特許第5988425号(P5988425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5988425異形錠剤除去装置を備えた錠剤搬送システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988425
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】異形錠剤除去装置を備えた錠剤搬送システム
(51)【国際特許分類】
   B07B 1/12 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   B07B1/12 B
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-157464(P2012-157464)
(22)【出願日】2012年7月13日
(65)【公開番号】特開2014-18707(P2014-18707A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2014年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】502220366
【氏名又は名称】ボッシュパッケージングテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】小平 知宏
(72)【発明者】
【氏名】片岡 雅人
(72)【発明者】
【氏名】荒木 和夫
(72)【発明者】
【氏名】福田 満博
【審査官】 西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭64−025383(JP,U)
【文献】 実開昭50−104279(JP,U)
【文献】 実開昭53−071258(JP,U)
【文献】 特開平07−171501(JP,A)
【文献】 米国特許第05588536(US,A)
【文献】 特開昭60−161777(JP,A)
【文献】 特開昭54−063458(JP,A)
【文献】 実開平02−017283(JP,U)
【文献】 特許第3630783(JP,B2)
【文献】 実公昭62−016217(JP,Y1)
【文献】 特公昭60−050515(JP,B1)
【文献】 特開2010−214291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を自然落下させる錠剤投入機と、前記錠剤投入機の下方に設置され、前記錠剤投入機から自然落下してくる前記錠剤が投入されるホッパーと、前記錠剤投入機から自然落下してくる前記錠剤が正規錠剤であるときには通過可能にするが、前記錠剤投入機から自然落下してくる前記錠剤が異形錠剤であるときには通過不能にする異形錠剤除去装置と、を少なくとも備え、
前記異形錠剤除去装置は、前記ホッパー内に設置されており、自然落下してくる前記錠剤のうち、前記異形錠剤除去装置を通過した錠剤が前記ホッパーから流出し、
前記異形錠剤除去装置は、
前記ホッパー内に位置固定されて設置されている収容ボックスと、細長い帯状板で形成され、前記収容ボックス内に位置固定されて収容支持されている所定数のガイドプレートと、を有し、
前記所定数のガイドプレートがそれぞれ前記帯状板の長手方向と直交または略直交する方向で前記帯状板の厚さ方向と直交または略直交する方向が鉛直方向となるように配置されるとともに前記帯状板の厚さ方向に一定間隔を置いて並設されることで、隣接するガイドプレートの間に一定幅のスリット孔が形成されており、
前記スリット孔の一定幅が、正規錠剤を自然落下のみで通過可能にするが、異形錠剤を通過不能にする幅であり、
前記ガイドプレートは、該ガイドプレートの少なくとも一部が前記錠剤投入機の鉛直方向下方に位置する状態で、前記錠剤の搬送路に位置固定されており、
前記ガイドプレートの少なくとも一部の上端部に、それぞれ、落下してくる前記錠剤を前記スリット孔にガイドする傾斜面が形成されており、
前記所定数のガイドプレートの上面の高さがいずれも同じ高さとなるように、前記所定数のガイドプレートが並設されている
ことを特徴とする異形錠剤除去装置を備えた錠剤搬送システム。
【請求項2】
前記所定数のガイドプレートの一端側をそれぞれ前記一定間隔を置いて支持する第1スリットプレートと、前記所定数のガイドプレートの他端側をそれぞれ前記第1スリットプレートの前記一定間隔と同じ一定間隔を置いて支持する第2スリットプレートとを有し、
前記第1および第2スリットプレートにより、前記スリット孔の一定幅が設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の異形錠剤除去装置を備えた錠剤搬送システム。
【請求項3】
前記第1および第2スリットプレートにそれぞれ前記ガイドプレートと同数の第1および第2ガイドプレート嵌合支持溝が互いに同じ前記一定間隔で形成されており、
前記所定数のガイドプレートの一端側に、第1ガイドプレート嵌合支持溝に嵌合可能な第1嵌合支持突部が形成されているとともに、前記所定数のガイドプレートの他端側に、第2ガイドプレート嵌合支持溝に嵌合可能な第2嵌合支持突部が形成されており、
前記所定数のガイドプレートの第1嵌合支持突部が前記第1スリットプレートの前記第1ガイドプレート嵌合支持溝に嵌合されるとともに、前記所定数のガイドプレートの第2嵌合支持突部が前記第2スリットプレートの前記第2ガイドプレート嵌合支持溝に嵌合されることで、前記所定数のガイドプレートが前記一定間隔で並設される
ことを特徴とする請求項2に記載の異形錠剤除去装置を備えた錠剤搬送システム。
【請求項4】
前記所定数のガイドプレートの前記一定間隔が種々異なる一定間隔に設定する前記第1および第2スリットプレートを種々異なる一定間隔毎に用意されている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の異形錠剤除去装置を備えた錠剤搬送システム。
【請求項5】
前記所定数のガイドプレートの上面が、それぞれ、前記帯状板の厚さ方向に湾曲する湾曲面とされている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1に記載の異形錠剤除去装置を備えた錠剤搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工成形された錠剤等の粒状物を所定の収納容器に搬送する過程において、粒状物が異形粒状物である場合、この異形粒状物を除去する異形粒状物除去装置およびこれを備える粒状物搬送システムの各技術分野に関するものである。なお、本発明では、正規粒状物は1個の粒状物が予め定められた規格の厚さに合致した厚さの粒状物をいい、また、異形粒状物は1個の粒状物が予め定められた規格の厚さに合致しない厚さの粒状物あるいは規格の厚さに合致した正規粒状物が複数個互いに付着することで規格の厚さに合致しなくなった粒状物をいう。
【背景技術】
【0002】
従来、粒状物を搬送する場合、粒状物を振動により搬送するとともにその大きさに応じて選別する選別搬送装置が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。特許文献1に記載の選別搬送装置では、いずれも、直線状の搬送溝を有する振動板を振動させて粒状物を搬送するとともに、搬送溝の底部に設けられた粒状物を選別するための種々の大きさの貫通孔により粒状物をその大きさに応じて対応する貫通孔を貫通させることで、粒状物を選別している。
【0003】
また、特許文献2に記載の選別搬送装置も基本的に特許文献1に記載の選別搬送装置と同じである。すなわち、細長い形状の被搬送物の長手方向と直交する方向の幅の最小幅より小さい幅の短冊状のスリットを第1の搬送路に複数本搬送方向に平行に設けるとともに、被搬送物の前述の最小幅より大きいとともに、被搬送物の長手方向と直交する方向の幅の最大幅より小さい直径の丸孔部を第2の搬送路に複数形成し、第1および第2の搬送路を傾斜させるとともに振動させることにより、不用物を選別しつつ搬送している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010ー214291号公報。
【特許文献2】特許第3630783号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1および2に記載の選別搬送装置は、いずれも、搬送路を振動させて被搬送物である粒状物を搬送しなければならない。このため、搬送路を振動させる振動発生装置が必要となるとともに、振動発生装置を作動させる電力を供給するための電源ラインを確保する必要がある。このため、選別搬送装置が大型にならざるを得ないばかりでなく、選別搬送装置のための配線および選別搬送装置の制御がともに煩雑となり、選別搬送装置全体のコストが高くなるという問題が考えられる。
【0006】
また、粒状物を振動させて搬送すると、粒状物が振動の影響を受けて良好な品質の粒状物を得ることが難しくなって生産効率が低下するとともに、振動音が発生して作業環境が低下するという問題も考えられる。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、異形粒状物を精度良く除去することができるようにしつつ、制御をより簡単にするとともに良好な品質を保持しながら粒状物を搬送可能にし、しかも小型コンパクトに形成することのできる異形粒状物除去装置およびこれを備える粒状物搬送システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するために、本発明の異形粒状物除去装置は、細長い帯状板で形成された所定数のガイドプレートを有し、前記所定数のガイドプレートがそれぞれ前記帯状板の長手方向と直交または略直交する方向で前記帯状板の厚さ方向と直交または略直交する方向が鉛直方向となるように配置されるとともに前記帯状板の厚さ方向に一定間隔を置いて並設されることで、隣接するガイドプレートの間に一定幅のスリット孔が形成されており、前記スリット孔の一定幅が、正規粒状物を自然落下で通過可能にするが、異形粒状物を通過不能にする幅であることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の異形粒状物除去装置は、前記所定数のガイドプレートの一端側をそれぞれ前記一定間隔を置いて支持する第1スリットプレートと、前記所定数のガイドプレートの他端側をそれぞれ前記第1スリットプレートの前記一定間隔と同じ一定間隔を置いて支持する第2スリットプレートとを有し、前記第1および第2スリットプレートにより、前記スリット孔の一定幅が設定されていることを特徴としている。
【0010】
更に、本発明の異形粒状物除去装置は、前記第1および第2スリットプレートにそれぞれ前記ガイドプレートと同数の第1および第2ガイドプレート嵌合支持溝が互いに同じ前記一定間隔で形成されており、前記所定数のガイドプレートの一端側に、第1ガイドプレート嵌合支持溝に嵌合可能な第1嵌合支持突部が形成されているとともに、前記所定数のガイドプレートの他端側に、第2ガイドプレート嵌合支持溝に嵌合可能な第2嵌合支持突部が形成されており、前記所定数のガイドプレートの第1嵌合支持突部が前記第1スリットプレートの前記第1ガイドプレート嵌合支持溝に嵌合されるとともに、前記所定数のガイドプレートの第2嵌合支持突部が前記第2スリットプレートの前記第2ガイドプレート嵌合支持溝に嵌合されることで、前記所定数のガイドプレートが前記一定間隔で並設されることを特徴としている。
【0011】
更に、本発明の異形粒状物除去装置は、前記所定数のガイドプレートの前記一定間隔が種々異なる一定間隔に設定する前記第1および第2スリットプレートを種々異なる一定間隔毎に用意されていることを特徴としている。
【0012】
更に、本発明の異形粒状物除去装置は、前記所定数のガイドプレートの上端部に、それぞれ、落下してくる前記粒状物を前記スリット孔にガイドする傾斜面が形成されていることを特徴としている。
【0013】
更に、本発明の異形粒状物除去装置は、前記所定数のガイドプレートの上面が、それぞれ、前記帯状板の厚さ方向に湾曲する湾曲面とされていることを特徴としている。
【0014】
更に、本発明の異形粒状物除去装置は、前記所定数のガイドプレートの上面の高さがいずれも同じ高さとなるように、前記所定数のガイドプレートが並設されていることを特徴としている。
【0015】
更に、本発明の異形粒状物除去装置は、前記所定数のガイドプレートの上面の高さが順次低くなるように、前記所定数のガイドプレートが並設されていることを特徴としている。
【0016】
一方、本発明の粒状物搬送システムは、粒状物を自然落下させる粒状物投入機と、前記粒状物投入機から自然落下してくる前記粒状物が正規粒状物であるときには自然落下で通過可能にするが、前記粒状物投入機から自然落下してくる前記粒状物が異形粒状物であるときには通過不能にする異形粒状物除去装置とを少なくとも備え、前記異形粒状物除去装置が前述の本発明の異形粒状物除去装置のいずれか1つであることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の粒状物搬送システムは、前記粒状物投入機から自然落下してくる前記粒状物が投入されるホッパーを備え、前記異形粒状物除去装置が前記ホッパー内に設置されており、自然落下してくる前記粒状物のうち、前記異形粒状物除去装置を通過した粒状物が前記ホッパー内に投入されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
このように構成された本発明の異形粒状物除去装置および粒状物搬送システムによれば、帯状板で形成される所定数のガイドプレートがそれぞれ帯状板の長手方向と直交または略直交する方向で帯状板の厚さ方向と直交または略直交する方向が鉛直方向となるように配置されるとともに帯状板の厚さ方向に一定間隔を置いて並設されることで、隣接するガイドプレートの間に一定幅のスリット孔が形成されており、スリット孔の一定幅が、正規粒状物を自然落下で通過可能にするが、異形粒状物を通過不能にする幅にされる。したがって、正規粒状物を自然落下で異形粒状物除去装置のスリット孔を通過させることができるとともに、異形粒状物を異形粒状物除去装置のスリット孔を通過させないようにすることができる。したがって、異形粒状物を精度良く除去することができる。
【0019】
しかも、粒状物を自然落下で搬送するようになるので、従来のように搬送路を振動させて被搬送物である粒状物を搬送する必要がない。したがって、搬送路を振動させる振動発生装置が不要となるとともに、振動発生装置を作動させる電力を供給するための電源ラインも不要なる。これにより、異形粒状物除去装置の制御を簡単になるとともに異形粒状物除去装置を小型コンパクトに形成することができ、異形粒状物除去装置全体のコストが低減することができる。
【0020】
また、粒状物を振動させないので、搬送される粒状物が振動の影響を受けることがなく、良好な品質の粒状物を得ることが可能となって生産効率を向上させることができるとともに、振動音が発生しないので作業環境を向上させることが可能となる。
【0021】
更に、第1および第2スリットプレートにより、所定数のガイドプレートを一定間隔を置いて支持することで、スリット孔の一定幅を設定している。これにより、スリット孔の一定幅を容易に設定することが可能となる。
【0022】
更に、所定数のガイドプレートの一定間隔が種々異なる一定間隔に設定する第1および第2スリットプレートを種々異なる一定間隔毎に用意することで、規格の種々異なる厚さの粒状物に柔軟に対応することができる。しかも、第1および第2スリットプレートのみを変えるだけで、異形粒状物除去装置の他の部品を変えることなく共通に使用可能となるので、種々異なるスリット幅の異形粒状物除去装置を用意するようにしても、部品点数を削減してコストの増大を抑制することができる。
【0023】
更に、所定数のガイドプレートの上端部に、それぞれ、落下してくる粒状物をスリット孔にガイドする傾斜面が形成されることで、正規粒状物をスリット孔に比較的スムーズにガイドすることが可能となる。
【0024】
更に、所定数のガイドプレートの上面が、それぞれ、帯状板の厚さ方向に湾曲する湾曲面とされることでも、正規粒状物をスリット孔に比較的スムーズにガイドすることが可能となる。
【0025】
更に、各ガイドプレートの高さが順次低くなるようにされることで、異形粒状物が一側(高さの低い側)に移動し易くなる。これにより、異形粒状物がガイドプレートの上端に滞留するのを抑制でき、異形粒状物除去装置による作業効率を向上させることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る異形粒状物除去装置の実施の形態の一例を備える粒状物搬送システムの実施の形態の一例を模式的に示す図である。
図2図1に示す例の異形粒状物除去装置が収容設置されたホッパーを示す斜視図である。
図3図1に示す例の異形粒状物除去装置の分解斜視図である。
図4図3に示す例の異形粒状物除去器の分解斜視図である。
図5】(A)は図3に示す例の異形粒状物除去器の正面図、(B)は異形粒状物除去器の右側面図である。
図6】(A)は図1に示す例の異形粒状物除去装置の平面図、(B)は(A)におけるVIB−VIB線に沿う断面図である。
図7図1に示す例の異形粒状物除去装置の作動を説明する図である。
図8】本発明の異形粒状物除去装置の実施の形態の他の例を示す、図7と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明に係る異形粒状物除去装置の実施の形態の一例を備える粒状物搬送システムの実施の形態の一例を模式的に示す図、図2はこの例の異形粒状物除去装置が収容設置されたホッパーを示す斜視図である。
【0028】
図1および図2に示すように、この例の粒状物搬送システム1は、粒状物投入機2、粒状物投入機2の鉛直方向下方に配設された異形粒状物除去装置3、内部に異形粒状物除去装置3が設置されるホッパー4、ホッパー4の鉛直方向下方に配設された粒状物外観検査装置5、および粒状物外観検査装置5の鉛直方向下方に配設された粒状物収納器6を備えている。
【0029】
粒状物投入機2は従来公知の粒状物投入機であり、製造された例えば糖衣錠等の錠剤を始めとする粒状物を下方に設置されたホッパー4内の異形粒状物除去装置4内に投入する。また、異形粒状物除去装置3は、正規粒状物を通過させるが、異形粒状物を通過させないで除去する。更に、ホッパー4は従来公知のホッパーであり、異形粒状物除去装置3を通過した正規粒状物を下方に設置された粒状物外観検査装置5に投入する。更に、粒状物外観検査装置5はホッパー4から投入された粒状物に異物が付着していないか等の粒状物の外観を検査する。更に、粒状物収納器6は粒状物外観検査装置5から検査に合格して規格に合った正規粒状物を収納する。
【0030】
図3は異形粒状物除去装置の分解斜視図である。
図3に示すように、異形粒状物除去装置3は、正規粒状物を通過させるとともに異形粒状物を除去する異形粒状物除去器7およびこの異形粒状物除去器7が収容される収容ボックス8を有する。
【0031】
図3および図4に示すように、異形粒状物除去器7は、細長い一対の帯状板の第1および第2スリットプレート9,10、所定数(図示例では、15個)の細長い帯状板のガイ
ドプレート11、細長い角棒状の一対の第1および第2ガイド押さえ12,13、所定数
(図示例では、4個)の取付ねじ14、および所定数(図示例では、4個)の第1位置決めピン15を有する。第1および第2スリットプレート9,10は、それぞれ、それらの
下端部に設けられた凹溝状の第1および第2ガイドプレート嵌合支持溝9a,10a、お
よびそれらの上端に設けられた第1および第2傾斜面9b,10bを有する。第1および
第2ガイドプレート嵌合支持溝9a,10aは、それぞれ、ガイドプレート11の数と同
数だけ第1および第2スリットプレート9,10の長手方向に等間隔で設けられている。
その場合、隣接する第1ガイドプレート嵌合支持溝9aの間隔と隣接する第2ガイドプレート嵌合支持溝10aの間隔も同じにされる。
【0032】
更に、第1および第2スリットプレート9,10は、それぞれ、それらの下端面に設け
られた取付ねじ14が螺合可能な雌ねじ穴9c,10c、同じく下端面に設けられた第1
位置決めピン15が嵌入可能なピン嵌入穴9d,10d、第1および第2ガイドプレート
嵌合支持溝9a,10a内に位置して圧入により植設された第2および第3位置決めピン
16,17を有する。
【0033】
各ガイドプレート11はいずれも同じ形状で同じ大きさに形成されている。これらのガイドプレート11は、その下端部の両端にそれぞれガイドプレート11の長手方向に突設された横断面矩形状の第1および第2嵌合支持突部11a,11b、およびその上端に設
けられた傾斜面11cを有する。その場合、第1および第2嵌合支持突部11a,11b
は、それぞれ第1および第2ガイドプレート嵌合支持溝9a,10aに嵌合可能とされて
いる。また、各ガイドプレート11のうち、第1および第2スリットプレート9,10の
最も両端側に位置するガイドプレート11の下面には、それぞれ、ピン貫通孔11d,1
1eが形成されている。
【0034】
第1および第2ガイド押さえ12,13は左右方向(第1および第2ガイド押さえ12,13の長手方向と直交する方向)に対称に形成されている。また、第1および第2ガイド押さえ12,13のそれぞれの両端部には、これらの両端部が横断面L字状に形成される
ように切欠部12a,13aが形成されている。更に、各切欠部12a,13aの1辺には、それぞれ、取付ねじ14が貫通するねじ貫通孔12b,13b(これらのねじ貫通孔の
一部は図4には図示されない)が形成されているとともに、第1位置決めピン15が圧入されるピン圧入孔12c,13c(これらのピン圧入孔は1つのピン圧入孔13cのみが
図4に図示され、他のねじ貫通孔は図4には図示されないが、図示されたピン圧入孔13cと同様に設けられる。)が形成されている。
【0035】
そして、異形粒状物除去器7を組み立てるにあたっては、各ガイドプレート11の第1嵌合支持突部11aが、それぞれ第1スリットプレート9の第1ガイドプレート嵌合支持溝9a内に嵌合される。また、各ガイドプレート11の第2嵌合支持突部11bが、それぞれ第2スリットプレート10の第2ガイドプレート嵌合支持溝10a内に嵌合される。その場合、各ガイドプレート11はそれらの傾斜面11cがいずれも同じ側に向くようにされる。
【0036】
また、第1および第2スリットプレート9,10の最も両端側に位置するガイドプレー
ト11の一端側のピン貫通孔11dが、それぞれ第2位置決めピン16に嵌合される。また、第1および第2スリットプレート9,10の最も両端側に位置するガイドプレート1
1の他端側のピン貫通孔11eが、それぞれ第3位置決めピン17に嵌合される。これにより、第1および第2スリットプレート9,10と両端側のガイドプレート11とがそれ
ぞれ第2および第3位置決めピン16,17によって互いに位置決めされるとともに、こ
れらの位置決めにより、他のガイドプレート11が第1および第2スリットプレート9,
10に対して位置決めされる。こうして、第1および第2スリットプレート9,10と各
ガイドプレート11とが互いに組み付けられる。
【0037】
図5(A),(B)に示すように、第1および第2スリットプレート9,10と各ガイドプレート11とが互いに組み付けられた状態では、第1および第2スリットプレート9,
10の下面と各ガイドプレート11の下面とが面一または略面一となっている。この状態
で、第1および第2ガイド押さえ12,13が第1および第2スリットプレート9,10の下面および各ガイドプレート11の両端部の下面に当てがわれる。そして、第1位置決めピン15がそれぞれ第1および第2ガイド押さえ12,13のピン貫通孔12c,13cに圧入されて貫通されるとともに、第1および第2スリットプレート9,10の各ピン嵌入
穴9d,10dに圧入される。こうして、第1および第2ガイド押さえ12,13が第1および第2スリットプレート9,10に位置決めされた組み付けられる。最後に、各取付ね
じ14がそれぞれ第1および第2ガイド押さえ12,13の各ねじ貫通孔12b,13bに挿通されるとともに、第1および第2スリットプレート9,10の各雌ねじ穴9c,10cに螺合されて締結される。これにより、第1および第2スリットプレート9,10からの
各ガイドプレート11の脱落が防止される。また、このとき、図5(A),(B)に示す
ように各取付ねじ14は、第1および第2ガイド押さえ12,13の切欠部12a,13a内に位置して、切欠部12a,13aから突出しない。こうして、図3および図5(A),(B)に示すように外径が略直方体状の異形粒状物除去器7が組み立てられる。
【0038】
このように組み立てられた異形粒状物除去器7では、図5(B)および図6(A),(
B)に示すように、隣接するガイドプレート11の間に一定幅W(ガイドプレート11の長手方向と直交する方向の長さ)のスリット孔18が形成される。このスリット孔18の一定幅Wは、異形粒状物の除去の対象となる粒状物の規格に合致した厚みに対応して設定される。すなわち、一定幅Wは規格に合致した厚さを有する正規粒状物が通過可能であるが、規格の厚さより厚い厚さを有する異形粒状物は通過不能となる幅に設定される。
【0039】
図3に示すように、収容ボックス8は、異形粒状物除去器7を収容するとともに略矩形筒状で上端および下端が開口する異形粒状物除去器収容部8aと、異形粒状物除去器収容部8aの上端で異形粒状物除去器収容部8aの長手方向の両端に設けられた一対の第1および第2取付フランジ部8b,8cと、異形粒状物除去器収容部8aの下端で異形粒状物
除去器収容部8aの長手方向に延設されて異形粒状物除去器7を支持するフランジ状の第1および第2異形粒状物除去器支持部8d,8eとを有する。
【0040】
異形粒状物除去器収容部8aは、異形粒状物除去器7がほぼ隙間なく収容可能な形状および大きさに設定されている。また、第1および第2取付フランジ部8b,8cの外形は
図1および図2に示すホッパー4の上端の円形の第3取付フランジ部4aの直径と同じまたは略同じ直径の1つの円の円弧で形成されている。更に、第1および第2異形粒状物除去器支持部8d,8eは、図5(A),(B)に示すように異形粒状物除去器収容部8aに収容された異形粒状物除去器7の下面を支持するようになっている。
【0041】
そして、第1および第2異形粒状物除去器支持部8d,8eは第1および第2ガイド押
さえ12,13の各切欠部12a,13aがの下面を覆うようにされている。その場合、取付ねじ14の下端と第1および第2異形粒状物除去器支持部8d,8eの上面との間、お
よび第1位置決めピン15の下端と第1および第2異形粒状物除去器支持部8d,8eの
上面との間にそれぞれ若干の隙間が生じるようにされているが、これらの隙間はいずれも取付ねじ14および第1位置決めピン15の各長さを考慮してこれらの取付ねじ14および第1位置決めピン15が第1および第2ガイド押さえ12,13から脱落できないよう
な大きさにされている。また、第2および第3位置決めピン16,17は第1および第2
ガイド押さえ12,13によって第1および第2スリットプレート9,10から脱落できないようにされている。これにより、すべての取付ねじ14とすべての第1ないし第3位置決めピン15,16,17が脱落して粒状物内に混在することが防止されている。
【0042】
そして、異形粒状物除去器7が収容ボックス8の異形粒状物除去器収容部8a内にほとんど隙間なく収容されて第1および第2異形粒状物除去器支持部8d,8eに支持される
。このとき、異形粒状物除去器7は異形粒状物除去器収容部8aに単に支持されるだけで
もよいし、収容ボックス8に適宜の手段で固定されてもよい。こうして、異形粒状物除去装置3が組み立てられる。
【0043】
図1および図2に示すように、異形粒状物除去装置3はホッパー4内に設置される。その場合、図1および図2に示すように収容ボックス8の中心がホッパー4の上端の円形の開口の中心と一致又はほぼ一致するように収容ボックス8が適宜の位置決め手段で位置決めされるとともに、収容ボックス8の第1および第2取付フランジ部8b,8cがホッパ
ー4の第3取付フランジ部4aに支持される。この状態では、収容ボックス8の第1および第2取付フランジ部8b,8cの円弧状の外周縁は、ホッパー4の第3取付フランジ部
4aの外周縁と一致またはほぼ一致する。更に、図1に示すように粒状物受け入れ口4bを有するホッパー4の蓋4cをホッパー4の上面および収容ボックス8の上にかぶせた後、所定数の取付ねじ19により、第1および第2取付フランジ部8b,8cと蓋4cとが
ホッパー4に共締めで固定される。こうして、異形粒状物除去装置3はホッパー4内に設置される。
【0044】
このように設置された異形粒状物除去装置3では、所定数のガイドプレート11がそれぞれ帯状板の長手方向と直交または略直交する方向で帯状板の厚さ方向と直交または略直交する方向が鉛直方向となるように配置される。これにより、粒状物はスリット孔18を自然落下により通過可能となる。
【0045】
このように構成された異形粒状物除去装置3においては、製造された粒状物は粒状物投入機2から重力のみによる自然落下でホッパー4の粒状物受け入れ口4bを通って、図7に示すように各ガイドプレート11の上端に落下する。このとき、ホースあるいはチューブ等の管を用いることで、コンタミ等の異物が混在しないようにされる。そして、正規粒状物20は、ガイドプレート11の傾斜面11c等によって向きを変えられてスリット孔18内に進入するとともに、スリット孔18を自然落下によりスムーズに通過して下流側の粒状物外観検査装置5内に落下する。
【0046】
また、例えば2つの正規粒状物20どうしが互いに付着した異形粒状物等の異形粒状物20aは、ガイドプレート11の傾斜面11c等によって向きを変えることはできない。このため、この異形粒状物20aはスリット孔18内に進入することができなく、ガイドプレート11の上端に留まる。こうして、異形粒状物20aは異形粒状物除去装置3によって除去され、粒状物外観検査装置5の方へ搬送されない。ガイドプレート11の上端に滞留した異形粒状物20aは異形粒状物除去装置3から適宜の除去方法で除去される。その場合、異形粒状物20aの除去は予め設定された設定時間毎に行うようにすることもできるし、ホッパー4からの流出する粒状物の流出量を測定し、粒状物の流出量がある程度少なくなったときに行うようにすることもできる。
【0047】
この例の異形粒状物除去装置3および粒状物搬送システム1によれば、帯状板の所定数のガイドプレート11がそれぞれ帯状板の長手方向と直交または略直交する方向で帯状板の厚さ方向と直交または略直交する方向が鉛直方向となるように配置されるとともに帯状板の厚さ方向に一定間隔を置いて並設されることで、隣接するガイドプレート11の間に一定幅のスリット孔18が形成される。そして、スリット孔18の一定幅Wが、正規粒状物20を自然落下で通過可能にするが、異形粒状物20aを通過不能にする幅にされる。したがって、正規粒状物20を自然落下で異形粒状物除去装置3のスリット孔18を通過させることができるとともに、異形粒状物20aを異形粒状物除去装置3のスリット孔18を通過させないようにすることができる。したがって、異形粒状物20aを精度良く除去することができる。
【0048】
しかも、正規粒状物20を自然落下で搬送するようになるので、従来のように搬送路を
振動させて被搬送物である粒状物を搬送する必要がない。したがって、搬送路を振動させる振動発生装置が不要となるとともに、振動発生装置を作動させる電力を供給するための電源ラインも不要なる。これにより、異形粒状物除去装置3の制御を簡単になるとともに異形粒状物除去装置3を小型コンパクトに形成することのでき、異形粒状物除去装置3全体のコストが低減することができる。
【0049】
また、正規粒状物20を振動させないので、搬送される正規粒状物20が振動の影響を受けることがなく、良好な品質の正規粒状物20を得ることが可能となって生産効率を向上させることができるとともに、振動音が発生しないので作業環境を向上させることが可能となる。
【0050】
更に、第1および第2スリットプレート9,10により、所定数のガイドプレート11
を一定間隔を置いて支持することで、スリット孔18の一定幅Wを設定している。これにより、スリット孔18の一定幅Wを容易に設定することが可能となる。
【0051】
更に、所定数のガイドプレート11の上端部に、それぞれ、落下してくる正規粒状物20をスリット孔18にガイドする傾斜面11cが形成されることで、正規粒状物20をスリット孔18に比較的スムーズにガイドすることが可能となる。
【0052】
図8は本発明の異形粒状物除去装置の実施の形態の他の例を示す、図7と同様の図である。
前述の例の異形粒状物除去装置3では各ガイドプレート11の上端位置(高さ)を一定に設定しているが、図8に示すようにこの例の異形粒状物除去装置3では、各ガイドプレート11の上端位置(高さ)を一定またはほぼ一定の割合で変えている。その場合、この例では傾斜面11cが設けられる側のガイドプレート11の高さを順次低くしている。このように構成することで、異形粒状物20aが、高さが順次低くなるガイドプレート11の上端にガイドされて一側(高さの低い側)に移動し易くなる。これにより、異形粒状物20aがガイドプレート11の上端に滞留するのを抑制でき、異形粒状物除去装置3による作業効率を向上させることが可能となる。
【0053】
なお、第1および第2スリットプレート9,10の第1および第2ガイドプレート嵌合
支持溝9a,10aの一定間隔を粒状物の厚さに対応して種々変えた第1および第2スリ
ットプレート9,10を備える(用意する)ことで、種々異なるスリット幅Wの異形粒状
物除去装置3を形成することが可能となる。その場合、第1および第2スリットプレート9,10の他の形状サイズは共通である。これにより、規格の種々異なる厚さの粒状物に
柔軟に対応することができる。しかも、第1および第2スリットプレート9,10のみを
変えるだけで、異形粒状物除去装置3の他の部品を変えることなく共通に使用可能となるので、種々異なるスリット幅Wの異形粒状物除去装置3を用意するようにしても、部品点数を削減してコストの増大を抑制することができる。
【0054】
また、1つ置き毎の第1および第2ガイドプレート嵌合支持溝9a,10aにガイドプ
レート11を配置することでスリット幅Wを変えることもできる。
更に、所定数のガイドプレート11の上面が、それぞれ、帯状板の厚さ方向に湾曲する湾曲面とされることでも、正規粒状物をスリット孔に比較的スムーズにガイドすることが可能となる。湾曲面としては、円弧、長円弧、楕円弧等がある。
【0055】
更に、前述の例では異形粒状物除去装置3がホッパー4内に設置されるものとしているが、本発明はこれに限定されることはなく、異形粒状物除去装置3はホッパー4の外部でホッパー4の上方に設置することもできる。
要は、特許請求の範囲に記載されている範囲で種々の設計変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の異形粒状物除去装置および粒状物搬送システムは、それぞれ、加工成形された錠剤等の粒状物を所定の収納容器に搬送する過程において、異形粒状物である場合、この異形粒状物を除去する異形粒状物除去装置および粒状物搬送システムに好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1…粒状物搬送システム、2…粒状物投入機、3…異形粒状物除去装置、4…ホッパー、7…異形粒状物除去器、8…収容ボックス、8a…異形粒状物除去器収容部、8b…第1取付フランジ部、8c…第2取付フランジ部、8d…第1異形粒状物除去器支持部、8e…第2異形粒状物除去器支持部、9…第1スリットプレート、9a…第1ガイドプレート嵌合支持溝、10…第2スリットプレート、10a…第2ガイドプレート嵌合支持溝、11…ガイドプレート、11a…第1嵌合支持突部、11b…第2嵌合支持突部、11c…傾斜面、12…第1ガイド押さえ、13…第2ガイド押さえ、14…取付ねじ、15…第1位置決めピン、16…第2位置決めピン、17…第3位置決めピン、18…スリット孔、W…スリット孔18の一定幅、20…正規粒状物、20a…異形粒状物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8