(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数積層された扁平伝熱管と、該扁平伝熱管の外周を囲繞するように形成されたケーシングと、該ケーシングの両端部に設けられ、前記扁平伝熱管の両端部が貫設されたチューブシートとを備え、前記扁平伝熱管内を流通する排気ガスと前記ケーシング内を流通する冷却媒体との間で熱交換を行う方式の多管式熱交換器において、前記ケーシングの排気ガス流入口側端部付近に前記ケーシング長手方向と略直交する方向に基端部を接続すると共に冷却媒体流入管を備えた冷却媒体分配器を備え、前記冷却媒体分配器と前記ケーシングの接続部付近に、冷却媒体の噴出流速が前記冷却媒体分配器内より増速されるよう複数の噴出孔を該ケーシング長手方向と略直交する方向に有するノズル部材が設けられ、さらに前記噴出孔の軸芯が排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しており、かつ前記噴出孔の断面積の総和が該冷却媒体分配器内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さいことを特徴とする多管式熱交換器。
複数積層された扁平伝熱管と、該扁平伝熱管の外周を囲繞するように形成されたケーシングと、該ケーシングの両端部に設けられ、前記扁平伝熱管の両端部が貫設されたチューブシートとを備え、前記扁平伝熱管内を流通する排気ガスと前記ケーシング内を流通する冷却媒体との間で熱交換を行う方式の多管式熱交換器において、前記ケーシングの排気ガス流入口側端部に前記ケーシング長手方向と略直交する方向に設けた長孔からなる開口部に、該開口部を覆うように基端部を接続する冷却媒体分配器と、該冷却媒体分配器に接続した冷却媒体流入管を備え、かつ前記冷却媒体分配器は、前記ケーシング内に流入した冷却媒体が前記排気ガス流入口側のチューブシート内面に沿って流れるようにケーシングの軸芯に対する垂直線に対し傾斜させて設けられ、さらに冷却媒体の噴出流速が前記冷却媒体分配器内より増速されるよう複数の噴出孔を設けたノズル部材が前記開口部付近に設けられ、さらに前記噴出孔の軸芯が排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しており、かつ前記噴出孔の断面積の総和が該冷却媒体分配器内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さいことを特徴とする多管式熱交換器。
複数積層された扁平伝熱管と、該扁平伝熱管の外周を囲繞するように形成されたケーシングと、該ケーシングの両端部に設けられ、前記扁平伝熱管の両端部が貫設されたチューブシートとを備え、前記扁平伝熱管内を流通する排気ガスと前記ケーシング内を流通する冷却媒体との間で熱交換を行う方式の多管式熱交換器において、前記ケーシングの排気ガス流入口側端部に前記ケーシング長手方向と略直交する方向に設けた長孔からなる開口部に、該開口部を覆うように基端部を接続する冷却媒体分配器と、該冷却媒体分配器に接続した冷却媒体流入管を備え、かつ前記冷却媒体分配器はケーシングの軸芯に対する垂直線に対し平行もしくは排気ガスの流れ方向に対して逆向きに傾斜させて傾斜させて設けられ、さらに冷却媒体の噴出流速が前記冷却媒体分配器内より増速されるよう複数の噴出孔を設けたノズル部材が前記開口部付近に設けられ、前記噴出孔の断面積の総和が該冷却媒体分配器内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さく、前記ケーシング内に流入した冷却媒体が前記排気ガス流入口側のチューブシート内面に沿って流れるように該噴出孔の軸芯が排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向していることを特徴とする多管式熱交換器。
前記凸状部の積層された各扁平伝熱管の間の空間部及び/又は扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部に突出部を有し、該突出部に前記噴出孔が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の多管式熱交換器。
前記ノズル部材には、軸芯が積層された扁平伝熱管の間の空間部もしくは扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部を指向しかつ排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しない複数の流出孔が設けられていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の多管式熱交換器。
前記ノズル部材の扁平伝熱管側に当該伝熱管の積層方向に連続して突出した凸状部が設けられ、該凸状部のチューブシート側壁面に前記噴出孔を有し、かつその他の壁面に前記流出孔が設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の多管式熱交換器。
前記ノズル部材の扁平伝熱管側に当該伝熱管の積層方向に連続して突出した凸状部のケーシングの軸方向断面形状がV字状、底部に平坦部を有する逆台形状、U字状、円弧状のいずれかの形状であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の多管式熱交換器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記した従来の多管式の熱交換器には、以下に記載する欠点がある。
即ち、前記特許文献1に記載されたEGRガス冷却装置(
図41、
図42)は、冷却媒体流入口201−1aを複数個設けることによりチューブシート203付近のオーバーヒートエリアをほとんど皆無にできるので冷却媒体の沸騰の解消に有効であるが、冷却媒体流入口201−1aの流入方向に直角な断面積は冷却媒体流入口へ流入する配管の断面積とは略等しく、冷却媒体流入口から流入する冷却媒体の流速を冷却媒体流入口へ流入する配管内の流速より増速させる作用を有しないため、チューブシート203内面に沿って流れる流速の増速作用が十分に得られず、沸騰防止作用の不足が危惧されている。
【0011】
特許文献2に記載されたEGRガス冷却装置(
図43、
図44)は、冷却水供給チャンバ215がヘッダプレート214と平行に位置していることから、流入冷却水流にヘッダプレート214内面に対する指向性がなく、冷却水供給チャンバ215の先端部220から流入した冷却水は単に冷却水出口管222に向ってケース213の軸方向に流れるだけであるから、排気ガス(EGRガス)流入口側での冷却水の沸騰防止作用が十分に得られないという欠点がある。
【0012】
特許文献3に記載されたEGRクーラ用熱交換器(
図45、
図46)も、前記特許文献2に記載されたEGRガス冷却装置と同様に、冷却水入口231−1よりシェル231内に流入する冷却水流にエンドプレート(チューブシート)233内面に対する指向性がなく、単に冷却水出口231−2aに向ってシェル231の軸方向に流れるだけであるから、EGRガス流入口側での冷却水の沸騰防止作用が十分に得られないという欠点がある。
【0013】
特許文献4に記載されたEGRクーラ(
図47、
図48)の場合は、冷却水導入口241−1から流入した冷却水はアダプタ部材243を通過してシェル241内に流入しチューブ列の各チューブの間に導入され、シェル241内の各チューブの軸方向を側面に沿い、排出口241−2に向って流れるだけでありその冷却水流にエンドプレート内面に対する指向性がないため、前記特許文献2、3に記載されたEGRガス冷却装置及びEGRクーラ用熱交換器と同様に、EGRガス流入口側での冷却水の沸騰防止作用が十分に得られないという欠点がある。又、このEGRクーラは、扁平伝熱管列として扁平伝熱管の長寸方向が上下方向を向くように垂直に配置された構成のものに限られ、扁平伝熱管が水平に配置されて積層された構造のEGRクーラの場合は、局所的な冷却水の沸騰を防止する効果が得難いという難点がある。
【0014】
特許文献5に記載されたEGRクーラ(
図49、
図50)の場合は、冷却水導入口251−1からシェル251内に流入する冷却水流は、案内板254により扁平チューブ252の積層方向に指向されるのみでその冷却水流にエンドプレート内面に対する指向性がないため、前記特許文献2〜4に記載されたものと同様に、単にシェル251の軸方向を排出口251−2に向って流れるだけであるから、EGRガス流入口側での冷却水の沸騰防止作用が十分に得られないという欠点がある。
【0015】
特許文献6に記載されたEGRクーラ(
図51、
図52)の場合は、円筒状の冷却水入口パイプ261−1からシェル261内に流入する冷却水は、冷却水入口パイプ261−1のシェル261内の出口に接合された有底筒状のアタッチメント261−2によりガス入口側のエンドプレート264付近に向けて放出され、かつ左右に拡散して放出されるも、円筒状の冷却水入口パイプ261−1はシェル261の端部に設置されている関係上、冷却水の沸騰防止作用は冷却水入口パイプ261−1の近傍が最も大きく、冷却水入口パイプ261−1より離れるほど小さく、シェル261の幅方向全体にわたって均一な冷却水の沸騰防止効果が得難いという欠点がある。又、冷却水の放出口261−2aをエンドプレート264付近に向けて形成したアタッチメント261−2であっても、シェル261の幅方向全体にわたって冷却水の放出量及び流入速度を適切に制御することができないため、排気ガス(EGRガス)流入口側での冷却水の沸騰防止作用を均一にかつ十分に高めることができないという欠点があり、特に大型のEGRクーラには適さないという難点がある。図中、262は扁平チューブ、263は入口ヘッダである。
【0016】
本発明は上記した従来の多管式熱交換器の問題を解決するためになされたもので、特に伝熱管群を扁平チューブで構成した多管式熱交換器において、ケースあるいはシェル内に導入される冷却水流に、ケーシングの軸芯に対する垂直線に対して傾斜してチューブシート(エンドプレート)内面に対する指向性と増速性をより高めて排気ガス(EGRガス)流入口側での冷却媒体の沸騰防止作用を十分に高めることができる多管式熱交換器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る多管式熱交換器は、複数積層された扁平伝熱管と、該扁平伝熱管の外周を囲繞するように形成されたケーシングと、該ケーシングの両端部に設けられ、前記扁平伝熱管の両端部が貫設されたチューブシートとを備え、前記扁平伝熱管内を流通する排気ガスと前記ケーシング内を流通する冷却媒体との間で熱交換を行う方式の多管式熱交換器において、前記ケーシングの排気ガス流入口側端部付近に前記ケーシング長手方向と略直交する方向に基端部を接続すると共に冷却媒体流入管を備えた冷却媒体分配器を備え、前記冷却媒体分配器と前記ケーシングの接続部付近に、冷却媒体の噴出流速が前記冷却媒体分配器内より増速されるよう複数の噴出孔を該ケーシング長手方向と略直交する方向に有するノズル部材が設けられ、
さらに前記噴出孔の軸芯が排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しており、かつ前記噴出孔の断面積の総和が該冷却媒体分配器内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さいことを特徴とするものである。
【0018】
又、本発明に係る多管式熱交換器は、複数積層された扁平伝熱管と、該扁平伝熱管の外周を囲繞するように形成されたケーシングと、該ケーシングの両端部に設けられ、前記扁平伝熱管の両端部が貫設されたチューブシートとを備え、前記扁平伝熱管内を流通する排気ガスと前記ケーシング内を流通する冷却媒体との間で熱交換を行う方式の多管式熱交換器において、前記ケーシングの排気ガス流入口側端部に前記ケーシング長手方向と略直交する方向に設けた長孔からなる開口部に、該開口部を覆うように基端部を接続する冷却媒体分配器と、該冷却媒体分配器に接続した冷却媒体流入管を備え、かつ前記冷却媒体分配器は、前記ケーシング内に流入した冷却媒体が前記排気ガス流入口側のチューブシート内面に沿って流れるようにケーシングの軸芯に対する垂直線に対し傾斜させて設け、さらに冷却媒体の噴出流速が前記冷却媒体分配器内より増速されるよう複数の噴出孔を設けたノズル部材が前記開口部付近に設け、
さらに前記噴出孔の軸芯が排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しており、かつ前記噴出孔の断面積の総和が該冷却媒体分配器内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さいことを特徴とするものである。
【0019】
上記本発明の多管式熱交換器は、冷却媒体分配器をケーシングの軸芯に対する垂直線に対して傾斜させて設けると規定しているように、冷却媒体分配器を傾斜して設置することを必須の構成要件としているが、冷却媒体分配器は例えば、ケーシングの軸芯に対する垂直線に対し平行(軸芯と直角方向)もしくは排気ガス
の流れ方向に対して逆向きに設けて構成することも可能である。
即ち、この種の多管式熱交換器は、複数積層された扁平伝熱管と、該扁平伝熱管の外周を囲繞するように形成されたケーシングと、該ケーシングの両端部に設けられ、前記扁平伝熱管の両端部が貫設されたチューブシートとを備え、前記扁平伝熱管内を流通する排気ガスと前記ケーシング内を流通する冷却媒体との間で熱交換を行う方式の多管式熱交換器において、前記ケーシングの排気ガス流入口側端部に前記ケーシング長手方向と略直交する方向に設けた長孔からなる開口部に、該開口部を覆うように基端部を接続する冷却媒体分配器と、該冷却媒体分配器に接続した冷却媒体流入管を備え、かつ前記冷却媒体分配器はケーシングの軸芯に対する垂直線に対し平行(軸芯と直角方向)もしくは排気ガス
の流れ方向に対して逆向きに
傾斜させて設けられ、さらに冷却媒体の噴出流速が前記冷却媒体分配器内より増速されるよう複数の噴出孔を設けたノズル部材が前記開口部付近に設けられ、かつ前記噴出孔の断面積の総和が該冷却媒体分配器内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さく
、前記ケーシング内に流入した冷却媒体が前記排気ガス流入口側のチューブシート内面に沿って流れるように該噴出孔の軸芯が排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向していることを特徴とするものである。
【0020】
又、本発明は、前記噴出孔の軸芯が、(a)排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向していること、(b)積層された扁平伝熱管の間の空間部もしくは扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部を指向していること、のいずれかを好ましい態様とするものである。
【0021】
更に、本発明は、前記ノズル部材が冷却水分配器内、及び、ケーシング内のいずれかに設けられることを好ましい態様とするものである。
【0022】
前記ノズル部材は、伝熱管側に当該伝熱管の積層方向に連続して突出し、壁面に前記噴出孔を有する凸状部が設けられていることを好ましい態様とするものである。
【0023】
本発明は又、前記凸状部の積層された各扁平伝熱管の間の空間部及び/又は扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部に突出部を有し、該突出部に前記噴出孔が設けられていることを好ましい態様とするものである。
【0024】
前記ノズル部材には又、軸芯が積層された扁平伝熱管の間の空間部もしくは扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部を指向し、かつ排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しない複数の流出孔が設けられていること、あるいは断面積の異なる噴出孔及び/又は流出孔が設けられていることを好ましい態様とするものである。さらに、前記ノズル部材には、噴出孔及び/又は流出孔が前記伝熱管の積層方向と略平行で略直線状に連続して配置されていることを好ましい態様とするものである。
【0025】
又、前記ノズル部材の扁平伝熱管側に当該伝熱管の積層方向に連続して突出した凸状部が設けられ、該凸状部のチューブシート側壁面に前記噴出孔を有し、かつその他の壁面に流出孔が設けられていること、前記ノズル部材の扁平伝熱管側に当該伝熱管の積層方向に連続して突出した凸状部のケーシングの軸方向断面形状が、V字状、底部に平坦部を有する逆台形状、U字状、円弧状のいずれかの形状であることを好ましい態様とするものである。
【0026】
更に又、本発明は、前記冷却媒体分配器内又はノズル部材あるいはケーシング内壁に、冷却媒体のガイド部材が設けられ、かつこのガイド部材は、積層された各扁平伝熱管の間の空間部もしくは扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部に延びる延伸部を有することを好ましい態様とするものである。なお、前記冷却媒体のガイド部材は、ガイド部の長さが扁平伝熱管の積層方向で異なることを好ましい態様とするものである。
【0027】
又更に、前記ノズル部材に設けられた噴出孔には、ノズルブッシュ又はノズル管が装着されていること、及び該噴出孔は円形又は扁平伝熱管の軸芯方向に長径を有する楕円もしくは長円形であることを好ましい態様とするものである。
【0028】
なお、本発明の多管式熱交換器において、ケーシングに設けられた開口部は扁平伝熱管の積層方向に略平行に設けられていることを好ましい態様とするものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、多管式熱交換器の排気ガス(EGRガス)流入口側での冷却媒体の沸騰防止作用を十分に高める手段として、冷却媒体をチューブシート内面に向けてより高速で流入させる冷却媒体分配器と、冷却媒体を前記冷却媒体分配器内より高速で流入させる複数の噴出孔を当該多管式熱交換器のケーシング長手方向と略直交する方向に有するノズル部材を設ける手段をこうじたもので、これにより冷却媒体の増速作用が得られると共に、チューブシートへの指向性がより高められ、排気ガス(EGRガス)流入口側での冷却媒体の沸騰防止効果をさらに向上させることが可能となる。
即ち、本発明に係る多管式熱交換器は、以下に記載する効果を奏する。
1.冷却媒体分配器をケーシングの軸芯に対する垂直線に対し好ましくは傾斜させて設けたことにより、冷却媒体が排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向して流入することとなり、ケーシング内に流入した冷却媒体が排気ガス流入口側のチューブシート内表面に沿って流れるので、チューブシート内表面付近での冷却媒体沸騰をより効果的に防止することができる。
2.ケーシングに設けられた開口部付近に、前記冷却媒体分配器内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さい断面積の総和の、複数の噴出孔を当該多管式熱交換器のケーシング長手方向と略直交する方向に有するノズル部材を設けたことにより、冷却媒体の流入速度が増速されてチューブシート内表面付近でのより大きな冷却媒体沸騰防止効果が得られる。
3.前記噴出孔の軸芯を排気ガス流入口側のチューブシート内表面に指向させることにより、チューブシート内表面付近での冷却媒体沸騰防止作用をより高めることが可能となる。
4.前記噴出孔にノズルブッシュ又はノズル管を装着することにより、冷却媒体の流れをより効果的にチューブシート内表面に指向させることができるので、この場合もチューブシート内表面付近での冷却媒体沸騰防止作用をより一層高めることが可能となる。
5.前記噴出孔の付近に冷却媒体のガイド部材を設けて噴出孔からの冷却媒体の噴流を該ガイド部材表面に添わせることにより、冷却媒体をチューブシート内表面及び/又は各扁平伝熱管の間の空間に的確に導くことができるので、この場合もチューブシート内表面付近での冷却媒体沸騰防止作用をより一層高めることが可能となる。
6.冷却媒体分配器をケーシングの軸芯に対する垂直線に対して平行もしくは逆方向(排気ガス流入口側)に傾斜させて設けても、ノズル部材に設けられた複数の噴出孔がチューブシート側を指向していることにより、前記と同様に冷却媒体がチューブシート内面を指向して流入することとなり、ケーシング内に流入した冷却媒体が排気ガス流入口側のチューブシート内面に沿って流れるので、チューブシート内面付近での冷却媒体沸騰を防止できる。
7.エンジンの高負荷運転時にはEGRガス温度が上昇しかつガス流量が増大するため、チューブシート内表面のみならず扁平伝熱管外表面からも冷却媒体の沸騰を生じる現象が起きるが、ノズル部材に異なる断面積の噴出孔及び/又は流出孔を設けたり、ノズル部材の伝熱管側に伝熱管の積層方向に連続して突出した凸状部を設け、かつ該凸状部のチューブシート側壁面に噴出孔を設けると共にその他の壁面に流出孔を設けたり、ノズル部材凸状部のケーシングの軸方向断面形状が、V字状、底部に平坦部を有する逆台形状、U字状、円弧状のいずれかの形状とすること等により、高負荷運転時であってもチューブシート付近からEGRガスの流れ方向に少し沿った広い範囲での沸騰を確実に防止することができる。
8.ガイド部材のガイド部の長さを扁平伝熱管の積層方向で異なるように設けることにより、例えEGRガス流に扁流があってもチューブシート内表面、扁平伝熱管のチューブシート側外表面からの冷却媒体の沸騰も効果的に防止できる。
9.上記のように、本発明の多管式熱交換器によれば、冷却媒体をチューブシート内表面に向けてより高速で流入させる冷却媒体分配器を設ける手段を講じたことにより、冷却媒体の増速作用が得られると共にチューブシートへの指向性がより高められ、排気ガス(EGRガス)流入口側のチューブシート内表面での冷却媒体の沸騰をほぼ確実に解消できる効果に加え、冷却媒体をチューブシート内表面のみならず各扁平伝熱管の間の空間にも的確に導くことができるので、扁平伝熱管が垂直に配置されたものに限らず、水平に配置された多管式熱交換器においても、チューブシート内表面付近の各扁平伝熱管の外表面からの冷却媒体沸騰防止作用をも、より一層高めることが可能となり、冷却媒体の沸騰に伴う熱交換性能の低下の防止、エンジンの排気ガスからの熱回収、EGRガス等の排気ガスの冷却に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明の第1実施例に係る多管式熱交換器を一部省略して示す要部破断概略側面図である。
【
図2】
図1に示す多管式熱交換器の排気ガス流入口側の外観を示す部分概略斜視図である。
【
図3】
図1に示す多管式熱交換器の冷却媒体流入管を一部破断して示す斜視図である。
【
図4】
図1に示す多管式熱交換器のノズル部材を示す平面図である。
【
図5】本発明の第2実施例に係る多管式熱交換器の要部を示す概略縦断面図である。
【
図6】
図5に示す多管式熱交換器のノズル部材を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第3実施例に係る多管式熱交換器の要部を示す概略縦断面図である。
【
図8】
図7に示す多管式熱交換器のノズル部材の他の例を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第4実施例に係る多管式熱交換器の要部を示す概略縦断面図である。
【
図10】本発明の第5実施例に係る多管式熱交換器の要部を示す概略縦断面図である。
【
図11】
図10に示す多管式熱交換器のノズル部材を一部省略して示す斜視図である。
【
図12】本発明の第6実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す縦断面図である。
【
図13】
図12に示す多管式熱交換器のノズル部材を一部省略して示す斜視図である。
【
図14】本発明の第7実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【
図15】
図14に示す多管式熱交換器のノズル部材を一部省略して示す概略側面図である。
【
図16】本発明の第8実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【
図17】本発明の第9実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【
図18】本発明の第10実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【
図19】本発明の第11実施例に係る多管式熱交換器の要部を示す概略縦断面図である。
【
図21】
図19に示す多管式熱交換器のガイド部材を一部省略して示す拡大斜視図である。
【
図22】本発明の第12実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【
図23】本発明の第13実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【
図24】本発明の第14実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【
図25】本発明の第15実施例に係る多管式熱交換器の要部を示す
図2相当図である。
【
図26】本発明の第16実施例に係る多管式熱交換器の要部を示す
図2相当図である。
【
図27】本発明の第17実施例に係る多管式熱交換器を一部省略して示す
図1相当図である。
【
図29】本発明の第18実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す
図12相当図である。
【
図30】本発明の第19実施例に係る多管式熱交換器のノズル部材を示す
図4相当図である。
【
図31】本発明の第20実施例に係る多管式熱交換器のノズル部材を示す
図4相当図である。
【
図32】
図31に示す第20実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す
図12相当図である。
【
図33】
図31に示す第20実施例に係る多管式熱交換器のノズル部材を示す
図13相当図である。
【
図34】本発明の第21実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す
図12相当図である。
【
図35】本発明の第22実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す
図12相当図である。
【
図36】
図35に示す第22実施例に係る多管式熱交換器のノズル部材を示す
図13相当図である。
【
図37】本発明の第23実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す
図12相当図である。
【
図38】
図19〜
図21に示す第11実施例に係る多管式熱交換器のガイド部材の変形例を一部省略して示す拡大斜視図である。
【
図39】本発明の第24実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【
図40】本発明の第25実施例に係る多管式熱交換器の要部を拡大して示す概略縦断面図である。
【
図41】従来の多管式熱交換器の第1例を中央部を省略して示す概略平面図である。
【
図42】
図41に示す多管式熱交換器の中央部を省略して示す概略縦断面図である。
【
図43】従来の多管式熱交換器の第2例
を示す概略縦断面図である。
【
図45】従来の多管式熱交換器の第3例を斜め下方から見た概略斜視図である。
【
図47】従来の多管式熱交換器の第4例を斜め下方から見た概略斜視図である。
【
図49】従来の多管式熱交換器の第5例を示す概略斜視図である。
【
図51】従来の多管式熱交換器の第6例を示す概略縦断面図である。
【
図52】
図51に示す多管式熱交換器の概略横縦面図である。 なお、
図2から
図38においては説明の便宜上、冷却媒体の供給部(符号6、8、9等)を
図1と逆向きに記載しました。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1〜4に示す本発明の第1実施例に係る多管式熱交換器は、好ましくは伝熱フィンが内挿固着された複数本の扁平伝熱管2が並設されて積層された扁平伝熱管群と、該扁平伝熱管群の外周を囲繞するように形成されたケーシング1と、該ケーシング1の両端部に設けられ、各扁平伝熱管2の両端部が貫通支持されたチューブシート3を備え、ケーシング1の片側の端部には排気ガス流入ボンネット4が、他端には排気ガス流出ボンネット5がそれぞれ設けられ、さらにケーシング外周壁面の排気ガス流入ボンネット4側端部には扁平伝熱管2の積層方向に略平行な略矩形の長孔からなる冷却媒体流入用開口部6が設けられ、排気ガス流出ボンネット5側端部には冷却媒体流出管7が接続されている。
【0032】
前記冷却媒体流入用開口部6には、該開口部6を覆うように基端部(底部)が開口されたボックス形の冷却媒体分配器8をケーシング1内に流入した冷却媒体が該排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入するようにケーシング1の軸芯に対する垂直線に対し所望の角度傾斜させて固設する。ここで、前記冷却媒体分配器8の傾斜角度θとしては、特に限定するものではないが5〜45°程度が好ましい。この冷却媒体分配器8は、基端部に前記開口部6を覆うフランジ部8−1を有し、該基端部と反対側端部に冷却媒体配管(図面省略)に接続する冷却媒体流入管9がケーシング外壁面と平行に横設されている。この冷却媒体流入管9には、
図3に示すように前記冷却媒体分配器8内に連通する長孔からなる冷却媒体流入口9−1が設けられ、他端はキャップ9−2により閉鎖されている。さらに本発明では、前記冷却媒体分配器8の開口部6付近に、冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されるように複数の噴出孔10−1を当該多管式熱交換器のケーシング長手方向と略直交する方向に有するノズル部材10をケーシング1内壁に取り付ける。このノズル部材10は、
図4に示すように積層された扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応する位置に噴出孔10−1を設けた平板からなり、かつ前記噴出孔10−1の断面積の総和が冷却媒体分配器8内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さくなっている。その理由は、前記噴出孔10−1より噴出する冷却媒体の流速を前記冷却媒体分配器8内の流速より増速させて高い運動エネルギーを付与することによって、ケーシング1内に噴出された後の流れの直進性を向上させてチューブシート3内表面に到達させて当該内表面付近に滞留する高温の冷却媒体を迅速に移動させることにより、チューブシート3内表面及び扁平伝熱管2のチューブシート3付近の表面温度を速やかに低下させてこれら表面からの冷却媒体の沸騰を確実に防止するためである。
なお、前記ノズル部材10の噴出孔10−1の形状としては、真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよい。
【0033】
上記
図1〜4に示す構成の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、開口部6及びノズル部材10を介して冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材10の噴出孔10−1より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されることにより、チューブシート3内表面に速やかに到達して冷却し冷却媒体の沸騰がより効果的に防止される。
【0034】
図5、
図6に示す本発明の第2実施例に係る多管式熱交換器は、前記第1実施例に係る多管式熱交換器のノズル部材10を当該多管式熱交換器のケーシング長手方向と略直交するよう冷却媒体分配器8内に設ける方式となしたもので、その構造は
図5、
図6に示すように断面略クランク形状に形成した板部材に、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応する位置に噴出孔20−1を設けたノズル部材20を、当該ノズル部材20の噴出孔20−1の軸心が扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部及び排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3の内表面を指向するように冷却媒体分配器8の基端部近くに配設したものである。なお、このノズル部材20も前記ノズル部材10と同様に、噴出孔20−1の断面積の総和が冷却媒体分配器8内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さくなっている。又、前記ノズル部材20の噴出孔20−1の形状としては、前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0035】
上記
図5、
図6に示す構成の本発明の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、ノズル部材20を介して開口部6より冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材20の噴出孔20−1より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されかつチューブシート3内表面を指向して高い運動エネルギーを持って噴出されることにより、チューブシート3内表面に速やかに到達して冷却し冷却媒体の沸騰がより効果的に防止される。
【0036】
図7に示す本発明の第3実施例に係る多管式熱交換器は、前記第2実施例に係る多管式熱交換器と同様にノズル部材を冷却媒体分配器8内に設ける方式において、前記ノズル部材20に替えて、冷却媒体をより確実に扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入させるためのガイド部一体型のノズル部材30を採用したもので、その構造は
図7にその断面構造を示すようにガイド部30−2を有する断面略S字形の板部材に、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応する位置に噴出孔30−1を設けたノズル部材30を、当該ノズル部材30のガイド部30−2が扁平伝熱管2とケーシング1内面との間の空間に位置するように開口部6を貫通してケーシング1内に挿入配置するとともに、当該ノズル部材30の噴出孔30−1の軸心が扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向すると共に排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3の内表面を指向するように冷却媒体分配器8の基端部近くに配設したものである。なお、このノズル部材30も前記ノズル部材20と同様に、噴出孔30−1の断面積の総和が冷却媒体分配器8内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さく、又、前記ノズル部材30の噴出孔30−1の形状も前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0037】
又、前記ガイド部一体型のノズル部材30としては、
図8にその変形例を示すように、ガイド部31−2と反対側端部を冷却媒体分配器8の内面に沿うように内側に折曲げて形成した屈曲部31−3を有するノズル部材31を採用してもよい。このノズル部材31の場合も前記ノズル部材30と同様に、当該ノズル部材31のガイド部31−2が扁平伝熱管2とケーシング1内面との間の空間に位置するように開口部6を貫通してケーシング1内に挿入配置するとともに、当該ノズル部材31の噴出孔31−1の軸心が扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向すると共に排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3の内表面を指向するように冷却媒体分配器8の基端部近くに配設する。
【0038】
上記
図7、
図8に示す構成の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、ノズル部材30又はノズル部材31を介して開口部6より冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材30、31の噴出孔30−1、31−1より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されかつチューブシート3内表面を指向して高い運動エネルギーを持って噴出されるとともに、その噴出孔30−1、31−1より流出した冷却媒体がガイド部30−2、31−2に沿って流れてより確実にチューブシート3内表面付近における扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入することにより冷却媒体の沸騰がより効果的に防止される。なお、ノズル部材30、31のガイド部30−2、31−2の部分を短冊状に形成して当該短冊状部分を各扁平伝熱管2の間の空間部に延伸させた構造とすると、後述するように冷却媒体がチューブシート3内表面に速やかにかつ的確に到達して冷却し沸騰がよりいっそう効果的に防止される。
【0039】
図9に示す本発明の第4実施例に係る多管式熱交換器は、前記第2、第3実施例に係る多管式熱交換器と同様にノズル部材を冷却媒体分配器8内に設ける方式において、前記ノズル部材20、30、31に替えて、断面L字状の溝形ノズル部材40を採用したもので、その構造は
図9にその断面構造を示すように扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応する位置に噴出孔40−1を設けた断面L字状の溝形ノズル部材40を、当該ノズル部材40の噴出孔40−1の軸心が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3の内表面及び扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向するように冷却媒体分配器8の基端部近くに開口部6を貫通して噴出孔40−1の部分がケーシング1内に突出するように該冷却媒体分配器8に取付けて構成したものである。なお、このノズル部材40も前記ノズル部材20、30、31と同様に、噴出孔40−1の断面積の総和が冷却媒体分配器8内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さく、又、噴出孔40−1の形状も前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0040】
上記
図9に示す構成の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、溝形ノズル部材40を介して開口部6より冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材40の噴出孔40−1より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されかつチューブシート3内表面を指向して高い運動エネルギーを持って噴出されるとともに、その噴出孔40−1より流出した冷却媒体がチューブシート3内表面付近における扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入することにより冷却媒体の沸騰がより効果的に防止される。なお、噴出孔40−1より流出する冷却媒体をより確実に扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入させるために該溝形ノズル部材40の側面にガイド部材(図示せず)を取付けるとさらによい。
【0041】
図10、
図11に示す本発明の第5実施例に係る多管式熱交換器は、冷却媒体の流速を冷却媒体分配器8内よりも増速させるためのノズル部材をケーシング1の開口部付近に設ける方式において、前記ノズル部材20、30、31、40に替えて、断面略Z状のノズル部材50を採用したもので、その構造は
図10、
図11にその断面構造を示すように断面略Z状の板部材の中央部の傾斜部50−2に、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に噴出孔50−1を設けたノズル部材50を、当該ノズル部材50の噴出孔50−1の軸心が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3の内表面及び扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向するようにケーシング1の開口部6付近のケーシング1内壁に取付けて構成したものである。その際、ノズル部材50は当該ノズル部材の上面側と下面側の一部がそれぞれ冷却媒体分配器8内とケーシング1内に突出するように両端部をケーシング内壁に取付ける。なお、このノズル部材50も前記ノズル部材20、30、31、40と同様に、噴出孔50−1の断面積の総和が冷却媒体分配器8内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さく、又、噴出孔50−1の形状も前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0042】
上記
図10、
図11に示す構成の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、ノズル部材50を介して開口部6より冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材50の噴出孔50−1より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されかつチューブシート3内表面を指向して高い運動エネルギーを持って噴出されるとともに、その噴出孔50−1より流出した冷却媒体がチューブシート3内表面付近における扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入することにより冷却媒体の沸騰がより効果的に防止される。なお、噴出孔50−1より流出する冷却媒体をより確実に扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入させるために該ノズル部材50の下面にガイド部材(図示せず)を取付けるとさらによい。
【0043】
図12、
図13に示す本発明の第6実施例に係る多管式熱交換器は、冷却媒体の流速を冷却媒体分配器8内よりも増速させるためのノズル部材をケーシング1の開口部付近に設ける方式において、前記ノズル部材20、30、31、40、50に替えて、扁平伝熱管2側に断面略V字状もしくはU字状で扁平伝熱管2の積層幅に応じて突出した凸状部60−3を有するノズル部材60を採用したもので、その構造は
図12、
図13にその断面構造を示すように断面略V字状の凸状部60−3の壁面の片側の傾斜部60−2に、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に噴出孔60−1を設けたノズル部材60を、当該ノズル部材60の噴出孔60−1の軸心が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3の内表面及び扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向するようにケーシング1の開口部6付近のケーシング1内壁に取付けて構成したものである。その際、ノズル部材60は当該ノズル部材のV字状の凸状部60−3がケーシング1内に突出するように両端部をケーシング1内壁に取付ける。なお、このノズル部材60も前記ノズル部材20、30、31、40、50と同様に、噴出孔60−1の断面積の総和が冷却媒体分配器8内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さく、又、噴出孔60−1の形状も前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0044】
上記
図12、
図13に示す構成の多管式熱交換器の場合も、前記
図10、
図11に示す構成の多管式熱交換器と同様に、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、開口部6、ノズル部材60、凸状部60−3を介して噴出孔60−1より冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材60の噴出孔60−1より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されかつチューブシート3の内表面を指向して高い運動エネルギーを持って噴出するとともに、その噴出孔60−1より流出した冷却媒体がチューブシート3の内表面付近における扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入することにより冷却媒体の沸騰がより効果的に防止される。なおこの場合も、前記のものと同様に、噴出孔60−1より流出する冷却媒体をより確実に扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入させるために該ノズル部材60の下面にガイド部材(図示せず)を取付けるとさらによい。
【0045】
図14、
図15に示す本発明の第7実施例に係る多管式熱交換器は、冷却媒体の流速を冷却媒体分配器8内よりも増速させるためのノズル部材をケーシング1の開口部付近に設ける方式において、前記の各ノズル部材に替えて、扁平伝熱管2側に断面略V字状もしくはU字状で扁平伝熱管2の積層幅に対応して突出した凸状部70−3を有し、さらに前記凸状部70−3の扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部位に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に該空間部位に突出する断面略U字状もしくはV字状の突出部70−4を形成し、該突出部70−4の壁面の片側の傾斜部70−2に噴出孔70−1を設けたノズル部材70を採用したもので、その構造は
図14、
図15に示すように前記ノズル部材70を、当該ノズル部材70の噴出孔70−1の軸心が扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向するようにケーシング1の開口部6付近のケーシング1内壁に取付けて構成したものである。その際、ノズル部材70は当該ノズル部材の凸状部70−3及び突出部70−4がケーシング1内に突出するように両端部をケーシング1内壁に取付ける。なお、このノズル部材70も前記ノズル部材と同様に、噴出孔70−1の断面積の総和が冷却媒体分配器8内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さく、又、噴出孔70−1の形状も前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0046】
上記
図14、
図15に示す構成の多管式熱交換器の場合も、前記の多管式熱交換器と同様に、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、開口部6を介してノズル部材70より冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材70の噴出孔70−1より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されかつチューブシート3の内表面を指向して高い運動エネルギーを持って噴出するとともに、その噴出孔70−1より流出した冷却媒体がチューブシート3の内表面付近における扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入することにより冷却媒体の沸騰がより効果的に防止される。
なおこの場合は、ノズル部材70の突出部70−4が扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部位に突出位置することから、噴出孔70−1より流出する冷却媒体を確実に扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入させることができるので、前記ガイド部材61等はなくてもよい。
【0047】
図16に示す本発明の第8実施例に係る多管式熱交換器は、冷却媒体の噴出流速を冷却媒体分配器8内よりも増速させるためのノズル部材をケーシング1の開口部付近に設ける方式において、前記
図12、
図13に示す本発明の第6実施例に係る多管式熱交換器のノズル部材60と類似の断面略V字状の凸状部を有するノズル部材80を採用したもので、その構造は
図16にその断面構造を示すように断面略V字状の凸状部の壁面の片側の傾斜部に、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応する位置に、先端に噴出孔80−1を有し該扁平伝熱管2側に膨出した短管状のバーリングノズル80−2を設けたノズル部材80を、当該ノズル部材80のバーリングノズル80−2先端の噴出孔80−1の軸心が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3の内表面及び扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向するようにケーシング1の開口部6付近のケーシング1内壁に取付けて構成したものである。その際、ノズル部材80は当該ノズル部材のV字状凸状部のバーリングノズル80−2部がケーシング1内に突出するように両端部をケーシング1内壁に取付ける。なお、このノズル部材80も前記ノズル部材と同様に、噴出孔80−1の断面積の総和が冷却媒体分配器8内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さく、又、バーリングノズル80−2及び噴出孔80−1の孔形状も前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0048】
上記
図16に示す構成の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、開口部6を介してノズル部材80より冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材80のバーリングノズル80−2の管状のバーリング壁に案内されて直進性が向上して流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されかつチューブシート3の内表面を指向して高い運動エネルギーを持って噴出するとともに、そのバーリングノズル80−2より流出した冷却媒体がチューブシート3の内表面付近における扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入するが、その際バーリングノズル80−2の作用により冷却媒体の直線性がより増すことにより冷却媒体のチューブシート3内表面に速やかにかつ的確に到達して冷却し沸騰がより効果的に防止される。なお、ノズル部材80の下面にガイド部材(図示せず)を取付けるとより効果的である。
【0049】
図17に示す本発明の第9実施例に係る多管式熱交換器は、噴出冷却媒体の流速を冷却媒体分配器8内よりも増速させるためのノズル部材をケーシング1の開口部付近に設ける方式において、前記
図9に示す本発明の第4実施例に係る多管式熱交換器のノズル部材40と類似のノズル部材90を採用したもので、その構造は
図17にその断面構造を示すように扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応する位置に流出孔90−3を設けた断面凹形の溝形部材の前記各流出孔90−3の部分に、先端に噴出孔90−1を有する比較的長尺のノズルブッシュ90−2を同一軸心上に取付けたノズル部材90を、当該ノズル部材90の流出孔90−3及びノズルブッシュ90−2先端の噴出孔90−1の軸心が扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部及びチューブシート3内面を指向するように冷却媒体分配器8の基端部近くに取付けて構成したものである。ここで、前記ノズルブッシュ90−2付きノズル部材90は、好ましくはノズルブッシュ90−2が開口部6を貫通してその先端部分がケーシング1内に突出するように冷却媒体分配器8内に取付ける。更に、ノズルブッシュ90−2より流出する冷却媒体をより確実にチューブシート3内面付近及び扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入させるために開口部6のケーシング1内壁にガイド部材(図示せず)を取付けてもよい。なお、このノズル部材90の流通孔90−3及び噴出孔90−1及びノズルブッシュ90−2の孔形状及び噴出孔90−1も前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。又、ノズルブッシュ90−2は、前記第8実施例のごとくノズル部材90と一体に形成してもよい。
【0050】
上記
図17に示す構成の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、ノズル部材90を介して開口部6より冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材90の流通孔90−3及びノズルブッシュ90−2の噴出孔90−1より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されかつチューブシート3の内表面を指向して高い運動エネルギーを持って噴出するとともに、そのノズルブッシュ90−2先端の噴出孔90−1より流出した冷却媒体がチューブシート3の内表面付近における扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入するが、その際管状のノズルブッシュ90−2の作用により冷却媒体の直進性がより増すことにより冷却媒体のチューブシート3内表面に速やかにかつ的確に到達して冷却し沸騰がより効果的に防止される。
【0051】
図18に示す本発明の第10実施例に係る多管式熱交換器は、冷却媒体の噴出流速を冷却媒体分配器8内よりも増速させるためのノズル部材をケーシング1の開口部付近に設ける方式において、前記
図10に示す本発明の第5実施例に係る多管式熱交換器のノズル部材50と類似のノズル部材に比較的長尺で先端に噴出孔100−1を有するノズル管を一体的に設けたノズル部材を採用したもので、その構造は
図18にその断面構造を示すように断面略Z状の板部材の中央部の傾斜部に、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応する位置に当該板部材を貫通して軸心が扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向するように先端に噴出孔100−1を有する長尺のノズル管100−2を取付けたノズル部材100を、ケーシング1の開口部6付近のケーシング1内壁に取付けて構成したもので、かつ前記ノズル管100−2内には、冷却媒体に旋回性を与えて直進性をさらに良くするためにスパイラルフィン100−3を設けている。なお、このノズル部材100のノズル管100−2及び先端の噴出孔100−1の断面形状は、前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0052】
上記
図18に示す構成の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、ノズル部材100及びノズル管100−2を介して開口部6より冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材100のノズル管100−2先端の噴出孔100−1より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されかつチューブシート3の内表面を指向して高い運動エネルギーを持って噴出するとともに、その噴出孔100−1より流出した冷却媒体がチューブシート3の内表面付近における扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入するが、その際ノズル管100−2の作用により冷却媒体の直進性がより増すことにより冷却媒体のチューブシート3内表面に速やかにかつ的確に到達して冷却し沸騰がより効果的に防止される。なお、ノズル部材100の下面にガイド部材(図示せず)を取付けるとより効果的である。
【0053】
図19〜
図21に示す本発明の第11実施例に係る多管式熱交換器は、冷却媒体の噴出流速を冷却媒体分配器8内よりも増速させるためのノズル部材と、ケーシング1内に流入した冷却媒体がチューブシート内面に沿うように又は扁平伝熱管2の間の空間部を流れるようにするためのガイド部材を設ける方式であって、前記ガイド部材として櫛歯状ガイド部材を採用したもので、その構造は冷却媒体分配器8の開口部6付近のケーシング1内壁に取付けた、前記
図1〜
図4に示す本発明の第1実施例に係る多管式熱交換器と同じ噴出孔10−1付きノズル部材10と、積層された扁平伝熱管2の間の各空間部に延伸させて設けた短冊状ガイド部110−1を有する櫛歯状ガイド部材110を備え、櫛歯状ガイド部材110の短冊状ガイド部110−1を前記ノズル部材10の噴出孔10−1を貫通させてその上部両端部の屈曲部110−2を冷却媒体分配器8の内面に取付けて構成したものである。
【0054】
上記
図19〜
図21に示す構成の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、噴出孔10−1付きノズル部材10及び櫛歯状ガイド部材110を介して冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、開口部6より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されるとともに、櫛歯状ガイド部材110の作用、即ち短冊状ガイド部110−1が延伸されていて扁平伝熱管群の間の空間を横断しかつそのガイド先端がチューブシート3内面付近に到達していることによる作用により、開口部6を介して噴出孔10−1より高い運動エネルギーを持って噴出する冷却媒体が短冊状ガイド部110−1の表面に沿って流動して確実にその先端まで達するので、積層された扁平伝熱管2の間の各空間部を通ってチューブシート3内表面に速やかにかつ的確に到達して冷却し沸騰がより効果的に防止される。
なお、本実施例においては、冷却媒体の温度分布や流速、流れ方向の特性等に応じて短冊状ガイド部110−1の湾曲形状(ガイド面形状)を適宜、選択・変更することにより沸騰防止効果をより高めることが可能である。
【0055】
図22、
図23に示す多管式熱交換器は、ケーシング1内に流入した冷却媒体をガイド部材により排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入させる方式であり、このうち
図22に示す本発明の第12実施例に係る多管式熱交換器は、ノズル部材は図示していないが前記第2実施例のノズル部材20や第4実施例のノズル部材40等を冷却媒体分配器8内に設け、前記ケーシング外周壁面に設けた冷却媒体流入用開口部6にガイド部材120を扁平伝熱管群の扁平伝熱管2とケーシング1内面との間の空間に位置するように当該ケーシング1内壁に取付けて構成したものである。なお、このガイド部材120は、前記
図21に示すように下端部を短冊状に形成して当該短冊状部分を各扁平伝熱管2の間の空間部に延伸させた構造としてもよい(2点鎖線で示す)。
上記
図22に示す構成の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8及び開口部6より流入する冷却媒体がガイド部材120の作用によりチューブシート3内表面に速やかに到達して冷却し冷却媒体の沸騰が効果的に防止される。
【0056】
図23に示す本発明の第13実施例に係る多管式熱交換器は、ノズル部材は図示していないが前記第1実施例のノズル部材10や第5実施例のノズル部材50等をケーシング1内に設け、前記ガイド部材120と同様のガイド部材130を前記ケーシング外周壁面に設けた冷却媒体流入用開口部6を貫通して冷却媒体分配器8内壁に取付けで構成したもので、この場合も前記ガイド部材130は、前記
図21に示すように下端部を短冊状に形成して当該短冊状部分を各扁平伝熱管2の間の空間部に延伸させた構造としてもよい(2点鎖線で示す)。
上記
図23に示す構成の多管式熱交換器の場合も前記
図22に示す多管式熱交換器と同様に、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8及び開口部6より流入する冷却媒体がガイド部材130の作用によりチューブシート3内表面に速やかに到達して冷却し冷却媒体の沸騰が効果的に防止される。
【0057】
図24に示す本発明の第14実施例に係る多管式熱交換器は、前記ガイド部材120、130に替えて、冷却媒体の流速を冷却媒体分配器8内よりも増速化するためのガイド部一体型ノズル部材140を採用したもので、その構造は
図24に示すようにノズル部材に相当する上辺部に扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応する位置に噴出孔140−1を設け、その連続した端部を湾曲させて延伸して噴出孔に対向する位置にガイド部140−2を有するガイド部一体型ノズル部材140を、当該ガイド部140−2が扁平伝熱管群の扁平伝熱管2とケーシング1内面との間の空間に位置するようにケーシング1内壁に取付けて構成したものである。なお、このノズル部材140も前記ガイド部材120、130のものと同様に、下端部を短冊状に形成して当該短冊状部分を各扁平伝熱管2の間の空間部に延伸させた構造としてもよい(2点鎖線で示す)。又、噴出孔140−1の断面積の総和が冷却媒体分配器8内の冷却媒体の流れ方向断面積より小さく、該噴出孔140−1の形状も前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸心方向に長径を有する楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0058】
上記
図24に示す構成の多管式熱交換器の場合は、冷却媒体流入管9より冷却媒体分配器8、ノズル部材140を介して開口部6より冷却媒体が排気ガス流入ボンネット4側のチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材140の噴出孔140−1より流出する冷却媒体の噴出流速が冷却媒体分配器8内よりも増速されるとともに、その噴出孔140−1より流出した冷却媒体がガイド部140−2の作用によりチューブシート3内表面に速やかに到達して冷却し冷却媒体の沸騰が効果的に防止される。
【0059】
上記本発明の
図1〜
図24に示す実施例では、冷却媒体の供給方式として冷却媒体分配器8の基端部と反対側端部に冷却媒体流入管9を横設して冷却媒体を冷却媒体分配器8内に流入させる方式を採用した多管式熱交換器を示したが、冷却媒体の供給方式としては上記方式に限定されるものではなく、
図25及び
図26に示す供給方式を採用してもよい。
即ち、
図25及び
図26に示す本発明の第15実施例及び第16実施例に係る多管式熱交換器はそれぞれ、冷却媒体流入管19、29を直接冷却媒体分配器8に接続して供給する方式を採用したもので、
図25に示す多管式熱交換器は、上面を閉塞した冷却媒体分配器18を用い、該冷却媒体分配器8の片方の側面上部もしくは両側面上部に、曲げ加工された冷却媒体流入管19を接続して冷却媒体を供給する方式である。又、
図26に示す多管式熱交換器は、上記と同じ冷却媒体分配器28を用い、冷却媒体分配器28の背面上方に直線状の冷却媒体流入管29を接続して冷却媒体を供給する方式である。なお、上記冷却媒体流入管19、29は、冷却媒体の流速を可及的に高めるために冷却媒体が上方より下向きに流入するように伝熱管2の管軸に対して傾斜させて設けるのが好ましい。
【0060】
上記本発明の
図1〜
図26に示す実施例は、冷却媒体分配器8、18、28をケーシング1の軸芯に対し傾斜させて設けた多管式熱交換器であるが、
図27、
図28に示す本発明の第17実施例に係る多管式熱交換器は、前記冷却媒体分配器8をケーシング1の軸芯に対し傾斜させずに垂直(θ=0度)に設けた構成となしたもので、その構造は
図12に示す第6実施例に係る熱交換器と同様に、冷却媒体の流速を冷却媒体分配器8内よりも増速させるためのノズル部材60をケーシング1の開口部付近に設ける方式において、ケーシング1に設けられた冷却媒体流入用開口部6をフランジ8A−1が覆うように基端部(底部)が開口されたボックス形の冷却媒体分配器8Aをケーシング1の軸芯に対し垂直に固設し、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に噴出孔60−1を設けたノズル部材60を、当該ノズル部材60の噴出孔60−1の軸芯が排気ガス流入ボンネット4(
図1)側のチューブシート3(
図1)の内表面及び扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向するようにケーシング1の冷却媒体流入用開口部6のケーシング1内壁に取付けて構成したものである。その際、ノズル部材60は当該ノズル部材のV字状の凸状部60−3がケーシング1内に突出するように両端部をケーシング1内壁に取付ける。なお、このノズル部材も前記ノズル部材20、30、31、40、50と同様に、噴出孔60−1の断面積の総和が垂直形の冷却媒体分配器8A内の冷却媒体の流れ方向面積より小さく、又、噴出孔60−1の形状も前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸芯方向に長径の楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0061】
上記
図27、
図28に示す構成の多管式熱交換器の場合、冷却媒体は冷却媒体分配器8Aによりケーシング1の軸芯に対して垂直に流入するも、ノズル部材60の噴出孔60−1の軸芯が排気ガス流入ボンネット4(
図1)側のチューブシート3(
図1)の内表面及び扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向するようにケーシング1の冷却媒体流入用開口部6のケーシング1内壁にケーシング長手方向と略直交するよう取付けられているため、開口部6、ノズル部材60、凸状部60−3を介して噴出孔60−1より冷却媒体がチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材60の噴出孔60−1より流出する冷却媒体の噴出流速は前記のものと同様に冷却媒体分配器8A内よりも増速されかつチューブシート3の内表面を指向して高い運動エネルギーを有して噴出するとともに、その噴出孔60−1より流出した冷却媒体がチューブシート3の内表面付近における扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入することにより冷却媒体の沸騰が効果的に防止される。なおこの場合も、前記のものと同様に、噴出孔60−1より流出する冷却媒体をより確実に扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入させるためにノズル部材60の下面に前記ガイド部材(図示せず)を取付けるとさらに効果的である。
【0062】
図29に示す本発明の第18実施例に係る多管式熱交換器は、前記冷却媒体分配器8Aをケーシング1の軸芯に対し前記
図12に示す第6実施例に係る熱交換器と逆向きに所望の角度(−θ)に傾斜させて設置した構成となしたもの(冷却媒体分配器8B)で、その構造は
図12に示す第6実施例に係る熱交換器と同様に、冷却媒体の流速を冷却媒体分配器8B内よりも増速させるためのノズル部材60をケーシング1の開口部付近に設ける方式において、ケーシング1に設けられた冷却媒体流入用開口部6をフランジ8B−1が覆うように基端部(底部)が開口されたボックス形の冷却媒体分配器8Bをケーシング1の軸芯に対し排気ガス流入ボンネット4(
図1)側に所望の角度(−θ)傾斜させてケーシング1に固設し、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応する位置に噴出孔60−1を設けたノズル部材60を、当該ノズル部材60の噴出孔60−1の軸芯が排気ガス流入ボンネット4(
図1)側のチューブシート3(
図1)の内表面及び扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向し且つケーシング長手方向と略直交するようにケーシング1の冷却媒体流入用開口部6のケーシング1内壁に取付けて構成したものである。この場合も、ノズル部材60は当該ノズル部材のV字状の凸状部60−3がケーシング1内に突出するように両端部をケーシング1内壁に取付ける。なお、このノズル部材も前記ノズル部材20、30、31、40、50と同様に、噴出孔60−1の断面積の総和が垂直形の冷却媒体分配器8A内の冷却媒体の流れ方向面積より小さく、又、噴出孔60−1の形状も前記のものと同様に真円又は扁平伝熱管2の軸芯方向に長径の楕円もしくは長円形状のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0063】
上記
図29に示す構成の多管式熱交換器の場合、冷却媒体は冷却媒体分配器8Bによりケーシング1の軸芯に対して前記
図12に示す第6実施例に係る熱交換器と逆向きに流入していったんノズル部材60の噴出孔60−1と反対側傾斜面に当たるもガイドされて噴出孔60−1側を指向し、当該ノズル部材60の噴出孔60−1の軸芯が排気ガス流入ボンネット4(
図1)側のチューブシート3(
図1)の内表面及び扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間の空間部を指向するようにケーシング1の冷却媒体流入用開口部6のケーシング1内壁に取付けられているため、開口部6、ノズル部材60、凸状部60−3を介して噴出孔60−1より冷却媒体がチューブシート3に向かって流入する際、ノズル部材60の噴出孔60−1より流出する冷却媒体の噴出流速は前記のものと同様に冷却媒体分配器8B内よりも増速されかつチューブシート3の内表面を指向して高い運動エネルギーを有して噴出するとともに、その噴出孔60−1より流出した冷却媒体がチューブシート3の内表面付近における扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入することにより冷却媒体の沸騰が効果的に防止される。なおこの場合も、前記のものと同様に、噴出孔60−1より流出する冷却媒体をより確実に扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入させるためにノズル部材60の下面に前記ガイド部材(図示せず)を取付けるとさらに効果的である。
【0064】
図30に示す本発明の第19実施例に係る多管式熱交換器は、ノズル部材に断面積の異なる噴出孔を設けたノズル部材60Aを採用したもので、積層された扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に設ける噴出孔として、断面積が扁平伝熱管の積層方向に沿って次第に大きくなるように断面積が異なる噴出孔60A−1〜60A−4を設けたものである。このようにノズル部材に異なる断面積の噴出孔60A−1〜60A−4を設けるのは、特に多数に扁平伝熱管を内蔵する大型の多管式熱交換器にあっては扁平伝熱管内のEGRガス流量分布が均等ではなく、積層方向中央に向かうほど流量が多くかつ流速が速い場合、中央付近ほどチューブシート内表面及び扁平伝熱管外表面の温度が高温になり易く沸騰し易いこと、又、積層方向中央付近の噴出孔の断面積を徐々に大きくすることにより、冷却媒体量を徐々に増加、増速させて冷却性能を制御することにより、広い範囲での沸騰を効果的に防止することが可能となるためである。なお、噴出孔60A−1〜60A−4の断面積が順次変化する例を示したが、噴出孔の断面積を変化させる対応はこれに限定されるものではなく、各々の噴出孔毎に断面積を所望に変化させて良いことは言うまでもない。
【0065】
図31〜
図33に示す本発明の第20実施例に係る多管式熱交換器は、ノズル部材に排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向する噴出孔と、チューブシート内面を指向しない流出孔を設けたノズル部材60Bを採用したもので、その構造は、例えば伝熱管側に当該伝熱管の積層方向に連続して突出した断面略V字状の凸状部60B−3のEGRガスの流れ方向上流側壁面(傾斜部)60B−2に、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管の間に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に噴出孔60B−1を設けると共に、凸状部60B−3のEGRガスの流れ方向下流側壁面(傾斜部)60B−4に、軸芯が積層された扁平伝熱管の間の空間部もしくは扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部を指向し、かつ排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しない複数の小径の流出孔60B−5を設けたノズル部材60Bをケーシング1の内壁に取付けて構成したものである。
ここで、ノズル部材に排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向する噴出孔60B−1のみならず、チューブシート内面を指向しない流出孔60B−5を設けたノズル部材60Bを採用したのは、エンジンの高負荷運転時にはEGRガス温度が上昇しかつガス流量が増大するためチューブシート内表面のみならず、チューブシート付近の扁平伝熱管外表面からも冷却媒体の沸騰を生じる現象が起きること、又、噴出孔60B−1からの冷却媒体によるチューブシート内面付近の冷却のみならず、小径の流出孔からの冷却媒体が増速されてチューブシート付近の扁平伝熱管間に流入し各扁平伝熱管の外表面を効果的に冷却することにより、高いエンジン負荷時であってもチューブシート付近の広い範囲での沸騰を確実に防止することができるためである。なお、流出孔60B−5は、所望に応じ例えば扁平伝熱管の外表面が高温となる位置のみに設けたり、断面積を変化させて設けても良いことは言うまでもない。
【0066】
図34に示す本発明の第21実施例に係る多管式熱交換器は、前記第20実施例に係る多管式熱交換器の断面略V字状の凸状部60B−3を有するノズル部材60Bに替えて、断面略U字状の凸状部60C−3を有するノズル部材60Cを採用したもので、その構造は伝熱管側に当該伝熱管の積層方向に連続して突出した断面略U字状の凸状部60C−3のEGRガスの流れ方向上流側壁面(円弧状部)60C−2に、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管の間に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に噴出孔60C−1を設けると共に、略U字状凸状部60C−3のEGRガスの流れ方向下流側壁面(円弧状部)60C−4に、軸芯が積層された扁平伝熱管の間の空間部もしくは扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部を指向し、かつ排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しない複数の小径の流出孔60C−5を設けたノズル部材60Cをケーシング1に取付けて構成したものである。その際、前記ノズル部材60Cの取付け方式としては、例えば当該ノズル部材60Cの冷却媒体分配器8A側の開口端部に形成した鍔部60C−6の部分を冷却媒体分配器8Aの基端部のフランジ部8A−1との間に介在させてケーシング1の外面に固設する方式を採用することができる。そしてこの場合も、断面略U字状の凸状部60C−3を有するノズル部材に排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向する噴出孔60C−1のみならず、チューブシート内面を指向しない小径の流出孔60C−5を設けたノズル部材60Cを採用したのは、エンジンの高負荷運転時にはEGRガス温度が上昇しかつガス流量が増大するためチューブシート内表面のみならず、チューブシート付近の扁平伝熱管外表面からも冷却媒体の沸騰を生じる現象が起きること、又、噴出孔60C−1からの冷却水によるチューブシート内面付近の冷却のみならず、小径の流出孔60C−5からの冷却媒体が増速されてチューブシート付近の扁平伝熱管間に流入し各扁平伝熱管の外表面を効果的に冷却することにより、高いエンジン負荷時であってもチューブシート付近の広い範囲での沸騰を確実に防止することができるためである。なお、ノズル部材60Cをケーシング1の外面に固設する方式は、ケーシング1の内面に固設する方式に比べノズル部材の組み付け作業性が良い。なお、流出孔60C−5は、所望に応じ例えば扁平伝熱管の外表面が高温となる位置のみに設けたり、断面積を変化させて設けても良いことは言うまでもない。
【0067】
図35、
図36に示す本発明の第22実施例に係る多管式熱交換器は、ノズル部材に排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向する噴出孔と、チューブシート内面を指向しない流出孔、及び、前記噴出孔と流出孔の間に設けられたチューブシート内面を指向しない流出孔を設けたノズル部材60Dを採用したもので、その構造は、例えば伝熱管側に当該伝熱管の積層方向に連続して突出した断面略逆台形状の凸状部60D−3のEGRガスの流れ方向上流側壁面(傾斜部)60D−2に、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管の間に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に噴出孔60D−1を設けると共に、凸状部60D−3のEGRガスの流れ方向下流側壁面(傾斜部)60D−4に、軸芯が積層された扁平伝熱管の間の空間部もしくは扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部を指向し、かつ排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しない複数の小径の流出孔60D−5を設け、さらに前記噴出孔60D−1と流出孔60D−5との間に位置しかつ凸状部60D−3の底部に軸芯が積層された扁平伝熱管の間の空間部もしくは扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部を指向し、かつ排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しない複数の小径の流出孔60D−6を有するノズル部材60Dをケーシング1の内壁に取付けて構成したものである。
【0068】
ここで、ノズル部材に排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向する噴出孔60D−1及びチューブシート内面を指向しない流出孔60D−5に加え、凸状部60D−3の底部に小径の流出孔60D−6を設けたノズル部材60Dを採用したのは、エンジンの高負荷運転時にはEGRガス温度が上昇しかつガス流量が増大するためチューブシート内表面のみならず、チューブシート付近の扁平伝熱管外表面からも冷却媒体の沸騰を生じる現象が起きること、又、噴出孔60D−1からの冷却媒体によるチューブシート内面付近の冷却のみならず、冷却媒体分配器8AよりEGRガスの流れ方向と概ね直交して流入する冷却媒体を流出孔60D−6より扁平伝熱管間に流入させると共に、EGRガスの流れ方向下流側壁面に設けた小径の流出孔60D−5からの冷却媒体が増速されてチューブシートより少し離れた扁平伝熱管間に流入し各扁平伝熱管の外表面を効果的に冷却することにより、高いエンジン負荷時であってもチューブシート付近を含めた広い範囲での沸騰をより確実に防止することができるためである。なお、噴出孔60D−1の断面積は各々の噴出孔毎に断面積を所望に変化させて設けたり、流出孔60D−5、60D−6は、所望に応じ例えば扁平伝熱管の外表面が高温となる位置のみに設けたり、断面積を変化させて設けても良いことは言うまでもない。
【0069】
図37に示す本発明の第23実施例に係る多管式熱交換器は、前記第22実施例に係る多管式熱交換器の断面略逆台形状の凸状部60D−3を有するノズル部材60Dに替えて、断面略円弧状の凸状部60E−3を有するノズル部材60Eを採用したもので、その構造は例えば伝熱管側に当該伝熱管の積層方向に連続して突出した断面略円弧状の凸状部60E−3のEGRガスの流れ方向上流側壁面60E−2に、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管の間に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に噴出孔60E−1を設けると共に、凸状部60E−3のEGRガスの流れ方向下流側壁面60E−4に、軸芯が積層された扁平伝熱管の間の空間部もしくは扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部を指向し、かつ排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しない複数の小径の流出孔60E−5を設け、さらに前記噴出孔60E−1と流出孔60E−5との間に位置しかつ凸状部60E−3の底部に軸芯が積層された扁平伝熱管の間の空間部もしくは扁平伝熱管とケーシング内面との間の空間部を指向し、かつ排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向しない複数の小径の流出孔60E−6を有するノズル部材60Eを、前記と同様に鍔部60E−7の部分をケーシング1の外面に固設する方式によりケーシング1に取付けて構成したものである。
【0070】
ここで、ノズル部材に排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向する噴出孔60E−1及びチューブシート内面を指向しない流出孔60E−5に加え、凸状部60E−3の底部に小径の流出孔60E−6を設けたノズル部材60Eを採用したのは、前記と同様にエンジンの高負荷運転時にはEGRガス温度が上昇しかつガス流量が増大するためチューブシート内表面のみならず、チューブシート付近の扁平伝熱管外表面からも冷却媒体の沸騰を生じる現象が起きること、又、噴出孔60E−1からの冷却媒体によるチューブシート内面付近の冷却のみならず、冷却媒体分配器8AよりEGRガスの流れ方向と概ね直交して流入する冷却媒体を流出孔60E−6より扁平伝熱管間に流入させると共に、EGRガスの流れ方向下流側壁面に設けた小径の流出孔60E−5からの冷却媒体が増速されてチューブシートより少し離れた扁平伝熱管間に流入し各扁平伝熱管の外表面を効果的に冷却することにより、高いエンジン負荷時であってもチューブシート付近を含めた広い範囲での沸騰をより確実に防止することができるためである。なお、流出孔60E−5、60E−6は、所望に応じ例えば扁平伝熱管の外表面が高温となる位置のみに設けたり、断面積を変化させて設けても良いことは言うまでもない。
【0071】
図38に示す櫛歯状ガイド部材110Aは、前記
図19〜
図21に示す櫛歯状ガイド部材において、ガイド部の長さを扁平伝熱管の積層方向で異なる長さとしたもので、その構造は積層された扁平伝熱管の間の各空間部に延伸させて設ける短冊状ガイド部110A−1の長さが扁平伝熱管の積層方向に沿って次第に大きくなり、中央部分が最も長くなるように形成したものである。なお、短冊状ガイド部110A−1には、当該ガイド部材110Aを冷却媒体分配器8、8Aに取付けるための屈曲部110A−2を設けている。
【0072】
ここで、ガイド部の長さを扁平伝熱管の積層方向で異なる長さとしたのは、以下に記載する理由による。
即ち、EGRガス冷却装置(EGRクーラ)に流入するEGRガスの流速分布は均一ではなく偏流を生じながら流入すること、EGRガス流量が多くかつガス流速が速い扁平伝熱管付近のチューブシート及び扁平伝熱管の表面温度が最も高温となり、最も冷却を必要とする部位であること、EGRガスが高速で流入し高温となるチューブシート付近への冷却媒体の流量を確保すべく、チューブシートの温度分布に合わせてガイド部材のガイド部の長さを調整する必要があること、即ち、高温となる部位には長いガイド部を、高温とならない部位には短いガイド部を配置する必要があること、例えEGRガス流量が偏流していてもチューブシート内表面、チューブシート内表面付近の扁平伝熱管外表面からも冷却媒体の沸騰を生じる現象を効果的に防止できること、をその理由とするものである。
【0073】
図39に示す本発明の第24実施例に係る多管式熱交換器は、自然対流により発生した気泡が流出し易いので多用される扁平伝熱管を垂直(縦向き)向きではなく、気泡が流出し難い水平に配置した構成の多管式熱交換器に適用した実施例を示したもので、その構造は複数本の扁平伝熱管2が水平に並設されて積層された扁平伝熱管群が内部に収納されたケーシング1の片側の側面に、当該側面に設けた開口部6を覆うように冷却媒体流入管9付き冷却媒体分配器8Aを固設し、扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向する噴出孔60F−1を有するノズル部材60Fをケーシング1の内壁に取付けて構成したものである。図中、7は冷却媒体流出管である。
【0074】
上記
図39に示す構成の多管式熱交換器の場合、冷却媒体は冷却媒体分配器8Aによりケーシング1の側面より水平に流入するも、ノズル部材60Fの噴出孔60F−1が扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応して排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向するようにケーシング1内壁に取付けられているので、開口部6、ノズル部材60Fを介して噴出孔60F−1より冷却媒体がチューブシートに向かって流入する際、ノズル部材60Fの60F−1よりほぼ水平方向に流出する冷却媒体の噴出流速はこの水平配置方式の場合も冷却媒体分配器8A内よりも増速されかつチューブシートの内表面を指向して高い運動エネルギーを有して噴出するとともに、その噴出孔60F−1より流出した冷却媒体がチューブシートの内表面付近における水平配置の扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入することにより冷却媒体の沸騰が効果的に防止される。一般的に複数本の扁平伝熱管2が水平に並設されて積層された扁平伝熱管群の場合、冷却媒体の温度上昇に伴う自然対流が発生しにくく流れが停滞して沸騰し易いが、本発明の方式によればノズル部材60Fの噴出孔60F−1からのチューブシートを指向したほぼ水平方向で各扁平伝熱管間への冷却媒体の高速な噴出により、冷却媒体の沸騰を確実に防止することが可能となる。また、例え微細な気泡が発生したとしても増速されて高速な冷却媒体流によって速やかに流下させる事が出来、流速が遅い場合に発生する気泡の成長とそれに伴う沸騰とを効果的に防止することができる。なお、ここでは一連式の扁平伝熱管群を例にとり説明したが、扁平伝熱管群を水平方向に並設した二連式の扁平伝熱管群(図示せず)の場合も同様の作用効果が得られることはいうまでもない。
【0075】
図40に示す本発明の第25実施例に係る多管式熱交換器は、前記
図39に示す第24実施例に係る多管式熱交換器(一連式の扁平伝熱管群)の他の実施例として、三連式の扁平伝熱管群を水平に配置した構成の多管式熱交換器を例示したもので、その構成は7本の扁平伝熱管2が水平に並設されて積層された扁平伝熱管群が水平に三列に配置された三連式の扁平伝熱管群が収納されたケーシング1の両側の側面に、当該両側面に設けた開口部6を覆うように冷却媒体流入管9付き冷却媒体分配器8Aを固設し、両側の扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応し且つケーシング長手方向と略直交する位置に排気ガス流入口側のチューブシート内面を指向する噴出孔60G−1を有するノズル部材60Gをケーシング1の両側の内壁に取付けて構成したものである。
【0076】
上記
図40に示す構成の多管式熱交換器の場合、冷却媒体はケーシング1の両側に設けられた冷却媒体分配器8Aによりケーシング1の側面より水平に流入するも、前記
図39に示す一連式の扁平伝熱管群からなる多管式熱交換器と同様に、ノズル部材60Gの噴出孔60G−1が扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に対応してチューブシート内面を指向し且つケーシング長手方向と略直交するようにケーシングの両側の内壁に取付けられているので、ケーシング両側の開口部6、ノズル部材60Gを介して噴出孔60G−1より冷却媒体がチューブシートに向かって流入する際、両方のノズル部材60Gの噴出孔60G−1よりほぼ水平方向に流出する冷却媒体の噴出流速は、冷却媒体分配器8A内よりも増速されかつチューブシートの内表面を指向して高い運動エネルギーを有して噴出するとともに、その噴出孔60G−1より流出した冷却媒体が水平配置の三連の扁平伝熱管群の各扁平伝熱管2の間に流入することにより冷却媒体の沸騰が効果的に防止される。即ち、三連式の扁平伝熱管群からなる多管式熱交換器の場合も、ケーシング1の両側に設けたノズル部材60Gの噴出孔60G−1からのチューブシートを指向したほぼ水平方向で各扁平伝熱管間への冷却媒体の高速な噴出により、両サイドの扁平伝熱管群のみならず中央の扁平伝熱管群においても冷却媒体の沸騰を確実に防止することが可能となる。
【0077】
なお、ここでは、一連式と三連式の扁平伝熱管群からなる多管式熱交換器を例にとり説明したが、二連式の扁平伝熱管群(図示せず)の場合も同様の作用効果が得られることはいうまでもない。