(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連動機構は、前記ステープル部の前記第2のステープル位置から前記第1のステープル位置への移動に連動して、前記基準板を前記第2の基準位置から前記第1の基準位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の後処理装置。
前記ステープル部は、更に、前記シート幅方向に対して所定の角度だけ傾斜して、前記第1の角部とは反対側で前記端縁によって形成される前記シートの第2の角部に対向して配置される第3のステープル位置と、前記第2のステープル位置と前記第3のステープル位置との間であって、前記端縁に沿って配置される第4のステープル位置とに配置可能とされ、
前記連動機構は、前記ステープル部の前記第2のステープル位置から前記第4のステープル位置への移動に連動して、前記基準板を前記第2の基準位置から前記第1の基準位置に移動させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の後処理装置。
前記連動機構は、前記ステープル部の前記第4のステープル位置から前記第2のステープル位置への移動に連動して、前記基準板を前記第1の基準位置から前記第2の基準位置に移動させることを特徴とする請求項4に記載の後処理装置。
前記ステープル部が前記第2のステープル位置に配置された状態において、前記回転部材の姿勢が前記押圧部材によって規制され、前記回転部材の前記延設部が水平方向に沿って配置されることで、前記基準板が前記第2の基準位置に保持されることを特徴とする請求項6に記載の後処理装置。
前記ステープル部の前記第4のステープル位置から前記第2のステープル位置への移動に伴って、前記押圧部材が前記回転部材の一の前記延設部に当接すると、前記回転部材が前記支点部回りに回転し、前記回転部材の前記一の延設部が前記付勢部材の付勢力に抗して前記基準板を押圧することで、前記基準板が前記第1の基準位置から前記第2の基準位置に移動することを特徴とする請求項8に記載の後処理装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された後処理装置は、シートの幅方向の位置を規制する幅規制部材と、ステープル処理のためにシートの後端縁を揃える基準板とを備える。基準板は幅規制部材の幅合わせ動作に連動して、シートサイズに応じた規制位置に移動する。幅規制部材は、処理トレイがシートを1枚ずつ受け入れる度に幅合わせ動作を行う。この結果、移動する基準板が用紙受入の度に積載されたシートの整合を乱すことや、シートが損傷するという問題があった。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みて為されたものであって、複数のシートに後処理を施す後処理装置およびこれを備えた画像形成装置において、後処理のために積載されるシートの整合不良を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面に係る後処理装置は、筐体と、シートが所定の搬送方向に向かって搬入され、複数の前記シートが積載されるトレイ部と、前記シートの前記搬送方向先端側の端縁に対向して配置され、かつ、前記端縁に沿って前記搬送方向と直交するシート幅方向に移動可能とされ、前記複数のシートにステープル処理を施すステープル部と、前記ステープル部を前記シート幅方向に移動させる移動部と、前記複数のシートの前記端縁に当接し、前記複数のシートを整合する基準板と、前記ステープル部の移動に連動して、前記基準板を前記シート幅方向に移動させる連動機構と、を有
し、前記ステープル部は、前記シート幅方向に対して所定の角度だけ傾斜して、前記端縁によって形成される前記シートの第1の角部に対向して配置される第1のステープル位置と、前記第1のステープル位置よりも前記シート幅方向の内側であって、前記端縁に沿って配置される第2のステープル位置とに配置可能とされ、前記基準板は、前記第1のステープル位置よりも前記シート幅方向の内側であって、前記第2のステープル位置に重なるように配置される第1の基準位置と、前記第1の基準位置および前記第2のステープル位置よりも前記シート幅方向の外側に配置される第2の基準位置とに配置可能とされ、前記連動機構は、前記ステープル部が前記第1のステープル位置に配置された場合に、前記基準板を前記第1の基準位置に配置し、前記ステープル部の前記第1のステープル位置から前記第2のステープル位置への移動に連動して、前記基準板を前記第1の基準位置から前記第2の基準位置に移動させることを特徴とする。
【0007】
本構成によれば、ステープル部は、トレイ部に積載された複数のシートに対して、ステープル処理を施す。移動部がステープル部をシート幅方向に移動させることによって、ステープル部は複数のステープル位置に配置可能とされる。トレイ部に搬入されるシートの端縁が基準板に当接することで、搬送方向におけるシートの位置が規制される。トレイ部に搬入されるシートのサイズに応じて、基準板がシート幅方向に移動されることで、シートが安定して整合される。更に、連動機構は、ステープル部の移動に連動して、基準板を前記シート幅方向に移動させる。このため、ステープル部の位置が決定されると、基準板の位置も固定される。この結果、複数のシートが順次トレイ部に搬入される際に基準板が移動することがなく、基準板の移動によってシートの整合が乱れることが防止される。
【0009】
また、本構成によれば、ステープル部は、第1のステープル位置および第2のステープル位置に配置可能とされる。一方、基準板は、第1の基準位置および第2の基準位置に配置可能とされる。ステープル部が第1のステープル位置に配置された場合、基準板は第1の基準位置に配置される。一方、ステープル部が第1のステープル位置から第2のステープル位置に移動される場合、基準板は第2の基準位置に配置される。このため、ステープル部と基準板との干渉が防止され、シートに安定してステープル処理が施される。
【0010】
上記の構成において、前記連動機構は、前記ステープル部の前記第2のステープル位置から前記第1のステープル位置への移動に連動して、前記基準板を前記第2の基準位置から前記第1の基準位置に移動させることが望ましい。
【0011】
本構成によれば、ステープル部が第2のステープル位置から第1のステープル位置に移動される場合、基準板は再び第1の基準位置に配置される。このため、ステープル部と基準板との干渉が防止され、シートに安定してステープル処理が施される。
【0012】
上記の構成において、前記基準板の前記第2の基準位置は、前記ステープル部の前記第1のステープル位置に重なるように配置されていることが望ましい。
【0013】
本構成によれば、シート幅方向において、後処理装置がコンパクトに設定される。
【0014】
上記の構成において、前記ステープル部は、更に、前記シート幅方向に対して所定の角度だけ傾斜して、前記第1の角部とは反対側で前記端縁によって形成される前記シートの第2の角部に対向して配置される第3のステープル位置と、前記第2のステープル位置と前記第3のステープル位置との間であって、前記端縁に沿って配置される第4のステープル位置とに配置可能とされ、前記連動機構は、前記ステープル部の前記第2のステープル位置から前記第4のステープル位置への移動に連動して、前記基準板を前記第2の基準位置から前記第1の基準位置に移動させることが望ましい。
【0015】
本構成によれば、ステープル部が第2のステープル位置においてステープル処理を施す場合、基準板が第2の基準位置に配置されるため、ステープル部と基準板との干渉が防止される。更に、ステープル部が第2のステープル位置から第1のステープル位置とは反対側の第4のステープル位置に移動する際に、基準板が再び第1の基準位置に移動する。このため、第4のステープル位置においてステープル処理が施される際に、シートの端縁を安定して整合することができる。
【0016】
上記の構成において、前記連動機構は、前記ステープル部の前記第4のステープル位置から前記第2のステープル位置への移動に連動して、前記基準板を前記第1の基準位置から前記第2の基準位置に移動させることが望ましい。
【0017】
本構成によれば、ステープル部が第4のステープル位置から第2のステープル位置に移動される場合、基準板は再び第2の基準位置に配置される。このため、ステープル部と基準板との干渉が防止され、シートに安定してステープル処理が施される。
【0018】
上記の構成において、前記連動機構は、前記基準板を前記第2の基準位置から前記第1の基準位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、前記シートの搬送方向に沿って延びる支点部と、前記搬送方向と交差する方向において前記支点部から互いに逆向きに延設される一対の延設部と、を含み、前記基準板の前記シート幅方向の内側に隣接して、前記支点部回りに回転可能に前記筐体に支持される回転部材と、前記ステープル部に固定され、前記ステープル部の前記移動に伴って、前記回転部材に接触する押圧部材と、を備え、前記ステープル部の前記第1のステープル位置から前記第2のステープル位置への移動に伴って、前記押圧部材が前記回転部材の一の前記延設部に当接すると、前記回転部材が前記支点部回りに回転し、前記回転部材の他の前記延設部が前記付勢部材の付勢力に抗して前記基準板を押圧することで、前記基準板が前記第1の基準位置から前記第2の基準位置に移動することが望ましい。
【0019】
本構成によれば、付勢部材と、回転部材と、押圧部材とによって、基準板のシート幅方向における移動が実現される。
【0020】
上記の構成において、前記ステープル部が前記第2のステープル位置に配置された状態において、前記回転部材の姿勢が前記押圧部材によって規制され、前記回転部材の前記延設部が水平方向に沿って配置されることで、前記基準板が前記第2の基準位置に保持されることが望ましい。
【0021】
本構成によれば、回転部材の姿勢が押圧部材によって規制されることで、基準板が第2の基準位置に保持される。
【0022】
上記の構成において、前記連動機構は、前記基準板を前記第2の基準位置から前記第1の基準位置に向かう方向に付勢する付勢部材と、前記シートの搬送方向に沿って延びる支点部と、前記搬送方向と交差する方向において前記支点部から互いに逆向きに延設される一対の延設部と、を含み、前記基準板の前記シート幅方向の内側に隣接して、前記支点部回りに回転可能に前記筐体に支持される回転部材と、前記ステープル部に固定され、前記ステープル部の前記移動に伴って、前記回転部材に接触する押圧部材と、を備え、前記ステープル部の前記第1のステープル位置から前記第2のステープル位置への移動に伴って、前記押圧部材が前記回転部材の一の前記延設部に当接すると、前記回転部材が前記支点部回りに回転し、前記回転部材の他の前記延設部が前記付勢部材の付勢力に抗して前記基準板を押圧することで、前記基準板が前記第1の基準位置から前記第2の基準位置に移動し、前記ステープル部が前記第2のステープル位置に配置された状態において、前記回転部材の姿勢が前記押圧部材によって規制され、前記回転部材の前記延設部が水平方向に沿って配置されることで、前記基準板が前記第2の基準位置に保持され、前記ステープル部の前記第2のステープル位置から前記第4のステープル位置への移動に伴って、前記押圧部材が前記回転部材から脱離すると、前記回転部材が前記付勢部材の付勢力によって前記支点部回りに回転し、前記基準板が前記第2の基準位置から前記第1の基準位置に移動することが望ましい。
【0023】
本構成によれば、付勢部材と、回転部材と、押圧部材とによって、基準板のシート幅方向における移動が実現される。更に、回転部材の姿勢が押圧部材によって規制されることで、基準板が第2の基準位置に保持される。また、ステープル部の第2のステープル位置から第4のステープル位置への移動に伴って、基準板が第2の基準位置から第1の基準位置に移動することができる。
【0024】
上記の構成において、前記ステープル部の前記第4のステープル位置から前記第2のステープル位置への移動に伴って、前記押圧部材が前記回転部材の一の前記延設部に当接すると、前記回転部材が前記支点部回りに回転し、前記回転部材の前記一の延設部が前記付勢部材の付勢力に抗して前記基準板を押圧することで、前記基準板が前記第1の基準位置から前記第2の基準位置に移動することが望ましい。
【0025】
本構成によれば、ステープル部が第4のステープル位置から第2のステープル位置に移動する際に、回転部材の回転によって、基準板が第1の基準位置から第2の基準位置に移動することができる。
【0026】
上記の構成において、前記基準板は、前記シートの前記端縁の前記シート幅方向の中央部を挟むように、前記シート幅方向に間隔をおいて一対配置されていることが望ましい。
【0027】
本構成によれば、シートのシート幅方向における両端側を異なる位置で安定して整合することができる。また、基準板の移動によってシートの整合が乱れることが防止される。
【0028】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、シートに画像を形成する画像形成部と、上記の何れか1に記載の後処理装置と、を有することを特徴とする。
【0029】
本構成によれば、基準板の移動によってシートの整合が乱れることが防止される。後処理のために積載されるシートの整合不良が防止され、シートに安定して後処理(ステープル処理)が施される。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、複数のシートに後処理を施す後処理装置およびこれを備えた画像形成装置において、後処理のために積載されるシートの整合不良が抑止される。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る後処理装置5および本体部1を備えた画像形成装置Sの内部構造を概略的に示す断面図である。ここでは、画像形成装置Sの本体部1は、いわゆる胴内排紙型のモノクロ複写機を示すが、当該本体部は、カラー複写機、プリンター、ファクシミリ装置、或いは、これらの機能を備える複合機であってもよい。
【0033】
図1に示すように、画像形成装置Sは、シートに対して画像形成処理を行う本体部1と、この本体部1に隣接して配置され、画像形成処理が施されたシート又はシート群(シート束)に対して所定の後処理を行う後処理部を備えた後処理装置5とを含む。前記後処理とは、例えばシートに綴じ孔を穿孔するパンチ処理、シート群にステープル針を打ち込むステープル処理、シートを折り畳む中折り処理、シートに対してシフト動作や幅合わせ動作などを行う整合処理などである。
【0034】
本体部1は、本体筐体100と、この本体筐体100の上部に配置された画像読取部2aと、画像読取部2aの上面に配置された自動原稿給送装置(ADF)2bと、を備えている。本体筐体100の内部には、給紙部3a、搬送路3b、画像形成部4a、定着部4b及びシート排出部3cが収容されている。
【0035】
自動原稿給送装置2bは、所定の原稿読取位置(第1コンタクトガラス24が組み付けられた位置)に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置(第2コンタクトガラス25の配置位置)に載置する場合は、自動原稿給送装置2bは上方に開けられる。自動原稿給送装置2bは、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
【0036】
画像読取部2aは、箱形の筐体構造を有し、その上面には自動原稿給送装置2bから自動給送される原稿シートの読取用の第1コンタクトガラス24と、手置きされる原稿シートの読取用の第2コンタクトガラス25とが嵌め込まれている。画像読取部2aは、原稿シートの画像を光学的に読み取る。
【0037】
本体筐体100内の給紙部3aは、複数のカセット31を含む(
図1に示すように、上方から31A、31B、31C、31Dの計4段)。各カセット31は、回転駆動する給紙ローラー32(
図1において、上方から32A、32B、32C、32Dの計4本)を備え、画像形成時、1枚ずつシートを搬送路3bに送り込む。
【0038】
搬送路3bは、給紙部3aから胴内排出トレイ33、或いは後処理装置5まで、本体筐体100内においてシートを搬送するための搬送路である。搬送路3bには、シートの案内のためのガイド板や、シート搬送時に回転駆動する搬送ローラー対34(
図1において、上方から34A、34B、34Cの計3つ)や、搬送される用紙を画像形成部4aの手前で待機させ、形成されたトナー像の転写タイミングに合わせてシートを送り出すレジストローラー対35が設けられている。
【0039】
画像形成部4aは、トナー画像を生成しこれをシート上に転写する、すなわち、シートに画像を形成する。画像形成部4aは、感光体ドラム41と、この感光体ドラム41の周囲に配置された、帯電器42、露光器43、現像装置44、転写ローラー45及びクリーニング装置46とを含む。
【0040】
感光体ドラム41は、その軸回りに回転し、その周面に静電潜像及びトナー像が形成される。帯電器42は、感光体ドラム41の表面を均一に帯電する。露光器43は、レーザー光源とミラーやレンズ等の光学系機器とを有し、感光体ドラム41の周面に、原稿画像の画像データに基づくレーザー光Lを照射して、静電潜像を形成する。現像装置44は、感光体ドラム41上に形成された静電潜像を現像するために、感光体ドラム41の周面にトナーを供給する。転写ローラー45は、感光体ドラム41と共に転写ニップ部を形成すると共に、転写バイアスが与えられる。前記転写ニップ部を通過するシートに対して、感光体ドラム41上のトナー像が転写される。クリーニング装置46は、クリーニングローラー等を有し、トナー像転写後の感光体ドラム41の周面を清掃する。
【0041】
定着部4bは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。定着部4bは、発熱体を内蔵する加熱ローラー47と、加熱ローラー47に圧接される加圧ローラー48とを含む。トナー像が転写されたシートが、加熱ローラー47と加圧ローラー48とで形成される定着ニップを通過すると、トナーが溶融・加熱され、トナー像がシートに定着される。定着処理後のシートは、シート排出部3cに送られる。
【0042】
シート排出部3cは、画像形成済のシートを後処理装置5の方向に送り出すための対外排出ローラー対36Aと、胴内排出トレイ33方向に送り出すための対内排出ローラー対36Bとを有する。各排出ローラー対36A、36Bは、排出動作時に回転駆動され、シートを機外に排出する。また、シート排出部3cは、シート紙の搬送方向を切り替える切り替えレバー37を有する。
【0043】
後処理装置5は、本体筐体100に隣接して配置される後処理装置筐体500と、この後処理装置筐体500内に配置された後処理部とを含む。本実施形態では、前記後処理部として、パンチ装置51、ステープル処理装置52、中折り装置53及び整合部57が備えられている。パンチ装置51、ステープル処理装置52及び整合部57は、後処理装置筐体500の上部付近に収容され、中折り装置53は下部付近に収容されている。
【0044】
後処理装置筐体500の、本体筐体100と対向する側面には、画像形成処理後のシートを筐体500内へ受け入れる搬入口60が備えられ、前記側面と反対側の側面(左側面)には筐体500からシートを排出するメイン搬出口61及びサブ搬出口62が備えられている。これらメイン搬出口61及びサブ搬出口62にそれぞれ対応して、後処理装置筐体500の前記左側面には、メイン排出トレイ54(トレイ)及びサブ排出トレイ55が取り付けられている。この他、後処理装置筐体500の内部には、第1搬送路L1、第2搬送路L2、第3搬送路L3、第4搬送路L4、第1合流部Q1、第1分岐部B1、第2分岐部B2、第3分岐部B3及び待避ドラム63が備えられている。
【0045】
第1搬送路L1は、搬入口60から搬入されたシートをメイン搬出口61に搬送するための搬送路である。メイン搬出口61から排出されたシートは、メイン排出トレイ54に排出される。
【0046】
第3搬送路L3は、第1搬送路L1から第1分岐部B1において分岐して形成される。第3搬送路L3は、第1分岐部B1からサブ搬出口62に至る搬送路である。サブ搬出口62から排出されたシートは、サブ排出トレイ55に排出される。
【0047】
第2搬送路L2は、第1搬送路L1が第2分岐部B2において分岐されることで形成される。第2搬送路L2は、中折り装置53まで垂直方向に延びる搬送路である。第4搬送路L4は、第2搬送路L2から第3分岐部B3において分岐し、待避ドラム63の周りに沿って湾曲し、第1合流部Q1において第1搬送路L1に合流する搬送路である。
【0048】
第1分岐部B1には、第1切り換え爪64が配置されている。第1切り換え爪64は、第1搬送路L1を搬送されるシートの搬送先を、そのままの第1搬送路L1と第3搬送路L3との間で切り換える。第2分岐部B2には、第2切り換え爪65が配置されている。第2切り換え爪65は、シートの搬送先を第1搬送路L1と第2搬送路L2との間で切り換える。
【0049】
第1分岐部B1の上流側に隣接する位置に、第1搬送ローラー対66が配置されている。また、第1搬送路L1の下流端であって、メイン搬出口61の近傍には、第4搬送ローラー対68が配置されている。さらに、第1搬送路L1の、第4搬送ローラー対68よりも上流側には、第2搬送ローラー対69が配置されている。第1搬送路L1を通過するシートは、これら第1搬送ローラー対66、第2搬送ローラー対69及び第4搬送ローラー対68によって、搬入口60からメイン搬出口61、及びメイン排出トレイ54まで搬送される。
【0050】
第3搬送路L3の下流端であって、サブ搬出口62の近傍には、第3搬送ローラー対67が配置されている。第3搬送路L3を搬送されたシートは、この第3搬送ローラー対67によってサブ排出トレイ55に排出される。
【0051】
パンチ装置51は第1搬送路L1の入口側に配置されている。パンチ装置51は、シートに対して所定のタイミングで綴じ孔を穿孔するパンチ処理(穿孔処理)を行う。パンチ装置51は、シートの搬送方向の後端側にパンチ処理を施す。このパンチ処理の際、前記水平な搬送領域において、シートは一時的に停止される。
【0052】
ステープル処理装置52は、複数枚のシートからなるシート群に対してステープル針を打ち込むステープル処理を行う。ここでのステープル処理は、シート群の角部若しくは端部にステープル針を打ち込む、いわゆる端綴じのための処理である。ステープル処理が実行される場合、第4搬送ローラー対68の搬送ニップ部が解除された状態で、シートは第1搬送路L1に沿ってメイン搬出口61付近まで搬送され、ステープルトレイ521上に積載される。ステープルトレイ521上に積載されたシートの角部若しくは端部は、ステープル処理装置52のステープル部71に入り込む。ステープル処理が施されたシート群は、搬送ニップ部が復元された第4搬送ローラー対68によって、メイン排出トレイ54へ排出される。
【0053】
中折り装置53は、シート群の中央付近にステープル針を打ち込む中央綴じを行うと共に、当該シート群を中央部で2つ折りに折り畳む中折り処理を行う。中折り処理が施されるシートは、第1搬送路L1から第2分岐部B2を経て第2搬送路L2に導かれ、中折り装置53に搬入される。中折り処理が施されたシート群は、後処理装置筐体500の下部に備えられた中折りシート排出トレイ56に排出される。なお、中折り装置53は、前記中折り処理だけを行うものであってもよい。
【0054】
整合部57は、シート又はシート群に対して、シートの搬送方向と直交するシート幅方向にシフトさせるシフト動作や、シート群の端縁を揃える幅合わせ動作などの整合処理を行う。整合部57は、ステープル処理装置52によってステープル処理が施される際に、シート群に対してステープル位置を定めるための前記シフト動作や、前記幅合わせ動作を実行する。また、整合部57は、前記ステープル処理が施されない場合においても、メイン排出トレイ54へシートをオフセット排紙させてスタックする場合にも用いられる。オフセット排紙とは、例えば、複数枚のシートからなる1グループの原稿シート群につき複数セットの複写が行われる場合に、1セットの複写シート群の単位で、シート群の端部位置をシート幅方向にシフトさせてスタックさせることである。
【0055】
メイン排出トレイ54は、前記ステープル処理、シフト動作及び幅合わせ動作が施され、第4搬送ローラー対68によりメイン搬出口61から排出されるシート又はシート群がスタックされるトレイである。メイン排出トレイ54は、排出されたシートの束の増加に従って、最上位の位置から順次下降され、当該シートの束がメイン排出トレイ54から取り除かれると上昇し、基準位置に戻るようになっている。サブ排出トレイ55は、第3搬送ローラー対67によりサブ搬出口62から排出されるシートがスタックされるトレイである。サブ排出トレイ55は、主として、後処理装置5で特に後処理が施されずに排出されるシートや、パンチ処理だけが施されたシートがスタックされる。
【0056】
待避ドラム63は、周面を備え、所定の回転方向に回転駆動される。待避ドラム63は、複数部のシート群に連続してステープル処理が施される場合に、先のシート群がステープル処理装置52でステープル処理されている間、次のシート群の1枚目を待避ドラム63の表面に巻き付けて待機させる。この待避ドラム63の働きにより、ステープル処理が行われる間、本体部1からのシートの搬入を一時的に停止させる必要がなくなり、生産性が向上する。
【0057】
次に、
図2乃至
図5を参照して、本実施形態に係るステープル処理装置52について詳述する。
図2は、本実施形態に係るステープル処理装置52のステープルトレイ521およびステープル部71の斜視図である。
図3Aおよび
図3Bは、ステープルトレイ521およびステープル部71の側面図である。
図4は、ステープル部71の配置を示す平面図である。
図5Aおよび
図5Bは、ステープル処理装置52のステープル部71の移動部71Pの模式的な平面図および側面図である。
【0058】
図2を参照して、ステープル処理装置52は、ステープルトレイ521(トレイ部)と、ステープル部71と、移動部71P(
図5B)と、中央基準板73と、後基準板74(基準板)と、前基準板75(基準板)とを備える。
【0059】
ステープルトレイ521は、前後および左右方向に延びる矩形状のトレイである。ステープルトレイ521には、ステープル処理が施される複数のシートが積載される。この際、複数のシートは、右方かつ下方に向かう搬送方向に沿ってステープルトレイ521に搬入される。なお、前述のように、ステープル処理が施されたシート束は、最終的に、上記の搬送方向とは反対の左方かつ上方に向かってメイン排出トレイ54に排出される(
図1)。ステープルトレイ521は、トレイ中央部522と、一対の幅規制部材523と、一対のスライド溝524とを備える。トレイ中央部522は、ステープルトレイ521の上面部において、前後方向(シート幅方向)の中央部に配置される。トレイ中央部522は、僅かな高さをもってステープルトレイ521上に固定される薄板上の部材である。一対の幅規制部材523は、前後方向においてトレイ中央部522を挟むように配置される。幅規制部材523は、ステープルトレイ521に搬入される複数のシートのシート幅方向の位置を規制する。幅規制部材523は、トレイ中央部522と同様に薄板状の部材からなり、その前後方向の端部には上方に向かって立設された側壁が備えられている。スライド溝524は、ステープルトレイ521において前後方向に延びるように形成された溝部である。幅規制部材523は、不図示のラックおよびピニオンギアを介して、スライド溝524に沿って前後方向に移動可能とされる。本実施形態では、ステープルトレイ521にシートが搬入される度に、幅規制部材523が不図示の駆動機構によって移動される。この結果、ステープルトレイ521に積載された複数のシートがシート幅方向において整合される。
【0060】
図2および
図4を参照して、ステープル部71は、シートの搬送方向先端側(右側)の端縁ST(
図4)に対向して配置される。ステープル部71は、端縁STに沿って前記搬送方向と直交するシート幅方向に移動可能とされ、複数のシートにステープル処理を施す。ステープル部71は、ステープル本体部711と、ステープル可動部712とを備える(
図2)。ステープル本体部711は、ステープル部71の本体部分であり、内部に複数のステープル針を収容している。ステープル可動部712は、上下に移動可能とされ、シートにステープル針を打ち込む。
図3Aに示すように、ステープル本体部711とステープル可動部712との間には、シートの端縁STが進入する凹部が形成される。
【0061】
移動部71P(
図5A、
図5B)は、ステープル部71をシート幅方向に移動させる。移動部71Pは、ステージ72と、支持部71Jと、モーターMと、シャフト部72Sと、を備える。ステージ72は、前後および左右方向に延びる矩形状の板金部材であって、
図2に示すように、後処理装置筐体500内において、ステープルトレイ521に隣接して配置されている。ステージ72は、第1ガイド溝721と、第2ガイド溝722とを備える。第1ガイド溝721は、ステージ72の右側端部において前後方向に沿って開口された細長状の開口部である。第2ガイド溝722は、ステージ72の左側端部において前後方向に沿って開口された細長状の開口部である。第2ガイド溝722は、第1ガイド溝721と平行に延設されているが、第2ガイド溝722の両端部には、それぞれ左方向に向かって屈曲された屈曲部722Aが形成されている。
【0062】
支持部71Jは、ステープル部71を支持する。支持部71Jは、不図示の一対の軸支部を備える。これらの一対の軸支部は、それぞれ、第1ガイド溝721および第2ガイド溝722に挿通されている。この結果、ステープル部71および支持部71Jが一体的に、第1ガイド溝721および第2ガイド溝722に沿って前後方向にスライド移動可能とされる。モーターMは、ステープル部71を移動させる駆動力を発生する。モーターMは正逆方向の回転駆動力を発生する。シャフト部72Sは、モーターMに連結され、モーターMの駆動力によって回転される。シャフト部72Sの周面には不図示の雄ねじが形成されている。支持部71Jの下端部には不図示の軸穴が形成されており、当該軸穴にシャフト部72Sが挿通されている。支持部71Jの軸穴の内周面には不図示の雌ねじが形成されている。この結果、モーターMによってシャフト部72Sが回転されると、ステープル部71が前後方向に移動する。ステープル部71がステージ72の両端部に至ると、支持部71Jに配置された一対の軸支部の一方が、屈曲部722Aに進入する。このとき、一対の軸支部の間隔が拡大されながら、ステープル部71が前後方向(シート幅方向)に対して傾斜するように姿勢変更される(
図4の位置P1、P3参照)。
【0063】
中央基準板73は、トレイ中央部522の右側端部に対向するようにステープルトレイ521に固定されている。中央基準板73は、シート幅方向と直交する断面視において左方が開放された略U字形状からなる。中央基準板73は、複数のシートの端縁STに当接し、搬送方向において複数のシートを整合する。
【0064】
後基準板74および前基準板75は、シート幅方向において中央基準板73を挟むように、シート幅方向に間隔をおいてステープルトレイ521に配置されている。後基準板74および前基準板75は、中央基準板73とともに、複数のシートの端縁STに当接し、複数のシートを整合する。後基準板74および前基準板75は、不図示のガイド機構によってそれぞれ前後方向にスライド移動可能に支持されている。後基準板74および前基準板75も、後記のとおり、中央基準板73と同様の略U字型形状を備える。後基準板74および前基準板75によって、シートのシート幅方向における両端側を異なる位置で安定して整合することができる。
【0065】
図4を参照して、本実施形態では、ステープル部71は移動部71P(
図5B)によって複数(4つ)のステープル位置(P1、P2、P3およびP4)にそれぞれ配置可能とされ、シートSにステープル処理を施す。
図4に示されるシートSは、一例として、A4サイズのシートである。この場合、シートSの端縁STは、A4サイズの短辺(長さ210mm)に相当する。シート幅方向において中央基準板73を中心として、複数のシートSがステープルトレイ521に積載される。シートSの端縁STによって形成されるシートSの後側の角部が第1の角部K1と定義され、第1の角部K1とは反対側で端縁STによって形成されるシートSの前側の角部が第2の角部K2と定義される。
【0066】
図4において、ステープル部71が第1のステープル位置P1に配置された場合、ステープル部71は、シート幅方向(前後方向)に対して所定の角度だけ傾斜して、シートSの第1の角部K1に対向して配置される。第1のステープル位置P1においてステープル部71のステープル処理が実行されると、シートSの第1の角部K1にステープル針が打ち込まれる。一方、ステープル部71の第2のステープル位置P2では、ステープル部71は第1のステープル位置P1よりもシート幅方向の内側において、端縁STに沿って配置される。第2のステープル位置P2においてステープル部71のステープル処理が実行されると、シートSの端縁ST近傍の後側部分にステープル針が打ち込まれる。
【0067】
更に、ステープル部71が第3のステープル位置P3に配置された場合、ステープル部71は、シート幅方向に対して所定の角度だけ傾斜して、シートSの第2の角部K2に対向して配置される。第3のステープル位置P3においてステープル部71のステープル処理が実行されると、シートSの第2の角部K2にステープル針が打ち込まれる。ステープル部71の第4のステープル位置P4では、ステープル部71は第3のステープル位置P3よりもシート幅方向の内側において、端縁STに沿って配置される。換言すれば、ステープル部71は、第2のステープル位置P2と第3のステープル位置P3との間に配置される。第4のステープル位置P4においてステープル部71のステープル処理が実行されると、シートSの端縁ST近傍の前側部分にステープル針が打ち込まれる。なお、ステープルトレイ521に複数のシートSが積載された状態で、ステープル部71が第2のステープル位置P2および第4のステープル位置P4において順次ステープル処理を実行すると、シートSの端縁STの2か所にステープル針が打ち込まれ、複数のシートSが2点留めされる。
【0068】
上記のように、ステープルトレイ521に搬入されるシートSのサイズがA4SEF(Short Edge Feed:シートSの一方の短辺が搬送方向先端側となるように(シートSの長辺に沿う方向に)シートSが搬送される。)サイズの場合、後基準板74および前基準板75の配置が困難となりやすい。すなわち、ステープル部71が第1の角部K1に対してステープル処理を実行するためには、
図4に示すように、第1の角部K1が露出される必要がある。このため、後基準板74は、
図4に示すように第1の角部K1よりも所定の間隔をおいて前側に配置されなければならない。一方、後基準板74が
図4に示す位置に配置された状態で、ステープル部71が第2のステープル位置P2に移動されると、ステープル部71の凹部内に後基準板74が進入した状態(
図3B)、換言すれば、ステープル部71のステープル可動部712と後基準板74とが干渉する状態がもたらされる。この場合、第2のステープル位置においてステープル部71のステープル処理が正常に実行されない。なお、ステープル部71が第3の位置P3および第4の位置P4においてステープル処理を実行する場合の前基準板75の配置についても同様である。このように、A4SEFサイズのシートに対応してステープル部71のステープル位置が予め設定されている場合、シートSの両端側に配置される後基準板74および前基準板75とステープル部71との干渉が問題となりやすい。
【0069】
このような課題を解決するために、本実施形態では、ステープル処理装置52が連動機構70(
図11A)を備える。連動機構70は、ステープル部71の移動に連動して、後基準板74および前基準板75をシート幅方向に移動させる。次に、後基準板74および前基準板75が移動される様子について説明する。
図6A乃至
図7Bは、本実施形態に係る後処理装置5のステープル部71が移動する様子を示す平面図である。前述のように、ステープル部71は第1のステープル位置P1、第2のステープル位置P2、第4のステープル位置P4および第3のステープル位置P3に配置されるように、シート幅方向にスライド移動される。
【0070】
本実施形態では、シートSの端縁ST(
図4)を整合する後基準板74は、第1の基準位置Q1(
図6A)と、第2の基準位置Q2(
図6B)とに配置されるように、シート幅方向にスライド移動可能とされる。ここで、後基準板74の第1の基準位置Q1は、ステープル部71の第1のステープル位置P1よりもシート幅方向の内側であって、第2のステープル位置P2(
図6B)に重なるように設定されている。一方、後基準板74の第2の基準位置Q2は、後基準板74の第1の基準位置Q1およびステープル部71の第2のステープル位置P2よりもシート幅方向の外側に設定されている。また、後基準板74の第2の基準位置Q2は、ステープル部71の第1のステープル位置P1に重なるように配置されている。このため、後処理装置5のステープル処理装置52がシート幅方向においてコンパクトに設定される。
【0071】
同様に、シートSの端縁ST(
図4)を整合する前基準板75は、第3の基準位置Q3(
図7B)と、第4の基準位置Q4(
図7A)とに配置されるように、シート幅方向にスライド移動可能とされる。ここで、前基準板75の第3の基準位置Q3(
図7B)は、ステープル部71の第3のステープル位置P3(
図7B)よりもシート幅方向の内側であって、第4のステープル位置P4(
図7A)に重なるように設定されている。一方、前基準板75の第4の基準位置Q4(
図7A)は、前基準板75の第3の基準位置Q3およびステープル部71の第4のステープル位置P4よりもシート幅方向の外側に設定されている。また、前基準板75の第4の基準位置Q4は、ステープル部71の第3のステープル位置P3に重なるように配置されている。
【0072】
連動機構70は、ステープル部71が第1のステープル位置P1に配置された場合に、後基準板74を第1の基準位置Q1に配置する(
図6A)。このため、
図6Aに示される第1のステープル位置P1において、ステープル部71が後基準板74と緩衝することなく、ステープル部71のステープル処理が安定して実行される。また、連動機構70は、ステープル部71の第1のステープル位置P1から第2のステープル位置P2への移動(
図6Aの矢印D62)に連動して、後基準板74を第1の基準位置Q1から第2の基準位置Q2に移動させる(
図6Aの矢印D61)。この際、ステープル部71のステープル本体部711とステープル可動部712との間の凹部内を後基準板74が通過するように、ステープル部71と後基準板74とが擦れ違いながら逆方向に移動する(
図3A、
図3B)。この結果、
図6Bに示される第2のステープル位置P2において、ステープル部71が後基準板74と緩衝することなく、ステープル部71のステープル処理が安定して実行される。なお、上記とは逆に、ステープル部71が第2のステープル位置P2(
図6B)から第1のステープル位置P1(
図6A)に移動される際には、連動機構70は、後基準板74を第2の基準位置Q2から第1の基準位置Q1に移動させる。このため、第1のステープル位置P1に復帰したステープル部71と後基準板74との干渉が防止され、シートSに安定してステープル処理が施される。以上のように、後基準板74は、シートSの端縁ST(
図4)に沿って設定された第1および第2の基準位置Q1、Q2において、シートSを整合することができる。
【0073】
更に、ステープル部71が
図6Bに示される第2のステープル位置P2から第4のステープル位置P4へ移動する際(
図7Aの矢印D72)、連動機構70は、ステープル部71の移動に連動して、後基準板74を第2の基準位置Q2から第1の基準位置Q1に移動させる(
図7Aの矢印D71)。また、連動機構70は、ステープル部71が
図6Bに示される第2のステープル位置P2から第4のステープル位置P4へ移動することに連動して、前基準板75を
図6Bに示される第3の基準位置Q3から
図7Aの第4の基準位置Q4に移動させる(
図7Aの矢印D73)。したがって、
図7Aに示される第4のステープル位置P4において、ステープル部71が前基準板75と緩衝することなく、ステープル部71のステープル処理が安定して実行される。この際、後基準板74が第1の基準位置Q1に復帰しているため、後基準板74が第1の基準位置Q1においてシートSの端縁STを安定して整合することができる。
【0074】
更に、ステープル部71が
図7Aに示される第4のステープル位置P4から第3のステープル位置P3へ移動する際(
図7Bの矢印D74)、連動機構70は、ステープル部71の移動に連動して、前基準板75を第4の基準位置Q4から第3の基準位置Q3に移動させる(
図7Bの矢印D75)。したがって、
図7Bに示される第3のステープル位置P3において、ステープル部71が前基準板75と緩衝することなく、ステープル部71のステープル処理が安定して実行される。
【0075】
なお、ステープル部71が第3のステープル位置P3または第4のステープル位置P4から再び第2のステープル位置P2(
図6B)に戻る場合、連動機構70は、第1の基準位置Q1に戻っていた後基準板74を、ステープル部71の移動に連動して再び第2の基準位置Q2に移動させる。このように、ステープル部71が第1のステープル位置P1から第2のステープル位置P2に移動する場合、および、ステープル部71が第4のステープル位置P4から第2のステープル位置P2に移動する場合のどちらの場合においても、連動機構70は、後基準板74を第1の基準位置Q1からシート幅方向外側の第2の基準位置Q2に移動させる。この結果、ステープル処理時のステープル部71と後基準板74との干渉が確実に防止される。
【0076】
次に、連動機構70による後基準板74の移動について更に詳細に説明する。
図8は、本実施形態に係るステープル処理装置52の後基準板74の正面図、側面図および斜視図である。なお、前基準板75も後基準板74と同様の形状を備える。
図9は、ステープル処理装置52の連動機構70の係合ガイド76の正面図、側面図および斜視図である。
図10は、ステープル処理装置52の連動機構70のリンク部材77の正面図、側面図および斜視図である。また、
図11A、
図12A、
図13A、
図14A、
図15Aおよび
図16Aは、後基準板74がシート幅方向に移動する様子を示す斜視図であり、
図11B、
図12B、
図13B、
図14B、
図15Bおよび
図16Bは、同様に後基準板74が移動する様子を示す側面図である。
【0077】
図8を参照して、後基準板74は、基準板本体741と、シート規制部742とを備える。基準板本体741は、後基準板74の下方部分に相当し、上下および左右方向に延びる矩形形状の板金部分である。基準板本体741は、突片741Tと、一対の側面部743とを備える。突片741Tは、基準板本体741から突設される突片である。突片741Tは略水平方向に突設され、前後方向に延びている。また、突片741Tは、ステープルトレイ521とは反対側、すなわち、ステープル部71側に向かって突設されている(
図3A参照)。側面部743は、基準板本体741の前後方向の両端部から突片741Tとは反対側、すなわち、ステープルトレイ521側に向かって突設されている。側面部743は、ばね係合孔744を備える。ばね係合孔744は、一対の側面部743のそれぞれに長穴形状をもって開口された開口部である。
【0078】
シート規制部742は、基準板本体741の上端部に連結されている。シート規制部742は、シート幅方向と交差する断面視(
図8の左側の正面図参照)において、略U字形状からなる。シート規制部742は、シートSの先端が積載されるシート積載部742Aと、シートSの先端が当接する規制部742Bと、積載されるシートSの上面部に対向する押さえ部742Cと、を備える。シート積載部742A、規制部742Bおよび押さえ部742Cによって囲まれるシート収容空間SAに複数のシートSの先端部が配置される。
【0079】
図11Aを参照して、連動機構70は、係合ガイド76(押圧部材)と、リンク部材77(回転部材)と、ばね部材78(付勢部材)とを備える。
【0080】
係合ガイド76は、ステープル部71のステープル本体部711の左側の側面に固定されている(
図3A、
図3B)。係合ガイド76は、ステープル部71と一体的に前後方向(シート幅方向)にスライド移動する。係合ガイド76は、ステープル部71の移動に伴って、リンク部材77に接触する。
図9を参照して、係合ガイド76は、ガイド本体部760と、スクリュー穴761と、当接部762と、突起部763と、上端部764と、を備える。
【0081】
ガイド本体部760は、細長形状の板状部材である。スクリュー穴761は、ガイド本体部760においてシート幅方向に間隔をおいて一対開口された孔部である。スクリュー穴761に不図示のスクリューが挿通され、当該スクリューによって係合ガイド76がステープル本体部711に固定される。当接部762は、ガイド本体部760から突設された突起部である。当接部762は、
図3Aにおいて、ステープルトレイ521に向かってガイド本体部760から突設されている。突起部763は、ガイド本体部760の下端部のうちシート幅方向の中央部から下方に向かって突設された突起である。上端部764は、ガイド本体部760の上端面に相当する。
【0082】
図11Aを参照して、リンク部材77は、後基準板74および前基準板75のシート幅方向の内側に隣接して一対配置される。リンク部材77は、リンク支点部771(支点部)と、一対のリンク押圧部772(延設部)とを備える。リンク支点部771は、シートSの搬送方向に沿って延びる支点である。リンク支点部771は、リンク部材77の中央部に開口された孔部であり、リンク支点部771には、後処理装置筐体500内に備えられた不図示の軸部が挿通される。リンク押圧部772は、シート搬送方向と交差する方向においてリンク支点部771から互いに逆向きに延設される一対の突片である。
図10に示すように、一対のリンク押圧部772の先端部が屈曲されることで、リンク部材77は略U字形状を備える。リンク部材77は、リンク支点部771回りに回転可能に後処理装置筐体500(ステープルトレイ521)に支持されている。すなわち、リンク部材77は回転するのみであり、シート幅方向にスライド移動はしない。
【0083】
図11Aを参照して、ばね部材78は、伸縮可能なコイルばねである。ばね部材78の後側の端部は、後基準板74の前側のばね係合孔744(
図8)に係合され、ばね部材78の前側の端部は、前基準板75の後側のばね係合孔744に係合されている。この結果、ばね部材78は、後基準板74および前基準板75が互いに近づく方向に向かって、後基準板74および前基準板75を付勢している。換言すれば、
図6A乃至
図7Bを参照して、ばね部材78は、後基準板74を第2の基準位置Q2から第1の基準位置Q1に向かう方向に付勢する。また、ばね部材78は、前基準板75を第4の基準位置Q4から第3の基準位置Q3に向かう方向に付勢する。
【0084】
図11A乃至
図16Bでは、説明のために、ステープル部71に固定された係合ガイド76だけを図示し、ステープル部71の図示を省略している。
図11Aおよび
図11Bは、ステープル部71が第1のステープル位置P1(
図6A)から第2のステープル位置P2(
図6B)に移動する途中の状態を示している。後基準板74および前基準板75にばね部材78による付勢力だけが付与されている場合、リンク部材77にはリンク支点部771を中心として上下に前後方向の相反する力が作用する。このため、
図11Bに示すように、一対のリンク部材77は上下方向に延びるように配置された位置で停止している。また、リンク部材77には、後基準板74および前基準板75の側面部743(
図8)が当接している。
【0085】
図5Aを参照して、ステープル部71の支持部71Jが後側の屈曲部722Aから前方に脱離されると、
図11Aに示すように、係合ガイド76が後基準板74の右側(裏側)に位置する。このとき、係合ガイド76は、
図8のガイド通過部GAに配置される。また、係合ガイド76の上端部764は後基準板74のシート積載部742Aの直下に配置される。
【0086】
更に、ステープル部71が第2のステープル位置P2に向かうに伴って、係合ガイド76が前方に移動すると、
図12Aおよび
図12Bに示すように、係合ガイド76の前側の端面がリンク部材77の上側のリンク押圧部772を当接する。この結果、リンク部材77がリンク支点部771回りに回転し、リンク部材77の下側のリンク押圧部772がばね部材78の付勢力に抗して後基準板74を押圧する(
図12Aの矢印D111、
図12Bの矢印D112)。更に、係合ガイド76の移動に伴ってリンク部材77が回転され、
図13Aおよび
図13Bに示す状態を経た後、
図14Aおよび
図14Bに示すように、係合ガイド76がシート幅方向において後基準板74と中央基準板73との間に配置される。この時、ステープル部71が第2のステープル位置P2に配置される(
図6B)。一方、後基準板74はリンク部材77によって最も後方に押し込まれた状態となる。すなわち、後基準板74が第2の基準位置Q2に配置される。係合ガイド76の右側に位置するステープル部71は、後基準板74と中央基準板73との間において後基準板74と干渉することなく、複数のシートSにステープル処理を施すことができる。
【0087】
また、このように、ステープル部71が第2のステープル位置P2に配置された状態において、リンク部材77の姿勢は係合ガイド76によって規制されている。詳しくは、係合ガイド76の下面部がリンク部材77に当接しているため、リンク部材77のリンク押圧部772が水平方向に沿って配置され、後基準板74が第2の基準位置Q2に保持される。なお、この際、係合ガイド76の突起部763(
図9)は、一対のリンク押圧部772の間の空間部77T(
図10)に位置している。
【0088】
更に、ステープル部71が第2のステープル位置P2(
図6B)から第4のステープル位置P4(
図7A)に向かうと、係合ガイド76が前方に移動する。このとき、係合ガイド76の突起部763が一対のリンク押圧部772のうち後基準板74とは反対側のリンク押圧部772を下方に向かって押圧する。この結果、リンク部材77のリンク押圧部772回りの回転が促進される。そして、
図15Aおよび
図15Bに示すように、係合ガイド76が更に前方に移動すると、リンク部材77がリンク押圧部772回りに回転する。この結果、リンク部材77が後基準板74を押圧する押圧力が減少し、後基準板74がばね部材78の付勢力によって前方に移動する(
図15Aの矢印D141、
図15Bの矢印D142)。更に、
図16Aおよび
図16Bに示すように、係合ガイド76がリンク部材77から脱離されると、ばね部材78の付勢力によって、後基準板74が第1の基準位置Q1(
図7A)に戻る。また、リンク部材77は再び上下方向に沿って配置される。
【0089】
ステープル部71の第4のステープル位置P4(
図7A)から第2のステープル位置P2(
図6B)への移動する際には、
図16Aおよび
図16Bに示される状態から逆に
図11Aおよび
図11Bに示される状態まで、係合ガイド76が後方に向かって移動する。この際、
図15Aおよび
図15Bに示すように、係合ガイド76の後側の端部がリンク部材77の上側のリンク押圧部772に当接する。そして、リンク部材77がリンク支点部771回りに回転することで、リンク部材77の上側のリンク押圧部772がばね部材78の付勢力に抗して後基準板74を後方に押圧する(
図15Aの矢印D141とは反対の方向)。この結果、後基準板74が第1の基準位置Q1(
図7A)から第2の基準位置Q2(
図6B)に移動する。
【0090】
なお、
図16Aおよび
図16Bに示される状態から更に係合ガイド76が前方に向かって移動し、ステープル部71が第4のステープル位置P4(
図7A)および第3のステープル位置P3(
図7B)に移動する際には、上記と同様の動作によって、前基準板75(
図16A、
図16B)が前後方向にスライド移動し、第3の基準位置Q3(
図6B、
図7B)および第4の基準位置Q4(
図7A)に配置される。
【0091】
また、
図3Aおよび
図3B、並びに、
図8を参照して、後基準板74は後処理装置筐体500に配置された不図示の軸部に回動可能に支持されている。詳しくは、シート幅方向(前後方向)に延設された前記軸部には、不図示の軸支部材が回動可能に備えられている。そして、前記軸支部材には、後基準板74の押さえ部742C(
図8)が固定されている。この結果、後基準板74の下端側が、前記軸部を支点として回動可能とされている。更に、後基準板74は、前記軸部に沿って前後方向にスライド移動可能とされている。前基準板75の支持構造も、後基準板74と同様である。なお、
図3Aは、紙面と交差する前後方向において、後基準板74(前基準板75)とステープル部71とが異なる位置に配置された状態であり、
図3Bは、前後方向において、後基準板74(前基準板75)とステープル部71とが重なる位置に配置された状態を示している。
図3Bでは、後基準板74がステープル部71によって押圧されることで、
図3Aと比較して、前記軸部を支点として反時計回りに僅かに回動した姿勢とされている。
【0092】
図3Aに示すように、ステープル部71と後基準板74とがシート幅方向において異なる位置に配置される場合、シートSの先端部を安定して整合するために、後基準板74のシート積載部742A(
図8)と、ステープル可動部712に対向するステープル本体部711の上面部711T(
図3B)とが面一に設定されている。しかしながら、このままステープル部71および後基準板74がシート幅方向に移動した場合、後基準板74のシート規制部742がステープル部71の上面部711Tと干渉しやすい。本実施形態では、ステープル部71および後基準板74のシート幅方向における移動に際し、ステープル部71および後基準板74が重なる際に、係合ガイド76の上端部764が後基準板74のシート積載部742Aを僅かに上方に押し上げる(
図3B)。この結果、後基準板74のシート規制部742がステープル部71のステープル可動部712と上面部711Tとの間の凹部にスムーズに収容される。なお、
図3Bに示すように、後基準板74の突片741Tが係合ガイド76の下面部に当接することで、シート規制部742が過剰に上方に押し上げられることが防止される。
【0093】
以上のように、本実施形態に係るステープル処理装置52では、連動機構70がステープル部71の移動に連動して、後基準板74および前基準板75をシート幅方向に移動させる。このため、ステープル部71の位置が決定されると、次のシート束に対応してステープル部71のステープル位置が変化するまで、後基準板74および前基準板75の位置も一時的に固定される。この結果、複数のシートが順次ステープルトレイ521に搬入される際に後基準板74および前基準板75が移動することがなく、後基準板74および前基準板75の移動によって積載中のシートの整合が乱れることが防止される。
【0094】
なお、ステープル部71が、
図7Bに示す第3のステープル位置P3に配置されても、シートSのサイズが小さい場合には、シートSの角部K2(
図4)にステープル処理が施されるために、当該シートSが前方(
図7Aの矢印D72方向)にシフト移動される必要がある。したがって、本発明とは異なる他の態様として、あらゆるサイズのシートSに対して、角部K2に対するステープル位置が前基準板75よりも大きく前方に配置することができれば、シートSだけがシフト処理されることで、前基準板75が前後方向にスライド移動する必要はない。しかしながら、この場合、ステープル処理装置52の前後方向のサイズが大型化してしまう。一方、上記の実施形態によれば、後基準板74および前基準板75が可及的にシート幅方向(前後方向)の内側に配置されているため、ステープル処理装置52のコンパクト化が実現されている。また、本実施形態では、上記の他の態様と比較して、ステープル部71が斜めに姿勢変更される際に(第3のステープル位置P3)、ステープル部71がシート幅方向にスライド移動するストロークが短い。このため、ステープル部71の移動時間やシートSに対するステープル処置時間の短縮化が実現される。
【0095】
以上、本発明の一実施形態につき詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、例えば以下のような変形実施形態を取ることができる。
【0096】
(1)上記実施形態では、シャフト部72Sの回転によってステープル部71がスライド移動する態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。シャフト部72Sに代わって、プーリーに架け渡されたワイヤーやベルト機構などによって、ステープル部71がスライド移動する態様でもよい。
【0097】
(2)上記の実施形態では、後基準板74および前基準板75の間にばね部材78が配置される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。後基準板74および前基準板75のそれぞれに固有の付勢部材が備えられてもよい。