特許第5987979号(P5987979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987979
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】パンチプレス
(51)【国際特許分類】
   B21D 28/36 20060101AFI20160825BHJP
   B21D 37/04 20060101ALI20160825BHJP
   B21D 37/14 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B21D28/36 Z
   B21D37/04 P
   B21D37/14 F
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-518154(P2015-518154)
(86)(22)【出願日】2014年4月11日
(86)【国際出願番号】JP2014060551
(87)【国際公開番号】WO2014188814
(87)【国際公開日】20141127
【審査請求日】2015年11月19日
(31)【優先権主張番号】特願2013-109586(P2013-109586)
(32)【優先日】2013年5月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(72)【発明者】
【氏名】坂本 博一
【審査官】 矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−106248(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0019977(US,A1)
【文献】 特許第2861928(JP,B2)
【文献】 実公平07−053777(JP,Y2)
【文献】 特許第2602176(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 28/36
B21D 37/04
B21D 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のパンチが搭載される統合パンチ支持体と、この統合パンチ支持体の下方にあって前記パンチとの共働でパンチ加工を行う複数のダイが設置される統合ダイ支持体とを備えたパンチプレスであって、
前記統合ダイ支持体は、この統合ダイ支持体の外縁に沿い並べて前記複数のダイが設置されるものであり、この統合ダイ支持体は、統合ダイ支持体本体と、この統合ダイ支持体本体との連結を保ったまま少なくとも一部分が前記外縁の外に出た状態となることが可能な出入り体とを有し、この出入り体に、前記統合ダイ支持体に設置される前記複数のダイのうちの一部である複数のダイが設置されるパンチプレス。
【請求項2】
前記統合ダイ支持体はタレットである請求項1記載のパンチプレス。
【請求項3】
前記出入り体は、前記統合ダイ支持体本体に設けられた旋回中心軸回りに旋回して前記外縁の内と外とに出入りする請求項1または請求項2記載のパンチプレス。
【請求項4】
前記出入り体に複数のダイホルダが着脱可能に固定して設けられ、これら複数の各ダイホルダに前記複数のダイが個別にまたは複数設置される請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパンチプレス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、2013年5月24日出願の特願2013−109586の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本願の一部をなすものとして引用する。
【技術分野】
【0002】
この発明は、板材に対してパンチ加工を行うパンチプレスに関し、特にダイの交換作業の向上を図った技術に関する。
【背景技術】
【0003】
例えばタレットパンチプレスは、統合ダイ支持体としての下タレットにダイホルダが設置され、このダイホルダに下金型であるダイが支持されている。ダイを交換する場合、上下のタレットの間に手または工具を入れて交換作業を行う。この交換作業は、ダイホルダのダイ設置部が上タレットの下に隠れて良く見ることができないので難しい。特に、複数のダイが下タレットの径方向に並んで支持されているダイホルダの場合、下タレットの外周から見て奥側のダイについては、下タレットの外から手が届かず、交換はほぼ不可能である。
【0004】
そこで、ダイの交換作業を容易に行えるように、ダイホルダの一部が取り外せるようにしたもの、ダイホルダごと下タレットから取り外せるようにしたもの(例えば特許文献1)等がある。また、ダイホルダを下タレットから取り外し可能とすると共に、取り外したダイホルダを、下タレットとは別に設けたツールマガジンのダイホルダと交換する機構を設けたものが提案されている(例えば特許文献2)。さらに、下タレットの外径を上タレットの外径よりも大きくすることで、ダイの上方に交換のための空間を確保するようにしたものも提案されている(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2861928号公報
【特許文献2】実公平7−53777号公報
【特許文献3】特許第2602176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1のように、ダイホルダの全体または一部を取り外すのは、ダイの交換作業の他に、下タレットに対するダイホルダの脱着という重くてつらい別の作業も行わねばならないので、時間がかかり作業者の負担が大きい。また、特許文献2にように、ダイホルダを交換する機構を設けるのは、設備が大掛かりとなる。さらに、特許文献3のように、下タレットの外径を上タレットの外径よりも大きくする必要がある。
【0007】
この発明の目的は、簡単な構造でありながら、下タレット等の統合ダイ支持体に対するダイの交換を容易にかつ効率良く行うことができるパンチプレスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のパンチプレスは、複数のパンチが搭載される統合パンチ支持体と、この統合パンチ支持体の下方にあって前記パンチとの共働でパンチ加工を行う複数のダイが設置される統合ダイ支持体とを備える。前記統合ダイ支持体は、この統合ダイ支持体の外縁に沿い並べて前記複数のダイが設置されるものである。この統合ダイ支持体は、統合ダイ支持体本体と、この統合ダイ支持体本体との連結を保ったまま少なくとも一部分が前記外縁の外に出た状態となることが可能な出入り体とを有し、この出入り体に、前記統合ダイ支持体に設置される前記複数のダイのうちの一部である複数のダイが設置される。
【0009】
この構成によると、出入り体を少なくとも一部分が統合ダイ支持体の外縁の外に出た状態にして、この出入り体に設置されているダイを別のダイと交換し、またはダイを一旦取り出して研磨等の処理を行ったのち再装着する。出入り体が統合ダイ支持体の外縁の外に出ていると、ダイホルダのダイ設置部の上側と下側に広い空間があると共に、ダイを目視で良好に確認することができるため、ダイの交換作業を容易にかつ確実、安全に行うことができる。出入り体には複数のダイが設置されるため、1つの出入り体を統合ダイ支持体の外縁の外に出すことで、複数のダイを交換することができて、効率が良い。出入り体は、統合ダイ支持体本体との連結を保ったまま統合ダイ支持体の外縁の外に出た状態となるため、出入り体を取り外すものと異なり、出た状態の出入り体を適正な位置に確保することができて、ダイの交換作業を行い易い。
【0010】
この発明において、前記統合ダイ支持体がタレットであってもよい。統合ダイ支持体がタレットの場合、多数のダイが設置されるため、この発明の、下タレット等の統合ダイ支持体に対するダイの交換を容易にかつ効率良く行うことができるという利点が効果的となる。
【0011】
この発明において、前記出入り体は、前記統合ダイ支持体本体に設けられた旋回中心軸回りに旋回して前記外縁の内と外とに出入りしてもよい。出入り体を旋回中心軸回りに旋回させる構成とすることで、例えば直線状に進退させる構成とする場合に比べて、出入り体を統合ダイ支持体の外縁の内と外とに精度良く出入りさせることができる。また、出入り体を出入りさせる機構が簡易となり、安価に製作できる。
【0012】
この発明において、前記出入り体に複数のダイホルダが着脱可能に固定して設けられ、これら複数の各ダイホルダに前記複数のダイが個別にまたは複数設置されてもよい。1つのダイホルダに設置されるダイの個数は限定しない。ダイホルダを介して出入り体にダイを設置すると、ダイホルダをダイに応じたものに交換することで、多様な種類のダイを出入り体に設置することが可能となる。
【0013】
請求の範囲および/または明細書および/または図面に開示された少なくとも2つの構成のどのような組合せも、本発明に含まれる。特に、請求の範囲の各請求項の2つ以上のどのような組合せも、本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
図1】この発明の一実施形態にかかるパンチプレスの側面図である。
図2】同パンチプレスの一部を省略した斜視図である。
図3】同パンチプレスの下タレットの平面図である。
図4】同下タレットの1つの出入り体が下タレットの外縁の外に出た状態を示す斜視図である。
図5】同下タレットの出入り体配置部の斜視図である。
図6】同下タレットの出入り体の旋回支持部を示す断面図である。
図7A】同出入り体の固定手段の平面図である。
図7B図7AのVIIB−VIIB線に沿った断面図である。
図7C図7AのVIIC−VIIC線に沿った断面図である。
図8A】同下タレットの一部の平面図である。
図8B図8AのVIIIB−VIIIB線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。図1はこの実施形態の全体側面図、図2はその一部を省略した斜視図である。図のパンチプレスは、上下のタレット2,3を有するタレットパンチプレスである。図2には、上タレット2が省略されている。上下のタレット2,3は、共に平面形状が円形で、それぞれフレーム1の上水平フレーム部1aおよび下水平フレーム部1bに、互いに同心の垂直軸回りに回転自在に支持されている。上タレット2は、統合パンチ支持体であり、この上タレット2の外縁に沿って複数のパンチ4が並べて搭載されている。また、下タレット3は、統合ダイ支持体であり、この下タレット3の外縁に沿って複数のダイ5が並べて設置されている。なお、上記「外縁」は、タレット2,3の場合は外周縁のことである。
【0016】
上下のタレット2,3は、図示しないモータにより互いに同期回転させることで、対となる1組のパンチ4およびダイ5が加工位置Pに割り出される。加工位置Pに割り出されたパンチ4を、ラム7を介して、モータ等のパンチ駆動源8で昇降駆動することで、パンチ4とダイ5の共働で板材Wに対してパンチ加工を行う。
【0017】
図1において、板材Wは、加工箇所がパンチ位置Pに来るように、板材送り手段13によりテーブル14上を前後左右に送られる。板材送り手段13は、前後(Y方向)移動するキャリッジ15に、左右(X方向)移動するクロススライド16を設置し、板材Wの端部を把持するワークホルダ17をクロススライド16に取り付けたものである。
【0018】
図3は下タレット3の平面図、図4は同下タレット3の図3とは異なる状態を示す斜視図である。下タレット3は、統合ダイ支持体本体である下タレット本体21と、この下タレット本体21の上面に外縁に沿って設けられ円周方向に並ぶ複数(例えば4つ)の出入り体22とで構成される。これら下タレット本体21または出入り体22の上面に複数のダイホルダ23が着脱自在に固定され、各ダイホルダ23にダイ5が設置される。図の例では、1つのダイホルダ23にダイ5が1個または2個設置されているが、1つのダイホルダ23にダイ5を3個以上設置してもよい。
【0019】
下タレット本体21の中央部には、上面が各ダイ5の上面と略同じ高さとなるように、板材送り用のテーブル24が設けられている。なお、図3における図の上側の2つの出入り体22は、ダイホルダ23が設けられていない状態を示している。
【0020】
図5に示すように、前記出入り体22は、この出入り体22の円周方向一方端の近傍に位置する旋回中心軸25回りに旋回可能に下タレット本体21に支持されており、全体が下タレット3の外縁の内に入った使用時位置(図3に実線で示す)と、大半部分が外縁の外に出た交換時位置(同図に二点鎖線で示す)とに切換え可能である。使用時位置では、下タレット本体21の上面に突出して設けられた位置決め部材26に当接して位置決めされる。使用時位置にある出入り体22を、この出入り体22の円周方向他方端の近傍で固定する固定手段27が、下タレット本体21と出入り体22とに渡って設けられている。
【0021】
交換時位置では、出入り体22に設けられた各ダイホルダ23に設置されるダイ5が下タレット3の外縁の外に出た状態となる。なお、必ずしも、出入り体22に設けられた各ダイホルダ23に設置されるすべてのダイ5が下タレット3の外縁の外に出た状態となっていなくても良く、一部のダイ5が外縁の内側に位置していても良い。図示の例では、出入り体22が使用時位置にある状態において、旋回中心軸25の近傍に位置する1個のダイ5(図3に5Xで示す。)は下タレット3の外縁の内側に位置するが、その位置は外縁にきわめて近く、下タレット3の外周から容易に手が届く位置であるので、後で説明するダイ交換作業で問題とならない。
【0022】
このように、出入り体22に複数のダイ5が設置される場合、出入り体22に設置される複数のダイ5のうち、一部のダイ5は、出入り体22が交換時位置にある状態において、下タレット3の外周から手が届く位置であれば、下タレット3の外縁の内側に位置していても良い。ここで言う「一部のダイ5」とは、多いか少ないかに係わらず、すべてのダイ5ではないことを言う。
【0023】
図6は、旋回中心軸25による出入り体22の旋回支持部の断面図である。旋回中心軸25は、下タレット本体21の上面に設けられた凹部30に嵌る大径部25aと、出入り体22に設けられた貫通孔31にブッシュ32を介して回転自在に嵌る小径部25bとでなる段付き軸である。旋回中心軸25は、下タレット本体21の底面に設けられたボルト挿通孔から挿通されたボルト33を大径部25aに設けられたねじ孔にねじ込むことで、下タレット本体21に固定されている。これにより、出入り体22が、旋回中心軸25回りに旋回自在に支持される。
【0024】
ブッシュ32は、上部につば部32aを有し、このつば部32aを前記貫通孔31の上部に形成された座繰り部に載せ、前記つば部32aに挿通したボルト34により出入り体22に固定されている。旋回中心軸25の小径部25bの外周面には、複数本の円周状のグリース溜り溝35が形成されている。
【0025】
また、旋回中心軸25に対して上から抜止め部材36がボルト37により取り付けられており、この抜止め部材36のつば部36aがブッシュ32のつば部32aの上面に被さることで、出入り体22およびブッシュ32が抜け止めされる。なお、抜止め部材36が旋回中心軸25の上端面に接する状態において、抜止め部材36のつば部36aとブッシュ32との間に微小寸法の隙間が生じるようにしてある。
【0026】
図7Aは出入り体22の固定手段27の平面図、図7BはそのVIIB−VIIB断面図、図7CはそのVIIC−VIIC断面図である。固定手段27は、下タレット本体21の上面に設けられた凹部40に嵌る雌ねじ部材41と、出入り体22に設けられたボルト挿通部材42と、固定ボルト43とで構成される。なお図7Aおよび図7Cは、固定ボルト43の無い状態を示している。
【0027】
雌ねじ部材41は、下タレット本体21の底面から挿通されたボルト45により、下タレット本体21に固定されている。ボルト挿通部材42は、下部が平板状に広がった取付部42aとなっており、この取付部42aでボルト46により出入り体22に固定されている。雌ねじ部材41にはねじ孔47が、またボルト挿通部材42にはボルト挿通孔48が、それぞれ同軸上に設けられている。これらねじ孔47およびボルト挿通孔48は、下タレット外径側が上位となるように、下タレット径方向に沿って下タレット外周から内側に向けて傾斜している。下タレット外径側からボルト挿通孔48に固定ボルト43を挿通し、その雄ねじ部をねじ孔47にねじ込むことで、下タレット本体21に対して出入り体22が固定される。
【0028】
このように、出入り体22を旋回中心軸25回りに旋回させることで、出入り体22を下タレット3の外縁の内と外とに出入りさせる構成とすると、出入り体22を精度良く出入りさせることができるうえ、出入り体22を出入りさせる機構が簡易となり、安価に製作できる。また、固定手段27が、固定ボルト43を斜め下向きに進退させる構成であると、下タレット外径側から固定ボルト43を緩める操作および締め付ける操作を行い易い。なお、旋回中心軸25は、出入り体22に固定とし、下タレット3に対して回転可能としても良い。
【0029】
図8Aおよび図8Bはそれぞれ、下タレット3の一部の平面図および断面図であり、図3において白抜きの矢印で示すダイホルダ23の設置部を表している。このダイホルダ23は、出入り体22に対して2個のダイ5(5A,5B)を支持するものである。例えば、ダイ5Aは、平面形状が円形で、中央部に正方形の打抜き用孔5Aaを有する。また、ダイ5Bは、平面形状が円形で、中央部に円形の打抜き用孔5Baを有する。ダイホルダ23は、平面形状が下タレット外径側ほど幅の広い略扇形であり、ダイホルダ23の出入り体22の底面から挿通された複数のボルト50により出入り体22に固定される。
【0030】
ダイ5は、ダイホルダ23の上面に設けられた座繰り状のダイ保持凹部51にそれぞれ嵌合し、ダイ保持凹部51の環状をした底面に、上端が上面よりも突出した状態で着座させられる。ダイ保持凹部51の底面に続いて、ダイ保持凹部51よりも小径のスラグ排出孔52が下方に延びている。スラグ排出孔52は、出入り体22のスラグ落下孔53、および下タレット3のスラグ落下孔54に連通している。
【0031】
ダイホルダ23の上部に平板状のテーブル56が設けられ、このテーブル56に、板材Wを下から支える多数のブラシ57が上向きに植え込まれている。また、下タレット本体21のテーブル24にも同様のブラシ58が上向きに植え込まれている。上記ブラシ57,58に代えて、板材Wを下から支えるボールベアリング(図示せず)をテーブル24,56に設けてもよい。
【0032】
図8Aおよび図8Bに示すダイホルダ23は複数あるダイホルダ23のうちの一例であるが、設置されるダイ5の数、寸法、形状の違いを除けば、他のダイホルダ23も基本的に同じ構造である。
【0033】
図3および図4に示すように、この下タレット3は、下タレット本体21に固定されるダイホルダ23と、出入り体22に固定されるダイホルダ23とを有する。図の例では、下タレット本体21に固定されるダイホルダ23の数は2個で、互いに下タレット3の中心Oを挟んで対向する位置に配置されている。これら2個のダイホルダ23には、比較的大きいダイ5が1個だけ設置される。出入り体22の数は4個で、各出入り体22に6個または8個のダイホルダ23が固定される。
【0034】
6個のダイホルダ23が固定される2つの出入り体22は、互いに下タレット3の中心を挟んで対向する位置に配置されている。同様に、8個のダイホルダ23が固定される2つの出入り体22も、互いに下タレット3の中心を挟んで対向する位置に配置されている。また、各出入り体22は、旋回中心軸25回りに下タレット円周方向の同じ側に旋回するようになっている。つまり、各出入り体22および各ダイホルダ23は、点対称に配置されている。以上は一例であって、出入り体22、およびこの出入り体22上に設けられるダイホルダ23の数および配置は、これに限定されない。例えば、出入り体22が1〜3個であっても、また5個以上であってもよい。
【0035】
この構成のパンチプレスは、使用時には、すべての出入り体22を使用時位置に位置させ、固定手段27で固定した状態とする。ダイ5を交換する場合は、交換しようとするダイ5が設置されている出入り体22を交換時位置にする。交換時位置では、ダイホルダ23のダイ設置部の上側と下側に広い空間があると共に、ダイ設置部を目視で良好に確認することができるため、ダイ5の交換作業を容易にかつ確実、安全に行うことができる。
【0036】
出入り体22には複数のダイ5が設置されるため、1つの出入り体22を交換時位置に出すことで、複数のダイ5を交換することができて、効率が良い。出入り体22は、下タレット本体21との連結を保ったまま下タレット3の外縁の外に出た状態となるため、交換時位置にある出入り体22を適正な位置に確保することができ、ダイ5の交換作業を行い易い。
【0037】
交換頻度の高いダイ5が設置されるダイホルダ23を同じ出入り体22にまとめて設けておくと、出入り体22の出し入れの回数を減らすことができて、交換作業の効率向上を図ることができる。また、1つの製品の加工に用いられるダイ5を同じ出入り体22にまとめて設けておいても、交換作業の効率向上を図ることができる。
【0038】
この実施形態のように、下タレット3の下タレット本体21または出入り体22にダイホルダ23を介してダイ5を設置すると、ダイホルダ23をダイ5に応じたものに交換することで、多様な種類のダイ5を統合ダイ支持体である下タレット3に設置することができる。ダイホルダ23を設けずに、下タレット本体21または出入り体22にダイ5を直接設置してもよい。
【0039】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本件明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更および修正を容易に想定するであろう。例えば、上記実施形態のパンチプレスはタレットパンチプレスであるが、この発明は、タレット式以外のパンチプレスにも適用できる。例えば、統合パンチ支持体および統合ダイ支持体が矩形のパンチプレスに適用できる。したがって、そのような変更および修正は、添付の特許請求の範囲から定まるこの発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0040】
2 上タレット(統合パンチ支持体)
3 下タレット(統合ダイ支持体)
4 パンチ
5 ダイ
21 下タレット本体(統合ダイ支持体本体)
22 出入り体
23 ダイホルダ
25 旋回中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B