特許第5988319号(P5988319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988319
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】陸閘
(51)【国際特許分類】
   E02B 7/22 20060101AFI20160825BHJP
   E02B 7/44 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   E02B7/22
   E02B7/44
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-12187(P2015-12187)
(22)【出願日】2015年1月26日
(65)【公開番号】特開2016-138367(P2016-138367A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2015年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】512141725
【氏名又は名称】角田 隆美
(74)【代理人】
【識別番号】100105692
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 莞
(74)【代理人】
【識別番号】100161252
【弁理士】
【氏名又は名称】明田 佳久
(72)【発明者】
【氏名】角田 隆美
【審査官】 神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−257829(JP,A)
【文献】 特開2004−339726(JP,A)
【文献】 特開2012−172423(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/20−7/50
E02B 3/04−3/14
E06B 5/00
E04H 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海岸堤防や河川堤防に設置され、該堤防に途切れた開口部を設けた陸閘であって
該開口部の両脇にウイング部と、
該開口部の下端で両端を該ウイング部に回動可能に固設した水平軸と、
該水平軸部を一端として、海側方向の斜め下方から斜め上方まで回動可能にして該開口部を開放・閉鎖する水密箱体構造で浮体の防潮扉と、
を備えた陸閘において
該防潮扉が、上面に箱体構造の階段を備えており、該防潮扉の開放時には、該階段を歩行者が通行できるように構成し、かつ、該防潮扉の他端部に、発泡プラスチック、ゴム製の浮き袋等の衝撃緩和部材を備えたことを特徴とする陸閘。
【請求項2】
前記防潮扉の他端部に、浮き桟橋に乗り込むための接続板を備えたことを特徴とする請求項1に記載の陸閘。
【請求項3】
前記防潮扉の他端部に、波除部を備えたことを特徴とする請求項に記載の陸閘。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海岸堤防や河川堤防等に設けられる陸閘であって、平常時は港の岸壁や浮き桟橋、又は砂浜等に降りる階段として利用できると共に、高潮や津波発生時には、陸側に海水の侵入を防ぐための陸閘として、海水面の上昇を利用して自動で閉鎖できる陸閘に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、海岸や河川等の堤防を通常時は生活のため通行できるように途切れさせてあり、増水時にはそれをゲート等により塞いで、暫定的に堤防の役割を果たす目的で、陸閘が設けられている。
【0003】
台風等による高潮や地震による津波によって海水面が上昇し、海岸堤防の陸閘の開口部から、上昇した海水の浸入を防ぐために開口部を閉鎖しなければならないが、閉鎖する作業の際に、停電等によって人力で閉鎖作業をする必要が生じ、既に高潮や津波が浸入している場合等は、閉鎖作業をする人が危険に曝されるという問題があった。
【0004】
そこで、従来、電力等に頼らずに自動で陸閘を防潮扉で閉鎖する研究がされており、例えば、強制的に油圧で防潮扉を開閉できると共に防潮扉内に蓄えられている空気の浮力を用いて、高潮時に自動で防潮扉を閉鎖する陸閘の先行技術が開示されている(参考文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−257829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の先行技術には、防潮扉の浮力を利用して、自動で防潮扉により陸閘を閉鎖することが開示されているが、通常時は、防潮扉が平坦な通路として利用されるので、海岸堤防の高さが高く、しかも堤防から海辺までの距離が近い場合には、下に降りる階段道路を別途設ける必要があり、前記先行技術は適用し難い問題があった。
【0007】
また、津波が発生した際に、押し寄せてくる波高の高い海水に対抗して、防潮扉が確実に作動して閉鎖できるのか不明であるという問題もあった。
【0008】
本発明は、これらの問題を解決したものであって、構造が簡単であって、自動で防潮扉によって陸閘を閉鎖できると共に、平常時は防潮扉が階段の役割を果たし、海岸堤防の外側が、高低差があり、すぐに海という狭隘な地形の箇所にも設置でき、さらに、津波が発生した際にも、確実に防潮扉を閉鎖することができる陸閘を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に係る陸閘は、海岸堤防や河川堤防に設置され、該堤防に途切れた開口部を設けた陸閘であって、該開口部の両脇にウイング部と、該開口部の下端で両端を該ウイング部に回動可能に固設した水平軸と、該水平軸部を一端として、海側方向の斜め下方から斜め上方まで回動可能にして該開口部を開放・閉鎖する水密箱体構造で浮体の防潮扉と、を備えた陸閘において、該防潮扉が、上面に箱体構造の階段を備えており、該防潮扉の開放時には、該階段を歩行者が通行できるように構成し、かつ、該防潮扉の他端部に、発泡プラスチック、ゴム製の浮き袋等の衝撃緩和部材を備えたことを特徴とする。
【0010】
この構成を採用することにより請求項1に係る陸閘は、海岸堤防等に設けられる陸閘であって、開口部が海水面から高い位置にあり、該開口部の両脇にウイング部と、該開口部の下端部に両側を該ウイング部に固設した水平軸と、一端を、該水平軸を中心軸として、海側方向に斜め下方から斜め上方まで回動して該開口部を開放・閉鎖する箱体構造で浮体の防潮扉と、を少なくとも備えている。本発明に係る陸閘は、平常時には、防潮扉が、海側(前方)斜め下に開いており、また、防潮扉の上面が階段となっているので、人が防潮扉を使用して、海に降りて行くことができる。よって、海岸堤防から、すぐに海になっているような狭隘で高低差がある地形の漁港等の海と山が接近したような地形、特に、リアス式海岸でも、本願発明に係る陸閘は、設置して使用できる。
【0011】
また、防潮扉が、中空の水密構造となっており、防潮扉内に空気が封じ込められていることによって浮力を有しており、高潮発生時や小規模な津波の発生時には、海面の上昇とともに、浮力のみによって防潮扉が上昇し、かつ回動して自動的に陸閘を閉鎖することができる。よって、陸閘を閉鎖するために人が防潮扉に行く必要がないので、高潮や津波発生時でも安全に防潮扉を閉鎖できる
【0012】
また、防潮扉の可動部の両脇には、ウイング部が設けられ、可動部とウイング部との間の止水ゴムによる防水構造により、陸閘は、水密性が保たれている。
【0013】
本発明に係る陸閘は、防潮扉の他端側(海側)の先端部に発プラスチック、ゴム製の浮き袋等の衝撃緩和部材を備えている。これによって、平常時、陸閘のすぐ下が海である場合において、斜め下向きの防潮扉の先端部に衝撃緩衝部材があるので、直接、防潮扉に漁船等の船を接岸することができると共に衝撃緩衝部材は、発プラスチック、ゴム製の浮き袋であるので強力な浮力を有する。よって、本願の陸閘は、防潮扉の先端部分を波間に漂わせ続けることができると共に防潮扉の上面が階段であるので、人をそのまま船に乗り込ませることができる。
【0014】
請求項に係る陸閘は、請求項に記載の陸閘において、前記防潮扉の他端部に、浮き桟橋に乗り込むための接続板を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成を採用することにより、請求項に係る陸閘門は、防潮扉の上面の階段から、港に設けられた浮き桟橋に、直接、安全に乗降できる。そして、浮き桟橋を利用することによって、より大型の船に乗降することが可能となる。
【0016】
請求項に係る陸閘は、請求項2に記載の陸閘において、前記防潮扉の他端部に、波除部を備えたことを特徴とする。
【0017】
この構成を採用することにより、大規模な津波が襲来しても、防潮扉の先端部に設けられた波除部によって、津波の力を往なすことによって、防潮扉は、津波に飲み込まれることなく、閉鎖することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る請求項1からに記載の陸閘によれば、高潮や津波が発生しても、自動で陸閘の防潮扉が閉鎖されるので、陸上の市街地に海水が浸入することを防ぐことができる。また、電源等の動力源や人力を必要としておらず、停電時でも人がゲートを閉鎖しに行く必要がないので、人が高潮や津波に流される危険性がない。
【0019】
また、本発明の陸閘は、平常時、防潮扉の上面が階段となっているので、高低差がある海岸堤防、特に、山と海が接近した狭隘な地形の漁港等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施するための形態に係る陸閘であって、開放している防潮扉の先端部が、海水面に漂っている状態を示す陸閘の模式的全体斜視図である。
図2】本発明の実施するための形態に係る陸閘であって、開放している防潮扉の先端部が、砂浜上に載置された状態を示す陸閘の模式的全体斜視図である。
図3】本発明の実施するための形態に係る陸閘であって、防潮扉が、高潮状態の海水によって陸閘を閉鎖している状態を示す模式的全体斜視図である。
図4】本発明の実施するための形態に係る陸閘であって、陸閘を開放している状態の防潮扉の模式的断面図である。
図5】本発明の実施するための形態に係る陸閘であって、開放している防潮扉の先端部に接続板が設けられて、浮き桟橋に接続している状態を示す陸閘の模式的全体斜視図である。
図6】本発明の実施するための形態に係る陸閘であって、先端部に波除部を設けた防潮扉が砂浜上に載置して開放された状態を示す陸閘の模式的全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図2図3に示すように、本発明に係る陸閘1は、海岸堤防10の開口部に設けられる陸閘1であって、開口部の両脇に設けられ、かつ、内側面に防潮扉2の閉鎖時に防潮扉2の他端側(海側)を支持して、回動を制止するストッパ5を有する1組のウイング部4と、開口部の下部(床面)の位置で両端をウイング部で支承する水平軸3と、一端側(陸閘の開口部側)に水平軸3を中心軸として上下方向に回動し、かつ、上面に階段部2−1を有し中空の水密構造の防潮扉2と、を少なくとも備えている。図1図2に示すように、陸閘1は、平常時には、防潮扉2を開放しており、防潮扉2の他端側の端部を海水面20−1上に漂わせ、又は、砂浜30等の陸上に載置されている。また、図3に示すように、陸閘1は、高潮や津波発生時には、防潮扉2が浮力のみによって水平軸3を中心軸として海水面上方まで上向きに回動して、陸地側に海水が浸入しないように閉鎖する。
【0022】
防潮扉2は、図4に示すように、一端に水平軸を3を軸通できるようにした略直方体形状の水密の箱体構造であって、内部は、中空となっていて空気を封じ込めている。よって、防潮扉2は、海水に浸かった際に、その浮力によって海水面20に浮上するので、波浪、高潮、津波等により海水面20−1が上昇・下降するのに伴い、防潮扉2の他端部2−7も海水面20−1に追随して上下し、その結果、防潮扉2は水平軸を中心軸として上下に回動する。防潮扉2は、平常時には、他端部2−7側に向かって斜め下方向に載置されている。防潮扉2の上面2−2には、階段2−1が設けられており、平常時は、人が高所に設けられた海岸堤防10から海20に向って降りて行くことができる。よって、陸閘1が海水面より高い位置に設けてあって、目の前が直ぐに海20であるような箇所にも、陸閘1を設置することができる。階段部2−1は、踏面及び蹴上だけでなく、妻部も閉鎖して密閉しているので、階段2−1の各段も独立の中空の空気室となり、防潮扉2の浮力を助ける働きをしている。なお、防潮扉2の大きさは、幅1〜4m、長さ1〜5m、厚み20〜50cmである。また、防潮扉2の上面2−2と下面は2−3は、平行ではなく、水平軸3から他端側に向って若干広がっており、防潮扉2の他端側の浮力が大きくなりスムーズに閉鎖することができる。なお、防潮扉2の階段部2−1は、防潮扉2の幅以下であり、階段部2−1又は階段部2−1の両脇の上面2−2がストッパ5に引っ掛かることによって、防潮扉2の回動を止める。また、防潮扉2は、薄板の鋼板やアルミニウム合金薄板を用いるのが浮力の点で好適である。
【0023】
水平軸3は、防潮扉2を回動させる中心軸であり、防潮扉2の一端側を支持している。防潮扉2の他端側は、平常時には、砂浜30等の陸上に載置される場合と、直接海上20に置かれ、防潮扉2の浮力によって、バランスを取り浮き桟橋のように波間に漂っている場合とがある。高潮や津波による高波発生時には、防潮扉2は、海面20の上昇に伴って上方向に回動し、水平軸3とウイング部4の内側面に設けられたスットッパ5とによって、上方向の回動が制止されて、支持される。よって水平軸3は、防潮扉2を支持する強度が必要であるので、直径50〜300mmぐらいの鋼管を用いるのが好適である。
【0024】
図1,2,3、5,6に示すように、ウイング部4は、陸閘1の開口部の両脇にそれぞれ設けられており、防潮扉2が閉鎖する際に、防潮扉2と海岸堤防10との間から、海水が浸水するのを防ぐ役目を担う。ウイング部4は、防潮扉2の海側の端部が、少なくとも水平軸3と同じ高さとなる位置から、海岸堤防10と同じ高さになるまでの間、防潮扉2と同じ長さだけ、海20方向に突き出している。また、それぞれのウイング部4の内側面には、ストッパ5が設けられており、このストッパ5が高潮や津波発生時において、防潮扉2の他端側の上面2−2(階段部2−1を含む)の回動の行き過ぎを制止し、かつ、支持している。なお、防潮扉2の側面、及び、陸閘1の開口部下部には止水ゴム2−8が備えてあり、それぞれ、ウイング部4との接触部、及び、防潮扉2の回動軸周部との接触部を止水している。
【0025】
図1,4に示すように、衝撃緩和部材兼浮力構成材6は、発泡性プラスチック又はゴム製の浮き袋等でできており、防潮扉2の他端部2−7側を海中に漂わせた場合において、防潮扉2の階段部2−1から直接、漁船等の小型船に乗込む際に、船と防潮扉2が接触して、互いに傷つかないようにする。高潮や津波発生時において、防潮扉2の他端部2−7側に浮力を与えて防潮扉2が閉鎖する動作を助けている。
【0026】
図5に示すように、浮き桟橋接続板7は、防潮扉2の他端部2−7側を海水面20−1に漂わせた場合において、防潮扉2の階段部2−1と浮き桟橋11とを接続しているので、平常時は、人が階段部2−1から、安全に浮き桟橋11に乗込むことができる。また、浮き桟橋7は、階段部2−1にヒンジで支持し、浮き桟橋11側は自由端となっている。また、高潮や津波発生時において、浮き桟橋7は、防潮扉2の階段部2−1の幅より狭くなっており、また、浮き桟橋と縁が切れているので、防潮扉2と共に回動し、防潮扉2の閉鎖を妨げない。
【0027】
図6に示すように、波除部8は、先端部に向かって上向きに弧を描いていて底部及び先端部が船の舳先のような形状をしており、大規模な津波が襲来した際に、津波の力を防潮扉2の下方や側方に往なし、大型津波が直接防潮扉2の上面2−2に直撃することを防ぐ。よって、津波が襲来しても、本発明に係る陸閘1は、波の大きな力が直接防潮扉2に掛からないので、確実に防潮扉2を閉鎖することができる。したがって、大規模な津波の襲来が予測される地域には、予め波除部8を設けることで、津波の被害を防ぐことができる。なお、波除部8の上部にあるステップ8−1は、防潮扉2と同様に中空になっており空気が密封されている。よって、高潮や津波発生時には、波除部8からも浮力が発生し、防潮扉2の閉鎖を補助する。また、波除部8は、防潮扉2よりも幅が若干狭くなっているので、ウイング部4と干渉しないので、防潮扉2の閉鎖を妨げない。また、波除部8の先端部から直接船に乗れるように、先端部に階段を設けてもよい。
【0028】
本願発明に係る陸閘1の使用方法の一例を説明する。図1に示すように、本願発明に係る陸閘1は、海岸堤防10から高低差があり、直に、海となっている場所に設置できる。陸閘1の防潮扉2は、陸閘1の開口部下端に設けられ、両ウイング部4に両端を固定された水平軸3で支持されて、防潮扉2の他端部2−7側(海側)は、海水面20−1に浮かぶことができ、波間に漂っている。よって、平常時には、人が、海水面20−1より高所にある陸閘1開口部から、防潮扉2の上面2−2に設けられた階段部2−1を降りて、直接船に乗り込むこともできる。この際、衝撃緩和部材兼浮力構成材6が防潮扉2の他端側に設けているので、船や防潮扉2を傷つけない。
【0029】
図3に示すように、高潮や津波発生時で、海水面20−1が上昇する際には、防潮扉2本体と階段部2−1の浮力(衝撃緩和部材兼浮力構成材6を備えた場合には衝撃緩和部材兼浮力構成材6の浮力も)によって、防潮扉2は、海水面20−1の上昇に伴って上昇する。そして、防潮扉2は、両ウイング部4の内側面に設けられたストッパ5によって、防潮扉2の他端側が海岸堤防10の天端と同一高さとなる位置で、防潮扉2の上方への回動が制止されると共に、防潮扉2の他端側をストッパー5の2点と、反対側の水平軸3部とで支えられるので波の力に対抗できる。よって、本願発明に係る陸閘1は、動力として電気や人力等を一切必要としないので、停電時であっても、陸閘を安全で確実に閉鎖できる。なお、階段部2−1の幅は、防潮扉2の幅以下なので、防潮扉2の閉鎖の際に、ウイング部4と干渉しないから、閉鎖を妨げない。
【0030】
本願発明に係る陸閘1の別の使用方法の一例を説明する。図2に示すように、本願発明に係る陸閘1は、海岸堤防10から、高低差がある狭隘なる場所でも設置できる。防潮扉2の他端側が砂浜等の海浜30である場合には、そのまま、防潮扉2の他端側を海浜30に載置できる。よって、平常時において、歩行者は階段部2−1を降りて、海浜30に安全かつ簡単に行くことができる。また、高潮や津波発生時には、上述したように、陸閘1の開口部を安全で確実に閉鎖できる。なお、発プラスチック又はゴム製の浮き袋等の衝撃緩和部材兼浮力構成材6を設けていても、他端側が海浜に載置しても問題はない。
【0031】
また、本願発明に係る陸閘1の別の使用方法の一例を説明する。図5に示すように、防潮扉2の他端側の先に、浮き桟橋11を設置することもできる。浮き桟橋11を設置すれば、船の乗降がし易くなる上に、少しでも陸から離れた位置で船の乗降ができるので、海が深くなって大きな船に乗降できる。そして、浮き桟橋接続板7を備えることによって、人は、防潮扉2から浮き桟橋11に安全に移動できる。浮き桟橋接続板7は、防潮扉2の階段部2−1にヒンジで支持され、浮き桟橋11に自由端で支持されている。よって、防潮扉2の閉鎖の際には、浮き桟橋接続板7は、浮き桟橋11と縁が切れており、また、浮き桟橋接続板7の幅は、階段部の幅より短く、その長さは防潮扉2よりも短く、最長でも2m程であるので、防潮扉2の閉鎖を妨げない。なお、浮き桟橋接続板7は、薄板の鋼板がよく、縞鋼板を用いるのが滑止めも付いていて好適である。
【0032】
また、本願発明に係る陸閘1の別の使用方法の一例を説明する。図6に示すように、大規模な津波が発生しうる可能性のある地域では、波除部8を備えることができる。大規模な津波の波浪は、波除部8によって、防潮扉2の下方や側方に往なされるので、直接、波浪が防潮扉2に当たらないので、防潮扉2の閉鎖を妨げない。波除部8の形状は船の舳先のような形状がよいが、波を往なせる形状であれば、特に形状にはとらわれない。また、波除部8の上面には、波除部スッテプ8−1が設けられており、内部が中空で空気が密閉されており、浮力を生ずると共に人が乗れるようになり、海浜30にも行けるようになっている。なお、波除部8の先端部には、階段が設けられており、船に乗れるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0033】
海岸堤防や河川堤防の陸閘として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1:陸閘
2:防潮扉
2−1:階段部 2−2:防潮扉上面 2−3:防潮扉下面
2−4:防潮扉空気室 2−5:階段部空気室 2−6:水平軸部
2−7:他端部 2−8:止水ゴム
3:水平軸
4:ウイング部
5:ストッパ
6:衝撃緩和部材兼浮力構成材
7:浮き桟橋接続板
8:波除部 8−1:波除部ステップ
10:海岸堤防
11:浮き桟橋
20:海 20−1:海水面
30:海浜
図1
図2
図3
図4
図5
図6