(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッド2を含む記録装置であるカラーインクジェットプリンタ1(以下で単にプリンタと言うことがある)の概略の側面図であり、
図1(b)は、概略の平面図である。プリンタ1は、記録媒体である印刷用紙Pをガイドローラ82aから搬送ローラ82bへと搬送することにより、印刷用紙Pを液体吐出ヘッド2に対して相対的に移動させる。制御部88は、画像や文字のデータに基づいて、液体吐出ヘッド2を制御して、記録媒体Pに向けて液体を吐出させ、印刷用紙Pに液滴を着弾させて、印刷用紙Pに印刷などの記録を行なう。
【0011】
本実施形態では、液体吐出ヘッド2はプリンタ1に対して固定されており、プリンタ1はいわゆるラインプリンタとなっている。本発明の記録装置の他の実施形態としては、液体吐出ヘッド2を、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、例えば、ほぼ直交する方向に往復させるなどして移動させる動作と、印刷用紙Pの搬送を交互に行なう、いわゆるシリアルプリンタが挙げられる。
【0012】
プリンタ1には、印刷用紙Pとほぼ平行になるように平板状のヘッド搭載フレーム70(以下で単にフレームと言うことがある)が固定されている。フレーム70には図示しない20個の孔が設けられており、20個の液体吐出ヘッド2がそれぞれの孔の部分に搭載されていて、液体吐出ヘッド2の、液体を吐出する部位が印刷用紙Pに面するようになっている。液体吐出ヘッド2と印刷用紙Pとの間の距離は、例えば0.5〜20mm程度とされる。5つの液体吐出ヘッド2は、1つのヘッド群72を構成しており、プリンタ1は、4つのヘッド群72を有している。
【0013】
液体吐出ヘッド2は、
図1(a)の手前から奥へ向かう方向、
図1(b)の上下方向に細長い長尺形状を有している。この長い方向を長手方向と呼ぶことがある。1つのヘッド群72内において、3つの液体吐出ヘッド2は、印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向、例えば、ほぼ直交する方向に沿って並んでおり、他の2つの液体吐出ヘッド2は搬送方向に沿ってずれた位置で、3つの液体吐出ヘッド2の間にそれぞれ一つずつ並んでいる。液体吐出ヘッド2は、各液体吐出ヘッド2で印刷可能な範囲が、印刷用紙Pの幅方向に(印刷用紙Pの搬送方向に交差する方向に)繋がるように、あるいは端が重複するように配置されており、印刷用紙Pの幅方向に隙間のない印刷が可能になっている。
【0014】
4つのヘッド群72は、記録用紙Pの搬送方向に沿って配置されている。各液体吐出ヘッド2には、図示しない液体タンクから液体、例えば、インクが供給される。1つのヘッド群72に属する液体吐出ヘッド2には、同じ色のインクが供給されるようになっており、4つのヘッド群72で4色のインクが印刷できる。各ヘッド群72から吐出されるインクの色は、例えば、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、シアン(C)およびブラック(K)である。このようなインクを、制御部88で制御して印刷すれば、カラー画像が印刷できる。
【0015】
プリンタ1に搭載されている液体吐出ヘッド2の個数は、単色で、1つの液体吐出ヘッド2で印刷可能な範囲を印刷するのなら1つでもよい。ヘッド群72に含まれる液体吐出ヘッド2の個数や、ヘッド群72の個数は、印刷する対象や印刷条件により適宜変更できる。例えば、さらに多色の印刷をするためにヘッド群72の個数を増やしてもよい。また、同色で印刷するヘッド群72を複数配置して、搬送方向に交互に印刷すれば、同じ性能の液体吐出ヘッド2を使用しても搬送速度を速くできる。これにより、時間当たりの印刷面積を大きくすることができる。また、同色で印刷するヘッド群72を複数準備して、搬送方向と交差する方向にずらして配置して、印刷用紙Pの幅方向の解像度を高くしてもよい。
【0016】
さらに、色の付いたインクを印刷する以外に、印刷用紙Pの表面処理をするために、コーティング剤などの液体を印刷してもよい。
【0017】
プリンタ1は、記録媒体である印刷用紙Pに印刷を行なう。印刷用紙Pは、給紙ローラ80aに巻き取られた状態になっており、2つのガイドローラ82aの間を通った後、フレーム70に搭載されている液体吐出ヘッド2の下側を通り、その後2つの搬送ローラ82bの間を通り、最終的に回収ローラ80bに回収される。印刷する際には、搬送ローラ82bを回転させることで印刷用紙Pは、一定速度で搬送され、液体吐出ヘッド2によって印刷される。回収ローラ80bは、搬送ローラ82bから送り出された印刷用紙Pを巻き取る。搬送速度は、例えば、50m/分とされる。各ローラは、制御部88によって制御されてもよいし、人によって手動で操作されてもよい。
【0018】
記録媒体は、印刷用紙P以外に、ロール状の布などでもよい。また、プリンタ1は、印刷用紙Pを直接搬送する代わりに、搬送ベルトを直接搬送して、記録媒体を搬送ベルト上に置いて搬送してもよい。そのようにすれば、枚葉紙や裁断された布、木材、タイルなどを記録媒体することができる。さらに、液体吐出ヘッド2から導電性の粒子を含む液体を吐出するようにして、電子機器の配線パターンなどを印刷してもよい。またさらに、液体吐出ヘッド2から反応容器などに向けて所定量の液体の化学薬剤や化学薬剤を含んだ液体を吐出させて、反応させるなどして、化学薬品を作製してもよい。
【0019】
また、プリンタ1に、位置センサ、速度センサ、温度センサなどを取り付けて、制御部88が、各センサからの情報から分かるプリンタ1各部の状態に応じて、プリンタ1の各部を制御してもよい。例えば、液体吐出ヘッド2の温度や液体タンクの液体の温度、液体タンクの液体が液体吐出ヘッド2に加えている圧力などが、吐出される液体の吐出特性(吐出量や吐出速度など)に影響を与えている場合などに、それらの情報に応じて、液体を吐出させる駆動信号を変えるようにしてもよい。
【0020】
次に、本発明の一実施形態の液体吐出ヘッド2について
図2〜6を用いて説明する。なお、
図3〜6では、図面を分かり易くするために、下方にあって破線で描くべき流路などを実線で描いており、
図7,8においても同様である。また、
図5においては、連結路17を省略して示している。
【0021】
液体吐出ヘッド2は、ヘッド本体2a以外に、金属あるいは樹脂製の筐体、放熱板、ドライバIC、および配線基板90などを含んでいてもよい。ヘッド本体2aは、外部から送られてきた信号に基づき液体を吐出する機能を有している。
【0022】
配線基板90は、ヘッド本体2aに電流を供給する機能、およびヘッド本体2aに信号を送る機能を有しており、FPC(Flexible Printed Circuit)などにより形成することができる。配線基板90は、アクチュエータ基板40と電気的に接続されており、上方に引き出されている。上方に引き出された配線基板90は、一次流路部材6の貫通孔6aを挿通している。
【0023】
ヘッド本体2aは、一次流路部材6と、二次流路部材4と、アクチュエータ基板40とを備えている。二次流路部材4上にアクチュエータ基板40が設けられており、二次流路部材4上にアクチュエータ基板40を取り囲むように一次流路部材6が設けられている。なお、一次流路部材6は必ずしも設けなくてもよい。以下、二次流路部材4に設けられている二次供給流路20および二次回収流路24が延びる方向を第1方向と称し、二次供給流路20および二次回収流路24が並んでいる方向を第2方向と称する。
【0024】
一次流路部材6は、第2方向に長く設けられている。そのため、一次流路部材6の長手方向は第2方向となっている。一次流路部材6は、外部から供給された液体を二次流路部材4へ供給する機能を有する。二次流路部材4は、第2方向に長く設けられており、一次流路部材6から供給された液体を吐出孔8から吐出するための各種流路を有している。アクチュエータ基板40は、第2方向に長く設けられており、変位素子50を含んでいる。変位素子50は、二次流路部材4に設けられた加圧室10内にある液体を個別に加圧する機能を有している。
【0025】
一次流路部材6は、内部に各種流路を有しており、枠体形状をなしている。一次流路部材6は、アクチュエータ基板40が接続されていない領域で二次流路部材4と接合されており、アクチュエータ基板40を囲むように接合されている。そのため、アクチュエータ基板40に、吐出した液体の一部がミストとなって付着するのを抑制できる。また、一次流路部材6による二次流路部材4の固定が、二次流路部材4の外周で行なわれるため、二次流路部材4が変位素子50の駆動に伴って振動し、共振などが生じるのを抑制することができる。
【0026】
図2(a)に示すように、一次流路部材6は、開口6aと、貫通孔6b1〜6b4とを備えている。開口6aは、配線基板90を上方へ引き出すために設けられている。貫通孔6b1〜6b4には、カプラ等を介してチューブが接続され、貫通孔6b1〜6b4を介して、一次流路部材6への液体の給排が行なわれる。
【0027】
一次流路部材6は、一次供給流路22と、一次回収流路26と、を備えている。一次供給流路22は、一次供給流路本体22aと、接続流路22bと、開口22c,22dとを有している。一次供給流路本体22aは、一次流路部材6の一方の側面に隣り合うように第2方向に沿って設けられており、外部から供給された液体を二次流路部材4に供給する機能を有している。接続流路22bは、第2方向に複数配列されており、二次流路部材4の二次供給流路20に個別に液体を供給する機能を有している。開口22cは貫通孔6b1と連通しており、開口22dは貫通孔6b2と連通している。
【0028】
一次回収流路26は、一次回収流路本体26aと、接続流路26bと、開口26c,26dとを有している。一次回収流路本体26aは、一次流路部材6の他方の側面に隣り合うように第2方向に沿って設けられており、二次流路部材4を流れた液体を回収する機能を有している。接続流路26bは、第2方向に複数配列されており、二次流路部材4の二次回収流路24から個別に液体を回収する機能を有している。開口26cは貫通孔6b3と連通しており、開口26dは貫通孔6b4と連通している。
【0029】
液体の入っていない液体吐出ヘッド2に液体を供給するとき、一次供給流路22内の液体が外部に排出され易いように、一方の開口(例えば開口22c)から液体を供給し、一次流路部材4に液体を供給するとともに、空気および溢れた液体を他の開口(例えば22d)から排出することで、一次流路部材4に気体が入り込み難くできる。一次回収流路26についても同様に、一方の開口(例えば開口26c)から液体を供給し、他方の開口(例えば開口26d)から液体を排出するようにすればよい。
【0030】
印刷をする場合における、液体の供給および回収にはいくつかの方法がある。一つは、一次供給流路22に供給した液体のすべてが、一次流路部材4に入り、さらに一次回収流路26に入って外部に排出される。この際、一次回収流路26へは、外部からの液体は供給されない。この場合さらに、2つの開口22c、22dから液体を供給し、2つの開口26c、26dから液体を回収する方法と、開口22c、22dのどちらか一方から液体を供給し、他方は閉じておき、開口26c、26dのどちらか一方から液体を回収し、他方は閉じておく方法がある。どちらの開口を用いるかは組み合わせ可能なので、合計4通りの方法があることになる。圧力損失による圧力の差を小さくするには、2つの開口から液体を供給し、2つの開口から液体を回収するのが好ましいが、液体を給排するチューブの接続や、圧力の制御が煩雑になるおそれがある。1つの開口から液体を供給し、1つの開口から液体を回収すると、接続や圧力の制御が簡単になる。その場合、供給と回収は、第2方向に関して反対側の位置にある開口を組にして行なえば、圧力損失の影響が相殺するようになるので好ましい。具体的には、開口22cから液体を供給し開口26dから回収する、あるいは開口22dから供給し開口26cから液体を回収するようにすればよい。
【0031】
他には、次のような方法がある。一次供給流路22の一方の開口(例えば22c)から液体を供給し、他方の開口(例えば22d)から液体を回収し、一次回収流路26の一方の開口(例えば26d)から液体を供給し、他方の開口(例えば26c)から液体を回収する。それぞれの液体の給排の圧力を調節して、一次供給流路22の圧力が、一次回収流路26の圧力より高くなるようにすれば、一次流路部材4に液体が流れるようになる。このようにすると、各吐出孔8のメニスカスに加わる圧力の差は、ここまで説明した方法の中ではもっとも小さくなる。
【0032】
上述の方法を組み合わせて、一次供給流路22に対して液体の給排を行なって、一次回収流路26からは液体の回収だけにしてもよい。逆に、一次供給流路22に対しては液体の供給だけを行ない、一次回収流路26には液体の給排を行なってもよい。
【0033】
またさらに、以上で説明した供給と回収の関係を逆にしてもよい。例えば、一次回収流路26の開口26dは閉じて、開口26cから液体を供給し、一次供給流路22の開口22cは閉じて、開口22dから液体を回収してもよい。
【0034】
一次流路部材6は、例えば、流路パターンが形成されたプレートを積層して作製することができる。一次流路部材6の厚みは5〜30mmとすることができる。なお、一次供給流路22および二次回収流路26には、ダンパを設けて、液体の吐出量の変動に対して液体の供給、あるいは排出が安定するようにしてもよい。また、一次供給流路22および二次回収流路26内に、フィルタを設けることにより、異物や気泡が、二次流路部材4に入り込み難くしてもよい。
【0035】
このように、一次供給流路22および一次回収流路26を、一次流路部材6内に配置することで、一次供給流路22および一次回収流路26の断面積を大きくすることができる。それにより、一次供給流路22と二次供給流路20とが接続される位置、および一次回収流路26と二次回収流路24とが接続される位置の差による圧力損失の差を小さくできる。そのため、一次供給流路22および一次回収流路26の流路抵抗は、二次供給流路20および二次回収流路24の1/100以下にするのが好ましい。
【0036】
二次流路部材4は、平板状の形状を有しており、その厚さは0.5〜2mm程度である。二次流路部材4は、二次流路部材本体4aとノズルプレート4bとにより形成されており、例えば、金属プレートを積層して作製することができる。二次流路部材4の加圧室面4−1には、加圧室10が平面方向にマトリクス状に並んで配置されている。二次流路部材4の吐出孔面4−2には、液体が吐出される吐出孔8が平面方向にマトリクス状に並んで配置されている。吐出孔8は加圧室10と連通している。
【0037】
二次流路部材4は、複数の二次供給流路20と、複数の二次回収流路24と、複数の吐出ユニット15と、連結路17とを備えている。吐出ユニット15は、二次供給流路20と、二次回収流路24との間に配置されている。第1方向に並んでいる吐出ユニット15は、連結路17により互いに連結されている。
【0038】
吐出ユニット15は、個別供給流路12と、個別回収流路14と、吐出孔8と、加圧室10とを備えており、二次流路部材4に複数設けられている。なお、本実施形態では、第1流路を個別供給流路12、第2流路を個別回収流路14、第3流路を二次供給流路20、第4流路を二次回収流路24、第5流路を連結路17として説明する。
【0039】
二次供給流路20および二次回収流路24は、第1方向に沿って延びるように複数配置されている。また、二次供給流路20と二次回収流路24とは、第1方向と交差する方向である第2方向に交互に並んで配置されている。
【0040】
このように、二次供給流路20と二次回収流路24とが交互に配置されていることにより、二次供給流路20および二次回収流路24を面積効率よく配置することができ、吐出ユニット15の数を増やして高解像度化したり、二次供給流路20や二次回収流路24を太くしてそれぞれの流路抵抗を小さくし、吐出ユニット15からの吐出特性の差を小さくしたり、ヘッド本体2aの平面方向の大きさを小さくすることができる。
【0041】
吐出ユニット15は、二次供給流路20と二次回収流路24との間において、第1方向に沿って配列されている、吐出ユニット列9a,9bを構成している。吐出ユニット15は、吐出ユニット15の上方に配置された変位素子50の変形に伴って加圧され、吐出孔8から液体を吐出する。
【0042】
図4に示すように、吐出ユニット列9a,9bは、それぞれ16個の吐出ユニット15を備えている。吐出孔8を第2方向と直交する方向に投影すると、吐出ユニット列9a,9bに属している吐出ユニット15の吐出孔8は、それぞれ等間隔になっている。また、吐出ユニット列9aに属している吐出ユニット15の吐出孔8は、吐出ユニット列9bに属している吐出ユニット15の吐出孔8の間に投影されるようになっている。このようにすることで吐出孔8は、第2方向と直交する方向において、360dpiの間隔で並ぶ。これにより、第2方向に印刷用紙Pを搬送して印刷すれば、360dpiの解像度で印刷することができる。
【0043】
また、吐出ユニット列9aと吐出ユニット列9bとは、第2方向に交互に配置されている。つまり、二次供給流路20および二次回収流路24は、吐出ユニット列9aと吐出ユニット列9bとの間に挟まれている。
【0044】
吐出ユニット列9aと、吐出ユニット列9bとは、第1方向に互い違いにずれた状態で配置されている。すなわち、吐出ユニット列9bは、吐出ユニット列9aよりも一次供給流路22側に配置されている。その結果、吐出ユニット15は千鳥状に配置されることとなる。それゆえ、隣り合う吐出ユニット15同士の距離を大きくすることができる。
【0045】
また、二次供給流路20は、第1方向における一次供給流路22側に開口20aを備えている。二次回収流路24は、第1方向における一次回収流路26側に開口24aを備えている。そのため、各吐出ユニット15の配置による液体の流量の差を小さくできる。なお、二次供給流路20の開口20a、および二次回収流路24の開口24aはともに、加圧室面4−1に開口している。
【0046】
以下、吐出ユニット15について説明する。各吐出ユニット15は、個別供給流路12と、個別回収流路14と、吐出孔8と、加圧室10とを1つずつ備えている。個別供給流路12や個別回収流路14は、複数備えていてもよい。そして、個別供給流路12が、吐出ユニット15に隣り合っている二次供給流路20に接続され、個別回収流路14が、吐出ユニット15に隣り合っている二次回収流路24に接続されている。それにより、個別供給流路12から供給された液体は、一部が吐出孔8より吐出され、残りが個別回収流路14を通じて回収される。また、1つの吐出ユニット列9aを構成する吐出ユニット15は、連結路17により接続されている。1つの吐出ユニット列9bを構成する吐出ユニット15も同様に、連結路17により接続されている。
【0047】
加圧室10は、加圧室本体10aと、部分流路10bとを備えている。加圧室10の下方には吐出孔8が設けられている。吐出孔8は、加圧室10ごとに設けられており、加圧室本体10aと吐出孔8とは、部分流路10bを介して繋がっている。吐出孔8は、吐出孔面4−2に向けて平面視面積が小さくなる形状を有している。
【0048】
加圧室10には、個別供給流路12と個別回収流路14とが接続されている。個別供給流路12は加圧室本体10aに接続されており、個別回収流路14は部分流路10bに接続されている。
【0049】
そのため、吐出ユニット15は、二次供給流路20から供給された液体が、個別供給流路12に流れ込み、加圧室本体10aにて加圧され、部分流路10bに送出されることとなる。そして、部分流路10bに送出された液体の一部は、吐出孔8から吐出されて記録媒体Pへ印画を行なう。
【0050】
吐出孔8から吐出されなかった一部の液体は、個別回収流路14に流入し、個別回収流路14を通って、二次回収流路24へ流れ出すこととなる。そして、各吐出ユニット15から集められた二次回収流路24を通る液体は、一次回収流路26へ流入し回収されることとなる。
【0051】
二次流路部材4の上面には、変位素子50を含むアクチュエータ基板40が接合されており、各変位素子50が加圧室10上に位置するように配置されている。アクチュエータ基板40は、加圧室10によって形成された加圧室群とほぼ同一の形状の領域を占有している。また、各加圧室10の開口は、流路部材4の加圧室面4−1にアクチュエータ基板40が接合されることで閉塞される。
【0052】
アクチュエータ基板40は、ヘッド本体2aと同じく第2方向に長い長方形状である。また、アクチュエータ基板40には、各変位素子50に信号を供給するための配線基板90が電気的に接続されている。
【0053】
アクチュエータ基板40は、圧電セラミックス層40a、40bと、共通電極42と、個別電極44とを有している。
【0054】
アクチュエータ基板40は、圧電セラミックス層40bと、共通電極42と、圧電セラミックス層40aと、個別電極44とが積層されて構成されており、圧電セラミックス層40aを介して共通電極42と個別電極44とが対向する領域が変位素子50として機能する。圧電セラミックス層40bは振動板として機能している。
【0055】
これらの圧電セラミック層21a、21bは、例えば、強誘電性を有する、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系、NaNbO
3系、BaTiO
3系、(BiNa)NbO
3系、BiNaNb
5O
15系などのセラミックス材料からなる。なお、圧電セラミック層21bは、必ずしも圧電体である必要はなく、代わりに、圧電体でない他のセラミック層や金属板を用いてもよい。
【0056】
共通電極42は、圧電セラミックス層40aと圧電セラミックス層40bとの間に設けられており、圧電セラミックス層40a、40bの全域にわたって設けられている。共通電極42は、例えば、Ag−Pd系などの金属材料により形成されており、厚さは2μm程度である。なお、図示していないが、圧電セラミックス層40aを貫通するビアホールが設けられており、圧電セラミックス層40aの表面に設けられた共通電極用表面電極と電気的に接続されている。
【0057】
個別電極44は、個別電極本体44aと、引出電極44bと、接続電極44cとを有している。個別電極本体44aと、引出電極44bとは、Au系などの金属材料により形成されており、厚さは1μm程度である。接続電極44cは、銀粒子などの導電性粒子を含んだ導電性樹脂であり、5〜200μm程度の厚さで形成されている。個別電極本体44aは加圧室10上に配置されており、加圧室10に対応して設けられている。個別電極本体44aと共通電極42との間に電圧が印加されることにより、変位素子50が変位する。
【0058】
引出電極44bは、個別電極本体44aから加圧室10より外側まで引き出されている。そして、接続電極44cは、引出電極44b上の加圧室10と対向する領域外に引き出された部分に形成されている。また、接続電極44cは、配線板90の配線と電気的に接合されている。
【0059】
連結路17は、
図4,6に示すように吐出ユニット15同士を接続しており、第1方向に延びるように設けられている。より詳細には、連結路17は、吐出ユニット列9a,9bを構成する各吐出ユニット15を接続している。
【0060】
連結路17は、吐出ユニット15bの部分流路10bbと、吐出ユニット15cの個別回収流路14cとを接続している。そして、連結路17の流路抵抗は、吐出ユニット15b,15cの個別供給流路12b,12cの流路抵抗、および個別回収流路14b,14cの流路抵抗よりも大きくなっている。また、吐出ユニット15bと吐出ユニット15cとを繋いでいる流路のうちで、連結路17を通る流路は、連結路17を通らない他の流路よりも、流路抵抗が大きくなっている。これは、より詳細には、連結路17および個別回収流路14bの一部を通って、吐出ユニット15bと吐出ユニット15cとを繋いでいる流路の流路抵抗は、
図5(a)に示した経路C1の流路抵抗および
図6(a)に示した経路C2の流路抵抗より大きいということである。経路C1は、1つの個別供給流路12を通り、連結路17が繋がっている先の吐出ユニニット15まで二次供給流路20に沿って進み、他の個別供給流路12を通る経路である。経路C2は、1つの個別回収流路14を通り、連結路17が繋がっている先の吐出ユニニット15まで二次回収流路24に沿って進み、他の個別回収流路14を通る経路である。
アクチュエータ基板40の加圧により、加圧室10に生じた圧力の一部は、加圧室10に連通している個別供給流路12および個別回収流路14に伝幡することがある。その場合、個別供給流路12および個別回収流路14を通じて、各吐出ユニット15に共通して接続された二次供給流路20および二次回収流路24に圧力が到達してしまい、二次供給流路20および二次回収流路24に接続されたそれぞれの吐出ユニット15の吐出に悪影響を与える場合がある。
【0061】
このような影響を低減する構造として、吐出ユニット15に繋がっている他の流路を設ける構造が考えられる。吐出ユニット15の圧力の一部が、その流路に伝わることにより、二次供給流路20および二次回収流路24に出ていく圧力を減らすことができると考えられる。周囲に存在する流路への圧力の影響を少なくするという観点では、そのような流路は、周囲の流路と繋がっていない、行き止まりの流路とするのがよい。しかし、行き止まりの流路を形成しても、使用する際に、その部分に液体を充填した状態にするのは難しい。また、ヘッド本体2a全体を真空中に置いた後に、液体を入れれば、液体を充填することはできるかもしれないが、一度充填された液体を排出するのは、さらに難しくなる。充填された液体は、長期的には変質するおそれがあるし、液体を排出できなければ、異なる液体に入れ替えて、吐出させることもできない。
【0062】
そこで、吐出ユニット15に繋げる流路としては、行き止まりの流路ではなく、隣の吐出ユニット15と繋がっている連結路17を設ける。連結路17は、吐出ユニット15同士を繋げているため、連通路17を通って伝わる圧力も生じるが、連結路17の流路抵抗が大きいため、その影響は小さくできる。それゆえ、連結路17を介して伝わる圧力が増える影響よりも、個別供給流路12および個別回収流路14介して伝わる圧力を減らす影響の方が大きくなり、加圧室10に生じた圧力が伝播する影響を低減することができる。
【0063】
つまり、連結路17の流路抵抗が、吐出ユニット15a,15bの個別供給流路12a,12bの流路抵抗、および個別回収流路14a,14bの流路抵抗よりも大きくなっているため、連結路17に伝播した圧力は、連結路17を通過する間に減衰されることとなる。そのため、吐出ユニット15aにより生じた圧力が、連結路17を通過して吐出ユニット15bに伝播する可能性を低減することができる。
【0064】
連結路17を圧力が伝搬する際の、圧力の減衰を大きくするには、連結路17に面してダンパを設けるのが好ましい。ダンパとは流路の壁面が変形することで、流路の体積を変えることができるものである。ダンパが存在すれば、連結路17中の液体の圧力が変わった際に、ダンパが変形することで、圧力の変化を低減できる。連結路17の吐出孔面4−2側は、ノズルプレート4bに面しており、ノズルプレート4bの、連結路17と反対側の面は、外部空間となっている。そのため、連結路17に面したノズルプレート4bは、撓み変形して、連結路17の体積を変えることのできるダンパとなっている。ダンパの効率を良くするためには、ダンパの厚さ、すなわちノズルプレート4bの厚さは、連結路17の幅以下であるのが好ましく、さらに連結路17の幅の1/2以下、特に連結路17の幅の1/4以下であるのが好ましい。例えば、連結路17の幅が180μmであれば、ノズルプレート4bの厚さは、180μm以下が好ましく、さらに90μm以下、特に45μm以下であるのが好ましい。
【0065】
また、連結路17は、吐出ユニット15同士を接続しており、二次供給流路20および二次回収流路24に接続されていない。そのため、連結路17に圧力が伝播した場合には、二次供給流路20および二次回収流路24に圧力が伝播することを防止することができる。また、連結路17の端部は、吐出ユニット15に接続されており、行き止まりとなっている端部がない。これにより、そのような部分があることで生じる液体の滞留や、液体の導入および排出が困難になる可能性を低減できる。
【0066】
また、ヘッド本体2aは、二次供給流路20および二次回収流路24が第1方向に延び、連結路17が第1方向に延びる構成を有している。そのため、二次流路部材4のうち、二次供給流路20と二次回収流路24との間に位置する隔壁部分に、連結路17を設けることができる。その結果、二次流路部材4の内部の空間を効率よく使用することができる。
【0067】
ここで、吐出ユニット15aに接続された連結路17が、他の吐出ユニット15bに接続されていない場合、連結路17の端部に閉塞空間が生じることとなる。そうすると、ヘッド本体2aに液体を充填すると、閉塞空間に気泡が生じる可能性がある。
【0068】
これに対して、連結路17は吐出ユニット15同士を接続しているため、連結路17の両端が吐出ユニット15に接続されることとなる。その結果、連結路17の端部に閉塞空間が生じることはなく、ヘッド本体2aに液体を充填しても、気泡が生じる可能性を低減することができる。
【0069】
また、複数の吐出ユニット15が第1方向に配列されており、連結路17が、第1方向に隣り合っている吐出ユニット15a〜15c同士を3つ以上連続して接続している。すなわち、吐出ユニット15が吐出ユニット列9aを構成しており、吐出ユニット列9aを構成する各吐出ユニット15が、連結路17により連続して接続されている。
【0070】
そのため、吐出ユニット列9aを構成する各吐出ユニット15同士が、共通して連通することとなる。その結果、ヘッド本体2aに液体を充填する際に、各吐出ユニット15にくまなく液体を充填することができ、ヘッド本体2aの内部に気泡が生じる可能性を低減することができる。
【0071】
なお、1つの連結路17が、吐出ユニット列9aを構成する吐出ユニット9のすべてを接続していなくてもよい。例えば、2つの連結路17が吐出ユニット列9aを構成する吐出ユニット15の半分ずつを接続していてもよい。具体的には、吐出ユニット列9aにおいて、第1〜8行目に位置する吐出ユニット15を連結する連結路17と、第9〜16行目に位置する吐出ユニット15を連結する連結路17とを設けてもよい。
【0072】
また、連結路17の一端が、個別回収流路14に接続されている。そのため、圧力が個別回収流路14に伝播した場合においても、個別回収流路14内の圧力を連結路17に伝播させることができ、二次回収流路24に圧力が伝播する可能性を低減することができる。
【0073】
また、個別回収流路14が、第1方向に延びたあと、第1方向に直交する方向に屈曲している。そして、連結路17が、個別回収流路14が屈曲する部分に接続されるとともに、第1方向に延びるように設けられている。そのため、加圧室10から伝搬してきた、個別回収流路14を第1方向に沿って伝播する圧力を効率よく連結路17に伝えることができる。
【0074】
また、連結路17の他端が部分流路10bに接続されている。それにより、部分流路10bに接続された個別回収流路14に圧力が伝播する可能性を低減することができる。
【0075】
特に、液体を吐出するために、加圧室から吐出孔8に向けて圧力が伝播されるため、連結路17の一端を個別回収流路4に接続し、連結路17の他端を部分流路10bに接続することにより、圧力が二次回収流路24に伝播することを効果的に抑えることができる。
【0076】
なお、連結路17の一端を個別供給流路12に接続してもよい。そのため、圧力が個別供給流路12に伝播した場合においても、個別供給流路12内の圧力を連結路17に伝播させることができ、二次供給流路20に圧力が伝播する可能性を低減することができる。
【0077】
<第2の実施形態>
図7を用いて液体吐出ヘッド102のヘッド本体102aについて説明する。ヘッド本体102aは、連結路117の形状がヘッド本体2aと異なっており、その他の点は同一であるため説明は省略する。なお、同一の部材については同一の符号を付し、以下同様とする。
【0078】
連結路117aが、複数の吐出ユニット15a〜15cのうち、一の吐出ユニット15bと、当該一の吐出ユニットに第1方向に隣り合う2つの吐出ユニット15a,15cのうち一方の吐出ユニット15aと、を接続している。
【0079】
より詳細には、吐出ユニット列9a,9bが吐出ユニット15a〜15dを有している。そして、連結路117aは、吐出ユニット15aの部分流路10baと、吐出ユニット15bの個別回収流路14bとを接続している。また、連結路117bは、吐出ユニット15cの部分流路10bcと、吐出ユニット15dの個別回収流路14dとを接続している。
【0080】
すなわち、吐出ユニット15bは、隣り合う吐出ユニット15a,15cのどちらか
一方のみと連結部117aにより接続されている。言い換えると、吐出ユニット15a,15bを連結路117aにて接続しており、これを複数備えている。
【0081】
そのため、二次流路部材4内における連結路117の体積を減少することができ、二次流路部材4の剛性が低下することを抑えることができる。また、複数の薄い金属プレートを積層して二次流路部材4を作製する場合に、金属プレートのハンドリング性が低下することを抑えることができる。
【0082】
<第3の実施形態>
図8を用いて、ヘッド本体202aについて説明する。ヘッド本体202aは、二次流路部材204の構造が、二次流路部材4と異なっている。
【0083】
二次流路部材204は、二次流路部材本体204aと、ノズルプレート204bと、第1回収プレート204c1と、第2回収プレート204c2とを備えている。二次流路部材本体204aと、ノズルプレート204bとについては、二次流路部材本体4aと、ノズルプレート4bと同様のため説明を省略する。
【0084】
第1回収プレート204c1と第2回収プレート204c2とは、二次流路部材本体204aと、ノズルプレート204bとの間に配置されている。第1回収プレート204c1には、個別回収流路214が形成されている。第2回収プレート204c2には、個別回収流路214および連結路217が形成されている。そのため、連結路217と二次回収流路24との間には、第1回収プレート204c1が介在しており、連結路217と二次回収流路24とは連通せずに、連結路217が二次回収流路24の下方に位置する構成となっている。
【0085】
ここで、第1方向および第2方向のそれぞれと直交する方向を第3方向とする。吐出ユニット15の第3方向の一方側には、加圧部である変位素子50および変位素子50により直接加圧される加圧室本体10aが配置されている。また、吐出ユニット15の第3方向の他方側には、吐出孔8が配置されている。
【0086】
そのため、吐出ユニット15への液体の給排は、吐出ユニット15の第3方向の一方側にある加圧室本体10aへ液体を供給し、吐出ユニット15の第3方向の他方側にある部分流路10bから回収するが好ましい。つまり、吐出ユニット15と二次供給流路20とは、吐出ユニット15の第3方向の一方側で接続しているのが好ましく、吐出ユニット15と二次回収流路24とは、吐出ユニット15の第3方向の他方側で接続しているのが好ましい。そして、吐出ユニット15同士を、液体の回収する側に近い位置で接続する際には、吐出ユニット15の回収側、すなわち第3方向の他方側で、連結路217を接続するのが好ましい。そのような場合、連結路217を二次回収流路24より第3方向の他方側に配置すれば、空間の利用効率が高くできる。また、その場合、第3方向から見た場合に、連結路217は、一部が、二次回収流路24と重なるように配置すれば、連結路217を複雑な引き回しにしなくても吐出ユニット15同士を接続することができる。
【0087】
連結路217は、吐出ユニット215aと吐出ユニット215cとを接続している。また、連結路217は、吐出ユニット215bと吐出ユニット215dとを接続している。そのため、連結路217は、二次回収流路24を挟んで設けられた吐出ユニット215同士を接続している。
【0088】
そのため、連結路217の距離を長くすることができ、連結路217の内部に圧力が伝播した場合においても、連結路217を通過する際に圧力を減衰させることができ、連結路217にて繋がれた吐出ユニットに圧力が伝播する可能性を低減することができる。
【0089】
また、個別回収流路214aは、引出部214a1と屈曲部214a2とを備えている。引出部214a1は、第1方向に沿って引き出されており、第1方向から第2方向にかけて、個別回収流路214が屈曲部214a2にて屈曲している。
【0090】
そして、連結路217は、個別回収流路214aの屈曲部214a2と、個別回収流路214cの屈曲部214c2とを接続している。また、連結路217は、個別回収流路214bの屈曲部214b2と、個別回収流路214dの屈曲部214d2とを接続している。そのため、連結路217は、個別回収流路214aに伝播した圧力を、連結路217の内部で圧力を減衰させながら個別回収流路214cに伝播させることとなる。その結果、連結路217にて圧力を減衰しきれなかった場合においても、二次回収流路24に圧力が伝播される可能性を低減することができる。
【0091】
なお、連結路217が、途中に流路抵抗が大きくなる拡大部を有してもよい。それにより、連結路217を通る圧力が拡大部に伝播すると、拡大部から圧力が逃げにくい構成となり、連結路217を圧力が通過する可能性をさらに抑えることができる。
【0092】
逆に、吐出ユニット15同士を液体の供給側に近い位置で接続する際には、吐出ユニット15の供給側、すなわち第3方向の一方側で、連結路217と接続するのが好ましい。そのような場合、連結路217を二次供給流路20より第3方向の一方側に配置すれば空間の利用効率が高くできる。また、その場合、第3方向から見た場合に、連結路217は、一部が、二次供給流路20と重なるように配置すれば、連結路217を複雑な引き回しにしなくても吐出ユニット15同士を接続することができる。その場合、連結路217は、例えば、隣り合う吐出ユニット215の個別供給流路212同士を接続するのが好ましい。
【0093】
<第4の実施形態>
図9を用いて、ヘッド本体302aについて説明する。ヘッド本体302aは、液体が通る流路の構成としては、
図6に示したヘッド本体202aとほぼ同じであり、連結路317は、個別回収流路14同士を接続している。ヘッド本体302aには、ダンパ28A〜Eが設けられている。ダンパ28A〜Eを設けるため、二次流路部材304は、プレート304a〜lのプレートを積層して構成されている。なお、差異の少ない部材については同一の符号を付し、説明を省略する。
【0094】
図9は、
図5(b)とほぼ同じ位置の縦断面図である。ただし、二次供給流路20および二次回収流路24の断面の全体が図面に含まれるように、
図5(b)よりも左右に広い範囲を描いている。
【0095】
ダンパ28Aは、二次供給流路20の吐出孔面304−2側に面して配置されている。ダンパ28Aの、二次供給流路20とは反対側の面は、ダンパ室29に面しており、ダンパ28Aは、撓み変形することで、二次供給流路20の体積を変えことができる。これにより、二次供給流路20内の液体の圧力の変動を減衰させて低減することができる。以下で説明するダンパ28B〜Eについても、ダンパの基本的働きは同じである。
【0096】
ダンパ28Bは、二次排出流路24の加圧室面304−1側に面して配置されている。ダンパ28Bの、二次排出流路24とは反対側の面は、ダンパ室29に面している。
【0097】
ダンパ28Cは、二次排出流路24の吐出孔面304−2側に面して配置されている。ダンパ28Cの、二次排出流路24とは反対側の面は、ダンパ室29に面している。ヘッド本体304aでは、個別回収流路14は、二次排出流路24の吐出孔面304−2側に接続されているのではなく、側面に接続されている。このように接続することで、二次排出流路24の吐出孔面304−2側を、二次排出流路24の幅と同じダンパ28Cにすることができ、ダンパの効果を大きくすることができる。
【0098】
連結路317の一端は、一の吐出ユニット15の個別回収流路14の途中に接続されており、他端は、
図9に描いた部分の左側の外側で、隣り合っている吐出ユニット15の個別回収流路14の途中に接続されている。連結路317は、プレート304kの吐出孔面304−2に形成された溝を、ノズルプレート304lで塞いで構成されている。プレート304kの溝は、例えば、ハーフエッチングで形成することができる。
【0099】
連結路317の吐出孔面304−2側は、外部空間をダンパ室とするダンパ28Dとなっている。連結路317の加圧室面304−1側は、ダンパ28Eとなっている。つまり、連結路317の上下の両面が、ダンパとなっているので、圧力の減衰効果が高く、連結路317が接続している吐出ユニット間で、連結路317を介した圧力伝搬を低減できる。
【0100】
ダンパ28Eの連結路317と反対側の面は、ダンパ室29に面している。ダンパ28Dの面しているダンパ室29と、ダンパ28Cが面しているダンパ室29は、同一である。同一のダンパ室29を共用することで、空間の利用効率を高くすることができる。
【0101】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、第1実施形態である液体吐出ヘッド2を用いたプリンタ1を示したが、これに限定されるものではなく、他の実施形態に係る液体吐出ヘッド102,202をプリンタ1に用いてもよい。また、複数の実施形態である液体吐出ヘッド2,102,202を組み合わせてもよい。
【0102】
また、加圧部として、加圧室10を圧電変形によりを加圧する圧電アクチュエータ基板を用いる例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、加圧室10ごとに発熱部を設け、発熱部の熱により加圧室10の内部の液体を加熱し、液体の熱膨張により加圧する加圧部としてもよい。
【0103】
また、液体吐出ヘッド2の内部の液体の流れを変更してもよい。すなわち、循環する液体の流れる方向を逆にしてもよい。例えば、第1流路を個別回収流路14、第2流路を個別供給流路12、第3流路を二次回収流路24、および第4流路を二次供給流路20としてもよい。その場合液体は、二次回収流路24、個別回収流路14、部分流路10b、加圧室本体10a、個別供給流路12、および二次供給流路20の順に流れることとなる。