特許第5987988号(P5987988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5987988
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】保管容器
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/66 20120101AFI20160825BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   G03F1/66
   H01L21/68 U
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-525109(P2015-525109)
(86)(22)【出願日】2014年6月5日
(86)【国際出願番号】JP2014064980
(87)【国際公開番号】WO2015001906
(87)【国際公開日】20150108
【審査請求日】2015年12月24日
(31)【優先権主張番号】特願2013-139795(P2013-139795)
(32)【優先日】2013年7月3日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】雁部 政彦
【審査官】 赤尾 隼人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第99/03139(WO,A1)
【文献】 特表2009−541998(JP,A)
【文献】 特開平10−207042(JP,A)
【文献】 特開2008−166657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/66
H01L 21/027;21/673
B65D 85/30−85/48;85/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容する収容領域を有する保管部が複数段設けられた保管容器であって、
パージガスを供給する供給部と、
複数の前記保管部が重ねられた状態で複数の前記保管部にわたって連通し、前記供給部から供給された前記パージガスの流路となるダクト部と、
前記ダクト部と前記収容領域とを連通し、前記パージガスを前記収容領域に導入する導入部と、を備え、
前記ダクト部における前記パージガスの流路に、拡散部材が配置されていることを特徴とする保管容器。
【請求項2】
前記拡散部材は、前記ダクト部の内壁から突出する板状の部材であることを特徴とする請求項1記載の保管容器。
【請求項3】
前記拡散部材は、前記供給部から供給される前記パージガスの流入方向の延長線上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の保管容器。
【請求項4】
前記拡散部材は、前記供給部の近傍に配置された前記保管部に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の保管容器。
【請求項5】
前記拡散部材は、前記供給部からの距離に応じて、面積が異なっていることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項記載の保管容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保管容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体等の露光に用いられるレチクルは、搬送や保管をする際に、塵や埃から保護するためにクリーンな状態で保持する必要がある。そのため、レチクルを保管する保管容器では、その内部にパージガス(クリーンガス)が供給されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4215079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
保管容器として、レチクルを収容する保管部が上下に複数段重ねられているものがある。このような保管容器では、一般的に、一箇所の供給部からパージガスが内部に供給され、上下にわたって設けられた流路を介して各保管部にパージガスが供給される。この場合、保管容器内では、供給部に近い部分ではパージガスの流速が速く、供給部から離れた部分ではパージガスの流速が遅くなる。そのため、保管容器では、パージガスの流速が不均一となり、その結果、保管部においてパージガスの雰囲気に差が生じるおそれがある。
【0005】
本発明は、パージガスの流速の均一化を図れる保管容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る保管容器は、物品を収容する収容領域を有する保管部が複数段設けられた保管容器であって、パージガスを供給する供給部と、複数の保管部が重ねられた状態で複数の保管部にわたって連通し、供給部から供給されたパージガスの流路となるダクト部と、ダクト部と収容領域とを連通し、パージガスを収容領域に導入する導入部と、を備え、ダクト部におけるパージガスの流路に、拡散部材が配置されていることを特徴とする。
【0007】
この保管容器では、ダクト部におけるパージガスの流路に、拡散部材が配置されている。これにより、保管容器では、パージガスが拡散部材により拡散される。そのため、保管容器では、例えば拡散部材を流速の速い部分に配置することで、流速を低下させることができる。したがって、保管容器では、パージガスの流速の均一化を図ることができる。その結果、保管容器では、通常では流速の速い部分であってもパージガスが広範囲にわたって行き渡るため、保管部それぞれにおけるパージガスの雰囲気の差を抑制できる。
【0008】
一実施形態においては、拡散部材は、ダクト部の内壁から突出する板状の部材であってもよい。これにより、保管容器では、簡易な構成でパージガスを拡散させることができるため、簡易な構成でパージガスの流速の均一化を図れる。
【0009】
一実施形態においては、拡散部材は、供給部から供給されるパージガスの流入方向の延長線上に配置されていてもよい。パージガスは、供給部からの流入方向において流速が速くなっている。そこで、拡散部材をパージガスの流入方向の延長線上に配置することにより、パージガスを効果的に拡散させることができ、流速の均一化を効果的に図ることができる。
【0010】
一実施形態においては、拡散部材は、供給部の近傍に配置された保管部に設けられていてもよい。パージガスは、供給部に近い部分では流速が速く、供給部から離れた部分では流速が遅くなる。そこで、保管容器では、拡散部材を供給部の近傍に配置された保管部に設けている。これにより、保管容器では、パージガスを拡散部材で拡散することにより、供給部に近い部分のパージガスの流速を低下させることができる。したがって、保管容器では、パージガスの流速の均一化を良好に図ることができる。
【0011】
一実施形態においては、拡散部材は、供給部からの距離に応じて、面積が異なっていてもよい。上述のように、パージガスは、供給部に近い部分では流速が速く、供給部から離れた部分では流速が遅くなる。そこで、保管容器では、例えば供給部に近い位置に配置された拡散部材の面積を大きくすることにより、パージガスをより効果的に拡散させることができる。その結果、保管容器では、パージガスの流速の均一化を良好に図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、パージガスの流速の均一化を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係る保管容器の正面図である。
図2図2は、図1に示す保管容器の側面図である。
図3図3は、図1に示す保管容器の底面図である。
図4図4は、図1に示す保管容器の上面図である。
図5図5は、底部を示す斜視図である。
図6図6は、保管部を示す斜視図である。
図7図7は、底部と保管部とが重ねられた状態を示す斜視図である。
図8図8は、図7におけるVIII−VIII線での断面構成を示す図である。
図9図9は、図7におけるIX−IX線での断面構成を示す図である。
図10図10は、蓋部を示す斜視図である。
図11図11は、図10におけるXI−XI線での断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
図1は、一実施形態に係る保管容器の正面図である。図2は、図1に示す保管容器の側面図である。図3は、図1に示す保管容器の底面図である。図4は、図1に示す保管容器の上面図である。各図に示す保管容器1は、例えばレチクル(物品)をクリーンな環境で保管する容器である。なお、保管容器1に保管される物品としては、レチクルに限定されない。
【0016】
保管容器1は、底部3と、保管部5と、蓋部7と、を備えている。保管部5は、上下に複数段(ここでは11個)積み重ねられている。以下の説明では、図1における左右を「右」、「左」とし、図2における左右を「後」、「前」とする。
【0017】
図5は、底部を示す斜視図である。図5に示すように、底部3は、板状の部材である。底部3には、パージガスを保管容器1内に供給する供給部10が設けられている。供給部10は、底部3の後部で且つ左右方向の略中央部に配置されている。供給部10は、例えば略円形形状を呈しており、底部3を貫通する貫通孔である。供給部10の形状は特に限定されず、例えば矩形形状や台形形状であってもよい。供給部10には、図示しない供給源からパージガスが供給される。底部3には、保管部5と係合する係合部12a,12bが設けられている。係合部12a,12bは、筒状の部材であり、底部3の後部において互いに左右方向に離間して配置されている。
【0018】
図6は、保管部を示す斜視図である。図6に示すように、保管部5は、側部20a,20b,20c,20dと、ダクト部22と、導入部24と、を備えている。側部20a〜20dは、レチクルを収容する略矩形形状の収容領域Sを画成している。側部20a〜20dの内壁には、レチクルを支持する支持部26a,26b,26c,26dが設けられている。左右及び後部に位置する側部20a〜20dの外側には、フランジ部28a,28b,28cが設けられている。フランジ部28cには、保管部5と係合する係合部29a,29bが設けられている。係合部29a,29bは、筒状の部材であり、フランジ部28cにおいて互いに左右方向に離間して配置されている。
【0019】
ダクト部22は、パージガスの流路を形成している。ダクト部22は、保管部5の後部に配置されており、側部20aとフランジ部28cとの間に位置している。ダクト部22は、保管部5の左右方向に沿って設けられている。ダクト部22には、仕切り部30a,30b,30c,30dが設けられている。仕切り部30a〜30dは、ダクト部22において、左右方向において所定の間隔をあけて複数(ここでは4つ)配置されている。ダクト部22は、保管部5が積み重ねられたときに、他の保管部5のダクト部22と連通する。
【0020】
図7は、底部と保管部とが重ねられた状態を示す斜視図である。図7では、底部3の上に保管部5が2つ積み重ねられている。図8は、図7におけるVIII−VIII線での断面構成を示す図である。図9は、図7におけるIX−IX線での断面構成を示す図である。図8に示すように、仕切り部30a〜30dは、上下方向に沿って延在している。仕切り部30a〜30dの下端部は、保管部5の底面よりも上方に位置している。すなわち、仕切り部30a〜30dは、図8に示すように、保管部5が積み重ねられた状態において、隣接する仕切り部30a〜30dとの間に空間が画成される。これにより、ダクト部22には、左右方向に流れるパージガスの流路が形成されている。
【0021】
本実施形態では、上下に積み重ねられる複数の保管部5のうち、一部の保管部5のダクト部22には、拡散部材32が設けられている。具体的には、例えば、複数の保管部5のうち、保管容器1の下部側に配置される保管部5のダクト部22には、拡散部材32が設けられている。拡散部材32は、ダクト部22の内壁22aから突出する板状の部材(突出片)であり、例えば矩形形状を呈している。拡散部材32の形状は、特に限定されず、例えば円形形状や台形形状であってもよい。また、拡散部材32は、複数設けられていてもよい。
【0022】
本実施形態では、拡散部材32は、底部3の供給部10に対応する位置、すなわちダクト部22の中央部に配置されている。つまり、拡散部材32は、供給部10から供給されるパージガスの流入方向の延長線上に配置されている。
【0023】
導入部24は、側部20aに設けられている。導入部24は、ダクト部22と収容領域Sとを連通する切欠き部である。導入部24は、側部20aの下端部に設けられており、下方に向かって開口する凹形状を呈している。導入部24の形状は、特に限定されず、例えば半円形形状や台形形状であってもよい。導入部24は、左右方向に所定の間隔を空けて複数(ここでは12個)設けられている。パージガスは、導入部24を介してダクト部22から収容領域Sに導入される。
【0024】
図10は、蓋部を示す斜視図である。図11は、図10におけるXI−XI線での断面構成を示す図である。図1に示すように、蓋部7は、保管部5の最上部に配置されている。蓋部7は、蓋板40と、側部42a,42b,42c,42dと、ダクト部44と、導入部46と、導入孔48と、を有している。
【0025】
蓋板40は、板状の部材である。蓋板40の側部42a,42b,42dの外側は、フランジ部とされている。側部42a〜42dは、レチクルを収容する略矩形形状の収容領域Sを画成している。ダクト部44は、パージガスの流路を形成している。ダクト部44は、後部に配置されている。ダクト部44は、蓋部7が保管部5に重ねられたときに、保管部5のダクト部22と連通する。
【0026】
導入部46は、側部42aに設けられている。導入部46は、ダクト部44と収容領域Sとを連通する切欠き部である。導入部46は、側部42aの下端部に設けられており、下方に向かって開口する凹形状を呈している。導入部46は、左右方向に所定の間隔を空けて複数(ここでは12個)設けられている。
【0027】
導入孔48は、側部42aに設けられている。導入孔48は、ダクト部44と収容領域Sとを連通する貫通孔である。導入孔48は、側部42aの上端部に設けられており、例えば断面が矩形形状を呈している。導入孔48は、左右方向に所定の間隔を空けて複数(ここでは8個)設けられている。パージガスは、導入部46及び導入孔48を介してダクト部44から収容領域Sに導入される。
【0028】
続いて、保管容器1におけるパージガスの流れについて説明する。保管容器1には、底部3の供給部10からパージガスが供給される。供給部10から供給されたパージガスは、ダクト部22に流入する。このとき、保管部5のダクト部22では、パージガスが拡散部材32により拡散される。拡散部材32により拡散されたパージガスは、流速が低下し、ダクト部22において仕切り部30a〜30dの下部を通過してダクト部22全体に拡散する。そして、パージガスは、導入部24を介して、保管部5の収容領域Sに導入される。
【0029】
以上説明したように、本実施形態に係る保管容器1では、ダクト部22におけるパージガスの流路に、拡散部材32が配置されている。これにより、保管容器1では、パージガスが拡散部材32により拡散される。そのため、保管容器1では、例えば拡散部材32を流速の速い部分に配置することで、流速を低下させることができる。したがって、保管容器1では、パージガスの流速の均一化を図ることができる。その結果、保管容器1では、通常では流速の速い部分であってもパージガスが広範囲にわたって行き渡るため、保管部5それぞれにおけるパージガスの雰囲気の差を抑制できる。
【0030】
本実施形態では、拡散部材32は、ダクト部22の内壁22aから突出する板状の部材としている。これにより、保管容器1では、簡易な構成でパージガスを拡散させることができ、簡易な構成でパージガスの流速の均一化を図ることができる。
【0031】
本実施形態では、拡散部材32は、供給部10から供給されるパージガスの流入方向の延長線上に配置されている。パージガスは、供給部10からの流入方向において流速が速くなっている。そこで、拡散部材32をパージガスの流入方向の延長線上に配置することにより、パージガスを効果的に拡散させることができ、流速の均一化を効果的に図ることができる。
【0032】
本実施形態では、拡散部材32は、供給部10の近傍に配置された保管部5に設けられている。パージガスは、供給部10に近い部分では流速が速く、供給部10から離れた部分では流速が遅くなる。そこで、保管容器1では、保管容器1の下部側(供給部10側)に配置される保管部5に設けている。これにより、保管容器1では、パージガスを拡散部材32で拡散することにより、供給部10に近い部分のパージガスの流速を低下させることができる。したがって、保管容器1では、パージガスの流速の均一化を良好に図ることができる。
【0033】
本発明は、上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、拡散部材32としてダクト部22の内壁22aから突出する板状の部材を一例に説明したが、拡散部材は他の構成であってもよい。例えば、拡散部材は、ダクト部の流路を絞る部材であってもよい。要は、拡散部材は、パージガスを拡散してパージガスの流速の変更させる手段であればよい。
【0034】
上記実施形態では、拡散部材32が保管容器1の下部側、すなわちパージガスの供給部10の近傍に配置されている構成を好ましい構成の一例として説明したが、拡散部材32は、全ての保管部5に設けられていてもよい。また、拡散部材32は、積み重ねられた保管部5において連続して設けられなくてもよい。例えば、拡散部材32は、隔段毎(例えば、1段目の保管部5と3段目の保管部5など)に設けられてもよい。
【0035】
上記実施形態に加えて、拡散部材32の面積を変更してもよい。具体的には、供給部10からの距離に応じて、拡散部材32の面積を変更することができる。より詳細には、例えば、供給部10に近い位置に配置される拡散部材32の面積を大きくし、供給部10から離れた位置に配置される拡散部材32の面積を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…保管容器、5…保管部、22…ダクト部、24…導入部、32…拡散部材、S…収容領域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11