特許第5988165号(P5988165)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ユタカ技研の特許一覧

特許5988165排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造
<>
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000002
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000003
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000004
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000005
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000006
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000007
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000008
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000009
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000010
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000011
  • 特許5988165-排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988165
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造
(51)【国際特許分類】
   F02B 77/11 20060101AFI20160825BHJP
   F01N 13/14 20100101ALI20160825BHJP
   F16F 1/18 20060101ALI20160825BHJP
   F16F 15/06 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   F02B77/11 D
   F01N13/14
   F16F1/18 Z
   F16F15/06 A
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-163214(P2013-163214)
(22)【出願日】2013年8月6日
(65)【公開番号】特開2015-31243(P2015-31243A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】100071870
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 健
(74)【代理人】
【識別番号】100097618
【弁理士】
【氏名又は名称】仁木 一明
(74)【代理人】
【識別番号】100152227
【弁理士】
【氏名又は名称】▲ぬで▼島 愼二
(72)【発明者】
【氏名】榛地 学
(72)【発明者】
【氏名】白井 宏和
(72)【発明者】
【氏名】高柳 淳
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0067952(US,A1)
【文献】 実開昭58−045923(JP,U)
【文献】 特開2004−116442(JP,A)
【文献】 特開平05−296037(JP,A)
【文献】 特開2012−149698(JP,A)
【文献】 実開平02−092020(JP,U)
【文献】 実開昭58−004726(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 13/14
F02B 77/11
DWPI(Thomson Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気系部品(C)に,これを覆う遮熱カバー(3)を緩衝部材(7)を介して連結してなる,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造において,
前記緩衝部材(7)を,前記遮熱カバー(3)よりも板厚が薄い金属板製とすると共に,排気系部品(C)に締結される中央連結部(10)と,この中央連結部(10)を囲繞して前記遮熱カバー(3)に連結される外周連結部(11)と,これら中央連結部(10)及び外周連結部(11)間を一体に連結する複数の弾性腕部(12)とで構成し,それら弾性腕部(12)に,各弾性腕部(12)の撓みと伸縮を可能にする屈曲部(12a)を形成する一方,相隣る前記弾性腕部(12)間を通って前記遮熱カバー(3)及び外周連結部(11)を挟持する連結部材(18)を備えるようにしたことを特徴とする,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造。
【請求項2】
請求項記載の排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造において,
前記連結部材(18)を,前記遮熱カバー(3)及び外周連結部(11)の一側面に重ねられる環状板部(19)と,この環状板部(19)の内周縁より延出して相隣る前記弾性腕部(12)間を通り前記環状板部(19)と協働して前記遮熱カバー(3)及び外周連結部(11)を挟持する複数の折り曲げ片(20)とで構成したことを特徴とする,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造。
【請求項3】
排気系部品(C)に,これを覆う遮熱カバー(3)を緩衝部材(7)を介して連結してなる,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造において,
前記緩衝部材(7)を,前記遮熱カバー(3)よりも板厚が薄い金属板製とすると共に,排気系部品(C)に締結される中央連結部(10)と,この中央連結部(10)を囲繞して前記遮熱カバー(3)に連結される外周連結部(11)と,これら中央連結部(10)及び外周連結部(11)間を一体に連結する複数の弾性腕部(12)とで構成し,それら弾性腕部(12)に,各弾性腕部(12)の撓みと伸縮を可能にする屈曲部(12a)を形成する一方,相隣る前記弾性腕部(12)間を通り前記遮熱カバー(3)と協働して前記外周連結部(11)を挟持する複数の折り曲げ片(23)を前記遮熱カバー(3)に一体に連設したことを特徴とする,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造。
【請求項4】
排気系部品(C)に,これを覆う遮熱カバー(3)を緩衝部材(7)を介して連結してなる,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造において,
前記緩衝部材(7)を,前記遮熱カバー(3)よりも板厚が薄い金属板製とすると共に,排気系部品(C)に締結される中央連結部(10)と,この中央連結部(10)を囲繞して前記遮熱カバー(3)に連結される外周連結部(11)と,これら中央連結部(10)及び外周連結部(11)間を一体に連結する複数の弾性腕部(12)とで構成し,それら弾性腕部(12)に,各弾性腕部(12)の撓みと伸縮を可能にする屈曲部(12a)を形成する一方,前記遮熱カバー(3)に前記緩衝部材(7)の周方向に並ぶ複数の連結孔(25)を設け,これら連結孔(25)を通り前記外周連結部(11)と協働して前記遮熱カバー(3)を挟持する複数の折り曲げ片(26)を,周方向で前記弾性腕部(12)と異なる位置で前記外周連結部(11)の外周に一体に連設したことを特徴とする,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造。
【請求項5】
請求項1〜の何れかに記載の排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造において,
前記外周連結部(11)に,その周方向に並ぶ複数の肉抜き孔(15)を設けたことを特徴とする,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,内燃機関の排気系部品に,これを覆う遮熱カバーを緩衝部材を介して連結してなる,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
かゝる排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造は,下記特許文献1及び2に開示されているように既に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−356138号公報
【特許文献2】特開2005−30571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造では,遮熱カバーの,排気系部品にボルト締結される締結部の周りに,一片の脆弱部を残して円弧状の切欠きを設け,上記脆弱部の弾性を利用して,排気系部品から遮熱カバーへの振動を吸収するようにしている。上記脆弱部の板厚は,遮熱カバー自体のそれと同一であり,その脆弱部に振動吸収に必要な低ばね定数を付与するには,脆弱部を一片とすると共に,それを幅狭としなければならない。しかしながら,そのようにすると,一片の脆弱部は,振動吸収時,集中応力により破損する虞があり,信頼性に不安がある。
【0005】
また特許文献2に記載のものでは,緩衝部材を,排気系部品に締結されるカラー部材と,このカラー部材を囲繞して遮熱カバーに連結される嵌合部材と,これらカラー部材及び嵌合部材間を四方向で連結する三個以上のコイルばねとで構成している。こうしたものでは,排気系部品の全方向の振動を上記コイルばねにより吸収して遮熱カバーへの伝達を抑制できるものゝ,部品点数が多く,構造が複雑であり,該構造を低コストで提供することが困難である。
【0006】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,排気系部品の振動の吸収が良好であると共に,耐久性が高く,しかも部品点数が少なく構造が簡単で安価な,前記排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために,本発明は,排気系部品に,これを覆う遮熱カバーを緩衝部材を介して連結してなる,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造において,前記緩衝部材を,前記遮熱カバーよりも板厚が薄い金属板製とすると共に,排気系部品に締結される中央連結部と,この中央連結部を囲繞して前記遮熱カバーに連結される外周連結部と,これら中央連結部及び外周連結部間を一体に連結する複数の弾性腕部とで構成し,それら弾性腕部に,各弾性腕部の撓みと伸縮を可能にする屈曲部を形成する一方,相隣る前記弾性腕部間を通って前記遮熱カバー及び外周連結部を挟持する連結部材を備えるようにしたことを第1の特徴とする。尚,前記排気系部品は,後述する本発明の実施形態中の触媒コンバータCに対応する
【0008】
らに本発明は,第の特徴に加えて,前記連結部材を,前記遮熱カバー及び外周連結部の一側面に重ねられる環状板部と,この環状板部の内周縁より延出して相隣る前記弾性腕部間を通り前記環状板部と協働して前記遮熱カバー及び外周連結部を挟持する複数の折り曲げ片とで構成したことを第の特徴とする。
【0009】
さらにまた本発明は,排気系部品に,これを覆う遮熱カバーを緩衝部材を介して連結してなる,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造において,前記緩衝部材を,前記遮熱カバーよりも板厚が薄い金属板製とすると共に,排気系部品に締結される中央連結部と,この中央連結部を囲繞して前記遮熱カバーに連結される外周連結部と,これら中央連結部及び外周連結部間を一体に連結する複数の弾性腕部とで構成し,それら弾性腕部に,各弾性腕部の撓みと伸縮を可能にする屈曲部を形成する一方,相隣る前記弾性腕部間を通り前記遮熱カバーと協働して前記外周連結部を挟持する複数の折り曲げ片を前記遮熱カバーに一体に連設したことを第の特徴とする。
【0010】
さらにまた本発明は,排気系部品に,これを覆う遮熱カバーを緩衝部材を介して連結してなる,排気系部品への遮熱カバーの防振取り付け構造において,前記緩衝部材を,前記遮熱カバーよりも板厚が薄い金属板製とすると共に,排気系部品に締結される中央連結部と,この中央連結部を囲繞して前記遮熱カバーに連結される外周連結部と,これら中央連結部及び外周連結部間を一体に連結する複数の弾性腕部とで構成し,それら弾性腕部に,各弾性腕部の撓みと伸縮を可能にする屈曲部を形成する一方,前記遮熱カバーに前記緩衝部材の周方向に並ぶ複数の連結孔を設け,これら連結孔を通り前記外周連結部と協働して前記遮熱カバーを挟持する複数の折り曲げ片を,周方向で前記弾性腕部と異なる位置で前記外周連結部の外周に一体に連設したことを第の特徴とする。
【0011】
さらにまた本発明は,第1〜第の特徴の何れかに加えて,前記外周連結部に,その周方向に並ぶ複数の肉抜き孔を設けたことを第の特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の特徴によれば,緩衝部材を,遮熱カバーよりも板厚が薄い金属板製とすると共に,排気系部品に締結される中央連結部と,この中央連結部を囲繞して遮熱カバーに連結される外周連結部と,これら中央連結部及び外周連結部間を一体に連結する複数の弾性腕部とで構成し,それら弾性腕部に,各弾性腕部の撓みと伸縮を可能にする屈曲部を形成したので,複数の弾性腕部は,それぞれが有する屈曲部の撓みと伸縮作用により,排気系部品から伝達されるあらゆる方向の振動をよく吸収して,外周連結部及びそれに連結した遮熱カバーへの振動の伝達を効果的に抑制し,振動騒音の発生を防ぐことができる。また弾性腕部の振動吸収時,発生する応力は,複数の弾性腕部に分散することになるから,集中応力の発生を回避し,緩衝部材の耐久性を高めることができる。その上,緩衝部材が単品である上,構造が簡単であるので,遮熱カバーの防振取り付け構造を安価に提供することができる。
【0013】
また,相隣る弾性腕部間を通って遮熱カバー及び外周連結部を挟持する連結部材を備えるので,遮熱カバー及び外周連結部間の連結を簡単に行うことができる。
【0014】
本発明の第の特徴によれば,連結部材を,遮熱カバー及び外周連結部の一側面に重ねられる環状板部と,この環状板部の内周縁より延出して相隣る弾性腕部間を通り環状板部と協働して遮熱カバー及び外周連結部を挟持する複数の折り曲げ片とで構成したので,単一の連結部材により緩衝部材と遮熱カバーとの連結を行うことになり,その連結構造も簡単である。
【0015】
本発明の第の特徴によれば,相隣る弾性腕部間を通り遮熱カバーと協働して外周連結部を挟持する複数の折り曲げ片を遮熱カバーに一体に連設したので,特別な連結部材を使用することなく,緩衝部材及び遮熱カバー間の連結を行うことができ,遮熱カバーの防振取り付け構造のコスト低減に寄与し得る。
【0016】
本発明の第の特徴によれば,遮熱カバーに緩衝部材の周方向に並ぶ複数の連結孔を設け,これら連結孔を通り外周連結部と協働して遮熱カバーを挟持する複数の折り曲げ片を,周方向で弾性腕部と異なる位置で外周連結部の外周に一体に連設したので,これによっても特別な連結部材を使用することなく,緩衝部材及び遮熱カバー間の連結を行うことができ,遮熱カバーの防振取り付け構造のコスト低減に寄与し得る。
【0017】
本発明の第の特徴によれば,外周連結部に,その周方向に並ぶ複数の肉抜き孔を設けたので,外周連結部は,部分的に弾性腕部に連なる弾性部分となり,弾性腕部のばね定数を一層下げ得て,緩衝部材の振動吸収性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態を示す遮熱カバー付き排気浄化用触媒コンバータの側面図。
図2図1の2−2線拡大断面図(図3の2−2線断面図)。
図3図2の3矢視図。
図4図2及び図3中の緩衝部材の斜視図。
図5図2及び図3中の連結部材の斜視図。
図6】本発明の第2実施形態を示す,図2との対応図。
図7】本発明の第3実施形態を示す,図2との対応図。
図8】本発明の第4実施形態を示す,図2との対応図(図9の8−8線断面図)。
図9図8の9矢視図。
図10】本発明の第5実施形態を示す,図2との対応図(図11の10−10線断面図)。
図11図10の11矢視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。
【0020】
先ず,図1図5に示す本発明の第1実施形態の説明より始める。図1において,符号Cは自動車用内燃機関の排気浄化用の触媒コンバータであり,内燃機関と車体のダッシュボードとの間に長手方向を鉛直方向に向けて配置され,その上流端には,内燃機関の排気マニフォルドが接合される入口フランジ1が,下方の下流端には,排気管が接続される出口フランジ2がそれぞれ形成される。而して,この触媒コンバータCは内燃機関の排気系の一構成部品であり,この触媒コンバータCには,入口フランジ1及び出口フランジ2間において,触媒コンバータCの隣接部材,例えば前記ダッシュボードに対面する側面を覆うAl合金製の遮熱カバー3が取り付けられる。
【0021】
図1及び図2に示すように,触媒コンバータCの外面の複数箇所にカバーステー4が溶接等により固着され,これらカバーステー4に遮熱カバー3が緩衝部材7を介して取り付けられる。
【0022】
各カバーステー4は,透孔5と,その下面に配置されるウェルディングナット6とを備えている。
【0023】
図2図4に示すように,緩衝部材7は,前記遮熱カバー3よりも板厚が薄い鋼板を素材としたプレス製であって,中心部に取り付け孔8を有する円形の中央連結部10と,この中央連結部10を囲繞すると共に,この中央連結部10に対して軸方向にオフセットした環状の外周連結部11と,これら中央連結部10及び外周連結部11間を一体に連結して,これら中央連結部10及び外周連結部11間の振動を吸収する複数の弾性腕部12とよりなっている。複数の弾性腕部12は緩衝部材7の周方向に沿って等間隔に配置され,各弾性腕部12には,各弾性腕部12の撓みと伸縮を可能にする山形の屈曲部12aが形成される。また外周連結部11には,その周方向に並ぶ複数の肉抜き孔15が穿設される。
【0024】
外周連結部11の上面に遮熱カバー3が載せられる。この遮熱カバー3には,外周連結部11の内周縁に対応する円形の透孔17が穿設され,この透孔17と,複数の弾性腕部12間のスペースを利用して連結部材18により遮熱カバー3及び外周連結部11間が連結される。
【0025】
上記連結部材18は,図2図3及び図5に示すように,環状板部19と,この環状板部19の内周縁より延出する複数の折り曲げ片20とよりなっており,その環状板部19は遮熱カバー3の上面に重ねられ,複数の折り曲げ片20は,これを遮熱カバー3の透孔17及び複数の弾性腕部12間のスペースに通した後,半径方向外方に曲げられる。これにより複数の折り曲げ片20は,環状板部19と協働して遮熱カバー3及び外周連結部11を挟持して連結することになる。
【0026】
遮熱カバー3に連結した緩衝部材7の中央連結部10は,前記カバーステー4上に載せられ,ボルト21が,中央連結部10の取り付け孔8,カバーステー4の透孔5を通してウェルディングナット6に螺合緊締され,これにより中央連結部10は,カバーステー4に締結される。
【0027】
前記緩衝部材7及び連結部材18の表面には,電蝕を防ぐメッキ層を形成することが望ましい。
【0028】
次に,この実施形態の作用について説明する。
【0029】
内燃機関の排気系の触媒コンバータCは,内燃機関の運転中,排ガスを浄化し,その浄化反応熱により高温となるが,この触媒コンバータCの側面を遮熱カバー3が覆っているので,遮熱カバー3は,触媒コンバータCの輻射熱を遮り,触媒コンバータCに隣接する各種機器への熱害を防ぐことができる。
【0030】
また触媒コンバータCが,その内部で発生する排気脈動等に起因して振動し,その振動が,カバーステー4から緩衝部材7の中央連結部10へ,さらに複数の弾性腕部12へと伝達する。
【0031】
ところで,緩衝部材7の各弾性腕部12は,遮熱カバー3より板厚が薄く,しかも各弾性腕部12の撓みと伸縮を可能にする屈曲部12aを一体に有しているので,弾性腕部12群は,全体として全方向に容易に撓むことができ,したがって触媒コンバータC側から伝達されるあらゆる方向の振動をよく吸収して,外周連結部11及びそれに連結した遮熱カバー3への振動の伝達を効果的に抑制し,振動騒音の発生を防ぐことができる。
【0032】
特に,各弾性腕部12の屈曲部12aの形状により弾性腕部12のばね定数を所望通りに低く設定することが可能であり,その結果,弾性腕部12群は,エンジンの低速運転時,触媒コンバータCの振幅が大なる振動をも,これをよく吸収して,遮熱カバー3の振動を抑え,エンジンの静粛性の維持に貢献する。
【0033】
さらに連結部材18の複数の折り曲げ片20により遮熱カバー3に連結される外周連結部11には,その周方向に並ぶ複数の肉抜き孔15が設けられるので,外周連結部11は,部分的に弾性腕部12に連なる弾性部分となり,弾性腕部12のばね定数を一層下げることができ,その振動吸収性を高めることができる。
【0034】
しかも弾性腕部12群の振動吸収時,発生する応力が弾性腕部12群全体に分散することになるから,集中応力の発生を回避して,各弾性腕部12の耐久性を高めることができる。その上,緩衝部材7が単品である上,構造が簡単であり,また単一の連結部材18を使用しての緩衝部材7と遮熱カバー3との連結構造も簡単であるので,遮熱カバー3の防振取り付け構造を安価に提供することができる。
【0035】
次に,図6に示す本発明の第2実施形態について説明する。
【0036】
この第2実施形態では,各弾性腕部12の屈曲部12aがS字状をなす点で前実施形態と相違しており,その他の構成は前実施形態と同様であるので,図6中,前実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。この第2実施形態の作用効果は前実施形態と変わらない。
【0037】
次に,図7に示す本発明の第3実施形態について説明する。
【0038】
この第3実施形態では,各弾性腕部12の屈曲部12aが複数段に形成される点で前記第1及び第2実施形態と相違しており,その他の構成は第1及び第2実施形態と同様であるので,図7中,第1及び第2実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
【0039】
この第3実施形態によれば,各弾性腕部12の撓みと伸縮性がより向上し,弾性腕部12のばね定数が一層下がり,その振動吸収性を高めることができる。
【0040】
次に,図8及び図9に示す本発明の第4実施形態について説明する。
【0041】
この第4実施形態では,遮熱カバー3に,その透孔17の内周縁より起立する複数の折り曲げ片23が一体に形成され,これら折り曲げ片23が緩衝部材7の複数の弾性腕部12間のスペースを通過した後,半径方向外方へ折り曲げられ,この折り曲げ片23と遮熱カバー3とで緩衝部材7の外周連結部11が挟持される。その他の構成は前記第1実施形態と同様であるので,図8及び図9中,第1実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
【0042】
この第4実施形態によれば,特別な連結部材を使用することなく,緩衝部材7と遮熱カバー3との連結を行うことができ,遮熱カバー3の防振取り付け構造を更に安価に提供することができる。
【0043】
最後に,図10及び図11に示す本発明の第5実施形態について説明する。
【0044】
この第5実施形態では,遮熱カバー3に,その透孔17を囲む複数の連結孔25が設けられる。また緩衝部材7の外周連結部11の外周縁には,そこから起立する複数の折り曲げ片26が,周方向で弾性腕部12と異なる位置で一体に連設され,これら折り曲げ片26が前記連結孔25を通過した後,半径方向内方に折り曲げられ,この折り曲げ片26と外周連結部11とで遮熱カバーが挟持される。
【0045】
その他の構成は前記第1実施形態と同様であるので,図10及び図11中,第1実施形態と対応する部分には同一の参照符号を付して,重複する説明を省略する。
【0046】
この第5実施形態によっても,特別な連結部材を使用することなく,緩衝部材7と遮熱カバー3との連結を行うことができ,遮熱カバー3の防振取り付け構造を更に安価に提供することができる。
【0047】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,排気マニフォルドや排気管に遮熱カバーを取り付ける際にも本発明を適用することができる。また排気系部品を覆う遮熱カバーの位置は,排気系部品の種類や配置,隣接部材の配置に応じて自由に選定することができる。
【符号の説明】
【0048】
C・・・・・・排気系部品(触媒コンバータ)
3・・・・・・遮熱カバー
7・・・・・・緩衝部材
10・・・・・中央連結部
11・・・・・外周連結部
12・・・・・弾性腕部
12a・・・・屈曲部
15・・・・・肉抜き孔
18・・・・・連結部材
19・・・・・環状板部
20・・・・・折り曲げ片
23・・・・・折り曲げ片
25・・・・・連結孔
26・・・・・折り曲げ片
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11