(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
中継装置と、前記中継装置に接続される端末と、を備えるネットワーク内の前記端末に対して内線番号を設定する内線番号設定装置としてコンピュータを機能させるための内線番号設定プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記中継装置に内線番号を一つ以上対応付け、前記端末に該端末自身が接続されている中継装置に対応付けられている内線番号の何れかを設定すると共に、
前記端末から、内線番号の設定要求であって、該端末自身が接続されている中継装置を識別するための情報を含む、内線番号の設定要求を受信し、前記中継装置を識別するための情報により特定される中継装置に対応付けられている内線番号の何れかを要求元の端末に返信する内線番号設定装置として機能させることを特徴とする内線番号設定プログラム。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態について詳細に説明するに先立って、まず本実施形態の概略を説明する。
【0021】
本実施形態では、IP電話機の設置された位置に基づいて特定の場所に指定した内線番号を自動で設定することを可能にする。そのために本実施形態では、中継装置であるLANスイッチがそれぞれどこに設置されているのかを予め把握しておく。これにより或るLANスイッチを特定する識別情報はこの或るLANスイッチが設置されているこの或る場所を特定する為の情報となる。
【0022】
更に、本実施形態では中継装置であるLANスイッチの設置位置をIP電話機の設置位置とみなす。つまり、或る場所に設置されている或るLANスイッチに接続されている或るIP電話機も、また、この或る場所に設置されているものと考える。よって、この或るLANスイッチを特定する識別情報はこの或るLANスイッチが設置されているこの或る場所を特定する為の情報となる。そして、IP電話機の識別情報ではなくLANスイッチの識別情報(すなわち場所を特定する情報)に応じて内線番号を設定する。これにより、IP電話機の設置された位置に基づいて特定の場所に指定した内線番号を自動で設定することを可能にする。
【0023】
より具体的にいうと、本実施形態では、IP電話機の位置情報から特定の場所に指定した内線番号を自動で設定するためにLLDP(Link Layer Discovery Protocol)機能を利用する。そして、LLDP機能を有するLANスイッチにLLDP機能を有するIP電話機を接続し、LANスイッチから送信されるLLDPの位置情報データをIP電話機は受信、保存し、IP−PBXにIP電話機の位置情報を通知するために位置情報を送信する。IP−PBXでは各IP電話機が送信する位置情報を受信し、位置情報を一括管理し、特定のLANスイッチに接続する各IP電話機の内線番号を自動で設定する。
【0024】
ここで、LLDP機能とはLLDPに準拠して実現される機能である。また、LLDPはIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)により策定されたIEEE 802.1ABのことを指す。IEEE 802.1ABの正式名称は「Station and Media Access Control Connectivity Discovery」であるが、一般的にはLLDPという名称で呼ばれていることから、本実施形態の説明においてもLLDPと呼ぶこととする。
【0025】
なお、従前はLLDPと同様なプロトコルをネットワーク機器ベンダーが各々独自に策定していたため、例えばベンダーを統一する必要があった。しかし、LLDPが標準化されたことからベンダーを問うことなく対応製品を選択可能となってきている。そのため、本実施形態は実装が容易である点においても利点がある。
【0026】
次に、本発明の実施形態の構成について図面を参照して詳細に説明する。
【0027】
図1を参照すると、本発明の実施形態である内線番号自動設定システムは、IP−PBX1、LANスイッチ2−1、LANスイッチ2−2、LANスイッチ2−3、IP電話機3−1、IP電話機3−2、IP電話機3−3、IP電話機3−4及びIP電話機3−5を含む。
【0028】
各IP電話機3(IP電話機3−1、IP電話機3−2、IP電話機3−3、IP電話機3−4及びIP電話機3−5)は、LANスイッチ2−2又はLANスイッチ2−3と、LANスイッチ2−1とを介してIP−PBX1に収容されている。ここで、IP−PBX1は各IP電話機の内線同士での通話の管理や、内線と外線の交換を行うPBX(private branch exchanger)である。各IP電話機3とIP−PBX1は、IP(Internet Protocol)の1つであるSIP(Session Initiation Protocol)に準拠して通信を実現する。
【0029】
また、各LANスイッチ2(LANスイッチ2−1、LANスイッチ2−2、LANスイッチ2−3)は、LLDPに準拠して実現される機能を含むLANスイッチである。なお、以下の説明においてこのようなLLDPに準拠して実現される機能を「LLDP機能」と呼ぶ。また、LLDPに準拠したパケットデータを「LLDPパケット」と呼ぶ。SIPに準拠したパケットデータを「SIPパケット」と呼ぶ。
【0030】
また、今回の説明では便宜上、LANスイッチ2−2に接続するIP電話機3−1及びIP電話機3−2はグループ100というグループに属するものとする。また、LANスイッチ2−3に接続するIP電話機3−3、IP電話機3−4及びIP電話機3−5はグループ101というグループに属するものとする。なお、
図1に表される例において、LANスイッチ2−1にはIP電話機3が接続されていないが、LANスイッチ2−1にもIP電話機3を接続しても良い。その場合には、LANスイッチ2−1に接続されたIP電話機3はグループ100及びグループ101以外の新たなグループに属することとなる。つまり、LANスイッチ2−1が、LANスイッチ2−2及びLANスイッチ2−3の上位階層であるからといってLANスイッチ2−1に接続されたIP電話機3がグループ100やグループ101に属することとはならない。
【0031】
何故ならば、本実施形態ではLANスイッチ2が何れの階層にあるかを考慮せずに内線番号の設定を行うからである。詳細については後述するが、本実施形態では、各IP電話機3直近の、IP電話機3が直接接続されているLANスイッチ2に基づいて内線番号が設定され、このLANスイッチ2が何階層目であるかということや、上位階層のLANスイッチ2がどのLANスイッチ2であるかということは考慮せずに内線番号が設定される。
【0032】
更に、
図1に表されているネットワーク・トポロジーは単なる例示に過ぎず本実施形態の適用範囲を限定するものではない。また、本実施形態ではLANスイッチやIP電話機の台数に関しても特に制限は無い。
【0033】
次に、
図2を参照して本実施形態における各端末の内部構成について詳細に説明する。
【0034】
図2を参照すると、IP電話機3−1は、通信部31、内線番号設定部32及び記憶部33を含む。また、LANスイッチ2−2は通信部21及びLLDP通知部22を含む。更に、IP−PBX1は、通信部11、内線番号管理部12及びデータベース13を含む。また、本実施形態では、LANスイッチ2−2とIP−PBX1の間にはLANスイッチ2−1が存在するが
図2においては図示を省略する。なお、図示を省略するLANスイッチ2−1は、LANスイッチ2−2と同等の構成を含む。
【0035】
IP電話機3−1の、通信部31はLANスイッチ2−2とLLDPに準拠した通信を行い、LLDPパケットを送受信する。また、通信部31はLANスイッチ2−2及びLANスイッチ2−1を介してIP−PBX1とSIPに準拠した通信を行い、SIPパケットを送受信する。
【0036】
内線番号設定部32は、IP電話機3−1の内線電話番号の設定を行う機能を有する。IP電話機3−1が本実施形態に接続された当初は、内線番号はIP電話機3−1には未だ対応付けられていない。この場合、内線番号設定部32は、本実施形態への接続の検知や、ユーザからの操作受付、或いはLANスイッチ2−2から送信されたLLDPパケットの受信、等を契機としてIP電話機3−1への内線番号の設定を開始する。
【0037】
具体的には、LANスイッチ2−2から送信されたLLDPパケットに含まれているLLDP位置情報に基づいてSIP位置情報を作成する。なお、LANスイッチ2−2から送信されたLLDPパケットは記憶部33に記憶されている。
【0038】
そして、作成したSIP位置情報及び内線番号の設定要求のメッセージをSIPパケットとしてLANスイッチ2−2及びLANスイッチ2−1経由でIP−PBX1に送信する。その後、IP−PBX1より内線番号を含んだSIPパケットが返信されてくるので、これを受信する。また、受信したSIPパケットを参照して内線番号を把握すると共に、把握した内線番号をIP電話機3−1に設定する。なお、IP電話機3−1内で設定するのに加えて、この内線番号を画面に表示する等してユーザに内線番号を通知するようにしても良い。
【0039】
記憶部33は、LANスイッチ2−2から送信されたLLDPパケットを記憶する記憶装置である。
【0040】
また、LANスイッチ2−2の通信部21は、通信部31とLLDPに準拠した通信を行い、LLDPパケットを送受信する。また、通信部31はIP−PBX1とIP電話機3−1のSIPに準拠した通信の中継を行う、すなわち、IP−PBX1とIP電話機3−1間で送受信されるSIPパケットを中継する。
【0041】
LLDP通知部22は、LLDP位置情報をLLDPパケットに含ませて、通信部21を用いてIP電話機3−1に対して送信する。LLDP位置情報には少なくともLANスイッチ2−2を識別し、特定するための情報が含まれる。具体的には、LANスイッチ2−2の名称、LANスイッチ2−2のMACアドレス或いはLANスイッチ2−2の管理用アドレスといった情報が含まれる。なお、これらは例示に過ぎず、他の情報によりLANスイッチ2−2を特定するようにしても良い。
【0042】
また、例えばIP電話機3−1がLANスイッチ2−2の何番目のポートに接続されているのか等の位置情報以外の他の情報を更に含ませるようにしても良い。
【0043】
LLDP通知部22によるLLDP位置情報の送信は定期的(例えば30秒毎)に行われるようにしても良いし、IP電話機3−1やIP−PBX1からの指示や、LANスイッチ2−1の電源の投入を契機に行われるようにしても良い。
【0044】
また、IP−PBX1の通信部11は通信部21等を中継して各IP電話機3の通信部31とSIPパケットを送受信することにより、IP電話機3における音声通信を実現する。同様に、本実施形態特有の処理である内線番号設定部32とのSIPパケットの送受信もIP−PBX1の通信部11を用いて行われる。つまり、通信部11を用いて各IP電話機3からSIP位置情報及び内線番号の設定要求のメッセージを含んだSIPパケットを受信し、これの返信として内線番号を含んだSIPパケットを送信する。
【0045】
内線番号管理部12は内線番号を管理する機能を含む。具体的には内線番号対応付けテーブルが記憶されているデータベースを参照することにより、各IP電話機3に内線番号を対応付ける。また、対応付けた内線番号に基づいて内線番号を含んだSIPパケットを生成する、そして、生成したSIPパケットを、通信部11、・・・21、31を介してIP電話機3の内線番号設定部32に対して送信する。
【0046】
データベース13には、内線番号に関する情報がテーブルとして記憶されている。この点について
図3を参照して説明する。
【0047】
図3に表される内線番号対応付けテーブルは、項目として位置情報、LANスイッチ識別情報、IP電話機識別情報及び内線番号を項目として含む。本実施形態では位置情報A、B、C・・・、というように位置情報を設定している。そして、各位置情報はそれぞれLANスイッチ2に対応している。よって、本テーブル内には、1つのLANスイッチ識別情報は1つの位置情報が対応して格納されている。
【0048】
また、本テーブルでは、LANスイッチ2がN個(Nは1以上の整数)存在していることを想定しているので、LANスイッチ2の識別情報もLANスイッチ2−Nまで存在する。なお、LANスイッチ2の識別情報及びIP電話機3の識別情報としては説明の便宜上
図1にて用いられている符号(例えば「LANスイッチ2−2」)をそのまま利用しているが、これはあくまで例示である。本実施形態では、各IP電話機3や各LANスイッチ2それぞれに本実施形態特有のIDを対応付けて識別情報としても良いが、例えばMACアドレス等の機器固有の情報をそのまま識別情報としても良い。更に、必ずしも全てのLANスイッチ2に位置情報を対応付ける必要は無い。例えば、LANスイッチ2−1の配置上、LANスイッチ2−1に直接接続するのは他のLANスイッチ2のみであって、LANスイッチ2−1に直接IP電話機3を接続する予定が無いような場合には、LANスイッチ2−1に対して位置情報を対応付ける必要は無い。なお、本テーブルにおける、LANスイッチ識別情報と位置情報の対応付け等は利用状況に応じて修正することも可能である。
【0049】
IP電話機識別情報は、各IP電話機3から送信されてきたSIPパケットに含まれるIP電話機3の位置情報に対応するようにテーブルに登録される。
【0050】
併せて、各IP電話機3には位置情報に応じた内線番号が対応付けられる。内線番号の具体的な対応付け動作については後述する。
【0051】
以上で、本実施形態の機能ブロックについての説明を終了する。なお、IP電話機3−1、LANスイッチ2−2及びIP−PBX1は、それぞれ、
図3に示す機能ブロックの他に、IP電話機、LANスイッチ及びIP−PBXとして機能するために必要な機能ブロックを有しているが、それは本実施形態の要旨では無いので図示及び説明を省略する。
【0052】
また、今回は
図2においてIP電話機3−1を例にとって説明をしたが、他のIP電話機3(IP電話機3−2、IP電話機3−3、IP電話機3−4及びIP電話機3−5)も同等の構成を含んでいるものとする。また、各LANスイッチ2(LANスイッチ2−1及びLANスイッチ2−3)もそれぞれがLANスイッチ2−2と同等の構成を含んでいるものとする。
【0053】
続いて、
図4及び
図5を参照して本実施形態の動作について詳細に説明する。
図2と同様に、LANスイッチ2−2及びIP電話機3−1を例に取って説明するが他のLANスイッチ2及びIP電話機3も同様の動作をするものとする。また、IP電話機3−1とIP−PBX1との間での通信にはLANスイッチ2−2及びLANスイッチ2−1が介在するが、これらのLANスイッチ2は中継を行うだけであるので図示を省略する。
【0054】
まず、LANスイッチ2−2はLLDPパケットをIP電話機3−1に送信する(ステップS51)。上述したように、このLLDPパケットには少なくともLANスイッチ2−2を識別するためのLANスイッチ識別情報が含まれている。IP電話機3−1はLLDPパケットを受信し、受信したLLDPパケットを参照する。これによりIP電話機3−1は、IP電話機3−1自身がどのLANスイッチ2に接続しているかという情報であるLANスイッチ識別情報を取得する。そして、本実施形態の説明冒頭で述べたように本実施形態では、このLANスイッチ識別情報はLANスイッチ2及びこれに接続するIP電話機3の双方の設置位置を表す情報となるので、以下の説明では「位置情報」と呼ぶこととする。IP電話機3−1は、取得した位置情報を記憶部33にて保存する。
【0055】
次に、IP電話機3−1は、内線番号の設定要求のメッセージを、IP−PBX1に、LANスイッチ2−2から取得した位置情報含めて、SIPパケットの形態で送信する(ステップS52)。つまり、このメッセージの送信は、IP電話機3−1からの内線番号の設定要求を示すメッセージの送信であり、IP電話機3−1が新たな位置情報を取得するたびに少なくとも行われる。
【0056】
また、IP電話機3−1が新たな位置情報を取得していない場合であっても定期的に位置情報の送信(内線番号の設定要求)が行われても良い。定期的に送信する理由であるが、
図3として表されるようなテーブル全体の書き換えがあった場合には、同じ位置情報に対して異なる内線番号が対応付けられるようなことも有るからである。すなわち、位置情報に変更が無くても内線番号が変更される場合もあり得るからである。
【0057】
IP−PBX1は位置情報を受信し、受信した位置情報をデータベース13に保存する。そして、IP−PBX1は位置情報に応じてIP電話機に内線番号を割り振るという内線番号決定処理を行う(ステップS53)。内線番号決定処理の具体的な方法については、
図5を参照して後述する。
【0058】
次に、IP−PBX1は取得した位置情報に応じて割り振った内線番号を、内線番号設定要求の送信元であるIP電話機3−1に対してSIPパケットにより返信する(ステップS54)。IP電話機3−1はその内線番号を受信し、内線番号を設定する。
【0059】
続いて、
図5のフローチャートを参照して本実施形態ステップS53の動作についてより詳細に説明する。
【0060】
まずステップS52が終了すると次にステップS53−1が行われる。ステップS53−1では今回のステップS52において送信されてきた最新のLANスイッチ識別情報に対応した位置情報に紐付けてIP電話機3−1が既に登録されているかを確認する。具体的には、
図3に表されるようなデータベース13内のテーブルのLANスイッチ2−2に対応した位置情報Aに紐付けてIP電話機3−1が登録済みであるか確認する(ステップS53)。
【0061】
登録済みである場合(ステップS53−1においてYes)には、再度登録をしても同じ情報が重複するだけなので、登録を行うことなくステップS53−4に進む。
【0062】
また、テーブル自体に未登録である場合(ステップS53−1においてNo(未登録))には、IP電話機3−1をデータベース13内のテーブルの、今回のステップS52において送信されてきた最新のLANスイッチ識別情報に対応する項目に登録する(ステップS53−2)。具体的には、LANスイッチ2−2に対応した位置情報Aに紐付けてIP電話機3−1を登録する。
【0063】
更に、登録済みではあるが、その登録されている項目が今回のステップS52において送信されてきた最新のLANスイッチ識別情報に対応していない場合も考えられる(ステップS53−1においてNo(異なる項目に登録済み))。
【0064】
これは例えば、IP電話機3−1が過去にLANスイッチ2−2以外の他のLANスイッチ2に接続されていた場合であって、IP電話機3−1はこの他のLANスイッチ2に対応している位置情報に紐付けられて登録されている場合である。つまり、IP電話機3−1が他のLANスイッチ2からLANスイッチ2−2に繋ぎ代えられた場合である。また他にも、LANスイッチ2−2に現在とは異なる位置情報が対応付けられていたがデータベース13内のテーブルが書き換えられたような場合も考えられる。何れにせよこれらの場合には、現在のIP電話機3−1の登録を削除し、今回のステップS52において送信されてきた最新のLANスイッチ識別情報に対応する位置情報の項目に新たにIP電話機3−1を登録する。すなわち、登録内容を修正する(ステップS53−3)。
【0065】
なお、
図3に表されるテーブルを例に取ると、今回LANスイッチ識別情報としては「LANスイッチ2−2」が送信されてきているところ、LANスイッチ2−2に対応する位置情報は「位置情報A」となる。ここで、位置情報Aに対応する項目にIP電話機3−1は登録されていないものとする。そこで、IP−PBX1は位置情報Aに対応する項目にIP電話機3−1を登録する。
【0066】
次に、ステップS53−4〜S53−10において今回内線番号を設定する対象のIP電話機に対応する位置情報に応じて、内線番号を設定する。すなわち、データベース13から位置情報を検索し、位置情報Aに該当するIP電話機は内線番号1xx、位置情報Bに該当するIP電話機は内線番号2xx、位置情報Cに該当するIP電話機は内線番号3xxと設定する。
【0067】
今回の例でいうと、内線番号設定要求と共に受信した位置情報、すなわち、内線番号を設定する対象のIP電話機であるIP電話機3−1に対応する位置情報、は「位置情報A」なので、ステップS53−4においてYesとなる。ここで、位置情報Aに対応する内線番号として「100」〜「199」までが対応付けられているとするならば、IP電話機3−1に設定する内線電話番号は「1xx」となる。ここで、一例として「xx」部分は未設定の番号のうち若い番号から順に対応付けることとしている場合について考える。この場合、最も若い番号である「100」は既にIP電話機3−2に対応付けられているので、IP電話機3−1には次に若い番号である「101」が内線番号として設定される。
【0068】
なお、仮に内線番号設定要求と共に受信した位置情報、すなわち、内線番号を設定する対象のIP電話機であるIP電話機3−1に対応する位置情報、が、位置情報Aではない場合(ステップS53−4においてNo)は、ステップS53−6に進み位置情報Bであるかどうかを確認する。このように、判定する位置情報を変更していくことを繰り返しながら、最終的に内線番号を設定する(ステップS53−4〜ステップS53−10)。
【0069】
設定が終了後はステップS54へ進む。
【0070】
なお、上記したステップS53ではIP−PBX1が内線番号を割り振り、その割り振った内線番号をIP電話機3に通知している。これを一部変形して、IP−PBX1は取得した位置情報に応じて、LANスイッチ2に所属するグループ毎に指定する内線番号の一部のみを送信するようにしても良い。例えば内線番号が3桁からなるとするならば、「5xx」という情報のみを送信するようにしても良い。そして、例えばポート番号等に基づいてIP電話機3自身が内線番号を最終決定しても良い。例えばIP電話機3−1がLLDP機能によりLANスイッチ2−2のポート番号「9」のポートに接続されているとする。この場合「5xx」が返信されてきて、且つ、ポート番号が「9」という情報に基づいて、内線番号を「509」と設定するようにしても良い。
【0071】
以上説明した本実施形態では、電話機の設置位置に応じて内線番号を設定することが可能となる。
【0072】
その理由は、LANスイッチの識別情報を電話機の設置位置であるとみなして、LANスイッチの識別情報に基づいて内線電話番号を対応付けるからである。
【0073】
また、以上説明した本実施形態では、どの電話機であるかを問うことなく、設置される位置に応じて内線番号を設定することが可能となる。
【0074】
その理由は、本実施形態では電話機の識別情報には依拠せず、LANスイッチ識別情報に依拠して内線番号を決定しているからである。すなわち、電話機固有の情報により内線電話番号を対応付けるのでは無いためである。
【0075】
また、以上説明した本実施形態では、ユーザが電話機の識別情報を把握する必要がなく、設置される位置に応じて内線番号を設定することが可能となる。
【0076】
その理由は、本実施形態が自動的に内線番号を設定するからである。また、これによりユーザの内線番号の管理を非常に簡単なものとすることも可能となる。
【0077】
また、上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
【0078】
そこで、上述した実施形態の変形例について説明する。これら変形例は内線番号の対応付けに関するものである。
【0079】
まず、
図6及び
図7を参照して第1の変形例について説明をする。
図6は本変形例におけるデータベース13上のテーブルである。上述の実施形態ではLANスイッチ識別情報と位置情報とが一対一の関係で対応付けられていた。しかし本変形例ではLANスイッチ識別情報と位置情報とを多対一の関係で対応付ける。
【0080】
例えば
図6に表されるように「位置情報A」に対し、LANスイッチ2−2及びLANスイッチ2−3を対応付ける。これによりLANスイッチ2−2に接続しているIP電話機3−xと、LANスイッチ2−3に接続しているIP電話機3−xの双方に内線番号「1xx」を設定することが可能となる。
【0081】
例えば
図7に表されるように隣接するLANスイッチ2−2及びLANスイッチ2−3に接続しているIP電話機3−xには内線番号「1xx」を設定することが可能となる。これにより、例えばLANスイッチ2−2に接続可能な台数以上にIP電話機3−xを設置する場合であっても、LANスイッチ2−2に隣接するLANスイッチ2−3を用いることにより設置位置に応じた内線番号を設定することが可能となる。また、室内のレイアウトの都合上同一室内に2つのLANスイッチ(LANスイッチ2−2及びLANスイッチ2−3)が混在してしまうような場合でも同じ室内であるという設置位置に応じた内線番号を設定することが可能となる。
【0082】
次に、
図8及び
図9を参照して第2の変形例について説明をする。
図8は本変形例におけるデータベース13上のテーブルである。上述の実施形態ではLANスイッチ識別情報と位置情報とが一対一の関係で対応付けられていた。また第1の変形例ではLANスイッチ識別情報と位置情報とが多対一の関係で対応付けられていた。本変形例ではLANスイッチ識別情報と位置情報とを多対一及び一対多の関係を混合させて対応付ける。
【0083】
なお、多対一の関係と混合させることなく、一対多の関係のみとすることも考えられる。例えばLAMスイッチ2−2と、位置情報A(番号100〜199)及び位置情報B(番号200〜299)を対応付けることも考えられる。しかし、それならば位置情報Aに番号100〜299を割り当てれば済む。そのため、第2の変形例では、混合した形態を例に取って説明をする。
【0084】
例えば
図8に表されるように「位置情報X」に対し、LANスイッチ2−2、LANスイッチ2−3、LANスイッチ2−5及びLANスイッチ2−6を対応付ける。ここで、「位置情報X」は名称としては位置情報ではあるが実際の位置を表すものではなく、予備の内線番号を管理する為の論理的な架空の位置情報である。
【0085】
そして、位置情報Xに対しても内線番号を対応付けておく。本例では位置情報Xに内線番号「9xx」を対応付けておく。
【0086】
これにより、例えばLANスイッチ2−2に接続されるIP電話機3−xに対しては内線番号「1xx」又は内線番号「9xx」が設定される。同様に例えばLANスイッチ2−3に接続されるIP電話機3−xに対しては内線番号「2xx」又は内線番号「9xx」が設定される。
【0087】
そして、本変形例では、IP電話機3−xに対して、各LANスイッチ2に個別に対応付けられている内線番号(「1xx」、「2xx」、「31x」及び「32x」)と、内線番号「9xx」の何れを優先的に設定するのかを定めておく。
【0088】
例えば、内線番号各LANスイッチ2に個別に対応付けられている内線番号(「1xx」、「2xx」、「31x」及び「32x」)を優先的に設定するとするならば、例えばLANスイッチ2−2に接続されるIP電話機3−xへの設定により内線番号「100」〜「199」が全て使用済みとなり、未使用の「1xx」が枯渇してしまった場合にLANスイッチ2−2に接続されるIP電話機3−xに対してはじめて内線番号「9xx」を設定する。
【0089】
このようにすることにより、各LANスイッチ2の位置情報への内線番号の対応付けが不適切であり、使用できる内線番号が無くなってしまったような場合であっても、内線番号「9xx」といった予備の番号を付与することが可能となる。
【0090】
すなわち、少なくとも内線番号が枯渇するまでは設置位置に応じた内線番号を設定できると共に、内線番号が枯渇してしまった場合であっても、何かしらの内線番号を設定することができる。
【0091】
なお、用途によっては内線番号「9xx」を優先的に設定するようにすることも可能である。
【0092】
また、内線番号の設定範囲は位置情報毎に異なるようにすることもできる。例えば位置情報Aや位置情報Bには、内線番号「100〜199」或いは内線番号「200〜299」というように100個の範囲で内線番号が割り振られている。もっとも位置情報Cや位置情報Dという位置情報に関しては、内線番号「31x」、内線番号「32x」というように対応付けても良い。つまり内線番号「310〜319」や内線番号「320〜329」というように10個の範囲で内線番号が割り振られるようにしても良い。このように割り振った場合の構成例が
図9に表される例である。
【0093】
図9を参照するとLANスイッチ2−1及びLANスイッチ2−2に対しては内線番号が100個の範囲で内線番号が割り振られている一方で、LANスイッチ2−5及びLANスイッチ2−6に対しては内線番号が10個の範囲で内線番号が割り振られている。
【0094】
また、
図9では、各LANスイッチ2には各LANスイッチ2に対応付けられた個別の内線番号に加えて、内線番号「9xx」も対応付けられている。これは
図8を参照して説明したように、各LANスイッチ2には予備の内線番号である「9xx」も対応付けられているからである。
【0095】
なお、上記の内線番号設定システム内に含まれるIP−PBOX、LANスイッチ及びIP電話機のそれぞれはハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合わせにより実現することができる。また、上記の内線番号設定システム内に含まれるIP−PBOX、LANスイッチ及びIP電話機全部又は一部が協働することにより行なわれる内線番号設定方法、或いは上記の内線番号設定システム内に含まれるIP−PBOX、LANスイッチ及びIP電話機の何れかにより行なわれる内線番号設定方法は、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0096】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R、CD−R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0097】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0098】
(付記1) 中継装置と、前記中継装置に接続される端末と、を備えるネットワーク内の前記端末に対して内線番号を設定する内線番号設定装置であって、
前記中継装置に内線番号を一つ以上対応付けておき、前記端末に該端末自身が接続されている中継装置に対応付けられている内線番号の何れかを設定することを特徴とする内線番号設定装置。
【0099】
(付記2) 付記1に記載の内線番号設定装置であって、
前記端末から、内線番号の設定要求であって、該端末自身が接続されている中継装置を識別するための情報を含む、内線番号の設定要求を受信し、前記中継装置を識別するための情報により特定される中継装置に対応付けられている内線番号の何れかを要求元の端末に返信することを特徴とする内線番号設定装置。
【0100】
(付記3) 付記1又は2に記載の内線番号設定装置であって、
前記端末が接続されている中継装置とは、複数の中継装置のうちの前記ネットワークにおいて前記端末に最も近い中継装置であることを特徴とする内線番号設定装置。
【0101】
(付記4) 付記1乃至3の何れか1に記載の内線番号設定装置であって、
前記中継装置に対応付ける内線番号を異なる中継装置間で重複させ、該異なる中継装置のうちの何れかの中継装置に接続されている前記端末に前記異なる中継装置間で重複させた内線番号を設定することを特徴とする内線番号設定装置。
【0102】
(付記5) 付記1乃至4の何れか1に記載の内線番号設定装置であって、
少なくとも1つの或る中継装置に対応付ける内線番号の一部については他の中継装置と重複させ、内線番号の他の一部については他の中継装置とは重複させず、該或る中継装置に接続されている前記端末に、前記他の中継装置と重複させた内線番号又は前記他の中継装置と重複させなかった内線番号の何れか一方を他方よりも優先的に設定することを特徴とする内線番号設定装置。
【0103】
(付記6) 付記1乃至5の何れか1に記載の内線番号設定装置であって、
前記内線番号を既に設定してある端末が新たに他の中継装置に接続された場合に、該他の中継装置に対応付けられている内線番号の何れかを該端末に新たに設定することを特徴とする内線番号設定装置。
【0104】
(付記7) 中継装置と、前記中継装置に接続される端末と、前記端末に対して内線番号を設定する内線番号設定装置とを備える内線番号設定システムであって、
前記内線番号設定装置は付記1乃至6の何れか1に記載の内線番号設定装置であり、
前記中継装置は、該中継装置自身を識別するための情報を該中継装置に接続されている端末に対して送信し、
前記端末は、前記中継装置から受信した前記中継装置自身を識別するための情報を、前記内線番号の設定要求に含めて、前記内線番号設定装置に対して送信することを特徴とする内線番号設定システム。
【0105】
(付記8) 中継装置と、前記中継装置に接続される端末と、を備えるネットワーク内の前記端末に対して内線番号を設定する内線番号設定装置としてコンピュータを機能させるための内線番号設定プログラムであって、
前記コンピュータを、
前記中継装置に内線番号を一つ以上対応付け、前記端末に該端末自身が接続されている中継装置に対応付けられている内線番号の何れかを設定する内線番号設定装置として機能させることを特徴とする内線番号設定プログラム。
【0106】
(付記9) 中継装置と、前記中継装置に接続される端末と、を備えるネットワーク内の前記端末に対して内線番号を設定する内線番号設定装置で行われる内線番号設定方法であって、
前記中継装置に内線番号を一つ以上対応付け、前記端末に該端末自身が接続されている中継装置に対応付けられている内線番号の何れかを設定する内線番号設定装置として機能させることを特徴とする内線番号設定方法。
【0107】
(付記10) 中継装置と、前記中継装置に接続される端末と、前記端末に対して内線番号を設定する内線番号設定装置とを備えるシステムで行われる内線番号設定方法であって、
前記内線番号設定装置は、前記中継装置に内線番号を一つ以上対応付け、
前記中継装置は、該中継装置自身を識別するための情報を該中継装置に接続されている端末に対して送信し、
前記端末は、前記中継装置から受信した前記中継装置自身を識別するための情報を、内線番号の設定要求に含めて、前記内線番号設定装置に対して送信し、
前記内線番号設定装置は、前記内線番号の設定要求に応じて、該設定要求に含まれている前記端末に該端末自身が接続されている前記中継装置を識別するための情報に基づいて、前記端末に該端末自身が接続されている中継装置に対応付けられている内線番号の何れかを設定することを特徴とする内線番号設定方法。