【実施例1】
【0019】
図1において、食品切断装置は、上端部が切断対象食品(以下、単に「食品」という)10の供給部、前面下部が食品10の排出部となっている。食品切断装置の前面は上記供給部と排出部を除き前面パネル15で覆われ、左右両側面はそれぞれ側面カバー14で覆われている。この装置の動作開始前は上記供給部に食品載置台5があり、この食品載置台5に、食品10、例えば、寿司飯が海苔で巻かれた柱状の海苔巻きを水平方向の姿勢で載置するように構成されている。食品載置台5に食品10を載置し、スタートスイッチを押すと、食品載置台5が駆動機構によって装置の前側下部に向かって移動させられる。食品載置台5の移動の途中で食品10が切断刃によって輪切り状に切断され、上記排出部に排出されるように構成されている。排出された食品10は、食品載置台5から放出されて受け取り部材8で受け取られ、受け取り部材8が斜め下方にスライドし、食品載置台5は駆動機構によって原位置に復帰するように構成されている。
【0020】
次に、上記食品切断装置の内部構造を詳細に説明する。
図2乃至
図4において、食品切断装置は、ベース1と、ベース1の左右両端部に結合されて互いに平行に垂直方向に立ち上がった左右の側板4と、各側板4の後端部を連結する背板20を有している。これらベース1、左右の側板4および背板20で食品切断装置の骨格をなしている。装置の前寄りの位置に切断刃2がほぼ垂直方向の姿勢で配置されている。切断刃2は、食品10を一定間隔で切断するために、保持枠により複数本が一定間隔で互いに平行に保持されている。上記保持枠が左右の側板4に上下方向に固定された一対のガイドレールに沿って落とし込まれることにより、切断刃2は上記左右の側板4間に固定されている。切断刃2は、前記特願2011−020830の明細書および図面に記載されている構成と同じ構成を採用することができ、本発明の要旨をなすものでもないから、詳細な説明は省略する。
【0021】
前記食品載置台5は、
図2、
図3、
図4に示すように、上側のほぼ半分の側面形状がL字形に形成され、L字の水平辺と垂直辺に相当する部分で形成される角隅部に切断前の食品10を載置することができるようになっている。より具体的には、上記L字の水平方向に延びる部分が食品10の食品載置面51、上記L字の垂直方向に延びる部分が食品10に対する背面受け52となっている。
【0022】
食品載置台5を背面受け52の下方において左右方向に貫いて水平軸55が設けられ、水平軸55に位置規制部材7が垂直面内において回転可能に支持されている。位置規制部材7は食品10を食品載置台5上に位置決めする部材であって、
図3、
図4に示すように、複数枚のL字形の腕71を主体として構成されている。各腕71は、
図4に示すように、L字の水平辺に相当する部分(以下「水平部」という)が水平軸55から食品載置台5の前方に向かって延び、L字の垂直辺に相当する部分(以下「垂直部」という)が上方に向かって立ち上がっている。複数の腕71は同じ姿勢を保って水平軸55に一体に固着されている。各腕71は水平軸55の回転に伴って全体が食品載置面51から食品載置台5内に退避した態様と、上記垂直部が食品載置面51上に突出した態様との間で回転することができる。食品載置台5には、各腕71の上記回転を許容するスリット59が形成されている。
【0023】
位置規制部材7と食品載置台5との間には、食品載置台5に対して位置規制部材7を回転付勢する弾性部材が介在している。図示の実施例では、弾性部材としてコイルばね120が用いられている。
図3に示すように、水平軸55はコイルばね120のコイル部分を貫通していて、コイルばね120の両端部が食品載置台5と位置規制部材7を構成する一つの腕71に掛け止められ、食品載置台5に対して各腕71が回転付勢されている。各腕71の回転付勢の向きは、各腕71の垂直部が食品載置面51から上方に突出する向きである。
【0024】
図3に示すように、各腕71の垂直部には、この垂直部が立ち上がって食品載置面51から上方に突出した態様における後ろ側の縁部に、上から順に三つの突起76、77、78が形成されている。上記三つの突起76、77、78が形成されている各腕71の後ろ側の縁部は、食品載置台5に載置される食品を押圧する縁部である。各腕71が上記付勢力で限界位置まで回転した状態では、三つの突起76、77、78のすべてが食品載置面51から上方に突出するようになっている。また、この回転態様で突起78の下方の上記垂直部がスリット59の端縁に当接することにより、付勢力による各腕71からなる位置規制部材7の回転が規制されるようになっている。
【0025】
各腕71の三つの突起76,77,78は、食品載置台5に載置される食品10の前方に進出することにより、食品10が食品載置面51上を前方に向かって移動することを阻止し、食品10を所定の位置に位置規制するストッパの役目をする。食品の横断面の大きさは、例えば大、中、小の3段階に分けることができる。これまで説明してきた食品10は小サイズの食品である。
図13は小サイズの食品10が食品載置面51と背面受け52で形成される角隅部に載置されているときの食品載置台5に対する位置規制部材7の相対回転態様を示している。この態様では、位置規制部材7を構成する各腕71が付勢力で回転し、各腕71の三つの突起76,77,78のうち最も下の突起78が食品10を前側から後ろに向かって押している。食品10は、上記各腕71の突起78と食品載置台5の背面受け52で挟み込まれ、食品載置台5の食品載置面51上に安定に保持される。上記各腕71は、各腕71の突起78が食品10に当たることにより、付勢力による回転が阻止される。
【0026】
図14に示すように、中サイズの食品101が食品載置台5に載置されると、各腕71の回転付勢力でその突起77が食品101の前端下縁部に当たり、食品101を前側から後ろに向かって押す。食品101は、上記各腕71の突起77と食品載置台5の背面受け52で挟み込まれ、食品載置台5の食品載置面51上に安定に保持されるとともに、各腕71の付勢力による回転を阻止する。
【0027】
図15に示すように、大サイズの食品102が食品載置台5に載置されると、各腕71の回転付勢力でその突起76が食品102の前端下縁部に当たり、食品102を前側から後ろに向かって押す。食品102は、上記各腕71の突起77と食品載置台5の背面受け52で挟み込まれ、食品載置台5の食品載置面51上に安定に保持されるとともに、各腕71の付勢力による回転を阻止する。
以下、特に説明がない限り、食品は小サイズの食品10として説明を続ける。
【0028】
位置規制部材7を構成する各腕71は、食品10が切断刃2で切断されたあと各腕71による食品10の位置規制を解除し、切断された食品10を食品載置台5から放出する態様をとるように構成されている。
図2、
図4などに示すレバー30と、当たり部材11は、切断された食品10を食品載置台5から放出するために、位置規制部材7を構成する各腕71を、食品載置面51から食品載置台5内に退避させる態様をとらせるための部材である。レバー30は、食品載置台5の左右両側面から突出している前記水平軸55の両端部に互いに同じ姿勢で固着されていて、水平軸55および各腕71がレバー30と一体となって回転するようになっている。レバー30がストッパ11と共働し、各腕71が付勢力に抗して回転し、切断された食品10を放出する動作については、本実施例の動作の説明で詳細に説明する。
【0029】
食品載置台5に載置されている食品10を前記切断刃2で切断するために、食品載置台5には切断刃2が進入することができるスリット58が形成されている。スリット58は切断刃2の数および設置位置に対応した数および位置に設けられる。本実施例では、
図4などに示すように、食品の分割数を4個、6個、8個のいずれかを選択することができるように、左右方向中央のスリットを中心にして上記の分割数にそれぞれ対応した位置にスリット58が形成されている。各スリット58は、切断刃2を迎え入れて食品10を確実に切断することができるように、前記底面受け51および背面受け52を含む広い範囲にまたがって深く切り込まれている。
【0030】
食品載置台5の左右方向両側の底部には、食品載置台5の後ろ寄りにそれぞれ二つのピン53、54が取り付けられている。左右のピン53は軸55と平行をなす共通の仮想直線上に位置し、同様に左右のピン54も軸55と平行をなす共通の仮想直線上に位置している。ピン54はピン53よりも後ろ側に位置している。左右のピン53と左右のピン54はそれぞれ食品載置台5を貫通した軸で構成してもよい。食品載置台5は、図示の実施例では金属板を折り曲げかつ打ち抜き加工することによって製作されているが、例えばフッ素系の樹脂を切削加工して製作してもよい。
【0031】
図3、
図4などに示すように、食品載置台5には、載置される食品の長さ方向両端位置を規制する規制板56が背面受け52の両端部に設けられている。規制板56は樹脂による一体成形品で、その基部を背面受け52に装着し、固定ねじ60で所定の取り付け位置に固定するようになっている。規制板56の取り付け位置は上記背面受け52に沿ってずらすことができる。食品が例えば海苔巻き寿司であるとすれば、海苔の寸法は205mm×185mmに規格化されているため、海苔を横長にして巻くか、縦長にして巻くかによって切断前の海苔巻き寿司の長さが変わる。そこで、一対の規制板56の間隔を海苔巻き寿司の長さに合致するように調整する。
【0032】
次に、
図2、
図5、
図7などに示す食品載置台5の駆動機構6について詳細に説明する。
図2、
図5、
図7などに示すように、左の側板4の内面側には駆動源としてのモータ61が固定され、モータ61の出力軸に固着されたギヤ62は、軸64に固着されたギヤ63と噛み合っている。軸64は左右の側板4にまたがって回転可能に支持されていて、左右の側板4を貫通した軸64の両端部にはそれぞれ駆動アーム65が固着されている。モータ61の回転駆動力は、ギヤ62,63を介して軸64に伝達され、軸64と一体の各駆動アーム65を各側板4の外側面と平行をなす面内において回転駆動するように構成されている。各駆動アーム65は軸64の回転中心を通る直線に沿って長孔66を有していて、この長孔66に、食品載置台5の前記二つのピン53,54のうち前側のピン53が嵌っている。したがって、各駆動アーム65が軸64とともに軸64を中心にして回転駆動されると、長孔66を画する側面でピン53が押され、各駆動アーム65の回転に伴って食品載置台5も移動させられるようになっている。
【0033】
食品載置台5の左右両側にある上記二つのピン53,54はカム溝91に嵌っていてカムフォロワとして機能している。食品載置台5の高さ位置および姿勢は二つのピン53,54の高さ位置および相対的な高さの違いによって決まり、二つのピン53,54の相対的な高さ位置関係はカム溝91の形によって決まる。図示の例では、カム溝91は側板4に形成されている。カム溝91は、これをカム板に形成し、カム板を側板4に固着してもよい。
【0034】
カム溝91は、食品載置台5とともに移動する食品10が切断刃2に接触し始めると、食品10に対する切断刃2の進入角度が連続的に変化するように食品載置台5の姿勢を連続して変化させる円弧部93を有している。カム溝91はまた、食品10に切断刃2が侵入した後は食品載置台5の姿勢を一定に保って食品載置台5を直線的に移動させる直線部94を有している。上記円弧部93を上記二つのピン53,54が通るとき、食品10に対する切断刃2の進入角度の連続的な変化が、食品10の切断刃2に対する相対速度を早めるように、上記円弧部93の面(
図5、
図7において下側の面)が凸面に形成されている。
【0035】
切断刃2はほぼ垂直方向の姿勢を保って固定されているのに対し、カム溝91の上記直線部94は適宜の角度傾いていて、直線部94に沿って食品載置台5が上から斜め下に向かって移動するとき、食品載置台5はお辞儀をしたように傾斜した姿勢すなわち前傾姿勢をとっている。この前傾姿勢をとっている食品載置台5に保持された食品10に切断刃2が上記傾斜角度に対応した角度で接しながら食い込むようになっている。
【0036】
カム溝91は、上端部が上記円弧部93に続く円弧部92になっている。この円弧部92に上記二つのピン53,54があるとき、
図2に示すように食品載置台5は最も上位にあり、かつ、食品載置面51が水平の姿勢よりも僅かに奥側が下がった姿勢になって、食品10の受け入れ姿勢をとるようになっている。駆動機構6は、モータ61からカム溝91に至る構成部分を含んでいる。
【0037】
ここで、上記二つのピン53,54がカム溝91に沿って移動するときの食品載置台5の姿勢および位置の変化について説明しておく。上記のように食品10の受け入れ姿勢をとっている食品載置台5に食品10を載置し、駆動機構6を作動させると、二つのピン53,54がカム溝91の円弧部92から円弧部93に移動し、さらに直線部94に移動する。ピン53,54が上記円弧部93を通るとき、ピン53の高さ位置がピン54の高さ位置よりも徐々に低くなり、食品載置台5の姿勢が前傾姿勢になるとともに前傾角度が徐々に大きくなる。食品載置台5が姿勢を変化させているとき、食品載置台5に載置されている食品10が切断刃2に接触し始めるように、切断刃2、食品載置台5、ピン53,54、カム溝91相互の位置関係が設定されている。
【0038】
ピン53,54は、上記円弧部93を通過した後はカム溝91の直線部94に導かれ、食品載置台5は上記の前傾姿勢のままで前述のように上から斜め下に向かって直線状に移動し、切断刃2で食品が切断される。切断された食品10は次に説明する受け取り部材8で受け取られ、続いて駆動機構6が逆向きに作動して食品載置台5を原位置に復帰させる。
【0039】
次に、前記受け取り部材8を含む切断後の食品10の受け取り部の構成について簡単に説明する。
図2、
図5などに示すように、装置の前側下部に設けられている切断後の食品10の受け取り部の主要な構成部材は受け取り部材8である。受け取り部材8は、斜め下に向かって滑り落ちてくる切断後の食品10を受け取る受け取り部82と、前記側板4に斜めに形成されているガイド溝81に沿って受け取り部材8を摺動させる摺動部83を有している。ガイド溝81は、前述のように前傾した食品載置台5の前傾角度に近い角度で傾斜している。受け取り部材8は、切断された食品を受け取るべく、
図5に示すようにガイド溝81の上端部まで移動した態様と、受け取った食品を取り出しやすいように、ガイド溝81の下端部まで移動した態様(
図2参照)をとることができる。
【0040】
このような受け取り部材8の動作は、モータ61を駆動源とする食品載置台5の駆動機構6の動作に同期して行われるようになっているが、受け取り部材8の駆動機構は本発明に必須のものではないから詳細な説明は省略する。
【0041】
図2、
図5に示すように、側板4の内側面には食品載置台5の上から斜め下への移動行程の終端部分において前記レバー30の先端部が摺接し、位置規制部材7を付勢力に抗して回転させる当たり部材11が固着されている。レバー30は食品載置台5の左右に対をなして設けられており、この対をなすレバー30に対応して当たり部材11も左右の側板4にそれぞれ固着されている。各当たり部材11は四角柱状の部材で、垂直方向に向けた姿勢で固着されている。各当たり部材11は、食品載置台5の下方への移動行程の終端近くからレバー30の先端部が当たり部材11に当たり始めるように、レバー30の移動軌跡内に配置されている。食品載置台5がさらに下降するにしたがってレバー30の先端部が当たり部材11に摺接しながら押され、レバー30と実質一体の前記各腕71が付勢力に抗し軸55を中心に回転させられ、各腕71の前記垂直部が食品載置台5内に沈み込んでいく。
【0042】
食品載置台5が下降限界位置まで移動すると、レバー30も当たり部材11の下端近くに当接して、各腕71が付勢力に抗した最大回転位置になり、各腕71全体が食品載置台5内に沈み込むようになっている。
図11、
図12はこのときの態様を示している。食品載置台5の食品載置面51から各腕71の垂直部が退避することになるため、切断刃2で切断された食品10は食品載置面51から放出される。
図10に示すように上記食品10は上昇態様をとっている受け取り部材8の受け取り部82で受け取られる。駆動機構6がさらに作動することにより受け取り部材8は下降し、受け取り部82で受け取られている食品10を容易に取り出すことができる。
図2、
図5、
図10、
図11などに示している例では、小さいサイズの2個の食品10が食品載置台5に2段重ねで載置され、1回の切断動作で2個の食品10が切断されて受け取り部材8で受け取られる様子を示している。
【0043】
次に、以上のように構成されている実施例の動作を説明する。
図1、
図3、
図4は動作開始前の初期状態を示しており、食品載置台5は二つのピン53,54がカム溝91の上側終端部の円弧部92にあって切断前の食品の載置姿勢をとっている。この態様では位置規制部材7を構成する各腕71が付勢力により回転し、各腕71の垂直部が食品載置台5の食品載置面51から上方に立ち上がっている。そこで、各腕71を付勢力に抗し押し下げて上記垂直部を食品載置面51から退避させた状態で食品載置台5に食品を載置する。各腕71の押し下げ力を解除すると、各腕71が付勢力により回転してその垂直部が食品載置面51から立ち上がり、各腕71の垂直部と食品載置台5の背面受け52との間で食品を挟み込む。
【0044】
食品載置台5に載置される食品が小サイズの食品10であれば、各腕71はその最も下の突起78が食品10に当接するまで回転し、食品載置面51から大きく立ち上がる。各腕71と食品載置台5の背面受け52との間に、小サイズの食品10の高さよりも十分大きな高さの間隔が生じるため、既に述べたように、2個の食品10を重ねて載置することができる。重ねられた2個の食品10は各腕71の付勢力で食品載置台5に安定に保持される。
【0045】
次に、スタートボタンを操作すると、モータ61が起動され、駆動機構6が作動を開始する。ギヤ列61,62、軸64を経て作動機構6の駆動アーム65が
図2において反時計方向に回転駆動され、その長孔66に嵌っている食品載置台5のピン53がカム溝91に沿って移動させられる。ピン53とともにピン54もカム溝91に沿って移動し、食品載置台5の高さ位置と姿勢が二つのピン53、54の高さ位置および相互の高さ位置の違いによって定まる。ピン53、54がカム溝91の円弧部93の位置にさしかかると、ピン53の高さ位置がピン54の高さ位置に対して連続的に低くなり、もって、食品載置台5が前傾姿勢をとるとともに前傾姿勢が徐々に深くなる。
【0046】
このように、食品載置台5が前傾姿勢をとり始める位置は、食品10が切断刃3に接触し始めるときである。食品10と切断刃3の接触開始当初は、食品10に対する切断刃3の進入角度を連続的に変化させて切断刃3と食品10の相対速度を速めるようになっている。こうして切断開始当初の食品10への切断刃3の進入を容易にし、食品10の切断時に食品10に加わる圧力を小さくして食品10の変形を低減することができるように工夫されている。
【0047】
食品載置台5のピン53、54がカム溝91の直線部94に至ると、食品載置台5は最大の前傾角度を保ったまま上記直線部94に沿って斜め下方に移動する。この間、食品載置台5に載置されている食品10は、その前方に進出している各腕71で食品載置台5から滑落することが阻止されている。このようにして、垂直方向に両持ち状に固定された切断刃2に対し、食品載置台5とともに食品10が斜め下方に相対移動することにより、切断刃2が一定の相対速度によって食い込み、食品10が輪切り状に切断される。
図5はこのようにして食品10が切断されている途中の作動態様を示している。
【0048】
食品載置台5のピン53、54がカム溝91の直線部94に沿ってさらに下方に向かって駆動され、食品載置台5がさらに下方に移動すると、
図7に示すようにレバー30の先端部が当たり部材11の背面に接触する。食品載置台5がさらに下方に移動することにより、
図9に示すように食品10の切断が進行するにしたがって上記レバー30の先端は当たり部材11に摺接しながらさらに押され、各腕71は付勢力に抗して回転させられる。
図6は各腕71の付勢力に抗した回転の途中の状態を示しており、各腕71の垂直部が食品載置台5の内方に向かって徐々に沈みつつある。
【0049】
図8、
図10は食品載置台5がさらに下方に移動した態様を示しており、上記レバー30の先端は当たり部材11に摺接しながらさらに押され、各腕71は付勢力に抗して回転させられる。
図8に示すように、各腕71の垂直部は食品載置台5の内方に向かってさらに沈み込む。
【0050】
図11、
図12は、食品載置台5が下方への移動限界まで移動した態様を示しており、レバー30の先端部が当たり部材11に押され、各腕71は付勢力に抗した最大回転位置まで回転させられる。この時点では2個の食品10の切断が完了していて、最大の前傾姿勢をとっている食品載置台5の食品載置面51から各腕71が退避することにより、切断済みの食品10が食品載置台5から放出される。また、食品10の切断が完了するまでは受け取り部材8が上昇位置にあり、切断が完了して放出される食品10を受け取り部材8が受け取る。食品10の切断完了後、食品載置台5が下方への移動限界まで移動する間に、受け取り部材8は食品10を受け取ったまま
図11に示すように食品取り出し位置まで下降する。
【0051】
上記のように食品載置台5が下方への移動限界まで移動すると、これをリミットスイッチあるいはセンサなどで検出し、この検出信号でモータ61を逆転させ、食品載置台5を原位置に復帰させる。この復帰動作で位置規制部材7を構成する各腕71、レバー30も付勢力で復帰する。受け取り部材8は、食品載置台5の復帰動作では上昇せず、
図5に示すように、切断刃2による食品の切断動作タイミングに合わせて上昇する。
【0052】
図14に示すように、中サイズの食品101が食品載置台5に載置されると、各腕71はその突起77で食品101を食品載置台5の背面受け52に向かって押し、この背面受け52と上記突起77との間で食品101を挟み込む。また、
図15に示すように、大サイズの食品102が食品載置台5に載置されると、各腕71はその突起76で食品102を食品載置台5の背面受け52に向かって押し、この背面受け52と上記突起76との間で食品101を挟み込む。
【0053】
このようにして中サイズの食品101あるいは大サイズの食品102を保持した食品載置台5が駆動機構6によって駆動されると、前述の動作と同様に動作しながら、食品101または102が切断され、受け取り部材8に受け渡される。
【0054】
以上説明した第1の実施例によれば、食品10を食品載置台5の食品載置面51上に載置して位置決めするための位置規制部材7を構成する各腕71は、食品載置面51上に突出して食品載置台5に食品を位置規制するように回転付勢されているため、食品10を食品載置台5に安定に保持することができる。また、食品載置台5が食品放出位置まで移動したとき、位置規制部材7を付勢力に抗して回転させ、食品の位置規制を解除して食品10を食品載置台5から放出させる当たり部材11を備えているため、面倒な操作を行うことなく、切断済みの食品を取り出すことができる。
【実施例2】
【0055】
前記第1の実施例では、食品供給位置において、位置規制部材7を構成する各腕71を、付勢力に抗し手動操作することにより食品載置面51から退避させて食品10を食品載置台5に供給する必要があった。以下に述べる第2の実施例では、食品供給位置において各腕71を食品載置面51から自動的に退避させる機構を設けることにより操作性を向上させている。
【0056】
図16乃至
図22において、前記背板20の左右両側には、食品載置台5の位置および姿勢によって左右一対の前記レバー30の後端部と協働する第2の当たり部材40が固着されている。ただし、
図16乃至
図22では片方の第2の当たり部材40のみが描かれている。第2の当たり部材40は、食品載置台5が食品供給位置付近にあるときにのみレバー30と協働する位置に配置されている。
【0057】
第2の当たり部材40は、その上面がレバー30の後端部と協働するようになっていて、第2の当たり部材40の上面は、庇状に前方に延び出た部分に形成された緩やかな前傾傾斜面41と、この前傾傾斜面41に続く水平面42からなる。食品載置台5の前記ピン53,54がカム溝91の直線部94にあって食品載置台5が前傾しているときは、
図16に示すように、レバー30は第2の当たり部材40から離間している。したがって、レバー30およびこれと一体の各腕71は付勢力により回転し、各腕71の垂直部は食品載置面51から最大限立ち上がっている。
【0058】
食品載置台5の前記ピン53,54がカム溝91の円弧部93にあって食品載置台5の食品載置面51がほぼ水平になると、
図17に示すように、レバー30の後端部が第2の当たり部材40の傾斜面41に当たり始める。食品載置台5がさらに後退してピン53,54がカム溝91の上記円弧部93に続く終端部の円弧部92に移動すると、
図18に示すように、レバー30の後端部が上記傾斜面41に摺接しながら押され、レバー30が付勢力に抗して回転させられる。これにより各腕71の垂直部が食品載置台5の内方に向かって沈み始める。
【0059】
図19は食品載置台5がさらに後退した状態を示している。レバー30の後端部は第2の当たり部材40の傾斜面41と水平面42との境界付近に接していて、各腕71はその突起76のみが食品載置面51から突出する程度まで食品載置台5の内方に向かって沈み込む。食品載置台5が限界位置まで後退すると、
図20に示すようにレバー30の後端部は当たり部材40の水平面42に接する。レバー30は付勢力に抗した回転限界位置まで回転させられ、各腕71の全体が食品載置台5の食品載置面51から食品載置台5の内方に退避する。
【0060】
このように、第2の実施例によれば、食品供給位置でレバー30と協働して各腕71を食品載置台5の食品載置面51から退避させるように構成されているため、各腕71を付勢力に抗し手動で退避させる必要がなく、操作性と作業能率を向上させることができる。供給された食品を切断すべく食品載置台5が駆動されると、
図22に示すように、レバー30が第2の当たり部材40から離間して各腕71が付勢力により回転し、食品載置面51から各腕71の垂直部が立ち上がることにより食品載置台5に食品10が保持される。
【0061】
図21、
図22は、小さいサイズの食品10を食品載置台5に載置した状態を示しており、第1の実施例と同様に、各腕71の最も下側の突起78で食品10を食品載置台5の背面受け52に押し付けている。中サイズの食品を食品載置台5に載置した場合は各腕71の上下方向中央の突起77で食品を食品載置台5の背面受け52に押し付ける。大サイズの食品を食品載置台5に載置した場合は各腕71の最も上の突起76で食品を食品載置台5の背面受け52に押し付ける。
【0062】
第2の実施例によれば、食品供給位置において位置規制部材7を構成する各腕71を食品載置面51から自動的に退避させる第2の当たり部材40を設けたため、食品載置台5に食品を載置するときの操作が簡略化され、操作性を向上させることができる。