(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
高炉、コークス炉、各種溶解炉からの排ガスはダストを多く含むため、大気中に放出する前に除塵しなければならない。しかし、排ガスの温度は800℃〜1000℃の高温であるため、その排ガスを集塵機へそのまま送ると、集塵機が故障してしまう。そこで、現在は前記高炉等の後段に冷却塔を設け、排ガスを冷却してから、集塵機へ送っている。
【0003】
一般的な冷却塔では、ノズルから排ガスへ向かってミスト(霧状の冷却液)を噴霧し、そのミストの蒸発熱により冷却を行う。このときのノズルとしては、1MPa前後の圧力を用いる大口径の一流体ノズルや、1個当たりの噴霧量が数十L/min以上で、低圧力かつ大口径の二流体ノズルが用いられている。
【0004】
前記一流体ノズルは、粒子径が数百μmのミストを噴霧する。しかし、ノズルから噴霧するミスト粒子の速度エネルギーが大きいため、蒸発しないで落下して、冷却塔下方のスラッジ貯留部に溜まる濁水が多く発生するなど、噴霧水の無駄が多い。また、速度エネルギーが大きいと、排ガスとの混合接触効率が悪くなる。従って、接触時間を長く確保するために、冷却塔を大きく(高く)しなければならず、設備コストが増えてしまう。また、ミストの粒子径が大きくて完全に蒸発しないため、排ガスと共にミスト粒子が後段の集塵機まで運ばれる。そして、集塵機のフィルタが濡れ、目詰まりが発生するなどの問題が発生する。また、噴霧したミスト粒子のうち、どれだけの量が蒸発するか分からず、冷却効率の計算が難しいため、排ガス温度の制御が困難である。
【0005】
一方、前記二流体ノズルは、噴霧する冷却液(以下では「水」を例にして説明する。)に高圧または低圧の空気を混入し、空気が膨張するエネルギーを利用して、微細なミストを噴霧する。この二流体ノズルは、粒子径を平均60μm前後にすることができ、最大粒子径も150μm前後と小さいため、冷却効率が高く、排ガスの冷却に適している。
【0006】
しかし、空気と水の比率を常に一定に保たなければならず、そのための比例制御がとても難しい。空気と水の配管に設けたバルブの開度が、一般的に約15%〜100%程度にしか調整できないからである。
【0007】
また、空気に対して水の量が多いとシャワーのようになってしまうため、水に対する空気の流量比をリッチに保つ必要があり、多量の空気を要する。具体的には、高圧の空気を用いる場合は、水の約130〜150倍の空気量が必要となり、低圧の空気を用いる場合は、水の約300倍の空気量が必要となる。そのため、極めて大きな空気槽が必要になるとともに、高性能の空気圧縮機も必要になるため、イニシャルコストが高くなる。もしも、このような巨大な空気槽を設けない場合は、ミスト噴霧時に大量の空気が必要となるため、隣接する他の工場などで必要な空気を奪ってしまい、他工場等の運転を停止させてしまう。
【0008】
さらに、圧縮空気を生成するための電力量が多くなり、ランニングコストも高くなる。また、ノズルから空気が噴き出されるため、一流体ノズルを用いる場合と比べて、後段の集塵機の処理するガス量が5〜10%程度増加してしまう。また、水と空気のそれぞれの粒子の速度エネルギーが大きいため、一流体ノズルの場合と同様に、噴霧する水の無駄が多い(余剰水量が多い)。
【0009】
そのほか、ノズルから噴出する空気量が多いため、水粒子の速度エネルギーが大きくなる。そのため、一流体ノズルの場合と同様に、濁水の大量発生や排ガスと水の混合接触効率の低下も起きる。そして、これを防止するために、冷却塔の高さを高くすると、設備コストが増加してしまう。また、水粒子の速度エネルギーが大きいと、後段の集塵機のバグフィルタが濡れて、目詰まりも発生してしまう。それとともに、濡れたバグフィルタに高温ガスが流れると、フィルタの表面がクリンカーのような状態になってしまうなどの問題も発生する。
【0010】
一方、高炉等から冷却塔へ送られる排ガスの温度および量、排ガスのダスト含有量、排ガス中の酸性ガス濃度などは様々である。しかし、いずれの場合においても、冷却塔出口の排ガス温度は、一般的に200℃以下になる。なお、ダイオキシンの発生を防止するには、温度を170℃以下まで下げる必要がある。
【0011】
このとき、冷却後の排ガスの温度が高すぎると、高温ガスの熱により、集塵機が損傷するおそれがある。一方、冷却後の排ガスの温度が低すぎると、排ガス中に含まれる水が集塵機に付着したり、集塵機内に結露が発生(特に、集塵機の外部の温度が高い場合)したりする。そして、それらの水が排ガスと反応して酸性水となり、集塵機を腐食してしまう。また、集塵機のフィルタが濡れて、フィルタが目詰まりを起こすおそれもある。以上のことから、冷却後の排ガスの温度の制御が極めて重要となる。
【0012】
従来、一流体ノズルおよび二流体ノズルに関しては、下記特許文献1〜3が存在する。これらの特許文献では、水の沸点以上の温度を有する加圧熱水をノズルから噴霧している。このとき噴霧に用いる圧力は、約3kgf/cm
2〜3.5kgf/cm
2である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、前記加圧熱水は、冷水を噴霧する場合と比べて、排ガスの冷却効率が劣る。そのため、熱水を多量に噴霧しなければならないという問題がある。
【0015】
したがって、本発明の主たる課題は、冷却効率の高い
排ガス冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
【0017】
<請求項1記載の発明>
下部に排ガスの給気口と
上部に排ガスの排気口を有し、
冷却塔内を上昇する排ガスを
200℃以下まで冷却を行う冷却塔と、
前記排ガスの冷却に用いる
冷却水を貯留する貯留タンクと、
前記貯留タンクの
冷却水を前記冷却塔へ送るポンプと、
前記冷却塔の側面の内壁から冷却塔の中心部に向かって
延在し、前記冷却塔の異なる高さに複数設けられたパイプと、
前記冷却塔内に配置され、
前記パイプの基端側から先端側に向って長手方向に沿って複数設けられ、下方へ向かって冷却水のミストを噴霧する複数の一流体ノズルと
を有する排ガス冷却装置を用いて、
排ガスに
冷却水を噴霧して冷却を行う排ガス冷却方法であって、
1つのポンプから前記冷却塔の高さ方向の複数のパイプ群に連なる冷却水を供給する1つの供給系統が1つのユニットとされ、このユニットが前記冷却塔の高さ方向について複数のユニットとして設けられており、
前記各ノズルは、直径1.5mm以下のオリフィスを有する一流体ノズル
であり、2MPa以上の圧力で、温度が10℃〜30℃の
冷却水をザウター平均粒子径が60μm以下のミストとして霧状に噴霧し、噴霧した
冷却水のミストによって、排ガスを冷却する
こと、
排ガスの前記給気口部分の温度と前記排気口部分の温度との温度差に基づき、前記ユニット群におけるそれぞれの前記ポンプの回転数制御により前記ノズル群からのミストの噴霧量の制御を行なうこと、
送風機から空気を送りノズルの周囲にダストが付着するのを防止する空気を噴き出すこと、
を含むことを特徴とする排ガス冷却方法。
【0018】
(作用効果)
噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μm以下であると、霧状の冷却液(以下、「ミスト」ともいう。)の拡散する範囲が狭いとともに、噴霧したミストを瞬時に蒸発させることができる。詳しくは、噴霧したミストはもともと速度エネルギーが小さいとともに、すぐに速度エネルギーを失う。そのため、ノズルからわずか半径数百mmの範囲に拡散するだけである。そして、その拡散過程で瞬時に蒸発する。従って、余剰水量の発生を限りなく抑えることができる。また、ミストが瞬時に蒸発して、その蒸発潜熱で排ガスを冷却するため、噴霧したミスト量に対する冷却効率を早く検知できる。
また、噴霧する冷却液の温度が低いため、従来例のように加圧熱水をノズルから噴霧する場合よりも、冷却効果が高い。
また、冷却塔の側面の内壁から冷却塔の中心部に向かって延在するパイプを複数設ける。そして、パイプの基端側から先端側に向って長手方向に沿って、ノズルを複数設ける。このような構成により、冷却液の噴霧範囲が広くなるため、冷却むらが起こりにくく、冷却効果も高くなる。
また、排ガスは、冷却塔内を下方から上方へ、または上方から下方へ高さ方向に移動する。そのため、パイプを冷却塔の異なる高さに複数設けることで、排ガスの冷却時間を長く確保することができ、冷却効率が高くなる。
【0019】
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【0020】
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【0021】
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【0022】
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【0023】
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【0024】
ノズルの噴霧口は冷却塔の下方に向けられており、冷却塔下部の給気口から入ってきた排ガスに向かってミストを噴霧する。
【0025】
供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度が設定値よりも高い場合に、ノズルへ送る冷却液の量を増やし、供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度が設定値よりも低い場合に、ノズルへ送る冷却液の量を
減らすことができる。
【0026】
供給する排ガスの温度または排出する排ガスの温度に基づき、冷却液の量を増減させることで、冷却液を無駄に多く噴霧したり、逆に冷却液の噴霧量が足りなかったりする事態を防ぐことができる。また、本発明のミストは瞬時に蒸発して排ガスを冷却するため、噴霧したミスト量に対する冷却効率を早く検知できる。そのため、その検知結果を即座にミスト噴霧量に反映することで、冷却精度をいち早く向上させることができる。なお、本発明においては、供給する排ガスの温度と排出する排ガスの温度の両方の値に基づいて、冷却液の噴霧量を増減させても良い。
【0027】
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【0028】
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【0029】
前記(一流体)ノズルへ空気を送るブロアをさらに備え、冷却液の噴霧を停止しているノズル、または冷却液の噴霧量が少ないノズルは、前記ブロアから送られた空気を噴出
することができる。
【0030】
ノズルの噴出孔周りに発生する渦流により、ダストが付着および固着することを防ぐことができる。また、ノズル内にスケールが生じることを防ぐこともできる。
【0031】
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【0032】
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【0033】
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【0034】
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【0035】
前記冷却液の噴霧量が少なくなり、冷却液の液圧だけでは噴霧する冷却液のザウター平均粒子径が60μmより大きくなる場合に、前記冷却液と圧縮空気を同時に噴霧する二流体方式に切り替えて、ザウター平均粒子径を60μm以下に
保つことができる。
【0036】
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【0037】
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【0038】
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、冷却効率の高い排ガス冷却装置および冷却方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る換気設備及び換気方法の好適な例について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明及び図面は、本発明の実施形態の一例を示したものにすぎず、本発明の内容をこの実施形態に限定して解釈すべきではない。
【0042】
(排ガスG1)
高炉から排出される排ガスG1は、一般的に一酸化炭素、窒素、二酸化炭素を主成分としており、亜鉛、酸化カリウム、酸化ナトリウム、硫黄などのダストを含んでいる。また、コークス炉から排出される排ガスG1は、一般的に水素、メタン、一酸化炭素、タール油分を主成分としており、ベンゼン、トルエン、キシレン、窒素酸化物、ばいじん、硫黄酸化物などのダストを含んでいる。そのほか、溶解炉としては、キューポラ、反射炉、平炉、電気炉、ルッポ炉、回転炉、アーク炉、転炉などを挙げることができる。この溶解炉から排出する排ガスG1の成分は、溶解する金属によって異なるが、排ガスG1中には一般的に亜鉛、鉄、塩素などの様々なダストが含まれている。なお、前記各排ガスG1の温度は、一般的に800℃〜1000℃の高温である。
【0043】
(冷却塔2)
図1に示す冷却塔2は円筒形であり、この冷却塔2の下部は、漏斗のように下方へ向かって口径が次第に小さくなる円錐形である。この冷却塔2の下端部には、スラッジを貯めるスラッジ貯留部5が設けられている。このスラッジは、排ガスG1とミストW2が反応してできたものであるが、本発明の排ガス冷却装置1ではミストW2がほぼ完全に蒸発するため、スラッジはほとんど発生しない。貯留されたスラッジは、スラッジ回収装置14のバキュームにより定期的に排出される。そのほか、前記冷却塔2の下部側面には、高温排ガスG1の給気口3が設けられており、冷却塔2の上部天面には、冷却されたガスG2の排気口4が設けられている。なお、冷却塔2の形状は、角筒形等の任意の形状にしても良い。また、冷却塔2の上部に給気口3を設け、下部に排気口4を設けても良い。
【0044】
(パイプ6)
冷却塔2の上部および中部には、複数の棒状のパイプ6が設けられている。冷却塔2内に設けるパイプ6の本数は任意に決めることができ、例えば計20本設けることができる。このパイプ6は、冷却塔2の内壁から冷却塔2の中心部に向かって水平方向に延在している。そして、冷却塔2に放射状に配置されている。なお、前記パイプ6の延在方向や配置箇所は一例であり、下方に向かって延在させたり、冷却塔2の一方にのみ配置させたりなど、任意に変更することができる。
【0045】
パイプ6の配置例としては、複数のパイプ6を冷却塔2の同じ高さに設けることができる。また、同じ高さにある複数のパイプ6を1つのセットSとし、このセットSを高さ方向に複数段設けるようにしても良い。そのほか、パイプ6を高さ方向に互い違いに設けたり、螺旋状に設けたりしても良い。また、パイプ6をすべて異なる高さに配置しても良い。
【0046】
排ガスG1は、冷却塔2内を下方から上方へ、または上方から下方へ高さ方向に移動する。そのため、複数のパイプ6を高さ方向に複数設けることで、排ガスG1の冷却時間を長く確保することができ、冷却効率が高くなる。
【0047】
(ノズル7)
前記パイプ6には複数のノズル7が設けられている。このノズル7の数は任意に決めることができる。例えば、1本のパイプ6ごとに40個のノズル7を取り付け、このようなパイプ6を冷却塔2内に計20本配置することで、冷却塔2内に計800個のノズル7を設けることができる。また、これらのノズル7は、パイプ6の長手方向に間隔を空けて設けられている。ノズル7の噴霧口は冷却塔2の下方に向けられており、冷却塔2下部の給気口3から入ってきた排ガスG1に向かって、ミストW2を噴霧する。
【0048】
前記ノズル7には一流体ノズル7を用いる。この一流体ノズル7は高圧でミストW2を噴霧するものである。
図1の一流体ノズル7は、8MPaの圧力を用いて1.28L/minのミストW2を噴霧する。このような一流体ノズル7から噴霧するミストW2の粒径は均質であり、平均粒子径が40〜60μm、最大粒子径も100μm以下と極めて小さいものである。そのため、噴霧したミストW2を瞬時に完全に蒸発させることができる。すなわち、噴霧したミストW2はもともと速度エネルギーが小さく、しかもすぐに速度エネルギーを失う。そのため、噴霧したミストW2は、ノズル7からわずか半径数百mmの範囲内に拡散するだけであり、拡散する過程で瞬時に蒸発する。従って、余剰水量の発生を限りなく抑えることができる。また、ミストW2が瞬時に蒸発して排ガスG1を冷却するため、噴霧したミスト量に対する冷却効果を従来よりも早く検出できる。そして後述するように、その効果を即時にミスト噴霧量に反映することで、冷却の精度を向上させることができる。
【0049】
なお、本発明の平均粒子径は、レーザー回折法で干渉縞を通る粒子を測定して、その測定結果からザウター平均粒径(Sauter Mean Diameter、SMD)を求めたものをいう。このザウター平均粒径とは、全粒子の全表面積に対する全粒子の全体積と同じ表面積対体積率を有する粒子径をいい、全体積を全表面積で除することにより求めることができる。
【0050】
前記ノズル7には、例えばオリフィス径が0.15mm〜1mmのものを用いることができる。具体的には、オリフィス径が1mmで、液圧を2.8MPa、3.5MPa、5MPa、6MPa、7MPa、8MPaにした場合、それぞれ平均粒径が52μm、50μm、45μm、44μm、43μm、42μmの粒子を噴霧する株式会社ノーユー社製の製品(Model KN−100)を用いることができる。ノズル7の選定には、高圧ポンプ11の出力を最小値(例えば最大出力の58%)にした場合であっても、冷却液の平均粒径が50μm以下になるものを採用するのが好ましい。
【0051】
また、本発明のように一流体ノズル7を採用した場合、二流体ノズルのように空気を用いないため、圧縮空気を生成する必要がなくなり、電力使用量を大幅に削減できる。また後述するように、空気圧縮機や送風機13を用いることもあるが、その場合であっても、二流体ノズルを用いる場合より電力使用量を大幅に抑えることができる。本発明者の試算では、二流体ノズルを使用して800kwの電力を使用していたものを、排ガス冷却装置1(空気圧縮機と送風機13も装備している装置)の採用によって、200kw以下にできる。この試算によっても、本発明はイニシャルコストおよびランニングコストを大幅に削減できることが明らかである。
【0052】
また、排ガス冷却装置1は、圧縮空気を用いたとしても少量であるため、他の工場の空気を一時的に奪ってしまうという事態の発生を避けることができる。そのほか、後段の集塵装置への負荷が少ないという利点もある。
【0053】
さらに、ノズル7から噴霧される冷却液の粒子は速度エネルギーが小さいため、ミストW2を噴霧しても排ガスG1の気流にほとんど影響がない。このように排ガスG1の気流を乱す心配がないことから、ノズル7を自由な場所に配置することができる。また、ノズル7を自由に配置できることから、冷却塔2の形状の制約も少なくなる。
【0054】
(噴霧液W2)
これまで説明してきたように、ノズル7から噴霧する冷却液W2には、経済的な水を用いるのが好ましい。この水W2にレジオネラ菌の繁殖を抑える塩素や過酸化水素などの薬剤を添加しても良い。そのほか、防錆剤、スケール防止剤、スライムコントロール剤等の薬剤を添加しても良い。
【0055】
噴霧液W2の温度は低い方が好ましく、例えば約20℃の水を用いることができる。従来はノズル7から噴霧した水を瞬時に蒸発させることを目的として、噴霧水を100℃以上にしていた。すなわち、従来は噴霧水の粒径を100μm以下にすることができず、100μmより大きい粒径の低温水を噴霧すると完全に蒸発せずに濁水が生じてしまうため、噴霧水の温度を上げざるを得なかった。しかし、噴霧液W2の温度は低ければ低いほど、排ガスG1の冷却効果が高まる。従って、本発明のように噴霧液W2の粒径を極めて小さくすることで、低温の冷却液W2を瞬時に蒸発させることができ、余剰水の発生を防ぐことができる。また、低温の冷却液W2を用いることにより、従来よりも排ガスG1の冷却効果が高まるため、冷却液W2の噴霧量を減らすことができる。
【0056】
(温度センサA、B)
冷却塔2の給気口3に、高炉等からの排ガスG1の温度を検出する給気口温度センサAを設ける。また、冷却塔2の排気口4に、冷却された排ガスG2の温度を検出する排気口温度センサBを設ける。そして、前記温度センサA、Bは、計測データを後述する冷却制御装置8へ送信する。なお、
図1では、給気管15に温度センサAを設け、排気管16に温度センサBを設けた例を示している。
【0057】
(冷却制御装置8)
冷却制御装置8は温度センサA、Bおよびインバータ9と連結している。そして、温度センサAが検出した給気口3の排ガスG1の温度と、温度センサBが検出した排気口4の排ガスG2の温度に基づき、両温度の差を求めるとともに、ミストW2の噴霧量に対する冷却効率と、今後のミストW2の噴霧量等を決定する。なお、
図1では、冷却制御装置8としてプログラマブルロジックコントローラ(programmable logic controller、PLC)を用いている。
【0058】
(高圧ポンプ11)
前記冷却制御装置8はインバータ9と連結しており、冷却制御装置8が算出した噴霧量のミストW2を噴霧するように、インバータ9へ指示信号を送信する。信号を受け取ったインバータ9は、モータ10の回転数を変えて、ポンプ11の出力を変更する。ポンプ11の出力は、例えば最大出力の100%〜58%の範囲で任意に変更することができる。なお、
図1では、出力が190L/minの高圧ポンプ11を5台設けている。そして、ミストを大量に噴霧しなくても良い状況の場合は、ポンプ11の稼働台数を減らすことで装置1全体の噴霧量を調整している。
【0059】
前記ポンプ11は、図示しない貯水タンクに貯めた水W1を各ノズル7へ送っている。ポンプ11の出力を変えることで、ノズル7からのミスト噴霧量が変わる。なお、貯水タンクとポンプ11の間にフィルタ12が設けられており、貯水タンクに設けられた貯留水は、このフィルタ12によって浄水された後、ポンプ11へ送られる。
【0060】
(ユニットU)
図1のパイプ6、ノズル7、ポンプ11、モータ10、インバータ9は、それぞれ複数個設けられている。このとき、1個のポンプ11、1個のモータ10、1個のインバータ9、5本のパイプ6、前記5本のパイプ6に取り付けられた合計160個のノズル7を1ユニットUとしている。そして、
図1では、そのユニットUを5つ設けている。そのほか、インバータ9、モータ10およびポンプ11が故障した場合に備えて、1個のインバータ9、1個のモータ10、1個のポンプ11のみからなる予備ユニットUも1つ設けている。なお、1つのユニットを構成するパイプ6、ノズル7、ポンプ11、モータ10、インバータ9の数を任意の数に変更しても良い。また、ユニットUの数も任意に変更できる。
【0061】
ノズル7からの噴霧量の制御は、このユニットU毎に行うと容易である。すなわち、冷却液W2の噴霧量を増減させる場合、全てのユニットUの噴霧量を均一に増減してもよいが、特定のユニットUの噴霧量のみを変更しても良い。例えば、冷却塔2に供給される排ガスG1の温度が予想よりも高かった場合、早く冷却するために、冷却塔2の下部に配置したノズル7を有するユニットUを制御し、冷却塔2の下部に配置したノズル7から噴霧する冷却液W2の量を増やすと良い。
【0062】
(空気圧縮機)
前記ノズル7は、噴霧孔の寸法(オリフィス径)を変えることができないため、ポンプ11からノズル7へ冷却液W1の輸送量を減らすと、ミストW2の粒子径が大きくなってしまう。そこで、空気圧縮機を設けて、ポンプ11とノズル7の間の流路に、圧縮空気G3を送るようにしても良い。すなわち、ポンプ11からノズル7へ冷却液W1の輸送量が所定値以下となるときに、この空気圧縮機を起動させ、輸送液に圧縮空気G3を混入する。このように圧縮空気G3を用いることで、ノズル7から噴霧するミストW2の噴霧速度を維持し、ミストW2の粒子径(平均粒子径60μm以下)を維持することができる。なお、空気圧縮機を起動するきっかけとなる前記所定値を例示すると、ポンプ11が輸送可能な冷却液W1の量の最大値に対して、実際の輸送量が60%以下となり、平均粒子径が60μmを超えた場合を挙げることができる。
【0063】
(ノズル7の保護)
ノズル7の噴霧孔の周りに渦流が発生し、それによりノズルにダストが付着および固着する可能性がある。また、ノズル7内にスケールが生じる可能性もある。それらのダストおよびスケールは、次第に噴霧孔を塞ぎ、ミストW2の噴霧を困難にする。特に本発明のノズル7は、オリフィスが非常に小さいため塞がりやすい。
【0064】
この問題を解決するため、噴霧液を浄化するフィルタ12として、ナノスケールのフィルタ12を用いると良い。例えば、0.1μmのフィルタ12を用いて、ファウリングインデックス値(FI値)を3以下にすると良い。これにより、ノズル7内にスケールが発生することを抑制できる。
【0065】
次に、高温の排ガスG1を冷却している間のノズル7保護について説明する。本発明の排ガス冷却装置1は、1個のノズル7から噴霧するミストW2の量が少ないため、多数のノズル7を配している。冷却塔2に供給する排ガスG1の流量が少ない場合や、前記排ガスG1の温度が低い場合は、一部のノズル7からミストW2の噴霧を行わないことで、全体のミスト量を制御している。しかし、ミストW2を噴霧しないノズル7は、排ガスG1の熱に晒されることで劣化したり、損傷したりしてしまう。そこで本発明では、ミストW2を噴霧していなかったノズル7にも通水を行い、少量のミストW2を噴霧させることで、ノズル7を冷却して、排ガスG1からノズル7を保護する。少量のミストW2を噴霧するためには、例えば0.5MPaの圧力で1m
3/minの空気を流す必要があり、それにより例えば80L/minのミストW2を噴霧させることができる。なお、この空気を流すために、送風機13(ブロア13)を設け、その送風機13からノズル7へ空気G4を送り、ノズル7から空気G4を噴き出させるようにすると良い。また後述するように、この送風機13は排ガスG1の冷却を停止している間なども用いることができる。
【0066】
排ガスG1の冷却を終了する際は、給気口3からの排ガスG1の供給量を徐々に減らし、それに従ってミストW2の噴霧量も徐々に減らす。この過程では、冷却対象の排ガスG1の量が少なく、噴霧されるミストW2の量も少ないため、二流体方式に切り替えることが好ましい。そして、ノズル7の金属が腐食しない温度にまで、冷却塔2内部の温度が低下したら、高圧ポンプ11の運転を止め、冷却液W2の噴霧を停止する。その後、清浄な空気G4を高圧でノズル7から噴出させて、ノズル7に残留している水滴を除去し、乾燥時のスケール析出および付着を防止すると良い。
【0067】
次に、排ガスG1を冷却していない間のノズル7保護について説明する。具体的には、前記送風機13からノズル7内に空気G4を送り、ノズル7から空気G4を噴出させると良い。この空気G4の噴き出しにより、ノズル7の周囲にダストが付着することを防止できる。なお、ノズル7から噴出させる空気G4は清浄なものが好ましいため、送風機13とノズル7の間に図示しない高精度のフィルタを設けると良い。
【0068】
(冷却方法)
本発明に係る排ガス冷却方法を説明する。まず、高炉等から排出された高温(例えば1000℃)の排ガスG1が、給気口3から冷却塔2内へ送られる。供給された排ガスG1は、冷却塔2内を旋回しながら上昇し、冷却塔2上部に設けた排気口4から排気された後、後段の集塵機へと送られる。冷却塔2内では、ノズル7から下方へ向かってミストW2が噴霧される。噴霧されるミストW2の粒径は、例えば平均粒径約50μmであり、均質であるため、瞬時に蒸発する。この蒸発潜熱により排ガスG1が冷却されて、冷却された排ガスG2となり、排気口4から排気される際には、200℃以下まで冷却される。なお、ダイオキシンの生成を防止するために、170℃以下まで冷却することが好ましい。
【0069】
本発明の前記ノズル7は一流体ノズルであるため、大口径の二流体ノズルのように大量の空気を要しない。従って、空気生成装置を設置する必要がなく、排ガス冷却装置全体のイニシャルコストを大幅に削減できるとともに、空気生成装置のメンテナンスにかかっていたランニングコストも生じなくなる。また、空気生成装置の設置場所も不要となる。さらに、圧縮空気がノズル7から噴霧されないため、冷却塔2内のガス量が増えない。したがって、後段の集塵機の処理容量が増えるということもない。なお、前記空気圧縮機やブロワ13を設けても良いが、この場合であっても、排ガス冷却装置1全体が必要とする空気量は従来よりも圧倒的に少なく、前記の各効果は十分に発揮される。
【0070】
また、ノズル7から噴霧されるミストW2は瞬時に蒸発するため、排ガスG1にミストW2を噴きかけても排ガスG1の湿度はほとんど変わらず、極めて低いものとなる。従って、後段にある図示しない集塵機のフィルタが濡れて目詰まりを起こしたり、フィルタに付着した水と排ガスG1が反応して集塵機を腐食したりすることを防止できる。
【0071】
また、本発明のミストW2は瞬時に蒸発するため、従来のようにミスト粒子が落下して蒸発するまでの時間を長く確保する必要がない。そのため、従来よりも冷却塔2をコンパクトにする(冷却塔2の高さを低くする)ことができ、イニシャルコストを低減できる。
【0072】
また、噴霧したミストW2は液だれがせず、無駄が生じない。そのため、従来のように噴霧したミストの一部が蒸発せずに落下し、スラッジ貯留部に濁り水として溜まるようなこともない。従って、スラッジ貯留部5のスラッジを処理する作業量が少ない。
【0073】
本発明の排ガス冷却装置1は、給気口3の排ガスG1の温度と排気口4の排ガスG2の温度を測定し、排ガスG1の冷却が足りない場合は、ミストW2の噴霧量を増やす制御を行う。逆に、排ガスG1の冷却が過剰な場合は、ミストW2の噴霧量を減らす制御を行う。噴霧したミストW2は瞬時に蒸発し、無駄が少ないため、排ガスG1を設定温度まで冷却する制御の精度が高い。また、噴霧したミストW2は蒸発しやすく、排ガスG1を冷却する効果が高いため、排ガス冷却装置1を起動した直後であっても、すぐに排ガスG1の温度を低下させることができる。
【0074】
また、本発明の排ガス冷却装置1に用いるノズル7は一流体ノズルであり、排ガスG1の冷却温度をミストW2の噴霧量(水量)の調節のみで行う。そのため、二流体ノズルのように、空気の流量を調整するバルブ等が不要となるため、バルブスタンドをコンパクトにすることができる。