特許第5988352号(P5988352)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5988352プリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988352
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】プリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/32 20060101AFI20160825BHJP
   B41J 2/325 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B41J2/32 Z
   B41J2/325 A
【請求項の数】4
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-77631(P2012-77631)
(22)【出願日】2012年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-203045(P2013-203045A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100150197
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康暢
【審査官】 牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−253103(JP,A)
【文献】 特開2005−335219(JP,A)
【文献】 特開平08−174876(JP,A)
【文献】 特許第3369340(JP,B2)
【文献】 特開平02−001334(JP,A)
【文献】 特開2001−121727(JP,A)
【文献】 特開2010−188595(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/32
B41J 29/38
B41J 2/325
B41J 25/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給源から排出口に至る搬送方向に沿って印刷用紙を移動させる移動装置と、
この移動装置により移動される印刷用紙の移動方向に直列に配置された複数の印刷ヘッドと、
これらの印刷ヘッドとの間に前記印刷用紙を挟む受けローラと、
この受けローラに対する前記印刷ヘッドの着脱、および、前記移動装置による印刷用紙の前記搬送方向またはこれと逆方向への移動を制御する制御部と、
を有するプリンタであって、
前記制御部は、
印刷用紙端から所定長の範囲においては、最上流の印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップと、
印刷用紙端から所定長以降の範囲においては、全ての印刷ヘッドの着脱を変えずに印刷を実行するステップと、
を含み、
最上流の印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップにおける所定長の範囲は、最上流の印刷ヘッドから最下流の印刷ヘッドまでの印刷用紙経路長以上の長さの範囲であり、
前記制御部は、
前記印刷ヘッドを駆動すべく入力された画像データから、最初に印刷すべき一の画像の前記印刷用紙搬送方向への長さ、または、一の画像に続く複数(i−1)の画像の前記印刷用紙搬送方向への長さの和ΣPi(i=1〜n)を検出するステップと、
このΣPiと、最も上流の印刷ヘッドと最も下流の印刷ヘッドとの距離Lとを比較するステップと、
前記最初に印刷すべき画像から、ΣPiがL以上となる最小のiに相当する順番(N)の画像までを印刷するステップと、
(N+1)番目以降の画像を印刷するステップと、
を実行し、
前記制御部は、
前記最初に印刷すべき画像から、ΣPiがL以上となる最小のiに相当する順番(N)の画像までを印刷するステップにあっては、前記複数の印刷ヘッドのいずれか一のみを前記受けローラに対して着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら最初から(N)番目までの画像を印刷する工程と、
前記着とされた印刷ヘッドを脱の状態として前記印刷用紙を反対方向へ移動させて、他のいずれかの印刷ヘッドの近傍に配置する工程と、
前記他のいずれかの印刷ヘッドを着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら最初から(N)番目までの画像を印刷する工程と、
を実行し、
(N+1)番目以降の画像を印刷するステップにあっては、複数の印刷ヘッドを着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら(N+1)番目以降の画像を印刷する工程と、
を実行することを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記印刷ヘッドは、同一の受けローラの円筒面上に該ローラの回転方向に沿って直列に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
印刷用紙の供給源から排出口へ至る印刷用紙搬送方向に沿って直列に配置された複数の印刷ヘッドと、
これらの印刷ヘッドとの間に印刷用紙を挟む受けローラと、
この受けローラに対する前記印刷ヘッドの着脱、および、前記印刷用紙の前記印刷用紙搬送方向またはこれと逆方向への移動を制御する制御部とを有するプリンタの制御装置であって、
前記制御部は、印刷用紙端から所定長の範囲においては、最上流の印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップと、印刷用紙端から所定長以降の範囲においては、全ての印刷ヘッドの着脱を変えずに印刷を実行するステップとを含み、
最上流の印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップにおける所定長の範囲は、最上流の印刷ヘッドから最下流の印刷ヘッドまでの印刷用紙経路長以上の長さの範囲であり、
前記制御部は、
前記印刷ヘッドを駆動すべく入力された画像データから、最初に印刷すべき一の画像の前記印刷用紙搬送方向への長さ、または、一の画像に続く複数(i−1)の画像の前記印刷用紙搬送方向への長さの和ΣPi(i=1〜n)を検出するステップと、
このΣPiと、最も上流の印刷ヘッドと最も下流の印刷ヘッドとの距離Lとを比較するステップと、
前記最初に印刷すべき画像から、ΣPiがL以上となる最小のiに相当する順番(N)の画像までを印刷するステップと、
(N+1)番目以降の画像を印刷するステップと、
を実行し、
前記制御部は、
前記最初に印刷すべき画像から、ΣPiがL以上となる最小のiに相当する順番(N)の画像までを印刷するステップにあっては、前記複数の印刷ヘッドのいずれか一のみを前記受けローラに対して着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら最初から(N)番目までの画像を印刷する工程と、
前記着とされた印刷ヘッドを脱の状態として前記印刷用紙を反対方向へ移動させて、他のいずれかの印刷ヘッドの近傍に配置する工程と、
前記他のいずれかの印刷ヘッドを着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら最初から(N)番目までの画像を印刷する工程と、
を実行し、
(N+1)番目以降の画像を印刷するステップにあっては、複数の印刷ヘッドを着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら(N+1)番目以降の画像を印刷する工程と、
を実行することを特徴とするプリンタ制御装置。
【請求項4】
印刷用紙の供給源から排出口へ至る印刷用紙搬送方向に沿って直列に配置された複数の印刷ヘッドと、
これらの印刷ヘッドとの間に印刷用紙を挟む受けローラと、
この受けローラに対する前記印刷ヘッドの着脱、および、前記印刷用紙の前記印刷用紙搬送方向またはこれと逆方向への移動を制御する制御部とを有するプリンタ制御方法であって、
印刷用紙端から所定長の範囲においては、最上流の印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップと、印刷用紙端から所定長以降の範囲においては、全ての印刷ヘッドの着脱を変えずに印刷を実行するステップとを含み、
最上流の印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップにおける所定長の範囲は、最上流の印刷ヘッドから最下流の印刷ヘッドまでの印刷用紙経路長以上の長さの範囲であり、
さらに、
前記印刷ヘッドを駆動すべく入力された画像データから、最初に印刷すべき一の画像の前記印刷用紙搬送方向への長さ、または、一の画像に続く複数(i−1)の画像の前記印刷用紙搬送方向への長さの和ΣPi(i=1〜n)を検出するステップと、
このΣPiと、最も上流の印刷ヘッドと最も下流の印刷ヘッドとの距離Lとを比較するステップと、
前記最初に印刷すべき画像から、ΣPiがL以上となる最小のiに相当する順番(N)の画像までを印刷するステップと、
(N+1)番目以降の画像を印刷するステップと、
を実行し、
前記最初に印刷すべき画像から、ΣPiがL以上となる最小のiに相当する順番(N)の画像までを印刷するステップにあっては、前記複数の印刷ヘッドのいずれか一のみを前記受けローラに対して着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら最初から(N)番目までの画像を印刷する工程と、
前記着とされた印刷ヘッドを脱の状態として前記印刷用紙を反対方向へ移動させて、他のいずれかの印刷ヘッドの近傍に配置する工程と、
前記他のいずれかの印刷ヘッドを着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら最初から(N)番目までの画像を印刷する工程と、
を実行し、
(N+1)番目以降の画像を印刷するステップにあっては、複数の印刷ヘッドを着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら(N+1)番目以降の画像を印刷する工程と、
を実行することを特徴とするプリンタ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給源から印刷用紙を送り出しながら複数の印刷ヘッドによって印刷を行うプリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に熱転写プリンタの印刷ヘッドは、受けローラから離れた状態から受けローラに押しつける方向およびその逆方向に着脱動作する構造とされている。すなわち、印刷に際して印刷ヘッドが印刷用紙を介して受けローラに押しつけられるようになっている。
例えば、Yellow、Magenta、Cyan(以下、単にY、M、Cと言う。)の3色を重ね合わせて写真を印刷するプリンタの場合、Y、M、C用各1本の印刷ヘッドと、最後に印刷表面に光沢、質感の調整や表面の保護を目的とするコーティング((overprint)以下、単にOPと言う)を施す印刷ヘッドとが、印刷用紙の搬送方向に沿って上流側からY→M→C→OPの順に配置される。
【0003】
このように複数の印刷ヘッドを備えたプリンタにあっては、制御PCから印刷指示を受けると、印刷用紙の搬送を開始し、印刷用紙の先端がY印刷ヘッドに達したところでY印刷ヘッドが降下し始め、印刷用紙先端から僅かに上流の位置にY印刷ヘッドが印刷用紙に押し当てられる。
その後、画像のY成分の情報と印刷用紙の搬送速度とに応じてY印刷ヘッドの発熱体を駆動することによりY成分を印刷する。
次に、印刷用紙の先端が前記Y印刷ヘッドの下流側のM印刷ヘッドに達すると、すでに印刷されたY成分の画像に重ねてM成分を印刷するように、M印刷ヘッドを降下させて受けローラに押し当てる。
同様に、印刷用紙先端がさらに下流のC印刷ヘッドに達すると、さらにC印刷ヘッドを受けローラに押し当て、さらに、OP印刷ヘッドを受けローラに押し当てて、C成分の印刷およびコーティングを行う。
このように、複数の印刷ヘッドのそれぞれに対応する位置に印刷用紙が達する度に印刷ヘッドを着にして(降ろして)印刷すると、新たに着となった印刷ヘッドが搬送中の印刷用紙の負荷となり、印刷ヘッドを降ろす度に、すでに印刷中の印刷ヘッドの印刷に影響を与えて色むらが発生することが避けられない。例えば、青空を撮影した画像のところに、この現象が起きると、本来一様なグラデーションとすべき青空の印刷に、印刷ヘッドの着動作に対応する位置に濃淡のむらが生じ、写真としての価値を損なうほど印刷品位が低下することがある。
【0004】
上記色むらの問題を考慮したプリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法の一例が特許文献1に記載されている。
特許文献1のプリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法は、印刷開始時に最下流側の印刷ヘッドの下まで印刷用紙を搬送し、すべての印刷ヘッドを降ろしてから印刷開始する。これにより、特許文献1のプリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法は、上流側の印刷ヘッドが印刷中に下流側の印刷ヘッドを押し当てる動作を行わない。
同様の課題を考慮して、プリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法の他の例が特許文献2に記載されている。
特許文献2のプリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法は、複数の印刷の間に余白部分を設けるようにしたもので、この余白と余白との間には、印刷ヘッドの配置(相互の間隔)と同じ間隔が空けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−174876号公報
【特許文献2】特許第3369340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この色むらを解消するため、特許文献1では、印刷開始に際して、最上流の印刷ヘッドから、印刷用紙を送りながら全ての印刷ヘッドを着にし、最上流の印刷ヘッドから最下流側の印刷ヘッドまでの距離に相当する長さの印刷用紙を白紙で排出している。
しかしながら、特許文献1にあっては、印刷開始に際して必ず印刷ヘッド間の間隔に相当する長さの印刷用紙が無駄になるという課題があり、さらに、このように無駄に排出された印刷用紙がユーザに悪印象を与えるという二次的な課題がある。
【0007】
また、特許文献2では、下流側の印刷ヘッドを着にする際に上流側の印刷ヘッドに相当する位置を余白が通過するよう、印刷ヘッドの相互間隔を調整することにより、タッチむらを防止している(現実には、余白の部分にタッチむらが発生する)。しかしながら、印刷長さに応じて印刷ヘッドの相互間隔を調整するのは面倒であるし、変更が求められる画像の長さ(相互間隔)に比べて、印刷ヘッドの相互間隔の調整可能範囲が狭いため、画像の長さ(大きさ)の選択範囲が狭いという課題がある。例えば、特許文献2のプリンタにおいて、例えば最大36インチのような長尺の印刷をしようとすると、プリンタが大型化することが避けられない。
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、印刷むらを防止でき、印刷用紙の先端から印刷を行うことができるプリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るプリンタは、供給源から排出口に至る搬送方向に沿って印刷用紙を移動させる移動装置と、この移動装置により移動される印刷用紙の移動方向に直列に配置された複数の印刷ヘッドと、これらの印刷ヘッドとの間に前記印刷用紙を挟む受けローラと、この受けローラに対する前記印刷ヘッドの着脱、および、前記移動装置による印刷用紙の前記搬送方向またはこれと逆方向への移動を制御する制御部と、を有するプリンタであって、前記制御部は、印刷用紙端から所定長の範囲は、いずれか1つの印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップと、印刷用紙端から所定長以降は、全ての印刷ヘッドの着脱を変えずに印刷を実行するステップと、を含む。
【0010】
このような構成によれば、すべての印刷ヘッドを押し当てて印刷可能になるまで、印刷用紙の先端からすべての印刷ヘッド間の距離を上回る長さの印刷期間は、各印刷ヘッドを1つだけ押し当てて印刷し、その後は複数の印刷ヘッドを押し当てて連続印刷を行えるようにする。
従って、印刷用紙を搬送中に印刷ヘッドを押し当てる動作を行わないため、印刷むらを防止でき、印刷用紙の先端から印刷を行うことができる。
【0011】
本発明に係るプリンタ制御装置は、印刷用紙の供給源から排出口へ至る印刷用紙搬送方向に沿って直列に配置された複数の印刷ヘッドと、これらの印刷ヘッドとの間に印刷用紙を挟む受けローラと、この受けローラに対する前記印刷ヘッドの着脱、および、前記印刷用紙の前記印刷用紙搬送方向またはこれと逆方向への移動を制御する制御部と、を有するプリンタの制御装置であって、前記制御部は、印刷用紙端から所定長の範囲は、いずれか1つの印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップと、印刷用紙端から所定長以降は、全ての印刷ヘッドの着脱を変えずに印刷を実行するステップと、を含む。
【0012】
このような構成によれば、すべての印刷ヘッドを押し当てて印刷可能になるまで、印刷用紙の先端からすべての印刷ヘッド間の距離を上回る長さの印刷期間は、各印刷ヘッドを1つだけ押し当てて印刷し、その後は複数の印刷ヘッドを押し当てて連続印刷を行えるようにする。
従って、印刷用紙を搬送中に印刷ヘッドを押し当てる動作を行わないため、印刷むらを防止でき、印刷用紙の先端から印刷を行うことができる。
【0013】
本発明に係るプリンタ制御方法は、印刷用紙の供給源から排出口へ至る印刷用紙搬送方向に沿って直列に配置された複数の印刷ヘッドと、これらの印刷ヘッドとの間に印刷用紙を挟む受けローラと、この受けローラに対する前記印刷ヘッドの着脱、および、前記印刷用紙の前記印刷用紙搬送方向またはこれと逆方向への移動を制御する制御部と、を有するプリンタ制御方法であって、前記制御部は、印刷用紙端から所定長の範囲は、いずれか1つの印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップと、印刷用紙端から所定長以降は、全ての印刷ヘッドの着脱を変えずに印刷を実行するステップと、を含む。
【0014】
このような構成によれば、すべての印刷ヘッドを押し当てて印刷可能になるまで、印刷用紙の先端からすべての印刷ヘッド間の距離を上回る長さの印刷期間は、各印刷ヘッドを1つだけ押し当てて印刷し、その後は複数の印刷ヘッドを押し当てて連続印刷を行えるようにする。
従って、印刷用紙を搬送中に印刷ヘッドを押し当てる動作を行わないため、印刷むらを防止でき、印刷用紙の先端から印刷を行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るプリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法によれば、印刷むらを防止でき、印刷用紙の先端から印刷を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る一実施形態のプリンタ制御方法を実行するプリンタ制御装置を有するプリンタの概略側面図である。
図2】本発明に係る一実施形態のプリンタ制御装置のブロック構成図である。
図3】本発明に係る一実施形態のプリンタ制御方法の制御動作を説明するフローチャートである。
図4】本発明に係る一実施形態のプリンタの動作手順を説明する第1段階の概略側面図である。
図5】本発明に係る一実施形態のプリンタにより印刷される印刷用紙の平面図である。
図6】本発明に係る一実施形態のプリンタの動作手順を説明する第2段階の概略側面図である。
図7】本発明に係る一実施形態のプリンタの動作手順を説明する第3段階の概略側面図である。
図8】本発明に係る一実施形態のプリンタの動作手順を説明する第4段階の概略側面図である。
図9】本発明に係る一実施形態のプリンタの動作手順を説明する第5段階の概略側面図である。
図10】本発明に係る一実施形態のプリンタの動作手順を説明する第6段階の概略側面図である。
図11】本発明に係る一実施形態のプリンタの変形例の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る一実施形態のプリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本発明に係る一実施形態のプリンタ10は、巻き取られた印刷用紙Aを巻き出し、あるいは巻き取ることによって、排出口に至る搬送方向に沿って上流側または下流型へ移動させる移動装置12と、移動装置12により移動される印刷用紙Aの移動方向に直列に配置された複数のY(Yellow用)印刷ヘッド13,M(Magenta用)印刷ヘッド14,C(Cyan用)印刷ヘッド15,OP(overprint用)印刷ヘッド16と、これらの各印刷ヘッド13,14,15,16に対向して配置されて各印刷ヘッド13,14,15,16との間に印刷用紙Aを挟む受けローラ17,18,19,20と、受けローラ17,18,19,20に対する各印刷ヘッド13,14,15,16の着脱、および、移動装置12による印刷用紙Aの搬送方向(下流方向)またはこれと逆方向(上流方向)への移動を制御する制御部(図2参照)21と、を備えている。
【0018】
また、プリンタ10は、Y印刷ヘッド13にYリボン13aを供給するY印刷リボン供給ローラ22と、Y印刷ヘッド13を通過したYリボン13aを巻き取るY印刷リボン巻き取りローラ23とがY印刷ヘッド13の近傍に備えている。
また、プリンタ10は、M印刷ヘッド14にMリボン14aを供給するM印刷リボン供給ローラ24と、M印刷ヘッド14を通過したMリボン14aを巻き取るM印刷リボン巻き取りローラ25と、をM印刷ヘッド14の近傍に備えている。
【0019】
さらに、プリンタ10は、C印刷ヘッド15にCリボン15aを供給するC印刷リボン供給ローラ26と、C印刷ヘッド15を通過したCリボン15aを巻き取るC印刷リボン巻き取りローラ27と、をC印刷ヘッド15の近傍に備えている。
さらに、プリンタ10は、OP印刷ヘッド16にOPリボン16aを供給するOP印刷リボン供給ローラ28と、OP印刷ヘッド16を通過したOPリボン16aを巻き取るOP印刷リボン巻き取りローラ29と、をOP印刷ヘッド16の近傍に備えている。
各印刷ヘッド13,14,15,16は、各受けローラ17,18,19,20の円筒面上に、それぞれ、各受けローラ17,18,19,20の回転方向に沿って直列に配置されている。
【0020】
前記プリンタ10は、受けローラ17,18,19,20のそれぞれの上流側近傍に、印刷用紙Aの先端を検出するための位置センサ30,31,32,33と、印刷用紙Aの搬送方向の最下流側で印刷した写真の前後を切断して写真を画像1枚ごとに切り離すためのカッタ34とを備えている。
【0021】
図2に示すように、制御部21は、移動装置(用紙供給駆動部)12と、各印刷ヘッド13,14,15,16を昇降駆動させるための昇降駆動部34と、位置センサ(位置検出部)30,31,32,33と、各印刷ヘッド13,14,15,16を発熱駆動させるための印刷駆動部36と、を制御する。
【0022】
図1に戻り、移動装置12は、不図示のステップモータを駆動源としており、印刷用紙Aを送り出す回転方向R1および印刷用紙Aを巻き戻す回転方向R2に回転する。
【0023】
各印刷ヘッド13,14,15,16は、各受けローラ17,18,19,20に対して上下に動くことが可能であり、昇降駆動部35の駆動により各受けローラ17,18,19,20に押し当てられる。このとき、各印刷ヘッド13,14,15,16は印刷用紙Aが各印刷ヘッド13,14,15,16の下に存在することを条件として各受けローラ17,18,19,20に押しつける下方向に駆動される。
その間も、印刷用紙Aは図中の矢印方向Hである搬送方向に移動し続けており、所定の印刷位置に達したところで、印刷駆動部36により各印刷ヘッド13,14,15,16の発熱体を画素のパターンに応じて駆動することにより、各印刷リボン供給ローラ22,24,26,28から供給された各リボン13a,14a,15a,16aから印刷用紙Aにインクを転写する。
【0024】
各位置センサ30,31,32,33は、反射型や透過型のフォトセンサであり、印刷用紙Aの先端を検出した信号を制御部21に供給し、制御部21は、この検出信号と、各受けローラ17,18,19,20の回転方向と、印刷用紙Aを移動させるステッピングモータのパルス数とから、印刷用紙Aの先端位置を演算する。
なお、各位置センサ30,31,32,33は、反射型や透過型のフォトセンサに代えて、撮像装置等を有するセンサであってもよく、或いは位置検出および検出された位置データのフィードバックを省略して、移動装置12を駆動するモータの回転数(回転角度)のみによって印刷用紙Aの位置をフィードフォワード制御してもよい。
【0025】
ここで、LY−MはY印刷ヘッド13とM印刷ヘッド14との間隔寸法であり、LM−CはM印刷ヘッド14とC印刷ヘッド15との間隔寸法であり、LC−OPはC印刷ヘッド15とOP印刷ヘッド16との間隔寸法であり、L=LY−M+LM−C+LC−OP の関係に設定されている。
【0026】
次に、本発明に係る一実施形態のプリンタ制御方法を上記構成のプリンタによる印刷動作とともに説明する。なお、以下の説明においては、Yellow成分をY成分と表記し、Magenta成分をM成分と表記し、Cyan成分をC成分と表記し、overprint成分をOP成分と表記する。
図4に示すように、プリンタ10が制御PCから画像データを受信していないときは、すべての印刷ヘッド13,14,15,16が上昇しており、印刷用紙Aの先端A1は最初に印刷するY印刷ヘッド13より上流で停止している。
【0027】
図5に示すように、制御部21は、プリンタ制御PCから最初に印刷する画像データG1を受信したら、印刷する長さP1を求める。長さP1には画像データG1を印刷するのに必要な前後の余白も含む。ここで、Lは、P1+P2<LかつP1+P2+P3>Lである。すなわち、3枚分の画像を印刷することにより、Lより長い範囲に印刷することができる。画像データG1の受信後、画像データG2,G3,G4・・・の印刷情報が続けて受信される。
【0028】
図6に示すように、プリンタ10が印刷動作を開始して移動装置12をR1方向に回転させて印刷用紙Aを送り、位置センサ30により印刷用紙Aの先端A1が検出された後に、位置センサ30の位置からY印刷ヘッド13の下に印刷用紙Aの先端A1が到達する分だけ移動装置12を回転方向R1にさらに回転させる。このとき、Y印刷ヘッド13を受けローラ17に押しつける方向に下げ、その間も印刷用紙Aは一定速度で送り続けられるために、印刷用紙Aの先端A1から印刷開始位置までに数mmの余白ができる。これにより、画像データG1のY成分を印刷開始するために、画像データG1のY成分の後端までが印刷完了される。
【0029】
図7に示すように、画像データG1を印刷した後、画像データG2のY成分を印刷する。このとき、画像データG2のY成分の印刷を完了しても印刷用紙Aの先端A1は、まだOP印刷ヘッド16に届かない。
そして、さらに続けて画像データG3のY成分を印刷する。画像データG3のY成分の印刷完了後は、印刷用紙Aの先端A1がOP印刷ヘッド16の先まで、P1+P2+P3−Lの長さだけ飛び出した状態になる。
【0030】
図8に示すように、この後、Y印刷ヘッド13を上昇させ、M印刷ヘッド14で印刷開始するための位置まで移動装置12を回転方向R2に戻し回転させることにより印刷用紙Aの先端A1を戻す。
【0031】
図9に示すように、次に移動装置12をR1回転方向に送り回転させて印刷用紙Aを送ることにより印刷用紙Aの搬送を開始し、印刷用紙Aの先端A1がM印刷ヘッド14の下に達したところでM印刷ヘッド14を受けローラ18に押しつけ、画像データG1のM成分の印刷を行う。このとき、先に印刷を完了している画像データG1のY成分に画像データG1のM成分が重なるように正確に位置合わせした上で印刷する。これにより、M印刷ヘッド14で画像データG1のM成分までの印刷が完了する。さらに続けてM印刷ヘッド14のみで、画像データG2、G3のM成分を印刷する。
【0032】
以下、同様にM印刷ヘッド14を上昇させ、C印刷ヘッド15で印刷開始するための位置まで移動装置12を回転方向R2に戻して印刷用紙Aの先端A1を戻し、C印刷ヘッド15のみで、画像データG1〜G3までのC成分を印刷する。
そして、C成分の印刷が完了したら、C印刷ヘッド15を上昇させ、OP印刷ヘッド16で印刷開始するための位置まで移動装置12をR2方向に回転させて印刷用紙Aを巻き戻して印刷用紙Aの先端A1を戻し、OP印刷ヘッド16を降ろして画像データG1〜G3に対して印刷する。
【0033】
図10に示すように、次に、移動装置12をR2方向に戻し回転させることにより、画像データG4のY成分の印刷開始位置まで印刷用紙Aを戻す。
そして、各印刷ヘッド13,14,15,16のすべてを降ろして、画像データG4およびこれに続く画像データG5、G6……を印刷する。
画像データG4以降も、画像データG5・G6・G7・・・・を受信している場合は、引き続き、すべての印刷ヘッド13,14,15,16を降ろしたままで印刷を継続する。
【0034】
このとき、Y印刷ヘッド13が最後の画像を印刷完了した際に、M印刷ヘッド14、C印刷ヘッド15、OP印刷ヘッド16が印刷中にY印刷ヘッド13を上げてしまうと、これが負荷変動となって、M印刷ヘッド14、C印刷ヘッド15、OP印刷ヘッド16の印刷にむらを生じさせる虞がある。
これを回避するために、最後の画像のOP印刷が完了するまで、すべての印刷ヘッド13,14,15を下げたままにしておくことが望ましい。なお、Y印刷ヘッド13を上げるときに急激な負荷変動を与えないように、限りなくゆっくりと、負荷変動を生じないように上げることができれば、色むらを生ずることはなく、印刷が終了した印刷ヘッド(例えば最上流のYのヘッド)を降ろしたままで下流の印刷を実行することは不要である。
【0035】
また、画像データG4の印刷を開始してから、画像データG1の先頭がカッタ34を通過するときには先端の余白をカットし、次に画像データG1の画像の後端でカットして画像データG1の写真1枚だけに切り離すのが好ましい。カッタ34を印刷用紙Aのどの部分が通過するかは位置センサ30,31,32,34による印刷用紙Aの先端A1の位置の検出結果、あるいは、移動装置12から供給される印刷用紙Aの送り量に関するデータに基づいて、適切なタイミングでカットを行うことができる。
【0036】
上述したように、プリンタ10は、印刷用紙Aの先端A1からの印刷開始時において、受信した画像データの印刷長の合計がL(P)を超えるところまでは、Y印刷ヘッド13のみの印刷→M印刷ヘッド14のみの印刷→C印刷ヘッド15のみの印刷→OP印刷ヘッド16のみの印刷を行い、その後、すべての印刷ヘッド13,14,15,16を受けローラ17,18,19,20に押しつけて印刷を継続する。
なお、印刷長の合計がLに満たない長さの画像しか受信しなかった場合は、Y印刷ヘッド13のみ→M印刷ヘッド14のみ→C印刷ヘッド15のみ→OP印刷ヘッド16のみの印刷を順次行い、所定の長さにカットして排出して完了する。
そのため、上流側の印刷ヘッドが印刷している最中に下流側の印刷ヘッドが受けローラに押し当てられることがないので、負荷変動が発生せずに、印刷むらは発生しない。
【0037】
以上、説明したように、本発明の一実施形態のプリンタ10によれば、すべての印刷ヘッド13,14,15,16を押し当てて印刷可能になるまで、印刷用紙Aの先端A1からすべての印刷ヘッド13,14,15,16間の距離を上回る長さの印刷期間は、各印刷ヘッド13,14,15,16を1つだけ押し当てて印刷し、その後は複数の印刷ヘッド13,14,15,16を押し当てて連続印刷を行えるようにする。
従って、プリンタ10によれば、印刷用紙Aを搬送中に印刷ヘッド13,14,15,16を押し当てる動作を行わないため、印刷むらを防止できる。
【0038】
また、プリンタ10によれば、印刷用紙Aの先端A1から、いずれか1つの印刷ヘッド13,14,15,16のみ着として印刷することを1回以上実行する範囲が、いずれか一の印刷ヘッド13,14,15,16(一実施形態では最上流の13)から最下流の印刷ヘッド16までの印刷用紙経路長に相当する範囲に設定される。
従って、プリンタ10によれば、印刷用紙Aの先端A1から無駄な余白を生じることなく印刷を行うことができる。
【0039】
そして、プリンタ10によれば、制御部21が、印刷ヘッド13,14,15,16を駆動すべく入力された画像データから、最初に印刷すべき一の画像の印刷用紙Aの搬送方向への長さ、または、一の画像に続く複数(n−1)の画像の印刷用紙Aの搬送方向への長さの和ΣPi(i=1〜n)をn=1からnを一つずつ増やす毎に計算し、このΣPiと、最も上流の印刷ヘッド13と最も下流の印刷ヘッド16との距離Lとを比較して、L以上になったか否かを判定し、最初に印刷すべき画像から、ΣPiがL以上となる最小のn=Nに相当する順番Nの画像までを印刷ヘッド13、14、15、16一つずつで印刷した後、全部の印刷ヘッド13、14、15、16を降ろしてN+1番目以降の画像を印刷する。
従って、プリンタ10によれば、印刷用紙Aを搬送中に印刷ヘッド13,14,15,16を押し当てる動作を行わないため、印刷むらを防止できる。
【0040】
さらに、プリンタ10によれば、最初に印刷すべき画像から、ΣPiがL以上となる最小のiに相当する順番の画像までを印刷する際に、複数の印刷ヘッド13,14,15,16のいずれか一のみを受けローラ17,18,19,20に対して着の状態として印刷用紙Aを一方向へ移動させながら最初からi番目までの画像を印刷し、着とされた印刷ヘッド13,14,15,16を脱の状態として印刷用紙Aを反対方向へ移動させて、他のいずれかの印刷ヘッド13,14,15,16の近傍に配置し、他のいずれかの印刷ヘッド13,14,15,16を着の状態として印刷用紙Aを一方向へ移動させながら最初からi番目までの画像を印刷し、i+1番目以降の画像を印刷する際に、複数の印刷ヘッド13,14,15,16を着の状態として印刷用紙Aを一方向へ移動させながらi+1番目以降の画像を印刷する。
従って、プリンタ10によれば、印刷用紙Aを搬送中に印刷ヘッド13,14,15,16を押し当てる動作を行わないため、印刷むらを防止することができる。
【0041】
さらにまた、プリンタ10によれば、印刷ヘッド13,14,15,16は、同一の受けローラ17,18,19,20の円筒面上に受けローラ17,18,19,20の回転方向に沿って直列に配置されている。
従って、プリンタ10によれば、印刷用紙Aを挟んで印刷ヘッド13,14,16,17を受けローラ17,18,19,20に線接触させることができるので、印刷精度を向上させることができる。
【0042】
加えて、プリンタ制御装置11によれば、印刷用紙Aを搬送中に印刷ヘッド13,14,15,16を押し当てる動作を行わないため、印刷むらを防止することができる。
【0043】
また、プリンタ制御方法によれば、印刷用紙Aを搬送中に印刷ヘッド13,14,15,16を押し当てる動作を行わないため、印刷むらを防止することができる。
【0044】
次に、一実施形態のプリンタ制御装置の制御部21が実行する制御プログラムを前記プリンタの動作に対応して説明する。
図3に示すように、まず、入力された画像データ(例えば一個の記録媒体から読み込まれた複数枚の画像データ)から、画像データG(1)、G(2)……を印刷するために必要な印刷用紙Aの長さP1+P2+……がL(最上流の印刷ヘッドと最下流の印刷ヘッドとの間の距離)以上となるG(1)から数えて最小の画像枚数(N……一実施形態の場合3)を求める(S101,S102,S103, S104)。
次に、印刷用紙Aを送り、位置センサ30により印刷用紙Aの先端A1を検出し、Y印刷ヘッド13の下に印刷用紙Aの先端A1が到達する分だけ移動装置12を回転方向R1にさらに送り回転させる(S105)。
【0045】
続いて、Y印刷ヘッド13を受けローラ17に押しつける方向に下げ、その間も印刷用紙Aを一定速度で送り続けて、画像データG(1)〜G(N)のY成分の後端までを印刷する(S106,S107)。
次に、Y印刷ヘッド13を上昇させ、M印刷ヘッド14で印刷開始するための位置まで移動装置12を回転方向R2に戻し回転させることにより印刷用紙Aの先端A1を戻し、印刷用紙Aの先端A1がM印刷ヘッド14の下に達するまで印刷用紙Aを送ってM印刷ヘッド14を受けローラ18に押しつけて画像データG(1)〜G(N)のM成分の印刷を行う(S108,S109,S110,S111,S112)。
【0046】
続いて、M印刷ヘッド14を上昇させ、C印刷ヘッド15で印刷開始するための位置まで移動装置12を回転方向R2に戻し回転させて印刷用紙Aの先端A1を戻し、C印刷ヘッド15のみで、画像データG(1)〜G(N)までのC成分を印刷する(S113,S114,S115,S116、S117)。
【0047】
C成分の印刷が完了したら、C印刷ヘッド15を上昇させ、OP印刷ヘッド16で印刷開始するための位置まで移動装置12をR2方向に戻し回転させて印刷用紙Aを巻き戻して印刷用紙Aの先端A1を戻し、OP印刷ヘッド16のみで画像データG(1)〜G(N)に対して印刷を行う(S118,S119,S120,S121,S122)。
以後、印刷用紙Aを巻き戻して、G(N+1)の画像を印刷すべき位置(G(N)画像の終了位置)をY印刷ヘッド13に位置合わせし、全部の印刷ヘッド13〜16を降ろしてG(N+1)以降の画像を印刷する。
【0048】
次に、本発明に係る一実施形態のプリンタの変形例について説明する。
図11に示すように、本変形例のプリンタ40は、印刷用紙Aが巻回された供給源であって排出口に至る搬送方向に沿って印刷用紙Aを移動させる移動装置41の下流に、円弧形状の搬送方向を形成した受けローラ42を備えている。
そのため、プリンタ40は、各印刷ヘッド13,14,15,16、各印刷リボン供給ローラ22,24,26,28、各印刷リボン巻き取りローラ23,25,27,29を受けローラ42の円周方向に並べて配置している。
【0049】
本変形例のプリンタ40によれば、受けローラ42の円周方向に沿って各印刷ヘッド13〜16を配置したので、印刷ヘッド13〜16毎に受けローラを設ける場合に比して、受けローラを駆動する場合の駆動制御を単純化することができるとともに、印刷用紙の供給源から排出口に至る直線的な距離を短縮して装置の外形をコンパクトにすることができる。
【0050】
また、印刷用紙Aの送りは、印刷用紙Aを巻き取ったロールの回転制御に限定されるものではなく、印刷用紙Aのロールと最上流の印刷ヘッドとの間に印刷用紙Aを挟むように設けた一対の引っ張りローラを駆動し、あるいは、印刷ヘッドとの間に印刷用紙Aを挟む受けローラを駆動することによって印刷用紙Aを送るようにしても良く、印刷用紙Aの移動のための具体的構成が上記実施形態に限定されるものでないのは勿論である。
なお、本発明のプリンタ、プリンタ制御装置及びプリンタ制御方法は、前記移動装置以外の構成についても、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で適宜変形実施しても良いのは勿論である。
【0051】
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下に限られるものではない。
【0052】
(付記1)供給源から排出口に至る搬送方向に沿って印刷用紙を移動させる移動装置と、この移動装置により移動される印刷用紙の移動方向に直列に配置された複数の印刷ヘッドと、これらの印刷ヘッドとの間に前記印刷用紙を挟む受けローラと、この受けローラに対する前記印刷ヘッドの着脱、および、前記移動装置による印刷用紙の前記搬送方向またはこれと逆方向への移動を制御する制御部と、を有するプリンタであって、前記制御部は、印刷用紙端から所定長の範囲は、いずれか1つの印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップと、印刷用紙端から所定長以降は、全ての印刷ヘッドの着脱を変えずに印刷を実行するステップと、を含むことを特徴とするプリンタ。
【0053】
(付記2)印刷用紙端から所定長の範囲は、いずれか1つの印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップにおける所定長の範囲は、いずれか一の印刷ヘッドから最下流の印刷ヘッドまでの印刷用紙経路長に相当する範囲であることを特徴とする付記1に記載のプリンタ。
【0054】
(付記3)
前記いずれか一の印刷ヘッドは最上流の印刷ヘッドであることを特徴とする付記2に記載のプリンタ。
【0055】
(付記4)印刷用紙の供給源から排出口へ至る印刷用紙搬送方向に沿って直列に配置された複数の印刷ヘッドと、これらの印刷ヘッドとの間に印刷用紙を挟む受けローラと、この受けローラに対する前記印刷ヘッドの着脱、および、前記印刷用紙の前記印刷用紙搬送方向またはこれと逆方向への移動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記印刷ヘッドを駆動すべく入力された画像データから、最初に印刷すべき一の画像の前記印刷用紙搬送方向への長さ、または、一の画像に続く複数(i−1)の画像の前記印刷用紙搬送方向への長さの和ΣPi(i=1〜n)を検出するステップと、このΣPiと、最も上流の印刷ヘッドと最も下流の印刷ヘッドとの距離Lとを比較するステップと、前記最初に印刷すべき画像から、ΣPiがL以上となる最小のiに相当する順番(N)の画像までを印刷するステップと、N+1番目以降の画像を印刷するステップと、を含むことを特徴とするプリンタ。
【0056】
(付記5)前記最初に印刷すべき画像から、ΣPiがL以上となる最小のiに相当する順番(N)の画像までを印刷するステップにあっては、前記複数の印刷ヘッドのいずれか一のみを前記受けローラに対して着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら最初から(N)番目までの画像を印刷する工程と、前記着とされた印刷ヘッドを脱の状態として前記印刷用紙を反対方向へ移動させて、他のいずれかの印刷ヘッドの近傍に配置する工程と、前記他のいずれかの印刷ヘッドを着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら最初から(N)番目までの画像を印刷する工程と、を実行し、(N+1)番目以降の画像を印刷するステップにあっては、複数の印刷ヘッドを着の状態として前記印刷用紙を一方向へ移動させながら(N+1)番目以降の画像を印刷する工程と、を実行することを特徴とする付記4に記載のプリンタ。
【0057】
(付記6)前記印刷ヘッドは、同一の受けローラの円筒面上に該ローラの回転方向に沿って直列に配置されたことを特徴とする付記3または付記5に記載のプリンタ。
【0058】
(付記7)印刷用紙の供給源から排出口へ至る印刷用紙搬送方向に沿って直列に配置された複数の印刷ヘッドと、これらの印刷ヘッドとの間に印刷用紙を挟む受けローラと、この受けローラに対する前記印刷ヘッドの着脱、および、前記印刷用紙の前記印刷用紙搬送方向またはこれと逆方向への移動を制御する制御部とを有するプリンタの制御装置であって、前記制御部は、印刷用紙端から所定長の範囲は、いずれか1つの印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップと、印刷用紙端から所定長以降は、全ての印刷ヘッドの着脱を変えずに印刷を実行するステップとを含むことを特徴とするプリンタ制御装置。
【0059】
(付記8)いずれか1つの印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップにおける所定長の範囲は、いずれか一の印刷ヘッドから最下流の印刷ヘッドまでの印刷用紙経路長以上の長さの範囲であることを特徴とする付記7に記載のプリンタ制御装置。
【0060】
(付記9)印刷用紙の供給源から排出口へ至る印刷用紙搬送方向に沿って直列に配置された複数の印刷ヘッドと、これらの印刷ヘッドとの間に印刷用紙を挟む受けローラと、この受けローラに対する前記印刷ヘッドの着脱、および、前記印刷用紙の前記印刷用紙搬送方向またはこれと逆方向への移動を制御する制御部とを有するプリンタ制御方法であって、印刷用紙端から所定長の範囲は、いずれか1つの印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップと、印刷用紙端から所定長以降は、全ての印刷ヘッドの着脱を変えずに印刷を実行するステップとを含むことを特徴とするプリンタの制御方法。
【0061】
(付記10)いずれか1つの印刷ヘッドのみ着として印刷することを1回以上実行するステップにおける所定長の範囲は、いずれか一の印刷ヘッドから最下流の印刷ヘッドまでの印刷用紙経路長以上の長さの範囲であることを特徴とする付記9に記載のプリンタ制御方法。
【符号の説明】
【0062】
10,40 プリンタ
11 プリンタ制御装置
12,41 移動装置
13 Y印刷ヘッド(印刷ヘッド)
14 M印刷ヘッド(印刷ヘッド)
15 C印刷ヘッド(印刷ヘッド)
16 OP印刷ヘッド(印刷ヘッド)
17,18,19,20,42 受けローラ
21 制御部
図1
図2
図3
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図7
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図11