(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988109
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】車椅子
(51)【国際特許分類】
A61G 5/10 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
A61G5/10 703
A61G5/10 710
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-98097(P2014-98097)
(22)【出願日】2014年4月18日
(65)【公開番号】特開2015-205145(P2015-205145A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2014年7月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】304056419
【氏名又は名称】株式会社 ケイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100070057
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 眞治
(74)【代理人】
【識別番号】100158713
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 眞紀子
(72)【発明者】
【氏名】北島 伸高
(72)【発明者】
【氏名】成田 友則
【審査官】
宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−268868(JP,A)
【文献】
実開平06−020178(JP,U)
【文献】
特開2005−013331(JP,A)
【文献】
特開2011−41650(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G5/02 − A61G5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左側と右側とに間隔をおいた2本の垂直方向の背もたれパイプと座席部と4個の車輪とからなる車椅子において、背もたれパイプに、背もたれパイプの周囲に沿ってそれぞれ上下方向に移動自在にするとともに水平方向に回転自在である着脱自在の第1止め部材を、設け、該第1止め部材の側面に対して、水平方向の前端部に垂直方向の折り曲げ部を有するベルト用パイプを、前後方向に取り付けるための構造を有し、該ベルト用パイプの相対向する左側のベルト用パイプの折り曲げ部と右側のベルト用パイプの折り曲げ部とに身体支持ベルトをそれぞれ一本ずつそれぞれ取り付けてなる車椅子であって、該第1止め部材の側面に対して、該ベルト用パイプを取り付けるための構造として、第1止め部材の側面に設けられた、中央部には片側に突出した回転用固定軸を有する止め板と、該回転用固定軸の先端部に止着する、ベルト用パイプを所定方向に回転自在でありかつ前後方向に移動自在となるよう取り付けられる、第2止め部材とを有することを特徴とする車椅子。
【請求項2】
第1止め部材が、半円形の孔を有する一方の背もたれパイプの止め部材と、半円形の孔を有する他方の背もたれパイプの止め部材とを、相対向して設けるものであり、該第1止め部材である2個の半円形の孔からなる円形孔の双方の止め部材、および止め板に、それぞれ同じ位置に、止め具用孔を設けて、該止め具用孔に着脱自在の止め具を挿通して着脱自在に止着してなる請求項1に記載の車椅子。
【請求項3】
第1止め部材が、2本の背もたれパイプの上下方向に所定の間隔をおいてそれぞれ3個ずつ着脱自在に止める部材である請求項1または2に記載の車椅子。
【請求項4】
身体支持ベルトが、ベルト用パイプの折り曲げ部に、ベルトの一方の片面に着脱自在の一方の止めテープを設けるとともにベルトの他方の片面に着脱自在の他方の止めテープを設けて、着脱自在に止める身体支持ベルトである請求項1〜3のいずれか一項に記載の車椅子。
【請求項5】
身体支持ベルトが、ベルト用パイプの折り曲げ部に、身体支持ベルト端部に有する長さ調節止め具を設けて、着脱自在に止める身体支持ベルトである請求項1〜4のいずれか一項に記載の車椅子。
【請求項6】
第2止め部材が、上下方向の一方を前後方向に第1すり割り溝を設けるとともに上下方向の他方を左右方向に第2すり割り溝を設けて、それぞれの割り溝の方向と直交する方向の上部と下部の回転用止め具でそれぞれ着脱自在に止める第2止め部材で止着してなる請求項1〜5のいずれか一項に記載の車椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車椅子の背もたれパイプにベルト用パイプを介してベルトを取り付けた車椅子に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、車椅子の背もたれパイプに乳母車と同様にシートを設けた車椅子がある。
【0003】
従来のこの車椅子は、左右両側で垂直方向の背もたれパイプと背もたれパイプとに、1枚の丈夫なシートを取り付けていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この従来の車椅子は、車椅子の後方で左右両側に背もたれパイプと背もたれパイプとに、丈夫な
背もたれベルトを直接に取り付けたものであるために、1枚の丈夫なシートの横方向の長さ・横幅を利用者の身体の横幅に合わせて所定の身体の横幅に変更できないという問題点があった。
このために、利用者の横幅
、体形に適合した車椅子の背もたれ部の横幅などを変更できる車椅子の出現が要望されている。
特に、身体
障害者の湾曲した体形に合わせた
シートベルトを有する車椅子の出現が要望されている。
【0005】
この発明は、従来の車椅子が有するこの問題点を解消することであるとと
もにこの利用者の要望に応じることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
背もたれパイプに、背もたれパイプの周囲に沿ってそれぞれ上下方向に移動自在にするとともに水平方向に回転自在である着脱自在の第1止め
部材を、設け、この第1止め
部材の側面に
対して、水平方向の前端部
に垂直方向
の折り曲げ部を有するベルト用パイプを、前後方向に取り付け
るための構造を有し、このベルト用パイプの相対向する左側のベルト用パイプの折り曲げ部と右側のベルト用パイプの折り曲げ部とに身体支持ベルトをそれぞれ一本ずつそれぞれ取り付けてなる車椅子
であって、該第1止め部材の側面に対して、該ベルト用パイプを取り付けるための構造として、第1止め部材の側面に設けられた、中央部には片側に突出した回転用固定軸を有する止め板と、該回転用固定軸の先端部に止着する、ベルト用パイプを所定方向に回転自在でありかつ前後方向に移動自在となるよう取り付けられる、第2止め部材とを有するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明の車椅子は、背もたれパイプに、背もたれパイプの周囲に沿ってそれぞれ上下方向に移動自在にするとともに水平方向に回転自在である着脱自在の第1止め
部材を、設け、この第1止め
部材の側面に
対して、水平方向の前端部
に垂直方向
の折り曲げ部を有するベルト用パイプを、前後方向に取り付け
るための構造を有し、このベルト用パイプの相対向する左側のベルト用パイプの折り曲げ部と右側のベルト用パイプの折り曲げ部とに身体支持ベルトをそれぞれ一本ずつそれぞれ取り付けてなる車椅子
であって、該第1止め部材の側面に対して、該ベルト用パイプを取り付けるための構造として、第1止め部材の側面に設けられた、中央部には片側に突出した回転用固定軸を有する止め板と、該回転用固定軸の先端部に止着する、ベルト用パイプを所定方向に回転自在でありかつ前後方向に移動自在となるよう取り付けられる、第2止め部材とを有するから、ベルト用パイプを左側の背もたれパイプより右側及び左側へと回転するこ
とができるとともにベルト用パイプを右側の背もたれパイプより左側及び右側へと回転するこ
とができるために、やや
大きく回転することにより小学生のように身体の横幅の小さい体形の利用者に合致して使い易くすることができるし、同様に回転する角度をやや小さく回転することにより中学生、高校生のように身体のやや大きい体形の利用者に合致して使い易くすることができる。
そして、背もたれパイプと背もたれパイプと間隔と同じ横幅に回転して止着することにより通常の大人の横幅にすることができるし
、同様にして太った大人の横幅にすることができる。
さらに、第1止め部材を緩めて背もたれパイプにそってベルト用パイプを上下方向に移動することができるために、体形が変形している身体の不自由な人(身体障害者)などの体形に合わせた形状にベルト用パイプとベルトとを変形することができるので、身体の不自由な人などの体形に合った良い状態で使用することができるし、第2止め部材で背もたれパイプを回転用固定軸の周囲で回転することもできるために、背もたれパイプと背もたれパイプとの間に取り付けたベルトを水平方向から上方向又は下方向に微調整して傾斜することができるために利用者の体形に合致させた良い形状にすることにより、車椅子を使い易くすることができる。【0008】
請求項2の車椅子は、第1止め
部材が、半円形の孔を有する
一方の背もたれパイプの止め部材と、半円形の孔を有する他方
の背もたれパイプの止め部材とを、相対向して設け
るものであり、該第1止め部材である2個の半円形の孔からなる円形孔の双方の止め部材、
および止め板に、それぞれ同じ位置に、止め具用孔を設けて、この止め具用孔に着脱自在の止め具を挿通して着脱自在に止
着してなる第1止め部材であるから、こ
の止め具で双方の止め部材を着脱自在に止めることができるし、こ
の止め具を緩めることにより背もたれパイプの周囲を、
第1止め部材やベルト用パイプ
などを自由に回転させることができるためにベルト用パイプとベルト用パイプとの間隔、即ち、ベルトの横方向長さ・横幅を自由に変更することができて、車椅子を利用する人の体形・横幅などに合わせて希望する横幅にすることができる。
【0009】
請求項3の車椅子は、
第1止め部材が、2本の背もたれパイプの上下方向に所定の間隔をおいてそれぞれ3個ずつ着脱自在に止める第1止め部材であるから、これらの第1止め部材やベルト用パイプなどを自由に回転させることができるためにベルト用パイプとベルト用パイプとの間隔、即ち、ベルトの横方向長さ・横幅を自由に変更することができて、車椅子を利用する人の体形・横幅などに合わせて希望する横幅にすることができる。
【0010】
請求項4の車椅子は、身体支持ベルトが、ベルト用パイプの折り曲げ部に、
ベルトの一方の片面に着脱自在の一方の止めテープを設けるとともにベルトの他方の片面に着脱自在の他方の止めテープを設けて、着脱自在に止める身体支持ベルトであるから、ベルト用パイプの折り曲げ部とペルト用パイプの折り曲げ部との横方向の長さ(横幅)が異なっても
身体支持ベルトを円滑に止着することができる。
【0011】
請求項5の車椅子は、
身体支持ベルトが、ベルト用パイプの折り曲げ部に、身体支持ベルト端部に有する長さ調節止め具を設けて、着脱自在に止める身体支持ベルトであるから、ベルト用パイプの折り曲げ部とペルト用パイプの折り曲げ部との横方向の長さ(横幅)が異なっても身体支持ベルトを円滑に止着することができる。【0012】
請求項6の車椅子は、第2止め
部材が、上下方向の
一方を前後方向に第1すり割り溝を設けるとともに上下方向の他方を左右方向にすり割り溝を設けて、それぞれの割り溝の方向と直交する方向の上部と下部の回転用の止め具で
それぞれ着脱自在に止着したから、回転用の止め具を緩めてベルト用パイプを回転することができるとともにベルト用パイプを前後方向に移動することができるためにベルト用パイプに取り付けたベルトを回転したり、移動したりして微調整することができるために利用者の体形に合致させた良い形状にすることができるし、第2止め
部材にすり割り溝を同じ方向に
設けたものに比較して破壊に対する強度を大きくすることができる。
【0013】
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図9】身体支持ベルトを止めた時の1例の側面図である。
【
図10】身体支持ベルトを止めた時の2例の側面図である。
【
図12】身体支持ベルトを止めた時の別の側面図である。
【
図19】
本発明品を身体障害者が使用した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の車椅子は、
左側と右側とに間隔をおいた2本の垂直方向の背もたれパイプと座席部と4個の車輪とからなる車椅子
において、背もたれパイプに、背もたれパイプの周囲に沿ってそれぞれ上下方向に移動自在にするとともに水平方向に回転自在である着脱自在の第1止め
部材を、設け、この第1止め
部材の側面に
対して、水平方向の前端部
に垂直方向
の折り曲げ部を有するベルト用パイプを、前後方向に取り付け
るための構造を有し、このベルト用パイプの相対向する左側のベルト用パイプの折り曲げ部と右側のベルト用パイプの折り曲げ部とに身体支持ベルトをそれぞれ一本ずつそれぞれ取り付け
てなる車椅子であって、該第1止め部材の側面に対して、該ベルト用パイプを取り付けるための構造として、第1止め部材の側面に設けられた、中央部には片側に突出した回転用固定軸を有する止め板と、該回転用固定軸の先端部に止着する、ベルト用パイプを所定方向に回転自在でありかつ前後方向に移動自在となるよう取り付けられる、第2止め部材とを有するものである。
【実施例】
【0016】
【実施例1】
車椅子1は、
図1から
図3に図示のように、左右2本の垂直方向の背もたれパイプ
2,2にそれぞれ第1止め
具3を上下方向に所定の間隔をおいて着脱自在に設ける。
この第1止め
具は、
図4と図5に図示のように、半円形の孔を有する1方の背もたれパイプの止め部材
31と、半円形の孔を有する他方の背もたれバイプの止め部材3
2とを、相対向して設け
、2個の半円形の孔からなる円形孔の双方の止め部材31,32にそれぞれ同じ位置に、止め具用孔を設けて、この止め具用孔にボルト4を挿通して着脱自在に止めるものである。
この止め部材32の他方の側面に、先端部を下方向に曲げたベルト用パイプ5を、水平方向に溶接し、このベルト用パイプ5に身体支持ベルト6をそれぞれ取り付ける。
この身体支持ベルトは、図7と図8に図示のように、表側に着脱自在の1方のテープ61を設け、裏側に着脱自在の他方のテープ62を設けて、図9に図示のように、ベルトの横方向の幅・横幅を大きくして止着したり、図10に図示のように、ベルトの横方向の幅・横幅を小さくして止着したりなどして背もたれパイプ(図示せず)に着脱自在に止める。
図11に図示したベルト63は、ベルトの端部に長さ調整止め具7を設け、必要とする所定のベルトの横方向の幅・横幅にして背もたれパイプ(図示せず)に着脱自在に止める。
図6は、第1止め具31とベルト用パイプ51とを背もたれパイプ21の外側から内側に変更してベルト用パイプ51を背もたれパイプ21の内側にすることにより身体支持ベルト63の横方向の幅・横幅を小さくして子供など身体の横幅が小さい人の車椅子11として使用するものです。【0017】
【実施例2】
実施例2の車椅子11が実施例1の車椅子と異なる構成は図13から図19に図示のように、双方の止め部材131,132のうちの1つの止め部材132の片側中央部に回転用固定軸14を、水平方向に突出して固定する(図13図14に図示)。
この回転用固定軸の周囲に第2止め具15を設け、この第2止め具は、左右方向に回転用固定軸用の円形穴16を有するとともに前後方向にベルト用パイプの円形穴17を有する。
そして、この第2止め具に、上下方向の上方に第1すり割り溝153を前後方向に設けるとともに上下方向の下方に第2すり割り溝154左右方向に設け、それぞれの割り溝の方向と直交する方向の下部のネジ穴151と上部のネジ穴152を設ける。
この止着は、第2止め具14に有する回転用固定軸用の円形穴16に回転用固定軸14を差し込み、第2止め具に有するベルト用パイプの円形穴17にベルト用パイプ19,19を差し込んでそのまま又は所定の方向まで回転したり、前後方向に移動した後にネジ穴151とネジ穴152にネジをそれぞれ挿入して着脱自在に止着する(図14図示)。
更に、このベルト用パイプの相対向する左側のベルト用パイプ18と右側のベルト用パイプ18とに、身体支持ベルト19を1本ずつそれぞれ取り付けてなる車椅子です。
【0018】
この実施例
2の車椅子は第1止め
具を緩めて背もたれパイプの周囲を第1止め具とベルト用パイプなどを水平方向に回転
と上下方向に移動できるし、ベルト用パイプを前後方向に移動し
て奥行きを調整などできる(図13図14矢印図示)ために、各部品を回転させ
たり、前後に移動したり、取り付け方向を調整などして1台の車椅子を子供用も大人用も
そして身体障害者(図18図19図示)も使用
できます。
【符号の説明】
【0019】
【符号の説明】
1 車椅子
2 背もたれパイプ
3 第1止め具
4 ボルト
5 ベルト用パイプ
6 身体支持ベルト
61 1方のテープ
62 他方のテープ
63 身体支持ベルト
7
調整止め具
11 車椅子
12 背もたれパイプ
13
1 止め部材
13
2 止め部材
14 回転用固定軸
15 第2止め具
16 回転用固定軸の円形穴
17 ベルト用パイプの円形穴
18 ベルト用パイプ
19 身体支持ベルト
20 大人
21 身体障害者