特許第5988521号(P5988521)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5988521
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】健康靴
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/14 20060101AFI20160825BHJP
   A43B 13/14 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   A43B7/14 A
   A43B13/14 B
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-144972(P2015-144972)
(22)【出願日】2015年7月22日
【審査請求日】2015年10月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593201693
【氏名又は名称】松岡 敏彦
(74)【代理人】
【識別番号】100092163
【弁理士】
【氏名又は名称】穴見 健策
(74)【代理人】
【識別番号】100136928
【弁理士】
【氏名又は名称】高宮 章
(72)【発明者】
【氏名】松岡 敏彦
【審査官】 大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−533132(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3119861(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00−23/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足を載せる底部と、
底部に接続されて足を包むアッパー部と、
底部のつま先側を段上がりさせて設けられ、足指を上方に反らせながら足指を載せる底側段上がり部と、
アッパー部内側のつま先側に設けられ、底側段上がり部に載せた足指をさらに上方に反らす際に、該足指の背側に当接して足指の上方への反らし動作に対して抵抗となるような負荷を与えるアッパー側負荷手段と、を備え
アッパー側負荷手段は、アッパー部内面から足指の背側に向けて下向きに段差を突設させたアッパー側段差部であり、足指の付け根からつま先先端側まで略足指全体の上面側を覆うように設けられたアッパー側段差部を有することを特徴とする健康靴。
【請求項2】
アッパー側負荷手段は、重量により該足指に負荷をかける錘を有することを特徴とする請求項記載の健康靴。
【請求項3】
アッパー部内側のつま先側に内蔵されて足指を覆う内カバー体を含み、
該内カバー体にアッパー側負荷手段が一体的に形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の健康靴。
【請求項4】
内カバー体と底側段上がり部とが一体的に設けられたことを特徴とする請求項記載の健康靴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足に履いて歩行することにより健康の増進、維持等を期待できる健康靴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の靴は、履き心地や履きやすさをよくするために足を載せる台が略平坦に設けられるとともに、足を保護するために足部全体を包むように設けられている。従来の靴を履いて歩行する際には、足裏基部からつま先に十分に体重を移動させながら歩くことは少なく、足指を使うことなく足の基部側のみを利用して歩行している場合が多かった。従って、足指を使うことによる体全体の筋肉や骨格、内臓等への良好な作用を期待できなかった。すなわち、従来の靴は履き心地等のみを求めて設計されており、健康への配慮がされていないものであった。一方、健康増進のための履物が種々提案されており、例えば、特許文献1には、足載せ面の全面に足裏のつぼを刺激する突起を設けた健康増進履物が開示されている。しかしながら、この特許文献1の健康増進履物では、つぼ刺激による健康増進は図れるが、足載せ面から無数の突起が突出されているだけなので、結局は、足指に体重をかけて足指を緊張させることがほとんどなく、筋肉や骨格を動かすことによる健康増進を図ることは困難であった。また、この特許文献1の健康増進履物を履いて長時間歩行し続けると、足裏を点状に支えているので、突起からの刺激が痛みとなったり、疲労がたまってしまい、かえって健康を害してしまうおそれがあった。
【0003】
これに対し本出願人は、歩行の際に足指を使うことによる体全体の筋肉や骨格等への良好な作用に着目して、特許文献2において、履物底部の上面側に足指を上方に反らせながら足指が載るように該足指の付け根が位置する部分からつま先側が段上がりした段上がり部が設けられた健康靴を提案した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−262105号公報
【特許文献2】特許第4009907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の健康靴は、歩行に伴ってつま先側へ体重が移動する際に、段上がり部によって反らされた足指を強く緊張させることによって、身体の筋肉等に作用させて健康増進、維持を図るものであった。しかしながら、特許文献2では、主に足指が段上がり部を押圧する際と足裏全体に体重がかかった際に身体に作用を及ぼすことから、一部の限られた筋肉や骨格のみに作用するものであった。よって、さらなる改良を図るために鋭意検討を重ねた結果、歩行の際に足指を上方に曲げる際にも抵抗を掛けることにより足指をより使った歩行を行うことができ、身体の多くの筋肉や骨格に作用させて健康増進、維持効果等の向上を期待できる健康靴を開発した。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その一つの目的は、日常生活で装着しながら、足指に強い作用を及ぼさせて体全体の筋肉や骨格を動かして健康増進、維持等効果の向上を期待できる健康靴を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、足を載せる底部12と、底部12に接続されて足を包むアッパー部14と、底部12のつま先側を段上がりさせて設けられ、足指を上方に反らせながら足指を載せる底側段上がり部16と、アッパー部14内側のつま先側に設けられ、底側段上がり部16に載せた足指をさらに上方に反らす際に、該足指の背側に当接して足指の上方への反らし動作に対して抵抗となるような負荷を与えるアッパー側負荷手段18と、を備え、アッパー側負荷手段18は、アッパー部14内面から足指の背側に向けて下向きに段差を突設させたアッパー側段差部26であり、足指の付け根からつま先先端側まで略足指全体の上面側を覆うように設けられたアッパー側段差部26を有する健康靴10から構成される。
【0008】
また、アッパー側負荷手段18は、重量により該足指に負荷をかける錘28を有することとしてもよい。
【0009】
また、アッパー部14内側のつま先側に内蔵されて足指を覆う内カバー体30を含み、該内カバー体30にアッパー側負荷手段18が一体的に形成されたこととしてもよい。
【0010】
また、内カバー体30と底側段上がり部16とが一体的に設けられたこととしてもよい。内カバー体30と底側段上がり部16を一体形成したものを、一般的な靴の構造に組み込んで健康靴10を構成することとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の健康靴によれば、足を載せる底部と、底部に接続されて足を包むアッパー部と、底部のつま先側を段上がりさせて設けられ、足指を上方に反らせながら足指を載せる底側段上がり部と、アッパー部内側のつま先側に設けられ、底側段上がり部に載せた足指をさらに上方に反らす際に、該足指の背側に当接して足指の上方への反らし動作に対して抵抗となるような負荷を与えるアッパー側負荷手段と、を備えたことから、歩行する際に、足指に、底側段上がり部に押圧するように力を加えたり、アッパー側負荷手段の抵抗に抗うように力を加えたりして、確実に足指を含めた足部全体を使った歩行を実現でき、該足指の動きに応じた身体の前部側や後部側の筋肉、骨格等に効果的に作用を及して、例えば、足指の運動に連動して作用する浅層及び深層筋肉の筋力アップ、ダイエット効果、血液の循環が良くなることによる疲労回復や冷え性の緩和、解消等、体全体の健康増進、健康維持を図ることができる。
【0012】
また、アッパー側負荷手段は、アッパー部内面から足指の背側に向けて下向きに段差を突設させたアッパー側段差部を有する構成とすることにより、簡単な構成でアッパー側負荷手段を具体的に実現できる。
【0013】
また、アッパー側負荷手段は、重量により該足指に負荷をかける錘を有する構成とすることにより、足指を上方に反らせる際に錘により重量負荷を与えて、確実に足指に抵抗をあたえることができ、身体の筋肉に効果的に作用を及ぼすことができる。
【0014】
また、アッパー部内側のつま先側に内蔵されて足指を覆う内カバー体を含み、該内カバー体にアッパー側負荷手段が一体的に形成された構成とすることにより、靴のアッパー部とは別に構成したアッパー側負荷手段を簡単に構成できるとともに、健康靴を簡単に製造することができる。
【0015】
また、内カバー体と底側段上がり部とが一体的に設けられた構成とすることにより、靴本体とは別に構成した内カバー体と底側段上がり部を簡単に製造でき、ひいては健康靴を簡単かつ低コストに製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る健康靴の一部切り欠き斜視図である。
図2図1の健康靴の縦断面説明図である。
図3図1の健康靴の一部切り欠き平面図である。
図4図1の健康靴の底部側段上がり部とアッパー側負荷手段との斜視図である。
図5図2のA−A線断面図の一部拡大図である。
図6図1の健康靴の作用説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下添付図面を参照しつつ本発明の健康靴の実施形態について説明する。本発明に係る健康靴は、足に装着して歩行する際に、足指に強制的に作用を及ぼさせて足指を使用しながら歩行することができ、身体の種々の筋肉、骨格等に作用させることができる健康増進、健康維持用の履物である。図1ないし図6は本発明の健康靴の第1の実施の形態を示している。本実施形態において、図1図2に示すように、健康靴10は、足を載せる底部12と、足を包むアッパー部14と、底部12に設けられた底側段上がり部16と、アッパー部14に設けられたアッパー側負荷手段18と、を備える。
【0018】
本実施形態において、底部12と該底部12に接続されるアッパー部14とで靴本体20を構成している。靴本体20は、従来周知の靴構造と同じであり、例えば、図1では、靴紐等がないスリッポンタイプの靴からなる。なお、靴本体20は、紐で調整できるシューレースタイプ、ブーツ、面ファスナや留め具等の調整機構を備えたタイプ等、その他任意の靴構造でもよい。図1図2に示すように、底部12は、例えば、従来周知の靴同様に、革、合成樹脂又は合成ゴム等で形成されており、足を載せた際に容易にへこまない程度の硬さで設けられている。底部12の上面側には、足裏本体を載せる足載せ面22が形成されるとともに、足指が対応する位置に底側段上がり部16が設けられている。足載せ面22は、例えば、その上に足を載せた際に足指の付け根が位置する部分22aから土ふまず側に向けて略平坦に形成され、その後方の中間位置からかかとを載せる部分18bに向けて徐々に高く傾斜して形成されている。アッパー部14は、例えば、従来周知の靴同様に、天然皮革、合成皮革、天然繊維又は合成繊維等で形成されており、足の甲部側から横側を覆う甲被部と甲被部と履き口24を形成しながら一体的に設けられて足のかかと側を覆うかかと被部とを有し、底部12の周縁に接続されている。
【0019】
図1図2に示すように、底側段上がり部16は、底部12のつま先側を段上がりさせて設けられ、底部12に足を載せた際に足指を上方に反らせながら該足指を載せる指載せ台部である。底側段上がり部16は、足全体を底部12に載せた状態で略足指部分のみがやや上方に反るように、足載せ面22の5本の足指の付け根が位置する部分を段上がり位置22aとしてつま先側全体が段上がり状に隆起するように踏み台状に上方に突設されている。本実施形態では、底側段上がり部16は、例えば、足指Fからの押圧で大きく凹まないようなある程度硬さがあるゴムや合成樹脂等で形成されており、底部12とは別部材で所定の形状に設けられ、底部12に接着等の任意の固定手段で固定されている。なお、底側段上がり部16は、例えば、底部12の所要位置を段上げして一体的に形成してもよい。
【0020】
底側段上がり部16は、例えば、底部12上面からの段差高さが5〜6mmに設定されるとともに、段上がり上面16aが平坦な略水平面で形成される。底側段上がり部16は、アッパー部内側において、平面視ではその外形輪郭形状が、底部12のつま先側湾曲に略沿うような形状で形成されるとともに、後端側すなわち底部12からの段上がり位置22a側が5本足指の付け根位置に略沿うような湾曲状に設定されている。すなわち、底側段上がり部16は、段差直前部分において足指の付け根部分と足裏本体側との間に充分な空隙を形成させるような高さで設定されている。なお、底側段上がり部16の足載せ面22からの段上がり位置22a立ち上がり部分は、例えば、足載せ面22に対して傾斜状に設けられているが、直角状に設けられていても良い。底側段上がり部16は、足指Fを上方に反らせて足指の底(腹)を足裏基部側よりも高い位置で面に当接させていることにより、図6(a)に示すように、かかとを上げて足裏本体からつま先側へ体重移動させた際に、足指Fの段上がり部16に向けた強い押圧を積極的に行わせる。これにより、底側段上がり部16からの反作用により足指に強い緊張を与えて、該足指からの身体の一部(主として背中等の後部側)の筋肉、骨格等に効果的に作用を及ぼす。
【0021】
アッパー側負荷手段18は、アッパー部14内側のつま先側に設けられ、底側段上がり部16に載せた足指をさらに上方に反らす際に、該足指の背側に当接して足指の上方への反らし動作に対して抵抗となるような負荷を与える足指負荷手段である。図1図2図3に示すように、本実施形態では、アッパー側負荷手段18は、アッパー部12内面の足指に対応する部分において、足指の背側に向けて下向きに段差を突設させたアッパー側段差部26を有する。さらに、アッパー側負荷手段18は、アッパー部14の足指に対応する位置に取り付けられる錘部材であり、その錘重量により該足指に負荷をかけて足指を上方に反らす動作に対して抵抗となる錘28を備えている。
【0022】
図4にも示すように、本実施形態では、アッパー側負荷手段18は、アッパー部14内側のつま先側に内蔵されて足指を覆うように設けられた内カバー体30に一体的に形成されている。具体的には、内カバー体30は、例えば、外力が加わらない状態では形状を保持するとともに、外力が加わるとある程度形状が変形するような可撓性を備えたゴムや合成樹脂、織布、不織布等の素材で形成されており、底側段上がり部16に載せた5本の足指をその付け根からつま先先端まで略足指全体を覆うように設けられている。内カバー体30は、例えば、厚みが3mm程度で所定形状のシート状部材を曲成して形成されており、底側段上がり部16との間に袋状の指入れ空間32を形成するように足指の上方、前方、左右側方を囲むとともに後方側(足基部側)を開口して、縁部を底側段上がり部の外周輪郭縁に接続固定されている。本実施形態では、内カバー体30と底側段上がり部16とが一体的に設けられて足指作用ユニット34を構成しており、靴本体20とは別体で製造したものを、靴本体20の内側に内蔵するように取り付けて健康靴10が製造される。
【0023】
内カバー体30は、底側段上がり部16の縁部から立ち上がる周壁部分36と、アッパー側段差部26を形成する段差形成部分38と、を一体的に形成している。内カバー体30は、周壁部分36により、アッパー側段差形成部分38を底側段上がり部16の上面から離隔した状態で保持させており、靴を履く際に指入れ空間32が閉鎖して履きにくくならないようになっている。内カバー体30の後端側は、例えば、5本足指の付け根位置に略沿うような湾曲状に設定されている。すなわち、アッパー部14の内面側は、足の甲を覆う甲被部の足指の付け根に対応する位置40から下方に突設してその段下がり位置からつま先側全体がアッパー部14内壁面よりも内側に突設されている。よって、アッパー側段差部26は、例えば、足の甲を覆う部分からの段差高さが3mm程度と底側段上がり部16の段差高さよりも小さな段差に設定されるとともに、5本の足指の付け根側から爪側にかけて各足指の上面側に当接するように設けられている。歩行の際には、アッパー側段差部26により、足指を上方に反らそうとする際に足指が段差部に当接することとなり、足指を該段差部に向けて押圧させるような抵抗をかけてその負荷に抗うように足指に力を加えて動作することにより、該足指からの身体の一部(主に腹部等の前部側)の筋肉、骨格等に効果的に作用を及ぼす。
【0024】
図3図4に示すように、アッパー側負荷手段の錘28は、例えば、ある程度重量がある金属製錘体からなり、内カバー体30に固定されている。錘28は、直接足指に当たらないように内カバー体30の外面側に取り付けられており、アッパー部14の内面と内カバー体30との間に設置されている。錘28によって内カバー体30の上部側は若干下方に撓みアッパー側段差部26が足指に当接しやすくなっている。錘28は、例えば、厚みが1mm以下程度と薄肉厚で形成されるとともに、足指の爪を避けて第1関節から付け根側にかけてウェイトを付与するような前後幅で、横方向に長い帯板状に形成されており、5本の足指全体に対応して負荷を付与するように設けられている。なお、錘28は、各指ごとに一個ずつ個別に重量負荷するように5個取り付ける構成としてもよく、形状等は任意でよい。また、錘28は、アッパー側段差部26をある程度重量のある素材で設けたり、内カバー体の内部に金属を内蔵して取り付けたりしてもよい。また、錘28の設置位置は、足指の上面側の任意の位置でよく、爪部分に設置したり、足指全体を覆うような位置に設定したりしてもよい。このように足指上方のアッパー部側に錘28を設置することにより、歩行の際には、足指を上方に反らそうとする際に錘の重量負荷によって足指に抵抗をかけて該負荷に抗うように足指に力を加えて動作することにより、該足指からの身体の一部(主に腹部等の前部側)の筋肉、骨格等に効果的に作用を及ぼす。
【0025】
なお、アッパー側負荷手段は、上記の構成に限らず、例えば、アッパー側段差部のみ、錘のみの構成としてもよい。また、アッパー側段差部は、例えば、アッパー部の内面の足指に相当部位にある程度厚みがある部材を固定して段差を設けることとしてもよい。また、錘は、例えば、アッパー部の内面側や外面側に直接固定したり、又はアッパー部を構成する生地の内部に取り付けたり、アッパー部の装飾や留め具等に兼用させて設けることとしてもよい。また、錘は、足指への重量負荷を大きくするために、1mm以上のある程度厚みのあるもので形成してもよい。
【0026】
次に、本実施形態に係る健康靴10の作用を説明する。健康靴10を足に履くと、足指はその付け根付近から上方に反った状態で底側段上がり部16の上に配置されるとともに、アッパー側段差部26の下方に配置される。歩行する際には、足を上げた後、地面に着地して体重をかかと−足裏本体−つま先へと順に移動させながら歩行していくが、図6(a)に示すように、つま先側へ体重移動すると足指が段上がり状態での地面側へ強く押圧して、段上がり部からの反作用による足指の緊張によって、全ての足指骨、中足骨、その他の骨や筋肉等、略足部全体の各部位が動かされる。図6(b)に示すように、つま先側の支持を解放して足を蹴り上げてかかとから着地しようとするまでの間は、足指がアッパー側負荷手段18のアッパー側段差部26に当接しアッパー側段差部26を押圧するように力を加えるとともに、錘28さらには靴本体の重量負荷に抗するように上方に向けた力を足指に加える。そのアッパー側負荷手段による抵抗に抗うように足指に力をかけることによって、足指骨、中足骨、その他の骨や筋肉等、略足部全体の各部位が前記の段上がり部を押圧したときとは異なる作用で動かされる。すなわち、図6(a)のように足指を底側段上がり部16に押圧させたりして足指を下方(底屈側)に向けて力をかける際には、該足指の動きに応じて身体の背中等の後部側の筋肉、骨格等に効果的に作用を及ぼさせる。一方、図6(b)のように足指をアッパー側負荷手段18の抵抗に抗うように力を加えたりして足指を上方(背屈側)に向けて力をかける場合には、該足指の動きに応じて身体の腹部等の前部側の筋肉、骨格等に効果的に作用を及ぼすことを期待できる。さらに、図6(c)に示すように、足裏全体に体重がかかった状態では、足裏本体の足載せ面22への押圧によって、例えば、中足骨、その他の骨や筋肉等が動かされる。これらの動きが一足ごとに繰り返されることにより、日常生活で足指を確実に使った歩行を行わせ、例えば、足指を含めた足部全体の筋肉を動かすことにより、足指の運動に連動して作用する浅層及び深層筋肉の筋力アップを期待できると同時に、ダイエット効果、または、血液の循環が良くなることによる疲労回復や冷え性の緩和、解消等を期待できる。すなわち、足指を含めた足部全体の筋肉、骨等を動かすことによって体全体の筋肉、骨、内臓等へ良好に作用し、体全体の健康増進、健康維持を図ることができる。
【0027】
以上説明した本発明の健康靴及び健康靴は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の健康靴は、例えば、日常履き用、運動用、労働用、レジャー用等その他広い範囲で利用できる。
【符号の説明】
【0029】
10 健康靴
12 底部
14 アッパー部
16 底側段上がり部
18 アッパー側負荷手段
26 アッパー側段差部
28 錘
30 内カバー体
【要約】
【課題】日常生活で装着しながら、足指に強い作用を及ぼさせて体全体の筋肉や骨格を動かして健康増進、維持等効果の向上を期待できる健康靴を提供する。
【解決手段】足を載せる底部12と、底部12に接続されて足を包むアッパー部14と、底部12のつま先側を段上がりさせて設けられ、足指を上方に反らせながら足指を載せる底側段上がり部16と、アッパー部14内側のつま先側に設けられ、底側段上がり部16に載せた足指をさらに上方に反らす際に、該足指の背側に当接して足指の上方への反らし動作に対して抵抗となるような負荷を与えるアッパー側負荷手段18と、を備えた健康靴10から構成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6