(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した疎水性酸化物微粒子の撥水性による内容物の付着性の抑制効果を利用し、工業的により簡単な工程でキャップ体への内容物の付着を効果的に抑制することにより、液切れがよく、衛生的で、品質の低下が抑制され、汚れを気にする必要のない使い勝手に優れた合成樹脂製キャップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決する手段に係る本発明の主たる構成は、
キャップ体の少なくとも蓋体の頂壁の下面中央部から栓筒片の内周面とのコーナー部に至る領域の一部に、
インサート材である基材フィルムの一方の面に
付着した疎水性酸化物微粒子
で形成された撥水層を
備え、撥水層の表面の算術平均粗さRaが50nm以上である撥水性フィルム
が、基材フィルムの他方の面側を介して接着
されている合成樹脂製キャップ
、
と云うものである。
【0007】
上記構成によれば、撥水性フィルム
が、容器内に収納する内容物、この内容物を収納した容器製品の使用態様を考慮してこの撥水性フィルムをキャップ体の
少なくとも蓋体の頂壁の下面中央部から栓筒片の内周面とのコーナー部に至る領域の一部に接着
されていることにより、疎水性酸化物微粒子(以下、単に微粒子と記載する場合がある。)からな
り、撥水層の表面の算術平均粗さRaが50nm以上の撥水層によりキャップ体の当該領域への内容物の付着を効果的に抑制することができる。
【0008】
また、
撥水性フィルムの当該領域への接着は、予め用意しておいた撥水性フィルムを
インサート材に使用してインサート成形すればよいので、成形したキャップ毎の、疎水性酸化物微粒子を分散させたコート液を塗布し乾燥する後工程が不要であり、高い生産性で撥水性すなわち内容液の非付着性を付与することができる
。
【0009】
また、インサート成形ではインサート材である撥水性フィルムは高温、加圧状態の溶融樹脂により金型キャビティ面に押付けられるので、基材フィルムの一部が軟化あるいは溶融し、この軟化あるいは溶融した基材フィルムが製品との密着性を高め、製品の使用中における撥水性フィルムの剥がれを効果的に防ぐことができ、内容物の非付着効果をより長期間、安定して持続させることが可能となる。
【0010】
本発明の他の構成は、上記主たる構成において、疎水性酸化物微粒子を疎水性シリカとする、さらには、表面にトリメチルシリル基を有する疎水性シリカとする、と云うものである。
【0011】
疎水性酸化物微粒子としては、疎水性を有するものであれば特に限定されず、表面処理により疎水化されたものであっても良い。例えば、親水性酸化物微粒子をシランカップリング剤等で表面処理を施し、表面状態を疎水性とした微粒子を用いることもできる。酸化物の種類も、疎水性を有するものであれば限定されない。例えばシリカ(二酸化ケイ素)、アルミナ、チタニア等の少なくとも1種を用いることができる。これらは公知又は市販のものを採用することができる。例えば、シリカとしては、製品名「AEROSIL R972」、「AEROSIL R972V」、「AEROSIL R972CF」、「AEROSIL R974」、「AEROSIL RX200」、「AEROSIL RX300」、「AEROSIL NX90G」、「AEROSIL RY200」(以上、日本アエロジル株式会社製)、「AEROSIL R202」、「AEROSIL R805」、「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」、「AEROSIL R8200」(以上、エボニック デグサ社製)等が挙げられる。チタニアとしては、製品名「AEROXIDE TiO2 T805」(エボニック デグサ社製)等が例示できる。アルミナとしては、製品名「AEROXIDE
Alu C」(エボニック デグサ社製)等をシランカップリング剤で処理して粒子表面を疎水性とした微粒子が例示できる。
【0012】
上記した疎水性酸化物微粒子の中でも、疎水性シリカ微粒子を好適に用いることができ、また、より優れた非付着性が得られるという点において、表面にトリメチルシリル基を有する疎水性シリカ微粒子が好ましい。これに対応する市販品としては、例えば前記「AEROSIL RX200」、「AEROSIL RX300」、「AEROSIL NX90G」(以上、日本アエロジル株式会社製)、「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」、「AEROSIL R8200」(以上、エボニック デグサ社製)等が挙げられる。
【0013】
なお、本発明
の上記主たる構成において
、撥水層の表面の算術平均粗さR
aは、AFM(原子間力顕微鏡「Nanoscope 3a」日本ビーコ社、Digital Instruments社)を用い、JIS−B−0601(2001)に準拠して測定したものである。
【0014】
撥水層の表面の算術平均粗さRaは(以下、単にRaと記載する場合がある。測定範囲は25マイクロメーター×25マイクロメーターである。)内容物の種類やキャップ体の形状、内容物を充填した容器製品の使用態様によって決めることができるものであり
、一般的に実用的な撥水性、そして内容物の被付着性を得るためにはRaを50nm以上と
し、特に100nm以上とするのがより好ましい。
【0015】
なお、撥水層は、疎水性酸化物微粒子をエタノール等の溶媒に分散させて調製したコート液を基材フィルムに塗布、乾燥して形成することができるが、インサート成形後の撥水層のRaは主としてのコート液中微粒子の分散濃度により調整することができる。
濃度が低すぎると撥水性フィルムの製造時にRaがたとえば100nm程度であっても、インサート成形後には成形圧力により圧縮されて50nm
未満になってしまう場合もあり、実用的な撥水性が発揮されなくなってしまう。
なお、インサート成形後の撥水層のRaの上限については、使用目的に応じて必要とされる撥水性と、コート液の塗布性、さらには微粒子に係るコストを考慮して適宜決めることができるものである。
本発明のさらに他の構成は、上記主たる構成において、キャップ体の注出筒片の内周面の一部にも上記撥水性フィルムが接着している、と云うものである。
上記構成によれば、内容物の液切れが良くなると同時に、注出筒片への内容物の付着も防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、上記した構成となっているので、以下に示す効果を奏する。
疎水性酸化物微粒子からなる撥水層により、キャップ体の撥水性フィルムを接着した領域への内容物の付着を効果的に、また長期間持続的に抑制することができる。
また、予め用意しておいた撥水性フィルムを使用してインサート成形すればよいので、成形したキャップ毎の、疎水性酸化物微粒子を分散させたコート液を塗布し乾燥する後工程が不要であり、高い生産性で撥水性、すなわち内容液の非付着性を付与することができる。
【0017】
また、インサート成形ではインサート材である撥水性フィルムは高温、加圧状態の溶融樹脂により金型キャビティ面に押付けられるので、基材フィルムの一部が軟化あるいは溶融し、キャップ体を形成する溶融樹脂と撥水性フィルムとの密着性を高めることができ、製品の使用中における撥水性フィルムの剥がれを効果的に防ぐことができ、内容物の非付着効果をより長期間、安定して持続させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を実施例に沿って、そのバリエーションにも言及しながら、図面を参照して説明する。
図1〜3は、本発明の合成樹脂製キャップの一実施例を示すもので、
図1は閉姿勢の縦断側面図、
図2はやや後方から見た開姿勢の全体斜視図、
図3は開姿勢の全体平面図である。
このキャップ体1は、所謂、ヒンジキャップで壜体31の口筒部32にアンダーカット結合により外嵌組付きする本体2と、この本体2の後端にヒンジ16を介して連結された蓋体12とから構成されている。
なお、本実施例でキャップ体1は低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂製の射出成形品である。
【0020】
本体2は、壜体31の口筒部32に外嵌する組付き筒3の上端に頂板4を連設し、この頂板4の上面周端部に、蓋体12の周壁13が係脱可能に外嵌する嵌着筒片5を立設し、この嵌着筒片5の内側には注出口を形成するラッパ状に拡がった注出筒片6が立設されている。
【0021】
注出筒片6内の下端部には、切れ目線溝9の内側部分を除去壁部10とした底壁7が閉鎖状に設けられており、除去壁部10は、その上面に一体設されたプルリング11を使用時に引き上げることにより、切れ目線溝9に沿って破断されて除去されて、開口部7aを形成する。
なお、
図1中ではプルリング11や除去壁部10等、使用時に除去される部分を点線で示している。また
図2、3ではプルリング11や除去壁部10等を除去した状態を示している。
【0022】
本体2にヒンジ16を介して一体設された有頂短円筒状の蓋体12の頂壁14の内面には、蓋体12の閉状態において、注出筒片6に密嵌入して、頂壁14と共に注出筒片6を密閉する栓筒片15が垂下設されている。
【0023】
蓋体12の頂壁14の下面中央部から栓筒片15の内周面とのコーナー部14cに至る領域に、撥水性フィルム21が、この撥水性フィルム21をインサート材としたキャップ体1の射出成形、所謂インサート成形により接着されている。
なお、
図2、3では撥水性フィルム21が接着された部分をクロスハッチして示している。
【0024】
図4は
図1のキャップに使用する撥水性フィルム21の層構成を示す断面図であり、基材フィルム22に疎水性酸化物微粒子Pからなる撥水層23が形成されている。
本実施例では基材フィルム22は厚さ60マイクロメーターのLDPE樹脂製で、疎水性酸化物微粒子Pとして、表面にトリメチルシリル基を有する疎水性シリカ微粒子(例えば、製品名「AEROSIL RX200」、「AEROSIL RX300」、「AEROSIL NX90G」(以上、日本アエロジル株式会社製)、「AEROSIL R812」、「AEROSIL R812S」、「AEROSIL R8200」(以上、エボニック デグサ社製)など)を用いている。
【0025】
インサート成形による撥水性フィルム21の接着は、栓筒片15の内径より若干大きく円形にカットした撥水性フィルム21を、キャップ体1を射出成形するための金型キャビティ面の、蓋体12の頂壁14の中央部に相当する位置にセットした状態で、溶融樹脂を金型キャビティ内に射出、充填することで達成することができる。
なお、撥水性フィルム21の金型キャビティ面の所定位置への固定は、金型に配設した貫通細孔を介してバキュームにより金型面に吸着する方法や、静電気による固定方法を採用することにより確実に達成することができる。
【0026】
なお、本実施例では実際の使用中における内容物の付着態様を考慮して、
図1に示したように頂壁14の下面中央部からコーナー部14cに亘る比較的平坦な部分に撥水性フィルム21を接着させる構成としたが、
さらに、注出筒片6の内周面に撥水性フィルム21を接着させることにより、内容物の液切れが良くなると同時に、注出筒片6への内容物の付着も防ぐことが出来るようになる。
【0027】
ここで、
図4の撥水性フィルム21は、基材フィルム22を軟化温度の低いLDPE樹脂製とし、また60マイクロメーターと比較的薄肉とすることにより良好な可撓性を有するものであり、
インサート成形中、射出、充填される高温、加圧状態の溶融樹脂により、撥水性フィルム21を頂壁14の下面から栓筒片15の内周面下端部に至る有頂筒状の領域に沿って変形させて接着させることも可能である。
また、多少の凹凸形状があっても、当該凹凸形状に沿って接着させることも可能であり、
キャップの被接着面の形状を考慮し、基材フィルム22の材質や厚さを適宜選択することができる。
なお、基材フィルム22を薄肉にしすぎるとインサート時のフィルムの取扱いが難しくなる。
【0028】
また、熱成形等で予め有底筒状等の被接着面の形状に合せた撥水性フィルム21をインサート材として使用することもできる。
さらに、例えばキャップ体の頂壁と周壁と云うように、撥水性フィルム21を接着する領域を、複数の部分に分けて、複数の撥水性フィルム21をインサート材として使用して接着することも可能である。
【0029】
図5は
図1中のA−A線に沿って示す頂壁14の断面図で、頂壁14と撥水性フィルム21の接着状態を示している。
インサート成形では前述したように射出、充填される高温、加圧状態の溶融樹脂によりインサート材である撥水性フィルム21を金型面に押付けるため、基材フィルム22を形成するLDPE樹脂の一部が、軟化あるいは溶融し、蓋体12との密着性を高めることができ、製品の使用中での撥水性フィルム21の剥がれを効果的に防ぐことができ、内容物の非付着効果をより長期間、安定して持続させることができる。
【0030】
次に、
図4に示される撥水性フィルム21の製造方法について説明する。
基本的には、この撥水性フィルム21は基材フィルム22を形成するLDPE樹脂製のフィルムの一方の面に、疎水性酸化物微粒子Pを分散させたコート液を塗布した後、溶媒を蒸発、乾燥して製造される。
図4の実施例について詳述すると、
表面にトリメチルシリル基を有する疎水性酸化物微粒子(製品名「AEROSIL」)30gをエタノール1000mLに分散させて調製したコート液を、LDPE樹脂製のフィルムの一方の面にロールコーティング方式で塗布し、その後100℃で10秒程度かけて乾燥し、エタノールを蒸発させ撥水性フィルム21を得た。
【0031】
また、上記エタノールの100℃で10秒程度の乾燥工程で、基材フィルム22であるLDPE樹脂製のフィルムが部分的に軟化するため、基材フィルム22と撥水層23の密着力を大きくし、微粒子Pの付着力(固定力)をより高めることができる。
【0032】
なお、撥水層23の形成工程、すなわち疎水性酸化物微粒子Pの付着工程を実施する方法は上記のような方法に限定されるものではない。
たとえば、使用する疎水性酸化物微粒子については前述したように多数の製品が販売されており目的に応じて適宜選択して使用することができる。
また、コート液の溶媒としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ヘキシルアルコール等のアルコール類、グリコール類等さまざまな有機溶剤を選択することができ、微粒子の分散濃度も適宜選択できるものである。
また、コート液の塗布方法についてもロールコーティング方式に限定されることなく、生産性や微粒子の付着性を考慮し、スプレーコーティング、グラビアコーティング、バーコート、ドクターブレードコーティング、刷毛塗り、粉体静電法等の公知の方法を採用することができる。
【0033】
次に、
図1のキャップについて撥水性フィルム21を接着させた効果を確認するため、上記説明した実施例(実施例1とする。)のキャップの他に、
図6の表に示すように、撥水性フィルム21の製造時におけるコート液の濃度を低くした実施例2、3のキャップ、及び撥水性フィルム21を接着していない比較例のキャップを用意し、
接着後の撥水性フィルム21の剥がれの有無についての観察、接着前後の撥水層23の算術平均粗さRaの測定、純水の接触角の測定、実際の製品を想定した内容物の付着試験を実施し、その結果を
図6の表に示した。
【0034】
Raの測定方法、純水の接触角の測定方法、及び内容物の付着試験の方法は次のようである。
(1)撥水層23の算術平均粗さRaの測定
撥水層23の表面について、AFM(原子間力顕微鏡「Nanoscope 3a」日本ビーコ社、Digital Instruments社)を用い、JIS−B−0601(2001)に準拠して測定。
(2)純水の接触角の測定試験
図1に示されるキャップについて、撥水性フィルム21が接着した蓋体12の頂壁14下面部分を試験片(試験面)とし、接触角測定装置(接触角計「CA−D」協和界面科学株式会社製)を用いて純水の接触角を測定した。
(3)内容物の付着試験
図1のように、キャップを壜体31の口筒部32に装着し、壜体31に市販のソースを充填後、当該壜体31を10秒間天地逆にし、壜体31の天地を戻し、蓋体12を
図2のように開状態にしてソースのキャップへの付着状態を観察した。
なお、
図6の表中では付着試験の結果を○、△、×で示しているが、○は内容物の付着が殆ど見られない状態、△は付着が若干見られる状態、×は付着量が多く指先等周囲の汚れが懸念される状態を示す。
【0035】
図6の表に示した結果は次の通りである。
(1)撥水フィルム21の剥がれ
インサート成形での接着により、撥水フィルム21の剥がれはなかった。
(2)撥水層23の算術平均粗さRa
インサート成形前の撥水性フィルム21でのRaは実施例1、2、3で大差なく110〜120nm程度であるが、成形後ではコート液の濃度により大きな差が見られる。 すなわち、実施例1では成形の前後で大きな変化はないが、濃度を低くした実施例2では58%程度、実施例3では44%程度の値に低下しており、キャップ体1の射出成形時の圧力により微粒子からなる撥水層23が圧縮されたものと推定される。
【0036】
(3)純水の接触角
実施例1のキャップでは>150°、すなわち装置の測定限界を超えており十分な撥水性を有する。
一方、実施例2、3の接触角はそれぞれ139°、126°で、実施例1のキャップより低下している。
また、接触角の大きさとインサート成形後の撥水層23のRaには相関があり、成形後のRaの低下を抑えることにより接触角の低下を抑えることができることが判る。
(4)内容物の付着
内容物(本試験ではソース)の付着についてみると、純水の接触角と相関関係が有り、実施例1のキャップのように接触角を十分に大きくする、すなわち撥水性を十分大きくすることにより、内容物の付着を効果的に抑制すること、すなわち内容物の非付着性を高いレベルで達成することができることが判る。
ただし、実施例2、3のキャップでも比較例のキャップに対して非付着性の改善があり、内容液の種類、キャップの形状、内容物を充填した容器製品の使用態様によっては使用することができるレベルにある。
【0037】
以上、本発明の実施の態様を実施例に沿って説明したが、本発明の合成樹脂製キャップの実施態様はこれまでの説明の中でも、個別的にそのバリエーションを記載したようにこれら実施例に限定されるものではない。
本発明の実施形態のバリエーションについてさらに言及すると、
キャップ体は
図1〜3の実施例で説明したヒンジキャップに限定されるものではなく、ケチャップなどに使用されているヒンジキャップや、飲料用のペットボトル等に一般的に多く使用される有頂筒状のシンプルな形状をしたキャップ等、さまざまな形状のものを使用することができる。
【0038】
たとえば、
図7は、ケチャップ用の容器に使用されるキャップ体1を示す斜視図で、
図7(a)は斜め上方から見た、
図7(b)は斜め下方から見た開姿勢の斜視図である。
このキャップ体1は
図1〜3に示したキャップ体と同様にヒンジキャップで、壜体の口筒部に螺合組付きする本体2と、この本体2の後端にヒンジ16を介して連結された蓋体12とから構成されている。
本体2の頂板4には周縁部側にオフセットした位置に、十字状の整流片4bを配設した注出孔4aが開口形成されており、この注出孔4aの開口縁からノズル4nが起立設している。また蓋体12の頂壁14の内面には、蓋体12の閉状態において、ノズル4nに密に外嵌して頂壁14と共にノズル4nを密閉する栓筒片15aが垂下設されている。
【0039】
そして、
図7中に示した領域P1(蓋体12の頂壁14の下面の栓筒片15aで囲まれた領域)、領域P2(ノズル4nの内周面)、領域P3(本体2の頂板4の上面)、領域P4(本体2の頂板4の下面)等に撥水性フィルム21を接着することにより、使用中におけるキャップ体1へのケチャップの付着を効果的に防ぐことができると共に、特に領域P2へ撥水性フィルム21を接着することにより、内容物であるケチャップの液切れ性を良好に保持することができる。
【0040】
また、キャップ体1はLDPE樹脂製の他にも、高密度ポリエチレン樹脂製、中密度ポリエチレン樹脂製、ポリプロピレン樹脂製、ポリスチレン系樹脂製、ポリエステル系樹脂製等、用途を考慮して、従来から使用されている合成樹脂製のキャップ体を使用することができる。
【0041】
また、撥水フィルム21の層構成についても、使用目的を考慮してさまざまな態様の構成とすることができ、上記実施例では基材フィルム22をキャップ体1と同様にLDPE樹脂製としたが、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム等、使用目的に応じて選択することができる。
また基材フィルム22をキャップ体とは異種の合成樹脂性とする場合には、キャップ体との接着性を考慮して、ホットメルト等の接着層を積層することもできる。