【実施例】
【0043】
(実施例1)
まず、TiC(3μm、高純度化学)、Ti(35μm、高純度化学)、Si(5μm、No.600、山石金属)、Al(30μm、高純度化学)の混合粉末(TiC:Ti:Si:Al=2:1:1.2:0.3、モル比)をAr気流中、1200℃で焼成し、Al
2O
3乳鉢で解砕して、混合粉末(TSC粉末)を得た。
【0044】
XRD(X−ray diffraction)で、得られた粉末はTi
3SiC
2単一相であることを確認した。なお、AlはTi、Si、TiCよりも酸化しやすく、Ti、Si、TiCの酸化を防ぐために添加した。
【0045】
次に、50重量部の混合粉末(TSC粉末)を、50重量部のTiC、Ti、Siからなる別の混合粉末(TiC:Ti:Si=2:1:1.2、モル比:以下、SP粉末という。)と、均一混合した。Ar気流中、1400℃で、無加圧焼成(無加圧加熱)し、Al
2O
3乳鉢で解砕して、実施例1の第1の粉末(大径Ti
3SiC
2層状粒子を含む粉体)が得られた。
【0046】
得られた粉末について、XRD、電子顕微鏡観察を行った。
XRDの結果から、得られた粉末は、Ti
3SiC
2単一相であることを確認した。
図7は、実施例1の第1の粉末(大径Ti
3SiC
2層状粒子)の電子顕微鏡写真(二次電子像)である。層状に著しく成長した大径Ti
3SiC
2層状粒子を観察できた。
【0047】
電子顕微鏡観察結果から、500個の粒子の長軸と短軸の長さを測定し、その平均を粒子径と定義した。
次に、前記粒子の半径Rを用いて、V=(4πR
3)/3から、500個の粒子それぞれの体積(容量)V
nを(n=1〜500、自然数)算出した。
次に、500個の粒子の体積の合計V
SUMを算出した。
次に、500個の粒子それぞれについて、(V
n/V
SUM)(%)を算出した。
次に、xとして粒子径R、yとして累積体積分布(V
n/V
SUM)(%)(0〜100%)として、xyプロットして、容量の累積分布曲線を作成した。
次に、容量の累積分布曲線から、累積体積分布(V
n/V
SUM)(%)=90%のときの粒子径を90%累積径(D90%)とし、累積体積分布(V
n/V
SUM)(%)=50%のときの粒子径を50%累積径(D50%)とし、累積体積分布(V
n/V
SUM)(%)=10%のときの粒子径を10%累積径(D10%)として算出した。
【0048】
表1に、実施例1の第1の粉末(大径Ti
3Si
1−xC
2層状粒子を含む粉体)の実験条件、実験結果(粒度分布)を記載した。なお、実施例2〜6及び比較例1〜5についても合わせて記載している。
【0049】
【表1】
【0050】
次に、5モル%水酸化ナトリウム水溶液、500mLに0.5gの層状に成長したTi
3SiC
2粉末を添加し、6時間撹拌した。12時間放置した後、蒸留水で洗浄、をpH7になるまで繰り返した。その後、超音波照射を累計で6時間行った。
その後、乾燥して、実施例1の第2の粉末(大径Ti
3Si
1−xC
2ナノシートを含む粉体)が得られた。
【0051】
次に、乾燥後の実施例1の第2の粉末(大径Ti
3Si
1−xC
2ナノシートを含む粉体)を電子顕微鏡観察した。
図8は、実施例1の第2の粉末(大径Ti
3Si
1−xC
2ナノシートを含む粉体)の電子顕微鏡写真である。実施例1の粉末はナノシートの凝集物であった。厚さ約100〜130nmのナノシートを確認できた。
【0052】
次に、乾燥後の実施例1の第2の粉末(大径Ti
3Si
1−xC
2ナノシートを含む粉体)を超音波分散したコロイド溶液を用いて、透過型電子顕微鏡観察を行った。平面視最大径dxが150nm超の均一な大径Ti
3Si
1−xC
2ナノシートを多く観察できた。平面視径が1μm以上の大きさのナノシートも観測できた。
図9は、実施例1の第2の粉末(大径Ti
3Si
1−xC
2ナノシートを含む粉体)の透過型電子顕微鏡写真である。層状に著しく成長し、平面視径が1μm以上の大きさのナノシートを観測できている。
【0053】
図10は、実施例1の第2の粉末(大径Ti
3Si
1−xC
2ナノシートを含む粉体)の電子線回折分析結果であり、
図11は、実施例1の第2の粉末(大径Ti
3Si
1−xC
2ナノシートを含む粉体)のXRDパターンである。表2は、実施例1の第2の粉末(大径Ti
3Si
1−xC
2ナノシートを含む粉体)の化学分析の定量分析結果である。Ti
3Si
0.8C
2に相当する。これらの結果から、実施例1の第2の粉末に含まれるナノシートがTi
3Si
1−XC
2からなることを確認した。
【0054】
【表2】
【0055】
(実施例2)
焼成温度を1350℃とした他は実施例1と同様にして、実施例2の第1の粉末(大径Ti
3SiC
2層状粒子を含む粉体)を得た。
【0056】
XRDで、得られた粉末は、Ti
3SiC
2単一相であることを確認した。また、電子顕微鏡により、層状に成長した粒子であることを確認した。
実施例1と同様にして、容量の累積分布曲線を作成し、90%累積径(D90%)、50%累積径(D50%)、10%累積径(D10%)を算出した。
【0057】
(実施例3)
焼成温度を1300℃とした他は実施例1と同様にして、実施例3の第1の粉末(大径Ti
3SiC
2層状粒子を含む粉体)を得た。
【0058】
XRDで、得られた粉末は、Ti
3SiC
2単一相であることを確認した。また、電子顕微鏡により、層状に成長した粒子であることを確認した。
実施例1と同様にして、90%累積径(D90%)、50%累積径(D50%)、10%累積径(D10%)を算出した。結果を表1に示した。
【0059】
(実施例4)
60重量部の混合粉末(TSC粉末)と40重量部のSP粉末を用い、焼成温度を1300℃とした他は実施例1と同様にして、実施例4の第1の粉末(大径Ti
3SiC
2層状粒子を含む粉体)を得た。
XRDで、得られた粉末は、Ti
3SiC
2単一相であることを確認した。
図12は、実施例4の第1の粉末(大径Ti
3SiC
2層状粒子を含む粉体)の電子顕微鏡写真(二次電子像)である。層状に成長した粒子であることを確認した。
実施例1と同様にして、90%累積径(D90%)、50%累積径(D50%)、10%累積径(D10%)を算出した。
【0060】
(実施例5)
70重量部の混合粉末(TSC粉末)と30重量部のSP粉末を用い、焼成温度を1300℃とした他は実施例1と同様にして、実施例5の第1の粉末(大径Ti
3SiC
2層状粒子を含む粉体)を得た。
XRDで、得られた粉末は、Ti
3SiC
2単一相であることを確認した。
実施例1と同様にして、90%累積径(D90%)、50%累積径(D50%)、10%累積径(D10%)を算出した。
【0061】
(実施例6)
90重量部の混合粉末(TSC粉末)と10重量部のSP粉末を用い、焼成温度を1300℃とした他は実施例1と同様にして、実施例6の第1の粉末(大径Ti
3SiC
2層状粒子を含む粉体)を得た。
XRDで、得られた粉末は、Ti
3SiC
2単一相であることを確認した。
実施例1と同様にして、90%累積径(D90%)、50%累積径(D50%)、10%累積径(D10%)を算出した。
【0062】
(比較例1)
TiC(3μm、高純度化学)、Ti(35μm、高純度化学)、Si(5μm、山石金属)、Al(38μm、高純度化学)の混合粉末(TiC:Ti:Si:Al=2:1:1.2:0.3、モル比)をAr気流中、1200℃で焼成し、Al
2O
3乳鉢で解砕して、比較例1の第1の粉末(Ti
3SiC
2粉末)を得た。
これは、公知の方法で作製した粉末である。
【0063】
XRDで、得られた粉末は、Ti
3SiC
2単一相であることを確認した。
図13は、比較例1の第1の粉末の電子顕微鏡写真(二次電子像)である。
実施例1と同様にして、90%累積径(D90%)、50%累積径(D50%)、10%累積径(D10%)を算出した。
【0064】
5モル%水酸化ナトリウム水溶液、500mLに0.5gの比較例1の第1の粉末(Ti
3SiC
2粉末)を添加し、6時間撹拌してから、12時間放置した。
次に、超音波照射を45分行い、蒸留水で洗浄することをpH7になるまで繰り返した。
その後、乾燥して、比較例1の第2の粉末が得られた。
乾燥後の粉末を用いて、透過型電子顕微鏡観察を行った。
図14は、比較例1の第2の粉末の透過型電子顕微鏡写真である。
また、得られた粉末は、電子線回折分析からTiCであることを確認した。
【0065】
(比較例2)
比較例1における焼成温度を1300℃とした以外は、比較例1と同様に作製した。これは公知の方法で作製した粉末である。比較例1で得た粉末に比べて、わずかに大径化しているが、十分ではない。さらに、比較例1で得た粉末に比べて、固結凝集が進行し、解砕が比較的困難であった。
【0066】
(比較例3)
比較例1における焼成温度を1400℃とした以外は、比較例1と同様に作製した。これは公知の方法で作製した粉末である。比較例1で得た粉末に比べて、わずかに大径化しているが、十分ではない。さらに、比較例1で得た粉末に比べて、固結凝集が進行し、解砕が困難であった。
【0067】
(比較例4)
焼成温度を1200℃とした他は実施例1と同様にして、比較例4の第1の粉末を得た。
XRDで、得られた粉末は、Ti
3SiC
2単一相であることを確認した。
実施例1と同様にして、90%累積径(D90%)、50%累積径(D50%)、10%累積径(D10%)を算出した。
【0068】
(比較例5)
95重量部の混合粉末(TSC粉末)と5重量部のSP粉末を用い、焼成温度を1300℃とした他は実施例1と同様にして、比較例5の第1の粉末(大径Ti
3SiC
2層状粒子を含む粉体)を得た。
XRDで、得られた粉末は、Ti
3SiC
2単一相であることを確認した。
実施例1と同様にして、90%累積径(D90%)、50%累積径(D50%)、10%累積径(D10%)を算出した。