特許第5988178号(P5988178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5988178電子部品のプリント基板又はプリント基板の中間生成物への集積方法及びプリント基板又はプリント基板の中間生成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988178
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】電子部品のプリント基板又はプリント基板の中間生成物への集積方法及びプリント基板又はプリント基板の中間生成物
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20160825BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   H05K3/46 Q
   H05K3/46 U
   H01L23/12 L
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-550705(P2013-550705)
(86)(22)【出願日】2012年1月24日
(65)【公表番号】特表2014-505367(P2014-505367A)
(43)【公表日】2014年2月27日
(86)【国際出願番号】AT2012000011
(87)【国際公開番号】WO2012100274
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2015年1月23日
(31)【優先権主張番号】GM41/2011
(32)【優先日】2011年1月26日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】513159192
【氏名又は名称】エーティー アンド エス オーストリア テクノロギー アンド システムテクニーク アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイディンガー,ゲラルド
(72)【発明者】
【氏名】ツルク,アンドリース
(72)【発明者】
【氏名】スター,ヨハネス
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−153505(JP,A)
【文献】 特開2010−021423(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/103695(WO,A1)
【文献】 特開2006−261246(JP,A)
【文献】 特表2008−544511(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
H01L 23/12
H05K 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの電子部品をプリント基板又はプリント基板の中間生成物に集積する方法であって、以下の工程、すなわち
電子部品(1、21、31、41、51)を少なくとも暫定的に支持するための支持層(2、22、32、42、52)を提供する工程
前記電子部品(21、41)の接点(24、23)又は前記電子部品(1、3)の表面に配置された第一の導電層(4、34)が前記支持層(2、22、32、42、52)に配向されるように、前記支持層(2、22、32、42、52)上に前記電子部品(1、21、31、41、51)を固定する工程
金属箔で形成される、前記電子部品(1、21、31、41、51)に近接した第二の導電層(5、25、35、45、53)を、前記支持層(2、22、32、42、52)上で、前記電子部品(21、41)の前記接点(24、43)又は前記電子部品(1、31)表面の第一の導電層(4、34)と同じ高さに、固定されるべき前記電子部品(1、21、31、41、51)の寸法に対応した少なくとも1つの隙間(6、26、38、46、60)を備えて配置する工程
前記支持層に固定された前記電子部品(1、21、31、41、51)及び、前記電子部品(1、21、31、41、51)に近接し、前記支持層(2、22,32,42,52)上に配置された前記第二の導電層(5、25、35、45、53)の少なくとも部分領域をプリプレグシート及び/又は樹脂を含む絶縁素材(7、9、27、36、48、54、55)で少なくとも部分的に被覆する工程
前記電子部品の前記接点(24、43)又は前記第一の導電層(4、34)、及び前記部品に近接し、前記支持層(2、22、32、42、52)上に配置された前記第二の導電層(5、25、35、45)の少なくとも部分領域を、前記支持層(2、22、32、42)の除去後に或いは除去によって露出する工程および
前記電子部品(1、21、31、41、51)の前記接点(24、43)又は前記第一の導電層(4、34)を前記電子部品に近接する前記第二の導電層(5、25、35、45、53)と、さらなる導電層(12、13)を介して少なくとも部分的に接続する工程、を含む方法。
【請求項2】
前記電子部品(1、21、31、41、51)、前記支持層(2、22、32、42、52)上に、接着箔、又は部品の接着膜を含む接着層(3、23、33、44)介して固定前記支持層(2、22、32、42、52)を除去するとき、前記接着層(3、23、33、44)も前記支持層(2、22、32、42、52)とともに除去することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記接着層(3、23、33、44)を、0.1から15μmの厚さに形成することを特徴とする請求項2に記載方法。
【請求項4】
前記接着層(3、23、33、44)を、インクジェット、フレックス、凹版又はオフセット印刷によって塗着することを特徴とする請求項1、2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記第二の導電層(25、45)を、導電性向上のために、0.1から15μmの厚さに形成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第二の導電層(35)を、放熱性向上のために、35から500μmの厚さに形成することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記電子部品(21、41)の前記絶縁素材(27)による被覆後に、前記電子部品(21、41)に近接する前記第二の導電層(25、45)をパターニングすることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記支持層(22、42)を除去した後、前記支持層(22、42)に向けられた前記電子部品(21、41)の前記接点(24、43)を、パターニングされた前記第二の導電層(25、45)接続することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記電子部品(1、31)の前記第一の導電層(4、34)の露出後、前記第一の導電層(4、34)の全面を前記さらなる導電層(12)を介して、近接する前記第二の導電層(5、35)と接続することを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記さらなる導電層(12)が熱伝導性素材で形成されていることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記電子部品(1、21、31、41)の前記第一の導電層(4、34)又は前記接点(24、43)露出前記電子部品(1、21、31、41)に近接する前記第二の導電層(5、25、35、45)と接続した後、プリント基板にさらなる導電層(12、13、29、30、57)を形成しパターニングすることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
プリント基板の少なくとも1枚の更なる層(57)の集積された前記電子部品(51)の領域内に、凹部或いは溝(59)を設けることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プリプレグシート及び/又は樹脂を含む絶縁素材によって少なくとも部分的被覆された電子部品(1、21、31、41、51)及び、前記電子部品(21、41)の接点(24、43)又は前記電子部品(1,31)表面の第一の導電層(4、34)と同じ高さに配置され、前記部品に近接する第二の導電層(5、25、35、45、53)から成るプリント基板又はプリント基板の中間生成物であって
前記電子部品に近接する前記第二の導電層(5、25、35、45、53)が少なくとも1つの、固定された前記電子部品(1、21、31、41、51)の寸法に対応した隙間(6、26、38、46、60)を備え
前記電子部品(21、41)の前記接点(24、43)又は前記電子部品(1、31)の表面に配置された前記第一の導電層(4、34)が、前記電子部品(1、21、31、41、51)に近接した前記第二の導電層(5、25、35、45)と、前記プリント基板に形成されパターニングされたさらなる導電層(12,13,29、、30,57)を介して連結されており
前記電子部品(1、21、31、41、51)に近接する前記第二の導電層(5、25、35、45、53)が金属箔で形成されており、
前記電子部品(1、21、31、41、51)、及び前記電子部品(1、21、31、41、51)に近接して配置され前記第二の導電層(5、25、35、45、53)の少なくとも部分領域がプリプレグシート及び/又は樹脂から形成された絶縁素材(7、9、27、36、48、54、55)によって少なくとも部分的に被覆されていること、および
前記電子部品(21、41)の接点(24、43)の頂部又は前記電子部品(1,31)表面の第一の導電層(4、34)の頂部が、前記部品に近接する第二の導電層(5、25、35、45、53)の頂部および前記隙間に被覆された前記絶縁素材(7、9、27、36、48、54、55)の頂部と同一平面上に位置していること、を特徴とするプリント基板又はプリント基板の中間生成物
【請求項14】
前記第二の導電層(25、45)が、導電性向上のために、0.1から15μmの厚さを有することを特徴とする請求項13に記載のプリント基板又はプリント基板の中間生成物
【請求項15】
前記第二の導電層(35)が、放熱性向上のために、35から500μmの厚さを有することを特徴とする請求項13に記載のプリント基板又はプリント基板の中間生成物
【請求項16】
前記電子部品(21、41)の前記接点(24、43)との接続のために、前記部品(21、41)に近接する前記第二の導電層(25、45)パターニングされていることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載のプリント基板又はプリント基板の中間生成物
【請求項17】
前記電子部品(1、31)の前記第一の導電層(4、34)の全面が、前記さらなる導電層(12)を介して、近接する前記第二の導電層(5、35)と接続されていることを特徴とする、請求項13から15のいずれか一項に記載のプリント基板又はプリント基板の中間生成物
【請求項18】
前記さらなる導電層(12)が熱伝導性素材で形成されていることを特徴とする請求項17に記載のプリント基板又はプリント基板の中間生成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの電子部品をプリント基板又はプリント基板中間体に集積する方法、及びプリント基板又はプリント基板中間体に係る。
【背景技術】
【0002】
電子部品を備えた機器の製品機能の向上と、そのような電子部品の微細化の進展、及びプリント基板に実装される電子部品数の増加という関連において、複数の接点或いは端子を備え、それら接点の間隔をより縮小した、複数の電子部材を有する、より高性能のフィールド型或いはアレー型に形成された部品或いはパッケージが使用されている。そのような部品の固定又は接触のために、極めて細分化されたプリント基板の使用がますます必要とされ、そのとき使用されるべき部品とプリント基板の製品サイズが、そうした要素の厚さと面積という点において同時に縮小される場合、そのような電子部品を必要となる複数の接触部分を介してプリント基板上に実装或いは配置することが困難になること、或いはそのような接触部分の可能な分解能が限界に達することが予想されるのは必至である。
【0003】
このような問題を解決するために、これまでに例えば国際公開公報第03−065778号(特許文献1)、国際公開公報第03−065779号(特許文献2)、又は国際公開公報第2004−077902号(特許文献3)に示されているように、電子部品を少なくとも部分的にプリント基板に集積することが提案されている。
【0004】
しかし、プリント基板に集積された電子部品或いは部材のこれらの公知の方法及び実施形態において、このような電子部品或いは部材を搭載するために、それぞれ凹部或いは孔がプリント基板の基礎部材の中に設けられ、さらに、そのとき部品をそのような孔中に配置する前にトレースが形成されるという不利が生じる。部品の接触のために、はんだ付け工程及びボンディング技術が使用され、そのとき通常接触部分はトレースの要素間及び電子部品の接触或いは接続部分間の異なった種類の素材間に生じる。
【0005】
特にこのようなシステムが大きな温度差或いは温度変化領域のある環境で使用される場合、 異なった温度による膨張係数を考慮し、接触或いは接続部分の領域で異なる素材を使用することにより、少なくとも1つの接触或いは接続部分の亀裂と、それによる部品の故障に繋がる可能性のある、機械的に或いは熱によって誘導された張力が生じる。その上、接触面を作成するために追加で必要となる穿孔、特にレーザー・ボーリングが部材に負担をかけることが想定できる。更に、作成されるべき凹部又は溝に埋め込まれた部品のトレースと接触面との接触が、はんだペースト又はボンディングワイヤによって妨げられ、或いは特に変動する温度による負担があるときの使用の際、確実に遂行されないという不利が生じる。
【0006】
補足として、場合によりプリント基板製造過程において生じる高圧と高温が、埋め込まれ接触される部材の負担となるという不利がある。更には、場合によってより強く帯電された電子部品の放熱が問題となる。
【0007】
米国特許公開番号2008/0196930A1号明細書(特許文献4)及び米国特許公開番号2010/0214750A1号明細書(特許文献5)から、プリント基板の製造或いはプリント基板への電子部品の埋め込みの方法は知られており、それらの場合、集積或いは固定されるべき部品の接点に合わせた隙間を導電層内に設けるため、そのような接点の小さな寸法を考慮し、そのような隙間を形成及び設置することに、多大な労力を必要とする。
【0008】
プリント基板への部品の埋め込みの変形された実施形態は、米国特許公開番号2009/0230541A1号明細書(特許文献6)、米国特許公開番号2006/0291173A1号明細書(特許文献7)又は米国特許公開番号2010/0044845A1号明細書(特許文献8)に見られ、それらの場合、例えば接触の簡略化が目標とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開公報第2003−065778号
【特許文献2】国際公開公報第2003−065779号
【特許文献3】国際公開公報第2004−077902号
【特許文献4】米国特許公開番号2008/0196930A1号明細書
【特許文献5】米国特許公開番号2010/0214750A1号明細書
【特許文献6】米国特許公開番号2009/0230541A1号明細書
【特許文献7】米国特許公開番号2006/0291173A1号明細書
【特許文献8】米国特許公開番号2010/0044845A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って本発明は、少なくとも1つの電子部品をプリント基板に集積する際の上述の問題を最小化又は解決することを目的とし、特に冒頭で述べられた種類の方法及び、製造されるべきプリント基板或いは製造されるべきプリント基板中間体を特に簡単に登録及び薄型化し、簡単な方法工程において、そのような電子部品をプリント基板或いはプリント基板中間体に簡単かつ確実に配置することができるプリント基板或いはプリント基板中間体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの課題を解決するために、冒頭に述べられた種類の方法は、実質的に以下の工程を含む。
− 電子部品を少なくとも暫定的に支持するための層を提供し、
− 層上に電子部品を固定し、そのとき電子部品の接点又は電子部品の表面に配置された導電層が支持層に配向され、
− 導電層を支持層上に、電子部品の接点又は電子部品の表面の導電層の高さに、固定されるべき電子部品の寸法と一致した少なくとも1つの隙間とともに配置し、そのとき部品に近接する導電層は金属箔、特に銅箔で形成され、
− 支持層上に固定される部品及び、部品に近接し支持層上に配置された導電層の少なくとも部分領域を、例えばプリプレグシート及び/又は樹脂のような絶縁素材によって、少なくとも部分的に包囲或いは被覆し、
− 電子部品の接点又は導電層、及び部品に近接し支持層上に配置された導電層の少なくとも部分領域を、支持層の除去後或いは除去によって露出し、
− 電子部品の接点又は導電層を、部品に近接する導電層と、少なくとも部分的に接触させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、固定されるべき電子部品の寸法と一致した少なくとも1つの隙間を有する導電層を支持層上に配置することにより、そのような導電層を埋め込まれるべき電子部品の接点又は導電層と同じ高さに配置することができ、それによる更なる結果として、この導電層を集積された電子部品と簡単に接触させることができる。さらに、この導電層を集積されるべき電子部品の後にで出されるべき表面と同じ高さに配置することによって、製造されるべきプリント基板或いは製造されるべきプリント基板中間体の総厚を低減することが可能になる。
【0013】
その上、このように導電層を実質的に集積されるべき電子部品の露出されるべき表面と同じ高さに設置することにより、部品をそれに近接する導電層の領域に接触させることが簡単になり、従って集積されるべき電子部品の配置を単純化或いは改善し、かつそれの接触を単純化したプリント基板或いはプリント基板中間体が総合的に実現される。更に導電層の隙間或いは凹部によって、電子部品の登録或いは配列を、その配置或いは固定の際に、単純化或いは容易にすることができる。
【0014】
そこで本発明では、搭載されるべき或いは支持されるべき部品に近接する部分領域への導電層の設置或いは配置を簡略化するために、部品に近接する導電層が金属箔、特に銅箔で形成されることが提案される。そのような金属箔、特に銅箔は、相応に望ましい厚さで設置されることができ、簡単な、プリント基板製造の際に知られている方法工程で配置され、このようなプリント基板又はプリント基板中間体の他の層或いは要素と接続されることができる。
【0015】
集積されるべき電子部品の簡単で確実な固定のために、電子部品を接着剤、接着箔、部品の接着膜などを介して支持層上に固定することが、本発明の方法の好適な実施形態によって行われ、このとき接着層は支持層とともに除去される。従って特に更なる処理工程に応じて、電子部品を支持層上に固定するための異なった手段が用いられ、そのときそれらが相応な薄さで使用できるのみならず、集積されるべき部品の導電層と接点が、部品が包囲された後に、簡単で確実に露出されることができる。
【0016】
特に製造されるべきプリント基板又はプリント基板中間体の総厚の低減に関しては、接着層又は接着箔又は塗装膜が、最大15μm、特に0.1から10μmの厚さに形成されることが、更なる好適な実施形態によって提案される。本発明においては、従って接着層又は接着箔が比較的厚さが小さくて充分であり、そのとき接着層又は接着箔のこのように小さい厚さにも関わらず、電子部品の支持層上での確実な接着或いは固定が可能になる。
【0017】
さらに、特に簡単で確実な接着層の形成のため、本発明の方法の更なる好適な実施形態に対応するように、接着層をインクジェット、フレックス、凹版、又はオフセット印刷によって塗着することが提案される。
【0018】
特に集積されるべき電子部品の使用目的及び/又は、部品の接点又は導電層の支持層に対する配向に応じて、金属箔、特に銅箔が、特に導電性構造のために、最大15μm、特に0.1から10μmの厚さに形成されることが、更なる好適な実施形態によって提案される。このように、金属箔、特に銅箔に相応する薄さにおいて、集積されるべき電子部品の接点と、特に構造化された薄い導電性層との簡単かつ確実な接触が提供される。
【0019】
特に使用或いは作動中に、相応に放散されなければならない比較的大きな熱量を発生させる高性能の集積されるべき部品の場合、集積されるべき電子部品の側面領域或いは周縁領域における良好な放熱が必要であり、最大500μm、特に約35μmから400μmの厚さを有する、特に放熱のための金属箔、特に銅箔が形成されることが、本発明の方法の変形された好適な実施形態によって提案される。このような比較的大きな厚さによって、集積されるべき電子部品は、実質的にその全周に亘ってそのような相応の良好な熱伝導性のある金属箔によって包設されるため、集積されるべき電子部品が発生する熱を、プリント基板或いはプリント基板中間体のより広範な面或いは領域に亘って分散させることが可能になる。
【0020】
既に上述したように、集積されるべき電子部品と、実質的に集積されるべき電子部品の接点の高さ或いはレベルに設置された、追加の導電層との簡単かつ確実な方法での接触がなされ、そのときこの関連において、部品に近接した導電層が構造化された層によって形成され、そのとき導電層は特にラミネート後に構造化されることが、更なる好適な実施形態によって提案される。
【0021】
埋め込まれるべき電子部品に近接した導電層或いは導電性層の、特に簡単かつ確実な接触のために、支持層に向けられた電子部品の接点の場合、支持層の除去後、接点を構造化された導電層と接触或いは接続させることが、更なる好適な実施形態によって提案される。
【0022】
同様に上記に既に示されたように、良好な放熱のために、通常部品に近接した比較的厚さの大きな導電層が設けられ、そのとき導電層を、特に作動中に高熱量を発生させる電子部品と、それに近接する導電層を接触させるために、本発明の方法の更なる好適な実施形態に対応するように、電子部品の導電層の露出後に、近接する導電層との実質的な全面接触が行われることが提案される。
【0023】
望ましい放熱を行うために、導電性素材、特に熱伝導性素材から成る層の全面接触がなされることが、この関連において好適に提案される。
【0024】
特に、簡単かつ確実な方法で、集積されるべき電子部品の露出後、該当する更なる層との接触が可能になるプリント基板中間体の製造の際、電子部品の導電層又は接点の露出及び、それに近接する導電層との接触の後、プリント基板の更なる層及び/又は構造化が形成される、或いは行われることが、プリント基板の完成のために提案される。
【0025】
集積されるべき電子部品の領域の構造に対応し、特にその部品及び/又はそれと関連した要素を製造されるべきプリント基板に埋め込むために、プリント基板の少なくとも1枚の更なる層が、凹部或いは溝を、集積された電子部品の領域に設けることが、本発明の方法の更なる好適な実施形態によって提案される。
【0026】
その上、冒頭に述べられた課題を解決するために、冒頭に述べられた種類のプリント基板又はプリント基板中間体は実質的に、例えばプリプレグシート及び/又は樹脂のような絶縁素材によって少なくとも部分的に包囲され、又はそれによって被覆された電子部品と、電子部品の接点又は電子部品の表面の導電層の高さに配置され、部品に近接する導電層から成り、そのとき部品に近接する導電層は、固定されるべき電子部品の寸法に一致した少なくとも1つの隙間を備え、そのとき電子部品の接点又は電子部品の表面に設置された導電層は、部品に近接した導電層と連結される、或いは連結可能であり、そのとき部品に近接する導電層が金属箔、特に銅箔によって形成され、又そのとき支持層上に固定された部品及び部品に近接し、支持層上に配置された導電層の少なくとも部分領域が、例えばプリプレグシート及び/又は樹脂のような絶縁素材で、少なくとも部分的に包囲或いは被覆されている。
【0027】
上記に言及したように、このようにしてこのようなプリント基板又はプリント基板中間体の簡単で確実な製造がなされ、そのとき特に、部品に近接する、固定されるべき電子部品の寸法に一致した隙間を備えた層によって、集積されるべき電子部品の簡単で確実な登録或いは設置、及び製造されるべきプリント基板又は製造されるべきプリント基板中間体の全高の低減或いは最小化が、集積されるべき電子部品の露出された表面の相応に簡単な接触の際に可能となる。
【0028】
さらに、集積されるべき電子部品の接点との簡単で確実な接触のために、部品に近接する導電層を金属箔、特に銅箔によって形成することが提案される。
【0029】
特に集積されるべき電子部品の使用目的及び/又は集積されるべき電子部品の接点又はその導電層の支持層に対する配向に従い、金属箔、特に銅箔が、特に導電性構造のために、最大15μm、特に約0.1μmから10μmの厚さを有することが、更なる好適な実施形態によって提案される。このようにして、製造されるべきプリント基板或いはプリント基板中間体の総厚の更なる低減或いは最小化にも貢献する、薄型の導電或いは導電性構造が提供される。
【0030】
相応の薄い箔によって、集積されるべき部品の接点との接触のための構造化された導電性層が提供されることができる一方、場合によって高熱量を発生させる電子部品の作動或いは使用中、発生する熱のより広範な面或いは領域に亘る分散が必要或いは有益となり、そのときこの関連において、本発明のプリント基板又は本発明のプリント基板中間体の更なる好適な実施形態に対応するように、特に放熱のための金属箔、特に銅箔が、最大500μm、特に約35μmから400μmの厚さを有することが提案される。
【0031】
集積されるべき電子部品の、支持層に向けられた接点との確実な連結のために、更なる好適な実施形態によって、電子部品の接点との連結或いは接触のために、部品に近接する導電層が構造化された導電層によって形成されることが提案される。
【0032】
それに対し、場合により使用中に高熱量を発生させる電子部品の簡単かつ確実な放熱のために、更なる変形された好適な実施形態によって、電子部品の導電層との連結或いは接触のために、それに近接する導電層との実質的な全面接触が行われることが提案される。
【0033】
さらに、確実な放熱を補助するために、導電性素材、特に伝熱性素材から成る層の全面接触がなされることが好適に提案される。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本発明は、以下の通り添付の図面に概略的に示された実施形態を参照してより詳細に説明される。
【0035】
図1図1は、本発明のプリント基板又は本発明のプリント基板中間体に、少なくとも1つの電子部品を集積するための、本発明の方法の概略的な方法工程を示す図である。
図2図2は、本発明のプリント基板或いは本発明のプリント基板中間体に1つの電子部品を集積するための、変形した本発明の方法の個々の方法工程を、図1に相似して示す図であり、ここでは集積されるべき電子部品が導電層を支持層に向けている図1の表示とは対照的に、図2の実施形態では、集積されるべき電子部品に支持層に向けられた接点を設けている。
図3図3は、本発明のプリント基板或いは本発明のプリント基板中間体の更に変形された実施形態を示す図であり、ここでは特に放熱のために、比較的厚さの大きな導電層を、支持層上の集積されるべき電子部品の隣に設けている。
図4図4は、図2の表示に似た方法の2つの方法工程のみを示す図であり、ここでは集積されるべき電子部品の接点が再び支持層に向けられている。
図5図5a及び図5bは、本発明のプリント基板又はプリント基板中間体の製造方法の更なる変形実施形態を示す図であり、ここでは互いに接続する以前の個々の層、或いは階層が示されている。
【0036】
添付の図面においては、個々の層或いは階層の相対的な厚さ、及びそのような層と階層の寸法が、特に集積されるべき電子部品と比較して正確な尺寸ではなく、部分的に明瞭化のために厚さ或いは寸法が、過度に大きく表示されていることに概して留意されたい。さらに、通常比較的多数のそのような接点を備えた部品が示されることとは対照的に、概して集積されるべき電子部品の少数の接点のみが示されている。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0037】
図1では、方法工程(a)において、概して1と称される、製造されるべきプリント基板或いは製造されるべきプリント基板中間体に集積される部品の配置或いは固定がなされ、そのとき電子部品1の支持或いは固定は支持層2上で行われ、支持層2上での固定のために接着剤層3が設けられる。
【0038】
図1に示される実施形態では、電子部品1が導電或いは導電性層4を、支持層2或いは接着剤層3に向けている。さらに、配置或いは集積されるべき電子部品1の寸法に合わせて凹部或いは隙間を形成した、特に金属箔或いは銅箔5である導電層が、同様に支持層2上に固定されていることが、方法工程(a)において明らかになる。
【0039】
正確でない尺寸の層厚同様、層5の隙間或いは凹部6の横方向の間隔も、搭載されるべき或いは埋め込まれるべき電子部品1の寸法に対し、誇張された大きさで表示されている。
【0040】
導電層4を介した電子部品1の固定及びそれに近接する導電層或いは金属箔5の固定は、例示的に、例えば15μm未満、特に5μm未満の相応に厚さの微小な接着剤を介してなされる。このような接着層は、例えばインクジェット、フレックス、凹版又はオフセット印刷法によって塗着されることができる。
【0041】
電子部品1及び導電層或いは箔5を支持層2上に配置或いは固定した後、工程(b)において、例えば複数のプリプレグシートのような絶縁素材から成る複数の概略的に示された層7の配置がなされ、そのとき追加でもう1枚の導電層8も示される。
【0042】
電子部品1を包囲し、或いはその上に重層する複数の層7或いは8をこのように配置した後、工程(c)において、埋め込まれるべき電子部品1のラミネート及び完全な包囲がなされ、そのときラミネート工程(c)中に個々の層或いは階層7の、絶縁素材から成る共通層或いは階層9への接続がなされる。
【0043】
工程(c)において埋め込まれるべき電子部品1がそのように包囲された後、工程(d)において支持層2及び接着層3の除去がなされ、従って導電層5のみならず、集積される電子部品1の導電層4も露出する。
【0044】
電子部品の接点10の逆側に位置する導電層4は、実質的に導電層5と同じ高さ或いはレベルにあり、従って方法工程(d)において集積すべき電子部品1の表面が完全に露出されることが、ここで特に明らかになる。
【0045】
概略的に11と称されるプリント基板或いはプリント基板中間体11の更なる構成のために、集積された電子部品1の導電層4及び導電層或いは金属箔5の露出の後、更なる導電層12及び13の増設がなされ、そのとき方法工程(e)において、さらに、埋め込まれた電子部品1の接点10の、例として導電性素材が充填された穿孔14との接触を介しての接触が示されている。
【0046】
さらに図1の表示から、集積された電子部品1の導電層4が、例えば良好な放熱或いは熱放散のために、追加された導電層12と実質的に全面的に接続され、熱をより広範な部分領域に分散させるために、それと近接し同じ高さに位置する導電層或いは金属箔5の部分領域と全面接続を介して接続されていることが明らかになる。
【実施例2】
【0047】
図2には電子部品の埋め込み方法の変形実施形態が示され、そのとき再度(a)と称される第1の方法工程において、埋め込まれるべき電子部品21が支持層22上に、接着剤層23を介して固定される。
【0048】
図1の実施形態とは対照的に、集積されるべき電子部品21の支持層22或いは接着層23上での固定は、支持層22に向けられた接点24によってなされる。
【0049】
図1の実施形態に相似して、支持層22或いは接着層23上に再び、集積されるべき電子部品21の外形寸法に合わせた隙間或いは凹部26を備えた、導電層或いは金属箔25が設けられる。
【0050】
図1の方法工程(c)に相似して、図2では同様に(c)において、詳細に図示されていない絶縁素材から成る複数の層の配置の後、例えばラミネート工程によって、集積された電子部品21の絶縁素材から成る被覆27への完全な埋め込みが行われ、そのとき図1の実施形態と同様に導電層28が示される方法工程が表される。
【0051】
図2の工程(c)に従った電子部品21のそのような埋め込みの後、前出の実施形態に相似し、工程(d)において、再び集積された電子部品21の接点24及び近接する導電層或いは金属箔25が露出される。接点24及び、導電性の、特に構造化された層25が再び、実質的に同じ高さ或いは同じレベルに位置し、従って前述の実施形態に相似して、この場合 接点24を備えた集積された電子部品の表面、及び導電層或いは金属箔25の露出が再び可能になる。
【0052】
再び(e)と称される工程では、開口部或いは穿孔31と32及び集積された電子部品21の接点24との接触によって示されるように、更なる導電層29及び30が増設され、それらの構造化もなされる。
【実施例3】
【0053】
図3では図1の方法工程(c)に似た変形実施形態が示され、そのとき図1の実施形態における比較的厚さの小さい層或いは箔5とは対照的に、31と称される集積された電子部品に近接或いは接続する、隙間38を有する導電層或いは金属箔35が、図示された実施形態において実質的に、集積される電子部品31の例えば数100μmに及ぶ総高に一致する、比較的大きな厚さを備えることが明らかになる。
【0054】
図3に示された、電子部品31が36と称される絶縁素材から成る層によって包囲された後、図1の実施形態に相似して、再び集積された電子部品31の導電層34及び、大きな厚さを備えそれに近接する層35が露出され、そのとき追加の導電層の配置によって、それが図1で示されたように、プリント基板或いはプリント基板中間体37の大きな部分領域に亘る良好な熱分散がなされる。
【実施例4】
【0055】
図4の表示では、図2の実施形態のように、支持層42に向けられた接点43を有する集積されるべき電子部品41の配置或いは固定がなされ、そのとき固定のための接着層44が示される。
【0056】
さらに支持層42上に設けられる導電層或いは金属箔45は、集積されるべき電子部品41の接点43に相応する複数の凹部或いは隙間46を備え、電子部品41の配置或いは固定の際、それが矢印47で示されているように、接点42が導電層45の凹部或いは隙間46に嵌入する。
【0057】
さらに、前出の図1及び2に従っていくつかの中間工程を省略した図4において、集積されるべき電子部品41の絶縁素材から成る層48への埋め込み、及び支持層42の除去後、部品41の接点43及びそれに接続する導電層或いは金属箔45が露出されることが明らかになる。こうして図2の実施形態に相似して、更なる導電層が後に追加或いは配設され、それらが構造化されることによって、集積された電子部品41の接点43の簡単で確実な接触が行われる。電子部品41に近接する導電層或いは金属箔45は再び、支持層42が除去された後に露出される集積された電子部品41の接点43と同じ高さに位置する。
【実施例5】
【0058】
図5a及び5bに示された実施形態において、集積されるべき電子部品51は再び支持層52に支持され、そのとき部品51の接点は詳細に図示されない。前出の実施形態に相似して、電子部品51の層52上での固定は、再び接着剤の使用によってなされ得る。
【0059】
集積されるべき電子部品51の寸法に合わせ、導電層或いは金属箔53は、再び相応の隙間或いは凹部60を備え、そのとき前出の実施形態に相似して、さらに絶縁素材から成る層54が導電層53の上に配置され、そのとき層或いは階層54も部品51の寸法に合わせた隙間を備える。製造されるべきプリント基板或いはプリント基板中間体の更なる層或いは階層は、55及び56によって示され、そのとき、層或いは階層56が導電性素材或いは導電性箔から成ることに対し、層或いは階層55は層54のように例えばプリプレグのような非導電性金属から成る。
【0060】
図5bにおいて、集積されるべき部品51の集積のために、前出の実施形態と同様、詳細に図示されていない接点の接触の後に設けられる更なる層或いは階層57が、例えば支持層52又はその支持層52の代替となる層或いは階層、及び概略的に示された層或いは階層58によって形成される設けられる構造或いは構造化に対応し、凹部59を備え、それによって、そのように集積されるべき部品51の領域に設けられる構造を、製造されるべきプリント基板61或いは製造されるべきプリント基板中間体に完全に集積できることが示される。
【0061】
図に示された接着剤層或いは接着層の替わりに、集積されるべき電子部品1、21、31、41、51の固定のために、集積されるべき部品の支持層に面した表面に設けられる、例えば水溶性フィルム或いは水溶性箔が、部品の暫時的な固定のために援用されることもできる。
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図1(d)】
図1(e)】
図2(a)】
図2(c)】
図2(d)】
図2(e)】
図3
図4(a)】
図4(d)】
図5a
図5b