(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図面において、同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る車両用照明装置の斜視組立図である。
また、
図2(a)は、本実施形態に係る車両用照明装置を正面側からみた模式斜視図であり、(b)は、裏面側からみた模式図である。
【0018】
車両用照明装置100は、光半導体光源150と、これを覆うカバー700と、を備える。
光半導体光源150は、第1のヒートシンク(第1の放熱部材)300と、この上に搭載された光半導体実装基板10と、制御基板50と、を有する。光半導体実装基板10の裏面は、第1のヒートシンク300と当接している。なおここで、「当接」とは、光半導体実装基板10が第1のヒートシンク300に直接的に接触するものには限定されず、例えば、光半導体実装基板10において生ずる熱を第1のヒートシンク300に効率よく伝達するため、伝熱性のグリースや、伝熱性の接着剤などを介して搭載されているものも含むものとする。
【0019】
光半導体実装基板10の上には、光源となるLED(Light Emitting Diode)などを用いた半導体発光素子(図示しない)が実装されている。光半導体実装基板10は、例えば、アルミナや窒化アルミニウムなどの無機材料により形成することができる。あるいは、光半導体実装基板10は、金属板の表面に絶縁層を被覆した基板とすることができる。この場合の絶縁層は、有機材料でも無機材料でもよい。
【0020】
光半導体実装基板10には、半導体発光素子を取り囲むように、凹部27を有するリフレクタ22が実装されている。なお、半導体発光素子、リフレクタ22が実装された領域のことを、以降、発光部20と称す。
【0021】
リフレクタ22は、例えば、樹脂やセラミックスなどからなり、その凹部27の中に半導体発光素子が露出するように、リフレクタ22が光半導体実装基板10の上に実装される。そして、リフレクタ22の凹部27の内壁面が反射面を形成している。半導体発光素子から放出された光は、上方に向けて直接取り出されるか、あるいは、凹部27の内壁面で反射されて上方へ向けて取り出すことができる。なお、リフレクタ22の形状は図示したものに限定されず、例えば直方体の中心に円錐状にくり抜かれた形状であってもよい。
【0022】
制御基板50の上には、光半導体実装基板10に実装された発光部20の駆動回路に含まれる抵抗などの回路素子(図示しない)が実装されている。制御基板50は、例えば、ガラスエポキシ基板とすることができる。
【0023】
第1のヒートシンク300は、光半導体実装基板10や制御基板50で発生した熱を光半導体光源150の外部に放出する。第1のヒートシンク300は、例えばアルミニウムなどの熱伝導性の高い材料により形成されている。第1のヒートシンク300には、カバー700と係合する係合凸部302、フランジ部304、複数のフィン306、貫通孔308が設けられている。
【0024】
光半導体実装基板10と制御基板50とは、接続手段40により電気的に接続されている。接続手段40は、光半導体実装基板10に形成された電極(図示しない)と、制御基板50に形成された電極(図示せず)と、が接続されている。接続手段40としては、金属のワイヤ、リボン、ストラップなどを用いることができる。一例として、接続手段40をリン青銅により形成することができる。あるいは、接続手段40として、はんだ付けを用いることもできる。
【0025】
制御基板50には、給電端子72、74、76が設けられている。給電端子72、74、76は、第1のヒートシンク300に設けられた貫通孔308のなかに延在し、第1のヒートシンク300の後方から挿入されるコネクタ720に接続され、外部から給電される。
【0026】
なお、給電端子72、74、76はこの例に限定されず、例えば給電端子が2つで構成されていてもよい。要は、光半導体光源150が所望の特性を有するように給電端子が設けられていれば、給電端子の数量は限定されない。
【0027】
カバー700は、第1のヒートシンク300に設けられた係合凸部302と係合する係合開口702を有する。係合開口702と係合凸部302とを係合させた状態において、カバー700は、第1のヒートシンク300と係合する。
【0028】
図3は、光半導体実装基板10および制御基板50を拡大して表した模式斜視図である。
光半導体実装基板10に実装された半導体発光素子18は、外部より供給された電力により光を放出する。半導体発光素子18は、ウェーハからダイシングされたLEDなどの半導体チップのままの形態でもよく、あるいは、LEDなどの半導体チップが樹脂やセラミックなどのパッケージに実装された形態でもよい。これら半導体チップやパッケージの形態のものは、はんだや導電性接着剤などにより、光半導体実装基板10に実装できる。
【0029】
LEDなどの半導体発光素子18の発光色は、赤色光の他、黄色や白色など、用途に応じて適宜設定することができる。
なお、半導体発光素子18が半導体チップのまま実装された場合には、半導体発光素子18を外部由来の湿気やガスなどから保護するため、例えば、半導体発光素子18の周縁を覆うように、発光部20が透光性の樹脂(図示しない)で封止されていてもよい。また、半導体発光素子18が樹脂で封止されている場合には、例えば、発光部20に封止された樹脂の中に分散させて半導体発光素子18より放出される光を吸収して異なる波長の光を放出する蛍光体(図示しない)を有していてもよい。
一方、制御基板50の上には、図示しない抵抗などの回路素子が適宜配置されている。
【0030】
上述した具体例において、アルミナや窒化アルミニウムあるいは絶縁層で被覆した金属板により光半導体実装基板10を形成し、ガラスエポキシ基板により制御基板50を形成した場合には、光半導体実装基板10のほうが熱伝導率が高いといえる。
【0031】
半導体発光素子18は、温度が上昇すると発光効率が低下し、また寿命も短くなる傾向がある。これに対して、本実施形態によれば、熱伝導性の高い光半導体実装基板10に半導体発光素子18を実装することにより、放熱を促進できる。光半導体実装基板10を第1のヒートシンク300の上に搭載することで、第1のヒートシンク300への放熱を促進させ、半導体発光素子18の発光効率の低下や寿命の劣化を抑制できる。
【0032】
特に、複数の半導体発光素子18を用いる場合にも、本実施形態によれば、熱伝導性の高い光半導体実装基板10に半導体発光素子18を実装することで、コストを抑えつつ、半導体発光素子18からの放熱を促進させ、発光効率の低下や寿命の劣化を抑制できる。特に、本具体例のように、複数の半導体発光素子18が高い密度で実装される場合、熱も高い密度で発生するので、放熱が重要である。これに対して、本実施形態によれば、光半導体実装基板10を介して第1のヒートシンク300への放熱を促進でき、高い発光効率や良好な長期信頼性を維持できる。
【0033】
実際に車両用照明装置などの光源として使用する場合は、図示しないダイオード、コンデンサ、抵抗、保護素子、コネクタなどの回路素子を適宜搭載する必要がある。つまり、半導体発光素子18の駆動回路に含まれる回路素子を搭載する必要がある。このような場合に、熱伝導率の高い基板だけで光源を構成すると、発熱しない回路素子の搭載面積も熱伝導率の高い基板上に確保する必要があり、光源がコスト高になる。
【0034】
これに対して本実施形態においては、半導体発光素子18以外の回路素子を、光半導体実装基板10ではなく、熱伝導率は低いが安価な制御基板50の上に実装する。こうすることで、部品実装面積に対するコストを低く抑えることができる。
【0035】
また、半導体発光素子18以外の回路素子を制御基板50の側に実装することで、光半導体実装基板10上における発熱量が低減し、これに近接配置される半導体発光素子18の温度上昇も低減する。これにより、半導体発光素子18の発光効率が向上し、光半導体実装基板10も小型化でき、さらなるコスト低減も可能となる。
【0036】
また、光半導体実装基板10としてガラスエポキシ基板などを使用する場合に比べて、放熱が良好になるために部品を密集して配置でき、光源を小型化できる。その結果として、各種の灯具デザインに対して光源の取り付けの制約を軽減でき、汎用性の高い光源を提供することが可能となる。またさらに、基板面積の最小化、半導体発光素子の使用数量の最小化により、コスト低減も期待できる。
【0037】
次に、本実施形態に係る光半導体光源の回路構成について、さらに詳しく説明する。
図4(a)は、本発明の実施形態にかかる光半導体光源の模式平面図であり、
図4(b)は、その等価回路図である。
【0038】
光半導体実装基板10の上には、電極12、14、16が形成されている。電極12と電極14との間には、半導体発光素子18が接続され、半導体発光素子18を取り囲むようにリフレクタ22が配置されることで発光部20が形成されている。電極14と電極16との間には、第1の電流制限抵抗30が接続されている。
【0039】
半導体発光素子18は、
図4(b)に表したように、2つずつ並列に接続された回路が3段に直列接続されている。
【0040】
ただし、半導体発光素子18の数は、図示したものには、限定されない。すなわち、半導体発光素子18は、少なくともひとつ設けられていればよい。また、複数の半導体発光素子18を設ける場合の接続は、直列でもよく並列でもよい。
一方、制御基板50の上には、電極52、54、56が形成されている。電極54と電極56との間には、第2の電流制限抵抗60が接続されている。また、電極52と電極56には、外部回路からの給電端子70、70が接続されている。
光半導体実装基板10の電極12、16と、制御基板50の電極52、54と、は、接続手段40、40により電気的に接続されている。
【0041】
なお、光半導体実装基板10および制御基板50に設けられた電極12、16ならびに52、54、および、接続手段40、40の接続箇所は、図示した箇所に限定されない。要は、接続手段40、40が、光半導体実装基板10および制御基板50とを電気的に接続していれば、接続箇所は限定されない。
【0042】
図4(b)に表した等価回路からも分かるように、一対の給電端子70、70の間で、発光部20と、第1の電流制限抵抗30と、第2の電流制限抵抗60と、は直列に接続されている。したがって、給電端子70、70の間に駆動電圧を印加すると、第1及び第2の電流制限抵抗30、60により制限された電流が発光部20を流れ、発光させることができる。
【0043】
第1の電流制限抵抗30は、複数個配置されていてもよく、また、半導体発光素子18との電気的接続において、半導体発光素子18からみて電源プラス(+)側の配線上、電源マイナス(−)側の配線上、電源プラス(+)側と電源マイナス(−)側の両方の配線上に配置してもよい。また、第1の電流制限抵抗30の形態としては、表面実装型の抵抗素子や、基板上に印刷等の手段で形成した印刷抵抗などを挙げることができる。
【0044】
また、第2の電流制限抵抗60も、複数個配置されてもよく、また、
図4(b)に表した半導体発光素子18との電気的接続において、半導体発光素子18からみて電源プラス(+)側の配線上、電源マイナス(−)側の配線上、電源プラス(+)側と電源マイナス(−)側の両方の配線上、のいずれに配置してもよい。また、第2の電流制限抵抗60の形態としては、ディスクリート実装抵抗素子や表面実装型抵抗素子などを挙げることができる。
【0045】
本実施形態の構成のように、第2の電流制限抵抗60を制御基板50の側に実装することで、光半導体実装基板10上に設けられた第1の電流制限抵抗30の発熱量が低減し、これに近接配置される半導体発光素子18の温度上昇も低減する。これにより、半導体発光素子18の発光効率が向上し、光半導体実装基板10も小型化でき、さらなるコスト低減も可能となる。
【0046】
本実施形態の光半導体光源150においては、第1の電流制限抵抗30は、トリミングが可能とされている。
図4(c)は、トリミングが施された後の状態を表す。すなわち、第1の電流制限抵抗30は、トリミングにより形成された切除部36を有する。切除部36は、例えば、レーザーを照射して電流制限抵抗30の一部を除去することにより形成できる。あるいは、治具を押し当てて電流制限抵抗30の一部を除去することも可能である。
【0047】
第1の電流制限抵抗30として、印刷により形成した印刷抵抗を形成すると、このようなトリミングを容易に実施できる。発光部20の電気的、光学的特性のばらつきに対して、光半導体実装基板10上の第1の電流制限抵抗30にトリミングを施すことで、それぞれの特性の光源間のばらつきを抑えることができる。
【0048】
次に、本発明の実施形態の光半導体光源の発光部20について、さらに詳しく説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る光半導体光源の発光部を例示する模式図である。すなわち、
図5(a)は光半導体光源170の模式平面図であり、
図5(b)はその等価回路図である。
本実施形態においては、発光部20は、リフレクタ22と、その中に設けられたLEDなどの複数の半導体発光素子18と、を有する。半導体発光素子18が実装されている主面は、リフレクタ22の一部でもよく、あるいは、光半導体実装基板10の表面でもよい。発光部20は、光半導体実装基板10の上に実装され、ヒートシンク300の上に適宜搭載されている。
【0049】
リフレクタ22により囲まれた空間の底部に、電極14と、その先端を取り囲む形状の電極12と、が設けられている。そして、電極12の上に、4つの半導体発光素子18が実装されている。半導体発光素子18のそれぞれから、電極14の先端にワイヤ200が接続されている。
図5(b)から分かるように、4つの半導体発光素子18は、並列に接続されている。
そして、本実施形態においては、リフレクタ22により囲まれた空間の中心から複数の半導体発光素子18のそれぞれまでの距離は、複数の半導体発光素子18のそれぞれからリフレクタ22までの距離よりも大きい。つまり、複数の半導体発光素子18は、リフレクタ22により囲まれた空間のなかで、中央寄りではなく、リフレクタ22の方に寄って配置されている。
複数の半導体発光素子をリフレクタ22により囲まれた空間のなかに配置する場合、通常は、その空間の中心に近づけて配置する。これに対して、本実施形態においては、逆に、半導体発光素子18をリフレクタ22に接近させて配置する。
図6は、本実施形態に係る光半導体光源の半導体発光素子の配置を表す模式平面図である。
本実施形態においては、複数の半導体発光素子18は、リフレクタ22から等距離(
図6において、距離d2)に配置されている。そして、リフレクタ22により囲まれた空間の中心Cから半導体発光素子18のそれぞれまでの距離d1は、半導体発光素子18のそれぞれからリフレクタ22までの距離d2よりも大きい。
【0050】
こうすることにより、リフレクタ22の中の限られた領域に配置される複数の半導体発光素子18どうしを遠ざけることができる。つまり、限られたスペースの中で複数の半導体発光素子を分散して配置することにより、それぞれの半導体発光素子18が放出する熱の影響を互いに受けにくくすることができる。またさらに、それぞれの半導体発光素子18を遠ざけることにより、熱源を分散させて、熱の集中を防ぎ、それぞれの半導体発光素子18から第1のヒートシンク300への放熱を促進させることができる。
【0051】
またさらに、半導体発光素子18をリフレクタ22に接近させることにより、半導体発光素子18から放出された光をリフレクタ22で効率よく反射させ、外部に取り出すことができる。つまり、半導体発光素子18から放出された光のうちで、リフレクタ22により反射される光の割合を高めることができる。リフレクタ22の光反射率は、通常、半導体発光素子18の実装面(リフレクタ22により囲まれた空間の底面)における光反射率よりも高い。したがって、リフレクタ22により反射される光の割合を高くすれば、それだけ光の取り出し効率を上げることが可能となる。
【0052】
図7及び
図8は、本実施形態における半導体発光素子の配置の他の具体例を表す模式平面図である。
図7に表した具体例においては、リフレクタ22の平面形状は、楕円形あるいは偏平円形である。このような場合には、楕円形あるいは偏平円形の長軸と短軸との交点を、リフレクタ22により囲まれた空間の中心Cとすることができる。そして、長軸の方向にみても、短軸の方向にみても、リフレクタ22により囲まれた空間の中心Cから半導体発光素子18のそれぞれまでの距離d1は、半導体発光素子18のそれぞれからリフレクタ22までの距離d2よりも大きい。
【0053】
図8に表した具体例においては、リフレクタ22の平面形状は、正方形である。このように多角形の場合には、対角線の交点を、リフレクタ22により囲まれた空間の中心Cとすることができる。そして、正方形の4辺に対して平行な方向にみても、対角線の方向にみても、リフレクタ22により囲まれた空間の中心Cから半導体発光素子18のそれぞれまでの距離d1は、半導体発光素子18のそれぞれからリフレクタ22までの距離d2よりも大きい。
【0054】
こうすることにより、
図5に関して前述したように、リフレクタ22の中の限られたスペースの中で複数の半導体発光素子を分散して配置し、熱源を分散させて、熱の集中を防ぎ、それぞれの半導体発光素子18から第1のヒートシンク300への放熱を促進させることができる。
【0055】
また、
図5に表した具体例の場合、半導体発光素子18に接続されたワイヤ200は、半導体発光素子18からみてリフレクタ22の側ではなく、リフレクタ22により囲まれた空間の中心の方向に配線されている。
こうすることにより、ワイヤ200をボンディングする領域を効率的に使用することができる。例えば
図5に表した具体例の場合、周囲に設けられた4つの半導体発光素子18から、中央に設けられたひとつの電極14に対して、ワイヤ200をそれぞれ接続できる。つまり、4つの半導体発光素子18に対して、4つの電極パッドを形成する必要がなく、ひとつの電極14に対してワイヤ200を接続できるので、ワイヤボンディングのための領域を余計に確保する必要がなくなる。
【0056】
またさらに、半導体発光素子18からみてリフレクタ22の側ではなく、リフレクタ22により囲まれた空間の中心の方向にワイヤ200を配線することにより、半導体発光素子18から近接するリフレクタ22に放出される光に対して、ワイヤ200による遮光や散乱を解消し、リフレクタ22による効率的な反射をさらに促進できる。つまり、それぞれの半導体発光素子18が近接したリフレクタ22に向けて放出する光の経路にワイヤ200を設けないことにより、この経路上での光の遮光や散乱を防ぐことができる。
【0057】
図9は、本実施形態に係る他の半導体光源を表す模式図である。すなわち、
図9(a)は光半導体光源180の模式平面図であり、
図9(b)はその等価回路図である。
本実施形態の光半導体光源180も、リフレクタ22と、その中に設けられたLEDなどの複数の半導体発光素子18A、18Bと、を有する発光部20を有する。発光部20は、光半導体実装基板10の上に実装され、ヒートシンク300の上に適宜搭載されている。
【0058】
リフレクタ22により囲まれた空間には、リフレクタ22の側に設けられた第1の領域と、第1の領域よりもリフレクタ22により囲まれた空間の中心側に設けられた第2の領域と、が設けられている。そして、半導体発光素子18Aは、第1の領域、すなわちリフレクタ22により囲まれた空間において、その中心よりもリフレクタ22の方に接近して配置されている。一方、半導体発光素子18Bは、第2の領域、すなわちリフレクタ22により囲まれた空間の中央付近に配置されている。
【0059】
リフレクタ22により囲まれた空間の中心から第1の領域に配置された半導体発光素子18Aまでの距離は、半導体発光素子18Aのそれぞれからリフレクタ22までの距離よりも大きい。これは、
図5〜
図8に関して前述した距離d1と距離d2との関係と同様である。
半導体発光素子18Aを第1の領域すなわち周囲に分散配置することにより、熱の集中を抑制できるときは、
図9(a)に表したように、第2の領域すなわち中央付近に半導体発光素子18Bを配置することも可能となる。
また、半導体発光素子18Aと、それに隣接する半導体発光素子18Bと、がワイヤ200で接続されている。つまり、隣接する半導体発光素子18Aと半導体発光素子18Bとが、直列に接続されている。これは例えば、半導体発光素子18Aの上面にアノード電極、下面にカソード電極を設け、半導体発光素子18Bの上面にカソード電極、下面にアノード電極を設けることにより、可能となる。
【0060】
このように半導体発光素子18Aと半導体発光素子18Bとをワイヤ200で接続することにより、ワイヤ200の本数を減らして、コンパクトな配置と効率的な電気接続を実現できる。
【0061】
図10は、本実施形態における半導体発光素子の配置の他の具体例を表す模式平面図である。
本具体例においては、リフレクタ22の中に、4つの半導体発光素子18Aと、4つの半導体発光素子18Bと、が実装されている。半導体発光素子18Aは、Nアップ型すなわちN形半導体が上側にあるLEDである。半導体発光素子18Bは、Pアップ型すなわちP形半導体が上側にあるLEDである。すなわち、半導体発光素子18Aは上側電極がカソード電極であり、半導体発光素子18Bは上側電極がアノード電極である。
このように極性の異なる半導体発光素子を混在させることにより、半導体発光素子どうしを直列接続することが容易となる。すなわち、隣接する半導体発光素子18Aの上側電極と、半導体発光素子18Bの上側電極と、をワイヤ200で接続する。すると、半導体発光素子18Aの下側電極と、半導体発光素子18Bの下側電極と、を両端とした直列回路を形成することができる。
【0062】
図11は、このように半導体発光素子どうしを直列接続する具体例を表す模式図である。すなわち、
図11(a)は光半導体光源の模式平面図、
図11(b)はその一部拡大図、
図11(c)はその等価回路図である。
本実施形態の光半導体光源185も、リフレクタ22と、その中に設けられたLEDなどの複数の半導体発光素子18A、18B、18Cと、を有する発光部20を有する。発光部20は、光半導体実装基板10の上に実装され、ヒートシンク300の上に適宜搭載されている。
【0063】
発光部20に配置された4つの半導体発光素子18Aと4つの半導体発光素子18Bは、リフレクタ22により囲まれた空間において、その中心よりもリフレクタ22の方に接近して配置されている。また、4つの半導体発光素子18Cは、リフレクタ22により囲まれた空間の中央付近に配置されている。
【0064】
半導体発光素子18A、18Bを周囲に分散配置することにより、熱の集中を抑制でき、中央付近に半導体発光素子18Cを配置しても、放熱が確保される。
半導体発光素子18Aは、電極15の上に実装されている。すなわち、半導体発光素子18Aの下側電極は、電極15に接続されている。半導体発光素子18Bは、電極16の上に実装されている。すなわち、半導体発光素子18Bの下側電極は、電極16に接続されている。半導体発光素子18Cは、電極17の上に実装されている。すなわち、半導体発光素子18Cの下側電極は、電極17に接続されている。
そして4つの半導体発光素子18Aの上側電極と、隣接する電極17と、がワイヤ200で接続されている。また、半導体発光素子18Cの上側電極と、半導体発光素子18Bの上側電極と、がそれぞれワイヤ200で接続されている。
【0065】
この等価回路は、
図11(c)に表した如くである。すなわち、4つの半導体発光素子18Aは、並列に接続されている。また、半導体発光素子18Bと半導体発光素子18Cとは、ひとつずつ直列に接続され、4つの直列回路が並列に接続されている。
【0066】
このような接続関係は、例えば、半導体発光素子18Aと半導体発光素子18CとしてPアップ型すなわちP形半導体が上側にあるLEDを用い、半導体発光素子18BとしてNアップ型すなわちN形半導体が上側にあるLEDを用いることにより実現できる。すなわち、半導体発光素子18Aと半導体発光素子18Cは上側電極がアノード電極であり、半導体発光素子18Cは上側電極がカソード電極である。
このように、N形半導体とP形半導体の積層構造が逆転した半導体発光素子を組み合わせることにより、半導体発光素子どうしを直接接続して直列接続を形成することが可能となる。
【0067】
本実施形態によれば、半導体発光素子どうしを直接接続することにより、ワイヤ200の本数を減らすとともに、ワイヤを接続する電極パターンが不要となり、限られた領域に複数の半導体発光素子を効率的に配置できる。
図11に表した具体例の場合、合計で12個の半導体発光素子を直径4ミリメータ程度の領域に収容できる。また、本実施形態の光半導体光源185を車両のテールランプに用いる場合、尾灯(テールライト)と制御灯(ストップライト)とは、駆動電流を切り替えることにより表示可能である。すなわち、尾灯のときは小さい電流で点灯させ、制御灯のときは大きな電流で点灯させればよい。すなわち、尾灯と制御灯とを同じ半導体発光素子を用いて点灯させることができ、別々の半導体発光素子や点灯回路を設けなくて済む点で、有利となる。
【0068】
本実施形態によれば、半導体発光素子どうしを接続して直列接続を形成しつつ、リフレクタ22のなかの限られた空間で、熱を分散させつつ効率のよい半導体発光素子の配置が可能となる。
【0069】
図12は、本実施形態における半導体発光素子の配置の他の具体例を表す模式平面図である。
本具体例においては、リフレクタ22の中に、4つの半導体発光素子18Aと、4つの半導体発光素子18Bと、が実装されている。半導体発光素子18Aと、半導体発光素子18Bは、極性が同一の半導体素子である。つまり、半導体発光素子18Aと半導体発光素子18Bは、すべてNアップ型であるか、すべてPアップ型である。
【0070】
そして、隣接する半導体発光素子18Aの上側電極と、半導体発光素子18Bの上側電極と、がワイヤ200で接続され、さらに隣接する電極17にワイヤ200で接続されている。すると、隣接する半導体発光素子18Aの下側電極と半導体発光素子18Bの下側電極と、を共通接続することにより、並列回路を形成することができる。つまり、隣接する半導体発光素子18Aと半導体発光素子18Bとを並列に接続できる。
【0071】
本具体例によれば、半導体発光素子どうしを直接接続することにより、ワイヤ200の本数を減らすとともに、ワイヤを接続する電極パターンが不要となり、限られた領域に複数の半導体発光素子を効率的に配置できる。
図13は、本実施形態に係る他の光半導体光源を例示する模式図である。すなわち、
図13(a)は光半導体光源の模式平面図、
図13(b)はその模式断面図、
図13(c)はその一部拡大断面図である。
本実施形態の光半導体光源も、リフレクタ22と、その中に設けられたLEDなどの複数の半導体発光素子18と、を有する発光部20を有する。半導体発光素子18は、リフレクタ22により囲まれた空間の中心よりもリフレクタ22の方に接近して配置されている。そして、発光部20は、光半導体実装基板10の上に実装され、第1のヒートシンク300に搭載されている。
【0072】
本実施形態においても、複数の半導体発光素子18は、リフレクタ22により囲まれた空間のなかで、中央寄りではなく、リフレクタ22の方に寄って配置されている。すなわち、
図13(b)に表したように、半導体発光素子18の中心とリフレクタ22の下端との距離d2は、リフレクタ22により囲まれた空間の中心Cと半導体発光素子18の中心との距離d1よりも小さい。ここで、リフレクタ22の下端は、半導体発光素子18の実装面における位置とする。
【0073】
そして、複数の半導体発光素子18のそれぞれは、樹脂25により個別にドーム状に封止されている。半導体発光素子18が実装されている主面は、リフレクタ22の一部でもよく、あるいは、光半導体実装基板10の表面でもよい。
【0074】
本実施形態によれば、複数の半導体発光素子18のそれぞれを、樹脂25により個別に封止することにより、光の取り出し効率を上げることができる。
図14は、本実施形態に係る比較例としての光半導体光源を例示する模式図である。すなわち、
図14(a)は光半導体装置の平面図、
図14(b)はその断面図、
図14(c)はその一部拡大断面図である。
本比較例においては、半導体発光素子18は樹脂25により個別に封止されていない。すなわち、リフレクタ22の内側において、複数の半導体発光素子18は樹脂25により一体的に封止されている。
【0075】
このように複数の半導体発光素子18を樹脂25により一体的に封止すると、光の取り出し効率が低下する。すなわち、半導体発光素子18から放出された光の一部は、矢印Tで表したように、封止樹脂25から外部に取り出される。しかし、半導体発光素子18から放出された光の他の一部は、樹脂25の表面において、入射角度θが小さいために、矢印Rで表したように全反射され、樹脂25の中に戻ってしまう。その結果として、光の取り出し効率が低下する。ただし、
図14に表した比較例も、半導体発光素子18がリフレクタ22に接近して配置され、また半導体発光素子18に接続されたワイヤ200は、半導体発光素子18からリフレクタ22の側ではなくリフレクタ22により囲まれた空間の中心軸Cの方向に配線されている点で、本実施形態の範囲に包含される。
【0076】
これに対して、
図14に表した実施形態の場合、半導体発光素子18から放出された光のうちで、中心軸Cの方向に放出された光は、
図14(b)及び(c)に矢印Rで表したように、樹脂25の表面に対して、浅い角度で入射する。このように浅い角度で樹脂25の表面に入射すると、反射されて外部に取り出されない場合もある。
【0077】
これに対して、複数の半導体発光素子18のそれぞれを、樹脂25により個別にドーム状に封止することにより、半導体発光素子18から放出された光の樹脂25の表面における入射角度θを大きくすることができる。その結果として、矢印Tで表したように、樹脂25から外部に取り出され、光の取り出し効率を上げることができる。
【0078】
なお、本実施形態において、複数の半導体発光素子18をそれぞれ封止する樹脂25は、その一部が互いにつながっていてもよい。例えば、隣接するふたつの半導体発光素子18が樹脂25によりそれぞれ封止されているとき、これらのふたつの半導体発光素子18のあいだに、樹脂25が薄く延在し、それぞれの半導体発光素子18を封止する樹脂25とつながっていてもよい。ふたつの半導体発光素子18のあいだに延在する薄い樹脂25の層の上面が、半導体発光素子18に含まれる発光層(あるいは活性層)の位置よりも低ければ、半導体発光素子18から横方向に放出される光が薄い樹脂25の層のなかに侵入して光の取り出し効率が低下するという影響は少ないからである。従って、このように、隣接する半導体発光素子18のあいだに薄い樹脂25の層が延在し、その上面が半導体発光素子18に含まれる発光層(あるいは活性層)の位置よりも低い場合には、「樹脂により個別に封止」されたものに含まれると本願明細書では定義する。
【0079】
一方、本実施形態のおいても、半導体発光素子18に接続されたワイヤ200は、半導体発光素子18からリフレクタ22の側ではなく、リフレクタ22により囲まれた空間の中心軸Cの方向に配線されている。
【0080】
半導体発光素子18をリフレクタ22に接近させて配置することにより、リフレクタ22により囲まれた空間の中央にワイヤ200を接続する領域を形成できる。
また、それぞれの半導体発光素子18が近接したリフレクタ22に向けて放出する光の経路にワイヤ200が設けられない。こうすることにより、ワイヤ200による遮光や散乱を解消し、リフレクタ22による効率的な反射をさらに促進できる。
【0081】
また、このように光の取り出し効率を上げることができれば、半導体発光素子18の数を減らすことができる。その結果として、光半導体光源を小型化できる。またさらに、光の取り出し効率を上げることができれば、半導体発光素子18に供給する駆動電流を下げることができる。その結果として、消費電力を低減できるとともに、半導体発光素子18の発熱を抑制し、さらなる発光効率の向上や長寿命化が可能となる。
【0082】
なお、樹脂25に、例えば、蛍光体を分散させることにより、所望の波長の光を取り出すようにしてもよい。
【0083】
図15は、本発明の実施の形態に係る車両用照明装置100を示す図である。すなわち、
図15(a)は、本実施形態に係る車両用照明装置を正面側からみた模式斜視図であり、
図15(b)は、裏面側からみた模式図である。
【0084】
本実施形態においては、第1のヒートシンク300の外側に、第1のヒートシンク300と係合する第2のヒートシンク(第2の放熱部材)310が設けられている。第2のヒートシンク310の材料として、第1のヒートシンク300よりも熱放射率の高い材料を用いることにより、第1のヒートシンク300からの放熱を促進できる。
例えば、第1のヒートシンク300をアルミニウムにより形成し、第2のヒートシンク310をPBT(Poly Buthylene Terephthalete)などの樹脂により形成した場合、発光部などから放出された熱は、第1のヒートシンク300から第2のヒートシンク310へ効率よく伝わり、第2のヒートシンク310から外部に効率よく放出される。なお、第2のヒートシンク310は、第1のヒートシンク300の表面に熱放射率の高い物質を形成することにより構成されていてもよい。例えば、第2のヒートシンク310は、アルミニウムで形成された第1のヒートシンク300の表面をアルマイト処理することにより形成されたアルマイト層であってもよい。
【0085】
なお、第1のヒートシンク300及び第2のヒートシンク310のフィン形状は、特定の形状には限定されない。例えば、
図11に表したように、第1のヒートシンク300及び第2のヒートシンク310のフィンは、それぞれ、光半導体光源150の形状に沿って、放射円状に形成されていてもよい。
【0086】
図16は、本実施形態の車両用照明装置100を搭載した灯具の模式断面図である。
灯具600は、リフレクタ620とレンズ650とを有する。そして、リフレクタ620、レンズ650と対向する位置に設けられた開口640に本実施形態の車両用照明装置100が挿入されている。車両用照明装置100から放出された光は、直接か、リフレクタ620により反射され、レンズ650を介して外部に放出される。この灯具600は、例えば、自動車のテールライト部に設けることができる。
【0087】
この灯具600において、第1のヒートシンク300に形成されたフランジ部304よりも前方の部分は、リフレクタ620およびレンズ650により取り囲まれた状態となる。車両用照明装置100とリフレクタ620とは、水密に係合させることができる。必要に応じて、ゴムやシリコーンなどの材料からなるシール660を、車両用照明装置100とリフレクタ620との間に設けてもよい。
【0088】
なお、車両用照明装置100には、例えば
図15(a)に示すような灯具係合凸部350を有し、
図16(b)に示すようにして灯具600との係合をより強固としてもよい。また、灯具係合凸部350に対応する係合凹部(図示しない)を灯具に有してもよい。また、灯具に例えば弾性体で構成された係合手段(図示しない)を有してもよい。要は、車両用照明装置100および灯具600との係合をより強固とするためにはどのような手段を用いてもよい。
【0089】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。