特許第5988354号(P5988354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988354
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】屋根体の取付方法及び屋根構造体
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/343 20060101AFI20160825BHJP
   E04B 7/14 20060101ALI20160825BHJP
   E04H 6/02 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   E04B1/343 U
   E04B7/14
   E04H6/02 A
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-82955(P2012-82955)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-213318(P2013-213318A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年2月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 明
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−268998(JP,A)
【文献】 実開昭53−125419(JP,U)
【文献】 米国特許第05148640(US,A)
【文献】 実開平05−042437(JP,U)
【文献】 実開平02−027403(JP,U)
【文献】 特開平07−247640(JP,A)
【文献】 実公昭61−014481(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04B 7/00−7/18
E04H 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
梁に設けられた吊具によって屋根体を吊下げ支持する屋根体の取付方法であって、上記梁の下面の長手方向に沿って下方に開口する取付溝が形成されており、この取付溝の開口部をはさんで互いに向き合う開口縁形成されている一方、上記吊具の上端部の互いに反対側から突出した第1の係合片と第2の係合片と下向きに屈曲形成されており、上記吊具の第1の係合片を梁の取付溝の一方の開口縁の内側に係合させた状態で吊具を回転させて第2の係合片を取付溝内に進入させ、取付溝内に進入した吊具を取付溝内で移動させて第2の係合片を取付溝の他方の開口縁に係合させことを特徴とする屋根体の取付方法
【請求項2】
上記一方の開口縁の幅を上記他方の開口縁の幅よりも大きく形成するとともに、これに対応して上記吊具の第1の係合片を第2の係合片よりも大きく吊り片に対して突出させたことを特徴とする、請求項1に記載の屋根体の取付方法
【請求項3】
上記第2の係合片を取付溝の他方の開口縁に係合させることに代え、上記第2の係合片を上記取付溝の他方の開口縁に形成した嵌合溝に嵌合させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の屋根体の取付方法
【請求項4】
上記取付溝の溝壁に止着したネジを上記第1又は第2の係合片に係合させて上記吊具を上記梁の長手方向における位置決めをすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の屋根体の取付方法
【請求項5】
梁に設けられた吊具によって屋根体を吊下げ支持する屋根構造体であって、上記梁の下面の長手方向に沿って下方に開口する取付溝を形成し、この取付溝の開口部をはさんで互いに向き合う開口縁を形成する一方、上記吊具の上端部の互いに反対側から突出した第1の係合片と第2の係合片とを前記吊具と一体に下向きに屈曲形成し、前記上端部の幅は、前記開口部の幅より大きく、かつ上記吊具の第1の係合片を梁の取付溝の一方の開口縁の内側に係合させた状態で吊具を回転させたときに第2の係合片取付溝内に進入可能な幅であり、取付溝内に進入した吊具取付溝内で移動可能であり第2の係合片取付溝の他方の開口縁に係合されていることを特徴とする屋根構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支柱間の梁の下に吊具を介して屋根体を吊り下げ支持する屋根体の取付方法及び屋根構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車庫に設置されるカーポートは、左右両側の支柱の上部に架設された前部の梁と、両側支柱の後部にそれぞれ設けられた左右の支柱に架設された後部の梁とに屋根体を支持させたものであるが、梁に屋根体を支持する方式には、特許文献1に示されるように、梁の上部に屋根体を支持する方式と、梁の下に屋根体を吊り下げ支持する方式とが考えられている。
【0003】
梁の下に屋根体を吊り下げ支持する方式では、屋根体の両側を吊り部材を介して梁に吊り下げ支持している。
【0004】
ところで、最近は、屋根構造体の概念は、屋根が風雨等から人や車を守るという共通の観点に立ち、単にカーポートやテラス屋根や玄関アプローチにおける玄関庇を一体に構成した大型屋根構造体の実現に向けた機運が高まってきている。このような大型屋根構造体によれば、居心地のよいインテリアの延長空間を室外側に創出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−268998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この場合の大型屋根構造体は屋根体自体が広く大きくなるので、単に特許文献1のように、屋根体の両側を各1個の吊具を設け、この吊具を介して梁に吊り下げ支持するというのでは、強度不足は否めない。このため、梁の下に多くの吊具を設ける必要がある。ところが、従来の吊具は複数の取付部材を介して梁に取り付けられているので、取付作業が煩雑であった。例えば、特許文献1の構成によれば、予め裏板を梁の溝に挿入して所定の位置までスライドさせ、溝の下に屋根連結具(吊具)を手で保持しておき、さらに屋根連結具に取り付けた連結部材をボルトで裏板に固定していた。この場合、手放しで施工することはできないので、作業員の一人が屋根連結具を支え、他の一人がボルトを締結しなければならなかった。したがって、梁に多くの吊具を取り付けるためには手間と時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点を解消し、梁に対して容易かつ確実に吊具を取り付けることができる屋根構造体を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、梁に設けられた吊具によって屋根体を吊下げ支持する屋根体の取付方法であって、上記梁の下面の長手方向に沿って下方に開口する取付溝を形成し、この取付溝の開口部をはさんで互いに向き合う開口縁を形成する一方、上記吊具の上端部の互いに反対側から突出した第1の係合片と第2の係合片とを下向きに屈曲形成し、上記吊具の第1の係合片を梁の取付溝の一方の開口縁の内側に係合させた状態で吊具を回転させて第2の係合片を取付溝内に進入させ、取付溝内に進入した吊具を取付溝内で移動させて第2の係合片を取付溝の他方の開口縁に係合させたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1において、上記一方の開口縁の幅を上記他方の開口縁の幅よりも大きく形成するとともに、これに対応して上記吊具の第1の係合片を第2の係合片よりも大きく突出させたことを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2において、上記第2の係合片を取付溝の他方の開口縁に係合させることに代え、上記第2の係合片を上記取付溝の他方の開口縁に形成した嵌合溝に嵌合させることを特徴とする
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれかにおいて、上記取付溝の溝壁に止着したネジを上記第1又は第2の係合片に係合させて上記吊具を上記梁の長手方向における位置決めをすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明によれば、梁に吊具を取り付けるに際し、吊具の第1の係合片を梁の取付溝の一方の開口縁の内側に係合させた状態で吊具を回転させながら押し込んで全体を一方の開口縁側に移動させ、第2の係合片を押し上げて吊具の上端部を取付溝内に進入させ、さらに吊具を取付溝内で引き戻して第2の係合片を取付溝の他方の開口縁に係合させる構成であるから、ネジや特別の治具等を用いることなく、高所にある梁に対しても、作業員が一人で吊具を梁に対して容易かつ確実に取り付けることができる。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、一方の開口縁の幅を上記他方の開口縁の幅よりも大きく形成するとともに、これに対応して上記吊具の第1の係合片を第2の係合片よりも大きく突出させたので、幅が大きい一方の開口縁に突出度合いの大きい第1の係合片を係合させることで吊具を回動させるための遊びを形成できるとともに、開口縁の幅に違いがあるので係合作業時の方向がわかりやすい。
【0013】
請求項3に係る発明によれば、上記第2の係合片を取付溝の他方の開口縁に係合させることに代え、上記第2の係合片を上記取付溝の他方の開口縁に形成した嵌合溝に嵌合させる構成であるから、上記第2の係合片を上記嵌合溝に嵌合したとき、吊具の吊り下げ支持と同時に、吊具の梁の幅方向における位置決めも行われる。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、吊具を梁の長手方向における位置決め作業を、作業員が1人でも行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る大型屋根構造体の斜視図
図2】(a)(b)(c)(d)は梁に吊具を取り付ける手順を示す説明図
図3】梁に吊具を取り付けた状態を示す断面図
図4】梁に吊具を取り付けた状態を示す斜視図
図5】(a)(b)は吊具に対する垂木の取付態様説明図
図6】吊具に対する垂木と屋根パネルの取付状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1に大型屋根構造体の斜視図を示す。この大型屋根構造体は、設置スペースの間口部1を基準として左右1対の中空の金属製支柱2、2が前後に配置されている。左右の支柱2、2の上部には中空の金属製梁3が設けられている。前後の梁3は平行で、梁3の両端はブラケット(図示せず)を介して支柱2の上端に連結され、これにより門形の屋根支持部材が構成されている。なお、設置スペースとしては、自動車2、3台分の駐車スペースや、あるいは自動車1台分と玄関アプローチ、さらにはテラス部分も含むような大きなスペースが想定されている。
【0017】
前後の梁3には複数の吊具10が取り付けられ、吊具10に屋根体Aが吊り下げ支持されている。屋根体Aは前後枠11、12と左右の両側枠13とを方形に組んでなる屋根枠14と、前後枠11、12に平行に架け渡された垂木15と、屋根枠14と垂木15との間の空間部内に固定された屋根パネル16とから構成されている。梁3の吊具10には垂木15が固定され、これにより屋根体Aが吊り下げ支持されている。
【0018】
次に、梁3の下部に吊具10を取り付ける構成と吊具10に屋根体Aを吊り下げる構成について説明する。
【0019】
すなわち、梁3の下部には一定の間隔をおいて複数の吊具10が取り付けられている。
【0020】
図2図3及び図4に示されるように、梁3の中空部3aの下部には下方に開口するアリ溝(取付溝)18が長手方向に沿って形成されている。アリ溝18の開口部19をはさんで両側には第1の開口縁20と第2の開口縁21が向き合うように形成されている。また、第1の開口縁20の方が第2の開口縁21よりも長く形成されているとともに、第2の開口縁21には嵌合溝22が形成されている。さらに、第2の開口縁21側の溝壁23にはネジ孔24が形成されている。
【0021】
これに対し、吊具10は、上端部に形成された取付部10aの前後両端にそれぞれ同じ長さの第1の係合片25と第2の係合片26を下向きに屈曲形成し、取付部10aの左右両側からは吊り片17を垂下形成し、吊り片17の両側に補強リブ17aを形成した金属製部材で、両側の補強リブ17aの下部には斜め上向きに突出する係合爪37が互いに向き合う位置に形成されている。取付部10aの前後の幅はアリ溝18の開口部19の幅よりも大きくなるように形成されている。また、第1の係合片25の吊り片17から突出した出量L1は、吊具10の第1の開口縁20の内側空間で自由に動ける程度に形成し、第2の係合片26の吊り片17から出量L2は、吊具10の第2の開口縁21の内側空間に収まる程度に形成すればよい。さらに、取付部10aから第2の係合片26にかけてネジが係合する程度の幅の係合孔27が形成され、左右の吊り片17の対応する位置にはボルト挿通孔28(図4参照)が形成されている。
【0022】
上記アリ溝18の上底部30の高さは同じではなく、第1の開口縁20側の部分30aよりも第2の開口縁21側の部分30bの方が若干高くなるように形成されている。そして、第1の開口縁20側の高さは第1の係合片25の高さと略同じであり、第2の開口縁21の嵌合溝22の先端の溝壁の高さから上底部30bまでの高さHは第2の係合片26の高さよりもやや大きくなるように形成されている。また、第2の開口縁21の嵌合溝22は、第2の係合片26の先端が嵌り合う程度に形成されている。
【0023】
上記構成の吊具10を梁3の下部に取り付けるときは、まず、図2(a)(b)のように、吊具10を斜めにして第1の係合片25をアリ溝18の開口部の内側から入れ込み、第1の開口縁20に係合させる。この状態で吊具10を回転させながら押し込んで全体を前側(第1の開口縁20側)に移動させ、吊具10の上端を梁3のアリ溝18内に押し上げながら前側に押し込んで第2の係合片26をアリ溝18内に進入させ、吊具10の上端の取付部10aをアリ溝18の上底部30に突き当てるようにする。さらに、同図(c)(d)のように、吊具10を後ろ側(第2の開口縁21側)に引き戻して第2の係合片26をアリ溝18の第2の開口縁21に係合させる。第1及び第2の係合片25、26は、それぞれ第1及び第2の開口縁20、21に係合することにより、吊具10は梁3に吊り下げ支持された状態となる。
【0024】
また、第2の係合片26は幅狭の第2の開口縁21に係合すると同時に、第2の開口縁21に形成した嵌合溝22に嵌合することにより、吊具10の梁3の幅方向における位置決めがなされる。その後、同図(d)及び図3のように、第2の開口縁21側の溝壁23のネジ孔24にネジ31をねじ込み、ネジ31を吊具10の第2の係合片26の所定位置に形成した係合孔27に係合させる。これにより、吊具10の梁3の長手方向における位置決めがなされる。
【0025】
このように、第2の係合片26を第2の開口縁21に形成した嵌合溝22に嵌合させることにより、吊具10は梁3の幅方向において位置決めされ、また、溝壁23のネジ孔24にねじ込んだネジ31を第2の係合片26の係合孔27に係合させることにより、吊具10は梁3の長手方向において位置決めされる。同じ要領で、梁3の下部に一定の間隔をおいて複数の吊具10が取り付けられる。
【0026】
次に、吊具10の下部には屋根体Aの垂木15が取り付けられている。垂木15は屋根枠14の前枠11と後枠12とに架設される部材で、図5(a)(b)に示されるように、細長の真直状板状体15aの上部中央には、その長手方向に沿って中空立上り部32を上向きに突出形成し、中空立上り部32の両側に屋根パネルの支持部33を張り出し形成した部材で、中空立上り部32の上端部の両側下部には下向きに開口する係合溝34が形成され、さらにその下方には、外側から内側に斜め下向きにネジ受け溝35が形成されている。支持部33にはその長手方向に沿って互いに平行に形成された2条の嵌合突条にビート36が嵌合固定されている。
【0027】
吊具10の下部に垂木15を固定するときは、前後の梁3の下に垂木15を配置し、図5(a)のように梁3に固定した吊具10の下方位置から垂木15を押し上げ、同図(b)に示されるように、垂木15の中空立上り部32を吊具10の2つの吊り片17、17の間から強く押し込み、吊り片17の係合爪37を中空立上り部32の係合溝34に弾発係合させる。さらに、図6に示されるように、吊り片17のボルト挿通孔28から中空立上り部32に管状スペーサ40とともに固定ボルト41を嵌挿し、ナット44で止着固定する。
【0028】
さらに、図1に示されるように、各垂木15の前後端部にはそれぞれ前枠11と後枠12が固定され、前後枠11、12の両端には側枠13が固定されている。側枠13は、両端の垂木15と一体的に取り付けられている。
【0029】
次に、屋根パネル16は、垂木15とパネル押え42とによって上下から挟持固定されている。屋根パネル16は透光性合成樹脂の細長平板によって構成され、その側端縁は垂木15の支持部33の2条のビート36とパネル押え42のビート39とによって挟持固定されている。パネル押え42は、中空立上り部32のネジ受け溝35上に当接され、ネジ受け溝35に螺着されたネジ38によって固定されている。また、屋根パネル16の前後端部はそれぞれ前枠11と後枠12に支持される。
【0030】
なお、屋根体Aの中央には左右方向に垂木連結材(図1参照)43が配置され、各垂木15にネジ止め固定されている。
【0031】
上述のように、梁3に吊具10を取り付けるに際し、吊具10の第1の係合片25を梁3のアリ溝18の第1の開口縁20の内側に係合させた状態で吊具10を回転させながら押し込んで全体を第1の開口縁20側に移動させ、第2の係合片26を押し上げて吊具10の上端部をアリ溝18内に進入させ、さらに吊具10をアリ溝18内で引き戻して第2の係合片26の先端を、アリ溝18の第2の開口縁21に係合させることにより、吊具10は梁3に吊り下げ支持される。この作業は、ネジ等を使わずに作業員が1人で行うことができる。そして、手放しの状態でも吊具10を梁3に支持させることができる。ネジ等を使わず、吊具10の下部を持ちつつ取り付け作業ができるので、高所にある梁3に対しても作業員1人で吊具10の取り付け作業を行うことができる。
【0032】
また、第2の係合片26の先端は、第2の開口縁21に係合すると同時に、嵌合溝22に嵌合することにより、自動的に吊具10を梁3の幅方向において位置決めされるから、特別な作業を必要としない。あとは、梁3に止着したネジ31を第2の係合片26の係合孔27に係合させて吊具10を梁3の長手方向において位置決めすればよい。したがって、位置決め作業も作業員が1人で行うことができる。
【0033】
さらに、梁3と吊具10とを固定するネジ38はアリ溝18の溝壁23からねじ込むので、下方からは見えにくい。そのため、完成した屋根構造体の内観がネジ頭部の露出によって損なわれることがない。
【0034】
なお、取付溝は開口部をはさんで第1の開口縁20と第2の開口縁21が形成されていればよく、アリ溝に限定されない。
【0035】
また、吊具10を取付溝に固定する態様も、アリ溝18の溝壁23から挿通したネジ31を第2の係合片26に止着して固定するものに限定されない。
【0036】
また、上述の実施形態では、第2の係合片26をアリ溝28の第2の開口縁21に係合すると同時に嵌合溝22に嵌合させることにより、吊具10を吊り下げ支持すると同時に、梁3の幅方向において位置決めしたが、第2の開口縁21をフラットに形成し、第2の開口縁21上に第2の係合片26を係合させることにより吊具10を吊り下げ支持し、嵌合溝22でなく、他の適宜の手段により吊具を梁の幅方向に位置決めするようにしてもよい。例えば、アリ溝18の第1の開口縁20側の溝壁からねじ込み貫通させたネジ(図示せず)の先端を第1の係合片25に押し当てて第2の係合片26を第2の開口縁21側の溝壁23に押圧する構成などが考えられる。
【0037】
さらに、上述の屋根構造体は、屋根体Aをフラットにすることにより、従来のカーポートの中骨のような屋根パネルの支持部材を設けることなく屋根パネルを支持することができるから、簡素な屋根構造となる。また、地面をカバーして雨から保護する面積は、屋根全体の表面積と略同じであるから、地面を効率的に覆うことができる。したがって、屋根体Aの全体重量はアーチ形状のものに比べて軽減され、地面を覆う面積を考慮すれば、梁3に対する荷重負担はあまり大きくならないから、例えば、車庫と玄関とテラスとを覆うような大型屋根構造体を実現することができ、屋根構造体の多用途展開が可能となる。
【0038】
また、屋根体Aはフラットで、内側には主に複数の垂木15が平行に現れるだけであり、梁3や柱2の上部は目立たない構成であるから、構造体が大型化しても、シンプルで優美なデザインとなり、居心地がよく、快適で、居住性に優れるインテリアの空間を室外側にまで延長して創出することができる。
【符号の説明】
【0039】
3 梁
10 吊具
11 前枠
12 後枠
15 垂木
16 屋根パネル
18 アリ溝(取付溝)
20 第1の開口縁(一方の開口縁)
21 第2の開口縁(他方の開口縁)
22 嵌合溝
23 溝壁
25 第1の係合片
26 第2の係合片
31 ネジ
32 中空立上り部
33 支持部
35 ネジ受け溝
42 パネル押え
図1
図2
図3
図4
図5
図6