特許第5988266号(P5988266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5988266ベルト装置及びそれを備えた画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988266
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ベルト装置及びそれを備えた画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/16 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   G03G15/16
【請求項の数】5
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-239087(P2012-239087)
(22)【出願日】2012年10月30日
(65)【公開番号】特開2014-89312(P2014-89312A)
(43)【公開日】2014年5月15日
【審査請求日】2014年9月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】藤井 浩次
【審査官】 平田 佳規
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−326638(JP,A)
【文献】 特開平11−249453(JP,A)
【文献】 特開2011−022270(JP,A)
【文献】 特開2011−128180(JP,A)
【文献】 特開2006−343629(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/16
G03G 15/00− 15/01
G03G 21/00− 21/20
B65H 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のローラーに掛け渡された無端状のベルトと、
前記ベルトを回転自在に支持すると共に、当該ベルトを回転させる前記ローラーとしての駆動ローラーと、
前記駆動ローラーに回転力を付与する駆動手段と、
前記ベルトを回転自在に支持する前記ローラーとしての従動ローラーと、
前記ベルトの幅方向におけるベルトの位置を検出する複数の受光素子を有する位置検出手段と、
前記従動ローラーの回転軸の傾きを調整することで、前記ベルトの幅方向の位置を変えることにより、前記ベルトの蛇行を補正するローラー位置調整機構と、
前記位置検出手段により検出された前記ベルトの位置に基づいて、前記ローラー位置調整機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記位置検出手段により検出された前記ベルトの位置が予め設定された補正範囲内にある通常時には、前記ベルトの蛇行を補正するように前記ローラー位置調整機構を制御し、
前記位置検出手段により検出された前記ベルトの位置が、前記複数の受光素子の検出範囲内であり、前記補正範囲外且つ許容範囲内にある異常時には、前記ベルトの蛇行を補正するように前記ローラー位置調整機構を制御することにより、前記位置検出手段によって検出された前記ベルトの位置にかかわらず前記従動ローラーの回転軸を最大限傾斜させると共に、前記駆動ローラーの回転速度が通常時よりも2〜3倍速くなるように前記駆動手段を制御し、
前記位置検出手段により検出された前記ベルトの位置が、前記複数の受光素子の検出範囲外であり前記補正範囲外且つ許容範囲外にある緊急時には、前記駆動手段を停止する
ベルト装置。
【請求項2】
前記位置検出手段は、
前記ベルトの端部に当接する当接板と、
光りを所定の方向に照射する発光部と、
前記発光部から照射された光を受光する、前記ベルトの幅方向に沿って並べられた複数の受光素子を有し、前記受光素子での光の受光量に応じた電圧値を光量検出信号として前記制御部に出力する受光部と、
前記発光部と前記受光部との間に配され、前記当接板に接続することにより前記ベルトの端部の位置に応じて前記複数の受光素子のいずれかを遮光する遮光板と、
を備える請求項1に記載のベルト装置。
【請求項3】
前記制御部は、異常時において、前記ベルトの蛇行を補正するように前記ローラー位置調整機構を制御する際に、前記従動ローラーの回転軸の位置が通常時よりも大きく調整されるように前記ローラー位置調整機構を制御する
請求項1又は2に記載のベルト装置。
【請求項4】
前記ローラー位置調整機構は、
前記従動ローラーの回転軸を回転自在に支持する軸受けを有する支持フレームと、
前記支持フレームを搖動可能に支持する搖動支持軸と、
前記搖動支持軸を基点として、前記支持フレームを搖動させるカムと、
前記カムと同軸且つ一体に形成されたギアと、
前記ギアに回転力を付与する駆動モーターと、
を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載のベルト装置。
【請求項5】
トナー画像が形成される表面を有する複数の感光体ドラムと、
前記複数の感光体ドラムそれぞれから前記トナー画像が転写される無端状のベルトを有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のベルト装置と、
前記ベルトの表面に転写された前記トナー画像を用紙に転写させる転写部と、
前記用紙に転写された前記トナー画像を当該用紙に定着させる定着部と
を備える画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トナー画像を担持する中間転写ベルトを有するベルト装置、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター等の画像形成装置は、例えば、複数の感光体ドラムに形成された各色のトナー画像が転写される中間転写ベルト(以下、「ベルト」ともいう)を有するベルト装置を備えている。ベルト装置は、一般に、モーター等の駆動源に連結された駆動ローラーと、複数の従動ローラーと、それらのローラー間に掛け渡された中間転写ベルトと、を備える。中間転写ベルトは、駆動ローラーの回転に伴って回動(無端移動)し、感光体ドラムと対向する位置においてトナー画像が転写される。
【0003】
ところで、中間転写ベルトは、回動中にローラーの幅方向に蛇行する場合がある。中間転写ベルトの回動中に蛇行が発生すると、感動体ドラムから複数のトナー画像を転写する際に、トナー画像の位置が互いにずれてしまい、色ずれの原因となる。
【0004】
そこで、蛇行した中間転写ベルトを目標位置(基準となる位置又はその範囲)に戻すように従動ローラーの姿勢を蛇行解消位置にする蛇行解消モードと、中間転写ベルトを目標位置に維持するように従動ローラーの姿勢を平衡位置にする平衡維持モードと、を備えた画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。この画像形成装置において、蛇行した中間転写ベルトは、蛇行解消モードにおいて目標位置に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−282419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した画像形成装置の蛇行解消モードでは、中間転写ベルトの蛇行が大きい場合に、中間転写ベルトを目標位置に戻すまでの時間が長くなる。中間転写ベルトが目標位置に戻るまでの間は、トナー画像の色ずれが解消されない。このため、中間転写ベルトを目標位置に戻すまでの時間が長いと、印刷物の生産性が低下する。
【0007】
本発明は、蛇行したベルトを速やかに目標位置に戻すことができるベルト装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のローラーに掛け渡された無端状のベルトと、前記ベルトを回転自在に支持すると共に、当該ベルトを回転させる前記ローラーとしての駆動ローラーと、前記駆動ローラーに回転力を付与する駆動手段と、前記ベルトを回転自在に支持する前記ローラーとしての従動ローラーと、前記ベルトの幅方向におけるベルトの位置を検出する位置検出手段と、前記従動ローラーの回転軸の位置を調整することにより、前記ベルトの蛇行を補正するローラー位置調整機構と、前記位置検出手段により検出された前記ベルトの位置に基づいて、前記ローラー位置調整機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記位置検出手段により検出された前記ベルトの位置が予め設定された補正範囲内にある通常時には、前記ベルトの蛇行を補正するように前記ローラー位置調整機構を制御し、前記位置検出手段により検出された前記ベルトの位置が前記補正範囲外且つ許容範囲内にある異常時には、前記ベルトの蛇行を補正するように前記ローラー位置調整機構を制御すると共に、前記駆動ローラーの回転速度が通常時よりも速くなるように前記駆動手段を制御するベルト装置に関する。
【0009】
また、前記制御部は、異常時において、前記ベルトの蛇行を補正するように前記ローラー位置調整機構を制御する際に、前記従動ローラーの回転軸の位置が通常時よりも大きく調整されるように前記ローラー位置調整機構を制御することが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記位置検出手段により検出された前記ベルトの位置が前記許容範囲外にある緊急時には、前記駆動ローラーの回転を停止するように前記駆動手段を制御することが好ましい。
【0011】
また、本発明は、トナー画像が形成される表面を有する複数の感光体ドラムと、前記複数の感光体ドラムそれぞれから前記トナー画像が転写される無端状のベルトを有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のベルト装置と、前記ベルトの表面に転写された前記トナー画像を用紙に転写させる転写部と、前記用紙に転写された前記トナー画像を当該用紙に定着させる定着部とを備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、蛇行したベルトを速やかに目標位置に戻すことができるベルト装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係るプリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。
図2図1に示したプリンター1の外観を示す斜視図である。
図3】ベルト装置20のベルトセンサー21及び従動ローラー16を示す斜視図である。
図4】ベルト装置20のベルトセンサー21の構成を示す斜視図である。
図5】受光部25における受光範囲を示す模式図である。
図6】ベルト装置20の従動ローラー16及びその周辺部分を示す斜視図である。
図7】制御部23において中間転写ベルト7の蛇行補正を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。
図8】ベルト移動速度を固定した従来の蛇行補正を実行した場合におけるベルト端面7aの変移を示すグラフである。
図9】実施形態の蛇行補正を実行した場合におけるベルト端面7aの変移を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明に係るベルト装置及び画像形成装置を、4色フルカラーのプリンターに適用した場合の実施形態について説明する。
【0015】
図1及び図2により、本実施形態に係るプリンター1の全体構造を説明する。図1は、本実施形態に係るプリンター1の各構成要素の配置を説明するための図である。図2は、図1に示したプリンター1の外観を示す斜視図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、画像形成装置としてのプリンター1は、装置本体Mと、画像形成部GKと、給排紙部KHと、を備える。画像形成部GKは、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する部位である。給排紙部KHは、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共に、トナー画像が形成された用紙Tを排紙する部位である。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成される。
【0017】
図1に示すように、画像形成部GKは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dと、2次転写ローラー8と、定着部9と、を備える。なお、画像形成部GKには、機構として従動ローラー16及び駆動ローラー17が含まれるが、これらについてはベルト装置20(後述)において説明する。
【0018】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラー対80と、複数のローラー又はローラー対(符号を省略)と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻し搬送路Lbとの集合体である。
【0019】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に沿って、上流側から下流側(図中、左側から右側)に向けて順に、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7(以下、符号を略して「ベルト」ともいう)及び1次転写ローラー13a、13b、13c、13dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
【0020】
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラー8及び駆動ローラー17による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0021】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の移動方向に対して直交する方向に延びる機軸を中心に矢印の方向に回転可能に配置される。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成される。
【0022】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に負(マイナス極性)又は正(プラス極性)に帯電させる。
【0023】
レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能する。レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置される。レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザー光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モーター等(符号を省略)により構成される。
【0024】
レーザースキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピューター)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面では、走査露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0025】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置される。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラー、トナー攪拌用の攪拌ローラー等(符号を省略)により構成される。
【0026】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0027】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられている。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー供給路により結ばれている。
【0028】
一方、中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれが対向して配置される。中間転写ベルト7における所定部分は、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた所定部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれとの間には、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成される。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに現像された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、4色フルカラーのトナー画像が形成される。
【0029】
1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0030】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0031】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置される。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0032】
2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に1次転写された4色フルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させるためのローラーである。2次転写ローラー8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成された4色フルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0033】
2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成される。詳細には、2次転写ローラー8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写された4色フルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0034】
中間転写ベルト7を間に挟んで2次転写ローラー8とは反対側には、駆動ローラー17が配置される。
【0035】
中間転写ベルト7の所定部分は、2次転写ローラー8と駆動ローラー17とによって挟み込まれる。中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間には、2次転写ニップN2が形成される。用紙Tは、2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7に1次転写された4色フルカラーのトナー画像は、2次転写ニップN2において、用紙Tに2次転写される。本実施形態において、2次転写ローラー8及び駆動ローラー17は、中間転写ベルト7の表面に転写されたトナー画像を用紙Tに転写させる転写部として機能する。
【0036】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒーター(不図示)により加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、用紙Tを下流側に搬送する。用紙Tは、加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で搬送される際に、転写されたトナーが溶融及び加圧される。これにより、用紙Tに転写されたトナーは、用紙Tの表面に定着する。
【0037】
また、画像形成部GKは、ベルト装置20を備える。ベルト装置20は、中間転写ベルト7を回動させると共に、ベルトの蛇行を補正する装置である。ベルト装置20は、中間転写ベルト7と、従動ローラー16と、駆動ローラー17と、駆動手段としての第1駆動モーター18と、テンションローラー19と、位置検出手段としてのベルトセンサー21と、ローラー位置調整機構22と、制御部23と、を備える。
【0038】
中間転写ベルト7は、従動ローラー16、駆動ローラー17、テンションローラー19等の複数のローラーに掛け渡される無端状のベルトである。中間転写ベルト7には、1次転写ローラー13a、13b、13c、13dそれぞれから、各色のトナー画像が1次転写される。また、中間転写ベルト7に1次転写された各色のトナー画像は、2次転写ローラー8の位置において、用紙Tに2次転写される。
【0039】
従動ローラー16は、中間転写ベルト7を回転自在に支持するローラーである。従動ローラー16は、ローラー位置調整機構22(後述)に支持されている。
【0040】
駆動ローラー17は、中間転写ベルト7を回転自在に支持すると共に、中間転写ベルト7を回動させるローラーである。駆動ローラー17は、第1駆動モーター18から付与された回転力により所定方向に回転する。
【0041】
第1駆動モーター18は、駆動ローラー17に回転力を付与する装置である。第1駆動モーター18は、制御部23(後述)と電気的に接続されている。第1駆動モーター18の回転速度は、制御部23から出力される駆動信号により制御される。
【0042】
テンションローラー19は、中間転写ベルト7を内側から外側に向けて付勢するローラーである。テンションローラー19の付勢力により、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0043】
従動ローラー16及び駆動ローラー17は、それぞれの回転軸(符号略)が互いに平行となるように設定されると共に、中間転写ベルト7の長手方向において対向する位置に配置されている。中間転写ベルト7は、駆動ローラー17の回転に伴い、従動ローラー16、駆動ローラー17、テンションローラー19等の複数のローラー間を回動する。
【0044】
次に、ベルトセンサー21及びローラー位置調整機構22を含む周辺部分について説明する。図3は、ベルト装置20のベルトセンサー及び従動ローラー16を示す斜視図である。図4は、ベルト装置20のベルトセンサーの構成を示す斜視図である。図5は、受光部25における受光範囲を示す模式図である。図6は、ベルト装置20の従動ローラー16及びその周辺部分を示す斜視図である。
【0045】
ベルトセンサー21は、図3(又は図1)に示すように、中間転写ベルト7の周回軌道上において、従動ローラー16の近傍に配置されている。ベルトセンサー21は、図4に示すように、発光部24と、受光部25と、遮光板26と、を備える。発光部24は、光を所定の方向(図3及び図4では下方)に照射する。受光部25は、発光部24から照射された光を受光し、その受光量に応じた電圧値を光量検出信号として制御部23に出力する。受光部25は、発光部24と対向する位置に配置されている。遮光板26は、発光部24と受光部25との間を移動自在に配置された部材である。
【0046】
また、ベルトセンサー21は、図3及び図4に示すように、当接板27と、連結棒28と、を備える。当接板27は、図3に示すように、中間転写ベルト7のベルト端面7aに当接する部材である。連結棒28は、当接板27と遮光板26とを連結する部材である。連結棒28は、発光部24及び受光部25に対して回転自在に支持されている。連結棒28の一端部には、ねじりコイルバネ29を介して当接板27が支持されている。また、連結棒28の略中間部には、遮光板26が発光部24と受光部25との間に位置するように固定されている。
【0047】
ここで、受光部25における受光範囲について説明する。
ベルトセンサー21の受光部25は、図5に示すように、ベルトの幅方向(図中の左右方向)に沿って配列された複数の受光素子r1〜r20(一部、図示と符号を省略)により構成される。受光素子r1〜r20のうち、中心線aから右側に配置された受光素子r1〜r10は、ベルト端面7aのリア側における蛇行を検出する。また、中心線aから左側に配置された受光素子r11〜r20は、ベルト端面7aのフロント側における蛇行を検出する。なお、フロント側とは、図2において、装置本体Mの中心線aから手前側の範囲をいう。また、リア側とは、図2において、装置本体Mの中心線aから奥側の範囲をいう。
【0048】
図5に示す中心線aは、ベルト端面7aの目標位置に対応する。ベルト端面7aの目標位置とは、中間転写ベルト7の幅方向の中心と、従動ローラー16の幅方向の中心とが一致した場合におけるベルト端面7aの位置である。ベルト端面7aの位置を目標位置と一致させることにより、中間転写ベルト7の幅方向の中心と、従動ローラー16の幅方向の中心とが一致する。
【0049】
中間転写ベルト7の回動中に、ベルト端面7aの位置を目標位置と一致させるようにローラー位置調整機構22を制御することにより、中間転写ベルト7の蛇行を補正(以下、「蛇行補正」ともいう)することができる。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dから複数のトナー画像を中間転写ベルト7に1次転写する際に、トナー画像の位置がずれることがなく、色ずれのない画像が得られる。
【0050】
受光素子r1〜r20は、発光部24から照射された光を受光すると、その受光量に応じた電圧値を、光量検出信号を制御部23に出力する。発光部24から照射された光がベルト端面7aにより遮られると、その遮光量に応じて受光素子r1〜r20から出力される電圧値も変動する。制御部23は、受光素子r1〜r20のそれぞれから出力される電圧値に基づいて、ベルト端面7aの位置を特定する。
【0051】
具体的には、例えば、図5において、受光素子r1〜r18までの電圧値が予め設定された閾値電圧未満であり、受光素子r19の電圧値が閾値電圧以上であるとする。この場合、ベルト端面7aの位置は、受光素子r18とr19との間と特定できる。また、図5において、受光素子r1〜r10までの電圧値が予め設定された閾値電圧未満であり、受光素子r11の電圧値が閾値電圧以上であるとする。この場合、ベルト端面7aの位置は、受光素子r10とr11との間(すなわち目標位置)と特定できる。
【0052】
図5に示すように、リア側に配置された受光素子r3〜r10及びフロント側に配置された受光素子r11〜r18が光を受光する検出範囲A1(境界線b1〜b2の範囲)は、中間転写ベルト7に生じる通常の蛇行を検出する範囲(以下、「補正範囲」又は「補正範囲内」ともいう)である。ベルト端面7aが検出範囲A1内にある場合に、制御部23は、通常時の蛇行補正(後述)を実行する。
【0053】
また、図5に示すように、リア側に配置された受光素子r1、r2及びフロント側に配置された受光素子r19、r20が光を受光する検出範囲A2(境界線b1〜c1及び境界線b2〜c2の範囲)は、中間転写ベルト7に生じる異常な蛇行を検出する範囲(以下、「許容範囲」又は「許容範囲内」ともいう)である。なお、検出範囲A2は、検出範囲A1外の範囲でもある。ベルト端面7aが検出範囲A2内にある場合に、制御部23は、異常時の蛇行補正(後述)を実行する。
【0054】
更に、図5に示すように、リア側に配置された受光素子r1よりも外側及びフロント側に配置された受光素子r20よりも外側の検出範囲A3(境界線c1及びc2の外側の範囲)は、中間転写ベルト7に生じる更に異常な蛇行を検出する範囲(以下、「許容範囲外」ともいう)である。ベルト端面7aが検出範囲A3内にある場合に、制御部23は、緊急時の処理を実行する。
【0055】
図3において、中間転写ベルト7がベルトの幅方向に蛇行すると、ベルト端面7aに当接する当接板27が同じくベルトの幅方向に移動する。これに伴い、当接板27に連結された遮光板26が発光部24と受光部25との間で移動する(図4参照)。このとき、受光部25が受光する光の受光量は、発光部24から照射された光を遮光板26が遮る遮光量に応じて変化する。受光部25は、制御部23と電気的に接続されている。受光部25は、受光素子r1〜r20(図5参照)の受光量に応じた電圧値を、光量検出信号として制御部23に出力する。制御部23は、受光部25から出力された光量検出信号に基づいて、ベルト端面7aの位置を特定する。
【0056】
ベルトセンサー21は、所定の時間間隔でベルト端面7aの位置を検出する。制御部23は、ベルトセンサー21(受光部25)から出力された光量検出信号に基づいて、ベルト端面7aの位置がベルトの幅方向における目標位置(図5参照)に近づくようにローラー位置調整機構22を制御する。これにより、中間転写ベルト7の蛇行を修正する。ここで、制御部23による制御についての説明に先立ち、ローラー位置調整機構22の構成について説明する。
【0057】
図6に示すように、従動ローラー16は、回転軸32の一端部(不図示)を基点とし、その回転軸32の他端部32aが所定の正逆方向に傾斜可能に支持されている。回転軸32の他端部32aを、所定の正逆方向に傾斜させることにより、従動ローラー16に掛け渡されている中間転写ベルト7(ベルト端面7a)を、従動ローラー16の幅方向に移動させることができる。
【0058】
従って、従動ローラー16の回転軸32の傾斜方向を調整することにより、ベルト端面7aをベルトの幅方向におけるフロント側又はこれと反対側となるリア側に移動させることができる。
【0059】
ローラー位置調整機構22は、図6に示すように、支持フレーム33と、揺動支持軸35と、カム36と、ギア37と、第2駆動モーター38と、を主要部として備える。支持フレーム33は、従動ローラー16の回転軸32を回転自在に支持する軸受け34を有する部材である。揺動支持軸35は、支持フレーム33を揺動可能に支持する部材である。カム36は、支持フレーム33を、揺動支持軸35を基点として揺動させる部材である。ギア37は、カム36と同軸且つ一体に形成された部材である。ギア37及びカム36は、支持軸(符号を省略)により回転可能に支持されている。
【0060】
第2駆動モーター38は、ギア37に回転力を付与する装置である。第2駆動モーター38は、パルスモーターにより構成される。第2駆動モーター38は、制御部23(図1参照)と電気的に接続されている。制御部23は、第2駆動モーター38に対して所定数の駆動パルス(駆動信号)を出力することにより、第2駆動モーター38を駆動する。第2駆動モーター38は、ギア37と噛み合う出力軸39を有する。
【0061】
支持フレーム33は、従動ローラー16の幅方向に配置され、且つ中間転写ベルト7の長手方向に沿って延出する部材である。支持フレーム33の一端部33aには、軸受け34が設けられている。また、支持フレーム33の他端部33bには、揺動支持軸35が支持されている。カム36は、支持フレーム33の一端部33aに設けられた当接部(不図示)に当接している。
【0062】
上記のように構成されたローラー位置調整機構22では、次のようにして中間転写ベルト7のベルト端面7aをベルトの幅方向に移動させる。まず、制御部23は、受光部25から出力された光量検出信号に基づいて、所定数の駆動パルスを出力する。これにより、第2駆動モーター38において駆動力が発生する。第2駆動モーター38で発生した駆動力(回転力)は、出力軸39を介してギア37に伝達され、これによりギア37が回転する。これに伴い、ギア37と一体に形成されたカム36は、支持フレーム33の一端部33aを、揺動支持軸35を基点として揺動させる。これにより、軸受け34に支持された従動ローラー16の回転軸32における他端部32aは、回転軸32の一端部を基点として上方又は下方に傾斜する。
【0063】
例えば、従動ローラー16の回転軸32における他端部32aをフロント側の下方に傾斜させると、従動ローラー16は、リア側からフロント側に向かって下り傾斜となる。このため、中間転写ベルト7は、回動に伴い徐々に下り方向となるフロント側へ移動する。一方、従動ローラー16の回転軸32における他端部32aをフロント側の上方に傾斜させると、従動ローラー16は、リア側からフロント側に向かって上がり傾斜となる。このため、中間転写ベルト7は、回動に伴い徐々に下り方向となるリア側へ移動する。
【0064】
従動ローラー16の回転軸32における傾斜角度は、制御部23から第2駆動モーター38に出力される駆動パルスの数により調整することができる。また、第2駆動モーター38の回転方向は、駆動パルスの正逆(+/−)を変えることにより切り換えることができる。
【0065】
従動ローラー16の回転軸32における傾斜角度を大きくするほど、中間転写ベルト7の幅方向への移動は速くなる。また、傾斜角度を調整した際に、駆動ローラー17の回転速度を速くするほど、中間転写ベルト7の幅方向への移動は速くなる。なお、制御部23が中間転写ベルト7の蛇行を補正する場合の制御については後述する。
【0066】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置される。給紙カセット52は、装置本体Mの筐体から水平方向に引き出し可能に構成される。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置される。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容される。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52における用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されるカセット給紙部51により第1搬送路L1に送り出される。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラー対81とからなる重送防止機構を備える。
【0067】
装置本体Mの左側面(図1において左側)には、用紙Tを収容する手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされる用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの左側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端において給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置される。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0068】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻し搬送路Lbと、を備える。
【0069】
第1搬送路L1は、給紙カセット52に収容される用紙Tを画像形成部GKに向けて搬送する。手差し搬送路Laは、手差し給紙部64に収容される用紙Tを後述するレジストローラー対80に向けて搬送する。
【0070】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられる。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられる。
【0071】
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻し搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0072】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ローラー8との間)には、用紙Tを検出するための用紙検出センサー(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラー対80とが配置される。前記用紙検出センサーは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラー対80の直前(搬送方向における上流側)に配置される。レジストローラー対80は、前記用紙検出センサーからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0073】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、第1搬送ローラー対82が配置される。第1搬送ローラー対82は、給紙ローラー対81の下流側に配置され、給紙ローラー対81により搬送される用紙Tを挟持して、レジストローラー対80へ搬送する。
【0074】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられた搬送路である。戻し搬送路Lbには、用紙Tを第2合流部P2に向けて搬送する複数の第2搬送ローラー対83が所定の間隔毎に配置される。戻し搬送路Lbによれば、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラー8の上流側に配置されたレジストローラー対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対して所定のトナー画像が転写される。
【0075】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられる。整流部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0076】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成される。排紙部50は、装置本体Mにおける上方側に配置される。排紙部50は、装置本体Mの左側面側(図1において左側)に向けて開口する。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラー対53を有する。排出ローラー対53によれば、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送される用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0077】
排紙部50における開口側には、排紙集積部M1が形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面(外面)に形成される。排紙集積部M1は、装置本体Mにおける上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mにおける上面の一部を構成するトップカバー部材M2により形成される。排紙集積部M1を形成するトップカバー部材M2の上面には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサー(不図示)が配置される。
【0078】
次に、図1を参照して、プリンター1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
【0079】
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラー対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、第1搬送ローラー対82により、レジストローラー対80に搬送される。
【0080】
レジストローラー対80においては、用紙Tのスキュー補正や、画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とのタイミング調整が行われる。
【0081】
レジストローラー対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間において、トナー画像が転写される。
【0082】
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラー8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0083】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラー対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0084】
一方、手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラー対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0085】
次に、両面印刷を行う場合のプリンター1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
【0086】
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラー対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0087】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラー対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラー対53により保持されている状態において、排出ローラー対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラー対53を逆方向に回転させると、排出ローラー対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0088】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0089】
更に、用紙Tは、レジストローラー対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、2次転写ニップN2に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が中間転写ベルト7に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0090】
次に、制御部23において、中間転写ベルト7を蛇行補正する場合の制御について説明する。
【0091】
ベルトセンサー21で検出された中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1:図5参照)内にある場合に、制御部23は、通常時の蛇行補正を実行する。すなわち、制御部23は、検出されたベルト端面7aの位置に応じて、第2駆動モーター38の駆動量(従動ローラー16の回転軸32における他端部32aの傾斜量)を決定し、その駆動量に対応した駆動パルス数の駆動信号を第2駆動モーター38に出力する。通常時の蛇行補正において、第2駆動モーター38は、検出されたベルト端面7aの位置に対応する分だけ駆動される。
【0092】
なお、蛇行補正を実行した後、ベルトセンサー21で検出された中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が目標位置となった場合に、制御部23は、従動ローラー16の回転軸32における他端部32aの傾斜量がゼロとなるように第2駆動モーター38の駆動量を決定する。そして、制御部23は、その駆動量に対応した駆動パルス数の駆動信号を第2駆動モーター38に出力する。後述する異常時の蛇行補正を実行した場合においても同様である。
【0093】
また、ベルトセンサー21により検出された中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)外且つ許容範囲(検出範囲A2:図5参照)内にある場合に、制御部23は、異常時の蛇行補正を実行する。すなわち、制御部23は、第2駆動モーター38の駆動量を最大値とし、その最大値の駆動量に対応した駆動パルス数の駆動信号を第2駆動モーター38に出力する。
【0094】
このように、異常時の蛇行補正において、第2駆動モーター38は、検出されたベルト端面7aの位置に係わらず、最大値の駆動量で駆動される。また同時に、制御部23は、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)が通常時よりも速くなるように、具体的には、第1駆動モーター18の回転速度が通常時の2〜3倍の回転速度となるように制御する。
【0095】
更に、ベルトセンサー21により検出された中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が許容範囲外(検出範囲A3:図5参照)にある場合に、制御部23は、緊急時の処理を実行する。すなわち、制御部23は、第1駆動モーター18への駆動信号の出力を停止する。このように、緊急時において、蛇行補正は実行されず、駆動ローラー17の駆動が停止される。この緊急時において、制御部23は、駆動ローラー17の駆動を停止した後、ユーザーインターフェース(不図示)を介して、ベルトの蛇行異常が発生したことを知らせるメッセージをユーザーに通知する。
【0096】
次に、制御部23が中間転写ベルト7の蛇行補正を実行する場合の動作について説明する。図7は、制御部23において中間転写ベルト7の蛇行補正を実行する場合の処理手順を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートの処理は、プリンター1の運転中において、所定の時間間隔で繰り返し実行される。
【0097】
図7に示すステップST101において、制御部23は、受光部25(ベルトセンサー21)から光量検出信号を取得する。
【0098】
ステップST102において、制御部23は、取得した光量検出信号に基づいて、中間転写ベルト7におけるベルト端面7aの位置(以下、「検出ベルト位置」ともいう)を特定する。
【0099】
ステップST103において、制御部23は、検出ベルト位置が補正範囲(検出範囲A1)内か否かを判定する。このステップST103において、制御部23により、検出ベルト位置が補正範囲内である(YES)と判定された場合に、処理はステップST104へ移行する。また、ステップST103において、制御部23により、検出ベルト位置が補正範囲外である(NO)と判定された場合に、処理はステップST105へ移行する。
【0100】
ステップST104(ステップST103:YES判定)において、制御部23は、通常時の蛇行補正を実行する。これにより本フローチャートの処理は終了する。通常時の蛇行補正において、制御部23は、検出ベルト位置に応じて、第2駆動モーター38の駆動量を決定し、その駆動量に対応した駆動パルス数の駆動信号を第2駆動モーター38に出力する。また、制御部23は、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)が通常時の速さとなるように、第1駆動モーター18の回転速度を制御する。このため、中間転写ベルト7は、通常時の移動速度で回動する。
【0101】
ステップST105(ステップST103:NO判定)において、制御部23は、検出ベルト位置が補正範囲(検出範囲A1)外且つ許容範囲(検出範囲A2)内か否かを判定する。このステップST105において、制御部23により、検出ベルト位置が補正範囲外且つ許容範囲内である(YES)と判定された場合に、処理はステップST106へ移行する。また、ステップST105において、制御部23により、検出ベルト位置が補正範囲外且つ許容範囲内でない(NO)と判定された場合に、処理はステップST107へ移行する。
【0102】
ステップST106(ステップST105:YES判定)において、制御部23は、異常時の蛇行補正を実行する。これにより本フローチャートの処理は終了する。異常時の蛇行補正において、制御部23は、検出ベルト位置に係わらず、第2駆動モーター38の駆動量を最大値に設定し、その最大値の駆動量に対応した駆動パルス数の駆動信号を第2駆動モーター38に出力する。これにより、従動ローラー16の回転軸32における傾斜角度は、通常時に設定される傾斜角度よりも大きくなる。また同時に、制御部23は、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)が通常時よりも速くなるように、第1駆動モーター18の回転速度が最大値となるように制御する。これにより、第1駆動モーター18の回転速度は、通常時よりも速くなる。このため、中間転写ベルト7は、通常時の移動速度よりも速い速度(高速)で回動する。
【0103】
一方、ステップST107(ステップST105:YES判定)において、制御部23は、緊急時の処理を実行する。これにより本フローチャートの処理は終了する。緊急時の処理において、制御部23は、第1駆動モーター18への駆動信号の出力を停止する。このように、緊急時において、制御部23は、駆動ローラー17の駆動を停止した後、ユーザーインターフェース(不図示)を介して、ベルトの蛇行異常が発生したことを知らせるメッセージをユーザーに通知する。
【0104】
次に、制御部23において、中間転写ベルト7を蛇行補正した場合の具体例について説明する。図8は、ベルト移動速度を固定した従来の蛇行補正を実行した場合におけるベルト端面7aの変移を示すグラフである。図9は、本実施形態の蛇行補正を実行した場合におけるベルト端面7aの変移を示すグラフである。図8及び図9において、横軸は時間t、縦軸はベルト位置d(ベルト端面7aの位置)を表している。
【0105】
なお、図8及び図9に示す「a」、「b1」及び「b2」の一点鎖線は、図5に示す中心線a、境界線b1、b2に対応する。従って、グラフの中心線aから下方への変移は、ベルト端面7aのフロント側への移動を表している。また、グラフの中心線aから上方への変移は、ベルト端面7aのリア側への移動を表している。
【0106】
図8及び図9に示すように、中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)内にある場合(区間S1)には、通常時の蛇行補正が実行される。この場合、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)は、図8及び図9のいずれも通常時の回転速度となる。
【0107】
また、中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲(検出範囲A1)外且つ許容範囲(検出範囲A2)内にある場合(区間S2)には、異常時の蛇行補正が実行される。ここで、従来の蛇行補正(図8参照)においては、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)が通常時の回転速度のままとなる。このため、異常時の蛇行補正が終了して、通常時の蛇行補正(区間S3)に達するまでに、時間t1が必要となる。
【0108】
一方、本実施形態の蛇行補正(図9参照)においては、駆動ローラー17の回転速度(ベルト移動速度)が通常時の回転速度よりも速い回転速度(高速)となる。このため、異常時の蛇行補正が終了して、通常時の蛇行補正(区間S3)に達するまでに要する時間は、時間t2(<時間t1)となる。
このように、図9に示す本実施形態の蛇行補正によれば、異常時(区間S2)において、蛇行した中間転写ベルト7を速やかに目標位置に戻すことができる。
【0109】
上述した実施形態に係るプリンター1によれば、例えば、以下のような効果が奏される。
【0110】
本実施形態に係るプリンター1において、制御部23は、ベルトセンサー21により検出された中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が補正範囲外且つ許容範囲内にある異常時には、検出されたベルト端面7aの位置に応じて第2駆動モーター38を駆動すると共に、駆動ローラー17の回転速度が通常時よりも速くなるように第1駆動モーター18の回転速度を制御する。
【0111】
これによれば、中間転写ベルト7の蛇行量が通常時よりも大きい異常時には、駆動ローラー17の回転速度が通常時よりも速くなるため、通常時よりも中間転写ベルト7を速やかに目標位置に戻すことができる。従って、トナー画像の色ずれが短時間で解消されるので、印刷物の生産性の低下を最小限に抑制することができる。
【0112】
また、制御部23は、異常時において、検出されたベルト端面7aの位置に係わらず、第2駆動モーター38を最大値の駆動量で駆動する。これによれば、従動ローラー16の回転軸32における傾斜角度が通常時よりも大きくなる。従って、蛇行した中間転写ベルト7をより速やかに目標位置に戻すことができる。
【0113】
また、制御部23は、ベルトセンサー21により検出された中間転写ベルト7のベルト端面7aの位置が許容範囲外にある緊急時には、駆動ローラー17の駆動を停止するように第1駆動モーター18を制御する。このため、中間転写ベルト7が従動ローラー16から外れる不具合を未然に抑制することができる。
【0114】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
【0115】
本実施形態の制御部23は、異常時において、駆動ローラー17の回転速度が通常時の2〜3倍となるように第1駆動モーター18の回転速度を制御する。しかし、異常時における駆動ローラー17の回転速度は、通常時よりも速ければどのような回転速度に制御してもよい。例えば、異常時における駆動ローラー17の回転速度を最大回転速度に制御してもよい。
【0116】
また、本実施形態の制御部23は、異常時において、第2駆動モーター38を最大値の駆動量で駆動する。しかし、異常時における第2駆動モーター38の駆動量は、通常時よりも大きい値であれば、必ずしも最大値でなくてもよい。
【0117】
また、本実施形態の制御部23は、異常時に、従動ローラー16の回転軸32における傾斜角度が通常時よりも大きくなるように制御する。これに限らず、通常時において、従動ローラー16の回転軸32における傾斜角度が(これまでの通常時よりも)大きくなるように制御してもよい。
【0118】
また、本実施形態では、本発明に係るベルト装置を、中間転写ベルト7に転写された4色フルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写する画像形成装置に適用した例について説明した。これに限らず、無端状のベルトを有する種々の画像形成装置、例えば、インクジェット記録方式の画像形成装置や、モノクロ印刷用の画像形成装置等にも適用することができる。
【0119】
また、本発明に係る画像形成装置は、上述したプリンター1に限定されることはない。すなわち、本発明に係る画像形成装置は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンター機能及びスキャナ機能を備える複合機であってもよく、ファクシミリであってもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…プリンター(画像形成装置)、2a〜2d…感光体ドラム、7…中間転写ベルト(ベルト)、7a…ベルト端面、8…2次転写ローラー(転写部)、9…定着部、16…従動ローラー、17…駆動ローラー(転写部)、18…第1駆動モーター(駆動手段)、20…ベルト装置、21…ベルトセンサー(位置検出手段)、22…ローラー位置調整機構、23…制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9