(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記レベルシフト回路は、前記制御回路より出力される前記第一電位を基準電位とする第一ゲート制御信号を、前記半導体層の電位である第三電位を基準とする第二ゲート制御信号に変換するレベルダウン回路と、前記第二ゲート制御信号を、前記第二電位を基準とする第三ゲート制御信号に変換し、前記ゲート駆動回路に出力するレベルアップ回路とを備えていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
前記レベルシフト回路は、前記制御回路より出力される前記第一電位を基準電位とする第一ゲート制御信号がゲート抵抗を介して入力され、当該第一ゲート制御信号を、前記第二電位を基準とする第三ゲート制御信号に変換し、前記ゲート駆動回路に出力するレベルアップ回路を備えていることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
前記レベルダウン回路は、第一導電型の第二電界効果トランジスタと、前記第二電界効果トランジスタのドレイン電極と前記半導体層との間に接続された第二レベルシフト抵抗の直列回路で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
前記第二高耐圧接合終端構造は、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置され、前記第一半導体領域に接し当該第一半導体領域を囲む第二導電型の第五半導体領域と、
該第五半導体領域の表面層に形成された第一導電型の第六半導体領域と、
を備えることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置。
前記第五半導体領域を前記第一ダイオードのカソード領域とし、前記第六半導体領域を前記第一ダイオードのアノード領域とすることを特徴とする請求項11に記載の半導体装置。
前記第五半導体領域が、第一導電型領域を介して隣接しそれぞれが前記第六半導体領域と接する複数の領域からなり、該複数の領域の一部が前記カソード領域であることを特徴とする請求項12に記載の半導体装置。
前記第一高耐圧接合終端構造は、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置され前記第二半導体領域に接し該第二半導体領域を囲む第二導電型の第七半導体領域と、
前記第七半導体領域の表面層に形成された第一導電型の第八半導体領域と、
を備えることを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
前記第二電界効果トランジスタは、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置された第二導電型の第五半導体領域の表面層に形成された第一導電型の第六半導体領域をドレインドリフト領域とし、
前記第一電界効果トランジスタは、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置された第二導電型の第八半導体領域をドレインドリフト領域とすることを特徴とする請求項14に記載の半導体装置。
前記第一ダイオードは、前記半導体層と該半導体層の裏面側に形成された第二導電型の第九半導体領域とによって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に係る半導体装置。
前記第二レベルシフト回路は、前記異常検出回路から出力される前記第二電位を基準電位とする第一異常検出信号を、前記半導体層の浮遊電位である第三電位を基準とする第二異常検出信号に変換する第二レベルダウン回路と、前記第二異常検出信号を、前記第一電位を基準電位とする第三異常検出信号に変換し前記制御回路に出力する第二レベルアップ回路とを備えることを特徴とする請求項21に記載の半導体装置。
前記第二レベルシフト回路は、前記異常検出回路から出力される前記第二電位を基準電位とする第一異常検出信号を、前記半導体層の浮遊電位である第三電位を基準とする第二異常検出信号に変換する第二レベルダウン回路と、該第二レベルダウン回路から出力される第二異常検出信号を前記制御回路に供給する電流制限抵抗とを備えることを特徴とする請求項21に記載の半導体装置。
前記第二レベルシフト回路は、前記異常検出回路から出力される前記第二電位を基準電位とする第一異常検出信号を、前記半導体層の浮遊電位である第三電位を基準とする第二異常検出信号に変換する第二レベルダウン回路と、前記第二異常検出信号を、前記第一電位を基準電位とする第三異常検出信号に変換し前記制御回路に出力する第二レベルアップ回路とを備えることを特徴とする請求項24又は25に記載の半導体装置。
前記第二レベルシフト回路は、前記異常検出回路から出力される前記第二電位を基準電位とする第一異常検出信号を、前記半導体層の浮遊電位である第三電位を基準とする第二異常検出信号に変換する第二レベルダウン回路と、該第二レベルダウン回路から出力される第二異常検出信号を前記制御回路に供給する電流制限抵抗とを備えることを特徴とする請求項24又は25に記載の半導体装置。
前記第二高耐圧接合終端構造は、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置され、前記第一半導体領域に接し該第一半導体領域を囲む第二導電型の第五半導体領域と、
前記第五半導体領域の表面層に形成された第一導電型の第六半導体領域と、
を備えることを特徴とする請求項29に記載の半導体装置。
前記第五半導体領域を前記第一ダイオードのカソード領域とし、前記第六半導体領域を前記第一ダイオードのアノード領域とすることを特徴とする請求項30に記載の半導体装置。
前記第五半導体領域が、第一導電型領域を介して隣接しそれぞれが前記第六半導体領域と接する複数の領域からなり、該複数の領域の一部が前記カソード領域であることを特徴とする請求項31に記載の半導体装置。
前記第一高耐圧接合終端構造は、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置され前記第二半導体領域に接し該第二半導体領域を囲む第二導電型の第七半導体領域と、
前記第七半導体領域の表面層に形成された第一導電型の第八半導体領域と、
を備えることを特徴とする請求項30に記載の半導体装置。
前記第二レベルダウン回路が、第一導電型の第一電界効果トランジスタと、前記第一電界効果トランジスタのドレイン電極と前記半導体層との間に接続された第一レベルシフト抵抗を備え、
前記第二レベルアップ回路が、第二導電型の第二電界効果トランジスタと、前記第二電界効果トランジスタのドレイン電極と前記第一半導体領域との間に接続された第二レベルシフト抵抗を備え、
前記第一異常検出信号が前記第一電界効果トランジスタのゲート電極に入力され、前記第一電界効果トランジスタのドレイン電極から出力される前記第二異常検出信号が前記第二電界効果トランジスタのゲート電極に入力されることを特徴とする請求項26に記載の半導体装置。
前記第二電界効果トランジスタは、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置された第二導電型の第五半導体領域の表面層に形成された第一導電型の第六半導体領域をドレインドリフト領域とし、
前記第一電界効果トランジスタは、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置された第二導電型の第七半導体領域をドレインドリフト領域とすることを特徴とする請求項34に記載の半導体装置。
前記第二半導体領域にカソードが接続され、前記半導体層にアノードが接続される第二ダイオードを備えることを特徴とする、請求項24、25、38、39のいずれか一つに記載の半導体装置。
共通電位を基準電位とする高電圧電源の高電位側に主端子の一方が接続され負荷に主端子の他方が接続された1個以上のパワーデバイスのゲートを駆動するためのゲート信号を出力し、前記主端子の他方を基準電位とする第一低電圧電源を電源とし、p型の半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置されたn型の第一半導体領域に配置されるゲート駆動回路と、
外部より入力した前記ゲート信号を前記ゲート駆動回路に伝達するために出力し、前記共通電位を基準電位とする第二低電圧電源を電源とし、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置されたn型の第二半導体領域に配置される制御回路と、
前記共通電位を入力するための共通電位電極と、
前記共通電位電極にカソードが接続され、前記半導体層にアノードが接続される第一ダイオードと、
を備えることを特徴とする半導体装置。
共通電位を基準電位とする高電圧電源の高電位側に主端子の一方が接続され負荷に主端子の他方が接続された1個以上のパワーデバイスのゲートを駆動するためのゲート信号を出力し、前記主端子の他方を基準電位とする第一低電圧電源を電源とし、p型の半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置されたn型の第一半導体領域に配置されるゲート駆動回路と、
外部より入力した前記ゲート信号を前記ゲート駆動回路に伝達するために出力し、前記共通電位を基準電位とする第二低電圧電源を電源とし、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置されたn型の第二半導体領域に配置される制御回路と、
前記共通電位を入力するための共通電位電極と、
前記共通電位電極及び前記共通電位の一方にカソードを接続した外付けの第一ダイオードのアノードを接続するための前記半導体層の表面層に形成されたアノード電極と、
を備えることを特徴とする半導体装置。
共通電位を基準電位とする高電圧電源の高電位側に主端子の一方が接続され負荷に主端子の他方が接続された1個以上のパワーデバイスのゲートを駆動するためのゲート信号を出力し、前記主端子の他方を基準電位とする第一低電圧電源を電源とし、p型の半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置されたn型の第一半導体領域に配置されるゲート駆動回路と、
外部より入力した前記ゲート信号を前記ゲート駆動回路に伝達するために出力し、前記共通電位を基準電位とする第二低電圧電源を電源とし、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置されたn型の第二半導体領域に配置される制御回路と、
を備え、
前記主端子の他方の電位が前記共通電位よりも低い電位のとき、前記半導体層と前記共通電位との間のインピーダンスが前記第一半導体領域と前記半導体層とで形成される寄生ダイオードのインピーダンスより高いことを特徴とする半導体装置。
共通電位を基準電位とする高電圧電源の高電位側に主端子の一方が接続され負荷に主端子の他方が接続された1個以上のパワーデバイスの異常を検出し、前記主端子の他方を基準電位とする第一低電圧電源を電源とし、p型の半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置されたn型の第一半導体領域に配置される異常検出回路と、
前記共通電位を基準電位とする第二低電圧電源を電源とし、前記半導体層の表面層または前記半導体層の上に配置されたn型の第二半導体領域に配置される制御回路と、
を備え、
前記主端子の他方の電位が前記共通電位よりも低い電位のとき、前記半導体層と前記共通電位との間のインピーダンスが前記第一半導体領域と前記半導体層とで形成される寄生ダイオードのインピーダンスより高いことを特徴とする半導体装置。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用インバータ等の電力変換装置では、電力変換用ブリッジ回路を構成するIGBT等の半導体パワースイッチング素子のゲートを駆動する場合に、制御装置とゲート駆動回路との間に電気的絶縁のために絶縁トランスやフォトカプラが用いられている。しかし、近年では主に低容量の用途において、低コスト化のために電気的な絶縁を行わない高耐圧集積回路装置(以下、HVICと称す)が用いられている。
従来のHVICは、例えば、非特許文献1や特許文献1に記載されている。非特許文献1にはバルク基板を用いる自己分離型プロセスによるHVICが記載されている。自己分離型プロセスによる従来のHVIC200の例を
図26,
図27および
図28に示す。
【0003】
図26は、従来のHVIC200の要部平面図である。このHVIC200は、一般にハイサイドゲート駆動回路1137、Nchレベルシフタ1132を含むレベルアップ回路1140、入力・制御回路1136、高耐圧接合終端構造1130を備える。Nchレベルシフタ1132は高耐圧接合終端構造1130と一体で形成されたNch電界効果トランジスタであり、セット信号用とリセット信号用の2つを備えている。図中の符号でHIはハイレベル、LOはローレベル、INは入力、OUTは出力を示し、IN側の信号はGND電位を基準にした信号で、OUT側はVS電位を基準にした信号である。
【0004】
図27は、
図26のXXVII−XXVII線で切断した要部断面図である。従来のHVIC200の断面構造は、p型バルク基板1101(Psub)のおもて面に深いn型拡散領域であるn拡散領域1102とn拡散領域1103が形成されている。さらに、n拡散領域1102のおもて面には入力・制御回路1136が形成され、n拡散領域1103のおもて面にはハイサイドゲート駆動回路1137が形成されている。バルク基板とは拡散領域が形成される前の最初の基板のことである。n拡散領域1102およびn拡散領域1103のおもて面にはNch電界効果トランジスタ等を形成するための比較的浅いp型拡散領域であるp拡散領域1111およびp拡散領域1112が個別にかつ部分的に形成されている。p拡散領域1111は入力・制御回路1136の基準電位であるグランド(GND)端子にp
+拡散領域1109を介して接続されている。p拡散領域1112はハイサイドゲート駆動回路1137の基準電位であるVS端子にp
+拡散領域1110を介して接続されている。また、n拡散領域1102は入力・制御回路1136の電源端子であるVCC端子にn
+拡散領域1107を介して接続されている。n拡散領域1103はハイサイドゲート駆動回路1137の電源端子であるVB端子にn
+拡散領域1108を介して接続されている。VB端子とVS端子間にはハイサイドゲート駆動回路1137の電源電圧である9V〜24Vが印加される。
【0005】
n拡散領域1102とp型バルク基板1101の接合部1102a、およびn拡散領域1103とp型バルク基板1101の接合部1103aには第一寄生ダイオード1141および第二寄生ダイオード1142が個別に形成されている。
以降、ハイサイドゲート駆動回路1137が形成されたn拡散領域1103の領域をハイサイド回路領域1135とし、また入力・制御回路1136が形成されたn拡散領域1102の領域をローサイド回路領域1133とする。つまり、符号1103と1135、および1102と1133は同一領域を示す。
【0006】
ハイサイド回路領域1135の周囲には高耐圧接合終端構造1130が形成されており、ハイサイド回路領域1135にはローサイド回路領域1133の電位よりも600V程度以上高い電圧を印加できる構成となっている。高耐圧接合終端構造1130は薄いn型拡散領域であるn
−拡散領域1105と、浅いp型拡散領域であるp
−拡散領域1120、およびp型バルク基板1101によるダブルリサーフ構造により構成されている。
Nchレベルシフタ1132は高耐圧接合終端構造1130と一体で形成されたNch電界効果トランジスタである。その構成要素は、耐圧構造とドレインドリフト領域を構成する深くて薄いn型拡散領域であるn
−拡散領域1106、高耐圧接合終端構造1130を構成する浅いp型拡散領域のp
−拡散領域1119、ドレインを構成する浅くて濃いn型拡散領域のn
+拡散領域1116、ソースを構成する浅くて濃いn型拡散領域のn
+拡散領域1115、チャネルを構成する比較的浅くて濃いp型拡散領域のp拡散領域1122、バックゲートのピックアップを構成する浅くて濃いp型拡散領域のp
+拡散領域1114、ゲート酸化膜1125、ゲート電極1124である。
【0007】
VB端子とNchレベルシフタ1132のドレイン端子の間にレベルアップ抵抗1127を形成するため、VB端子に接続されたn拡散領域1103と、ドレイン端子に接続されたn
−拡散領域1106は、p
−拡散領域1147により電気的に分離されている。
尚、n拡散領域1102はp
+拡散領域1121を介してVCC端子に接続されている。また、VB端子は点線図示のブートストラップダイオード1129を介してVCC端子に接続されている。さらに、VB端子およびVS端子間にブートストラップコンデンサ(ハイサイド側の電源コンデンサ)1138が接続されている。
【0008】
図28は、
図26のHVIC200の等価回路図である。なお、レベルアップ回路1140はセット用の回路のみについて記載してあり、リセット用の回路は省略してある。
従来のHVIC200の動作を、ブリッジ回路のハイサイド側デバイス(ハイサイド側のパワーデバイス)を駆動する場合について、
図28を用いて説明する。VS端子は
図27に示した通り、ブリッジ回路を構成するローサイド側デバイス(ローサイド側のパワーデバイス)とハイサイド側デバイスの接続点に接続され、ハイサイド駆動回路は前述のとおりVS電位を基準電位として、VS電位とVB電位の間で動作する。VB電位はVS電位+9V〜24V程度である。
【0009】
入力・制御回路1136に入力されたセット信号、リセット信号はレベルアップ回路1140を介して、VS電位を基準に動作するハイサイドゲート駆動回路1137に伝達される。
セット信号伝達時にはブリッジ回路のハイサイド側デバイスのゲートがターンオンされ、リセット信号伝達時にはブリッジ回路のハイサイド側デバイスのゲートがターンオフされる。HVIC200の動作中、VS端子は0Vから数百Vまで電位が変化する。
また、ハイサイドゲート駆動回路1137は、バッファ回路RとNch電界効果トランジスタおよびPch電界効果トランジスタなどで構成される。
【0010】
尚、図中の符号で、aはブートストラップコンデンサ1138の高電位側の端子を接続するVB端子、bはブートストラップコンデンサ1138の低電位側の端子を接続するVS端子、cはブートストラップダイオード1129のアノードに接続する接続端子、dはON/OFF信号の入力端子、eはVCC端子、fはON/OFF信号の出力端子、gはブリッジ回路の中間電位点に接続するVS端子、hはPsub端子、iはGND端子である。hとiは一つの端子である。これらの各端子は半導体装置200の各端子である。微小黒丸は回路の接続点を示し、微小四角は各回路領域への接続を示す。
【0011】
また、特許文献1には、高電圧用金属クロスオーバ(ローサイド領域からハイサイド領域に跨る金属配線)がなく、エピタキシャル層の抵抗Repiと並列に(拡散またはポリシリコン)レベルシフト抵抗を更に設けることにより、印加高電圧のより広範囲にわたって集積回路のより安定した動作が得られることが記載されている。
また、特許文献2、特許文献3には、負電圧電源を用いて基板電位に負バイアスをかけることにより、寄生ダイオードが順バイアスされることを防ぎ、ハイサイドゲート駆動回路1137が誤動作することを防止する手法が記載されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の一例である実施の形態を説明する。
本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および−は、+または−の付されていない半導体領域に比してそれぞれ相対的に不純物濃度が高いまたは低いことを意味する。
なお、以下の第1の実施形態ないし第11の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
また、第1の実施形態ないし第11の実施形態で説明および添付図面は、見やすくまたは理解し易くするために正確なスケール、寸法比で描かれていない。この発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する第1の実施形態ないし第11の実施形態の記載に限定されるものではない。
また、第1の実施形態ないし第11の実施形態で説明される添付図面のうち、
図2、
図3、
図5、
図6、
図12、
図16、
図25および
図27では、図面を見易くするために断面を表すハッチングを省略している。
以下の第1の実施形態ないし第11の実施形態では、この発明の「半導体装置」の代表例として高耐圧集積回路装置(HVIC)に着目して例示的に説明する。
【0022】
〔第1の実施形態〕
図1は、この発明に係る半導体装置100の要部平面図である。この半導体装置100の一態様は高耐圧集積回路装置(HVIC)である。
半導体装置100は、
図4に示す、例えば産業用インバータ等の電力変換装置に適用される電力変換用ブリッジ回路500を駆動する。この電力変換用ブリッジ回路500は、IGBT等の電圧制御型のハイサイド側パワーデバイス501及びローサイド側パワーデバイス502が高電圧電源から数百Vの電圧が供給される電源ラインおよび共通電位であるグランド間に直列に接続されている。そして、ハイサイド側パワーデバイス501およびローサイド側パワーデバイス502の中間点に中間電位となるVS電位が供給される。本実施形態では、電力変換用ブリッジ回路500のハイサイド側パワーデバイス501を駆動する場合を例に説明する。なお、本実施形態では、高電圧電源は例えば400Vの商用電源の場合について説明する。
【0023】
半導体装置100は、半導体層となるp型バルク基板(Psub)101の一方の側に形成された入力・制御回路136、2つのPchレベルシフタ131(セット信号用、リセット信号用)を含む第一レベルダウン回路139、第二高耐圧接合終端構造130aを備えている。バルク基板とは拡散領域が形成される前の最初の基板のことである。
ここで、入力・制御回路136はp型バルク基板101のおもて面側に形成されたローサイド回路領域133に配置されている。
このローサイド回路領域133を囲むように例えばpバルク基板101とローサイド回路領域133との分離耐圧が1200Vに設定された第二高耐圧接合終端構造130aが形成されている。この第二高耐圧接合終端構造130aにより、p型バルク基板101の第三電位(Psub電位)が−1200V程度となった場合でもローサイド回路領域133とp型バルク基板101の間の耐圧を保つことができ、ローサイド回路領域133の破壊を防止することができる。
【0024】
Pchレベルシフタ131は第二高耐圧接合終端構造130aと一体で形成されたPchの第一電界効果トランジスタQ1で構成されており、セット信号用とリセット信号用の2つを備えている。
また、半導体装置100は、p型バルク基板101の他方の側に形成されたハイサイドゲート駆動回路137、2つのNchレベルシフタ132(セット信号用、リセット信号用)を含む第一レベルアップ回路140、第一高耐圧接合終端構造130を備えている。ここで、ハイサイドゲート駆動回路137はp型バルク基板101のおもて面側に形成されたハイサイド回路領域135に配置されている。このハイサイド回路領域135を囲むように耐圧が例えば1200Vに設定された第一高耐圧接合終端構造130が形成されている。この第一高耐圧接合終端構造130により、ハイサイド回路領域135にはローサイド回路領域133の電位よりも1200V程度高い電圧を印加できる構成となっている。
【0025】
Nchレベルシフタ132は第一高耐圧接合終端構造130と一体に形成された後述するNchの第二電界効果トランジスタQ2で構成されており、セット信号用とリセット信号用の2つを備えている。
図中の符号でHIはハイレベル、LOはローレベル、INは入力、OUTは出力を示し、IN側の信号はGND電位である第一電位を基準にした信号で、OUT側はVS電位である第二電位を基準にした信号である。
さらに半導体装置100は、p型バルク基板101の浮遊電位である第三電位をGND電位である第一電位と分離するためにp型バルク基板101のおもて面側に形成された2つの第一ダイオード128を備えている。2つの第一ダイオード128は、第一レベルダウン回路139と入力・制御回路136のGND端子間に並列に接続されている。
【0026】
図2は、
図1の半導体装置100のII−II線で切断した要部断面図である。
すなわち、半導体層となるp型バルク基板101には、おもて面側から形成されたローサイド回路領域133を構成する第一半導体領域となるn拡散領域102が形成されている。このn拡散領域102のおもて面側に入力・制御回路136が形成されている。この入力・制御回路136は基準電位であるグランド(GND)端子にp
+拡散領域109および第三半導体領域となるp拡散領域111を介して接続されている。
また、n拡散領域102がn
+拡散領域107を介してVCC端子に接続されている。第一半導体領域となるn拡散領域102と半導体層となるp型バルク基板101の接合部102aには第一寄生ダイオード141が形成されている。VCC端子および基準電位となる共通の第一電位のグランド(GND)端子間に、入力・制御回路136を駆動する5V程度の第二低電圧電源152から駆動電圧が印加されている。
【0027】
n拡散領域102の周囲には後述する第一高耐圧接合終端構造130より高い耐圧例えば1200Vの第二高耐圧接合終端構造130aが形成されている。第二高耐圧接合終端構造130aは薄い第五半導体領域となるn型拡散領域であるn
−拡散領域104と、浅いp型拡散領域であるp
−拡散領域117および第六半導体領域となるp
−拡散領域118と、p型バルク基板101によるダブルリサーフ構造により構成されている。
Pchレベルシフタ131は第二高耐圧接合終端構造130aと一体で形成されたPchの第一電界効果トランジスタQ1である。その構成要素は次のとおりである。Pchレベルシフタ131を構成する第一電界効果トランジスタQ1のドレインドリフト領域を構成し、n
−拡散領域104とn拡散領域102に跨って形成されるp
−拡散領域118を備えている。また、ドレインを構成しp
−拡散領域118の表面層に形成されるp
+拡散領域113、およびソースを構成しn拡散領域102の表面層に形成されるp
+拡散領域121を備えている。
【0028】
また、バックゲートのピックアップを構成しp
+拡散領域121と接してn拡散領域102のおもて面層に形成されるn
+拡散領域107を備える。また、ゲート酸化膜125、ゲート電極123を備える。
また、p型バルク基板101には、おもて面側からハイサイド回路領域135を構成する第二半導体領域となるn拡散領域103が形成されている。このn拡散領域103には、そのおもて面側にハイサイドゲート駆動回路137が形成されている。このハイサイドゲート駆動回路137は、基準電位である第二電位となるVS電位が与えられるVS端子にp
+拡散領域110および第四半導体領域となるp拡散領域112を介して接続されている。n拡散領域103はハイサイドゲート駆動回路137の電源端子である第四電位となるVB電位が与えられるVB端子にn
+拡散領域108を介して接続されている。VB端子とVS端子間にはVS電位である第二電位を基準とするハイサイドゲート駆動回路137の電源電圧である9V〜24Vが第一低電圧源となるブートストラップコンデンサ138から印加される。第二半導体領域となるn拡散領域103と半導体層となるp型バルク基板101の接合部103aには第二寄生ダイオード142が形成されている。
【0029】
ハイサイド回路領域135の周囲には第一高耐圧接合終端構造130が形成されており、ハイサイド回路領域135にはローサイド回路領域133の電位よりも1200V程度高い電圧を印加できる構成となっている。第一高耐圧接合終端構造130は薄いn型拡散領域であるn
−拡散領域105と、浅いp型拡散領域であるp
−拡散領域120、およびp型バルク基板101によるダブルリサーフ構造により構成されている。
Nchレベルシフタ132は第一高耐圧接合終端構造130と一体で形成されたNchの第二電界効果トランジスタQ2で構成されている。その構成要素は、耐圧構造とドレインドリフト領域を構成する深くて薄い第七半導体領域となるn型拡散領域であるn
−拡散領域106、第一高耐圧接合終端構造130を構成する浅い第八半導体領域となるp型拡散領域のp
−拡散領域119、ドレインを構成する浅くて濃いn型拡散領域のn
+拡散領域116、ソースを構成する浅くて濃いn型拡散領域のn
+拡散領域115、チャネルを構成する比較的浅くて濃いp型拡散領域のp拡散領域122、バックゲートのピックアップを構成する浅くて濃いp型拡散領域のp
+拡散領域114、ゲート酸化膜125、ゲート電極124である。
そして、p型バルク基板101がそのおもて面側に形成されたp
+拡散領域114およびアノード電極172を介してサージ電流阻止用の第一ダイオード128のアノードに接続され、この第一ダイオード128のカソードがグランド(GND)端子に接続されている。
【0030】
図3は,第一ダイオード128の要部断面図である。第一ダイオード128はp型バルク基板101に内蔵され、耐圧が1200V程度の横型の高耐圧ダイオードである。耐圧構造は、p型バルク基板101、p型バルク基板101の表面層に形成されるn
−拡散領域145、n
−拡散領域145の表面層に形成されるp
−拡散領域146によるダブルリサーフ構造である。第一ダイオード128のカソードの構成要素は、ドリフト領域となり、p型バルク基板101の表面層に形成され、n拡散領域144を取り囲むn
−拡散領域145と動作抵抗を下げるためのp型バルク基板101の表面層に形成されるn拡散領域144を備える。また、コンタクトをとるため、n拡散領域144の表面層に形成されるn
+拡散領域148およびカソード電極150を備える。また、アノードの構成要素は、ダブルリサーフ構造を構成するp
−拡散領域146、動作抵抗を下げるためのp拡散領域143を備える。また、コンタクトをとるためのp
+拡散領域153およびアノード電極149を備える。この第一ダイオード128の平面形状は、図示しないが、カソードの構成要素の周りをアノードの構成要素が取り囲む形状になっている。前記のアノード電極149は
図2のアノード電極172に層間絶縁膜上に形成した金属配線128aを介して接続し、カソード電極150(カソード端子jと兼用)はボンディングワイヤ128bを介してGND端子であるカソード電極173に接続する。このボンディングワイヤ128bは前記のp
+拡散領域153上を横切るがp
+拡散領域153とボンディングワイヤ128bの間の距離を十分離すことで、第一ダイオード128の耐圧を確保できる。
【0031】
このようにp型バルク基板101の表面層に第一ダイオード128を形成することで、ダブルリサーフ構造が採用できて容易に高耐圧化を図ることができる。また、前記したようにダイオードを外付けする必要がないため、外付けしたダイオードを有する半導体装置に比べて小型化できて、低コスト化を図ることができる。
なお、
図1では第一ダイオード128を2つ形成している。これは、第一ダイオード128を並列に接続してオン抵抗を低減することを目的としている。VS電位が急激に上昇するいわゆるdV/dtサージによる変位電流発生時に第一ダイオード128のオン抵抗によりp型バルク基板101のpsub電位が上昇すると、入力・制御回路136およびハイサイドゲート駆動回路137において誤動作が発生する恐れがあるためである。勿論、オン抵抗の小さいダイオードを1つ設けてもよい。
【0032】
図4は、この発明に係る半導体装置100を備えた駆動回路の回路図である。尚、図中の符号で、aはブートストラップコンデンサ138の高電位側の端子が接続されるVB端子、bはブートストラップコンデンサ138の低電位側の端子が接続されるVS端子、cはブートストラップダイオード129のアノードに接続する接続端子、dはON/OFF信号の入力端子、eはVCC端子、fはON/OFF信号の出力端子、gは電力変換用ブリッジ回路500の中間電位点に接続するVS端子、jはカソード端子、iはGND端子である。これらの各端子は半導体装置100の各端子である。微小黒丸は回路の接続点を示し、微小四角は各回路領域への接続を示す。
【0033】
VB端子a及びVS端子bがハイサイドゲート駆動回路137の入力端子に電源ラインを介して接続され、このハイサイドゲート駆動回路137の出力端子が出力端子f及びVS端子gに接続されている。ブートストラップコンデンサ138は、VS電位である第二電位を基準とし、これより9〜24V高いVB電位である第四電位となるよう充電される第一低電圧源である。
また、入力端子dが入力・制御回路136の入力端子に接続され、VCC端子eが入力・制御回路136の電源端子に接続されているとともに、接続端子cに接続されている。入力・制御回路136から出力される第一ゲート制御信号が第一レベルダウン回路139に入力され、第一レベルダウン回路139から出力される第二ゲート制御信号が第一レベルアップ回路140に入力される。この第一レベルアップ回路140から出力される第三ゲート制御信号がハイサイドゲート駆動回路137のセット端子に入力される。
【0034】
第一レベルダウン回路139は第一レベルシフト抵抗126とPchレベルシフタ131を構成する第一電界効果トランジスタQ1との直列回路で構成されている。第一レベルアップ回路140も同様に第二レベルシフト抵抗127とNchレベルシフタ132を構成する第二電界効果トランジスタQ2との直列回路で構成されている。第一レベルダウン回路139は、第一電界効果トランジスタQ1のゲートに入力・制御回路136から出力される第一ゲート制御信号が入力され、第一レベルシフト抵抗126及び第一電界効果トランジスタQ1の中間点から出力される第二ゲート制御信号が第一レベルアップ回路140のNchレベルシフタ132を構成する第二電界効果トランジスタQ2のゲートに入力される。第一レベルシフト抵抗126の第一電界効果トランジスタQ1とは反対側の端子が第一レベルアップ回路140の第二電界効果トランジスタQ2のソースに接続されているとともに、第一寄生ダイオード141及び第二寄生ダイオード142の接続点に接続されている。
【0035】
また、第一レベルアップ回路140の第二レベルシフト抵抗127の第二電界効果トランジスタQ2とは反対側の端子がVB端子aに接続され、第二レベルシフト抵抗127および第二電界効果トランジスタQ2の接続点から出力される第三ゲート制御信号がハイサイドゲート駆動回路137のセット端子に入力される。
さらに、第一ダイオード128のアノード電極149は金属配線128aでPsub端子hに接続され、Psub端子hは第一寄生ダイオード141及び第二寄生ダイオード142の接続点に接続されている。第一ダイオード128のカソード電極150(=カソード端子j)はボンディングワイヤ128bでグランド(GND)端子iに接続されている。
【0036】
このように、入力・制御回路136と第一レベルアップ回路140の間に、第一レベルダウン回路139が設けられている。この第一レベルダウン回路139を設けることで、VS端子を介してp型バルク基板101に負電圧サージが印加された場合でも、負電圧サージが印加されない通常動作時の場合でも、正常な信号を入力・制御回路136からPchレベルシフタ131を構成する第一電界効果トランジスタQ1を介してNchレベルシフタ132を構成する第二電界効果トランジスタQ2のゲートに伝達することができる。
尚、図示しないが、第一レベルダウン回路139の第一レベルシフト抵抗126をPsub側をアノードとするダイオードに置き換えることもできる。また、第一レベルアップ回路140と第一レベルダウン回路139とで第一レベルシフト回路が構成されている。
【0037】
また、p型バルク基板101の端子であるPsub端子hとGND端子iの間に、GND側をカソードとした第一ダイオード128が設けられている。この第一ダイオード128を設けることで、VS端子gに負電圧サージが印加された場合に、p型バルク基板101とGNDとの間のインピーダンスは、寄生ダイオード142のインピーダンスの10倍以上高くなる。これにより、GND端子iから第二寄生ダイオード142を通るサージ電流経路を通じてn拡散領域103に流れる負サージ電流を阻止することができる。負サージ電流が阻止されることで、ハイサイドゲート駆動回路137の誤動作が防止される。
【0038】
次に、ゲート制御信号の流れを
図2および
図4を用いて説明する。マイコン等からのGND電位基準のゲート制御信号はGND電位を基準に動作する入力・制御回路136に入力される。入力・制御回路136より出力されたGND電位基準のゲート制御信号は、第一レベルダウン回路139のPchレベルシフタ131を構成する第一電界効果トランジスタQ1のゲートに入力され、p型バルク基板101の浮遊電位であるPsub電位を基準としたゲート制御信号に変換される。Psub電位を基準電位としたゲート制御信号は、第一レベルアップ回路140のNchレベルシフタ132を構成する第二電界効果トランジスタQ2のゲートに入力され、VS電位である第二電位を基準としたゲート制御信号に変換される。第二電位を基準としたゲート制御信号は、ハイサイドゲート駆動回路137に伝達される。ハイサイドゲート駆動回路137は外部のハイサイド側パワーデバイス(IGBT)501を駆動するゲート制御信号を出力する。
【0039】
図1に示す2つのPchレベルシフタ131は、それぞれゲート制御信号をオンにするセット用とオフにするリセット用であり、ゲート制御信号のレベルが変化するときにのみ動作する。
これにより1つしか用いない場合よりもレベルシフタの消費電力を小さくできる。2つのNchレベルシフタ132の動作も同様である。なお、
図4ではPchレベルシフタ131、
Nchレベルシフタ132はセット用のみ図示してある。
つぎに、基板抵抗や主要拡散領域の濃度N
a、拡散深さXjについて説明する。p型バルク基板101は比抵抗300Ωcm〜500Ωcmである。第一半導体領域であるn拡散領域102、第二半導体領域であるn拡散領域103、n拡散領域144はNa=4×10
16/cm
3、Xj=12μmである。第五半導体領域であるn
−拡散領域104、n
−拡散領域105、第七半導体領域であるn
−拡散領域106、n
−拡散領域145はNa=7×10
15/cm
3、Xj=10μmである。p
−拡散領域117、第六半導体領域であるp
−拡散領域118、第八半導体領域であるp
−拡散領域119、p
−拡散領域120、p
−拡散領域146はNa=6×10
15/cm
3、Xj=2μmである。p
−拡散領域147はNa=4×10
15/cm
3、Xj=10μmである。高耐圧接合終端構造の幅は約200μmである。
【0040】
つぎに、負電圧サージが発生した時の挙動を
図2、
図4を用いて説明する。負電圧サージによりVS電位である第二電位、VB電位である第四電位がGND電位である第一電位よりも例えば200V低下すると、従来のHVIC200と同様に第二寄生ダイオード142が順バイアスとなってオン状態となる。一方、第一ダイオード128は負電圧サージ発生時には逆バイアスによりオフ状態になっている。GND端子iと第二寄生ダイオード142の間には、オフ状態の第一ダイオード128を通る経路しかないため、負電圧サージ発生時でも第二寄生ダイオード142には電流が流れない。そのため第二寄生ダイオード142を構成するp型バルク基板101とVB端子aの間には第二寄生ダイオード142の順方向電圧0.6V以上の電位差が生じない。負電圧サージ発生時にはPsub電位である第三電位はVS電位である第二電位、VB電位である第四電位に対して一定の電位差を持って追従し、第一電位よりも低下する。前述の通りローサイド回路領域133は耐圧が1200V程度の第二高耐圧接合終端構造130aにより囲まれているため、第三電位が第一電位よりも1200V程度低下しても、ローサイド回路領域133とp型バルク基板101の間の耐圧は保たれ、入力・制御回路136は第一電位を基準にして正常に動作することができる。また、耐圧が1200V程度のPchレベルシフタ131により、第三電位が第一電位より1200V程度低下した状態でも、ゲート制御信号はNchレベルシフタ132に正常に伝達される。
【0041】
上記の動作により、第1実施の形態の半導体装置100は、負電圧サージが1200V程度まで、ハイサイドゲート駆動回路137は誤動作せずに正常動作することができる。
この第1の実施形態によれば、負電圧サージ発生時でも第三電位と第四電位の間に第二寄生ダイオード142の順方向電圧0.6V以上の電位差が生じることを防止できるため、第二寄生ダイオード142を通るサージ電流経路からハイサイドゲート駆動回路137に流れ込むサージ電流を抑制できる。この効果により、負電圧サージによるハイサイドゲート駆動回路の誤動作を防止できる。
また、この半導体装置100において、第三電位は付加した第一ダイオード128を通して第一電位から第一ダイオード128の順方向電圧+0.6Vの間で固定されるために、常時、正常動作させることができる。
【0042】
また、この半導体装置100では、特許文献2,3のような負電圧電源は必要ないため、低コスト化を図ることができる。さらに、誘電体分離型や接合分離型のプロセスを用いず、自己分離型のプロセスを用いているため低コスト化が期待できる。
尚、第一レベルダウン回路139および第一レベルアップ回路140としては、Pchレベルシフタ131,Nchレベルシフタ132のドレイン(p
+拡散領域113,n
+拡散領域116)と第一レベルシフト抵抗126と第二レベルシフト抵抗127の間にカレントミラー回路を接続して第一レベルシフト抵抗126と第二レベルシフト抵抗127に電流を流す方法や、ドレインにpnpトランジスタまたはnpnトランジスタのベースを接続し、トランジスタを介して第一レベルシフト抵抗126と第二レベルシフト抵抗127に電流を流す方法などもある。
【0043】
次に、半導体装置100を接合分離型に構成した場合の変形例を
図5について説明する。
図5は、
図1の
II−
II線で切断した要部断面図である。
図5は、接合分離型の例である。
図2の自己分離型の例と異なり、p型バルク基板101の上にエピタキシャル成長により形成されたn
−エピタキシャル成長層104a,105a,106aを備える。また、ローサイド回路領域133下方のn
−エピタキシャル成長
層104aとp型バルク基板101との間に埋込領域102bが配置されている。また、ハイサイド回路領域135の下方の
エピタキシャル成長層105aとp型バルク基板101との間に埋込領域103bが配置されている。
エピタキシャル成長
層104aとエピタキシャル成長層105aおよびエピタキシャル成長
層106aとは拡散領域であるp拡散分離領域101aにより分離されている。p拡散分離領域101aの表面層にp
+拡散領域114が形成されている。その他の構成については、
図2と同様である。
【0044】
図6は、第一ダイオード128の要部断面図である。
図6は、接合分離型の例であり、
図5と同一半導体基板に集積される第一ダイオード128について示している。
図3の自己分離型の例と異なり、p型バルク基板101の上にエピタキシャル成長により形成されたn
−エピタキシャル成長
層145aを備える。その他の構成については、
図3と同様である。
このような、接合分離型の場合であっても前述した第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0045】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の一例である第2の実施形態について
図7及び
図8を伴って説明する。
図7は、この発明に係る半導体装置100a及び半導体装置100cの要部平面図である。
図8は、この発明に係る半導体装置100a及び半導体装置100cを備えた駆動回路の回路図である。
半導体装置100aは、
図1〜
図4に示した半導体装置100において第一ダイオード128を省略した点以外は半導体装置100と同様である。p型バルク基板101に第一ダイオード128を備えない代わりに外付けの第三ダイオード128cを半導体装置100aに外付けし半導体装置100cとしている。
第三ダイオード128cは、アノードをPsub端子hと接続し、カソードをGND端子iと接続する。また、第三ダイオード128cのカソードは直接基準電位(グランド(GND)電位)と接続することもできる。
【0046】
第三ダイオード128cとしては、高耐圧ダイオードを用いることができ、半導体基板の2つの主面間で電流を流す高耐圧ダイオードチップを用いることが望ましい。この高耐圧ダイオードチップを用いた場合、
図7に示すように、第三ダイオード128cを配線パターン171上に、配線パターン171と第三ダイオード128cの裏面側のカソード電極(図示せず)とが接合するように配置する。
そして、
図2で示すp
+拡散領域114と接続される電極をアノード電極172aとし、このアノード電極172aと高耐圧ダイオードチップのアノード電極128fとをボンディングワイヤ128dで接続する。また、
図2で示すp
+拡散領域109と接続されるGND端子をカソード電極173とし、このカソード電極173と配線パターン171とをボンディングワイヤ128eで接続する。高耐圧ダイオードチップのカソード電極は、半導体装置100aのGNDパッド電極に接続せず、別途グランド(GND)と接続することもできる。
この第2の実施形態においても第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0047】
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の一例である第3の実施形態について
図9を伴って説明する。
図9は、この発明に係る半導体装置300の要部平面図である。第1の実施形態で示した半導体装置100と同様に、ハイサイドゲート駆動回路137、2つのNchレベルシフタ132(セット信号用、リセット信号用)を含む第一レベルアップ回路140、入力・制御回路136、第一高耐圧接合終端構造130、第一ダイオード128を備えている。第1の実施形態における半導体装置100と異なるのは、第一ダイオード128とは別に、第一ダイオード128と同様の構造の第二ダイオード128jを備えている点である。
【0048】
第二ダイオード128jのアノード電極149bは金属配線128hでアノード電極172に接続し、第二ダイオード128jのカソード電極150bはボンディングワイヤ128iでVS端子g(カソード電極)に接続されている。
図10は、第3の実施形態に係る半導体装置300を備えた駆動回路の回路図である。尚、図中の符号で、kはカソード端子(カソード電極150b)である。
第1の実施形態で示した半導体装置100は、負電圧サージ発生時のサージ電流を抑え、ハイサイドゲート駆動回路137の誤作動を防止することはできるが、VB電位である第四電位がPsub電位である第三電位より低い期間は第一レベルアップ回路140が正常に動作しないため、ゲート制御信号をハイサイドゲート駆動回路137に伝達することができない。
【0049】
しかしながら、第3の実施形態による半導体装置300は、第二ダイオード128jによりVB電位である第四電位がPsub電位である第三電位より低下することを防止できるため、負電圧サージ発生時でも第一レベルアップ回路140が正常に動作し、ゲート制御信号をハイサイドゲート駆動回路137に伝達することができる。従って半導体装置300は、ハイサイドゲート駆動回路137の誤作動を防止することができるだけでなく、負電圧サージ発生時においても、マイコン等からのゲート制御信号をIGBT等のパワーデバイスに正常に伝達することができる。
なお、
図9では、第二ダイオード128jを2つ形成している。これは、2つの第二ダイオード128jを並列接続することにより、第二ダイオード128jのオン抵抗を低減するためである。勿論、オン抵抗の小さいダイオードを1つ設けてもよい。
【0050】
〔第4の実施形態〕
次に、この発明の第4の実施形態について
図11〜
図14を伴って説明する。
この第4の実施形態では、前述した第1の実施形態における第一ダイオード128の形成位置を変更したことを除いては第1の実施形態と同様の構成を有する。
この第4の実施形態では、第一ダイオード128が、ローサイド回路領域133を取り囲む第二高耐圧接合終端構造130aと一体に形成されている。
すなわち、第一ダイオード128は、第二高耐圧接合終端構造130aの第一レベルダウン回路139とはローサイド回路領域133を挟んで反対側のp
−拡散領域117に形成されている。
【0051】
図13は、第一ダイオード128の要部平面図である。第一ダイオード128は耐圧が1200V程度の横型の高耐圧ダイオードで、第二高耐圧接合終端構造130aと一体化されている。耐圧構造は、p型バルク基板101、p型バルク基板101の表面層に形成される第五半導体領域となるn
−拡散領域104、n
−拡散領域104の表面層に形成されるp
−拡散領域117によるダブルリサーフ構造である。
第一ダイオード128のカソードの構成要素は、ドリフト領域となり、p型バルク基板101の表面層に形成されるn
−拡散領域104を備える。また、コンタクトをとるため、n
−拡散領域104の表面層に形成されるn
+拡散領域148およびカソード電極150を備える。また、アノードの構成要素は、ダブルリサーフ構造を構成するp
−拡散領域117を備える。また、コンタクトをとるためのp
+拡散領域153およびアノード電極149を備える。
【0052】
第一ダイオード128のカソードを構成するn
−拡散領域104は、p
−拡散領域180により、第二高耐圧接合終端構造130aを構成するn
−拡散領域104と電気的に分離されている。この分離により、第一ダイオード128と第二高耐圧接合終端構造130aの間の電流リークが防止されている。
アノード電極149は
図12のアノード電極172に層間絶縁膜上に形成した金属配線128mを介して接続し、同様にカソード電極150はカソード電極173に接続する。
第一ダイオード128は第二高耐圧接合終端構造130aと一体で形成されているため、第一ダイオード128を第二高耐圧接合終端構造130aから独立して形成する場合よりも小型化できて、低コスト化を図ることができる。
【0053】
図14は、第4の実施形態に係る半導体装置100を備えた駆動回路の回路図である。この
図14は、前述した第1の実施形態における
図4において、第一ダイオード128のアノード電極が金属配線128mを介してアノード電極172に接続されている。また、カソード電極が直接グランド(GND)端子iに接続されたカソード電極173に接続されていることを除いては同一の構成を有する。なお、
図14において、微小黒丸は回路の接続点もしくは電極を示し、微小四角は各回路領域への接続を示す。
ゲート制御信号の流れを
図12および
図14を用いて説明する。マイコン等からのGND電位基準のゲート制御信号はGND電位である第一電位を基準に動作する入力・制御回路136に入力される。
入力・制御回路136より出力された第一電位基準のゲート制御信号は、第一レベルダウン回路139のPchレベルシフタ131を構成する第一電界効果トランジスタQ1のゲートに入力され、p型バルク基板101の浮遊電位である第三電位を基準としたゲート制御信号に変換される。
【0054】
第三電位を基準電位としたゲート制御信号は、第一レベルアップ回路140のNchレベルシフタ132を構成する第二電界効果トランジスタQ2のゲートに入力され、VS電位である第二電位を基準としたゲート制御信号に変換される。
第二電位を基準としたゲート制御信号は、ハイサイドゲート駆動回路137に伝達される。ハイサイドゲート駆動回路137は外部のハイサイド側パワーデバイス(IGBT)501を駆動するゲート制御信号を出力する。
2つのPchレベルシフタ131は、それぞれゲート制御信号をオンにするセット用とオフにするリセット用であり、ゲート制御信号のレベルが変化するときにのみ動作する。これにより1つしか用いない場合よりもレベルシフタの消費電力を小さくできる。2つのNchレベルシフタ132の動作も同様である。なお
図14ではPcnレベルシフタ131、Nchレベルシフタ132はセット用のみ図示してある。
【0055】
次に、基板抵抗や主要拡散領域の濃度N
a、拡散深さXjについて説明する。p型バルク基板101は比抵抗300Ωcm〜500Ωcmである。第一半導体領域となるn拡散領域102、第二半導体領域となるn拡散領域103、n拡散領域144はNa=4×10
16/cm
3、Xj=12μmである。第五半導体領域となるn
−拡散領域104、n
−拡散領域105、第七半導体領域となるn
−拡散領域106、n
−拡散領域145はNa=7×10
15/cm
3、Xj=10μmである。p
−拡散領域117、第六半導体領域となるp
−拡散領域118、第八半導体領域となるp
−拡散領域119、p
−拡散領域120、p
−拡散領域146はNa=6×10
15/cm
3、Xj=2μmである。p
−拡散領域147はNa=4×10
15/cm
3、Xj=10μmである。第二高耐圧接合終端構造130aの幅は約200μmである。p
−拡散領域180の幅は1μm〜7μm、濃度はNa=4×10
15/cm
3で、VB−Psub間に電圧が印加された際に、p
−拡散領域180が完全空乏化するように設計されている。
【0056】
次に、負電圧サージが発生した時の挙動を
図2、
図4を用いて説明する。負電圧サージによりVS電位である第二電位、VB電位である第四電位がGND電位である第一電位よりも例えば200V低下すると、従来のHVIC200と同様に第二寄生ダイオード142が順バイアス状態となる。
一方、第一ダイオード128は負電圧サージ発生時には逆バイアスによりオフ状態になっている。グランド(GND)端子iと第二寄生ダイオード142の間には、オフ状態の第一ダイオード128を通るサージ電流経路しかないため、負電圧サージ発生時でも第二寄生ダイオード142には電流が流れない。そのため第二寄生ダイオード142を構成するp型バルク基板101とVB端子aの間には第二寄生ダイオード142の順方向電圧0.6V以上の電位差が生じない。
【0057】
負電圧サージ発生時にはPsub電位はVS電位、VB電位に対して一定の電位差を持って追従し、GND電位よりも低下する。前述の通りローサイド回路領域133は耐圧が1200V程度の第二高耐圧接合終端構造130aにより囲まれている。このため、Psub電位である第三電位がGND電位である第一電位よりも1200V程度低下しても、ローサイド回路領域133とp型バルク基板101の間の耐圧は保たれ、入力・制御回路136はGND電位を基準にして正常に動作することができる。
また、耐圧が1200V程度のPchレベルシフタ131を構成する第一電界効果トランジスタQ1により、第三電位が第一電位より1200V程度低下した状態でも、ゲート制御信号はNchレベルシフタを構成する第二電界効果トランジスタQ2に正常に伝達される。
【0058】
上記の動作により、第4実施例の半導体装置100は、負電圧サージが1200V程度まで、ハイサイドゲート駆動回路137は誤動作せずに正常動作することができる。
この発明によれば、負電圧サージ発生時でも第三電位と第四電位の間に0.6V以上の電位差が生じることを防止できるため、第二寄生ダイオード142を通るサージ電流経路からハイサイドゲート駆動回路137に流れ込むサージ電流を抑制できる。この効果により、負電圧サージによるハイサイドゲート駆動回路137の誤動作を防止できる。
また、この半導体装置100において、第三電位は付加した第一ダイオード128を通して第一電位から+0.6Vの間で固定されるために、常時、正常動作させることができる。
【0059】
また、この半導体装置100では、特許文献2,3のような負電圧電源は必要ないため、低コスト化を図ることができる。さらに、誘電体分離型や接合分離型のプロセスを用いず、自己分離型のプロセスを用いているため低コスト化が期待できる。
尚、第一レベルダウン回路139および第一レベルアップ回路140としては、Pchレベルシフタ131,Nchレベルシフタ132のドレイン(p
+拡散領域113,n
+拡散領域116)と第一レベルシフト抵抗126と第二レベルシフト抵抗127の間にカレントミラー回路を接続して第一レベルシフト抵抗126と第二レベルシフト抵抗127に電流を流す方法や、ドレインにpnpトランジスタまたはnpnトランジスタのベースを接続し、トランジスタを介して第一レベルシフト抵抗126と第二レベルシフト抵抗127に電流を流す方法などもある。
【0060】
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について
図15〜
図18を伴って説明する。
図15は、この発明に係る半導体装置100aの要部平面図、
図16は半導体装置100aの要部断面図、
図17は半導体装置100aを備えた駆動回路の回路図である。
この第5の実施形態では、前述した第3の実施形態と同様に、第一ダイオード128とは別に、第一ダイオード128と同様の構造の第二ダイオード128nを備えている。
この第二ダイオード128nは、
図15および
図16に示すように、ハイサイド回路領域135を取り囲む第一高耐圧接合終端構造130と一体に形成されている。
すなわち、第二ダイオード128nは、第一高耐圧接合終端構造130における第一レベルアップ回路140とはハイサイド回路領域135を挟んで反対側に形成されている。この第二ダイオード128nの要部は、
図16に示すように、前述した第4の実施形態の
図13の構成を180度回転させた構成とされている。
【0061】
つまり、第二ダイオード128nは耐圧が1200V程度の横型の高耐圧ダイオードで、第一高耐圧接合終端構造130と一体化されている。耐圧構造は、p型バルク基板101、p型バルク基板101の表面層に形成されるn
−拡散領域105、n
−拡散領域105の表面層に形成されるp
−拡散領域120によるダブルリサーフ構造である。
第二ダイオード128nのカソードの構成要素は、ドリフト領域となり、p型バルク基板101の表面層に形成されるn
−拡散領域105を備えている。また、コンタクトをとるため、n
−拡散領域105の表面層に形成されるn
+拡散領域148nおよびカソード電極150nを備える。また、アノードの構成要素は、ダブルリサーフ構造を構成するp
−拡散領域120を備える。また、コンタクトをとるためのp
+拡散領域153nおよびアノード電極149nを備える。
【0062】
第二ダイオード128nのカソードを構成するn
−拡散領域105は、p
−拡散領域180nにより、第一高耐圧接合終端構造130を構成するn
−拡散領域105と電気的に分離されている。この分離により、第二ダイオード128nと第一高耐圧接合終端構造130の間の電流リークが防止されている。
アノード電極149nはアノード電極172に接続し、第二ダイオード128nのカソード電極150nはVS端子181に接続されている。
前述した第4の実施形態で示した半導体装置100は、負電圧サージ発生時のサージ電流を抑え、ハイサイドゲート駆動回路137の誤作動を防止することはできるが、VB電位がPsub電位より低い期間は第一レベルアップ回路140が正常に動作しないため、ゲート制御信号をハイサイドゲート駆動回路137に伝達することができない。
【0063】
しかしながら、第5の実施形態における半導体装置100aは、第二ダイオード128nによりVB電位である第四電位がPsub電位である第三電位より低下することを防止できる。このため、負電圧サージ発生時でも第一レベルアップ回路140が正常に動作し 、ゲート制御信号をハイサイドゲート駆動回路137に伝達することができる。従って半導体装置100aは、ハイサイドゲート駆動回路137の誤作動を防止することができるだけでなく、負電圧サージ発生時においても、マイコン等からのゲート制御信号をIGBT等のハイサイド側パワーデバイス501に正常に伝達することができる。
【0064】
〔第6の実施形態〕
次に、本発明に係る第6の実施形態について
図19を伴って説明する。
この第6の実施形態では、前述した第1の実施形態における第一レベルダウン回路139を省略するようにしたものである。
すなわち、第6の実施形態では、
図19に示すように、第1の実施形態における
図4の構成において、第一レベルダウン回路139が省略され、これに代えてゲート抵抗201が適用されている。ゲート抵抗201は一端が入力・制御回路136のゲート制御信号出力端子204に接続され、他端が第一レベルアップ回路140のNchレベルシフタ132を構成する第二電界効果トランジスタQ2のゲートに接続されている。
【0065】
また、第二電界効果トランジスタQ2のゲートおよびソース間にゲート保護ダイオード202が接続されている。さらに、入力・制御回路136のゲート制御信号出力端子204とゲート抵抗201との接続点に、アノードがグランド(GND)端子iに接続された保護ダイオード203のカソードが接続されている。
この第6の実施形態の動作を説明する。負電圧サージが発生していない時、入力信号に応じてゲート制御信号出力端子204から出力されたゲート駆動信号は、ゲート抵抗201及び第一レベルアップ回路140を介してハイサイドゲート駆動回路137に伝達され、ハイサイド側パワーデバイス501のゲートが駆動される。
【0066】
VS端子に負電圧サージが発生した時、p
+拡散領域114の電位はVS端子の電位に一定の電圧差を持って追従する。これはp
+拡散領域114が、第二寄生ダイオード142、ブートストラップコンデンサ138を介してVS端子と接続されているためである。
この時、P
+拡散領域114とGND間に接続された第一ダイオード128は逆バイアス状態となるため、第二寄生ダイオード142には回路誤動作の原因となるサージ電流が流れず、負電圧サージによる回路誤動作が防止される。
また、P
+拡散領域114に接続された高耐圧のNc
hレベルシフタ132には負電圧サージにより大きな負電圧が印加されるが、ゲート保護ダイオード202によりゲートおよびソース間に高電圧がかかることが防止される。
また、保護ダイオード203によりゲート制御信号出力端子204に大きな負電圧が印加されることが防止される。ゲート制御信号出力端子204と、高耐圧のNchレベルシフタ132を構成する第二電界効果トランジスタQ2のゲートの間には負電圧サージにより大きな電位差が生じるが、ゲート抵抗201により大電流が流れることが防止される。
【0067】
〔第7の実施形態〕
次に、本発明の第7の実施形態について
図20を伴って説明する。
この第7の実施形態は、ハイサイド回路領域135にゲート駆動回路を搭載せず、異常検出回路137bのみを搭載した場合に適用した一例を示している。
すなわち、第7の実施形態では、
図20に示すように、ハイサイド回路領域135にゲート駆動回路を搭載せず
、ハイサイド回路領域135には、例えばハイサイド側パワーデバイス501の過電流を検出するための異常検出回路137bが形成されている。この異常検出回路137bには、ハイサイド側パワーデバイス501に流れる電流を検出するシャント抵抗503の端子電圧が電流検出値として電流検出端子kおよびVS端子gを介して入力されている。シャント抵抗503は、ハイサイド側パワーデバイス501とVS端子gと
の間に配置されている。
【0068】
異常検出回路137bは、電流検出端子kおよびVS端子gから入力されるシャント抵抗503の端子電圧でなる電流検出値がハイサイド側パワーデバイス501の許容電流値以内であるときには正常と判断し、電流検出値がハイサイド側パワーデバイス501の許容電流値を超えている場合に過電流異常と判断し、異常信号出力端子137b1から第一異常検出信号を出力する。
そして、異常検出回路137bは、第二レベルダウン回路139bと第二レベルアップ回路140bを介して、ローサイド回路領域133となる出力・制御回路136bに接続されている。
【0069】
第二レベルダウン回路139bは、VB端子aと異常検出回路137bのVB入力端子との間に接続されたPchレベルシフタ131bと第一レベルシフト抵抗126bとの直列回路で構成されている。Pchレベルシフタ131bは第二高耐圧接合終端構造130bと一体で形成された第一電界効果トランジスタQ1bで構成されている。第一電界効果トランジスタQ1bのゲートには異常検出回路137bの異常信号出力端子137b1から出力される第一異常検出信号が入力されている。第一レベルシフト抵抗126bの第一電界効果トランジスタQ1bとは反対側の接続端は第1の実施形態と同様の第一寄生ダイオード141、第二寄生ダイオード142および第一ダイオード128の接続点に接続されている。そして、第一電界効果トランジスタQ1bのドレインと第一レベルシフト抵抗126bとの接続点からレベルダウンされた第二異常検出信号が出力される。
【0070】
第二レベルアップ回路140bは、Nchレベルシフタ132bと第二レベルシフト抵抗127bとの直列回路で構成されている。Nchレベルシフタ132bは、第一高耐圧接合終端構造130に一体で形成されたNchの第二電界効果トランジスタQ2
bで構成されている。
この第二電界効果トランジスタQ2bのソースが第二レベルダウン回路139bと第一寄生ダイオード141及び第二寄生ダイオードの接続点との間に接続されている。第二レベルシフト抵抗127bの第二電界効果トランジスタQ2bとは反対側の接続端がVCC端子eに接続されているとともに、接続端子cに接続されている。
第二電界効果トランジスタQ2bのゲートに第二レベルダウン回路139bから出力される第二異常検出信号が入力され、この第二電界効果トランジスタQ2bと第二レベルシフト抵抗127bとの接続点からレベルアップされた第三異常検出信号が出力される。
この第三異常検出信号は、出力・制御回路136bに入力され、この出力・制御回路136bから異常検出信号が信号出力端子d1を介して外部の制御装置に出力される。
【0071】
次に、上記第7の実施形態の動作を説明する。異常検出回路137bはシャント抵抗503の両端電圧を常時モニタしており、ハイサイド側パワーデバイス501に過電流が流れると、シャント抵抗503の両端電圧上昇によりこれを検出する。すると、第二レベルダウン回路139b、第二レベルアップ回路140bを介して出力・制御回路136bに異常検出信号が伝達され、出力・制御回路136bから異常検出信号が出力される。
VS端子に負電圧サージが発生した時には、第1の実施形態と同様に第一ダイオード128によりグランド(GND)端子iから負サージ電流が異常検出回路137bに流れることが防止され、異常検出回路137bの誤動作が防止される。なお、本実施形態では、過電流の検出について説明したが、これに限るものではなく、ブートストラップコンデンサ138の電圧低下や上アーム側のパワーデバイス501の過熱など他の異常検出を行う異常検出回路にも適用できる。
【0072】
〔第8の実施形態〕
次に、本発明の一例を示す第8の実施形態について
図21を伴って説明する。
この第8の実施形態では、第7の実施形態における第二レベルアップ回路を省略するようにしたものである。
すなわち、第8の実施形態では、
図21に示すように、第二レベルダウン回路139bから出力されるレベルダウンされた第二異常検出信号が高耐圧抵抗301を介して出力・制御回路136bに第三異常検出信号として入力されている。
第二レベルダウン回路139bを構成する高耐圧のPchレベルシフタ131bを構成するPchの第一電界効果トランジスタQ1bのゲートは異常検出回路137bの異常信号出力端子137b1と接続されている。高耐圧の第一電界効果トランジスタQ1bのゲート・ソース間には、耐圧が約25Vのゲート保護ダイオード302が接続されている。異常信号入力端子204bとGND端子iとの間には、耐圧約25Vの保護ダイオード303が接続されている。
【0073】
次に、第8の実施形態の動作を説明する。負電圧サージが発生していない時には、異常検出回路137bの異常検出に応じて異常信号出力端子137b1から出力された第一異常検出信号は、第二レベルダウン回路139bでレベルダウンされ、レベルダウンされた第二異常検出信号が高耐圧抵抗301を介して出力・制御回路136bに伝達され、出力・制御回路136bから異常検出信号が出力される。
これに対して、VS端子に負電圧サージが発生した時には、p型バルク基板101がそのおもて面側に形成されたp
+拡散領域114の電位はVS端子の電位に一定の電圧差を持って追従する。これはP
+拡散領域114が、第二寄生ダイオード142、ブートストラップコンデンサ138を介してVS端子と接続されているためである。この時、P
+拡散領域114とGND端子i間に接続された第一ダイオード128は逆バイアス状態となるため、第二寄生ダイオード142には回路誤動作の原因となるサージ電流が流れず、ハイサイド回路領域135に形成された異常検出回路137bの負電圧サージによる回路誤動作が防止される。
【0074】
また、P
+拡散領域114に接続された高耐圧のPchレベルシフタ131bを構成する第一電界効果トランジスタQ1bには負電圧サージにより大きな負電圧が印加されるが、ゲート保護ダイオード302によりゲート・ソース間に高電圧がかかることが防止される。また、保護ダイオード303により異常信号入力端子204bに大きな負電圧が印加されることが防止される。異常信号入力端子204bと、高耐圧のNchレベルシフタ131bを構成する第二電界効果トランジスタQ2bのドレインの間には負電圧サージにより大きな電位差が生じるが、高耐圧抵抗301により大電流が流れることが防止される。
【0075】
〔第9の実施形態〕
次に、本発明の一例である第9の実施形態について
図22を伴って説明する。
この第9の実施形態は、前述した第1の実施形態と第7の実施形態とを組み合わせたものである。
すなわち、第9の実施形態では、
図22に示すように、ハイサイド回路領域135を構成する第二半導体領域となるn拡散領域103に第1の実施形態のハイサイドゲート駆動回路137と第8の実施形態の異常検出回路137bと合わせた構成を有する複合回路137cが形成されている。また、ローサイド回路領域133を構成する第一半導体領域となるn拡散領域102に入出力・制御回路136cが形成されている。
そして、入出力・制御回路136cのゲート
制御信号出力端子から出力される第一ゲート制御信号が第一レベルダウン回路139及び第一レベルアップ回路140を介して複合回路137cのセット端子137c1に入力される。
【0076】
一方、複合回路137cの異常信号出力端子137c2から出力される第一異常検出信号が第二レベルダウン回路139b及び第二レベルアップ回路140bを介して第三異常検出信号として入出力・制御回路136cの異常信号入力端子204bに入力されている。
さらに、第二レベルダウン回路139bおよび第一レベルアップ回路140と第二レベルアップ回路140bおよび第一レベルダウン回路139と第一寄生ダイオード141および第二寄生ダイオード142の接続点とグランド(GND)端子iとの間に第一ダイオード128が接続されている。
この第9の実施形態でも、VS端子に負電圧サージが発生した時には、第1の実施形態及び第7の実施形態と同様に第一ダイオード128によりサージ電流が複合回路137cに流れることが防止され、複合回路137cの誤動作が防止される。
【0077】
〔第10の実施形態〕
次に、本発明の一例である第10の実施形態について
図23を伴って説明する。
この第10の実施形態は、上述した第6の実施形態及び第8の実施形態を組み合わせたものである。
すなわち、第10の実施形態では、
図23に示すように、ハイサイド回路領域135を構成する第二半導体領域となるn拡散領域103に第1の実施形態のハイサイドゲート駆動回路137と第8の実施形態の異常検出回路137bと合わせた構成を有する複合回路137cが形成されている。また、ローサイド回路領域133を構成する第一半導体領域となるn拡散領域102に入出力・制御回路136cが形成されている。
そして、入出力・制御回路136cのゲート制御信号出力端子204から出力される第一ゲート制御信号がゲート抵抗201および第一レベルアップ回路140を介して複合回路137cのセット端子137c1に入力される。
【0078】
一方、複合回路137cの異常信号出力端子137c2から出力される第一異常検出信号が第二レベルダウン回路139bおよび高耐圧抵抗301を介して第三異常検出信号として入出力・制御回路136cの異常信号入力端子204bに入力されている。
さらに、第二レベルダウン回路139bおよび第一レベルアップ回路140と第一寄生ダイオード141および第二寄生ダイオード142との接続点とグランド(GND)端子iとの間に第一ダイオード128が接続されている。
また、グランド(GND)端子iとゲート抵抗201および高耐圧抵抗301の入出力・制御回路136c側との間に個別に保護ダイオード203および303が接続されている。
【0079】
さらに、第二レベルダウン回路139bおよび第一レベルアップ回路140の第一ダイオード128との接続点とゲート抵抗201およびNchレベルシフタ132bを構成する第二電界効果トランジスタQ2bのゲートとの接続点との間にゲート保護ダイオード202が接続されている。また、第二レベルダウン回路139bのPchレベルシフタ131bを構成する第一電界効果トランジスタQ1bのゲートおよびソース間にゲート保護ダイオード302が接続されている。さらに、グランド(GND)端子iと入出力・制御回路136cの異常信号入力端子204bとの間に保護ダイオード303が接続されている。
この第10の実施形態でもVS端子に負電圧サージが発生した時に、第6の実施形態および第8の実施形態と同様に第一ダイオード128によりサージ電流が複合回路137cに流れることが防止され、複合回路137cを構成するハイサイドゲート駆動回路および異常検出回路の誤動作が防止される。
【0080】
〔第11の実施形態〕
次に、本発明の一例を示す第11の実施形態について
図25および
図26を用いて説明する。
この第11の実施形態では、第一ダイオードの形成位置を変更したものである。
すなわち、第11の実施形態では、
図25および
図26に示すように、第1の実施形態におけるアノード電極172への接続されたp型バルク基板101のおもて面側に形成された第一ダイオード128を省略し、これに代えて、p型バルク基板101の裏面側に第一ダイオード128を形成している。
この第一ダイオード128の形成は、p型バルク基板101の裏面側にn型層401を形成し、p型バルク基板101をアノードとし、n型層401をカソードとする第一ダイオード128を形成している。そして、n型層401がグランド(GND)に接続されている。
【0081】
この第11の実施形態でもVS端子に負電圧サージが発生した時に、第1の実施形態と同様に第一ダイオード128によりサージ電流がハイサイドゲート駆動回路137に流れることが防止され、ハイサイドゲート駆動回路137の誤動作が防止される。
しかも、第一ダイオード128が半導体層となるp型バルク基板101の裏面側に形成されているので、半導体装置100の厚みが多少増加するが平面から見たp型バルク基板101の面積を第1の実施形態に比較して縮小することができ、半導体装置100を小型化することができる。
【0082】
なお、第1〜第11の実施形態において、負電圧サージの電圧が1200Vよりも小さい場合、小さい分だけ第二高耐圧接合終端構造130aおよびPchレベルシフタ131の面積を小さくすることができる。また、第二高耐圧接合終端構造130aは、負電圧サージの電圧が低い場合には必ずしも必要としない。第二高耐圧接合終端構造130aを形成しない場合、Pchレベルシフタ131のドレイン領域はローサイド回路領域内に形成することができる。
また、第1〜第11の実施の形態において、第一高耐圧接合終端構
造130の耐圧は、1200Vの場合について説明したが、高電圧電源が200Vの場合は、600V程度以上であればよく、高電圧電源が100Vの場合は、400V程度以上であればよい。