(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記デジタル放送データ生成手段は、前記デジタル放送データとして、ARIB STD−B10で規定され、かつ、所定の番組の番組内イベントであるローカルイベントの記述情報であるLITを生成すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載のデータ送出装置。
前記制御手段は、現在放送中の番組の終了時刻の所定時間前を経過してから、現在放送中の番組のローカルイベントについての変更指示があった場合に、現在放送中の番組について変更後のLITを生成するように前記デジタル放送データ生成手段を制御し、変更後のLITを少なくとも1回前記第2のFIFOメモリに書き込む制御を行うこと
を特徴とする請求項4記載のデータ送出装置。
前記デジタル放送データ生成手段は、番組内のローカルイベントの1つの素材として電子クーポンを表示させる場合、前記ローカルイベントの開始時刻情報及び継続時間情報と、前記電子クーポンのデータ格納場所情報と、前記継続時間情報よりも優先される前記電子クーポンの有効期間情報と、を有するLITを生成すること
を特徴とする請求項4または請求項5に記載のデータ送出装置。
多重化ストリームを受信して、TS符号化データと、MPEG−2システムを採用するデジタル放送規格のPSI(Program Specific Information)及びSI(Service Information)のうちの少なくとも1つのデータであるデジタル放送データと、に分離する多重化ストリーム分離手段と、
前記多重化ストリーム分離手段により分離されたTS符号化データを復号するTS復号手段と、
前記TS復号手段により復号されたデータを再生するデータ再生手段と、
前記多重化ストリーム分離手段により分離されたデジタル放送データから、ARIB STD−B10で規定され、かつ、所定の番組の番組内イベントであるローカルイベントの記述情報であるLITを抽出するLIT抽出手段と、
前記LIT抽出手段により抽出された現在放送中の番組のLITを記憶する第1の記憶手段と、
前記LIT抽出手段により抽出された次に放送予定の番組のLITを記憶する第2の記憶手段と、
現在放送中の番組が終了する所定時間前に、前記第2の記憶手段に記憶されたLITと前記第1の記憶手段に記憶されたLITとを入れ替える制御を行う制御手段と、
前記第1の記憶手段に記憶されたLITに従って、前記TS復号手段により復号されたデータの処理を行うデータ処理手段と、
を備えたデータ受信装置。
前記LIT抽出手段は、番組内のローカルイベントの1つの素材として電子クーポンを表示させる場合、前記ローカルイベントの開始時刻情報及び継続時間情報と、前記電子クーポンのデータ格納場所情報と、前記継続時間情報よりも優先される前記電子クーポンの有効期間情報と、を有するLITを抽出し、
前記TS復号手段は、前記TS符号化データを前記電子クーポンの画像データに復号し、
前記データ処理手段は、前記開始時刻情報及び前記継続時間情報に基づいて前記ローカルイベントの所定の素材を出力すると共に、前記開始時刻情報及び前記有効期間情報に基づいて前記ローカルイベントの電子クーポンを出力する処理を行うこと
を特徴とする請求項8に記載のデータ受信装置。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るデータ送出装置10の構成を示すブロック図である。
データ送出装置10は、映像データを符号化する映像符号化部11、音声データを符号化する音声符号化部12、ファイルデータを符号化するファイルデータ符号化部13、プログラム特徴情報(PSI:Program Specific Information)及びサービスインフォメーション(SI:Service Information)を生成するPSI/SI生成部14を備えている。PSI及びSIは、MPEG−2システムを採用するデジタル放送規格で定義されたものである。
【0022】
さらに、データ送出装置10は、FIFO(First−In First−Out)メモリ15〜18、カルーセルデータ用メモリ19、TSパケットを多重化するTSパケット多重化部20、当該システム全体を制御するシステム制御部21を備えている。
【0023】
なお、FIFOメモリ15〜18は、データが入力された順番に従って当該データを順に出力するメモリである。このため、データの読み出し完了後には、FIFOメモリ15〜18にはデータが残っていない。
【0024】
映像符号化部11は、外部より供給される映像ストリームなどの映像データを圧縮符号化して、188バイト固定長の映像TSパケットを生成する。映像符号化部11は、生成した映像TSパケットをFIFOメモリ15に順次、格納する。
【0025】
音声符号化部12は、外部より供給される音声ストリームなどの音声データを圧縮符号化して音声TSパケットを生成し、生成した音声TSパケットをFIFOメモリ16に順次、格納する。
【0026】
ファイルデータ符号化部13には、画面を構成する静止画素材、その表示位置や表示方法などを記述したBMLあるいはHTML文書などが、ファイルとして外部(例えば、上位システムなど)から供給される。
【0027】
ファイルデータ符号化部13は、外部より供給されるファイルデータをIPDC(IPデータキャスト)に適した形式に符号化してファイルTSパケットを生成し、生成したファイルTSパケットをFIFOメモリ17に順次、格納する。このファイルTSパケットは、多重化された後、IPDCとして放送波によって配信される。
【0028】
なお、ファイルTSパケットは、映像や音声と異なり、必要に応じて同じものを繰り返し送出される場合がある。この場合、データ送出装置10の上位システムが、当該データ送出装置10に対して、所定のファイルデータを繰り返し供給することで、ファイルデータの繰り返し送出が実現される。
【0029】
PSI/SI生成部14は、当該データ送出装置10内で、イベント情報テーブル(EIT:Event Information Table)、ローカルイベント情報テーブル(LIT:Local event Information Table)を含むSI、多重化された映像音声ストリームと実際の番組との関連などを記述したPSIを生成して出力する。
【0030】
なお、EIT及びLITは、ARIB STD−B10で規定されたものである。また、PSI/SI生成部14は、外部からSI及びPSIが供給される場合には、SI及びPSIを生成する代わりに、供給されたSI及びPSIを出力することもある。
【0031】
そして、PSI/SI生成部14は、上述のSI及びPSIを、周期再送されるカルーセルデータとして、カルーセルデータ用メモリ19に格納する。なお、PSI/SI生成部14は、システム制御部21から割込みの指示があった場合には、SI及びPSIをFIFOメモリ18に格納する。
【0032】
TSパケット多重化部20は、FIFOメモリ15〜18に記憶されているTSパケットを順次読み出して多重化することを繰り返すと共に、カルーセルデータ用メモリ19に記憶されているデータを所定周期毎に読み出して多重化する。ここで、カルーセルデータ用メモリ19はFIFOメモリでなく通常のメモリであることから、カルーセルデータ用メモリ19に記憶されたSI及びPSIは、それが上書き変更されない限り同じである。従って、TSパケット多重化部20は同じデータを所定周期で読み出して多重化することとなる。
【0033】
そして、TSパケット多重化部20は、多重化されたTSパケットを、多重化TSである放送波として送出する。システム制御部21は、データ送出装置10の各部を適切に制御すべく、後述するTSパケット送出ルーチン、第1及び第2のLIT送出ルーチンを実行する。
【0034】
このような構成のデータ送出装置10は、例えばISDB系デジタル放送に対応しており、番組表に相当する電子プログラムガイド(EPG:Electronic Program Guide)を放送波に重畳して送出する。
【0035】
EPGは、放送される番組(イベント)毎にその開始時刻、継続時間、番組タイトル、番組概要などを記述したEITと、イベントよりさらに小さな単位のコンテンツであるローカルイベント(番組内イベント)毎にその開始時刻、継続時間、その他の詳細情報を記述したLITと、を有している。
【0036】
図2は、放送波に多重化された音声ストリームの一例を示す図である。この音声ストリームは、1つのイベント(例えば音楽番組)を示している。
【0037】
このイベントでは、所定の番組開始時刻にオープニングトークが始まり、CM1を挟んで、楽曲紹介トークがある。その後、楽曲演奏があり、その終了直後のCM2を挟んで、最後にクロージングトークがあり、所定の番組終了時刻で終了する。なおローカルイベントとは、CM1、CM2及び楽曲演奏のような当該イベント内の部分構造のことをいう。
【0038】
当該イベントのEITには、当該イベントの開始時刻、継続時間、番組タイトル、番組概要などが記述される。さらに、当該EITを参照したLITには、当該イベントを構成する各ローカルイベント(CM1、CM2及び楽曲演奏)の開始時刻、継続時間ならびに、当該ローカルイベントを構成する「素材」に関する様々な情報などが記述される。
【0039】
図3は、EITのデータ構造を模式的に示す図である。
EITは、EITヘッダ、EIT基本情報、イベント記述データを有している。EIT基本情報は、当該イベントを放送するチャンネル(サービス)を識別するサービスID、当該EITのバージョン番号、当該チャンネルを含むトランスポートストリーム(TS)の識別子などが該当する。
【0040】
イベント記述データは、イベント毎に繰り返し記述されるデータであり、イベント基本情報、単形式イベント記述子、拡張形式イベント記述子を有している。
イベント基本情報は、イベントを識別するためのイベントID、当該イベントの開始時刻及び継続時間等が該当する。単形式イベント記述子は、例えば、番組タイトルの記述が該当する。拡張形式イベント記述子は、例えば、番組概要の記述が該当する。
【0041】
なお、
図3に示す単形式イベント記述子及び拡張形式イベント記述子は、一例であり、イベントに応じて他の記述子に変更可能である。また、EITは、通常、1つ以上のイベント記述データを含む。但し、最重要イベントである現在放映中のイベント(現イベント)とその直後に放映予定のイベント(次イベント)のそれぞれについては、各々のイベント記述データのみを有した独立したEITが生成される。
【0042】
図4は、ローカルイベント情報テーブル(LIT)のデータ構造を模式的に示す図である。LITは、EITとほぼ同様に構成され、LITヘッダ、LIT基本情報、ローカルイベント記述データを有している。
【0043】
LIT基本情報は、EIT基本情報と同様に、当該イベントを放送するチャンネル(サービス)を識別するサービスID、当該LITのバージョン番号、当該チャンネルを含むトランスポートストリーム(TS)の識別子などが該当する。LIT基本情報は、さらに、当該LITの参照対象であるイベントの識別子であるイベントIDなども該当する。
【0044】
ローカルイベント記述データは、ローカルイベント毎に記述されるデータであり、ローカルイベント基本情報、当該ローカルイベントに関する様々な情報を記述する1つ以上の記述子(基本ローカルイベント記述子、素材情報記述子など)を有する。
なお、ローカルイベント基本情報は、EITにおけるイベント基本情報と異なり、実質的には、ローカルイベントを識別するためのローカルイベントIDのみである。
【0045】
基本ローカルイベント記述子は、ローカルイベントの開始時刻及び継続時間を記述する。なお、基本ローカルイベント記述子が省略されている場合、ローカルイベントの開始時刻及び継続時間は、当該ローカルイベントを記述したLITが参照対象とするEITの開始時刻及び継続時間と同じと解釈される。したがって、基本ローカルイベント記述子が省略されたローカルイベントは、それが参照対象としたイベントと同時に開始し、当該イベントと同時に終了することとなる。
【0046】
素材情報記述子は、当該ローカルイベントを構成する「素材」に関する様々な情報をまとめて記述する。ローカルイベントが複数の素材で構成されている場合、素材情報記述子は素材毎に設けられる。素材情報記述子は、原則として、基本ローカルイベント記述子の開始時刻及び継続時間に拘束される。
【0047】
図5は、素材情報記述子のデータ構造を模式的に示す図である。
素材情報記述子は、素材情報記述子ヘッダ、素材種別、素材名、素材コード、素材期間、素材リンクを有している。素材種別は、当該素材情報記述子が記述対象とした素材のメディア種別であり、例えば、静止画、音声が該当する。素材名は、当該素材の名称として付与される可読テキストである。
【0048】
素材コードは、当該素材を外部のアプリケーションからユニークに識別するための識別子である。素材期間は、当該素材の有効期間である。なお、素材期間は、基本ローカルイベント記述子の継続時間よりも優先的に取り扱われ、任意の時間に設定可能である。このため、ローカルイベントの中で一部の素材のみ有効期間を変えたい場合に、素材期間が記述される。
【0049】
素材リンクは、当該素材の関連素材あるいは関連情報への参照リンクであり、例えば素材の格納場所である。素材リンクが素材の格納場所の指定に用いられた場合、例えばIPDCとして放送波によって配信された素材の実体データ(素材データ)を受信したデータ受信装置は、当該素材データを素材リンクが指定する格納場所に格納する。そしてデータ受信装置は、例えばローカルイベントの開始時刻に合わせて、素材リンクに基づき当該素材データを当該格納場所から読み出して提示する。
【0050】
LITは、ローカルイベント毎に、対応するローカルイベント記述データが生成される。そして、各ローカルイベント記述データは、その開始時刻が早いローカルイベントの順番に従って配置される。このため、イベントの開始と同時に発生するローカルイベントのローカルイベント記述データは、LIT内の先頭に配置される。また、イベントの最後に発生するローカルイベントのローカルイベント記述データは、LIT内の末尾に配置される。
【0051】
LITは、EITと同様に、1つ以上のローカルイベント記述データを包含できる。そして、1つのイベントに含まれるすべてのローカルイベントは、1つのLITで記述される。これに対して、EITの場合、現イベント及び次イベントの各EITは独立して存在しており、この点が相違する。
【0052】
なお、LITは、イベントの進行中に新たなローカルイベントが追加されるなどによってその記述内容が変更されない限り、参照対象のイベントの進行に関わらず、常に同一である。換言すれば、あるイベントを参照したLITは、当該イベントの開始直後に外部に送出されるものであっても、当該イベントの終了直前に外部に送出されるものであっても、当該記述内容の変更がない限り同一である。
【0053】
ここで、ローカルイベント情報テーブル及び素材情報記述子について、詳細な具体例を挙げて説明する。
図6は、
図2で示したイベントに対して、「CM2」に連動して電子クーポンを発行する状況が追加されたイベントを説明する図である。
図7は、CM1,CM2及び楽曲演奏をローカルイベントとみなした場合のLIT(及び素材情報記述子)のデータ構造を模式的に示す図である。
【0054】
図7に示すように、LITは、イベントIDを有しており、当該イベントIDと同じイベントIDを有するLITを参照している。
LITは、参照対象であるEITに関連付けられ、当該EITが記述するイベントの詳細情報を示している。このため、LIT内のLIT基本情報のイベントIDは、存在するいずれかのEITのイベントIDに一致する。すなわち、LITは、参照対象のEITが存在しない場合は、無効であり、データ受信装置の処理対象外となる。
【0055】
LITは、関連付けられたイベント内の全てのローカルイベントについて記述しており、その開始時刻に従って各ローカルベント記述データを列挙している。
図7では、ローカルイベント記述ループ0(ループ0)、同ループ1(ループ1)、同ループ2(ループ2)の順にローカルイベント記述データが列挙され、各ローカルイベントはその順に開始する。
【0056】
先頭のループ0は、
図6中の「CM1」の開始時刻及び継続時間がそれぞれt1、d1であり、その素材種別が“音声”であり、その素材名が“CM1”であり、さらに、素材コード(例えば共通コード管理センターが発行する10ケタCMコードなどに相当)が“cm0101”であることを示している。なお、このローカルイベントの識別子(ローカルイベントID)は“LE1”である。
【0057】
ループ1は、
図6中の「楽曲演奏」の開始時刻及び継続時間がそれぞれt2、d2であり、その素材種別が“音楽”であり、その素材名が“Let‘s dance! ”であり、さらに、素材コード(この場合はIEC62227などの許諾コードに相当)が“music1234”であることを示している。なお、このローカルイベントの識別子は“LE2”である。また、ここでは、素材名が、楽曲タイトル(楽曲名)に相当する。データ受信装置により受信された場合には、当該素材名が、演奏中の楽曲タイトルとして画面の所定の場所に表示される。
【0058】
ループ2は、
図6中の「CM2」の開始時刻及び継続時間がそれぞれt3、d3であり、その素材種別が“音声”であり、その素材名が“CM2”であり、さらに、素材コードが“cm2323”であることを示している。なお、このローカルイベントの識別子は、 “LE3”である。
【0059】
さらに、ループ2においては、「CM2」の開始に連動して送出される電子クーポンも、当該ローカルイベントを構成する素材のひとつとして記述されている。
【0060】
具体的には、ループ2に生成された素材情報記述子の下位ループ1は、その素材種別が“(電子)クーポン”であり、その素材期間が“d4”であり、その素材リンクが“http://…/アイコン.jpg”であることを示している。なお、素材リンクは、電子クーポンを画面にアイコン表示する際の静止画の入手先(格納場所)を示している。
【0061】
ローカルイベント「CM2」のデフォルトの継続時間は、当該ローカルイベント記述データの基本ローカルイベント記述子で記述されたd3である。これに対して、当該電子クーポンはローカルイベント「CM2」の終了後も存続し、その継続時間がd4である。つまり、当該電子クーポンは、CM2が始まる開始時刻t3においてアイコン静止画としてデータ受信装置に表示され、継続時間d4の間だけ当該表示が継続される。したがって、電子クーポンを示す当該下位ループ1の素材期間d4は、基本ローカルイベント記述子の継続時間d3よりも優先される。
【0062】
図8は、TSパケット送出ルーチンを示すフローチャートである。システム制御部21は、例えば、上位システムから多重化トランスポートストリーム(多重化TS)の送出要求を受信すると、
図8に示すTSパケット送出ルーチンのステップS1の処理を開始する。
【0063】
ステップS1では、システム制御部21は、送出TSパケットカウンタをリセットして、ステップS2へ進む。
ステップS2では、システム制御部21は、初期確認動作として、FIFOメモリ15を選択して、ステップS3へ進む。システム制御部21は、TSパケットを多重化して送出する際にはFIFOメモリ15〜18を順次選択することを繰り返しており、最初にFIFOメモリ15を選択するようになっている。
【0064】
ステップS3では、システム制御部21は、選択中のFIFOメモリにTSパケットがあるかを判定して、TSパケットがある場合はステップS4へ進み、TSパケットがない場合はステップS6へ進む。
【0065】
ステップS4では、システム制御部21は、選択中のFIFOメモリからTSパケットを読み出して、TSパケット多重化部20へ供給して、ステップS5へ進む。これにより、TSパケット多重化部20は、選択中のFIFOメモリのTSパケットを多重化して送出する。
【0066】
ステップS5では、システム制御部21は、送出TSパケットカウンタのカウント数を1増やして、ステップS6へ進む。
ステップS6では、システム制御部21は、すべてのFIFOメモリ15〜18でTSパケットの有無を確認したかを判定して、すべてのFIFOメモリ15〜18でTSパケットの有無を確認した場合はステップS8へ進み、確認していない場合はステップS7へ進む。
【0067】
ステップS7では、システム制御部21は、次のFIFOメモリを選択して、ステップS3に戻る。このように、システム制御部21は、ステップS3〜S7を繰り返し実行することで、すべてのFIFOメモリ15〜18でTSパケットの有無を確認してからステップS8へ進む。
【0068】
ステップS8では、システム制御部21は、所定数のTSパケットを送出済みであるか、つまり、送出TSパケットカウンタが所定数に達したかを判定する。システム制御部21は、送出TSパケットカウンタが所定数に達した場合、所定数のTSパケットを送出済みであるので、ステップS9へ進む。一方、システム制御部21は、送出TSパケットカウンタが所定数に達していない場合、所定数のTSパケットを送出済みでないので、ステップS2へ戻る。
【0069】
ステップS9では、システム制御部21は、カルーセルデータ用メモリ19からTSパケットを読み出して、TSパケット多重化部20へ供給して、ステップS10へ進む。これにより、TSパケット多重化部20は、カルーセルデータ用メモリ19のTSパケットを多重化して送出する。
【0070】
ここで、カルーセルデータ用メモリ19は、FIFOメモリでなく、通常のメモリである。つまり、カルーセルデータ用メモリ19に格納されたTSパケットは、それが上書き変更されるまでは変化しない。その結果、同一のTSパケットが繰り返し送出される。換言すれば、当該メモリに格納されたTSパケットを上書き変更すれば、次の送出タイミングからは異なった記述内容のPSI/SIが送出されることになる。
【0071】
その後、システム制御部21は、ステップS10において送出TSパケットカウンタをリセットし、ステップS2へ戻って冒頭の初期確認FIFOメモリを選択することで、多重化送出終了指示が出されるまで一連の動作を繰り返し実行する。
【0072】
なお、本実施形態では、例えばEIT及びLITをまとめて周期再送するように、1つのカルーセルデータ用メモリ19、及び1つの送出TSパケットカウンタが示されている。しかし、PSI/SI生成部14は再送周期の異なる複数のデジタル放送データを生成するため、実際には各周期再送に対応した複数のカルーセルデータ用メモリ及び送出TSパケットカウンタが具備されている。
【0073】
さらに、本実施形態では、送出TSパケットカウンタを用いた所定数のTSパケット送出に基づいて周期再送を実施したが、別の実施形態として、システム制御部21に周期タイマーを持たせることで、カルーセルデータ用メモリ19からTSパケットを周期的に読み出すように、当該システム制御部21がTSパケット多重化部20を制御してもよい。
【0074】
図9は、LIT送出ルーチンを示すフローチャートである。システム制御部21は、上述したTSパケット送出ルーチンの実行を開始すると同時に、
図9に示すLIT送出ルーチンのS21の処理を開始する。
【0075】
ステップS21では、システム制御部21は、現イベントのLITを生成するようにPSI/SI生成部14を制御して、ステップS22に進む。
【0076】
ステップS22では、システム制御部21は、PSI/SI生成部14で生成されたLITをカルーセルデータ用メモリ19に書き込んで、ステップS23に進む。これにより、LITは、
図8に示したTSパケット送出ルーチンによって、所定の再送周期毎にカルーセルデータ用メモリ19から読み出され、TSに多重化された後、外部へ送出される。
【0077】
ステップS23では、システム制御部21は、現時刻がLIT切替遷移区間にあるかを判定する。
ここで、現イベントが放送されている場合は、基本的には現イベントのLITが生成、送出される。但し、現イベントの終了時刻の所定時間前から当該終了時刻までの時間区間は、現イベントが放送されている場合であっても、次イベントのLITが生成、送出される。この時間区間は、LITが現イベントのものから次イベントのものへと切り替わる時間区間であり、これをLIT切替遷移区間という。
【0078】
そこで、システム制御部21は、現時刻がLIT切替遷移区間にあると判定した場合はステップS24へ進み、現時刻がLIT切替遷移区間にないと判定した場合はステップS23に待機する。これにより、LITが再送周期毎に送出され、現時刻がLIT切替遷移区間に入ると、ステップS24へ進む。
【0079】
ステップS24では、システム制御部21は、今回のLIT切替遷移区間内で次イベントのLITを初めて送出するかを判定し、当該初めての送出の場合はステップS25へ進み、初めての送出でない場合はステップS23へ戻る。
【0080】
ステップS25では、システム制御部21は、次イベントのLITを生成するようにPSI/SI生成部14を制御して、ステップS26に進む。
ステップS26では、システム制御部21は、PSI/SI生成部14により生成された次イベントのLITをカルーセルデータ用メモリ19に上書きして、ステップS27へ進む。
【0081】
ステップS27では、システム制御部21は、多重化TSの送出が終了したかを判定し、終了していない場合はステップS23に戻り、終了した場合は本ルーチンを終了する。
【0082】
図10は、LITの周期再送のタイミングを示すタイムチャートである。
LITは、例えば、演奏中の楽曲名の表示に用いられる。また、現イベントを参照対象としたLITは、通常、現イベントが開始して終了するまでの期間に、再送周期毎に送出される。
【0083】
しかし、例えば次イベントの開始直後に楽曲演奏が開始される場合、当該イベントの開始時刻において、データ受信装置が、同イベントを参照対象としたLITを受信している保証はない。
【0084】
仮に、データ受信装置が、楽曲演奏の開始時刻近傍でLITを受信できたとしても、楽曲名を画面に表示するためのデータ処理に時間を要し、楽曲名を画面に表示するまでにタイムラグが発生する。そのため、当該楽曲の演奏が既に始まっているにも関わらず、データ受信装置は、演奏楽曲の楽曲名を表示できない可能性がある。
【0085】
図10において、LIT[p]及びLIT[f]はそれぞれ、現イベント及び次イベントを参照対象としたLITである。LITは、その記述内容に関わらず、所定の再送周期に従って送出されている。さらに、次イベント(イベント2)を参照対象としたLIT[f]は、次イベントの開始時刻に先行して送出される。
【0086】
ここで、次イベントのLIT[f]が先行して送出される時間区間をLIT切替遷移区間という。LIT切替遷移区間の時間長は、LITの再送周期と共に、伝送制御パラメータとして別途指定される。
【0087】
以上のように、次イベントを参照対象としたLIT[f]は、現イベントの放送中でも先行送出される。この結果、受信機は、次イベントの開始前から、次イベントのLITを先行して受信でき、次イベントの開始直後であっても、所定のデータ処理を行うことができる。
【0088】
その結果、例えば次イベントの開始直後に楽曲演奏が開始される場合、データ受信装置は、当該イベントの開始時刻において、同イベントを参照対象としたLITを確実に受信して、タイムラグが発生することなく、楽曲名を表示することができる。
【0089】
図11は、第1の割込みLIT送出ルーチンを示すフローチャートである。システム制御部21は、ローカルイベントの変更を反映させたLITを直ちに送出し、続く周期再送においても当該LIT送出を継続する可能性がある場合、第1の割込みLIT送出ルーチンのステップS31の処理を開始する。
【0090】
ステップS31では、システム制御部21は、現イベントの初期のLITを生成するようにPSI/SI生成部14を制御して、ステップS32に進む。
【0091】
ステップS32では、システム制御部21は、PSI/SI生成部14で生成されたLITをカルーセルデータ用メモリ19に書き込んで、ステップS33に進む。これにより、LITは、
図8に示したTSパケット送出ルーチンによって、所定の再送周期毎にカルーセルデータ用メモリ19から読み出され、TSに多重化された後、外部へ送出される。
【0092】
ここで、現イベント(例えば音楽番組)の最中に、今後演奏予定の楽曲が差し替えられたり、新たな電子クーポンが発行されたりすると、LITの記述内容が変更され、さらに、LIT基本情報内のバージョン番号も更新される。
【0093】
ステップS33では、システム制御部21は、LITの記述内容の変更指示があるかを判定する。例えば、システム制御部21は、ユーザ又は上位システムから現イベント内のローカルイベントの追加又は変更の指示があった場合は、LITの記述内容の変更指示があると判定して、ステップS34へ進む。一方、システム制御部21は、現イベント内のローカルイベントの追加又は変更の指示がない場合は、LITの記述内容の変更指示がないと判定して、ステップS33に待機する。
【0094】
ステップS34では、システム制御部21は、LITの記述内容の変更指示に従って、現イベントの新たなLITを生成するようにPSI/SI生成部14を制御して、ステップS35に進む。
【0095】
例えば、ローカルイベントとして
図6に示す「楽曲演奏」の追加指示があった場合、PSI/SI生成部14は、
図7に示すループ1(ローカルイベントID=“LE2”のローカルイベント記述データ)を新たに追加したLITを生成する。この場合、基本ローカルイベント記述子の開始時刻t2は、「楽曲演奏」を開始する所望の時刻とする。ただし、当該「楽曲演奏」を直ちに挿入すべく追加指示があった場合、基本ローカルイベント記述子の開始時刻t2は、当該LITの作成時刻とする。
【0096】
また、ローカルイベントとして
図6に示す「電子クーポン」の追加指示があった場合、PSI/SI生成部14は、
図7に示すループ2(ローカルイベントID=“LE3”のローカルイベント記述データ)の素材情報記述子に下位ループ1を新たに追加したLITを生成する。
【0097】
この電子クーポンは、ローカルイベント「CM2」の素材であるが、CM2の放送開始と共に表示させ、CM2の放送後も一定時間表示させたい場合がある。その場合、
図7に示すように、下位ループ1の素材情報記述子に素材期間d4(>d3)が記述される。素材期間d4は、CM2の放送時間(継続時間d3)よりも優先される。このため、電子クーポンは、CM2の放送終了後も表示可能になる。
【0098】
ステップS35では、システム制御部21は、記述内容が変更されたLITの即時送出要求があるか、具体的には、例えばユーザにより即時送出要求の操作が行われたかを判定する。
【0099】
例えば、電子クーポンが発行されたり、演奏楽曲が差し替えられたりしても、データ受信装置は、次に周期再送されるLITを受信するまでは、これらの内容を反映できない。そこで、ユーザは、例えば変更された記述内容のLITを受信機へ直ちに反映したい場合、当該LITの即時送出要求の操作を行うことができる。
【0100】
システム制御部21は、ユーザにより即時送出要求の操作が行われた場合にはステップS36へ進み、ユーザにより即時送出要求の操作が行われていない場合にはステップS37へ進む。
【0101】
ステップS36では、システム制御部21は、PSI/SI生成部14により生成された変更後のLITをFIFOメモリ18に書き込み、ステップS37に進む。これにより、TSパケット多重化部20は、FIFOメモリ18からLITを読み出して即時多重化することで、LITの割込み送出処理を行い、多重化TSを送出する。
【0102】
ステップS37では、システム制御部21は、PSI/SI生成部14により生成された変更後のLITをカルーセルデータ用メモリ19に上書きして、ステップS38へ進む。この結果、TSパケット多重化部20は、所定の再送周期毎に、カルーセルデータ用メモリ19に上書きされたLITを読み出して、多重化TSとして送出する。つまり、割込み処理で送出されたLITと同一のものが、周期再送においても継続的に送出される。
【0103】
ステップS38では、システム制御部21は、多重化TSの送出が終了したかを判定し、終了していない場合はステップS33に戻り、終了した場合は本ルーチンを終了する。
【0104】
図12は、イベント1の放送中にLITの記述内容が変更されたときに送出されるLITの送出タイミングを示すタイムチャートである。
図12において、現イベントのLITであるLIT1[p]は、予め指定された再送周期に従って周期的に送出されている。
【0105】
イベント1の中盤において例えば新たな電子クーポンを発行した場合、送出すべきLITがLIT1[p]からLIT2[p]に更新される。このとき、当該LIT2[p]は、通常次の再送タイミングに送出される。
【0106】
しかし、電子クーポンの即時発行のように、LITの記述内容の変更を直ちにデータ受信装置へ反映させたい場合、このタイムラグが問題になる。そこで、LITの記述内容がLIT2[p]に更新された時点で、LITの再送周期とは独立したタイミングで、LITが速やかに割込み送出される。そして、割込み処理で送出されたLIT2[p]と同一のものが、その後の周期再送においても継続的に送出される。
【0107】
図13は、第2の割込みLIT送出ルーチンを示すフローチャートである。システム制御部21は、ローカルイベントの変更を反映させたLITを直ちに送出する可能性がある場合、第2の割込みLIT送出ルーチンのステップS41の処理を開始する。
【0108】
ステップS41では、システム制御部21は、現イベントの初期のLITを生成するようにPSI/SI生成部14を制御して、ステップS42に進む。
【0109】
ステップS42では、システム制御部21は、PSI/SI生成部14で生成されたLITをカルーセルデータ用メモリ19に書き込んで、ステップS43に進む。これにより、LITは、
図8に示したTSパケット送出ルーチンによって、所定の再送周期毎にカルーセルデータ用メモリ19から読み出され、TSに多重化された後、外部へ送出される。
【0110】
ステップS43では、システム制御部21は、割込み送出の対象となるローカルイベントの変更があるかを判定する。ここでは、システム制御部21は、例えば、LIT切替遷移区間に入り次イベントのLITが周期再送されている状況において、現イベントのローカルイベントに変更があるかを判定する。そして、システム制御部21は、現イベントのローカルイベントに変更がない場合は、割込み送出対象となるローカルイベントの変更がないと判定して、ステップS43に待機する。また、システム制御部21は、現イベントのローカルイベントに変更がある場合は、割込み送出対象となるローカルイベントがあると判定して、ステップS44へ進む。
【0111】
ステップS44では、システム制御部21は、例えばローカルイベントの変更内容に従って、現イベントの新たなLITを生成するようにPSI/SI生成部14を制御して、ステップS45に進む。
【0112】
ステップS45では、システム制御部21は、PSI/SI生成部14により生成された割込み送出対象のLITをFIFOメモリ18に書き込み、ステップS46に進む。これにより、TSパケット多重化部20は、FIFOメモリ18からLITを読み出して即時多重化することで、LITの割込み送出処理を行い、多重化TSを送出することができる。
【0113】
ステップS46では、システム制御部21は、多重化TSの送出が終了したかを判定し、終了していない場合はステップS43に戻り、終了した場合は本ルーチンを終了する。
【0114】
図14は、イベント1の放送中の後半のLIT切替遷移区間に入り次イベントであるイベント2のLITであるLIT[f]が周期再送されている状況において、現イベントのLITであるLIT[p]を割込み送出する状況を示すタイムチャートである。
【0115】
LIT切替遷移区間においては、現イベントを参照対象としたLIT[p]は送出されない。このため、データ受信装置は、当該LIT切替遷移区間内では、LIT[p]を受信できない。従って、例えば、LIT切替遷移区間において、イベント1のローカルイベントとして新たな電子クーポンが発行されてLIT[p]の記述内容が変更される場合でも、当該変更されたLIT[p]は、データ受信装置へ送出されない。
【0116】
そこで、LIT切替遷移区間において、現イベントを参照対象とした変更後のLITを受信機に反映させたい場合、当該LITの割込み送出が実施される。なお、LIT切替遷移区間におけるLIT[p]割込み送出の発生回数は、1回に限らず、複数回であってもよい。
【0117】
例えば、新たな電子クーポンが発行された場合、LIT[p]の割込み送出は1回でもよい。しかし、データ受信装置が、LIT切替遷移区間でデータ受信を開始した場合であっても、現イベントを参照対象としたLITの記述内容を速やかに反映できるのが望ましい。この場合、変更後のLIT[p]の割込み送出の発生回数は、複数回必要となる。具体的な割込み送出の発生回数は、許容される伝送容量やLIT切替遷移区間の時間長との兼ね合いの中で、最適な回数であればよい。
【0118】
図15は、本発明の実施形態に係るデータ受信装置30の構成を示すブロック図である。データ受信装置30は、
図1に示すデータ送信装置10から送出された多重化TSを受信して、映像・音声・画像・文字等を表示する。
【0119】
データ受信装置30は、多重化TSから各種のTSパケットを分離するTSパケット分離部31と、音声TSパケットを復号する音声復号部32と、音声を再生する音声再生部33、音声を出力するスピーカ34と、映像TSパケットを復号する映像復号部35、映像を生成する映像再生部36と、を備えている。
【0120】
さらに、データ送信装置10は、ファイルTSパケットを復号するファイルデータ復号部37と、PSI/SI・TSパケットを解釈するPSI/SI解釈部38と、データ処理を行うデータ処理部39と、映像と画像・文字とを合成する表示合成部40と、合成された結果を表示する表示部41と、を有している。
【0121】
TSパケット分離部31は、データ送出装置10から送出された多重化TSを受信して、映像TSパケット、音声TSパケット、ファイルTSパケット、PSI/SI・TSパケットにそれぞれ分離する。
【0122】
音声復号部32は、TSパケット分離部31で分離された音声TSパケットを元の音声データに復号する。音声再生部33は、音声データの再生処理を行い、スピーカ34を介して音声を出力する。
【0123】
映像復号部35は、TSパケット分離部31で分離された映像TSパケットを元の映像データに復号する。映像再生部36は、映像データの再生処理を行う。
【0124】
ファイルデータ復号部37は、TSパケット分離部31で分離されたファイルTSパケットを元のファイルデータに復号する。復号されたファイルデータは、例えば、画面を構成する静止画素材や、その表示位置や表示方法などを記述したBML(Broadcast Markup Language)あるいはHTML(HyperText Markup Language)文書などのファイルが該当する。
【0125】
PSI/SI解釈部38は、TSパケット分離部31で分離されたPSI/SI・TSパケットを解釈して、EIT、LIT等をそれぞれ抽出する。PSI/SI解釈部38は、抽出されたLITを解釈するLIT解釈部38aを有する。
【0126】
データ処理部39は、例えばHTML文書を解釈して、その解釈結果に従ってリソースとしての静止画素材をレンダリングする。また、データ処理部39は、EIT及びLITに基づき、上述のリソースと共にレンダリング処理を行い、例えば電子クーポンの表示データを生成する。
【0127】
また、データ処理部39は、第1及び第2のLIT保持メモリM1,M2、LIT処理を行うLIT処理部39aを有する。表示合成部40は、映像再生部36で再生された映像と、データ処理部39で得られた表示データとを合成して、表示部41を介して映像を表示する。
【0128】
以上のように構成されたデータ受信装置30においては次に示すLIT処理ルーチンが実行される。
図16は、LIT処理ルーチンを示すフローチャートである。
【0129】
ステップS51では、LIT解釈部38aがTSパケット分離部31からLITを受信して、ステップS52へ進む。
【0130】
ステップS52では、LIT解釈部38aは、受信したLITが、現イベントのLITであるかを判定する。ここでは、LIT内のLIT基本情報のイベントIDが、現イベントを記述したEITのイベントIDと一致するか、が判定される。
【0131】
一致した場合は、受信したLITは現イベントのもの(LIT[p])であり、ステップS53へ進む。一致しなかった場合は、受信したLITは現イベントのもの(LIT[p])ではなく、ステップS56へ進む。
【0132】
ステップS53では、LIT解釈部38aは、受信したLITが、当該LIT処理ルーチンの起動後初めて受信したもの又はその記述内容が更新されたものかを判定する。LITが初めて受信したものかについては、LIT解釈部38aは、過去のLIT受信の有無に基づき判断する。また、LITが内容更新されたものかについては、LIT解釈部38aは、受信したLITのLIT基本情報のバージョン番号に基づき判定する。
【0133】
そして、LITが初めて受信したもの又はその記述内容が更新されたものの場合はステップS54へ進み、いずれでもない場合はステップS51に戻る。
【0134】
ステップS54では、LIT解釈部38aは、受信した現イベントのLITを引き続き処理対象にすべきかを判定する。ここでは、LIT解釈部38aは、第1及び第2のLIT保持メモリM1,M2のスワップ前であるかを判定する。スワップ処理前である場合は、LITを処理対象にすべきなのでステップS55へ進み、スワップ後である場合は、LITを処理対象にすべきではないのでステップS51へ戻る。
【0135】
ステップS55では、LIT解釈部38aは、LITを第1のLIT保持メモリM1に上書きして、ステップS61へ進む。
【0136】
ステップS56では、LIT解釈部38aは、ステップS51で受信したLITが、次イベントのLITであるかを判定する。このような判定を行うのは、現イベントの最中であっても、LIT切替遷移区間においては、次イベントのLITが受信されるからである。
【0137】
ここでは、LIT内のLIT基本情報のイベントIDが、次イベントを記述したEITのイベントIDと一致するか、が判定される。一致した場合は、受信したLITは次イベントのもの(LIT[f])であり、ステップS57へ進む。一致しなかった場合は、受信したLITは次イベントのもの(LIT[f])ではなく、ステップS51に戻る。
【0138】
ステップS57では、LIT解釈部38aは、ステップS53と同様に、受信したLITが、当該LIT処理ルーチンの起動後初めて受信したもの又はその記述内容が更新されたものであるかを判定する。LITが初めて受信したもの又はその記述内容が更新されたものの場合はステップS58へ進み、いずれでもない場合はステップS51に戻る。
【0139】
ステップS58では、LIT解釈部38aは、受信したLITを第2のLIT保持メモリM2に上書きして、ステップS59へ進む。
【0140】
ステップS59では、LIT解釈部38aは、現イベントが現在時刻から所定時間内に終了するかを判定する。
【0141】
ところで、LIT切替遷移区間におけるLIT[f]の先行送出の目的は、データ受信装置30が、次イベントの開始以前にLIT[f]を先行的に処理するのを可能にすることにある。これにより、例えば次イベントの開始直後に演奏される楽曲タイトルなどが滞りなく表示される。
【0142】
一方、データ受信装置30も、先行して受信したLIT[f]を次イベントの開始前に先行処理する必要がある。そこで、現イベントの進行を確認するために、LIT解釈部38aは、現イベントが所定時間以内に終了するか否かを判定する。所定時間内に終了する場合はステップS60へ進み、終了しない場合はステップS51に戻る。
【0143】
ステップS60では、LIT解釈部38aは、第1及び第2のLIT保持メモリM1,M2の記憶データを交換(スワップ)して、ステップS61に進む。これにより、第2のLIT保持メモリM2に記憶されている次イベントのLITが、第1のLIT保持メモリM1に記憶され、LIT処理部39aによる処理の対象になる。
【0144】
なお、データ送信装置10が、LIT切替遷移区間に入り、LIT[f]の周期再送を開始した場合、
図14に示すように、それ以降のLIT[p]を割込みLITとして送出する。
【0145】
一方、データ受信装置30は、ステップS59の判断に基づいてメモリデータのスワップを行っていない限り、受信したLIT[p]について、通常通りに処理する。すなわち、データ受信装置30は、データ送信装置10のLIT切替遷移区間を意識することなく、データ送信装置10とは独立した状態でLIT[p]の処理を行う。
【0146】
ステップS61では、データ処理部39のLIT処理部39aは、第1のLIT保持メモリM1に記憶されているLITを用いてLIT処理を行い、ステップS62へ進む。
【0147】
また、LIT処理部39aは、ローカルイベントの出力処理については、当該ローカルイベントの基本ローカルイベント記述子(開始時刻及び継続時間)が示す時間帯で提示する。なお、先述したように、基本ローカルイベント記述子が省略された場合は、その開始時刻及び継続時間は、それが参照するEITのそれらと同じであると解釈する。
【0148】
一方、LIT処理部39aは、基本ローカルイベントを構成する一部の素材の素材情報記述子の中に素材期間がある場合、基本ローカルイベント記述子の継続時間よりも、素材情報記述子の素材期間を優先的に取り扱う。
【0149】
例えば
図7に示すように、ローカルイベント「CM2」において、基本ローカルイベント記述子は、開始時刻がt3、継続時間がd3である。つまり、CM2は、開始時刻t3から継続時間d3の間に提示されることになる。しかし、CM2のクーポン(下位ループ1)の素材期間はd4である。このため、
図6に示すように、CM2の音声(下位ループ0)は、開始時刻t3から継続時間d3の間に出力されるが、CM2のクーポンは、開始時刻t3から素材期間d4の間に出力される。
【0150】
ステップS62では、PSI/SI解釈部38は、多重化TSの受信を終了したかを判定し、受信を終了していない場合はステップS51に戻り、受信を終了した場合は本ルーチンを終了する。
【0151】
以上のように、データ受信装置30は、現イベントのLITを受信した場合にはステップS52〜S55及びS61を実行することによりリアルタイムで現イベントのLITを処理する。また、データ受信装置30は、次イベントのLITを受信した場合にはステップS56〜S61を実行することにより現イベントの終了直前に次イベントのLITを処理する。
【0152】
このため、データ受信装置30は、次イベントの開始前に受信した次イベントのLITを確実に保持しておき、現イベントの終了直前に次イベントのLITを先行処理することで、次イベントの開始と同時にLITに基づく素材の出力処理を行うことができる。
【0153】
さらに、データ受信装置30は、ローカルイベントの放送時間帯を示す基本ローカルイベント記述子と、ローカルイベントを構成する素材(例えば電子クーポン)の有効期間を示す素材期間と、を包含するLITを受信した場合には、ローカルイベントの放送時間帯よりも素材期間を優先して取り扱う。これにより、データ受信装置30は、ローカルイベントの終了の有無に影響されずに、当該ローカルイベントの素材を所望の時間だけ出力することができる。
【0154】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で記載された事項の範囲内で設計変更されたものにも適用される。
【0155】
例えば、上述した実施形態では、LITの割込み送出・受信を例に挙げて説明したが、本発明はLITの割込み送出・受信に限定されるものではない。本発明は、LITと同様に、周期的に送出されるデジタル放送関連情報であるPSI及びSIの割込み送出・受信にも適用可能である。
【0156】
例えば、予め継続時間が指定できないようなイベント(例えばスポーツ中継番組)の場合、当該イベントのEITは、そのイベントの開始前から中盤まで、
図3に示すイベント基本情報の継続時間が“未定”に設定される。そして、イベントの終盤になり、当該イベントの中継終了時刻が決定された段階で、
図3に示すイベント基本情報の継続時間が所定の値に変更される。
【0157】
EITは、LITと同様に周期再送される。このため、再送周期が長いと、変更されたEITが反映されるまでに時間がかかる問題がある。また、変更されたEITをできるだけ早くデータ受信装置に反映させたい場合もある。
【0158】
そこで、データ送信装置10は、LITと同様にして、EITを割込み送出する。具体的には、
図1に示すシステム制御部21は、EITの継続時間が所定値に変更されたときに、EITの即時送出の要求があったと判定して、PSI/SI生成部14に変更後のEITを生成させ、当該EITをFIFOメモリ18に書き込めばよい。この結果、イベント基本情報の継続時間が変更されたEITは、即時に割込み送出され、データ受信装置に送信される。
【0159】
また、データ送信装置10は、PSIの一種であるPAT(Program Association Table)についても、LITと同様に、即時に割込み送出が可能である。
【0160】
PATは、多重化TSの全ての編成チャンネルを記述する。例えば、新たな編成チャンネルが一時的に追加され、それをデータ受信装置の選局対象にさせたい場合、PATの記述内容の変更が必要となる。この場合、
図1に示すシステム制御部21は、PSI/SI生成部14に変更後のPATを生成させ、当該PATをFIFOメモリ18に書き込めばよい。