(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
セラミックスからなり上面に試料保持面を有する基体と、金属からなり上面で前記基体の下面を覆う支持体とが、インジウムまたはインジウム合金からなる接合層を介して接合されており、該接合層は、前記基体との接合面および前記支持体との接合面の少なくとも一方に前記接合層の厚み方向における中間領域よりもインジウム酸化物の含有率が高い層領域を有する試料保持具。
前記層領域は、前記基体との接合面内に前記インジウム酸化物からなる部分と前記インジウムまたは前記インジウム合金からなる部分とが混在している請求項1記載の試料保持具。
前記層領域は、前記支持体との接合面内に前記インジウム酸化物からなる部分と前記インジウムまたは前記インジウム合金からなる部分とが混在している請求項1記載の試料保持具。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施形態に係る試料保持具について、図面を用いて詳細に説明する。
【0009】
図1は本発明の試料保持具の一実施形態を示す断面図である。
図1(a)および
図1(b)に示す試料保持具1は、セラミックスからなり上面に試料保持面を有する基体2と、金属からなり上面で基体の下面を覆う支持体3とが、インジウム(In)またはインジウム合金からなる接合層4を介して接合されており、接合層4は、基体2との接合面および支持体3との接合面の少なくとも一方に、接合層4の厚み方向における中間領域6よりもインジウム酸化物の含有率が高い層領域5を有する。具体的には、
図1(a)においては、接合層4と支持体3との接合面に層領域5が設けられている。また、
図1(b)においては、接合層4と基体2との接合面に層領域5が設けられている。なお、ここでいう中間領域6とは以下の領域を指す。具体的には、
図1(a)に示すように接合層4と支持体3との接合面に層領域5がある場合には、接合層4のうち層領域5よりも上に位置する部分が中間領域6である。また、
図1(b)に示すように接合層4と基体2との接合面に層領域5がある場合には、接合層4のうち層領域5よりも下に位置する部分が中間領域6である。さらに、
図1(c)に示すように、接合層4と支持体3との接合面および接合層4と基体2との接合面にそれぞれ層領域5がある場合には、2つの層領域5の中間に位置している部分が中間領域6である。
【0010】
なお、ここでいうインジウム酸化物の含有率が高い層領域5としては、例えば、インジウムまたはインジウム合金中にインジウム酸化物が存在している場合が挙げられる。また、インジウム酸化物の含有率が高い層領域5の別の例としては、層領域5の全体がインジウム酸化物から成る場合も挙げられる。
【0011】
中間領域6と層領域5とは、例えば、以下の方法で区別できる。具体的には、試料保持具1を試料保持面に垂直な断面で切断する。そして、試料保持具1のうち接合層4を含む部分をアルゴン(Ar)イオン銃により0〜1μm程度のイオンエッチングを行なうことで切断面を洗浄する。さらに、切断面における接合層4の領域をオージェ電子分光分析装置を用いて、酸素について元素面分析または接合層深さ方向の元素線分析を行なう。このようにして得られた元素面分析の結果または元素線分析の結果において、酸素量の最大値と最小値とを確認して、これらの最大値と最小値との和の半分の値を求める。そして、接合層4のうち基体2または支持体3との接合面付近において、この最大値と最小値との和の半分の値よりも、酸素量が多い領域を層領域5と見なすことができる。また、この最大値と最小値の和の半分の値よりも、酸素量が少ない領域を中間領域6と見なすことができる。
【0012】
基体2を構成するセラミック材料は、所定の目的に応じて選択すればよく、特に制限されない。試料保持具が、静電チャックとして用いられる場合には、アルミナ、サファイア、アルミナ−チタニア複合材またはチタン酸バリウムのような酸化物系セラミックスあるいは窒化アルミニウム等の窒化物系セラミックスが好適に用いられる。
【0013】
支持体3を構成する金属は特に制限されない。ここで金属とは、セラミックス−金属複合材および繊維強化金属等の金属からなる複合材料も含まれる。一般的に、ハロゲン系の腐食性ガス等に曝露される環境下では、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、ステンレス鋼またはニッケル(Ni)あるいはこれらの金属の合金を使用することが好ましい。また、構造は特に限定されないが、例えば、後述の変形例(
図6参照)の通り、気体または液体等の熱媒体を循環させる流路を備えていることが好ましい。この場合には、熱媒体として、水またはシリコーンオイル等の液体あるいはヘリウム(He)または窒素(N
2)等の気体が好適に用いられる。
【0014】
例えば、
図1(a)および
図1(b)に示すように、インジウム酸化物の含有率が高い層領域5を形成するためには、以下の方法を用いることができる。具体的には、大気中で基体2の接合面および/または支持体3の接合面の一部または全面にインジウムまたはインジウム合金の溶湯を塗布し、ポリテトラフルオロエチレン製のターナーまたは耐熱性のあるウエスで薄く延ばして、180℃以上に加熱するとよい。このようにすることで、インジウム(In)と酸素(O)との反応が促進され、好適にインジウム酸化物からなる層領域5を形成することができる。
【0015】
接合層4のうち層領域5以外の部分は、上述の層領域5を形成した基体2と支持体3とをインジウムの融点である156.6℃以上に加熱して、基体2と支持体3との間に新たにインジウムまたはインジウム合金の溶湯を介在させることによって形成することができる。溶湯を使用しない場合には、層領域5を形成した基体2と支持体3とを一旦、室温にまで冷却して、別途インジウム箔を設けるとともに、再度、インジウムの融点以上に加熱することによって接合層4を形成してもよい。以上のようにして、中間領域6よりもインジウム酸化物の含有率が高い層領域5が形成された接合層4を得ることができる。
【0016】
ここで、接合層4を構成するインジウムは、純金属であるか、またはインジウム合金である。なお、インジウムの純金属には製造の都合上、不可避な不純物を含有していてもよい。インジウムと合金化する金属は、合金の融点がインジウムの純金属の融点である156.6℃以下に下がらないものであれば好適に使用できる。
【0017】
このようにして得られた試料保持具1は、層領域5の融点が接合層4の融点以上であるため、ヒートサイクル下において接合界面が変形し難い。さらに、層領域5と基体2との間または層領域5と支持体3との間の接合強度が強いために、ヒートサイクル下においても試料保持面の平面度および平行度を維持できる。
【0018】
さらに好ましくは、
図1(c)に示すように、接合層4と基体2との接合面および接合層4と支持体3との接合面にそれぞれ層領域5を形成することが好ましい。これにより、試料保持面の平面度および平行度をさらに安定して維持できる。
【0019】
ここで、層領域5は、
図2に示す部分断面図のように、基体2との接合面内または支持体3との接合面内にインジウム酸化物からなる部分50とインジウムまたはインジウム合金からなる部分51とが混在していてもよい。インジウムまたはインジウム合金は、ヤング率が低く非常に柔らかい。そのため、使用に際しての加熱時または冷却時に、接合層4と基体2との間または接合層4と支持体3との間の熱膨張差によって歪みが生じたとしても、インジウムまたはインジウム合金からなる部分51によってこれを緩和することが可能である。
【0020】
なお、インジウム酸化物の含有率が高い層領域5は、
図1(a)〜(c)に示すように、接合面の全面に設けられていることが好ましい。これにより、試料保持面の平面度および平行度をさらに安定して維持できる。
【0021】
また、
図3(a)〜(c)に示すように、インジウム酸化物からなる層領域5は、接合面の一部にあってもよい。具体的には、接合面にインジウムまたはインジウム合金からからなる接合層4とインジウム酸化物の含有率が高い層領域5とが存在することが好ましい。熱伝導が良好なインジウムからなる接合層4によって、熱を良好に伝えることができる。そのため、基体2と支持体3との間で熱の分布の偏りが起こることを低減できる。その結果、ヒートサイクル下における試料保持面の平面度および平行度をさらに安定して維持できる。
【0022】
また、
図4に示すように、中間領域6と層領域5との界面は凹凸面であってもよい。このように、界面を凹凸面とすることで、中間領域6と層領域5との間にアンカー効果が生じる。その結果、接合層4の強度をさらに向上させることができる。
【0023】
この際、接合界面は、
図4に示すように、凹凸の高さが不均一であることが好ましい。高温環境下において柔らかくなった接合層4が、熱応力によって例えば横方向にずれようとしたとしても、硬いインジウム酸化物の含有率が高い層領域5に引っかかることによって横ずれが抑制される。その結果、試料保持具1に反りが生じる可能性を低減できる。
【0024】
また、層領域5を形成するインジウム酸化物は、揮発温度が850℃と高温であり、かつ非常に硬質であるために層領域5の接合界面が変形し難くなる。その結果、試料保持面の平面度および平行度を維持できる。さらに、インジウム酸化物はインジウムよりも体積固有抵抗が高いため、電波吸収体(ノイズフィルタ)として機能する。すなわち、試料保持具が静電チャックである場合には、高周波環境下で吸着電極に高周波ノイズが重畳し難くなる。その結果、ウエハに対する試料保持具1の経時的な吸着力変動を抑制できる。
【0025】
また、
図5(a)〜(c)に示すように、基体2の下面および支持体3の上面の少なくとも一方に、標準酸化還元電位E
Oがインジウム(インジウム標準酸化還元電位E
O=−0.34V)よりも大きい金属を1種以上含有する被覆層7を有することが好ましい。被覆層7がインジウムよりも貴な金属、あるいは主成分が貴な金属からなることによって、異種金属が接触することで経時的に生じる電気化学的な界面腐食、すなわち支持体3のアノード溶解を抑制できる。この結果、試料保持具1の長期信頼性を向上できる。なお、ここでインジウムよりも貴な金属とは、標準酸化還元電位E
Oがインジウムよりも大きい金属をいう。具体的には、ニッケル(ニッケル標準酸化還元電位E
O=−0.257V)、銅(銅標準酸化還元電位E
O=+0.34V)、銀(銀標準酸化還元電位E
O=+0.799V)、パラジウム(パラジウム標準酸化還元電位E
O=+0.915V)、白金(白金標準酸化還元電位E
O=+1.188V)または金(金標準酸化還元電位E
O=+1.52V)等が挙げられる。
【0026】
また、この被覆層7は、ニッケル、銅または銀−銅−チタンの少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの金属は緻密な酸化皮膜を形成し易いことから、上記の界面腐食をさらに抑制できる。
【0027】
図6に本発明の試料保持具1の変形例を示す。本変形例において、試料保持具1は静電チャックである。基体2は、シリコンウエハ等の被保持物13と同程度の大きさを有する円盤状に形成されていて、上面が被保持物13の試料保持面となる。そして、基体2は、内部に設けられた静電吸着用電極8を有する。この静電吸着用電極8は、材質および構造は特に限定されない。静電吸着用電極8は、スクリーン印刷法を用い、例えば白金またはタングステン等の金属を所定の形状に形成することで、あるいは金属箔を埋設することで得られる。
【0028】
静電吸着用電極8にはリード線が接続されていて、このリード線を介して直流電源12に接続されている。一方、試料保持面に吸着される被保持物13は、アースと直接に接続またはプラズマによって電気的に接続されている。これにより、吸着用電極8と被保持物13との間に静電吸着力が発現し、被保持物13を試料保持面に吸着固定できる。
【0029】
また、基体2の中央部には、支持体3の下面から基体2の保持面まで貫通したガス導入孔11が設けられている。また、試料保持面の近傍領域にはガス流路(図示せず)が形成されており、このガス流路はガス導入孔11と繋がっている。そして、試料保持面に被保持物13を吸着したとき、ガス導入孔11から被保持物13とガス流路とで構成される空間にヘリウムガス等の冷却ガスを供給することで、ガス流路と被保持物13との間および試料保持面と被保持物13との間の熱伝達を良好にし、被保持物13の温度分布が均一となるように制御することができる。
【0030】
前述のように、基体2と支持体3との接合を、層領域5を有する接合層4で形成することで、基体2の平面度および平行度を維持することができるため、被保持物13と基体2との間に空隙が生じ難くすることができる。このため、静電チャックを加熱使用したときの被保持物13の面内での吸着力のばらつきを小さくできる。
【0031】
また、本変形例における試料保持具1である静電チャックにおいて、基体2は、内部に設けられた加熱用の発熱抵抗体9を有する。発熱抵抗体9の材質および構造は特に限定されない。発熱抵抗体9は、スクリーン印刷法を用いて、例えば白金またはタングステン等の金属を所定の形状に形成することで、あるいは線材のコイル等を埋設することで得られる。
【0032】
この場合も、基体2と支持体3との接合を、層領域5を有する接合層4で形成することで、基体2の平面度および平行度を維持することができる。そのため、被保持物13を均一に加熱することができることから、加熱使用時における被保持物13の温度のばらつきを小さくできる。
【0033】
さらに、支持体3は、内部に設けられた熱媒体の流路10を有することが好ましい。基体2の平面度および平行度を維持することができるため、被保持物13の全面での降温または昇温を均一にすることが可能となる。その結果、被保持物13のプロセス処理速度を高速化することができる。
【0034】
以下、試料保持具1について製造方法を説明する。なお、基体2の材料として窒化アルミニウムを用いた場合を例に説明するが、他のセラミック材料を用いる場合であっても、同じ手法で製造できる。
【0035】
まず、主原料となる窒化アルミニウム粉末と焼結助剤となる材料粉末とを所定量秤量し、ウレタンまたはナイロン等の樹脂で内張りを施したボールミル中で、イオン交換水や有機溶媒等の溶媒、有機分散剤およびウレタンまたはナイロン等の樹脂で被覆した金属あるいはセラミックからなるボールと共に24〜72時間湿式粉砕混合をする。この樹脂内張りまたは樹脂被覆ボールに用いる樹脂としては、使用する溶媒に溶解または膨潤しないものを適宜選択すればよい。
【0036】
こうして粉砕混合した原料スラリー中に、ポリビニルアルコールまたはポリビニルブチラール、アクリル樹脂等の有機バインダー、補助的な有機材料として可塑剤および消泡剤を所定量添加し、さらに24〜48時間混合する。混合された有機−無機混合スラリーを、ドクターブレード法、カレンダーロール法、プレス成形法または押出成形法等によって厚み20μm〜20mmのセラミックグリーンシートに成形する。
【0037】
そして、セラミックからなる基体2を形成するセラミックグリーンシートに吸着用電極8および発熱抵抗体9を形成するための白金またはタングステン等のペースト状電極材料を公知のスクリーン印刷法等によって印刷する。
【0038】
ここで、基体2における所定の位置に吸着用電極8および発熱抵抗体9が形成されるように、ペースト状電極材料の印刷されていないセラミックグリーンシートとペースト状電極材料の印刷された上記グリーンシートとを重ねて積層する。積層は、セラミックグリーンシートの降伏応力値以上の圧力を印加しながら、所定の温度で積層する。圧力印加手法としては、一軸プレス法または等方加圧法(乾式または湿式法)等の公知の技術を応用すればよい。
【0039】
次に、得られた積層体を所定の温度および所定の雰囲気中にて焼成して、吸着用電極8および発熱抵抗体9が埋設された基体2を作製する。さらに、基体2の接合面に銀(Ag)70質量%、銅(Cu)28質量%およびチタン(Ti)2質量%からなる活性ロウ材を真空中にて810℃で焼き付けることで、厚み20μmの接合下地を形成する。
【0040】
次に、支持体3を作製する。支持体3としては、アルミニウム(Al)A6061製で、内部に冷却用の水が循環する所定の水路が形成されたものを作製する。水路を循環する熱媒体の導入穴および排出穴は接合面とは異なる面に形成する。この支持体3の接合面に、厚み1〜2μmの亜鉛(Zn)メッキを施し、その上に厚み2〜5μmの無電解ニッケル(Ni)メッキを施すことで接合下地を形成する。
【0041】
次に、インジウム酸化物の含有率が高い層領域5を形成すべく、大気中で基体2および/または支持体3の接合面に純インジウム(In)の溶湯を導入し、ポリテトラフルオロエチレン製のターナーで薄く延ばし、純インジウムの融点である156.6℃以上かつ250℃以下、好ましくは170℃〜210℃、さらに好ましくは170℃〜190℃で10分以上の加熱を行なう。250℃以下で加熱を行なうことによって純インジウムと大気中の酸素との反応を抑制でき、156.6℃以上で加熱を行なうことによってインジウムを溶融させることができる。以上のようにして、インジウム酸化物の含有率が高い層領域5として、インジウム酸化物からなる層領域を形成する。
【0042】
続いて、層領域5を形成した基体2と支持体3とをインジウムの融点である156.6℃以上かつ250℃以下、好ましくは170℃〜210℃、さらに好ましくは170℃〜190℃に加熱し、接合時に下側に配置する支持体3の層領域5の上に新たに純インジウムの溶湯を注ぎ、基体2の接合面(層領域5の面)を被せ、重しを載せて、自然冷却することによって接合層4を形成する。接合時の重しは特に制約はないが、接合荷重が0.05MPa以上、好ましくは0.1MPa以上、さらに好ましくは0.2MPa以上となるような重しを用いるとよい。また、重しは基体2と同等のサイズのものでも、小さなサイズのものを複数配置しても構わないが、基体2に複数の穴が形成されている場合は穴周りに小さなサイズの重しを複数配置すると、穴周りの接合層4の厚みばらつきを小さくできる点で好ましい。
【0043】
以上の製造方法により、試料保持面の平面度および平行度を維持できる試料保持具1を作製できる。
【0044】
なお、層領域5は目的に応じて、所定の部位にのみ形成することができる。この場合には、耐熱粘着ポリイミドシートまたは耐熱粘着ポリテトラフルオロエチレンシート等の公知の耐熱性樹脂フィルムあるいはシートをマスキング材として基体2または支持体3に貼り付けて、この状態で層領域5を形成すればよい。所定の部位に層領域5を形成した後、マスキング材を除去すると、その後に形成する純インジウムまたはインジウム合金からなる接合層4のうち層領域5以外の部分を基体2または支持体3のうち層領域5が形成されていない部分に形成することができる。このようにすることで、層領域5を部分的に形成できる。
【0045】
また、
図2に示す部分断面図のように、基体2との接合面内および支持体3との接合面内にそれぞれインジウム酸化物からなる部分50とインジウムまたはインジウム合金からなる部分51とが混在した層領域5を形成する場合には、基体2または支持体3が純インジウムの標準酸化還元電位よりも標準酸化還元電位が低い金属成分を有していればよい。すなわち金属成分のイオン化傾向を純インジウムよりも大きくすることによって、上述の層領域5を形成できる。この形成のメカニズムは、電気化学的な置換反応またはアノード溶解機構に基づくと考えられる。
【0046】
また、層領域5にインジウム酸化物からなる部分50とインジウムまたはインジウム合金から成る部分51とが混在している状態を形成する場合には、以下の方法を用いることもできる。具体的には、層領域5を形成する際に大気中で加熱を行なう代わりに窒素またはアルゴン等の不活性ガスと酸素との混合ガス中で加熱を行なうことによって、純インジウムまたはインジウム合金とインジウム酸化物とが混在した層領域5を形成できる。このとき、酸素濃度は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であればよい。酸素濃度を低く設定することによって、層領域5中のインジウム酸化物を小さな状態で細かく分散させることができる。
【0047】
また、
図5に示したような被覆層7を形成する場合には、基体2または支持体3にメッキ、蒸着法または活性金属メタライズ法等の公知の手法により、純インジウムの標準酸化還元電位よりも標準酸化還元電位が大きな、貴な金属成分からなる層を形成すればよい。
【実施例1】
【0048】
図1(a)〜(c)に示す構造を有する本発明の試料保持具1について、以下の通り10個の試料を作製した。具体的には、最初にセラミックスからなる基体2と支持体3とを準備した。
【0049】
基体2は、縦50mm、横50mm、厚み15mmの窒化アルミニウムからなる。基体2の作製においては、純度99.9質量%、平均粒径D50が0.5μmの窒化アルミニウム粉末を用い、この粉末100質量部に対し、トルエン80質量部、分散剤0.5質量部を加えて、ナイロン内張りを施したボールミル内でφ20mmの樹脂被覆ボールと共に48時間湿式粉砕混合をした。
【0050】
続いて、この湿式粉砕混合スラリーに対し、可塑剤とバインダーとを添加した。可塑剤は、窒化アルミニウム粉末100質量部に対し、フタル酸ジブチルおよびフタル酸ジオクチルを各々2質量部、バインダーとしてポリビニルブチラールを固形分換算で12質量部添加して、さらに30時間湿式混合をした。次に、混合された有機−無機混合スラリーを、ドクターブレード法によって厚み300μmのセラミックグリーンシートに成形した。次に、所定の厚みとなるようにグリーンシートを重ね、一軸プレス法にてグリーンシートの降伏応力以上の圧力、具体的には5MPaの圧力を印加しながら、80℃以上の温度で積層した。
【0051】
次に、得られた積層体を、還元雰囲気中、2000℃で、3時間焼成して基体2を得た。得られた基体2には、ロータリー研削加工によって厚み加工を、平行研削加工によって寸法加工を施し、保持面はラップ加工によって算術平均粗さRaを0.1μm以下に仕上げ、接合面は算術平均粗さRaを1.6μm以下に仕上げた。
【0052】
一方、支持体3は、縦50mm、横50mm、厚み15mmにアルミニウムA6061合金を加工して作製した。接合面はラップ加工によって算術平均粗さRaが1.6μm以下になるように仕上げた。
【0053】
続いて、9個の試料(試料No.2〜試料No.10)に対して大気中で基体2および/または支持体3の接合面全面に純インジウムの溶湯を導入し、ポリテトラフルオロエチレン製のターナーで薄く延ばし、180℃で10分加熱し、インジウム酸化物からなる層領域5を形成した。この層領域5に対して、X線光電子分光分析(XPS)、透過型電子顕微鏡(TEM)および電子エネルギー損失分光分析(EELS)を行なうことで、インジウム酸化物が形成されていることを確認した。
【0054】
このようにして形成された層領域5を有する試料(試料No.2〜試料No.10)を、所定の雰囲気下で再度175℃に加熱し、接合時に下側に配置する支持体3の層領域5の上に、φ0.6mmのCu線からなるスペーサを介在させて、新たに純インジウムの溶湯を注いだ。続いて、基体2の接合面を被せ、接合荷重が0.2MPaとなるように重しを載せ、自然冷却して接合層4のうち層領域5以外の部分を形成した。
【0055】
また、比較対象として、層領域5を有していない試料保持具(試料No.1)も作製した。具体的には、N
2雰囲気下で基体および支持体を170℃に加熱し、接合面全面に各々純インジウムの溶湯を導入してインジウムの下地を形成し、すぐにインジウム溶湯を追加して両者を貼り合わせて接合した。この下地は、下記の評価用とは別に試験片を作製し、前述と同様の解析の結果、純インジウムであった。
【0056】
そして、作製した試料保持具1の平行度および平面度を3次元測定機で計測し、その後、0℃から120℃まで加熱した後、120℃から0℃まで冷却するサイクルを1サイクルとして、300サイクルの冷熱サイクル耐久試験を実施した。耐久試験後に、再度、3次元測定機で平行度および平面度を測定し、初期値からの変化率を算出した。この際、変化率が1%以下であった場合には、初期値から変化なしとして扱った。
【0057】
また、上記の冷熱サイクル耐久試験前後で超音波探傷を行なった。本発明の試料保持具1(試料No.2〜試料No.10)は接合層4または層領域5において剥離は発生しなかったが、比較対象の試料No.1では、外周端部において剥離が一部確認できた。
【0058】
また、試料保持具の試験片に対して層領域5の十点平均粗さRzJISの測定を行なった。各測定の結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
試料No.2〜試料No.10の結果から明らかなように、接合面全面に層領域5を形成した本発明の試料保持具1は、300サイクルの冷熱サイクル耐久試験後も平面度および平行度が変化していない。さらに詳細に見ると、試料No.2〜試料No.10の結果から明らかなように、層領域5は基体2または支持体3のいずれか一方に形成されていれば平面度および平行度を維持できることが確認できた。特に、試料No.8〜試料No.10の結果からは、基体2および支持体3の両方に層領域5を形成することで、さらに平面度および平行度を維持できることが確認できた。
【0061】
さらに、試料No.2〜試料No.4、試料No.5〜試料No.7および試料No.8〜試料No.10の結果から、RzJISが大きい、つまり、凹凸の高低差が大きいほど、平面度および平行度を維持できることが確認できた。
【実施例2】
【0062】
図3(a)〜(c)の構造を有する本発明の試料保持具1について、以下の通り12個の試料(試料No.12〜試料No.15、試料No.17〜試料No.20、試料No.22〜試料No.25)を作製した。具体的には、最初にセラミックスからなる基体2と支持体3とを準備した。基体2は、直径300mm、厚み15mmの窒化アルミニウムからなる。基体2の作製は実施例1と同様の方法で実施した。
【0063】
一方、支持体3は、直径300mm、厚み15mmにアルミニウムA6061合金を加工して作製した。これも実施例1と同様に、接合面はラップ加工にて表面粗さRaで1.6μm以下に仕上げた。
【0064】
続いて、基体2および/または支持体3の接合面内のうち、外周から5mmまたは10mm以内に直径5mmまたは10mmの円形のドットが10mm間隔で均等に配置されるように形成した耐熱粘着ポリイミドシートのマスクを準備し、所定の位置に貼り付けた。
【0065】
そして、大気中でマスクを貼った基体2および/または支持体3の接合面全面に純インジウムの溶湯を導入し、ポリテトラフルオロエチレン製のスキージで略100μmの厚みとなるように薄く延ばして、180℃で10分加熱した。このようにして、インジウム酸化物からなる層領域5を形成した後、自然冷却してから、マスクを除去した。この層領域5は、実施例1と同様の分析によって、インジウム酸化物であることを確認した。なお、比較の対象として、接合面全面に層領域5を形成した試料(試料No.11、試料No.16および試料No.21)も作製した。
【0066】
このようにして形成された層領域5を有する基体2および支持体3を、所定の雰囲気下で再度175℃に加熱し、接合時に下側に配置する支持体3の層領域5の上に、φ0.6mmの銅(Cu)線からなるスペーサを介在させて、新たに純インジウムの溶湯を注いだ。続いて、基体2の接合面を被せ、接合荷重が0.05MPaとなるように重しを載せ、自然冷却して接合層4のうち層領域5以外の部分を形成した。
【0067】
そして、作製された試料保持具1の平行度および平面度を3次元測定機で計測した。続いて、120℃に加熱したシリコーンオイルが循環する恒温槽に、支持体3の接合面と反対側の下面から5mmの領域まで浸けて、30分放置した。その後、基体2の保持面を赤外線カメラ(サーモビュア)で観察し、得られた温度プロファイルのうち、最大温度と最小温度との差を面内温度ばらつきΔTとして測定した。
【0068】
その後、0℃から120℃まで加熱した後、120℃から0℃まで冷却するサイクルを1サイクルとして、300サイクルの冷熱サイクル耐久試験を実施した。耐久試験後に、再度、3次元測定機で平行度および平面度を測定して、初期値からの変化率を算出した。この際、1%以下の変化率であった場合を平面度および平行度が初期値から変わらない場合と定義した。さらに、上記の冷熱サイクル耐久試験後に、再度ΔTの測定を実施した。各測定の結果を表2に示す。
【0069】
【表2】
【0070】
試料No.12〜試料No.15、試料No.17〜試料No.20および試料No.22〜試料No.25の結果から明らかなように、接合面の一部に層領域5を形成した本発明の試料保持具1は、300サイクルの冷熱サイクル耐久試験後も平面度および平行度が変化していないことを確認できた。
【0071】
さらに、各種試料のΔTの比較結果から、純インジウムを接合面に部分的に存在させることで、基体2の保持面の温度分布が改善されていることが確認できた。これは、層領域5に発生する熱応力をヤング率が低い純インジウムが緩和することによって、層領域5の密着性が損なわれないことによると推察される。また、純インジウムは熱伝導性が良好であることから、均熱性が向上したと考えられる。
【実施例3】
【0072】
図6の構造を有する本発明の試料保持具1について、以下の通り13個の試料(試料No.27〜試料No.39)を作製した。具体的には、最初にセラミックスからなる基体2と支持体3とを準備した。基体2は、直径300mm、厚み15mmの窒化アルミニウムからなる。セラミックグリーンシートは実施例1と同様の方法で作製し、基体2を構成する所定枚数のセラミックグリーンシートのうち、静電吸着用電極8および発熱抵抗体9が形成されるセラミックグリーンシートに、タングステンペーストを用いて所定の形状にスクリーン印刷法によって印刷成形した。
【0073】
次に、基体2における所定の位置に静電吸着用電極8および発熱抵抗体9が形成されるように、タングステンペーストを印刷していないセラミックグリーンシートとタングステンペーストを印刷した電極形成グリーンシートおよび発熱抵抗体形成グリーンシートとを重ね、一軸プレス法にてグリーンシートの降伏応力以上の圧力、具体的には5MPaの圧力を印加しながら、80℃以上の温度で積層した。
【0074】
次に、得られた積層体を、還元雰囲気中2000℃で3時間焼成し、基体2を得た。得られた基体2にロータリー研削加工にて厚み加工を施し、マシニング加工にてガス導入孔を形成した。さらに、保持面にラップ加工を施して算術平均粗さRaが0.1μm以下になるように仕上げ、さらにマスクを用いたサンドブラスト法にて、高さが12μmのガス流路を所定のパターン形状に形成した。また接合面となる面は、ラップ加工にて算術平均粗さRaが1.6μm以下になるように仕上げた。
【0075】
ここで、試料No.34〜試料No.39について、標準酸化還元電位E
Oがインジウムよりも大きい金属からなる被覆層7を基体2の下面に形成した。具体的には、試料No.34および試料No.37については、基体2の接合面のほぼ全面にAg70質量%、Cu28質量%、Ti2質量%からなる活性ロウ材を真空中、810℃で焼き付け、20μmの被覆層7を形成した。また、試料No.35および試料No.38については、試料No.34および試料No.37と同様の処理を施した後に、活性ロウ材上に無電解Niメッキを施して3μmのNiメッキ層をさらに設けて被覆層7とした。また、試料No.36および試料No.39については、接合面のほぼ全面に銅(Cu)を蒸着法で設けて薄膜状にして被覆層7とした。なお、ここでいう「ほぼ全面」とは静電吸着用電極8および発熱抵抗体9等から引き出された金属製の端子との絶縁を確保できる範囲で被覆層7を設けることを意味している。
【0076】
一方、支持体3は、直径300mm、厚み30mmにアルミニウムA6061合金を加工して作製した。内部に冷却用の水が循環する所定の水路を形成した。水路は、循環水の導入穴と排出穴とが接合面と異なる面に位置するように形成した。また、ガス導入孔11と端子穴は水路を避けて形成した。支持体3の接合面はラップ加工にて算術平均粗さRaが1.6μm以下になるように仕上げた。
【0077】
ここで、試料No.28、試料No.29、試料No.31、試料No.32および試料No.34〜試料No.39について、標準酸化還元電位E
Oがインジウムよりも大きい金属からなる被覆層7を支持体3の上面に形成した。具体的には、試料No.28、試料No.31および試料No.34〜試料No.36については、支持体3の接合面のほぼ全面に予備的に厚み1μmのZnメッキを施して、その上に厚み5μmの無電解Niメッキを施して被覆層7とした。ここで、Niが標準酸化還元電位E
Oがインジウムよりも大きい貴な金属である。試料No.29、試料No.32および試料No.37〜試料No.39については、支持体3の接合面の全面にCuを蒸着法で設けて薄膜状にして被覆層7とした。なお、Cuは標準酸化還元電位E
Oがインジウムよりも大きい貴な金属である。
【0078】
続いて、大気中で基体2および/または支持体3の接合面のほぼ全面に純インジウムの溶湯を導入し、ボリテトラフルオロエチレン製スキージで厚みが略100μmとなるように薄く延ばし、180℃で10分加熱して、インジウム酸化物からなる層領域5を形成した。この層領域5は別途、実施例1と同様の解析手法によってインジウム酸化物であることを確認した。
【0079】
このようにして形成された層領域5を有する基体2および/または支持体3を、所定の雰囲気下で再度175℃に加熱して、接合時に下側に配置する支持体3の上面または層領域5の上に純インジウムの溶湯を注いだ。続いて、基体2の接合面を被せて、接合荷重が0.2MPaとなるように重しを載せ、自然冷却して接合層4のうち層領域5以外の部分を形成した。
【0080】
比較対象として、公知の技術による試料保持具(試料No.26)も作製した。N
2雰囲気下で基体および支持体を170℃に加熱し、接合面全面に各々純インジウムの溶湯を導入してインジウムの下地を形成し、すぐにインジウム溶湯を追加して両者を貼り合わせ接合した。この下地は、下記の評価用とは別に試験片を作製し、前述と同様に解析した結果、純インジウムであった。
【0081】
作製した試料保持具1の平行度および平面度を3次元測定機で計測した。続いて、支持体3に所定量の流量で冷却水を循環させつつ、基体2の保持面を赤外線カメラ(サーモビュア)で観察しながら発熱抵抗体9に通電し、保持面内の最大温度を120℃に固定した。この時、得られた温度プロファイルのうち、最大温度と最小温度との差を面内温度ばらつきΔTとして測定した。なお、発熱抵抗体9への通電を停止して冷却されるまで、赤外線カメラの温度プロファイルを確認したところ、保持面における降温速度は均一であった。
【0082】
次に、試料保持具1を公知のプラズマ反応真空チャンバーに固定した。プラズマ反応真空チャンバーは、高周波プラズマを発生させ、発生したプラズマにエネルギーを与えて制御する目的で、RF(無線周波)電力を使用する。RF供給電力およびRFバイアス電力は、RF電源に接続しており、RF供給電力をチャンバーの誘導コイルに接続し、RFバイアス電力を支持体3に接続(図示せず)した。このようにして、RFバイアス電力は、バイアス電流の帰還回路を備える前記チャンバー内のプラズマ発生領域内に設置したアース電極と協調し、被保持物であるシリコンウエハと支持体3とを介してプラズマに容量的に結合する。RFバイアスの周波数は13.56MHzとした。
【0083】
また、支持体3に所定量の流量で冷却水を循環させつつ、保持面が120℃になるように発熱抵抗体に通電加熱して、以下の評価を実施した。
【0084】
保持面に対して、高周波プラズマが1サイクル70秒発生するよう処理しながら、静電吸着用電極8に所定の電圧を印加し直径300mmのシリコンウエハを吸着固定した。吸着力の測定はロードセルを用いながら実施したが、70秒経過後に高周波およびRFバイアスをカットし、この時の吸着力に現れる吸着力変動を観測し、RFバイアスカット前後の吸着力の変動率を算出し、2%以下の変動率を吸着力変動がないと定義した。続いて、高周波プラズマ処理を止めて、吸着力を測定した。
【0085】
その後、真空チャンバーから試料保持具1を取り出し、0℃から120℃まで加熱した後、120℃から0℃まで冷却するサイクルを1サイクルとして、300サイクルの冷熱サイクル耐久試験を実施した。耐久試験後に、再度、3次元測定機で平行度および平面度を測定し、初期値からの変化率を算出した。この際、変化率が1%以下の場合には、平行度および平面度に変化なしとして扱った。
【0086】
また、冷熱サイクル耐久試験後に上述のように、真空チャンバー中で高周波プラズマ処理は止めながら、120℃での吸着力を測定し、冷熱サイクル耐久前後の吸着力変化率を求めた。この際、変化率が2%以下の場合には、吸着力に変化なしとして扱った。
【0087】
最後に、試料保持具1は、120℃、1000時間放置の連続耐久を実施し、耐久試験後に、再度、3次元測定機で平行度、平面度を測定し、初期値からの変化率を算出した。
【0088】
また、上記の冷熱サイクル耐久試験前後、連続耐久試験前後で超音波探傷を行なっているが、本発明の試料保持具1では、接合層4、層領域5または被覆層7の剥離は発生しなかったが、比較対象の試料No.26では、外周端部において基体2の剥離が一部確認できたため、以降の連続耐久試験は実施していない。結果は表3に示した。
【0089】
【表3】
【0090】
試料No.27〜試料No.39の結果によって、RFバイアスのカット前後で吸着力の変動が生じていないことが確認できた。これは、層領域5を形成するインジウム酸化物が、周囲の金属(接合層4の純インジウム、支持体3のアルミニウムおよび被覆層7のNiまたはCu等)よりも抵抗が高いため、抵抗性のノイズフィルタとして機能し、吸着力にRFバイアス起因の高周波ノイズが重畳しないためと考えられる。
【0091】
さらに、試料No.28、試料No.29、試料No.31、試料No.32および試料No.34〜試料No.39の結果によって、120℃、1000時間連続耐久後に平面度および平行度をさらに安定して維持していることが確認できた。これは、基体2の接合面および支持体3の接合面の少なくとも一方に、標準酸化還元電位E
Oがインジウム(インジウムの標準酸化還元電位E
O=−0.34V)よりも大きい貴な金属を主成分とする被覆層7を設けたことにより、異種金属が接触することで生じる経時的な腐食、すなわち、本実施例においては支持体3のアノード溶解が防止できたためと考えられる。
【0092】
さらに、試料No.34、試料No.35、試料No.37および試料N0.38の結果によって、活性ロウ材で被覆層7を形成することによって、平面度および平行度をさらに安定して維持できることが確認できた。