特許第5988096号(P5988096)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988096
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ラッチ装置のハンドル取付け構造
(51)【国際特許分類】
   E05B 3/04 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   E05B3/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-223902(P2012-223902)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-77232(P2014-77232A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】598063683
【氏名又は名称】株式会社 ユーシン・ショウワ
(74)【代理人】
【識別番号】100076196
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 寛治
(72)【発明者】
【氏名】山本 哲也
(72)【発明者】
【氏名】樫山 顕
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公開第726195(GB,A)
【文献】 特開平8−189231(JP,A)
【文献】 特開平11−82434(JP,A)
【文献】 特公昭36−2606(JP,B1)
【文献】 特公昭27−2715(JP,B1)
【文献】 実開昭58−11058(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 1/00− 85/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばね勢力で突出してドアの閉状態を保持するラッチと、このラッチを後退させてドアの開放を許容するラッチレバーの角孔に挿通する角形断面のハンドル軸と、前記ハンドル軸に固着して前記ラッチレバーを連動するレバーハンドルとを有するラッチ装置のハンドル取付け構造において、
前記レバーハンドルには、前記ハンドル軸の側方部を嵌入させる角形孔を形成すると共に、前記角形孔の角部を通してハンドル外周囲と前記角形孔とを連通させたねじ孔を設け、
前記ハンドル軸には、角部を切り欠いて前記ねじ孔に対向させる係止面を形成し、
さらに、前記ハンドル軸の係止面に配列する一対の係止体と、
前記ねじ孔からねじ込んで前記一対の係止体を離す方向に押動する止めねじとを設けて構成したことを特徴とするラッチ装置のハンドル取付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載したハンドル取付け構造において、
前記ハンドル軸の係止面は、前記止めねじのねじ込み方向に対し直交する切り欠き面となっていることを特徴とするラッチ装置のハンドル取付け構造。
【請求項3】
請求項1に記載したハンドル取付け構造において、
前記一対の係止体は、各々が円形断面に形成した同形状の棒状のものであることを特徴とするラッチ装置のハンドル取付け構造。
【請求項4】
請求項1に記載したハンドル取付け構造において、
前記止めねじは、先端部を略45度の角度で登り勾配とした円錐形の突形部としたことを特徴とするラッチ装置のハンドル取付け構造。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドアに備えられるラッチ装置のハンドル取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図10は、図示矢印方向に開く外開きドア11に備えられた従来のラッチ装置の一例を示す部分断面図である。
図示する如く、このラッチ装置は、開閉可能なドア11の開放端側に埋設されたラッチユニット12を備え、このラッチユニット12からラッチ13がばね勢力で突出し、ドア枠14に設けられたラッチ凹溝15に突入してドアの閉状態を保持している。
そして、ドア外側のレバーハンドル16またはドア内側のレバーハンドル17を人手によって回動操作(図10において紙面に対し垂直方向操作)することで、ラッチ13がばね勢力に抗して後退し、ラッチ凹溝15から脱出するため、ドア11がドア外側に開放可能となる。
【0003】
上記のラッチユニット12には、ドア内外に貫通させた角形断面(本例では正方形断面)のハンドル軸18が備えられており、このハンドル軸18がラッチユニット12に設けられているラッチレバー(図示省略)の角孔(本例では正方形孔)を挿通している。
ラッチレバーは、ラッチ13を進退させるように連動するレバーで、このラッチレバーには、ラッチ13を常時突出させる作用のばね部材が設けられている。
【0004】
また、上記したハンドル軸18は、その一端側部18aにレバーハンドル16を予め固着した後、ドア11の外側からラッチユニット12を挿通させ、その他端側部18bをドア11の内側に突出させる構成としてあり、その他端側部18bには、図11図13に示す取付け構造にしたがってレバーハンドル17が取付けられている。
【0005】
具体的には、ドア内側のレバーハンドル17には、ハンドル軸18の他端側部18bを嵌入させる角形孔(本例では正方形孔)17aが設けられ、また、外周囲から角形孔17aに連通させたねじ孔17bが形成されている。
また、ハンドル軸18の他端側部18bには、一角部を切り欠いて形成した係止面18cが設けられている。
したがって、ハンドル軸18の他端側部18bをレバーハンドル17の角形孔17aに差し入れた後、ねじ孔17bからねじ込んだ止めねじ19を上記の係止面18cに当接させて係止し、レバーハンドル17の抜け止めを図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平7−21762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来のラッチ装置の場合、レバーハンドル16または17を回動操作してラッチ13を後退させドア11を開放するため、ラッチ13の突出ばね勢力に抗してレバーハンドル16または17を回動操作する関係で、これらレバーハンドルには比較的に大きな力が加わり、一方、回動操作したレバーハンドル16または17から人手を離すと、これらハンドルがばね勢力で復動するため、レバーハンドル16または17には復動による衝撃力が加わる。
このことから、従来のラッチ装置が備えるハンドル取付け構造では、特に、ドア内側のレバーハンドル17の取付けが長期使用等によって緩んだり、レバーハンドル17がハンドル軸18から抜け出てしまう場合があった。
【0008】
また、従来例のラッチ装置が備える上記のハンドル取付け構造は、レバーハンドル17の取付けを確実にするため、六角孔の締め付け部を有する止めねじ19を用意し、六角レンチを使って強固にねじ締めしている。
しかしながら、レバーハンドル17の取付けに緩みが生じた場合に、六角レンチを使って止めねじ19を締め込むことになるが、六角レンチが普及していないため、直ちにその修繕ができないと言う問題がある。
本発明は上記した実情にかんがみ、レバーハンドルの取付けにほとんど緩み(機械的ガタ)が生じないラッチ装置のハンドル取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明は、ばね勢力で突出してドアの閉状態を保持するラッチと、このラッチを後退させてドアの開放を許容するラッチレバーの角孔に挿通する角形断面のハンドル軸と、前記ハンドル軸に固着して前記ラッチレバーを連動するレバーハンドルとを有するラッチ装置のハンドル取付け構造において、前記レバーハンドルには、前記ハンドル軸の側方部を嵌入させる角形孔を形成すると共に、前記角形孔の角部を通してハンドル外周囲と前記角形孔とを連通させたねじ孔を設け、前記ハンドル軸には、角部を切り欠いて前記ねじ孔に対向させる係止面を形成し、さらに、前記ハンドル軸の係止面に配列する一対の係止体と、前記ねじ孔からねじ込んで前記一対の係止体を離す方向に押動する止めねじとを設けて構成したことを特徴とするラッチ装置のハンドル取付け構造を提案する。
【0010】
また、前記したハンドル軸の係止面は、前記止めねじのねじ込み方向に対し直交する切り欠き面とすることが好ましい。
さらに、前記一対の係止体は、各々が円形断面に形成された同形状の棒状のものとすることが好ましい。
さらに、前記した止めねじは、先端部を略45度の角度で登り勾配とした円錐形の突形部とするこが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、一対の係止体がハンドル軸の係止面に配列してあるから、止めねじをレバーハンドルのねじ孔からねじ込んで侵入させることで、この止めねじによって一対の係止体が離れる方向に押動される。
この結果、各係止体がレバーハンドルに設けた角形孔の孔壁に押し付けられるため、各係止体に対して角形孔の孔壁の反力と止めねじの反力とが作用するようになる。
【0012】
この結果、係止体が角形孔の孔壁の反力と止めねじの反力との総和にしたがって係止面を係止するから、係止体による係止力が略2倍となる。
言い換えれば、本発明によれば、止めねじのみで係止面を係止する従来の取付け構造に比べ略2倍の係止力で係止することができるハンドル取付け構造となる。
逆に言えば、ハンドル軸から係止体を介して止めねじにかかる力は従来の取付け構造に比べ略1/2となり、ラッチ装置を長期使用してもレバーハンドルの取付けにはほとんど緩みが発生しない。
【0013】
上記のように、レバーハンドルが確実に取付けできるので、レバーハンドルのねじ孔には十字ドライバーでねじ込み可能な止めねじをねじ込み、レバーハンドルをハンドル軸に固着することもできる。
このように構成すれば、レバーハンドルの取付けが、仮に、緩んだ場合には、広く普及している十字ドライバーを使用して止めねじのねじ込みが可能になるから、容易に修繕することがでる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態であるハンドル取付け構造を備えたラッチ装置の部分断面図である。
図2】本実施形態のハンドル取付け構造を示す分解斜視図である。
図3】本実施形態のハンドル取付け構造を示す断面図である。
図4】止めねじをねじ込む前の状態を示す図3上のB−B線断面図である。
図5】止めねじをねじ込んだ後の状態を示す図3上のB−B線断面図である。
図6】本実施形態に係るハンドル取付け構造の係止力を説明するための説明図である。
図7】止めねじに作用する垂直方向の力のつり合いを説明するための説明図である。
図8】係止体に作用する止めねじからの反力、レバーハンドルの角形孔からの反力、ハンドル軸の係止面からの反力をそれぞれ示した説明図である。
図9】係止体に作用する垂直方向の力のつり合いを説明するための説明図である。
図10】従来のラッチ装置が備えるハンドル取付け構造を示した部分断面図である。
図11】従来のラッチ装置が備えるハンドル取付け構造の分解斜視図である。
図12】従来のラッチ装置が備えるハンドル取付け構造を示した断面図である。
図13図12上のA−A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明の一実地形態について図面に沿って説明する。
図1は本発明の一実施形態であるハンドル取付け構造を備えるラッチ装置の部分断面図である。
なお、本実施形態は、ドア内側のレバーハンドルの取付け構造以外は図10に示した従来例のラッチ装置と同じ構成であるから、同じ部所や部材については同符号を付して説明を省略する。
【0016】
図示する如く、本実施形態では、棒状の2本の係止体20a、20bをハンドル軸18の係止面18cに配列してあり、これら係止体20a、20bが止めねじ21によって押動されることで生じる係止力によってレバーハンドル17をハンドル軸18に固着させる構成のハンドル取付け構造としたことに特徴がある。
【0017】
係止体20a、20bは、図2より分かる通り、係止体それぞれが円形断面のもので、ハンドル軸18の係止面18cの長さLに比べ短い長さの棒状体として形成してある。
これら係止体20a、20bは、ハンドル軸18の他端側部18bをレバーハンドル17の角形孔17aに嵌入させる前に、ハンドル軸18の係止面18cの面上に適当な間隔で配列する。
【0018】
そして、ハンドル軸18の他端側部18bをレバーハンドル17の角形孔17aに差し入れた後、図3図5に示すように、レバーハンドル17のねじ孔17bから止めねじ21をねじ込み、レバーハンドル17をハンドル軸18に固着する。
なお、図3は、ハンドル取付け構造を示す断面図、図4は、止めねじをねじ込む前の状態を示す図3上のB−B線断面図、図5は、止めねじをねじ込んだ後の状態を示す図3上のB−B線断面図である。
【0019】
また、本実施形態では、ハンドル軸18の係止面18cが、止めねじ21のねじ込み方向に対し直交する切り欠き面となるように形成してある。
さらに、十字ドライバーでねじ込むことができる止めねじ21が使用してあり、また、この止めねじ21は、先端が略45度の角度で登り勾配となった円錐形突部として形成してある。
【0020】
上記のように取り付けたレバーハンドル17は、長期に使用しても緩み(機械的ガタ)がほとんど発生しない。
すなわち、止めねじ21をねじ込むことにより、この止めねじ21の先端部によって押動された係止体20a、20bが互いに離れる方向に移動する。(図5参照)
この結果、係止体20a、20bの各々が角形孔17aの孔壁に圧接するため、これら係止体20a、20bが孔壁から反力を受けるようになる。
【0021】
したがって、各係止体20a、20bが、止めねじ21の反力の他に孔壁の反力を受けるため、これら反力の総和の係止力が係止面18cに加わるため、従来例のように、止めねじ19のみの係止力に比べ略2倍の係止力となる。
この結果、本実施形態によれば、レバーハンドル17が上記係止力で取付けられる。
逆に言えば、ハンドル軸18から係止体20a、20bを介して止めねじ21にかかる力が従来の取付け構造に比べ略1/2となるので、緩み(機械的ガタ)の生じないハンドル取付け構造となる。
【0022】
また、仮に、レバーハンドル17の取付けに緩みが発生した場合には、十字ドライバーを使って止めねじ21を締め直すことができる。
十字ドライバーは広く普及しているので、速やかに緩みの修繕が可能になる。
【0023】
図6図9は、上記した各係止体20a、20bの係止力を説明するための説明図である。
なお、以下の説明では、止めねじ21とねじ孔17bの間に作用する摩擦力や係止体20a、20b、角形孔17a、係止面18cおよび止めねじ21との間の摩擦力は無視できるものとして説明する。
【0024】
図6に示すように、止めねじ21を十字ドライバーでねじ込んだとき、止めねじ21には十字ドライバーから受ける力F、係止体20a、20bからそれぞれ受ける反力が作用する。
ここで、反力は未知の力であるから、反力Tと仮定する。
【0025】
図7に示すように、止めねじ21に作用する水平方向の力のつり合いを考えると、Tcos45°=Tcos45°となる。
また、図7に示すように、止めねじ21にかかる垂直方向の力のつり合いを考えると、Tsin45°+Tsin45°=Fとなるため、T=(√2/2)・Fとなる。
【0026】
次ぎに、図8に示すように、係止体20a、20bにそれぞれ作用する力を考えると、係止体20aには、止めねじ21から反力T、レバーハンドル17の角形孔17aから反力T、ハンドル軸18の係止面18cから反力fをそれぞれ受ける。
図9に示すように、係止体20aに作用する水平方向の力のつり合いを考えると、Tcos45°=Tcos45°となる。
また、図9に示すように、係止体20aに係る垂直方向の力のつり合いを考えると、Tsin45°+Tsin45°=fとなるため、f=(2/√2)・Tとなる。
【0027】
さらに、上記したf=(2/√2)・Tの力は、係止体20aにかかる力であるから、ハンドル軸18の係止面18cには図示点線で示す係止力fが作用する。
したがって、f=(2/√2)×(√2/2)・F=Fとなり、係止体20aが係止面18cから受ける反力f、すなわち、係止体20aが係止面18cを押圧する力Fとなる。
係止体20bについても同様に、係止体20bが係止面18cを押圧する力がFとなるので、係止体20aと20bとが係止面18cを押圧する力の合計が2Fとなる。
つまり、止めねじ21の締め付け力Fに対し、係止体20a、20bが合わさり2Fの力でハンドル軸18を係止することになる。
【0028】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は錠前付きのラッチ装置のハンドル取付け構造としても同様に実施することができる。
なお、上記した実施形態では、十字ドライバーを使用してねじ込む止めねじ21を用いたが、六角レンチでねじ込む止めねじを用いることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
ドアのラッチ装置に備えるレバーハンドルの取付け構造として適用することができる。
【符号の説明】
【0030】
11 ドア
12 ラッチユニット
13 ラッチ
16 ドア外側のレバーハンドル
17 ドア内側のレバーハンドル
17a 角形孔
17b ねじ孔
18 ハンドル軸
18c 係止面
20a、20b 係止体
21 止めねじ








図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13