(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヒーターおよび冷却機構の双方を有する押圧テーブルと、該押圧テーブルの上方に、該押圧テーブルに対してそれぞれ独立して接離自在に配設された複数の押圧ヘッドとを備えるワーク貼着装置を用いて、前記押圧テーブルと前記押圧ヘッドとにより押圧して、プレート上にワークを接着剤により貼着するワーク貼着方法であって、
あらかじめ所要温度にまで加熱したプレートを前記押圧テーブル上に搬入するか、もしくはプレートを前記押圧テーブル上に搬入して、該押圧テーブルにて所要温度にまで加熱する工程と、
所要温度にまで加熱された前記プレート上の所要位置に接着剤を塗布する工程と、
加熱されて溶融した接着剤上にワークを載置する工程と、
前記各押圧ヘッドを所要温度に加熱する工程と、
前記各押圧ヘッドを前記押圧テーブルに対して接近させ、前記各押圧ヘッドによりそれぞれ1枚ずつのワークを、各同一圧力により前記プレート上に所要時間押圧する工程と、
前記各押圧ヘッドによりワークを押圧した状態で、前記冷却機構により前記押圧テーブルおよび前記プレートを冷却し、前記接着剤を固化させてワークを前記プレート上に貼着する工程と、
前記各押圧ヘッドを前記押圧テーブルに対して離反させ、ワークが貼着された前記プレートを前記押圧テーブル上から搬出する工程を含み、
前記各押圧ヘッドによりワークを押圧してワークを前記プレート上に貼着する工程において、前記各押圧ヘッドの温度を検出して、各押圧ヘッドが所定の温度以下に低下したことを確認した後に各押圧ヘッドによる押圧を解除することを特徴とするワーク貼着方法。
前記各押圧ヘッドに、押圧ヘッドが球軸受を中心に回動自在に設けられた押圧ヘッドを用い、ワークの押圧時、前記押圧ヘッドを前記プレート面に追随するように回動させてワークを押圧することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のワーク貼着方法。
押圧テーブルと、該押圧テーブルの上方に、該押圧テーブルに対してそれぞれ独立して接離自在に配設された複数の押圧ヘッドとを備え、前記押圧テーブルと前記押圧ヘッドとにより押圧して、プレート上にワークを接着剤により貼着するワーク貼着装置において、
前記押圧ヘッドは、それぞれ1枚ずつのワークを、各同一圧力により前記プレート上に押圧可能になっていて、
前記押圧テーブルは、ヒーターと冷却機構の双方を備え、
前記押圧ヘッドの温度を検出する温度検出部を備え、
前記押圧テーブルと前記押圧ヘッドとを加熱して、プレート上に塗布された接着剤を介してワークを押圧して接着剤を展延させ、しかる後、前記冷却機構により前記押圧テーブルおよび前記プレートを冷却することによって接着剤を固化させてワークを前記プレート上に貼着する際、前記温度検出部により前記押圧ヘッドの温度を検出して、押圧ヘッドが所定の温度以下に低下したことを確認した後に押圧ヘッドによる押圧を解除することを特徴とするワーク貼着装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示される方法では、1枚のプレート上に所要複数枚のワークを接着剤を介して載置し、押圧ヘッドと押圧テーブルとで押圧してプレート上に複数枚のワークを一括して貼着するようにしている。
押圧ヘッドは、押圧テーブルに対して平行となるように押圧面があらかじめ調節される。
しかしながら、特許文献1に示されるようなワーク貼着方法では次のような課題が生じた。
すなわち、研磨すべき複数枚のワークには、準備段階で当然ながら厚さのばらつきが生じることは否めない。このような場合に、上記押圧ヘッドでワークをプレート面上に一括して押圧すると、押圧ヘッドの押圧面とプレート面(押圧テーブル面)との間隔は一定であるため、厚いワークの場合は接着剤のはみ出し量が多くなる状態で、すなわち接着剤の厚さが薄い状態で、逆に薄いワークの場合は、接着剤のはみ出し量が少ない状態で、すなわち接着剤の厚さが厚い状態でプレート上に貼着されることとなる。この状態で研磨機でワークの研磨を行うと、研磨後のワークの厚さのばらつきが全く解消されないという課題がある。
【0005】
例えば、窒化物半導体層(GaNなど)を形成したサファイア基板の貼着の場合、サファイア基板自体の厚さは約900μmと厚く、これをできるだけ薄く、例えば100μm程度となる厚さまで研磨する。一方のサファイア基板の厚さが900μm、他方のサファイア基板の厚さが920μmとすると、これを800μm研磨するとすれば、一方のサファイア基板の研磨後の厚さは100μmであり、他方のサファイア基板の研磨後の厚さは120μmであり、一方と他方のサファイア基板の厚さのばらつきは解消されず、逆にサファイア基板の厚さのばらつき割合を助長させることとなる。
【0006】
また、サファイア基板に窒化物半導体層(GaNなど)をエピタキシャル成長させたワークの場合、熱膨張率の異なる2層からなる等の理由によって、サファイア基板側が凹となる反りが発生しやすいという事情がある。このサファイア基板を押圧ヘッドで押圧すると、反りが解消されるが、もともとのサファイア基板毎に厚さのばらつきがあると、各サファイア基板毎に反りの解消の度合いが相違し、厚さの薄いサファイア基板の場合には反りが残りやすいという課題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、研磨時、ワークを均一厚さに研磨することができるワーク貼着方法およびワーク貼着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明に係るワーク貼着方法は、ヒーターおよび冷却機構の双方を有する押圧テーブルと、該押圧テーブルの上方に、該押圧テーブルに対してそれぞれ独立して接離自在に配設された複数の押圧ヘッドとを備えるワーク貼着装置を用いて、前記押圧テーブルと前記押圧ヘッドとにより押圧して、プレート上にワークを接着剤により貼着するワーク貼着方法であって、あらかじめ所要温度にまで加熱したプレートを前記押圧テーブル上に搬入するか、もしくはプレートを前記押圧テーブル上に搬入して、該押圧テーブルにて所要温度にまで加熱する工程と、所要温度にまで加熱された前記プレート上の所要位置に接着剤を塗布する工程と、加熱されて溶融した接着剤上にワークを載置する工程と、前記各押圧ヘッドを所要温度に加熱する工程と、前記各押圧ヘッドを前記押圧テーブルに対して接近させ、前記各押圧ヘッドによりそれぞれ1枚ずつのワークを、各同一圧力により前記プレート上に所要時間押圧する工程と、前記各押圧ヘッドによりワークを押圧した状態で、前記冷却機構により前記押圧テーブルおよび前記プレートを冷却し、前記接着剤を固化させてワークを前記プレート上に貼着する工程と、前記各押圧ヘッドを前記押圧テーブルに対して離反させ、ワークが貼着された前記プレートを前記押圧テーブル上から搬出する工程を
含み、前記各押圧ヘッドによりワークを押圧してワークを前記プレート上に貼着する工程において、前記各押圧ヘッドの温度を検出して、各押圧ヘッドが所定の温度以下に低下したことを確認した後に各押圧ヘッドによる押圧を解除することを特徴とする。
【0011】
前記押圧テーブルとは別途設けた、ヒーターを有する加熱テーブルにより、前記プレートをあらかじめ加熱して前記押圧テーブルに搬入するようにすることができる。
また、前記各押圧ヘッドを前記押圧テーブルに接触させて所要温度にまで加熱することができる。
また、前記各押圧ヘッドを内蔵するヒーターにより所要温度まで加熱することができる。
また、前記各押圧ヘッドに、押圧ヘッドが球軸受を中心に回動自在に設けられた押圧ヘッドを用い、ワークの押圧時、前記押圧ヘッドを前記プレート面に追随するように回動させてワークを押圧するようにすることもできる。
また、窒化物半導体層を形成したサファイア基板を、窒化物半導体層をプレート側に向けてプレートに貼着するようにすることができる。
【0012】
また本発明に係るワーク貼着装置は、押圧テーブルと、該押圧テーブルの上方に、該押圧テーブルに対してそれぞれ独立して接離自在に配設された複数の押圧ヘッドとを備え、前記押圧テーブルと前記押圧ヘッドとにより押圧して、プレート上にワークを接着剤により貼着するワーク貼着装置において、前記押圧
ヘッドは、それぞれ1枚ずつのワークを、各同一圧力により前記プレート上に押圧可能に
なっていて、前記押圧テーブルは、ヒーターと冷却機構の双方を備え、前記押圧ヘッドの温度を検出する温度検出部を備え、前記押圧テーブルと前記押圧ヘッドとを加熱して、プレート上に塗布された接着剤を介してワークを押圧して接着剤を展延させ、しかる後、前記冷却機構により前記押圧テーブルおよび前記プレートを冷却することによって接着剤を固化させてワークを前記プレート上に貼着する際、前記温度検出部により前記押圧ヘッドの温度を検出して、押圧ヘッドが所定の温度以下に低下したことを確認した後に押圧ヘッドによる押圧を解除することを特徴とする。
【0013】
前記各押圧ヘッドを、共通のエア供給源に接続することによって、ワークを、各同一圧力によりプレート上に押圧するように
することができる。
【0014】
前記温度検出部により、前記押圧ヘッドの、前記ワークを押圧する面に近接した部位の温度を検出するようにすると好適である。
前記押圧ヘッドを前記押圧テーブルに接触させて所要温度にまで加熱するようにすることができる。
前記押圧ヘッドに、ヒーターおよび冷却機構の双方を設け、押圧ヘッドを自身のヒーターおよび冷却機構により加熱、もしくは冷却するようにしてもよい。
【0015】
また、前記押圧テーブルとは別途、ヒーターを有する加熱テーブルを設け、該加熱テーブルによってプレートをあらかじめ加熱して前記押圧テーブルに搬入するようにすることができる。
また、前記押圧テーブルにおいて、前記冷却機構を、前記プレートが搬入される表面側に位置して配置するようにすると好適である。
また、前記加熱テーブル上に搬入された前記プレートの温度を検出する温度検出部、前記押圧テーブルおよび前記加熱テーブルの温度をそれぞれ検出する温度検出部を設けるようにすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、各押圧ヘッドが各ワークを独立して、かつ同一圧力で押圧するので、ワークに厚さのばらつきがあっても、余分な接着剤をはみ出させつつ、接着剤が同一厚さとなるように各ワークを押圧し、ワークの貼着が行え、これにより、ワークの研磨を行う場合、ワークの厚さが均一となるように研磨を行うことができる。
また、温度検出部により、押圧ヘッドの温度を検出して、押圧ヘッドが所要温度よりも低下した段階で終了させるようにすることで、接着剤を確実に固化させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態に係るワーク貼着方法は、上記のように、押圧テーブルと、該押圧テーブルの上方に、該押圧テーブルに対してそれぞれ独立して接離自在に配設された複数の押圧ヘッドとを備えるワーク貼着装置を用いて、前記押圧テーブルと前記押圧ヘッドとにより押圧して、プレート上にワークを接着剤により貼着するワーク貼着方法であって、前記各押圧ヘッドによりそれぞれ1枚ずつのワークを、各同一圧力により前記プレート上に押圧して貼着することを特徴とする。
【0019】
またこの場合に、プレートは、あらかじめ所要温度にまで加熱した後に、前記押圧テーブル上に搬入するか、もしくは前記押圧テーブル上に搬入して、該押圧テーブルにて所要温度にまで加熱する。
接着剤は、上記所要温度にまで加熱されたプレート上の所要位置に塗布する。
そして、ワークを、加熱されて溶融した接着剤上に載置する。
次いで、前記各押圧ヘッドを前記押圧テーブルに対して接近させ、前記各押圧ヘッドによりそれぞれ1枚ずつのワークを、各同一圧力により前記プレートに所要時間押圧する。
次いで、前記各押圧ヘッドによりワークを押圧した状態で冷却し、前記接着剤を固化させてワークを前記プレート上に貼着する。
しかる後、前記各押圧ヘッドを前記押圧テーブルに対して離反させ、ワークが貼着された前記プレートを前記押圧テーブル上から搬出することによって、プレートへのワークの貼着を完了する。
【0020】
また、上記ワーク貼着方法と軌を一にするワーク貼着装置は、押圧テーブルと、該押圧テーブルの上方に、該押圧テーブルに対してそれぞれ独立して接離自在に配設された複数の押圧ヘッドとを備え、前記押圧テーブルと前記押圧ヘッドとにより押圧して、プレート上にワークを接着剤により貼着するワーク貼着装置において、前記押圧ヘッドは、前記押圧テーブルに対してそれぞれ独立して接離自在に配設された複数の押圧ヘッドに形成され、前記各押圧ヘッドによりそれぞれ1枚ずつのワークを、各同一圧力により前記プレート上に押圧可能になっていることを特徴とする。ワーク貼着装置については、後に詳しく説明する。
【0021】
上記のように、本実施の形態では、1つのプレート上に複数枚のワークを貼着する場合に、押圧ヘッドを、貼着するワークの数だけの複数設け、各押圧ヘッドで独立してそれぞれ対応するワークを1つずつ押圧するのである。そしてその場合に、各押圧ヘッドによりそれぞれ1枚ずつのワークを、各同一圧力により前記プレート上に押圧するようにしてプレート上にワークを貼着するのである。このように各押圧ヘッドにより、各同一圧力により独立して各ワークを押圧することによって、所要量の接着剤をはみ出しつつ押圧して、各ワークにおける接着剤の厚さを同一とすることができる。すなわち、ワークの厚さにばらつきがあっても、各ワークにおける接着剤の厚さを同じにできることが理解されよう。
【0022】
しかしながら、ワークに厚さのばらつきがあれば、プレートに貼着した際の、プレート面からの各ワークの高さにばらつきが生じることになる。
しかし、このワークを貼着したプレートを、研磨機の研磨定盤上にワークが研磨布側に向くように載置して、ワークの研磨を行う場合、高さの高いワークの方がそれだけ多く研磨されることから、最終的には研磨後のワークの厚さが均一となる。
【0023】
前記したサファイア基板のように、反りが生じている場合にあっても、各サファイア基板は、各押圧ヘッドから同一の圧力によって押圧され、同一の程度に反りが解消される。この状態で研磨されることによって、また、サファイア基板自体に厚さのばらつきがあっても、上記のように、研磨量に差がでることから、最終的に、厚さや、反りの解消状態が均一な状態で研磨が可能となる。
【0024】
ところで、接着剤には種々のものがあるが、一般的には、加熱することによって溶解し、冷却することによって固化するワックスが用いられる。
接着剤にこのワックスを用いるものにあっては、接着時、ワックスの加熱と冷却工程が必要となる。
このワックス(以下、接着剤として説明する)の加熱と冷却は、前記特許文献1と同様に行うことができる。
すなわち、まず、ヒーターを内蔵した加熱テーブルを所要温度にまで加熱しておき、この加熱テーブル上にプレートを搬入し、プレートを加熱する。
次いで、該プレート上の、各ワークを貼り付ける位置にそれぞれ接着剤を塗布する。
プレートの熱によって溶融した各接着剤上に1つずつワークを載置する。
次いで、加熱テーブルに隣接して設けられた、冷却機構を有する押圧テーブル上に、上記各ワークを各接着剤上に載置したプレートを搬入する。
押圧テーブルの上方に、各独立して上下動自在に複数設けた各押圧ヘッドを下降させ、各押圧テーブルと押圧ヘッドとの間で各ワークをプレート上に押圧し、接着剤を展延させると共に、押圧テーブルの冷却機構に冷却水を供給して、プレートおよび接着剤を冷却して、接着剤を固化して複数枚のワークをプレート上に貼着するようにすることができる。
【0025】
ただし、上記の方法では、加熱テーブル上で加熱されたプレートを押圧テーブル上に搬入した際に、プレートの熱が押圧テーブルに奪われ、また押圧ヘッドがワークに当接した瞬間にも押圧ヘッドに熱が奪われ、さらにまた、この状態で、押圧テーブルに冷却水が供給される状況となるので、接着剤の温度が低下し、接着剤の種類によっては、接着剤が伸びきる前に接着剤が固化し、そのため、接着剤の厚さが均一とならない事態が生じるおそれがある。
【0026】
以下では、上記おそれも解決した、さらに好適なワーク貼着方法およびワーク貼着装置について詳細に説明する。
図1はワーク貼着装置10の正面図、
図2は、押圧テーブル18の断面説明図、
図3はプレート22の平面図である。
図1において、12は、加熱テーブル14を有する第1のステージ、16a、16bは、第1のステージ12と隣接して設けられ、押圧テーブル18を有する第2のステージである。
加熱テーブル14は、第1のヒーター(図示せず)を内蔵し、基台20上に支持部材21を介して水平に固定されている。加熱テーブル14上には、ワーク23が貼着されるプレート22が搬入される。
【0027】
24は位置決め用シリンダであり、加熱テーブル14の下方に配置され、ロッドに連結された3本の位置決めピン25を有する(
図1では2本のみ図示)。位置決めピン25は、加熱テーブル14に設けられた貫通孔26を上下方向に挿通して、加熱テーブル14上表面に突出入するようになっている。プレート22には、位置決めピン25に対応して3個の透孔27が設けられている(
図3)。
プレート22は、本実施の形態では人手により加熱テーブル14上に搬入されるが、その際、位置決めピン25が透孔27内に進入するように載置することで、加熱テーブル14上で位置決めされる。プレート22上には、ワーク23の貼付位置を示すマークが付されている。本実施の形態では、
図3に示すように、マークとして、載置されるワーク23の外周縁の外側に沿うように周溝23aを設けている。ワーク23をこの周溝23a内に納まるように載置することで、ワーク23をプレート22上の所要位置に配置できる。なお、周溝23aは、ワーク23を貼着する際、はみ出した余分な接着剤が流れ込む溝としても機能する。
【0028】
加熱テーブル14には、第1のヒーターによって加熱される加熱テーブル14の温度を検出する温度検出部(図示せず)が設けられている。この温度検出部によって検出される温度が、所定設定温度範囲内にあるように、制御部45によって、第1のヒーターのオン、オフ制御がなされる。
また、加熱テーブル14の上方には、赤外線温度センサー(温度検出部)28が配置されている。赤外線温度センサー28は、加熱テーブル14上に載置されたプレート22の表面温度を検出するようになっている。
【0029】
第2のステージ16a、16bにおける押圧テーブル18も、支持部材30によって、基台20上にそれぞれ水平に支持されている。押圧テーブル18は、
図2に示すように、第2のヒーター31および冷却水が供給される冷却機構32を有する。押圧テーブル18における冷却水が流通するジャケット32aを、押圧テーブル18上に搬入されるプレート22の冷却が迅速になされるように、第2のヒーター31よりも、押圧テーブル18の表面側に近接位置して設けるようにすると好適である。
図1に、冷却機構32における冷却水の回路が示されている。36は、温度を調整した冷却水が供給され、貯留される水槽(図示せず)への接続口、37は冷却水の往路、38は復路で、冷却水は、押圧テーブル18のジャケット32a内を通過して排出口39から排出される。なお、40はドレインであり、図示しないバルブを開放することによって、回路中の冷却水を排出できるようになっている。
【0030】
第2のステージ16a、16bにも、第1のステージ12と同様に、位置決め用シリンダ24、3本の位置決めピン25を有する位置決め機構が設けられ、加熱テーブル14から搬入されるプレート22の位置決めができるようになっている。
また、押圧テーブル18にも、第2のヒーター31によって加熱される押圧テーブル18の温度を検出する温度検出部(図示せず)が設けられている。この温度検出部によって検出される温度が、所定設定温度範囲内にあるように、制御部45によって、第2のヒーター31のオン、オフ制御がなされる。
【0031】
押圧テーブル18の上方には、押圧テーブル18に対して独立して上下動(接離動)自在に複数の押圧ヘッド42が設けられている。押圧ヘッド42は、第2のステージ16a側には3個、第2のステージ16b側には5個(
図1には3個のみ図示)設けられている。すなわち、第2のステージ16a側では、比較的に大きなワーク23であって、1つのプレート22に3枚のワーク23を貼着できるようになっており、一方、第2のステージ16b側では、比較的に小さなワーク23であって、1つのプレート22に5枚のワーク23を貼着できるようになっている。
【0032】
複数の各押圧ヘッド42は、それぞれ基台20に支持されたエアシリンダ(駆動部)44のロッド下端に取り付けられて上下駆動される。各押圧ヘッド42は、押圧面が押圧テーブル18に対して平行になるように調節してロッド下端に固定して設けてもよいし、ロッド下端に球軸受(図示せず)を介して、押圧テーブル18の押圧面(ワーク23の押圧面)の傾きに追随して回動するように設けてもよい。なお、押圧ヘッド42の押圧面が押圧テーブル18の押圧面に対して平行になるように調節するには、例えば、シート状のタクタイルセンサー(図示せず)あるいは感圧紙などを介在させて、押圧した際の圧力分布をみながら、押圧ヘッド42の角度を調節するようにするとよい。
【0033】
各押圧ヘッド42は、加熱テーブル14上で加熱され、所要位置に接着剤が塗布され、かつ該接着剤上にワーク23が載置されて押圧テーブル18上に搬入されたプレート22上のワーク23を、押圧テーブル18との間で同一の圧力(押圧力)で押圧するようになっている。
上記のように、各押圧ヘッド42により、同一の圧力で各ワーク23を押圧するには、各エアシリンダ44の上室を同一のエア圧力源(図示せず)に接続することによって行える。あるいは、各押圧ヘッド42のエアシリンダ44の上室をレギュレータ(図示せず)を介して異なるエア圧力源に接続して、レギュレータにより同一の圧力となるように調整してもよい。
各押圧ヘッド42には、熱電対46からなる温度検出部が設けられている。熱電対46は、先端が押圧ヘッド42の下部に至るようになっていて、押圧ヘッド42の下部側(ワーク23を押圧する面に近接した部位)の温度を検出できるようになっている。
【0034】
本実施の形態におけるワーク貼着装置10は上記のように構成されている。
続いて、貼着装置10の動作と共に、本実施の形態におけるワーク貼着方法を説明する。
第1のステージ12では、第1のヒーターに通電して、加熱テーブル14を所要温度(例えば120〜125℃)になるように加温しておく。加熱テーブル14の温度は温度検出部によって検出され、所要温度範囲に維持されるよう制御される。
次いで、この所要温度に加温されている加熱テーブル14上に、プレート22を、位置決めピン25により位置決めして搬入し(本実施の形態では人手により搬入する)、加熱テーブル14からの伝熱により所要温度(例えば110℃)まで加温する。このプレート22の温度は、赤外線温度センサー28によって検出される。
プレート22が所要温度にまで加温されたら、プレート22の所要位置(ワーク貼り付け位置)に所要量の接着剤を塗布する。接着剤の塗布は人手によって行うが、適宜、塗布機を用いて自動的に行ってもよい。プレート22はあらかじめ所要温度にまで加熱されているので、塗布された接着剤は溶解する。
【0035】
他方、第2のステージ16a、16b側でも、第2のヒーター31に通電し、押圧テーブル18を所要温度(例えば120〜125℃)にまで加温しておく。押圧テーブル18の温度も温度検出部によって検出され、所要温度範囲に維持されるよう制御される。なお、冷却機構32には冷却水の供給は停止されていて、冷却水も加温される。このように、冷却水も加温されることで、冷却水からの伝熱により押圧テーブル18は均一に加温される。
またその際、各押圧ヘッド42を下降させて押圧テーブル18に押圧ヘッド42を接触させ、押圧テーブル18からの伝熱により各押圧ヘッド42を所要温度(例えば110℃)にまで加温しておく。押圧ヘッド42の温度は熱電対46によって検出される。
【0036】
各押圧ヘッド42の温度が所要温度にまで昇温したら、押圧ヘッド42を押圧テーブル18上から上昇させて離反させ、押圧テーブル18上に、加熱テーブル14上で加熱され、かつワーク23が載置されたプレート22を位置決めして搬入する。
次いで、各押圧ヘッド42を下降して押圧テーブル18に接近させ、所要温度に加熱されている押圧ヘッド42と押圧テーブル18とでプレート22を介してワーク23を所要時間(例えば1分)押圧する。押圧ヘッド42およびプレート22の双方が所要温度に加熱された状態でワーク23が押圧されるので、接着剤が十分に伸び、均一厚さで展延される。特に本実施の形態の場合、前記したように、各押圧ヘッド42は各ワーク23を独立して、かつ同一圧力で押圧するので、ワーク23に厚さのばらつきがあっても、余分な接着剤をはみ出させつつ、接着剤が同一厚さとなるように各ワーク23を押圧する。
【0037】
このように、ワークの厚さにばらつきがあっても、各ワークにおける接着剤の厚さを同じにしてワークの貼着が行える。これにより、前記したように、ワークの研磨を行う場合、ワークの厚さが均一となるように研磨を行うことができる。なお、押圧ヘッド42を、球軸受を介して、押圧テーブル18の押圧面(ワーク23の押圧面)の傾きに追随して回動するように設けた場合には、ワーク23が均一厚さでなく、テーパ状をなす場合にあっても、ワーク23下面側をプレート22面に対して平行となるようにして、接着剤の厚さを均一に接着でき、ワークの均一研磨が行える。
【0038】
各押圧ヘッド42により所要時間押圧された段階で、第2のヒーター31への通電を停止すると共に、冷却機構32に冷却水を供給して押圧テーブル18を冷却し、さらに伝熱によりプレート22および押圧ヘッド42を冷却する。これにより、接着剤が固化され、ワーク23がプレート22上に貼着される。
この冷却工程で、押圧ヘッド42の温度は、熱電対46によって検出され、この押圧ヘッド42の温度が所要温度(例えば35℃)まで低下した時点で、押圧ヘッド42による押圧を終了し、押圧ヘッド42を上昇させ、押圧テーブル18上からプレート22を取り出してワーク23の貼着を完了する。
【0039】
押圧ヘッド42によるワーク23の押圧を、押圧時間だけで管理するようにしてもよいが、上記のように、押圧ヘッド42の温度を検出して、押圧ヘッド42が所要温度よりも低下した段階で終了させるようにすることで、接着剤を確実に固化させることができる。すなわち、押圧テーブル18から一番遠いところの押圧ヘッド42が接着剤の固化温度よりも低い温度にまで低下したのを検出して、押圧ヘッド42による押圧を終了することで接着剤を確実に固化することができるのである。
なお、加熱テーブル14、プレート22、押圧テーブル18、押圧ヘッド42の加熱温度や冷却温度は上記に限られず、接着剤の種類等によって適宜選択されることはもちろんである。
また、上記実施の形態では、接着剤の塗布と、この塗布された接着剤上へのワーク23の供給を、加熱テーブル14上で行った。しかし、場合によっては、加熱テーブル14ではプレート22の加熱のみを行い、加熱されたプレート22が押圧テーブル18上に搬入された後に、接着剤の塗布と、ワーク23の供給とを押圧テーブル18上で行ってもよい。
【0040】
本実施の形態では、ワークの種類はシリコンウェーハなど特に限定されるものではないが、窒化物半導体層(GaNなど)を形成したサファイア基板やSiC基板の貼着の場合に特に好適である。
サファイア基板に窒化物半導体層(GaNなど)をエピタキシャル成長させたワークの場合、熱膨張率の異なる2層からなる等の理由によって、反りが発生しやすいという事情がある。本実施の形態では、所定温度にまで昇温しているプレート22と押圧ヘッド42とで所定時間ワーク23を押圧して、接着剤が溶融している状態で反りが解消されるまで押圧して、次いで、冷却する。そして、上記のように、押圧ヘッド42の温度を検出して当該温度が所要温度以下になるまで押圧ヘッド42によってワークを押圧することで、接着剤を完全に固化でき、反りが戻るようなことがなく、かつ均一厚さの接着剤で平坦精度よくワークの貼着が行えるのである。なお、この場合、サファイア基板を研磨することになるから、窒化物半導体層をプレート22側に向けてプレート22に貼着することはもちろんである。
【0041】
なお、上記実施の形態では、第2ステージ16を2つ設けたが、1つでも3つ以上の複数でもよい。また各ステージでの押圧ヘッド42の数も特に限定されない。
また、各ステージでの、あるいはステージ間でのプレートの移動は、移動装置を設けて自動的に搬出入させるようにすることもできる。
図4は、第1のステージ12、第2のステージ16をそれぞれ1つずつ設けた実施の形態を示す。なお、各部材は
図1に示すものと同じであるので、同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0042】
上記各実施の形態において、各押圧ヘッド42を
図5に示す実施の形態のものに変更することができる。
図5はその押圧ヘッド42の説明断面図である。
本実施の形態では、押圧ヘッド42に、第3のヒーター47と冷却機構48とを設けている。第3のヒーター47はフレキシブルなケーブル(図示せず)を介して電源に接続され、冷却機構48もフレキシブルなパイプ(図示せず)を介して冷却水供給源に接続される。
本実施の形態では、各押圧ヘッド42の加熱は第3のヒーター47によって直接行えるのでよりスムーズに加熱することができる。また、接着剤の固化の際には、第3のヒーター47への通電を停止し、冷却機構48へ冷却水を供給することによって、よりスムーズに押圧ヘッド42の冷却が行える。したがって、全体のタクトタイムの短縮ができる。この一連の制御も制御部45によって行う。
なお、押圧ヘッド42には、第3のヒーターのみ設けて、冷却機構48は省略してもよい。
【0043】
図6は、ワーク貼着装置10のさらに他の実施の形態を示す正面図である。
図1に示すものと同一の部材は同一の符号を付し、その説明は省略する。
本実施の形態では、第1のステージ12を省略し、第2のステージ16のみとしている。第2のステージ16における押圧テーブル18には、
図2に示すのと同様に、ヒーター31と冷却機構32の双方が設けられ、この第2のステージ18上で、プレート22の加熱からワーク23の貼着までの全ての工程を行うようにしている。
【0044】
以下、
図6に示す貼着装置10の動作と共に、ワーク貼着方法を説明する。
まず、押圧テーブル18のヒーター31に通電し、押圧テーブル18を所要温度(例えば120〜125℃)にまで加熱する。
また、各押圧ヘッド42を下降し、押圧テーブル18に接触させて、押圧テーブル18からの伝熱により各押圧ヘッド42を所要温度(例えば110℃)にまで加熱する。
各押圧ヘッド42が所要温度にまで加熱されたら、押圧ヘッド42を上昇させ、押圧テーブル18上を開放する。
【0045】
次いで、押圧テーブル18上にプレート22を位置決めして搬入し、押圧テーブル18からの伝熱によってプレート22を所要温度(例えば110℃)にまで加熱する。このプレート22の温度は、赤外線温度センサー(図示せず)によって検出するようにするとよい。
プレート22が所要温度にまで加熱されたら、プレート22の所要位置に接着剤を塗布し、溶融させる。
接着剤が溶融したら、接着剤上にワーク23を載置する。
【0046】
次いで、各押圧ヘッド42を下降して押圧テーブル18に接近させ、所要温度に加熱されている押圧ヘッド42と押圧テーブル18とでプレート22を介してワーク23を所要時間(例えば1分)押圧する。押圧ヘッド42およびプレート22の双方が所要温度に加熱された状態でワーク23が押圧されるので、接着剤が十分に伸び、均一厚さで展延される。本実施の形態でも、各押圧ヘッド42は各ワーク23を独立して、かつ同一圧力で押圧するので、ワーク23に厚さのばらつきがあっても、余分な接着剤をはみ出させつつ、接着剤が同一厚さとなるように各ワーク23を押圧する。
このように、ワークの厚さにばらつきがあっても、各ワークにおける接着剤の厚さを同じにしてワークの貼着が行える。これにより、前記したように、ワークの研磨を行う場合、ワークの厚さが均一となるように研磨を行うことができる。
【0047】
各押圧ヘッド42により所要時間押圧された段階で、ヒーター31への通電を停止すると共に、冷却機構32に冷却水を供給して押圧テーブル18を冷却し、さらに伝熱によりプレート22および押圧ヘッド42を冷却する。これにより、接着剤が固化され、ワーク23がプレート22上に貼着される。
この冷却工程で、各押圧ヘッド42の温度は、熱電対46によって検出され、この押圧ヘッド42の温度が所要温度(例えば35℃)まで低下した時点で、各押圧ヘッド42による押圧を終了し、各押圧ヘッド42を上昇させ、押圧テーブル18上からプレート22を取り出してワーク23の貼着を完了する。
【0048】
各押圧ヘッド42によるワーク23の押圧を、押圧時間だけで管理するようにしてもよいが、上記のように、押圧ヘッド42の温度を検出して、押圧ヘッド42が所要温度よりも低下した段階で終了させるようにすることで、接着剤を確実に固化させることができる。すなわち、押圧テーブル18から一番遠いところの押圧ヘッド42が接着剤の固化温度よりも低い温度にまで低下したのを検出して、押圧ヘッド42による押圧を終了することで接着剤を確実に固化することができるのである。
【0049】
本実施の形態においても、各押圧ヘッド42に、
図5に示すように、ヒーター47と冷却機構48とを設けてもよい。この場合には、押圧ヘッド42の加熱はヒーター47によって直接行えるのでよりスムーズに加熱することができる。また、接着剤の固化の際には、ヒーター47への通電を停止し、冷却機構48へ冷却水を供給することによって、よりスムーズに押圧ヘッド42の冷却が行える。したがって、全体のタクトタイムの短縮ができる。
また、各押圧ヘッド42を冷却する場合には、押圧ヘッド42の温度を検出して押圧終了を決めるのではなく、プレート22の温度を検出して決定してもよい。
なお、この場合にも、各押圧ヘッド42には、第3のヒーターのみ設けて、冷却機構48は省略してもよい。