ましい。これにより、温度バラツキΔTを2℃以下とし、比Rtを4%以下とすることができる。
【0108】
なお、
図9のヒータ面積率、
図10の連通路面積率、および、
図11の連通路面積に対するヒータ面積の割合は、それぞれ、静電チャック100の吸着面全体に対して算出されてもよいし、静電チャック100の外周に囲まれた範囲に対して算出されてもよいし、静電チャック100のうち50mm×50mm程度の範囲において算出されてもよい。ヒータ面積率、連通路面積率および連通路面積に対するヒータ面積の割合には、それぞれ、複数(3ヶ所程度)の50mm×50mmの範囲から算出された値の平均値を用いてもよい。
【0109】
図12は、ヒータの折り返し部を表す模式的平面図である。
図13は、ヒータの折り返し部を拡大した模式的拡大図である。
図12(a)は、本実施形態のヒータの折り返し部を表す模式的平面図である。
図12(b)は、比較例のヒータの折り返し部を表す模式的平面図である。
図13(a)は、
図12(a)に表した領域AR1を拡大した模式的拡大図である。
図13(b)は、
図12(b)に表した領域AR2を拡大した模式的拡大図である。
【0110】
図12(a)は、複数のヒータ131の折り返し部131eが近接した状態を表す。ヒータ131の折り返し部131eは、第1の方向から第1の方向とは異なる第2の方向へ屈曲した部分である。
図12(b)は、複数のヒータ134の折り返し部134eが近接した状態を表す。ヒータ134の折り返し部134eは、第3の方向から第3の方向とは異なる第4の方向へ屈曲した部分である。
図12(a)に表したヒータ131の配置パターンでは、第1のヒータ135は、第2のヒータ136に近接する。
図12(b)に表したヒータ134の配置パターンでは、第1のヒータ137は、第2のヒータ138に近接する。
【0111】
第1のヒータ135の折り返し部131e(第1の折り返し部)と、第2のヒータ136の折り返し部131e(第2の折り返し部)と、の間の空間部141の面積が広いと、処理対象物Wの温度制御性が低下し、処理対象物Wの面内の温度分布の均一化を向上することが困難となることがある。これに対して、第1のヒータ135の折り返し部131eと、第2のヒータ136の折り返し部131eと、の間の空間部141の面積が適切である場合には、処理対象物Wの温度制御性を向上させることができ、処理対象物Wの面内の温度分布の均一化を向上させることができる。
【0112】
ここで、
図13(a)に表したように、本実施形態において、第1のヒータ135と第2のヒータ136との間の最近接距離を「D11」と表すこととする。第1のヒータ135の折り返し部131eのラウンド端部131fと、第2のヒータ136の折り返し部131eのラウンド端部131fと、の間の距離を「D12」と表すこととする。
本願明細書において「ラウンド端部」とは、ラウンド部と直線部との交点をいうものとする。
【0113】
図13(b)に表したように、比較例において、第1のヒータ137と第2のヒータ138との間の最近接距離を「D13」と表すこととする。第1のヒータ137の折り返し部134eのラウンド端部134fと、第2のヒータ138の折り返し部134eのラウンド端部134fと、の間の距離を「D14」と表すこととする。
【0114】
このとき、本実施形態では、最近接距離D11と、ラウンド端部131f同士の間の距離D12と、の間の比(D11/D12)は、50%以上、100%未満である。言い換えれば、最近接距離D11は、ラウンド端部131f同士の間の距離D12に対して50%以上、100%未満である。
これに対して、比較例では、最近接距離D13と、ラウンド端部134f同士の間の距離D14と、の間の比(D13/D14)は、50%未満である。言い換えれば、最近接距離D13は、ラウンド端部134f同士の間の距離D14に対して50%未満である。
【0115】
本実施形態によれば、複数のヒータ131の折り返し部131eが近接した箇所において、空間部141の密度を規定するために複数のヒータ131同士の間の近接距離を規定することで、処理対象物Wの温度制御性を向上させることができ、処理対象物Wの面内の温度分布の均一化を向上させることができる。
【0116】
ラウンド端部同士の間の距離に対する最近接距離の比について、図面を参照しつつさらに説明する。
図14は、ラウンド端部同士の間の距離に対する最近接距離の比と、処理対象物の面内の温度差と、の関係の一例を例示するグラフ図である。
図15は、ラウンド端部同士の間の距離に対する最近接距離の比と、処理対象物の面内の温度差と、の関係の一例を例示する表である。
図16は、処理対象物の面内の温度分布の一例を例示する模式図である。
【0117】
本発明者は、ラウンド端部同士の間の距離に対する最近接距離の比(最近接距離/ラウンド端部同士の間の距離)と、処理対象物の面内の温度差と、の関係について検討を行った。
図15に表した表のように、本発明者は、ラウンド端部同士の間の距離に対する最近接距離の比が、22%(Case1)、26%(Case2)、33%(Case3)、50%(case4)、67%(Case5)および80%(Case6)の場合について、処理対象物Wの面内の温度差の検討を行った。
【0118】
検討の結果の一例は、
図14〜
図16(e)に表した通りである。すなわち、
図14および
図15に表したように、ラウンド端部同士の間の距離に対する最近接距離の比が高くなると、処理対象物Wの面内の温度差が低下する。処理対象物Wの面内の温度差を1℃以下とする場合には、ラウンド端部同士の間の距離に対する最近接距離の比を50%以上、100%未満とする必要がある。
図16(c)〜
図16(e)に表したように、ラウンド端部同士の間の距離に対する最近接距離の比が50%以上、100%未満である場合には、第1のヒータ135の折り返し部131eと、第2のヒータ136の折り返し部131eと、の間の空間部141における温度の低下が抑えられている。
【0119】
図17(a)及び
図17(b)は、本実施形態に係る他の静電チャックを例示する模式図である。
図17(a)は、実施形態に係る静電チャック101の模式的断面図である。
図17(a)は、
図1に示した断面の一部を拡大した模式的断面図に相当する。
図17(a)に例示する静電チャック101は、バイパス電極139を有する。これ以外については、静電チャック101には、
図1に関して説明した静電チャック100と同様の説明を適用できる。
図17(a)に表した例は、ヒータプレート構造であるが、セラミック内部にヒータやバイパス電極を内蔵してもよく、構造や製法を限定するものではない。
【0120】
バイパス電極139は、Z方向において、ベースプレート50と電極層12との間に設けられる。この例では、バイパス電極139は、Z方向においてベースプレート50とヒータ131との間に位置する。但し、バイパス電極139の位置は、これに限定されない。例えば、バイパス電極139は、Z方向において電極層12とヒータ131との間に位置してもよい。
【0121】
バイパス電極139の材料には、例えばステンレス、チタン、クロム、ニッケル、銅、およびアルミニウムの少なくともいずれかを含む金属などが挙げられる。バイパス電極139は、ヒータ131と電気的に接続されている。また、バイパス電極139は、端子62と電気的に接続されている。端子62およびバイパス電極139を介して、ヒータ131にヒータ用電流133(
図1参照)を流すことができる。このようなバイパス電極139を設けることにより、端子62及びヒータ131の配置の自由度をより高くすることができる。また、ヒータ131が端子62と直接接触しないため、ヒータ131の損傷を抑制できる。
【0122】
図17(b)は、本実施形態のバイパス電極を例示する模式的平面図である。
図17(b)に表したように、静電チャック101には、複数のバイパス電極139が設けられる。第1主面11aに対して垂直な方向にみたときに、第1主面11aは略円形であり、複数のバイパス電極139は、第1主面11aの略全体と重なることが望ましい。この例では、8つのバイパス電極139が設けられている。バイパス電極139のそれぞれの平面形状は、例えば略扇形である。この扇形は、第1主面11aの外周に沿った円弧と、当該円弧の2つの半径と、で囲まれた形状である。ただし、例えばバイパス電極が略櫛歯形状や略円形状であってもよく、バイパス電極の形状を限定するものではない。
また、静電チャック101には、ギャップG1が設けられている。ギャップG1は、互いに隣合う2つのバイパス電極139(例えば、第1のバイパス電極139a、および第2のバイパス電極139b)の間の領域である。このように、円を分割するように複数のバイパス電極139を設けることにより、例えばヒータ131に供給される電流の面内均一性を向上させることができる。
【0123】
図18は、温度ばらつきと、バイパス電極のギャップ幅と、の関係の一例を例示するグラフ図である。
図18の横軸は、バイパス電極139のギャップ幅D15を表す。ギャップ幅D15は、
図17(b)に表したギャップG1の幅である。言い換えると、ギャップ幅D15は、静電チャック101の周方向において互いに隣合う2つのバイパス電極139間の距離である。
図18の左縦軸は、
図9の左縦軸と同様の、温度ばらつきΔT(℃)を表す。
図18の右縦軸は、
図9の右縦軸と同様の、基準からの温度ばらつきの比Rt(%)を表す。
【0124】
図18は、静電チャック101において、複数のギャップ幅D15を変化させた場合の特性を例示している。
図18に表したように、ギャップ幅D15が10mm以下のときに、温度ばらつきΔTは5℃以下となり、比Rtは10%以下となる。これは、ギャップG1が断熱層のように機能しやすいためと考えられる。また、ギャップ幅D15が0.05mm未満の場合は、バイパス電極139間の耐圧が低下することがある。実施形態においては、ギャップ幅D15は、0.05mm以上10mm以下であることが望ましい。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一化を向上させることができる。ギャップ幅D15は、より好ましくは0.05mm以上7.5mm以下であり、さらに好ましくは0.05mm以上2.0mm以下である。
【0125】
図19は、温度ばらつきと、バイパス電極のギャップ深さと、の関係の一例を例示するグラフ図である。
図19の横軸は、バイパス電極139のギャップ深さD16を表す。ギャップ深さD16は、
図17(a)に表したギャップG1の深さ(第1主面11aに対して垂直な方向に沿った長さ)である。言い換えると、ギャップ深さD16は、バイパス電極139の厚さに相当する。
図19の左縦軸は、
図9の左縦軸と同様の、温度ばらつきΔT(℃)を表す。
図19の右縦軸は、
図9の右縦軸と同様の、基準からの温度ばらつきの比Rt(%)を表す。
【0126】
図19は、静電チャック101において、ギャップ深さD16を変化させた場合の特性を例示している。
図19に表したように、ギャップ深さD16が1mm以下のときに、温度ばらつきΔTは5℃以下であり、比Rtは10%以下となる。実施形態においては、ギャップ深さD16は、0.01mm以上1mm以下であることが望ましい。これにより、処理対象物の面内の温度分布の均一化を向上させることができる。ギャップ深さD16は、より好ましくは0.01mm以上0.8mm以下であり、さらに好ましくは0.01mm以上0.4mm以下である。
【0127】
図20は、本発明の他の実施の形態に係るウェーハ処理装置を例示する模式的断面図である。
本実施形態にかかるウェーハ処理装置500は、処理容器501と、上部電極510と、
図1〜
図19に関して前述した静電チャック(例えば、静電チャック100)と、を備えている。処理容器501の天井には、処理ガスを内部に導入するための処理ガス導入口502が設けられている。処理容器501の底板には、内部を減圧排気するための排気口503が設けられている。また、上部電極510および静電チャック100には高周波電源504が接続され、上部電極510と静電チャック10とを有する一対の電極が、互いに所定の間隔を隔てて平行に対峙するようになっている。
【0128】
本実施形態にかかるウェーハ処理装置500において、上部電極510と静電チャック10との間に高周波電圧が印加されると、高周波放電が起こり処理容器501内に導入された処理ガスがプラズマにより励起、活性化されて、処理対象物Wが処理されることになる。尚、処理対象物Wとしては、半導体基板(ウェーハ)を例示することができる。但し、処理対象物Wは、半導体基板(ウェーハ)には限定されず、例えば、液晶表示装置に用いられるガラス基板等であってもよい。
【0129】
高周波電源504は、静電チャック100のベースプレート50と電気的に接続される。ベースプレート50には、前述のように、アルミニウムなどの金属材料が用いられる。すなわち、ベースプレート50は、導電性を有する。これにより、高周波電圧は、上部電極510とベースプレート50との間に印加される。
【0130】
ウェーハ処理装置500のような構成の装置は、一般に平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)装置と呼ばれるが、本実施形態にかかる静電チャック100は、この装置への適用に限定されるわけではない。例えば、ECR(Electron Cyclotron Resonance) エッチング装置、誘電結合プラズマ処理装置、ヘリコン波プラズマ処理装置、プラズマ分離型プラズマ処理装置、表面波プラズマ処理装置、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition )装置などのいわゆる減圧処理装置に広く適応することができる。また、本実施形態にかかる静電チャック100は、露光装置や検査装置のように大気圧下で処理や検査が行われる基板処理装置に広く適用することもできる。ただし、本実施形態にかかる静電チャック100の有する高い耐プラズマ性を考慮すると、静電チャック100をプラズマ処理装置に適用させることが好ましい。尚、これらの装置の構成の内、本実施形態にかかる静電チャック100以外の部分には公知の構成を適用することができるので、その説明は省略する。
【0131】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、静電チャック100、静電チャック用基板110およびベースプレート50などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などやヒータ131および貫通孔57の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。