(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988179
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】透明導電膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 5/14 20060101AFI20160825BHJP
B32B 7/02 20060101ALI20160825BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
H01B5/14 A
B32B7/02 104
B32B3/30
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-112506(P2014-112506)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-236006(P2014-236006A)
(43)【公開日】2014年12月15日
【審査請求日】2014年6月30日
(31)【優先権主張番号】201310210466.X
(32)【優先日】2013年5月30日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514137838
【氏名又は名称】南昌欧菲光科技有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】514080062
【氏名又は名称】▲蘇▼州欧菲光科技有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】514080051
【氏名又は名称】深▲ゼン▼欧菲光科技股▲フン▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(72)【発明者】
【氏名】ユンリアン・ヤン
(72)【発明者】
【氏名】リドン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】チュアンシン・チェン
(72)【発明者】
【氏名】タオ・シュ
【審査官】
冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−102055(JP,A)
【文献】
特開2005−259478(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第103105974(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 5/14
B32B 3/30
B32B 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一表面および前記第一表面とは反対側の第二表面を有するベースを提供する段階と、
前記ベースの前記第一表面に、その底部が非平面構造である第一格子凹溝を設ける段階と、
前記第一格子凹溝に液状導電性材料を充填する段階と、
第一導電格子を含む第一導電層を形成すべく、前記第一格子凹溝に充填された前記液状導電性材料を焼結する段階と、
を有する透明導電膜の製造方法。
【請求項2】
前記非平面構造の形状はV状又は円弧状の中の少なくとも一種を含む、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項3】
前記ベースを提供する段階は、基板の表面に第一基質層を形成する段階であって、前記ベースの前記第一表面が前記基板から離れる前記第一基質層の表面に位置するように前記第一基質層を形成する段階を含む、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項4】
前記ベースの前記第二表面に、その底部が非平面構造である第二格子凹溝を設ける段階と、
前記第二格子凹溝に液状導電性材料を充填する段階と、
をさらに有し、
前記焼結する段階は、第二導電格子を含む第二導電層を形成すべく、前記第二格子凹溝に充填された前記液状導電性材料を焼結する、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項5】
前記ベースを提供する段階は、
基板の表面に第一基質層を形成する段階であって、前記ベースの前記第一表面が前記基板から離れる前記第一基質層の表面に位置するように前記第一基質層を形成する段階と、
前記第一表面に付着されるように、前記第一基質層に第二基質層を積層する段階であって、前記第一基質層および前記第二基質層が前記基板の同側に設置される、積層する段階と、
を含み、
前記方法は、
前記第一基質層から離れる前記第二基質層の表面に、その底部が非平面構造である第二格子凹溝を設ける段階と、
前記第二格子凹溝に液状導電性材料を充填する段階と、
をさらに有し、
前記焼結する段階は、第二導電格子を含む第二導電層を形成すべく、前記第二格子凹溝に充填された前記液状導電性材料を焼結する、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項6】
前記ベースを提供する段階は、
基板の表面に第一基質層を形成する段階であって、前記ベースの前記第一表面が前記基板から離れる前記第一基質層の表面に位置するように前記第一基質層を形成する段階と、
前記第一基質層から離れる前記基板の表面に第二基質層を付着させる段階であって、前記基板が前記第一基質層と前記第二基質層との間に位置するように前記第二基質層を付着させる段階と、
を含み、
前記方法は、
前記基板から離れる前記第二基質層の表面に、その底部が非平面構造である第二格子凹溝を設ける段階と、
前記第二格子凹溝に液状導電性材料を充填する段階と、
をさらに有し、
前記焼結する段階は、第二導電格子を含む第二導電層を形成すべく、前記第二格子凹溝に充填された前記液状導電性材料を焼結する、請求項1に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項7】
前記第一格子凹溝の深さと幅との比は1以上であり、及び/又は、前記第二格子凹溝の深さと幅との比は1以上である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項8】
前記第一格子凹溝及び/又は前記第二格子凹溝の深さは2μm〜6μmであり、前記第一格子凹溝及び/又は前記第二格子凹溝の幅は0.2μm〜5μmである、請求項7に記載の透明導電膜の製造方法。
【請求項9】
前記第一格子凹溝及び/又は前記第二格子凹溝の格子形状は規則的な格子又はランダムな格子である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の透明導電膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子技術分野に関し、特に透明導電膜に関する。
【背景技術】
【0002】
透明導電膜は、良好な導電性を有し、且つ可視バンドに高い光透過率を有する薄膜であり、フラットパネルディスプレイ、光起電デバイス、タッチパネル及び電磁シールド等に広く使用され、非常に広範な市場空間を持っている。
【0003】
現在、従来の透明導電膜は、一般的には非グラフィカルとグラフィカルタイプに分けられる。非グラフィカルの透明導電膜では、例えばタッチスクリーン等の用途に応用すると、一般的には、露光、現像、エッチング及び洗浄などの複数の工程によって透明導電膜をグラフィック処理する必要がある。グラフィカルの透明導電膜では、インプリントして凹溝を成形し、液体の導電性材料を凹溝に充填して、その導電性材料を固体のフレキシブルなフィルムライン構造に焼結すればよく、複雑で、且つ環境を汚染するグラフィカルプロセスが省略されるため、透明導電膜の主な開発方向である。
【0004】
ところが、該液体の導電性材料は凹溝に充填する時に、収縮して複数の球形又は略球形の構造になり易い;焼結後、導電性材料は互いに間隔が置かれた複数の球形又は略球形の構造を呈し易く、導電性材料の内部の接続性が悪く、透明導電膜の導電性能に影響を及ぼす、との結果につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに基づいて、導電性材料の内部間の接続性が悪く、透明導電膜の導電性能に影響を及ぼす問題に対して、透明導電膜を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
透明導電膜は、
第一表面と前記第一表面に対向するように設置される第二表面とを含むベースと、
前記ベースの第一表面に設けられ、その底部が非平面構造である第一格子凹溝と、
前記第一格子凹溝に充填される導電性材料から形成される第一導電格子を含む第一導電層とを含む。
【0007】
その一実施例では、前記非平面構造の形状はV状又は円弧状の中の少なくとも一種を含む。
【0008】
その一実施例では、前記ベースは基板と第一基質層とを含み、前記第一表面は前記基板から離れる前記第一基質層の表面に位置する。
【0009】
その一実施例では、透明導電膜はさらに第二導電層を含み、前記ベースの第二表面に第二格子凹溝が設けられ、前記第二格子凹溝の底部は非平面構造であり、前記第二導電層は前記第二格子凹溝に充填される導電性材料から形成される第二導電格子を含む。
【0010】
その一実施例では、透明導電膜はさらに第二導電層を含み、前記ベースは第一基質層、基板及び第二基質層を含み、前記第一基質層と前記第二基質層は積層するように前記基板の同側に設置され、前記第一表面は前記基板から離れる前記第一基質層の表面に位置し、前記第二基質層は前記第一表面に付着され、前記第一基質層から離れる前記第二基質層の表面に第二格子凹溝が設けられ、前記第二格子凹溝の底部は非平面構造であり、前記第二導電層は前記第二格子凹溝に充填される導電性材料から形成される第二導電格子を含む。
【0011】
その一実施例では、透明導電膜はさらに第二導電層を含み、前記ベースは第一基質層、基板及び第二基質層を含み、前記基板は前記第一基質層と前記第二基質層との間に位置し、前記第一表面は前記基板から離れる前記第一基質層の表面に位置し、前記第二基質層は前記第一基質層から離れる前記基板の表面に付着され、前記基板から離れる前記第二基質層の表面に第二格子凹溝が設けられ、前記第二格子凹溝の底部は非平面構造であり、前記第二導電層は前記第二格子凹溝に充填される導電性材料から形成される第二導電格子を含む。
【0012】
その一実施例では、前記第一格子凹溝の深さと幅との比は1以上であり、及び/又は、前記第二格子凹溝の深さと幅との比は1以上である。
【0013】
その一実施例では、前記第一格子凹溝及び/又は前記第二格子凹溝の深さは2μm〜6μmであり、前記第一格子凹溝及び/又は前記第二格子凹溝の幅は0.2μm〜5μmである。
【0014】
その一実施例では、前記第一格子凹溝及び/又は前記第二格子凹溝の格子形状は規則的な格子又はランダムな格子である。
【0015】
その一実施例では、前記第一導電格子及び/又は前記第二導電格子の導電性材料は、金属、カーボンナノチューブ、グラフェンインク及び導電性高分子材料の中の少なくとも一種である。
【発明の効果】
【0016】
前記透明導電膜では、ベースの第一表面に第一格子凹溝が設けられ、導電性材料を第一格子凹溝に充填して第一導電格子を形成し、第一導電層を構成し、第一格子凹溝の底部は非平面構造である。これによって、液体の導電性材料を第一格子凹溝に充填する時に、第一格子凹溝の底部は平坦ではないので、液体の導電性材料が第一格子凹溝の底部と接触する時の張力を解放するのに有利であり、張力が大きすぎることによる、液体の導電性材料が収縮して複数の球形又は略球形の構造になることを回避し、焼結後に導電性材料が互いに間隔が置かれた複数の球形又は略球形の構造を呈する確率を減少させ、焼結後の導電性材料の内部の接続性を向上させ、透明導電膜の導電性能を保証する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態に係る透明導電膜の構造模式図である。
【
図2】実施例一に係る透明導電膜の構造模式図である。
【
図3】実施例二に係る透明導電膜の構造模式図である。
【
図4】実施例三に係る透明導電膜の構造模式図である。
【
図5】実施例四に係る透明導電膜の構造模式図である。
【
図6】実施例五に係る透明導電膜の構造模式図である。
【
図7】一実施形態に係る第一導電格子の構造模式図である。
【
図8】別の実施形態に係る第一導電格子の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
透明導電膜の上記目的、特徴及び利点をより明確に理解することができるように、以下に図面を組み合わせて本発明の実施形態を詳細に説明する。以下の説明では、多くの具体的な詳細が、十分な本発明の理解を促進するために記載される。しかし、透明導電膜は多くのここで記載した形態と異なるその他の形態で実施されることができ、当業者は本発明の主旨から逸脱することなく類似した改善を行うことができ、そのため、透明導電膜は以下に開示する実施形態によって制限されるものではない。
【0019】
特に断りのない限り、本文で使用する全ての技術用語および科学用語は、透明導電膜の技術分野に属する当業者が一般的に理解する意味と同じである。本文において、透明導電膜の明細書で使用する用語は、具体的な実施例を説明するだけで、本発明を制限するものではない。本文で使用する用語「及び/又は」は、一つ又は複数の関連するリストされた項目の任意の組み合わせと全ての組み合わせを含む。
【0020】
以下に、図面と具体的な実施例を組み合わせて、透明導電膜を更に詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、透明導電膜は、ベース110、第一導電層120を含む。ベース110は第一表面112と第一表面112に対向するように設置される第二表面114とを含み、ベース110の第一表面112に第一格子凹溝116が設けられ、第一格子凹溝116の底部は非平面構造であり、第一導電層120は第一格子凹溝116に充填される導電性材料から形成される第一導電格子122を含む。第一格子凹溝116は第一導電格子122に対応するグラフィカルのインプリント用テンプレートでインプリントして形成され得る。
【0022】
上記透明導電膜において、ベース110の第一表面112に第一格子凹溝116が設けられ、導電性材料を第一格子凹溝116に充填して第一導電格子122を形成し、第一導電層120を構成し、第一格子凹溝116の底部は非平面構造である。これによって、液体の導電性材料を第一格子凹溝116に充填する時に、第一格子凹溝116の底部は平坦ではないので、液体の導電性材料が第一格子凹溝116の底部と接触する時の張力を解放するのに有利であり、張力が大きすぎることによる、液体の導電性材料が収縮して複数の球形又は略球形の構造になることを回避し、焼結後に導電性材料が互いに間隔が置かれた複数の球形又は略球形を呈する確率を減少させ、焼結後の導電性材料の内部の接続性を向上させ、透明導電膜の導電性能を保証する。
【0023】
図1を参照し、その一実施例では、第一格子凹溝116の底部非平面構造の形状はV状又は円弧状の中の少なくとも一種を含む。液体の導電性材料を第一格子凹溝116に充填する時に、導電性材料は、第一格子凹溝116の底部へ流れると、非平面構造の形状に応じて、第一格子凹溝116の底部を充填する。V状又は円弧状の中の少なくとも一種を含む非平面構造の形状を設計し、V状又は円弧状は一定の角度に形成され、該導電性材料の張力の一部を互いに相殺させて導電性材料の表面における張力を減少させると同時に、更に導電性材料に下向きの力を形成させ、液体の導電性材料と第一格子凹溝116の表面とのより良好な接触を達成することができ、液体の導電性材料が収縮して複数の球形又は略球形の構造になることを回避し、焼結後に導電性材料が互いに間隔が置かれた複数の球形又は略球形の構造を呈する確率を減少させ、焼結後の導電性材料の内部の接続性を向上させ、透明導電膜の導電性能を更に保証する。
【0024】
具体的には、非平面構造の形状は単一のV状又は単一の円弧状であることができ、非平面構造の形状は複数のV状を組み合わせる規則的なジグザグ状、複数の円弧状を組み合わせる波状、又はV状と円弧状を組み合わせる非平面構造等であることもでき、もちろん、非平面構造は更に、第一格子凹溝116の底部が平坦ではない限り、その他の形状であることができる。
【0025】
第一格子凹溝116の深さと幅はいずれもミクロンレベルであり、第一格子凹溝116の底部の非平面構造が焼結後の導電性材料の内部の接続性を向上させるが、透明導電膜の導電性能に影響を及ぼさないことを保証するように、非平面構造の変動の幅を適切に500nm〜1000nmに設定する。これによって、非平面構造の高さがナノレベルであり、且つ第一格子凹溝116の深さと幅の全体的な数値に影響を及ぼすことがなく、透明導電膜の導電性能を更に保証する。
【0026】
図3を参照し、実施例二では、ベース110は基板113と第一基質層115を含み、第一表面112は基板113から離れる第一基質層115の表面に位置する。基板113の表面に第一基質層115をコーティングし、第一導電格子122に対応するグラフィカルのインプリント用テンプレートで基板113から離れる第一基質層115の表面をインプリントして第一格子凹溝116を形成し、導電性材料を第一格子凹溝116に充填して第一導電格子122を形成し、第一導電層120を構成する。該第一基質層115は絶縁と成形に用いられ得る。なお、その他の実施例では、
図2に示す実施例一のように、透明ベース110は基板113だけを含むことができ、第一格子凹溝116は直接基板113の表面に設けられるので、第一基質層115は必要なものではない。
【0027】
第一基質層115の材料は、硬化型接着剤、インプリント接着剤又はポリカーボネートであり得、基板113の材料は、ポリエチレンテレフタラート(Polyethylene terephthalate,PET)プラスチック、ポリカーボネート(Polycarbonate,PC)、ポリメチルメタアクリレート(polymethylmethacrylate,PMMA)又はガラスであり得る。この実施例では、基板113の材料はエチレンテレフタレートであり、好ましくは透明絶縁材料である。
【0028】
図4を参照し、実施例三では、透明導電膜は二層構造であり、第一導電層120と第二導電層130を含み、ベース110の第二表面114に第二格子凹溝118が設けられ、第二格子凹溝118の底部は非平面構造であり、第二導電層130は第二格子凹溝118に充填される導電性材料から形成される第二導電格子132を含む。同一のベース110に二層の導電層を設置することによって、透明導電膜の厚みを減少させ、コストを節約し、透明導電膜の光透過率を向上させることができる。第二格子凹溝118の底部非平面構造は、構造と機能の方面において、いずれも上記の第一格子凹溝116の底部非平面構造と同じ役割を果たすので、ここでは贅言しない。第二格子凹溝118は第二導電格子132に対応するグラフィカルのインプリント用テンプレートでインプリントして形成され得る。
【0029】
図5を参照し、実施例四では、透明導電膜は二層構造であり、第一導電層120と第二導電層130を含み、ベース110は第一基質層115、基板113及び第二基質層117を含み、第一基質層115と第二基質層117は積層するように基板113の同側に設置され、且つ第一表面112は基板113から離れる第一基質層115の表面に位置し、第二基質層117は第一表面112に付着され、第一基質層115から離れる第二基質層117の表面に第二格子凹溝118が設けられ、第二格子凹溝118の底部は非平面構造であり、第二導電層130は第二格子凹溝118に充填される導電性材料から形成される第二導電格子132を含む。該第一基質層115と第二基質層117はいずれも絶縁と成形に用いられ得る。同一のベース110に二層の導電層を設置することによって、透明導電膜の厚みを減少させ、コストを節約し、透明導電膜の光透過率を向上させることができる。第二格子凹溝118の底部非平面構造は、構造と機能の方面において、いずれも上記の第一格子凹溝116の底部非平面構造と同じ役割を果たすので、ここでは贅言しない。第一格子凹溝116は第一導電格子122に対応するグラフィカルのインプリント用テンプレートで第一表面112をインプリントして形成され、第二格子凹溝118は第二導電格子132に対応するグラフィカルのインプリント用テンプレートで第一基質層115から離れる第二基質層117の表面をインプリントして形成される。なお、その他の実施例では、透明ベース110は基板113だけを含むことができ、第二格子凹溝118は直接第一導電層120から離れる基板113の表面に設けられるので、第二基質層117は必要なものではない。ここで、第一基質層115と第二基質層117の材質はいずれも、硬化型接着剤、インプリント接着剤又はポリカーボネートであり得る。
【0030】
図6を参照し、実施例五では、透明導電膜は二層構造であり、第一導電層120と第二導電層130を含み、ベース110は第一基質層115、基板113及び第二基質層117を含み、基板113は第一基質層115と第二基質層117との間に位置し、且つ第一表面112は基板113から離れる第一基質層115の表面に位置し、第二基質層117は第一基質層115から離れる基板113の表面に付着され、基板113から離れる第二基質層117の表面に第二格子凹溝118が設けられ、第二格子凹溝118の底部は非平面構造であり、第二導電層130は第二格子凹溝118に充填される導電性材料から形成される第二導電格子132を含む。該第一基質層115と第二基質層117はいずれも絶縁と成形に用いられ得る。同一のベース110に二層の導電層を設置することによって、透明導電膜の厚みを減少させ、コストを節約し、透明導電膜の光透過率を向上させることができる。第二格子凹溝118の底部非平面構造は、構造と機能の方面において、いずれも上記の第一格子凹溝116の底部非平面構造と同じ役割を果たすので、ここでは贅言しない。第一格子凹溝116は第一導電格子122に対応するグラフィカルのインプリント用テンプレートで第一表面112をインプリントして形成され、第二格子凹溝118は第二導電格子132に対応するグラフィカルのインプリント用テンプレートで基板113から離れる第二基質層117の表面をインプリントして形成される。なお、その他の実施例では、透明ベース110は基板113だけを含むことができ、第二格子凹溝118は直接第一導電層120から離れる基板113の表面に設けられるので、第二基質層117は必要なものではない。ここで、第一基質層115と第二基質層117の材質はいずれも、硬化型接着剤、インプリント接着剤又はポリカーボネートであり得る。
【0031】
その一実施例では、導電性材料は三次元の異方性を有するものに属し、層と平行である方向における熱膨張係数は層と垂直である方向における熱膨張係数よりはるかに少ないので、導電性材料を格子凹溝に充填して焼結する時に、格子凹溝の深さが幅より小さいと、垂直の導電性材料の引張応力が大きすぎて材料の亀裂を引き起こし、そのために、第一格子凹溝116の深さと幅との比を適切に1以上に設定でき、第二格子凹溝118の深さと幅との比を適切に1以上に設定でき、凹溝に充填した導電性材料が、焼結成形する過程において、亀裂しないように保証し、透明導電膜の導電性能を保証する。説明の便宜のために、格子凹溝との用語は通常、第一格子凹溝116と第二格子凹溝118を示す。
【0032】
その一実施例では、第一格子凹溝116及び/又は第二格子凹溝118の深さを適切に2μm〜6μmに設定し、第一格子凹溝116及び/又は第二格子凹溝118の幅を適切に0.2μm〜5μmに設定する。この実施例では、凹溝は、その最大深さが3μmであり、最大幅が2.2μmである。
【0033】
図8に示すように、第一導電格子122及び/又は第二導電格子132の格子形状は規則的な格子である。第一導電格子122は複数の第一格子ユニットを含み、第二導電格子132は複数の第二格子ユニットを含み、第一導電格子122及び/又は第二導電格子132の格子形状はいずれも規則的な格子であり、即ち、全ての第一格子ユニット及び/又は第二格子ユニットの格子周期はいずれも同じであり、格子周期は各格子ユニットの大きさを指し、つまり第一導電格子122及び/又は第二導電格子132の格子形状は規則的な格子である。これによって、透明導電膜とその他の表示装置、特に表示画面が小さい表示装置とを貼り合わせる時に、表示画像に障害が生じる現象を回避できる。
【0034】
図7に示すように、第一導電格子122及び/又は第二導電格子132の格子形状はランダムな格子である。これによって、透明導電膜とその他の表示装置を貼り合わせる時に、モアレ縞の発生を回避するために、第一導電格子122及び/又は第二導電格子132の格子形状はランダムな格子であり、即ち、少なくとも二つの第一格子ユニット及び/又は少なくとも二つの第二格子ユニットの格子周期は異なり、透明導電膜の各角度にいずれも第一格子ユニットと第二格子ユニットが分布する。ここで、格子周期は各格子ユニットの大きさである。モアレ縞は光学現象で、二本の線又は二つの物体の間に一定の角度と周波数で干渉することによって生じる視覚的な結果であり、人の目でこの二本の線又は二つの物体を区別できない時に、干渉縞だけを見ることができ、このような光学現象はモアレ縞と呼ばれる。ここで、第一格子ユニットと第二格子ユニットの形状はいずれも菱形、長方形、平行四辺形、曲線四辺形又は多辺形であることができ、曲線四辺形は四本の曲線を有し、対向する二本の曲線は同じ形状及び曲線方向を有する。
【0035】
その一実施例では、第一導電格子122及び/又は第二導電格子132の導電材料は、金属、カーボンナノチューブ、グラフェンインク及び導電性高分子材料の中の少なくとも一種である。金属は、単体の金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、亜鉛又はその中の少なくとも二種の合金の中の一種を含む。この実施例では、導電性材料はナノ銀インクであり、ナノ銀インクの固形分は35%であり、第一格子凹溝116に充填して焼結した後、固体のフレキシブルな銀線になり、焼結温度は150℃を選択できる。第一導電層120と第二導電層130を製造する材料は導電体であれば、相応の機能を実現できることを理解することができる。
【0036】
上記実施形態は、本発明のいくつかの実施態様を示すのみであり、その説明はより具体的かつ詳細であるが、それによって本発明の特許範囲が制限されると理解されるべきではない。なお、本分野の当業者にとって、本発明の構想から逸脱しない前提で、複数の変形と改良を行うことができ、これらは、本発明の保護範囲に含まれる。そのため、本発明の特許保護範囲は、添付した特許請求の範囲を基準とする。
【符号の説明】
【0037】
110 ベース
112 第一表面
113 基板
114 第二表面
115 第一基質層
116 第一格子凹溝
117 第二基質層
118 第二格子凹溝
120 第一導電層
122 第一導電格子
130 第二導電層
132 第二導電格子