特許第5988361号(P5988361)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988361
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/24 20060101AFI20160825BHJP
   H01Q 1/40 20060101ALI20160825BHJP
   H01Q 9/14 20060101ALI20160825BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   H01Q1/24 Z
   H01Q1/40
   H01Q9/14
   H04M1/02 C
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-167654(P2012-167654)
(22)【出願日】2012年7月27日
(65)【公開番号】特開2014-27558(P2014-27558A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年4月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 尚範
【審査官】 米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−078333(JP,A)
【文献】 特開2011−193455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/24
H01Q 1/40
H01Q 9/14
H04M 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給電部材を有する基板と、
前記基板における前記給電部材が配設される所定面側に配置され、前記基板側の第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有するケース部材であって、樹脂部を含んで構成されるケース部材と、
アンテナエレメントと、を備え、
前記アンテナエレメントは、
給電部と、
前記樹脂部の内部に配置され、外部に露出しない非露出部と、
前記給電部とは異なる部分であって、前記第1面側又は前記第2面側において前記樹脂部から外部に露出する露出部と、を有し、
前記露出部は、前記アンテナエレメントにおける端部とは異なる部分に位置し、
前記アンテナエレメントは、前記給電部から延びる第1のアンテナエレメントと第2のアンテナエレメントとを有し、
前記露出部は、前記第1のアンテナエレメントに位置し、かつ、前記第2のアンテナエレメントとは並行しない部分に位置する
電子機器。
【請求項2】
前記露出部は、前記第1面側において外部に露出する
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記露出部は、前記非露出部よりも幅が広い
請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記露出部は、非直線状である
請求項1からのいずれかに記載の電子機器。
【請求項5】
第1面と、当該第1面と反対側の第2面と、を有するケース部材であって、樹脂部を含んで構成されるケース部材と、
アンテナエレメントと、を備え、
前記アンテナエレメントは、
給電部と、
前記樹脂部の内部に配置され、外部に露出しない非露出部と、
前記給電部とは異なる部分であって、前記第1面側又は前記第2面側において前記樹脂部から外部に露出する露出部と、を備え
前記露出部は、前記アンテナエレメントにおける端部とは異なる部分に位置し、
前記アンテナエレメントは、前記給電部から延びる第1のアンテナエレメントと第2のアンテナエレメントとを有し、
前記露出部は、前記第1のアンテナエレメントに位置し、かつ、前記第2のアンテナエレメントとは並行しない部分に位置する
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナエレメントを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器としての携帯端末装置においては、デザイン性や利得向上等の理由から、アンテナエレメントを筐体の内部に配置する構造が採用されている。アンテナエレメントを携帯端末装置の内部に配置した場合、アンテナエレメントと金属物(基板、モーター等)との間を出来るだけ離す必要があるため、必然的に筐体のサイズが大きくなる。しかし、筐体のサイズを大きくすることは、市場における小型化の要求に相反する。そこで、アンテナエレメントを携帯端末装置の筐体(ケース)内に埋め込む、インモールドアンテナと呼ばれる構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−220217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アンテナエレメントを筐体内に埋め込むと、アンテナエレメントを覆う樹脂の誘電率により電気長が変化する。アンテナエレメントの電気長が、送受信する電波の周波数に対してずれていると、通信感度が低下する。そのため、試作品の筐体を削ってアンテナエレメントを露出させ、アンテナエレメントの長さ調整を行っている。しかし、次の試作品において、長さを調整したアンテナエレメントは樹脂で覆われるため、その電気長は、長さを調整した時点での電気長からずれてしまう。このように、従来のインモールドアンテナを採用した電子機器では、アンテナエレメントの長さを調整した次の試作品における電気長の再現性が悪いため、試作品の作成と調整を繰り返す必要があった。
【0005】
本発明の目的は、少なくとも一部が筐体に埋め込まれたアンテナエレメントをより簡単に所望の電気長に調整することができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子機器は、給電部材を有する基板と、前記基板における前記給電部材が配設される所定面側に配置され、前記基板側の第1面と、前記第1面と反対側の第2面とを有するケース部材であって、樹脂部を含んで構成されるケース部材と、アンテナエレメントと、を備え、前記アンテナエレメントは、給電部と、前記樹脂部の内部に配置され、外部に露出しない非露出部と、前記給電部とは異なる部分であって、前記第1面側又は前記第2面側において前記樹脂部から外部に露出する露出部と、を有する。
【0007】
また、本発明に係る電子機器において、前記露出部は、前記第1面側において外部に露出してもよい。
【0008】
また、本発明に係る電子機器において、前記露出部は、前記アンテナエレメントにおける端部に位置してもよい。
【0009】
また、本発明に係る電子機器において、前記露出部は、前記アンテナエレメントにおける端部とは異なる部分に位置してもよい。
【0010】
また、本発明に係る電子機器において、前記露出部は、前記非露出部よりも幅が広くてもよい。
【0011】
また、本発明に係る電子機器において、前記露出部は、非直線状の構成としてもよい。
【0012】
また、本発明に係る電子機器は、第1面と、当該第1面と反対側の第2面と、を有するケース部材であって、樹脂部を含んで構成されるケース部材と、アンテナエレメントと、を備え、前記アンテナエレメントは、給電部と、前記樹脂部の内部に配置され、外部に露出しない非露出部と、前記給電部とは異なる部分であって、前記第1面側又は前記第2面側において前記樹脂部から外部に露出する露出部と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、少なくとも一部が筐体に埋め込まれたアンテナエレメントをより簡単に所望の電気長に調整することができる電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態1における携帯端末装置1の外観を示す斜視図である。
図2】実施形態1のアンテナエレメント20を示す概略平面図である。
図3図2のA−A線断面に相当する概略断面図である。
図4】実施形態2のアンテナエレメント20A(加工前)示す概略平面図である。
図5】実施形態2のアンテナエレメント20A(加工後)示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電子機器を携帯端末装置に適用した場合の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
まず、実施形態1の携帯端末装置1について説明する。図1は、実施形態1における携帯端末装置1の外観を示す斜視図である。
【0016】
携帯端末装置1は、図1に示すように、本体部となる筐体2を有する。筐体2は、表面部材2Aと、ケース部材としての裏面部材2Bと、側面部材2Cと、を有する。
【0017】
表面部材2Aは、ユーザーに対向する側に配置される部材であって、ユーザーの入力操作を受付ける。表面部材2Aは、筐体2の表側に位置しており、裏面部材2Bと対を成す。裏面部材2Bは、ユーザーの指や手のひらに対向して配置される部材であり、樹脂部(後述)を含んで構成される。裏面部材2Bの構成については、後述する。側面部材2Cは、表面部材2Aと裏面部材2Bとをつなぐ面である。
【0018】
筐体2の表面部材2Aには、タッチスクリーンディスプレイ3、レシーバー4、及びマイク5が配置されている。また、筐体2の側面部材2Cには、インターフェース6、サイドキー7、及びスライドキー8が配置されている。また、筐体2の裏面部材2B側には、バッテリー(不図示)が収容されている。
【0019】
タッチスクリーンディスプレイ3は、文字及び図形を表示可能に構成される。タッチスクリーンディスプレイ3は、所定の機能に対応した文字及び図形等を表示可能に構成される。
【0020】
タッチスクリーンディスプレイ3は、ディスプレイと、タッチスクリーンとを有する(いずれも不図示)。
【0021】
ディスプレイは、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機ELパネル(Organic Electro−Luminescence panel)、又は無機ELパネル(Inorganic Electro−Luminescence panel)等の表示デバイスを備える。ディスプレイは、上述した文字及び図形等を表示する。
【0022】
タッチスクリーンは、タッチスクリーンディスプレイ3に対する指、又はスタイラスペン等の接触(例えば、ジェスチャー)を検出する。タッチスクリーンは、複数の指、又はスタイラスペン等がタッチスクリーンディスプレイ3に接触した位置を検出できる。タッチスクリーンの検出方式は、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式(又は超音波方式)、赤外線方式、電磁誘導方式、及び荷重検出方式等の任意の方式でよい。
【0023】
レシーバー4は、コントローラ(不図示)から送信される音声信号を音声として外部へ出力する音声出力部である。
【0024】
マイク5は、ユーザー等の発した音声を音声信号へ変換して、コントローラへ送信する音声入力部である。
【0025】
インターフェース6は、外部機器と電気的に接続するためのコネクタとして機能する。インターフェース6は、不使用時には、IFカバー6aにより覆われている。インターフェース6は、使用時に、例えば、外部機器のコード端に設けられた接続用端子が接続される。
【0026】
サイドキー7は、所定の機能における動作がアサインされた操作入力部である。サイドキー7がユーザーにより押された場合に、所定の機能においてサイドキー7にアサインされた動作が実行される。
【0027】
スライドキー8には、位置に応じて所定の機能の起動動作、又は起動中の機能における所定動作がアサインされた操作入力部である。
【0028】
また、筐体2の内部には、上述したタッチスクリーンディスプレイ3、レシーバー4、マイク5、バッテリーのほか、後述する回路基板10、アンテナエレメント20、コントローラ等(いずれも不図示)が配置される。
【0029】
コントローラは、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成される。コントローラは、携帯端末装置1の動作を統括的に制御するものであり、必要に応じて各種ドライバ回路(不図示)の動作を制御する。
【0030】
コントローラは、メモリ(不図示)に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、メモリに記憶されているプログラムに含まれる命令を実行して、タッチスクリーンディスプレイ3及び各種ドライバ回路を制御する。
【0031】
コントローラは、メモリに記憶されている制御プログラムを実行することにより、タッチスクリーンディスプレイ3を介して検出されたジェスチャー等に応じて、ディスプレイに表示されている情報を変更する等の各種制御を実行する。コントローラは、タッチパネルドライバ(不図示)を介して、タッチスクリーンディスプレイ3の動作を制御する。
【0032】
メモリに記憶されるプログラムには、フォアグランド又はバックグランドで実行されるアプリケーションと、アプリケーションの動作を支援する制御プログラムと、が含まれる。アプリケーションは、例えば、ディスプレイに所定の画面を表示させ、タッチスクリーンによって検出されるジェスチャー等に応じた処理をコントローラに実行させる。制御プログラムは、例えば、オペレーティングシステムである。
【0033】
なお、携帯端末装置1は、上述した各構成部品のほか、ハードキー群、カメラ、近接センサー(いずれも不図示)等を備える。
【0034】
次に、実施形態1の携帯端末装置1におけるアンテナエレメント20の構成について説明する。図2は、実施形態1のアンテナエレメント20を示す概略平面図である。図2は、携帯端末装置1の筐体2から表面部材2A、側面部材2C(及び周辺の部品等)を取り外した状態で、裏面部材2Bを表面部材2A側から見たときの平面図である。また、図2では、アンテナエレメント20の構成を分かり易くするため、回路基板10を想像線で示している。図3は、図2のA−A線断面に相当する概略断面図である。なお、図3では、回路基板10を実線で示している。
【0035】
回路基板10は、図3に示すように、裏面部材2Bに対向する第1面(所定面)と、第1面と反対側の第2面と、を有する。回路基板10には、給電回路11と、給電部材12と、が実装される。給電回路11は、回路基板10の第1面側に実装される電子部品であり、アンテナエレメント20(後述)に高周波電力を出力する。給電部材12は、回路基板10の第1面側に実装され、アンテナエレメントの給電部21(後述)に当接する導電部材である。給電部材12の先端部12aは、給電部21に対して伸縮可能に構成されている。回路基板10を裏面部材2Bの所定位置に取り付けると、給電部材12の先端部12aが給電部21との間隔に応じて伸縮する。これにより、給電部材12の先端部12aが、給電部21と当接した状態が維持される。
【0036】
給電回路11と給電部材12との間は、回路基板10の表面に形成された導電部(不図示)により接続されている。給電回路11から出力された高周波電力は、給電部材12を介してアンテナエレメント20の給電部21に供給される。
【0037】
裏面部材2Bは、図2及び図3に示すように、略箱枠形に形成された部材であり、その内部に回路基板10が収容される。裏面部材2Bは、図3に示すように、回路基板10における給電部材12が配設された面側に配置される。裏面部材2Bは、回路基板10側の第1面2B−1と、この第1面2B−1と反対側の第2面2B−2とを有する。また、裏面部材2Bは、樹脂部2B−Rを含んで構成される。本実施形態において、図3に示された範囲の裏面部材2Bは、すべて樹脂部2B−Rにより構成される。
【0038】
アンテナエレメント20は、ほぼ全体が裏面部材2Bに埋め込まれ、一部が外部に露出するように構成されたインモールドアンテナである。アンテナエレメント20は、図2及び図3に示すように、給電部21と、アンテナ部22と、を有する。給電部21は、回路基板10に設けられた給電部材12が当接する導電部材である。給電部21は、一部が裏面部材2Bの内部に埋め込まれている。給電部21には、アンテナ部22が接続されている。
【0039】
アンテナ部22は、帯状の金属膜(板金)により構成される。アンテナ部22は、所定周波数の電波を送受信する機能を有する。図2に示すように、本実施形態のアンテナ部22は、平面視において略コ字形に形成されている。
【0040】
また、アンテナ部22は、非露出部23と、露出部24と、を有する。非露出部23は、アンテナ部22において、裏面部材2Bの樹脂部2B−Rの内部に配置され、外部に露出しない部分である。給電部21は、非露出部23に接続されている。図2において、非露出部23は、破線で描かれている。
【0041】
露出部24は、アンテナ部22において、樹脂部2B−Rから外部に露出した部分である。露出部24は、給電部21とは異なる部分から外部に露出するものであって、裏面部材2Bの第1面2B−1において、樹脂部2B−Rから外部に露出する。本実施形態の露出部24は、アンテナ部22の両端部に位置する。図2において、露出部24は、実線(斜線)で描かれている。
【0042】
本実施形態において、アンテナエレメント20の電気長を調整する場合には、露出部24の長さを調整すればよい。本実施形態の露出部24は、図2に示すように、アンテナ部22の両端部に位置する。そのため、作業者は、いずれか一方又は両方の露出部24の長さを調整することにより、アンテナエレメント20の電気長を調整できる。
【0043】
上述した実施形態1の携帯端末装置1によれば、例えば、以下のような効果を奏する。
本実施形態のアンテナエレメント20において、アンテナ部22の露出部24は、樹脂部2B−Rで覆われていないため、露出部24の長さを調整した後に、アンテナ部22の電気長が変化してしまうことがない。これによれば、本実施形態のアンテナエレメント20においては、アンテナ部22の長さを調整した後の電気長の再現性が良くなるため、アンテナ部22の長さを調整する回数を必要最小限にできる。従って、本実施形態の携帯端末装置1によれば、少なくとも一部が裏面部材2Bに埋め込まれたアンテナエレメント20をより簡単に所望の電気長に調整できる。
【0044】
また、本実施形態のアンテナエレメント20において、アンテナ部22の露出部24は、樹脂部2B−Rで覆われていないため、作業者は、裏面部材2Bを削ることなしに、露出部24の長さを調整できる。従って、本実施形態の携帯端末装置1によれば、アンテナ部22の長さを調整するために必要な加工工数を短縮できる。
【0045】
また、本実施形態のアンテナエレメント20において、アンテナ部22のほとんどは、樹脂部2B−Rの内部に配置されている。裏面部材2Bから見えるのは、露出部24のみとなる。そのため、本実施形態の携帯端末装置1によれば、第3者によるアンテナ部22の構造解析がされにくくなる。
【0046】
また、本実施形態のアンテナエレメント20において、露出部24は、裏面部材2Bの第1面2B−1において、樹脂部2B−Rから外部に露出する。そのため、携帯端末装置1を組み立てた状態において、アンテナエレメント20の露出部24がユーザーから直接見えることがない。従って、本実施形態の携帯端末装置1によれば、デザイン性をより向上させることができる。
【0047】
また、露出部24が、裏面部材2Bの第1面2B−1において、樹脂部2B−Rから外部に露出していると、ユーザーの手がアンテナエレメント20に直接触れることがないため、通信感度の低下を抑制できる。
【0048】
また、露出部24が、裏面部材2Bの第1面2B−1において、樹脂部2B−Rから外部に露出していると、裏面部材2Bの内部におけるアンテナエレメント20の状態を外観により確認できる。
【0049】
すなわち、アンテナエレメントがすべて筐体の内部に埋め込まれていると、アンテナエレメントが正しい位置に、正しい形状で埋め込まれているか否かを外観により確認できない。アンテナエレメントがすべて筐体の内部に埋め込まれている場合に、アンテナエレメントが正しい位置に、正しい形状で埋め込まれているか否かを確認するには、X線による検査が必要となるため、試作品が被爆する等の問題が生じる。しかし、本実施形態のアンテナエレメント20では、露出部24が、樹脂部2B−Rから外部に露出しているので、露出部24の位置を測定することにより、アンテナエレメント20が正しい位置に、正しい形状で埋め込まれているか否かを外観により確認できる。
【0050】
また、本実施形態のアンテナエレメント20において、露出部24は、アンテナ部22の両端部に位置する。そのため、本実施形態の携帯端末装置1によれば、作業者は、アンテナ部22の長さを容易に調整できる。
【0051】
(実施形態2)
次に、実施形態2の携帯端末装置1Aについて説明する。図4及び図5は、実施形態2のアンテナエレメント20A示す概略平面図である。図4及び図5は、実施形態1の図2と同じく、携帯端末装置1Aの筐体2から表面部材2A、側面部材2C(及び周辺の部品等)を取り外した状態で、裏面部材2Bを表面部材2A側から見たときの平面図である。なお、図4は、アンテナエレメント20Aの加工前の形状を示す。また、図5は、アンテナエレメント20Aの加工後の形状を示す。
【0052】
図4及び図5において、実施形態1のアンテナエレメント20と共通する部分については、適宜に符号の図示及び説明を省略する。また、実施形態2のアンテナエレメント20Aが内蔵される携帯端末装置1A(図1参照)の全体構成は、実施形態1と同じであるため説明を省略する。
【0053】
実施形態2のアンテナエレメント20Aは、図4に示すように、給電部21と、アンテナ部22Aと、を有する。アンテナ部22Aは、非露出部23と、露出部25と、を有する。本実施形態において、アンテナ部22Aの両端部は、裏面部材2Bの樹脂部2B−Rの内部に配置され、外部に露出していない。
【0054】
本実施形態の露出部25は、アンテナ部22Aの略中央部に位置する。また、本実施形態の露出部25は、略四角形に形成されており、非露出部23よりも広い幅を有する。すなわち、本実施形態の露出部25は、非露出部23よりも単位長さ当たりの面積が大きくなるように形成されている。なお、露出部25は、給電部21とは異なる部分であって、裏面部材2Bの第1面2B−1において、樹脂部2B−Rから外部に露出する。
【0055】
本実施形態において、アンテナエレメント20Aの電気長を調整する場合には、露出部25の両端に位置する非露出部23aと23bとの間が電気的に導通するように露出部25の長さを調整すればよい。これにより、アンテナエレメント20Aとしての機能を損なうことなく、アンテナエレメント20Aの電気長を調整することができる。
【0056】
本実施形態では、図5に示すように、略四角形の露出部25(図4参照)の中央部分を取り除いて、露出部25が略コ字形となるように長さを調整した例を示す。その場合に、図5に示す露出部25は、全体として非直線状となる。なお、図5の例に限らず、露出部25の両端に位置する非露出部23aと23bとの間が電気的に導通していれば、露出部25の長さを調整したときに、どのような形状となってもよい。例えば、露出部25がジグザグ形状となるように長さを調整してもよい。
【0057】
上述した実施形態2のアンテナエレメント20Aによれば、実施形態1において、露出部24がアンテナ部22の両端部に位置することにより生じる効果を除いて、実施形態1と同じ効果を奏する。
【0058】
また、本実施形態のアンテナエレメント20Aでは、アンテナ部22Aの干渉を緩和できる。本実施形態のアンテナエレメント20Aは、図4に示すように、給電部21を中心として、非露出部23がそれぞれ異なる方向に延びている。このような配置において、それぞれの非露出部23が並行する領域が大きいほど、この非露出部23同士の干渉が大きくなる。そのため、例えば、実施形態1において、一方の露出部24の長さを調整することにより、一方の非露出部23と露出部24を含めたアンテナ部22の特性が確保できたとしても、他方の露出部24の長さを調整することにより、前記一方の非露出部23と露出部24とを含めたアンテナ部22の特性に影響を与えることがある。しかし、本実施形態のアンテナエレメント20Aでは、実施形態1のように、アンテナ部22の端部に配置された非露出部23の長さが変化しない(調節されない)ため、並行する非露出部23同士の干渉を緩和できる。また、本実施形態のアンテナエレメント20Aによれば、アンテナ部22Aの設計の自由度を高めることができる。
【0059】
なお、本発明は、上述した実施形態1、2に制限されるものではなく、以下に示すように適宜に変更可能であり、それらも本発明の範囲に含まれる。
【0060】
例えば、実施形態1では、露出部24が、アンテナ部22の両端部に位置する例について説明した。これに限らず、露出部24は、アンテナ部22のいずれか一方の端部に位置すればよい。また、実施形態1では、露出部24が、裏面部材2Bの第1面2B−1において、樹脂部2B−Rから外部に露出する例について説明した。これに限らず、露出部24が、裏面部材2Bの第1面2B−1とは反対側の第2面2B−2において、樹脂部2B−Rから外部に露出する構成としてもよい。更に、一方の露出部24を、裏面部材2Bの第1面2B−1において、樹脂部2B−Rから外部に露出させ、他方の露出部24を、裏面部材2Bの第1面2B−2において、樹脂部2B−Rから外部に露出させてもよい。
【0061】
また、実施形態2では、露出部25が、略四角形に形成された例について説明した。これに限らず、露出部25は、非露出部23よりも広い幅を有する形状であれば、略四角形に限定されず、配置される位置も図4の例に限定されない。更に、実施形態2の非露出部23の両端部又はいずれか一方の端部に、実施形態1と同じ露出部24を設けてもよい。
【0062】
また、実施形態1、2においては、アンテナエレメント20、20Aの給電部21に、回路基板10の給電部材12から高周波電力を供給する例について説明した。これに限らず、アンテナエレメント20、20Aの給電部21は、回路基板10に配置されない給電部材12から高周波電力が供給される構成であってもよい。
【0063】
また、実施形態1、2では、本発明に係る電子機器を携帯端末装置1、1Aに適用した例について説明した。しかし、本発明はこれに限らず、タブレット端末装置やPDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置等のアンテナエレメントを備えた電子機器一般に適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1、1A 携帯端末装置(電子機器)
2筐体
2B 裏面部材(ケース部材)
2B−1 第1面
2B−2 第2面
2B−R 樹脂部
10 回路基板(基板)
12 給電部材
20、20A アンテナエレメント
21 給電部
22、22A アンテナ部
23、23a、23b 非露出部
24、25 露出部
図1
図2
図3
図4
図5