特許第5988507号(P5988507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5988507特にモバイル機器のウィンドウを貼り付けるための感圧接着テープ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988507
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】特にモバイル機器のウィンドウを貼り付けるための感圧接着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/02 20060101AFI20160825BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20160825BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20160825BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20160825BHJP
   C08L 33/06 20060101ALI20160825BHJP
   C08K 5/17 20060101ALI20160825BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20160825BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   C09J7/02 Z
   C09J11/06
   C09J133/04
   C09J163/00
   C08L33/06
   C08K5/17
   B32B27/00 M
   B32B27/30 A
【請求項の数】17
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-538124(P2013-538124)
(86)(22)【出願日】2011年10月27日
(65)【公表番号】特表2014-504306(P2014-504306A)
(43)【公表日】2014年2月20日
(86)【国際出願番号】EP2011068830
(87)【国際公開番号】WO2012062589
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年7月10日
(31)【優先権主張番号】102010043881.2
(32)【優先日】2010年11月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】フーゼマン・マルク
(72)【発明者】
【氏名】エルリングマン・カーイ
(72)【発明者】
【氏名】クプスキィ・マルコ
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー・クラウス
【審査官】 菅野 芳男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−192636(JP,A)
【文献】 特開2005−008871(JP,A)
【文献】 特開2008−045027(JP,A)
【文献】 特開2010−209190(JP,A)
【文献】 特開2010−215906(JP,A)
【文献】 特開2005−105212(JP,A)
【文献】 特開平08−085779(JP,A)
【文献】 特開平04−159383(JP,A)
【文献】 特開2009−270111(JP,A)
【文献】 特開2001−345338(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/008470(WO,A1)
【文献】 特開2007−146170(JP,A)
【文献】 特開2009−209330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/02
B32B 27/00
B32B 27/30
C08K 5/17
C08L 33/06
C09J 11/06
C09J 133/04
C09J 163/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの支持層および2つの外側にある感圧接着剤層を含む両面接着テープであって、
前記感圧接着剤の少なくとも一方が架橋生成物であり、前記架橋生成物が少なくとも下記の成分を含むポリマー組成物から成り、すなわち
A)ポリマー成分(成分A)、
少なくとも下記a)、b)から成る1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88〜100重量%含むポリマー成分、
a)成分A1に対して1〜15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
但し、前記モノマー(a)の少なくとも一部はさらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分A1に対して85〜99重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)、
B)共有結合的に架橋する、二つまたは二つ超の官能基を有する少なくとも1種の架橋剤(成分B)、を含むポリマー組成物から成り、
成分Aおよび成分Bが合わせてポリマー組成物の少なくとも95重量%になる接着テープにおいて、
前記少なくとも1種の架橋剤が、架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nとの量比率V=n/nが0.15〜0.60の間の値を示す量で存在しており、
架橋剤の架橋活性中心の物質量nが、架橋剤1分子当たりの架橋活性中心の数fを乗じた架橋剤質量mを架橋剤のモル質量Mで割ることで求められ、すなわちn=f・m/Mであり、
ポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nが、感圧接着剤中のポリマー成分の質量mを前記成分の数平均モル質量Mn,Pで割ることで求められ、すなわちn=m/Mn,Pであることを特徴とする接着テープ。
【請求項2】
1つの支持層および2つの外側にある感圧接着剤層を含む接着テープであって、
前記感圧接着剤の少なくとも一方が架橋生成物であり、前記架橋生成物が少なくとも下記の成分を含むポリマー組成物から成り、すなわち
A)ポリマー成分(成分A)、
少なくとも下記a)、b)から成る1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88〜100重量%含むポリマー成分、
a)成分A1に対して1〜15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
但し、前記モノマー(a)の少なくとも一部はさらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分A1に対して85〜99重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)、
B)共有結合的に架橋する、二つまたは二つ超の官能基を有する少なくとも1種の架橋剤(成分B)、を含むポリマー組成物から成り、
成分Aおよび成分Bが合わせてポリマー組成物の少なくとも95重量%になる接着テープにおいて、
DMAにより測定された0.1rad/sおよび85℃での感圧接着剤の損失係数tanδ(損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比)が0.35〜0.75の範囲内にあり、
DMA測定により確定された25℃でのガラス転移周波数fが5000rad/s超であることを特徴とする接着テープ。
【請求項3】
1つの支持層および2つの外側にある感圧接着剤層を含む請求項1に記載の接着テープであって、
前記感圧接着剤の少なくとも一方が架橋生成物であり、前記架橋生成物が少なくとも下記の成分を含むポリマー組成物から成り、すなわち
A)ポリマー成分(成分A)、
少なくとも下記a)、b)から成る1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88〜100重量%含むポリマー成分、
a)成分A1に対して1〜15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
但し、前記モノマー(a)の少なくとも一部はさらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分A1に対して85〜99重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)、
B)共有結合的に架橋する、二つまたは二つ超の官能基を有する少なくとも1種の架橋剤(成分B)、を含むポリマー組成物から成り、
成分Aおよび成分Bが合わせてポリマー組成物の少なくとも95重量%になる接着テープにおいて、
DMAにより測定された0.1rad/sおよび85℃での感圧接着剤の損失係数tanδ(損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比)が0.35〜0.75の範囲内にあり、
DMA測定により確定された25℃でのガラス転移周波数fが5000rad/s超であることを特徴とする接着テープ。
【請求項4】
モノマーa1が、成分A1に対して3〜5重量%で存在していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項5】
モノマーの少なくとも一部が、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、およびメタクリル酸エチルエステルを含む群から選択されている(モノマーa2)ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項6】
モノマーa2が、成分A1に対して最高10重量%で存在していることを特徴とする請求項5に記載の接着テープ。
【請求項7】
ポリマー成分Aがさらに、軟化点が80〜150℃の樹脂成分(成分A2)を最高12重量%含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項8】
架橋剤が、共有結合的に反応する架橋剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項9】
架橋剤として、分子内にエポキシ官能基もアミン官能基も含む化合物が用いられることを特徴とする請求項7に記載の接着テープ。
【請求項10】
架橋剤として、テトラグリシジルメタキシレンジアミンが用いられることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項11】
架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nとの量比率V=n/nが0.38〜0.59の間の値を示すことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項12】
100〜300μmの厚さを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項13】
支持層の両面の感圧接着剤層が同じ厚さで形成されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項14】
支持層の両面の感圧接着剤が化学的に同一であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項15】
家庭用電子機器製品でのガラスまたは透明なプラスチックの貼り付けのための請求項1〜14のいずれか一つに記載の接着テープ。
【請求項16】
架橋した感圧接着剤を製造するための、少なくとも下記の成分を含むポリマー組成物、すなわち
A)ポリマー成分(成分A)、
少なくとも下記a)、b)から成る1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88〜100重量%含むポリマー成分、
a)成分A1に対して1〜15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
但し、前記モノマー(a)の少なくとも一部はさらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分(A1)に対して85〜99重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)、
B)二つまたは二つ超の官能基を有する少なくとも1種の架橋剤(成分B)、を含むポリマー組成物であって、
前記少なくとも1種の架橋剤が、架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nとの量比率V=n/nが0.15〜0.6の間の値を示す量で存在しており、
架橋剤の架橋活性中心の物質量nが、架橋剤1分子当たりの架橋活性中心の数fを乗じた架橋剤質量mを架橋剤のモル質量Mで割ることで求められ、すなわちn=f・m/Mであり、
ポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nが、感圧接着剤中のポリマー成分の質量mをこの成分の数平均モル質量Mn,Pで割ることで求められ、すなわちn=m/Mn,Pであるポリマー組成物。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか一つに記載の接着テープのための架橋した感圧接着剤を製造するための、少なくとも下記の成分を含むポリマー組成物、すなわち
A)ポリマー成分(成分A)、
少なくとも下記a)、b)から成る1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88〜100重量%含むポリマー成分、
a)成分A1に対して1〜15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
但し、前記モノマー(a)の少なくとも一部はさらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分(A1)に対して85〜99重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)、
B)二つまたは二つ超の官能基を有する少なくとも1種の架橋剤(成分B)、を含むポリマー組成物であって、
前記少なくとも1種の架橋剤が、架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nとの量比率V=n/nが0.15〜0.6の間の値を示す量で存在しており、
架橋剤の架橋活性中心の物質量nが、架橋剤1分子当たりの架橋活性中心の数fを乗じた架橋剤質量mを架橋剤のモル質量Mで割ることで求められ、すなわちn=f・m/Mであり、
ポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nが、感圧接着剤中のポリマー成分の質量mをこの成分の数平均モル質量Mn,Pで割ることで求められ、すなわちn=m/Mn,Pであるポリマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電子機器のウィンドウユニットを貼り付けるための両面接着テープならびにこのような接着テープのための感圧接着剤を製造するためのポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の娯楽用電子機器のほぼすべての機器は、機器の運転状態またはその他の情報を表示するための視覚的な表示システムを備えている。その際、比較的複雑なコンテクストを表示すべき場合には、表示のために、液晶(LCD)または有機発光ダイオード(OLED)をベースとする表示モジュールを用いることが多い。このような表示は、例えばデジタルカメラ、携帯用超小型コンピュータ、および携帯電話で用いられている。
【0003】
このような表示システムは、例えば衝撃のような外部からの機械的作用によって生じるかもしれない損傷から表示モジュールを保護するため、表示モジュールの外面を覆ってモジュールへの直接的な作用の危険を減らす透明な保護ウィンドウを備えるのが一般的である。このような保護は、非電子式の視覚的な表示システム、例えば時計または貯蔵容器の残量表示のような機械的表示の場合などにも必要である。
【0004】
保護ウィンドウとしては、一般的には(例えばポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)から成る)ポリマパネルまたはガラスパネルが用いられ、この両方の系のそれぞれに利点と欠点があり、したがって具体的な適用に応じて選択しなければならない。
【0005】
つまり、ポリマパネルは安価で加工し易く、機械的作用に対して効率的な保護を提供するが、一般的にスクラッチプルーフではなく、したがって損傷し易いという欠点がある。これにより短期間で既に、表示システムの美的印象が悪化するだけでなく、さらに表示モジュールの表示領域の見通せる範囲も小さくなる。加えて流通している多くのポリマーは、紫外光(UV光)または有機溶剤への耐性が限定的である。
【0006】
その一方でガラス製の保護ウィンドウは有機溶剤に対して不活性であり、硬度が高いのでスクラッチプルーフでもあり、したがって高価値の印象をもたらす。しかしながらガラスはその硬さによって生じるこの材料の脆弱性により、衝撃または打撃のような機械的作用に対する保護としては限定的にしか適していない。というのも弱い荷重で既にガラスパネルがバラバラに脆性破壊を起こし得るからである。したがって保護作用が限定的なだけでなく、その際に生じる破片による怪我の危険および縁の鋭い破片による表示モジュールの損傷の危険がある。
【0007】
電子機器、特に携帯電話のような携帯用小型機器およびその類似物の、通常はプラスチックまたは金属から成るハウジングでのディスプレイ保護ウィンドウの固定は、今日では主に両面接着テープによって行われる。その際には両面感圧接着テープを、常に貼り付けるべき材料に適合させ、すなわちガラスを貼り付けるには、一般的に、ある程度の衝撃吸収挙動を示し、つまり機械的衝撃を和らげ得る接着テープを使用し、その一方でプラスチック(ポリマパネル)を貼り付ける場合は、どちらかといえば曲げ応力を補償することが重要になる。
【0008】
このような電子小型機器の製造における関心は、実用性および費用の理由から、これまで用いられてきた様々な材料に由来する有利な特性も兼ね備え得る1種類の接着テープだけを使用できるということである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Test Methods for Pressure Sensitive Adhesive Tapes、第15版、発行:Pressure Sensitive Tape Council、Northbrook (Illinois)、USA
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって当業者には、家庭用電子機器製品でのガラスの貼り付けにも透明なプラスチックの貼り付けにも適しており、同時にこれらの製品を外部の影響から保護するために寄与する接着テープを提供するという客観的な課題が立てられた。特に、曲げ応力の補償および優れた衝撃吸収力が実現されるのが有利である。一部のモバイル機器は温度変動および比較的高い温度に曝されるので、接着テープはさらに、高温での凝集持続性を有することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0011】
意外にもアクリレートポリマーをベースとする接着テープは、特定の架橋状態を実現し、かつ樹脂割合を制限した場合に所望の適性を示すことが確認できた。したがって請求項1の対象は、1つの支持層および2つの外側にある感圧接着剤層を含む両面感圧接着テープであって、方の感圧接着剤層の感圧接着剤の少なくとも一方が架橋生成物であり、この架橋生成物が少なくとも下記の成分を含むポリマー組成物から成り、すなわち
A)ポリマー成分(成分A)、
少なくとも下記a)、b)から成る1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88〜100重量%含むポリマー成分、
a)成分A1に対して1〜15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
但し、前記モノマー(a)の少なくとも一部さらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分(A1)に対して85〜99重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)、
B)共有結合的に架橋する、二つまたは二つ超の官能基を有する少なくとも1種の架橋剤(成分B)、を含むポリマー組成物から成り、
前記少なくとも1種の架橋剤は、架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nとの量比率V=n/nが0.15〜0.60の間の値を示す量で存在しており、架橋剤の架橋活性中心の物質量nは、架橋剤1分子当たりの架橋活性中心の数fを乗じた架橋剤質量mを架橋剤のモル質量Mで割ることで求められ、すなわちn=f・m/Mであり、ポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nは、感圧接着剤中のポリマー成分の質量mをこの成分の数平均モル質量Mn,Pで割ることで求められ、すなわちn=m/Mn,Pである接着テープに関する。
【0012】
本発明の対象はさらに、このような接着テープの有利な形態であり、またこれに対応する接着テープの、家庭用電子機器製品のコンポーネント、特にこのような製品のディスプレイウィンドウを貼り付けるための使用である。
【0013】
最後に本発明は、本発明による接着テープのための感圧接着剤を製造するためのポリマー組成物に関する。本明細書における架橋した感圧接着剤についての、特に成分およびその組成についてのすべての実施形態は、未架橋のポリマー組成物にも相応に適用される。同じことがその逆にも当てはまる。
【0014】
本発明による接着テープのための感圧接着剤は、少なくとも1種のポリマー成分Aおよび架橋剤Bを含むポリマー組成物から成る架橋生成物である。本発明の最も単純な実現形態では、感圧接着剤はこの両方の成分だけの架橋生成物に限定される(したがって成分Aおよび成分Bは合わせて架橋前のポリマー組成物の100%になる)。通常の少ない割合、例えば最高で3重量%の汚染物質があっても、所望の特性の達成にはさほど影響しないので、100重量%と表示する。しかしながら汚染物質は可能な限り広範に減らすことが望ましく(例えば1重量%未満まで)、かつ排除されるのが最も望ましい。
【0015】
汚染物質とは、ここではおよび以下では、それぞれの系の中に意図せず運び込まれ(例えば添加されるモノマーと一緒に)、かつ意図して供給される成分の定義に属さないような化合物のことである。
【0016】
架橋剤の量と、ポリアクリレート成分A1と、それに適応させた最大樹脂量との間で微調整することにより、感圧接着剤が、成分Aおよび成分Bの定義に含まれないさらなる成分Cを、5重量%以下、好ましくは3重量%以下で含むことが望ましく、したがって成分Aおよび成分Bは合わせて、架橋した感圧接着剤を製造するためのポリマー組成物の少なくとも95重量%、より良いのは少なくとも97重量%になる。
【0017】
個々の場合において所望であれば感圧接着剤には、軟化剤(可塑剤)のような添加物(成分C)、充填物質(例えばファイバ、カーボンブラック、酸化亜鉛、二酸化チタン、チョーク、中実ガラス球もしくは中空ガラス球、その他の材料から成るマイクロ球、ケイ酸、ケイ酸塩)、核形成剤、発泡剤、コンパウンド化剤、ならびに/または例えば一次酸化防止剤および二次酸化防止剤の形もしくは光安定剤の形の老朽化防止剤を添加することができる。しかしながら感圧接着剤は、所望の特性に関しては添加物なしで既に微調整されているので、本発明にとってはこれらの添加物のそれぞれ個々のもの、任意の組合せ、または全てがない場合が有利である。特に、接着剤に任意選択で添加される添加物の割合は、5重量%、好ましくは3重量%を超えないことが望ましい。
【0018】
成分A2に相当するさらなる樹脂は、上記の意味における添加物とはみなさない。
【0019】
以下の実施形態は、両方の成分Aおよび成分Bだけをベースとする感圧接着剤にも、さらなる発展形態もしくは変形形態にも当てはまる。
【0020】
感圧接着テープおよびその基礎となる感圧接着剤の特性
架橋したポリマーが優れた感圧接着特性を達成するには、使用する成分の量的組成を、Fox式を準用して、ポリマーに適切なガラス転移点Tが生じるように選択することが有利である。
【0021】
本発明による感圧接着テープは、レオロジー試験による感圧接着剤の粘弾特性の決定によってとりわけうまく特徴づけることができる。
【0022】
例えば動的機械分析(DMA)の場合のように、試料に正弦波状の荷重を加える場合、試料の粘弾性質から生じる特徴的な特性は、一方では正弦関数の周波数、つまりそれぞれの荷重段階が作用する時間に依存し、他方では温度にも依存する。その際、両方の影響変数は相互に作用している。したがってガラス転移点、つまりポリマー材料が変形能力の最大の変化(ガラス状の脆弱な領域から柔らかいエントロピー弾性の領域への移行)を示す状態に関し、一定の周波数および連続的で直線的な温度変化(温度掃引)での負荷作用の際には特徴的なガラス転移温度Tを見い出すことができ、一定の温度および連続的な周波数変化(周波数掃引)での負荷作用の際には特徴的なガラス転移周波数fを確定することができる。実際には、ガラス転移周波数fの確定には、いわゆる時間−温度の重ね合わせ法(TTS)がとりわけうまく適用でき、この場合、規則的な温度間隔をあけて実施した周波数測定を周波数掃引へと計算処理することができ、これにより、測定で取得可能な範囲より下および上に数十ほど広げることができる。
【0023】
本発明による感圧接着テープに使用される感圧接着剤に関しては、ガラス転移温度(10rad/sでの動的測定、DMA、下記参照)は、−11℃以下、好ましくは−15℃以下であることが有利である。
【0024】
感圧接着剤の優れた反発力特性にとっては、感圧接着剤がエネルギーをよく分散し得る場合が有利である。これは有利には、好ましい損失係数tanδ(損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比)で示される。この貯蔵弾性率G’は、ここでは感圧接着剤のような粘弾性の系の弾性特性を表し、損失弾性率G”は粘性特性を表し、つまりこの系の粘弾性はたった1つの材料特性値で特徴づけることができる。これらの値は、例えば動的機械分析(DMA)により取得可能である(下記参照、「測定法」の章)。損失係数tanδ(ならびに損失弾性率G”および貯蔵弾性率G’)についてのデータは、個々の場合において他に何も提示がなければ、この測定に関する。
【0025】
0.1rad/sおよび85℃での損失係数tanδは、0.35〜0.75の範囲内、好ましくは0.40〜0.65の範囲内、特に好ましくは0.41〜0.60の範囲内にあるのが非常に有利である。
【0026】
衝撃吸収力は、ガラス転移周波数fにより特徴づけられることが確認できた。本発明による感圧接着テープの所望の特性、特に衝撃吸収力の達成には、25℃でのガラス転移周波数(データについては下記参照、「測定法」の章)が、5000rad/s超である場合が非常に有利である。特にガラス転移周波数がこの境界値より高い感圧接着剤は、例えば落下による衝突の際にそうであるような短くて強い衝撃作用からの衝撃エネルギーを分散させる能力があることが分かった。
【0027】
いわゆる「ローリングボールタック」測定によっても、衝撃吸収力の帰納的推理が可能なことが分かった。通常この試験は、感圧接着剤の初期接着性を特徴づけるために用いられる。一般的にローリングボール試験が50mm未満の結果になる試料に関し、優れた衝撃吸収力が確認できた。
【0028】
成分A1/ポリアクリレート
ポリマー成分A自体は、1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88重量%、好ましくは90重量%以上、最高で100重量%まで含む。つまりポリマー成分Aは、ポリアクリレート成分A1だけから成ることができ、しかし任意選択で1種または複数のさらなる成分が最高10重量%まで存在していてもよい。このさらなる成分は、例えば全体的または部分的に樹脂成分(成分A2)であることができる(下記参照)。したがってポリマー成分Aは、ポリアクリレート成分A1および樹脂成分A2だけで構成することができ、ただし樹脂成分A2が存在する場合でも、ポリマー成分Aはポリアクリレート成分A1の他にもう1種または複数のさらなる成分(A3、A4...)を含むことができる。
【0029】
ここでも、通常の少ない割合、例えば最高で3重量%の汚染物質があっても、所望の特性の達成にはさほど影響しないので、100重量%と表示する。しかしながら汚染物質は可能な限り広範に減らすことが望ましく(例えば1重量%未満まで)、かつ排除されるのが最も望ましい。
【0030】
ポリアクリレート成分A1自体は、本発明により下記a)、b)を含む。
a)成分A1に対して1重量%、好ましくは3重量%、最高15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
この場合、モノマー(a)の少なくとも一部がさらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分(A1)に対して85重量%〜99重量%、好ましくは最高97重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)。
【0031】
ガラス転移温度Tのデータは、個々の場合において他に何も提示がなければ、低い周波数での動的機械分析(DMA)による決定に関する(下記参照、「測定法」の章)。
【0032】
有利には、成分aおよび成分bは合わせてポリアクリレート成分A1の100%になり、つまりポリアクリレート成分Aはこれらの成分だけで構成される。ここでも、通常の少ない割合、例えば最高で3重量%の汚染物質があっても、所望の特性の達成にはさほど影響しないので、100重量%と表示する。しかしながら汚染物質は可能な限り広範に減らすことが望ましく(例えば1重量%未満まで)、かつ排除されるのが最も望ましい。
【0033】
ただし成分A1で、成分aおよび成分bを100重量%未満の割合で添加することもできる。その場合、ポリアクリレート成分Aは、1種または複数のさらなる成分c、d、...(コモノマーc、d、...)を合わせて(ポリアクリレート成分A1の100重量%に対して)最高12重量%、好ましくは最高10重量%の重量分率まで含む。
【0034】
コモノマーc、d、...としては、ポリアクリレートのための通常の、当業者に既知のコモノマーを用いることができる。
【0035】
ポリアクリレート成分A1でのモノマーa1の割合、つまり少なくとも1つのカルボン酸基を有するモノマーの割合が、(ポリアクリレート成分A1に対して)3〜5重量%であることが非常に有利である。カルボン酸基含有モノマーの割合が少なくとも3重量%あることで、添加する架橋剤の反応性が有意に向上し、架橋プロセスの優れた反応速度がもたらされる。
【0036】
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有しており、対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃であり、少なくとも1つのカルボキシル基を有するように選択される成分a1の意味におけるモノマーは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を含む群から選択されるのが好ましく、特に好ましくはアクリル酸が用いられる。
【0037】
成分A1は、モノマーaとしてタイプa1のモノマーだけを含むことができ、しかし成分aは、部分的なタイプa1のモノマーと部分的なさらなるコモノマーaiとで構成されていてもよく、このコモノマーはそれぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されており、ただしカルボン酸基は有さない。
【0038】
コモノマーaiの意味においては、とりわけ全体的または部分的にモノマーa2を用いることができ、このモノマーa2は、少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物の群から選択されており、しかも各々のモノマーa2から成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されており、さらにモノマーa2はエチル残基および/またはメチル残基を有する少なくとも1つのエステル基を有している。これは特に、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルであり、したがって群a2は、この場合、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、およびメタクリル酸エチルエステルを含む。モノマーa2により感圧接着剤の極性に影響を及ぼすことができる。計画された用途にとっては、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、およびその類似物のようなそれ自体が多かれ少なかれ極性をもつ材料を貼り付けるための適性が付与されるという利点が生じる。このような土台に対する付着性を改善するには、ファンデルワールス力および/または双極子間相互作用によって接着剤の土台への付着性を向上させ得る前述の化合物クラスのような極性コモノマーを用いる場合が有利であり得る。ただし成分a2を非常に大量に使用すると、一般的には接着剤の衝撃吸収力が損なわれる。なぜなら極性モノマーは通常、対応するホモポリマーのガラス転移温度が高く、したがって感圧接着剤が硬くなりすぎ、そして脆弱になりすぎるからである。したがって10重量%以下のモノマーa2をコモノマーとして用いるのが有利である。
【0039】
成分A1は、モノマーaとしてタイプa1およびタイプa2のモノマーだけを含むことができ、しかし成分aは、部分的なタイプa1のモノマーと、部分的なタイプa2のモノマーと、部分的なタイプa3のさらなるコモノマーで構成されていてもよく、このコモノマーは、モノマーaの定義には属するが、タイプa1およびタイプa2の定義には属さない。タイプa3のコモノマーは、カルボン酸基も、エチル残基および/もしくはメチル残基を有するエステル基も担持しない。成分A1は、モノマーaとしてタイプa1およびタイプa3のモノマーだけを含むこともできる。
【0040】
タイプa3のモノマーは、特に、結果として生じる感圧接着剤のガラス転移温度および/またはガラス転移周波数を、最終的に目指す値の方に調節するために役立てることができる。
【0041】
モノマーa3としては、他にもあるが例えば下記のモノマーを用いることができる。すなわちベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、t−ブチルフェニルアクリレート、t−ブチルフェニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルアクリレート、4−ビフェニルアクリレート、4−ビフェニルメタクリレート、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド、さらにN,N−ジアルキル置換アミド、例えばN,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルニトリル、ビニルメチルエーテル、エチルビニルエーテル、ビニルイソブチルエーテルのようなビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、α−およびp−メチルスチレン、2−ポリスチレンエチルメタクリレート(分子量M4000〜13000g/mol)、ポリ(メチルメタクリレート)エチルメタクリレート(M2000〜8000g/mol)のようなマクロモノマー。
【0042】
特に成分a1が成分A1での3〜5重量%の割合である場合に、成分a2、成分a3、または成分a2とa3の合計が、成分A1での最高12重量%、特に最高10重量%になる場合が有利である。
【0043】
ポリアクリレート成分A1はさらに1種または複数のモノマーbを85〜99重量%で含み、このモノマーbは、各々のモノマーbから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下という条件で、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群から選択される。
【0044】
成分bの意味におけるモノマーとしては、例えばアクリル酸エステルを、全体的または部分的に、特に後述のモノマーと組み合わせても用いることができ、このアクリル酸エステルでは、アルキル基が直鎖状で、少なくとも3個のC原子、好ましくは最高14個のC原子を有している。特に有利には、4〜9個の炭素原子を有する直鎖状アルキル残基を有するアクリル酸エステルを用いることができる。前述のモノマーに関しては、未置換のアクリル酸エステルを用いるのが好ましい。このモノマーの例を挙げれば、プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘプチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ウンデシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、n−トリデシルアクリレート、n−テトラデシルアクリレートである。
【0045】
さらに成分bに関しては、ガラス転移温度の条件が満たされていれば、分枝状の炭化水素残基および/または官能基で置換された炭化水素残基を有するアクリル酸エステルを単独でまたはコモノマーとして用いることができる。これらのモノマーに関しても、他にもあるが例として幾つかの有利に用い得るモノマーを挙げれば、2−ヘプチルアクリレート、2−オクチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルブチルアクリレート、3−メトキシブチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、3−メトキシプロピルアクリレート、3−メチルブチルアクリレート、イソデシルアクリレートである。
【0046】
多くのメタクリル酸エステルも、成分b)の意味において良好に用いることができるが、この場合もT条件に留意しなければならない。このようなモノマーの例は、オクタデシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレートである。
【0047】
ガラス転移温度が−30℃以下の前述のおよびさらなるモノマーは、それぞれ単独で、または1種もしくは複数のさらなるこの種のモノマーと組み合わせて用いることができる。そして例えばn−ブチルアクリレートとエチルヘキシルアクリレートの組合せが、成分bのための優れたモノマー混合物である。
【0048】
ポリアクリレート成分A1の製造
ポリアクリレート成分A1は、通常の、当業者に既知の方法により、前述の成分の重合によって、特にラジカル重合によって製造することができる。重合は、好ましくは結果として生じるポリマーの数平均分子量Mが少なくとも50,000g/molになるように操作する。数平均分子量Mは250,000g/molの値を超えないことが好ましい。特に好ましいのは、ポリアクリレート成分A1の数平均分子量Mが50,000g/mol〜150,000g/molの間の範囲内にあることである。ポリマーの分子量についてのすべてのデータは、ゲル浸透クロマトグラフィによる測定に関する(下記参照、「測定法」の章)。
【0049】
成分A2/樹脂
任意選択で、ポリマー成分Aは、1種または複数の樹脂を含む樹脂成分(成分A2)を最高12重量%、好ましくは最高10重量%含むことができる。本明細書の意味における樹脂とは、数平均分子量Mが5,000g/mol以下のオリゴマー化合物およびポリマーの化合物のことである(ゲル浸透クロマトグラフィ、下記参照)。特に、(樹脂成分全体の重量部に対する)樹脂の主な部分が80〜150℃の軟化点を有しており、好ましくはすべての樹脂が80〜150℃の軟化点を有している。ポリマー化合物の軟化点Tについてのデータは、個々の場合において他に何も提示がなければ、DIN EN 1427:2007に基づく環球法により決定された値に関する(下記参照、「測定法」の章)。
【0050】
ポリマー成分での樹脂割合が12重量%を超えないことが望ましい。なぜならそのように高い樹脂割合は衝撃吸収特性に悪影響を及ぼすからである。好ましいのは、樹脂割合が10重量%を超えないことである。
【0051】
樹脂成分A2の意味において、天然樹脂および/または合成樹脂を用いることができる。原理的には、軟化点が前述の温度範囲内にあるすべての樹脂を使用することができる。適切な接着樹脂に含まれるのは、幾つかだけ挙げるなら、とりわけロジンおよびロジン誘導体(ロジンエステル、さらに例えば不均化もしくは水素化により安定化されたロジン誘導体)、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、アルキルフェノール樹脂、脂肪族の、芳香族の、および脂肪族芳香族の炭化水素樹脂である。ポリアクリレート成分と適合する(ポリアクリレート成分に溶解可能またはポリアクリレート成分と均質に混合可能な)樹脂を選択することが非常に好ましい。
【0052】
樹脂成分の混合を、(全体としての)感圧接着剤のガラス転移範囲の調節に用い得ることが有利である。さらに、1種または複数の樹脂の混合は、しばしばエネルギーのより良い分散に寄与し、したがって樹脂混合は損失係数の微調整に利用することができる。
【0053】
成分B/架橋剤
感圧接着剤を架橋するため、架橋すべきポリアクリレート系に少なくとも1種の二つまたは二つ超の官能基を有する架橋剤(成分B)が規定量で添加されている。架橋剤は、(成分a1により導入された)ポリアクリレートのカルボン酸基を介して連結部位を構成することができる。
【0054】
本発明により、1種(または複数)の架橋剤が、比率Vが0.15〜0.60の範囲内になる量で添加される。好ましくは値Vは0.2以上であり、特に0.22〜0.58の範囲内である。
【0055】
本発明により、複数の架橋剤を用いることもできる。複数の架橋剤を使用する場合、特に官能性が異なる複数の架橋剤を使用する場合も、請求項1に提示した比率Vの定義に当てはめなければならず、すなわち
V=n/n、式中nは、すべての架橋剤を合計した架橋活性中心の物質量になり、すなわち
=f・mV,1/MV,1+f・mV,2/MV,2...
上式で、添字1は第1の架橋剤値を意味し、2は第2の架橋剤値を意味し、等々。
【0056】
ポリマー試料の数平均分子量(GPC)が分かることにより、主請求項に基づき添加すべき架橋剤の量は、架橋剤の平均分子量および架橋剤の官能性が分かれば容易に確定することができる。1種類の架橋剤しか存在しない場合、架橋剤の、有利に用いられ、対応する値が紹介した定義に当てはまる定量mは、下式のようにポリマー成分の定量mおよびポリマー成分の数平均モル質量Mn,Pから分かる(M=架橋剤の分子量)。
【0057】
【数1】
【0058】
複数の架橋剤、特に官能性が異なる複数の架橋剤が存在する場合は、この式を相応に適合させなければならない。
【0059】
架橋した感圧接着剤に関し、ポリマー成分の1巨大分子当たり平均して0.15〜0.60の架橋部位に相当する架橋密度は、特に、架橋反応がほぼ完全な反応まで実施された場合にうまく近似する。
【0060】
この1種または複数の架橋剤は、共有結合的に架橋し、カルボキシル基と反応し得る架橋剤である。十分な温度耐性を保証するため、架橋剤成分として、化学的に結合する(共有結合的に架橋する)系を選択するのが特に有利である(化学的に結合しない架橋剤、例えばキレート架橋剤で架橋した接着剤では、高温時に連結部位が再び開き、したがってこの系はその凝集特性を失うであろう)。つまりこの架橋剤は、特に、カルボン酸基を介してポリアクリレートの巨大分子と共有結合を結び得る架橋剤であり、架橋剤分子の官能性ごとにそれぞれ1つの連結部位を作ることができる[したがって二官能性架橋剤は2つの巨大分子を2つの連結部位を介して互いにつなげることができ、三官能性架橋剤は3つの巨大分子を3つの連結部位を介して(それぞれ、1つの巨大分子につき1つのカルボン酸基によって)または2つの巨大分子を3つの連結部位を介して(一方の巨大分子の1つのカルボン酸基および第2の巨大分子の2つのカルボン酸基によって)等々]。平均してポリマー成分の1巨大分子当たり0.15〜0.6、特に0.22〜0.58の架橋部位に相当する架橋密度が実現される場合が非常に有利であることが分かった。これに関し、架橋反応が、完全な反応の方にできるだけ近寄って実施される場合(好ましくは>90%、より好ましくは>95%)が特に有利である。架橋度が有利に実現することにより、架橋した接着剤の凝集性は十分に高くなり、したがって接着剤が曲げ負荷下で割れることがなく、ただし凝集性は曲げ負荷下で接着剤の付着不全が生じない程度に十分低くもある(架橋部位の数を適切に選択することによる過架橋の回避)。
【0061】
1種または複数の架橋剤は、未架橋の感圧接着剤がしばしば曝される普通の貯蔵条件下で、ヒドロキシ官能基および/または特に水と有意な反応をしないように選択されることが有利である。これにより、イソシアネートのような架橋剤を使用する際にしばしばそうであるような、このような反応による反応性の低下を回避することができる。
【0062】
非常に適した架橋剤は、架橋剤1分子当たり3つまたは4つの官能基を有する架橋剤(三官能性および四官能性の架橋剤)である。特に適しており、良好に貯蔵可能でもある架橋剤は、エポキシ基もアミン基も担持している化合物であることが分かった。このような特によく適した架橋剤は、例えば、分子内に少なくとも1つのアミン基および少なくとも2つのエポキシ基を有しており、非常により効果的な架橋剤は、例えば2つのアミン基および4つのエポキシ基を有している。N,N,N’,N’−テトラグリシジルメタキシレンジアミン(CAS No.63738−22−7)がとりわけよく適した架橋剤であることが分かった。さらに非常に良く適しているのは、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(CAS No.65992−66−7)である。分子内にエポキシ基およびアミン基を有するこの架橋剤は、架橋剤溶液の不変性(加工可能な時間、「可使時間」)が長いことを特色とし、水との反応による反応性低下を示さず、それにもかかわらず高い架橋速度を特徴とする。さらにこのような架橋剤により、本明細書の目標範囲内での規定の架橋度を、架橋生成物の貯蔵時に有意な後架橋を引き起こすことなく実現することができる。
【0063】
可能な限り良好な架橋を保証するため、共有結合的に架橋する選択された架橋剤の他に、別の架橋メカニズムにより反応するさらなる架橋剤(例えばキレート架橋剤のような)が存在しない場合が有利である。
【0064】
感圧接着剤の成分のまとめ(一目で分かるようにするため)
成分A:ポリマー成分
成分B:架橋剤(二つまたは二つ超の官能基を有する
成分A1:ポリアクリレート成分、成分Aの部分成分
成分A2:樹脂成分、成分Aの任意選択の部分成分
成分A3、A4、...:成分Aの任意選択の部分成分
成分a(モノマーaから成る):ポリアクリレート成分A1の部分成分
[少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有するモノマーであって、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー]
成分b(モノマーbから成る):成分A1の部分成分
[それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが高くとも−30℃になるように選択されている(メタ)アクリル酸エステル]
成分c、d、...:成分A1の任意選択の部分成分
成分a1(モノマーa1から成る):成分aの部分成分
[1つまたは複数のカルボン酸基を有する]
成分a2(モノマーa2から成る):成分aの任意選択の部分成分
[エチル残基および/またはメチル残基を有する少なくとも1つのエステル基を有する]
成分a3(モノマーa3から成る):成分aの任意選択の部分成分
[カルボン酸基なし、エチル残基もしくはメチル残基を有するエステル基なし]
上記のリストで「部分成分」の概念は、言語上、これらの成分の100%の割合を排除するものではない。
【0065】
支持フィルム
本発明による接着テープのための支持材料としては、プラスチックフィルム、特に好ましくはPET(ポリエチレンテレフタレート)から成るフィルムを用いることが有利である。支持フィルムの層厚は、好ましくは4〜50μmである。平面的な成形部材(接着テープの切片もしくは切抜き、いわゆる「ダイカット」)の成形、特に型抜きを容易にするため、または感圧接着剤の性質(凝集性)次第では初めて可能にするために、支持フィルムは、特に接着テープのための安定化フィルムとして役立つ。さらにフィルムは、貼り付けた接着テープを土台からよりうまく容易に取り除けるようにする(再剥離性)。
【0066】
接着テープの構造
本発明による感圧接着テープは、特に好ましくは厚さが100〜300μmの範囲内である。これに関し支持フィルムは、対称的または非対称的に感圧接着剤層の間に配置することができる図1は対称的なテープを示す、ここで1.1及び1.2=感圧接着剤層; 1.3=支持フィルムである。図2は非対称的なテープを示す、ここで2.1及び2.2は感圧接着剤層、2.3は支持フィルムを示す)。厚さが4〜50μmの範囲内の支持フィルムを用いるのが好ましい。有利なのは、支持体の厚さが感圧接着テープ全体の厚さの20%以下、特に10%以下になるように選択される場合であり、これにより接着テープの厚さにおける支持体の割合が高くなりすぎず、かつ感圧接着剤に由来する接着テープの所望の特性を作用させることができる。
【0067】
有利なのは、感圧接着テープが幾何的に対称的な構造であり、つまり感圧接着剤層が支持フィルムの両面に同じ厚さで形成される場合である。
【0068】
特に幾何的な対称性との組合せでは、本発明による接着テープの両面の感圧接着剤が化学的に同一である場合、つまり上記の基本形またはその変形形態において示したような感圧接着剤が両面に用いられる場合がさらに有利である。
【0069】
特に有利な本発明による接着テープは、化学的におよび幾何的に対称的に形成されており、全体厚が200μmであり、かつ支持体として12μm厚のPETフィルムを備える接着テープであることが分かった(感圧接着剤層の厚さはそれぞれ94μm)。
【0070】
対称的な接着テープは、それぞれの面で、影響に対して最適な衝撃吸収力および応力補償力を提供するという利点をもたらす。特に、一方または両方の妨害影響が、完全にまたは主に片側からと予想され得る用途には、非対称的な接着テープの使用も有利であることができ、この場合、妨害側に向いた感圧接着剤層は、ここで妨害を最適に補償するため、両方の感圧接着剤層の厚い方であることが好ましい。この場合、反対側の、つまり妨害に弱い側にある感圧接着剤層を薄い層として形成することにより、接着テープの全体厚を小さくすることができる。この反対側の感圧接着剤層は、厚い方の感圧接着剤層と化学的に同一であってよいが、特に貼り付けるそれぞれの下地に適合させるために化学的に異なっていてもよい。
【0071】
これにより比較的長期の貯蔵および使用中の快適な取扱いを保証するために、より扱い易くするため、例えばロールとして巻き付けるために、本発明による両面接着テープは片面または両面に、一時的なカバー材料から成る、有利には紙または対応するフィルムから成る、特に両面でシリコーン処理された紙または両面でシリコーン処理されたフィルムまたはシリコーンフィルムから成るカバーを備えることができる。
【0072】
最後に本発明は、1つの支持層および2つの外側にある感圧接着剤層を含む接着テープのための感圧接着剤、ならびに対応する接着テープ自体に関し、前記感圧接着剤の少なくとも一方が、つまり上述の感圧接着剤が架橋生成物であり、この架橋生成物は少なくとも下記の成分を含むポリマー組成物から成り、すなわち
A)ポリマー成分(成分A)、
少なくとも下記a)、b)から成る1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88〜100重量%含むポリマー成分、
a)成分A1に対して1〜15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
但し、前記モノマー(a)の少なくとも一部さらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分A1に対して85〜99重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)、
B)共有結合的に架橋する二つまたは二つ超の官能基を有する少なくとも1種の架橋剤(成分B)、を含むポリマー組成物から成り、
前記成分Aおよび成分Bは合わせてポリマー組成物の少なくとも95重量%になり、DMAにより測定された0.1rad/sおよび85℃での感圧接着剤の損失係数tanδ(損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比)は0.35〜0.75の範囲内にあり、DMA測定により確定された25℃でのガラス転移周波数fは5000rad/s超である。
【0073】
特に、この感圧接着剤は優れた温度耐性を示し、SAFT試験における200℃での1000μm未満の滑り距離によって特徴づけられる(下記参照、「測定法」の章)。
【0074】
前述の損失係数およびガラス転移周波数の特性ならびに好ましくは上記の温度耐性も有する感圧接着剤は、特に、本明細書の枠内および請求項においてさらに説明されたような感圧接着剤である。したがって本明細書の枠内で挙げる実施形態は、この感圧接着剤にも当てはまることが好ましい。
【0075】
使用
最後に本発明は、本明細書の枠内で示した種類の両面感圧接着テープのための架橋した感圧接着剤を製造するためのポリマー組成物の使用、ならびにプラスチック、ガラス、もしくは金属に、特に透明な構成要素、特にウィンドウ(ガラスパネル、ポリマパネル)を貼り付けるための本発明による両面感圧接着テープの使用に関する。本発明は特に、電子式、電気式、および/または機械式の機器、特に電子式、電気式、および/または機械式の端末機器または小型機器のためのこのような貼り付けに関しており、これらの機器は、その大きさおよび重量に基づき、肉体的な労力をあまり要せずに持ち運び可能であり、これによりモバイルで使用可能であり、それゆえ特に携帯するために提供されており(いわゆるモバイル機器またはポータブル機器)、例えば、携帯電話、スマートフォン、およびパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA、例えばオーガナイザ、ハンドヘルド、パームトップ)、さらに例えばラップトップ、ノートブック、タブレットPCのような小型コンピュータ(モバイルコンピュータ、ポケットコンピュータ)、さらにゲーム用コンソール、ゲームパッド、遠隔操作器、センサスクリーン(タッチスクリーン)、タッチエリア(タッチパッド)、グラフィックタブレットのようなコンピュータおよび電子機器の操作ユニット、さらに無線機器、GPS機器、ナビゲーション機器、衛星通信の携帯用インターフェイス機器、さらに例えばウォークマンおよびディスクマン、MP3プレイヤー、ポケットテレビおよびポケットラジオ、Eブックリーダのような電子(娯楽)メディアの再生用電子機器、さらにデジタルカメラ、フィルムカメラ、ビデオカメラ、さらに腕時計、デジタル時計、電卓、さらに血糖測定機器、血圧測定機器、心拍計、医療用の監視機器および/または制御機器および/またはモニタ、歩数計、タコメータのような医療用モバイル機器および/またはスポーツをする人のための医療用モバイル機器である。上に挙げたものがすべてではない。
【0076】
測定法/前述のパラメータ値に関する説明
I:未架橋のポリアクリレート(重合生成物)を用いた測定
平均分子量
本明細書中での数平均モル質量MN,Pおよび多分散度PDのデータは、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)の決定に関する。この決定は、清澄ろ過した試料100μl(試料濃度4g/l)に対して行う。溶離液として、トリフルオロ酢酸0.1体積%を含むテトラヒドロフランを用いる。測定は25℃で行う。
【0077】
プレカラムとして、カラムタイプPSS−SDV、5μm、10Å、8.0mm×50mm(ここでのおよび以下での表示は順番にタイプ、粒子サイズ、多孔性、内径×長さであり、1Å=10−10m)を使用する。分離のために、タイプPSS−SDV、5μm、10Åならびに10Åおよび10Åでそれぞれ8.0mm×300mmのカラムの組合せを用いる(Polymer Standards Service社のカラム、示差屈折計Shodex RI71による検出)。貫流量は1分当たり1.0mlである。較正は、PMMA標準に対して行われる(ポリメチルメタクリレート較正)。
【0078】
II.樹脂を用いた測定
軟化点T
樹脂の軟化点Tの決定には環球法を用い、DIN EN 1427:2007の決定を相応に適用して行う(瀝青の代わりに樹脂試料を、その他の点ではそのままのプロセス操作で試験する)。測定はグリセリン浴中で行う。軟化点についてのデータはこの測定の結果に関する。
【0079】
III.両面接着テープを用いた測定
下記の試験には、対称的な両面接着テープ(全体厚200μm、支持フィルムPET12μm)を使用した(製造は下記参照)。
【0080】
ガラス転移温度T;ガラス転移周波数f;損失係数tanδ
ガラス転移温度T、ガラス転移周波数f、および損失係数tanδは、動的機械分析(DMA)により決定した。その際、以下のプロセス操作を選択した。すなわちガラス転移温度は温度掃引によって、ガラス転移周波数は時間−温度の重ね合わせ法(TTS)によって、損失係数の値(および損失弾性率の値、貯蔵弾性率の値)は周波数掃引によって確定した。本明細書の枠内でのすべてのデータは、個々の場合において他に何も提示がなければ、これらの測定の結果に関する。
【0081】
DMAでは、粘弾性材料の特性が、正弦波状の機械的荷重の際に荷重の周波数(つまり時間)にも温度にも依存することを利用した。TTS法では、規則的な温度間隔をあけて実施した周波数測定を周波数掃引へと計算処理し、これにより、測定で取得可能な範囲より下および上に数十ほど広げることができる。
【0082】
すべてのDMAプロセス操作
測定機器:Rheometric Scientific RDA III、測定ヘッド:垂直抗力でのバネによる支持、温度調節:加熱室、測定幾何形状:平行プレート構成、試料厚さ1(±0.1)mm、試料直径25mm(1mm厚の試料を作製するため、試験すべき接着テープ5層(それぞれ200μm)を重ねてラミネートした。PET支持体はレオロジー特性に決定的には寄与しないので、PET支持体の存在は無視できる。)。
【0083】
温度掃引
測定周波数10rad/s、温度範囲−40℃〜+130℃、加熱速度2.5℃/min、変形1%
周波数掃引
測定周波数0.1〜100(512)rad/s、温度25℃、応力2500Pa、変形1%
TTS測定
測定周波数0.1〜512rad/s、温度は15℃間隔で−35〜+190℃、変形1%
ローリングボールタック
ローリングボールタックの測定は、PSTC−6法(Test Methods for Pressure Sensitive Adhesive Tapes、第15版、発行:Pressure Sensitive Tape Council、Northbrook (Illinois)、USA(非特許文献1))に基づいて行い、その際、以下の変更を行った。
−特殊鋼のボールベアリングのボール(特殊鋼1.4401)を使用、直径7/16Zoll(1.111cm)、質量5.7g
−ボールの準備:セルロースおよびアセトンでの徹底的な洗浄、清浄なボールを一連の測定の前に15分間アセトン浴中で貯蔵(ボールをアセトンで完全に取り囲む)、測定開始の少なくとも30分前にはボールをアセトン浴から取り出し、乾燥およびコンディショニングのため、むきだしのまま標準雰囲気(23±1℃、相対湿度50±5%)中で貯蔵
−各ボールは1回の測定のためだけに使用
【0084】
初期接着性の決定は以下のように実施した。すなわち非常に短い接触時間での初期接着性の尺度として、いわゆる「ローリングボールタック」を測定した。接着テープの約30cm長の細長片を、接着面を上にしてピンと張って水平に試験面上に固定した。測定のためスチールボールを、地球の重力場で高さ65mmの傾斜路(傾斜角:21°)から転がし落とすことで加速させた。スチールボールを、傾斜路から直接的に試料の接着性の表面に誘導した。接着剤上でボールが停止するまでに進んだ距離を測定した。測定時の測定場所の温度およびボールの温度は23±1℃であった。
【0085】
こうして確定した転がり距離の長さは、この場合、自己接着剤の初期接着性の逆尺度として役立つ(つまり、転がり距離が短ければそれだけ初期接着性が高い、またその逆)。それぞれの測定値は、5つの異なる接着テープ細長片それぞれに対する5回の個々の測定の平均値である(mm単位の長さデータとして)。
【0086】
割裂試験
図3は試験の実施段階を示しており、当該部分の位置符号は、以下では準備段階の説明でも使用した)
【0087】
試験材料
・SUS304スチール製のスチールアングル、アセトン洗浄、スチール面30mm×30mm(3.2)および30mm×60mm(3.3)、面の間の角度90°、大きい方の面(3.3)に引っ掛け穴(3.4)
・ポリカーボネートプレート(PCプレート)およびポリメチルメタクリレートプレート(PMMAプレート)(3.5)、それぞれ75mm×50mm
・おもり(3.7)、250g、引っ掛けるためのフック付き
・スチールフレーム台(3.6)
【0088】
試験準備
・PCプレートは85℃で24時間貯蔵し、貼り付ける前に30分室温でコンディショニングした。
・PMMAプレートは70℃で24時間貯蔵し、貼り付ける前に30分室温でコンディショニングした。
【0089】
試験すべき両面接着テープの一方の面を剥離紙に接着させ、25mm×25mmサイズの試料(3.1)に裁断した。この正方形の接着テープ試料(3.1)の覆われていない接着剤面をそれぞれスチールアングルの小さい方の面(3.2)の外面の真ん中に接着し、その後、剥離紙を剥がし、こうして露出した接着面をPCプレートまたはPMMAプレート(3.5)の真ん中に接着し、したがってスチールアングルの大きい方の面(3.3)は垂直に上を指した。それぞれの試料の両面が貼り付くのに十分な押圧力を生成するため、小さい方の水平になっているスチールアングル面(3.2)に6kgのおもりで10分間負荷を掛けた。その後、おもりを取り除き、試料をこの状態で24時間、室温で放置した(それぞれの下地上での接着剤の養成)。
【0090】
その後、試料は乾燥庫内で10分間、85℃で空調管理された。
【0091】
試験実施(図3を参照)
スチールアングル(3.2、3.3)を接着テープ試料(3.1)で貼り付けたPCプレートまたはPMMAプレート(3.5)を、スチールアングル(3.2、3.3)が下にぶら下がる(大きい方の面(3.3)が垂直に下を指す)ようにスチールフレーム台(3.6)の上に置く。次におもり(3.7)(250g)を穴に引っ掛け、これにより貼付部に負荷が掛かり、かつこの時点を開始時間として記録する。
【0092】
それぞれの試験すべき接着テープに関し、同一の試料を10個作製し、それぞれ、PCプレートで5回の測定およびPMMAプレートで5回の測定を実施した。
【0093】
試験は、それぞれ72時間後に、10回の測定のどれでもスチールアングルが剥がれ落ちなかった場合を合格とみなす。
【0094】
ボール落下試験
この試験では、本発明による接着テープまたは比較試料で貼り付けられた試料サンプルの耐衝撃性(「Shock Resistance」)についてのデータを取ることができ、この試料サンプルの耐衝撃性は接着テープの衝撃吸収力に由来する。
【0095】
試験すべき接着テープから正方形のフレーム状の試料を切り抜いた(外寸33mm×33mm、ストランド幅3.0mm、内寸(「ウィンドウ」)27mm×27mm)。この試料を、ABSフレーム(外寸50mm×50mm、内寸(「ウィンドウ」)25mm×25mm、厚さ3mm)に接着した。両面接着テープのもう一方の面に、30mm×30mmのPMMAウィンドウを接着した。ABSフレームと接着テープフレームとPMMAウィンドウの貼り付けは、幾何学的中心および対角線がそれぞれ重なる(角の上に角がくる)ように行った。貼付面は360mmであった。貼付部を5秒間10barでプレスし、24時間放置した。
【0096】
ABSフレームと接着テープとPMMAウィンドウとから成る接着複合体を、ABSフレームのはみ出ている縁でフレーム台上に置き、これにより複合体は水平に位置合わせされ、PMMAウィンドウはどこにも当たらずにぶら下がって下を指した。このように配置した試料の上に、垂直に250cmの高さからスチールボール(直径15mm、質量5.6g)を落とした(測定条件23℃、相対湿度50%)。それぞれの試料で3回の試験を実施した。
【0097】
ボール落下試験は、3回の試験のどれでも貼付が剥がれなかった場合を合格とみなす。
【0098】
SAFT−せん断接着破壊温度
この試験は、温度負荷下での接着テープのせん断強度の迅速検査に役立つ。これに関しては、試験すべき接着テープを温度調節可能なスチールプレート上に接着し、おもり(50g)で負荷を掛け、せん断距離を記録する。
【0099】
測定試料の準備
試験すべき接着テープを、50μm厚のアルミニウムフィルム上に接着する。こうして準備した接着テープを10mm×50mmの大きさに裁断する。
【0100】
裁断した接着テープ試料を、研磨してアセトン洗浄したスチール検査プレート(材料1.4301、DIN EN 10088−2、表面2R、表面粗さRa=30〜60nm、寸法50mm×13mm×1.5mm)上に、試料の貼付面が高さ×幅=13mm×10mmになりスチール検査プレートの上縁が2mmはみ出るように貼り付ける。次に固定のため、上で2kgスチールローラを速度10m/minで6回転がす。試料を上側で的確に、安定した接着細長片で補強し、この細長片は、距離測定センサ用の支持台として役立つ。その後、接着テープのより長くはみ出ている端部が垂直に下を指すように、スチールプレートにより試料をぶら下げる。
【0101】
測定
測定すべき試料の下端で、50gのおもりで負荷を掛ける。試料を貼り付けたスチール検査プレートを、25℃から始めて1分につき9℃の割合で200℃の最終温度へと加熱していく。
【0102】
距離測定センサにより、温度および時間に応じた試料の滑り距離を観察する。最大の滑り距離を1000μm(1mm)と規定し、それを超えると試験を中断する。検査雰囲気は、室温23±3℃、相対湿度50±5%である。
【0103】
試験は、200℃での滑り距離が1000μmの値を超えなかった場合を合格とみなす(試料が十分に温度耐性であるとして)。試験が不合格の場合は、最大の滑り距離(1000μm)に達したときの温度を表示する(単位℃)。
【発明を実施するための形態】
【0104】
実験の部
感圧接着剤の製造
沸騰冷却下でのラジカル重合に適した従来の2Lガラス反応器に、ブチルアクリレート142.5gとエチルヘキシルアクリレート142.5gとアクリル酸15gとを含むモノマー混合物300gおよびアセトン:沸点範囲60/95のベンジン(1:1)200gを充填した。撹拌しながら窒素ガスを45分間通した後、反応器を58℃に加熱し、2,2’−アゾジ(2−メチルブチロニトリル)(Vazo67(登録商標)、DuPont社)0.15gを、アセトン6g中に溶解して加えた。続いて外側の加熱槽を75℃に加熱し、この外側温度で一定させて反応を実施した。1時間の反応時間の後、再びVAZO67(登録商標)0.15gを、アセトン6g中に溶解して加えた。3時間後にアセトン:沸点範囲60/95のベンジン(1:1)90gで希釈した。
【0105】
5時間半の反応時間の後、ビス−(4−tert.−ブチルシクロヘキサニル)−ペルオキシジカーボネート(Perkadox16(登録商標)、Akzo Nobel社)0.45gを、アセトン9g中に溶解して加えた。7時間の反応時間の後、さらなるビス−(4−tert.−ブチルシクロヘキサニル)−ペルオキシジカーボネート(Perkadox16(登録商標)、Akzo Nobel社)0.45gを、アセトン9g中に溶解して加えた。10時間の反応時間の後、アセトン:沸点範囲60/95のベンジン(1:1)90gで希釈した。24時間の反応時間の後に反応を中断し、室温に冷却した。結果として生じたポリマーの数平均分子量は、このように製造したすべてのポリマーに関し、M=100,000g/molの範囲内であった(表を参照)。
【0106】
続いてこの重合体を、相応の量の架橋剤[例1〜例15はアセトン中の3%テトラグリシジルメチキシレンジアミン;Erisys(登録商標)GA−240溶液、例16はアセトン中の3%アルミニウム−(III)−アセチルアセトナート溶液]と混合し、樹脂混合接着剤に関しては相応の量の接着樹脂(Sylvares TP95(登録商標)、テルペンフェノール樹脂、軟化温度92〜98℃(メーカー発表の典型的な値は95℃、Arizona Chemical))と混合し、アセトン:沸点範囲60/95のベンジン(1:1)で、固体含有率40%に希釈した。
【0107】
架橋剤および樹脂の量分率は、それぞれ表1のデータを参照のこと。架橋剤の重量部のデータは、純粋な架橋剤(希釈剤なし)の量に関し、それぞれポリアクリレート成分A1の100重量部を基準としている。
【0108】
両面感圧接着テープ複合体の製造
40%ポリマー組成物溶液をライナー材料(シリコーン処理した剥離紙)上にコーティングし、15分間120℃で乾燥させ、その際に架橋反応が起こった。乾燥後、94μm厚の架橋した感圧接着剤層が得られた。
【0109】
このように製造した感圧接着剤層を、通常の方法により、12μm厚のPET支持フィルムの両面にラミネートし、これにより全体厚が200μmの対称的な両面感圧接着テープが得られた。
【0110】
実験の結果は表1に示している。
【0111】
この感圧接着剤の要求されている使用分野のための適性は、割裂試験およびボール落下試験に合格することで示される。このために、感圧接着剤のレオロジー特性を非常に正確に調整する必要がある。これは本発明によれば、使用するポリマーの量および種類、使用する架橋剤の量、ならびに接着樹脂の混合の制限によって行われる。本明細書の枠内に示したような選りすぐりの架橋剤を選択することにより、微調整をさらに最適化することができる。
【0112】
任意選択で、感圧接着剤に樹脂を混合することができる。ただし樹脂混合が多すぎると(ここでは13重量%超)、ボール落下試験が不合格になり、つまりその感圧接着剤が要求されている使用目的に適さないことが分かった(例3、5、7、8、12を参照)。
【0113】
割裂試験の合格は、試験した接着テープおよびそれにより生成された貼付の、特に低周波の妨害に対する耐性を示す。特に、割裂試験は曲げ応力補償の適性および優れた温度凝集持続性を説明することに役立つ。
【0114】
割裂試験に合格するのは、架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nとの量比率V=n/nが、主請求項に提示されているような特定の範囲内で選択されている場合であることが確認できた(例1、2、3、7、10、11、12を参照)。これらの架橋剤の量により達成された架橋度は、損失係数tanδによりとりわけうまく特徴づけることができる。成功した例に関しては、損失係数は本明細書の枠内で設定された範囲内にある。
【0115】
ボール落下試験は、特に、接着テープの衝撃吸収力、つまり落下または衝撃のような機械的影響を和らげるための適性を調べるのに適している。この試験に合格すれば、これに関する適性は十分とみなされる。
【0116】
実験から、ローリングボールタック試験が50mm以下の値になった場合には常にボール落下試験に合格したことが分かる。さらなる特徴として、25℃でのガラス転移周波数fを取り上げることができる。ボール落下試験は、25℃でのガラス転移周波数fが少なくとも5000rad/sの値に達する試料で合格していた(例1、2、4、6、9、10、11、13、14)。
【0117】
本発明による特徴を有する接着テープは、温度耐性試験(SAFT試験)を、高架橋した感圧接着剤を備えた接着テープと同じように合格する。ただしポリアクリレート成分の架橋不足(少なすぎる架橋剤量)は、不十分な温度耐性をもたらす。
【0118】
これに加え、アルミニウムキレート架橋剤で架橋した試料(例16)は、ボール落下試験には合格するが、割裂試験には合格せず、優れた温度耐性も示さない(SAFT試験の失敗)ことが確認できた。したがって、このように架橋した感圧接着剤は課題に基づく要求を満たさない。すなわち本発明により要求された架橋剤を用いて製造した感圧接着剤は、キレート架橋した感圧接着剤に対して明らかな利点を有している。
【0119】
よって特許請求された接着テープは、客観的な課題を果たすのにことさら適していることが分かった。同様に特許請求されたポリマー組成物は、このような接着テープを製造するのにことさら適している。
【0120】
【表1】
本願は、特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
1つの支持層および2つの外側にある感圧接着剤層を含む両面接着テープであって、
この場合、感圧接着剤の少なくとも一方が架橋生成物であり、前記架橋生成物が少なくとも下記の成分を含むポリマー組成物から成り、すなわち
A)ポリマー成分(成分A)、
少なくとも下記a)、b)から成る1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88〜100重量%含むポリマー成分、
a)成分A1に対して1〜15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
この場合、モノマー(a)の少なくとも一部がさらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分A1に対して85〜99重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)、
B)共有結合的に架橋する二官能性または多官能性の少なくとも1種の架橋剤(成分B)、を含むポリマー組成物から成り、
成分Aおよび成分Bが合わせてポリマー組成物の少なくとも95重量%になる接着テープにおいて、
少なくとも1種の架橋剤が、架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nとの量比率V=n/nが0.15〜0.60の間の値を示す量で存在しており、
架橋剤の架橋活性中心の物質量nが、架橋剤1分子当たりの架橋活性中心の数fを乗じた架橋剤質量mを架橋剤のモル質量Mで割ることで求められ、すなわちn=f・m/Mであり、
ポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nが、感圧接着剤中のポリマー成分の質量mを前記成分の数平均モル質量Mn,Pで割ることで求められ、すなわちn=m/Mn,Pであることを特徴とする接着テープ。

2.
1つの支持層および2つの外側にある感圧接着剤層を含む接着テープ、特に前記1に記載の接着テープであって、
この場合、感圧接着剤の少なくとも一方が架橋生成物であり、前記架橋生成物が少なくとも下記の成分を含むポリマー組成物から成り、すなわち
A)ポリマー成分(成分A)、
少なくとも下記a)、b)から成る1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88〜100重量%含むポリマー成分、
a)成分A1に対して1〜15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
この場合、モノマー(a)の少なくとも一部がさらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分A1に対して85〜99重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)、
B)共有結合的に架橋する二官能性または多官能性の少なくとも1種の架橋剤(成分B)、を含むポリマー組成物から成り、
成分Aおよび成分Bが合わせてポリマー組成物の少なくとも95重量%になる接着テープにおいて、
DMAにより測定された0.1rad/sおよび85℃での感圧接着剤の損失係数tanδ(損失弾性率G”と貯蔵弾性率G’の比)が0.35〜0.75の範囲内にあり、
DMA測定により確定された25℃でのガラス転移周波数fが5000rad/s超であることを特徴とする接着テープ。

3.
モノマーa1が、成分A1に対して3〜5重量%で存在していることを特徴とする前記1または2に記載の接着テープ。

4.
モノマーの少なくとも一部が、アクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、およびメタクリル酸エチルエステルを含む群から選択されている(モノマーa2)ことを特徴とする前記1〜3のいずれか一つに記載の接着テープ。

5.
モノマーa2が、成分A1に対して最高10重量%で存在していることを特徴とする前記4に記載の接着テープ。

6.
ポリマー成分Aがさらに、軟化点が80〜150℃の樹脂成分(成分A2)を最高12重量%、好ましくは最高10重量%含むことを特徴とする前記1〜5のいずれか一つに記載の接着テープ。

7.
架橋剤が、共有結合的に反応する架橋剤であることを特徴とする前記1〜6のいずれか一つに記載の接着テープ。

8.
架橋剤として、分子内にエポキシ官能基もアミン官能基も含む化合物が用いられることを特徴とする前記6に記載の接着テープ。

9.
架橋剤として、テトラグリシジルメタキシレンジアミンが用いられることを特徴とする前記1〜8のいずれか一つに記載の接着テープ。

10.
架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nとの量比率V=n/nが0.38〜0.59の間の値を示すことを特徴とする前記1〜9のいずれか一つに記載の接着テープ。

11.
100〜300μmの厚さを特徴とする前記1〜10のいずれか一つに記載の接着テープ。

12.
支持層の両面の感圧接着剤層が幾何的に同一であることを特徴とする前記1〜11のいずれか一つに記載の接着テープ。

13.
支持層の両面の感圧接着剤が化学的に同一であることを特徴とする前記1〜12のいずれか一つに記載の接着テープ。

14.
接着テープのための、特に前記1〜13のいずれか一つに記載の接着テープのための架橋した感圧接着剤を製造するための、少なくとも下記の成分を含むポリマー組成物、すなわち
A)ポリマー成分(成分A)、
少なくとも下記a)、b)から成る1種または複数のポリアクリレート(成分A1)を88〜100重量%含むポリマー成分、
a)成分A1に対して1〜15重量%で、
少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが低くとも0℃になるように選択されているモノマー(モノマーa)、
この場合、モノマー(a)の少なくとも一部がさらに少なくとも1つのカルボン酸基を有している(モノマーa1)、
b)成分(A1)に対して85〜99重量%で、
アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの群からの1種または複数のモノマーであり、それぞれ、各々のモノマーから成る対応するホモポリマーのガラス転移温度Tが−30℃以下になるように選択されているモノマー(モノマーb)、
B)二官能性または多官能性の少なくとも1種の架橋剤(成分B)、を含むポリマー組成物であって、
少なくとも1種の架橋剤が、架橋剤の架橋活性中心の物質量nとポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nとの量比率V=n/nが0.15〜0.6の間の値を示す量で存在しており、
架橋剤の架橋活性中心の物質量nが、架橋剤1分子当たりの架橋活性中心の数fを乗じた架橋剤質量mを架橋剤のモル質量Mで割ることで求められ、すなわちn=f・m/Mであり、
ポリマー成分A1の巨大分子の理論上の物質量nが、感圧接着剤中のポリマー成分の質量mをこの成分の数平均モル質量Mn,Pで割ることで求められ、すなわちn=m/Mn,Pであるポリマー組成物。
図1
図2
図3