特許第5988045号(P5988045)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988045
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】光コネクタプラグ
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   G02B6/36
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-169543(P2013-169543)
(22)【出願日】2013年8月19日
(65)【公開番号】特開2015-38556(P2015-38556A)
(43)【公開日】2015年2月26日
【審査請求日】2015年8月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243342
【氏名又は名称】本多通信工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】特許業務法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉崎 毅
【審査官】 奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−013606(JP,A)
【文献】 特開2002−156557(JP,A)
【文献】 特開2001−083364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/24
G02B 6/255−6/27
G02B 6/30− 6/34
G02B 6/36− 6/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LC形アダプタに嵌合されるものであって、
嵌合時に前記アダプタの開口部の縁部に突起部が当接することで該突起部を外周部に一体に形成しているフロントハウジングが後方移動せしめられ、それにより前記フロントハウジングを移動自在に内側で支持するプラグフレームに内包されたフェルールの先端部が前記フロントハウジングの開口部から外部に突出する光コネクタプラグにおいて、
嵌合相手方のアダプタの開口部における横幅のうちの上部の狭い横幅の開口部に嵌合してガイドされるとともに、前記フロントハウジングの上部で当該フロントハウジング用のスプリングを収納する空間部を有して設けられたガイド部と、
前記狭い横幅の開口部の縁部に前記フロントハウジングの突起部が当接するように、前記ガイド部の前後方向の略中央部における側壁面に設けられた突起部と、を有してなること、
を特徴とする光コネクタプラグ。
【請求項2】
嵌合相手方のアダプタの開口部における横幅のうち、下部の広い横幅の開口部に摺接するフロントハウジングの側壁は、当該フロントハウジングの内部から外部へ光が漏出しない不透光の側壁であること、
を特徴とする請求項1に記載の光コネクタプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバケーブルの接続用端部に使用される光コネクタプラグに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光コネクタプラグとして主に、LC形の開口部を有するアダプタに嵌合されるLC形プラグは、特許文献1に記載されている様に、フェルールと該フェルールを前方に付勢する弾性部材を内包する筒状のプラグフレームと、当該プラグフレームの外側に摺接自在に囲繞される筒状のフロント(可動)ハウジングと、該フロント(可動)ハウジングの内壁に一端部が固定され前記フェルールの前位置で遮光する湾曲した遮光プレートと、前記プラグフレームの後方から嵌合される係止ハウジングと、からなるLC形プラグが知られている。
【0003】
前記LC形プラグにより、LC形アダプタと未接続時には、前記遮光プレートがフェルールからのレーザーを遮断して目等を保護し、接続時には前記フロントハウジングによって前記遮光プレートが湾曲状態から直線状態に延ばされて、フェルールが後方に移動されたフロントハウジングの開口端部から突出し、当該プラグ側のフェルールと接続相方のアダプタにおけるフェルールとが接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−13606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の光コネクタプラグ15においては、遮光プレートはフロントハウジングの後方への移動によって直線状に延びて開かれ、このフロントハウジングは、接続相方のLC形アダプタの開口部と接触して、挿入方向と反対方向に後退せしめられる。
【0006】
このフロントハウジングの側壁面には、突起が設けられて、前記LC形アダプタの開口部に接触して後方に押される様になっているが、その突起の高さ寸法は、図9−A、図9−Bに示すように、現存するあらゆるLC形アダプタの、開口部形状に合わせて設定する必要があり、その条件に適切に設定することが困難となっている。
【0007】
また、図9−Bに示すように、フック形成のためにニゲが必要となって開口部の一部における横幅寸法が大きくなるアダプタもある。このようなアダプタの開口形状の相違によって、LC形プラグの挿抜力にバラツキが出てしまうと言う課題がある。
【0008】
更に、フロントハウジングの側壁に設ける突起には、嵌合時に内側へ待避させる際のバネ性を付与するために、スリット穴が必要となって、この穴があることで、外部への漏れ光が生じ遮蔽性能の低下、また、防塵性能の低下が課題となる。本発明に係る光コネクタプラグは、このような課題を解決するために提案されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る光コネクタプラグの上記課題を解決して目的を達成するための要旨は、LC形アダプタに嵌合されるものであって、
嵌合時に前記アダプタの開口部の縁部に突起部が当接することで該突起部を外周部に一体に形成しているフロントハウジングが後方移動せしめられ、それにより前記フロントハウジングを移動自在に内側で支持するプラグフレームに内包されたフェルールの先端部が前記フロントハウジングの開口部から外部に突出する光コネクタプラグにおいて、
嵌合相手方のアダプタの開口部における横幅のうちの上部の狭い横幅の開口部に嵌合してガイドされるとともに、前記フロントハウジングの上部で当該フロントハウジング用のスプリングを収納する空間部を有して設けられたガイド部と、前記狭い横幅の開口部の縁部に前記フロントハウジングの突起部が当接するように、前記ガイド部の前後方向の略中央部における側壁面に設けられた突起部と、を有してなることである。
【0010】
また、嵌合相手方のアダプタの開口部における横幅のうち、下部の広い横幅の開口部に摺接するフロントハウジングの側壁は、当該フロントハウジングの内部から外部へ光が漏出しない不透光の側壁であることを含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光コネクタプラグによれば、フロントハウジングの後退用の突起を、嵌合相手のアダプタの開口部の形状の相違に影響の無い場所に移して設けたので、突起寸法の設定が容易になるとともに、前記フロントハウジングの側壁面を不透光の側壁にしたので、漏れ光の発生が防止でき、防塵性が向上する、と言う優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る光コネクタプラグ1の、未接続状態の斜視図(A)、接続時の遮光壁開状態の斜視図(B)である。
図2】同本発明の光コネクタプラグ1の、未接続時の正面図(A)、平面図(B)、側面図(C)、背面図(D)、底面図(E)、側面視した断面図(F)である。
図3】同本発明の光コネクタプラグ1の、接続時の正面図(A)、平面図(B)、側面図(C)、背面図(D)、底面図(E)、側面視した断面図(F)である。
図4-A】同本発明の光コネクタプラグ1の、フロントハウジング2の前方から見た斜視図(A)、下方から見た斜視図(B)、後方から見た斜視図(C)である。
図4-B】同本発明の光コネクタプラグ1の、フロントハウジング2の正面図(A)、上から見た平断面図(B)、背面図(C)、側面から見た縦断面図(D)である。
図5】同本発明の光コネクタプラグ1の、プラグフレーム3の前方から見た斜視図(A)、後方から見た斜視図(B)、側面から見た縦断面図(C)、正面図(D)、背面図(E)、底面から見た縦断面図(F)である。
図6】光コネクタプラグ1における係止用ハウジング5の、前方から見た斜視図(A)、後方から見た斜視図(B)、正面図(C)、背面図(D)、側縦断面図(E)である。
図7】同本発明に係る光コネクタプラグ1における、シャッター6の斜視図(A)、同正面図(B)、側面図(C)、スプリング7の側面図(D)、スプリング8の側面図(E)、カシメリング9aの斜視図(F)である。
図8】従来例に係る光コネクタプラグ15の、未接続状体の斜視図(A)、接続状態の斜視図(B)である。
図9-A】パネル固定用の係止片が上下に設けられたLC形アダプタ11の開口部の形状を示す、平面図(A)、正面図(B)、側面視した半断面図(C)、背面図(D)である。
図9-B】パネル固定用の係止片が左右に設けられたLC形アダプタ13の開口部の形状を示す、平面図(A)、正面図(B)、側面視した半断面図(C)、背面図(D)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る光コネクタプラグ1は、図1に示すように、嵌合相手のアダプタ11,13(図9−A、図9−Bを参照)によって後方へ移動するフロントハウジング2の突起2aを、前記アダプタ11,13の開口部12,14における狭小幅の開口部12a,14aに対して当接する様に設けたものである。
【実施例1】
【0014】
本発明に係る光コネクタプラグ1は、主にLC形の開口部を有するアダプタ若しくは光製品等に嵌合される、例えば、シャッター付きLC形プラグなどのLC形プラグである。該光コネクタプラグ1は、図9−A、図9−Bにおいて示すパネル等に固定されるLC形アダプタ11,13に嵌合されるものであって、嵌合時に前記LC形アダプタ11,13の開口部12,14の縁部に、図1(A)に示すフロントハウジング2の突起部2aが当接することで、該突起部2aを外周部に一体に形成している前後方向に移動自在な筒状のフロントハウジング2が後方移動せしめられる。
【0015】
それにより、図1(B)と図3に示すように、前記フロントハウジング2を移動自在に内側で支持するプラグフレーム3に内包されたフェルール4の先端部が、前記フロントハウジング2の開口部2bから外部に突出するものである。
【0016】
以下、光コネクタプラグ1として、シャッター付きLC形プラグを代表させてその各部品の構成について説明する。前記フロントハウジング2は、図4−A、図4−Bに示すように、全体が四角形状で筒状の合成樹脂製ハウジングであり、側壁2cには嵌合時において後退する位置決めとなる位置決め突起2eが下部に設けられている。
【0017】
また、フロントハウジング2の上部には、前記LC形アダプタ11,13(図9−A、図9−Bを参照)の開口部12,14における狭小幅の開口部12a,14aに嵌合してガイドされるガイド部2gが設けられ、その内部には、スプリング8収納用の空間部2fが形成されている。
【0018】
更に、前記ガイド部2gの前後方向の略中央部に、嵌合相手のLC形アダプタ11,13(図9−A、図9−Bを参照)によって後方へ移動するために係合する突起部2aが設けられている。これに伴い、側壁2cにおいては、突起などが無くなりバネ性を付与するために必要だった開口部も無くなって、不透光の側壁となっている。その結果、フロントハウジング2内部の空間より漏れ光が発生せず、防塵性も向上するものとなる。
【0019】
前記プラグフレーム3は、図5(A)〜(F)に示すように、全体が四角形状で筒状の合成樹脂製フレームであり、当該筒体の内部空間には、図2(F)に示すように、フェルール4支持部を突き当てて抜け出ないように支持するための、仕切り壁としての係合部3aが形成されている。
【0020】
また、後方の側壁には、前記プラグフレーム3と一体的に合体される係止用ハウジング5における、係合用ロック片5aを係止する係止孔3bが、筒体内部に貫通して穿設されている。
【0021】
前記係止用ハウジング5は、図6(A)〜(E)に示すように、嵌合相手のLC形アダプタ11,13に嵌合・装着させ、この光コネクタプラグ1を接続してロックするためのものである。
【0022】
前記係止用ハウジング5の筒体における前方側の側壁には、図6(A)に示すように、前記プラグフレーム3の係合孔3bに係合するロック片5aが設けられている。これにより、前記プラグフレーム3がこの係止用ハウジング5に接続固定され、前記ロック片5aによって前方への抜け止めとなる。
【0023】
また、図6(A),(B),(E)に示すように、この係止用ハウジング5の上部には、嵌合相手のLC形アダプタにおける係合孔に係合する係止片5bが設けられ、その基部には、ツマミ部5dが形成されている。このツマミ部5dは弾性片であり、これを押し下げて前記係止片5bの係合を解除するものである。
【0024】
前記係止用ハウジング5の中央部の筒体には、図6(E)に示すように、その上部にスプリング用収納孔5cが設けられている。更に、その下部の周囲には、フロントハウジング2収納用の収納孔5eが形成されている。この中央部の筒体の両側壁前端部に、図2図3図6(A)に示すように、前後に移動するフロントハウジング2の前方への抜け止め作用する係止片5fが形成されている。
【0025】
図7(A)〜(C)に、シャッター6の形状を示す。また、図7(D)にフェルール4を前方に付勢するスプリング7の側面図、同図(E)にフロントハウジング2を前方に付勢するスプリング8の側面図、同図(F)にカシメリング9aの斜視図をそれぞれ示す。
【0026】
このようにして形成される光コネクタプラグ1において、前記フロントハウジング2の突起部2aを設ける場所が、嵌合相手方のLC形アダプタ11,13の開口部12,14における横幅のうち、上部の狭い横幅の開口部12a,14aに当接するように、前記フロントハウジング2の上部に設けた前記LC形アダプタ11,13の狭い横幅の開口部12a,14aに摺接する側壁面2dとなっている。
【0027】
嵌合相手方のLC形アダプタ11,13の開口部12,14における横幅のうち、下部の広い横幅の開口部12b,14bに当接するフロントハウジング2の側壁2cには、当該フロントハウジング2を嵌合時に後退させる突起部を設けないとともに該フロントハウジング2内部から外部へ光が漏れないように、開口部を設けていない不透光の側壁となっている。
【0028】
このような構成により、嵌合相手のアダプタ11,13の狭い横幅(3.4mm)の開口部12a,14aによって、確実にフロントハウジング2が後方に移動されるとともに、開口部の形状が変化しないので突起2aの設定が容易である。更に、突起2aの高さに変化が無いので、挿抜力のバラツキが無くなる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る光コネクタプラグ1は、既存のLC形アダプタ及びLCの開口部形状を持った光製品(光トランシーバ等)に対して適用することができるものである。
【符号の説明】
【0030】
1 光コネクタプラグ、
2 フロントハウジング、 2a 突起部、
2b 開口部、 2c 側壁、
2d 側壁面、 2e 位置決め突起、
2f スプリング収納用空間部、 2g ガイド部、
3 プラグフレーム、 3a 係合部、
3b 係止孔、
4 フェルール、
5 係止用ハウジング、 5a ロック片、
5b アダプタ用係止片、
5c スプリング用収納孔、 5d ツマミ部、
5e フロントハウジング用収納孔、
5f フロントハウジング用係止片、
6 シャッター、
7 スプリング(フェルール4用)、
8 スプリング(フロントハウジング2用)、
9 ブーツ、 9a カシメリング、
11 LC形アダプタ、
12 開口部、
12a 狭い横幅の開口部、
12b 広い横幅の開口部、
13 LC形アダプタ、
14 開口部、 14a 狭い横幅の開口部、
14b 広い横幅の開口部、
15 従来例に係る光コネクタプラグ。
図1
図2
図3
図4-A】
図4-B】
図5
図6
図7
図8
図9-A】
図9-B】