(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記統括局は、少なくとも起動時に初期的に該該制御データを送信するとともに、該衛星放送から再生したPCRカウントに不連続が生じているときに、前記受信PCRカウンタ及び前記自走PCRカウンタのカウント差分を含む切替指示の制御データ、若しくは前記送信タイミングの制御データを、前記複数の前記中継局に送出し、
複数の前記中継局は、該制御データからのPCRカウントに、該OFDMシンボル周期に相当するカウント値を加算して、次のOFDMシンボルの送信タイミングを定めるとともに、該衛星放送から再生したPCRカウントに不連続が生じているときに、前記自走PCRカウンタの該PCRカウントを用いて該送信タイミングを定め、その後該切替指示の制御データ若しくは該送信タイミングの制御データを受信すると、受信PCRカウンタのPCRカウントを用いて、受信した該カウント差分若しくは該送信タイミングによって該不連続が解消された送信タイミングを定めることを特徴とする請求項2記載の無線送信システム。
該再生したクロックは27MHzのn倍(nは自然数)であり、前記PCRカウントは、該再生したクロックのn進カウント値と、9ビット以上の27MHzのカウント値とをカウントすることを特徴とする請求項2記載の無線送信システム。
【背景技術】
【0002】
近年、地上波テレビやラジオの放送局と中継局との間のデータ伝送は、マイクロ回線による無線伝送から安価な光ファイバ回線を使用したIP(Internet Protocol)伝送に代わりつつある。また放送における周波数の有効利用の観点から、局毎に異なる無線周波数を使用する複数周波数ネットワークから、各エリアが同一の無線周波数を使用する単一周波数ネットワークへと移行している。これには、無線の変調方式にOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)を用い、マルチパス耐性が向上したことが貢献している。ただしその場合、各中継局から放送される信号は、その周波数やシンボルタイミングが十分な精度で同期されている必要がある。
【0003】
従来技術について、
図6、
図7を用いて説明する。
図6は局間の無線伝送を行う無線送信システム構成図である。
図6に示すように、統括局510と中継局520,530の局間は無線C511,C512を使用して接続する。局間の見通し距離は既知であるため、無線伝送で発生する遅延時間も既知となり、システム内で最大の遅延時間となるタイミングに各局が合わせることにより、局間の同期を実現する。
しかしながら、放送にて使用する無線機と別に局間伝送用の無線設備を準備する必要があり、システム全体が高価なものとなる。
また、地上に近い場所での伝送となるため、鳥獣等による伝送障害が発生する可能性がある。
【0004】
図7は専用光ファイバ回線の敷設による無線送信システム構成図である。
一般に、通信会社や自治体が所有する光ファイバ回線の内、ダークファイバと呼ばれるものは、使用料が安価である反面、統括局610と中継局620,630の局間の遅延時間については、最大遅延時間の保証しかしておらず、また、伝送経路の変更が使用者側への通知なく行われる可能性もあり、正確かつ安定な遅延時間を保証することができない。
そのため、局間での正確な同期を実現するためには、専用の直通回線を敷設して管理する必要があるが、新たに回線敷設の工事費用や管理費用が発生してしまうため、放送事業者の負担が大きくなる。
【0005】
他に、統括局と中継局間はGPS(Global Positioning System)を使用して同期をとる方法がある。
GPSの時間情報を各局が取得して、これを絶対時間とし、これをもとに同期をとる方法である。
GPSで使用する人工衛星は周回衛星であり、かつ複数の衛星を使用しなければならないことから、GPS受信機が受信する衛星が切り替わる際に、時刻の不連続性(誤差)が発生し、抽出する時間情報にはジッタが発生する。
このため、局にて使用するGPSの受信回路には、高精度・高安定なPLL(Phase Locked Loop)回路が必須となる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施例に係る無線送信システムを説明するための図である。このシステムは、要約すると、統括局および中継局が静止衛星である放送衛星からのデータを受信して受信クロックを再生し、さらにタイミング信号と、予め設定されている遅延情報と、統括局からのタイミング指定情報から、送信タイミングを決定して、局間の同期をとる。
図1において、無線送信システムは、システム全体を制御する統括局110と、放送波C122,C132を送信する中継局120,130に衛星放送受信装置111,121,131が具備されている。
【0013】
統括局110は、本システムによる中継放送の対象となる放送データを、各中継局に配信するための設備であり、例えば、放送局の一部である。放送データは各中継局に共通であり、例えばMPEG-2(Moving Picture Experts Group 2) TS(Transport Stream)形式である。このTS信号は、そのまま変調器(励振器)に入力できるような、規定の固定ビットレートに調整された信号であることが望ましい。配信される放送データは、ITU-T G.709に規定されるOTN(Optical Transport Network)や、SDH/Sonet、IEEE802.2ab等の方式で通信するために、終端装置を介して、光ファイバ回線161へ出力される。本例の特徴として、統括局110は、衛星放送受信装置111を備える。
放送データは、統括局110から中継局120,130に、光ファイバ回線161〜171や中継スイッチ141〜146を介して伝送されうる。つまり、統括局110から中継局120等へ少なくとも一方向の伝送ができればよく、ネットワークのトポロジは任意である。中継局や光ファイバ回線、中継スイッチの数は例示に過ぎず、これに限定されるものではない。
【0014】
中継局120,130は、統括局110からの放送データを所定の周波数の放送波として無線送信する、送信所に設けられる設備である。本例の特徴として、中継局120,130等は、衛星放送受信装置123,133をそれぞれ備える。
衛星放送用静止衛星170は、赤道上の静止軌道で、テレビ等の衛星放送に供される衛星であり、この衛星から発信されるデータ171〜173は、テレビ放送等のデータであればMPEG-2 TSの形式である。
衛星放送受信装置123,133は、衛星170からのデータ171〜173を受信し、TS信号を取り出す機能を有する。衛星放送受信装置123等には、民生用のパラボラアンテナやチューナを転用できるが、処理遅延等の条件を揃えるために、ハードウェア等の構成は互いに同じであることが望ましい。
【0015】
本例の特徴として、統括局110、中継局120,130は、衛星放送用静止衛星170からのデータ171〜173を衛星放送受信装置111,121,131で受信し、受信したデータ171〜173の中に100msec 以下の間隔で含まれるPCR(Program Clock Reference)情報(タイムスタンプ)から27MHzのクロックを再生する。同一の衛星放送用静止衛星170からの同一の放送チャンネルのデータ171〜173を基にクロック信号を再生するため、クロックジッタはGPS(Global Positioning System)衛星を使用したときに比べて、小さいものとなり、安価なPLL(Phase Locked Loop)回路や注入同期発振器が使用可能である。
【0016】
次に、本例の無線送信システムにおける時刻同期の概念を
図2を用いて説明する。
図2(A)は衛星放送用静止衛星170から発信されたデータ171〜173を統括局110および中継局120,130が受信した時のPCRカウンタのタイミング図である。統括局110と中継局120,130は、地理的に距離が離れているため、
図2(A)に示すように、衛星放送用静止衛星170のデータ171〜173を受信して再生されたPCRカウンタの値には、差異が生じる。別の言い方では、同じ信号を受信する上で、時間差が生じている。
しかしながら、この受信時間の差異は、固定値とみなせ、統括局110および中継局120,130の局設置時に、衛星170との距離に基づいて算出するか或いは他の高精度時計を基準にした計測により求めることができる。
図2(B)には、この固定値(補正情報)を用いて受信タイミングを補正した後の、PCRカウンタのタイミング図である。補正は、受信信号から再生されたままのPCRカウンタの値に、固定値を加算することで、PCRのクロックの単位で行うことができ、その結果、誤差は1クロック(1 / 27 MHz = 37ns)以下に補正できる。
【0017】
図3は、本例の無線送信システムの統制局110のブロック図である。
DVB-ASI(Digital Video Broadcasting - Asynchronous Serial Interface)インタフェース301は、同軸ケーブルを介して入力されたTS信号を受信し、その際、再生した270MHzのビットクロックとTS信号を、送信タイミング発生部302と多重化部(MUX)303にそれぞれ出力する。DVB-ASIの送信側で用いられるクロックは通常、TS多重化器で用いられるクロックと同期している。TS多重化器が、タイムスタンプをしながら、固定ビットレート(つまりヌルパケットのパディングによるレート調整を要しない)のTSを生成している場合、非同期I/Fであってもクロックの再生が可能になる。
送信タイミング発生部は、DVB-ASIインタフェースで再生したクロックを分周するなどして、オンエア時のOFDMシンボル周期(例えば1134μs)の信号を生成する。
一方、衛星放送受信アンテナ112で受信した衛星放送の信号が、衛星放送受信部312に入力される。
衛星放送受信部312は、所定の放送チャンネルに同調して、その復調、復号処理を行い、得られたTS信号を多重分離し、少なくともAdaptation Field にPCRタイムスタンプを含むTSパケットを抽出して、出力する。或いは、最近の1チップ化された復調・デコーダLSIでは、それ自体で再生した27MHzクロックを出力する機能を有しており、そのクロックを一緒に用いてもよい。
【0018】
PLL部313は、PCRタイムスタンプに基づき、27MHz及び90kHzのプログラムクロックを再生する。再生の方法は種々あるが、例えば、VCOを備え、受信PCRカウンタ部314のカウント値とPCRタイムスタンプの差に基づいて、VCOの発振周波数を上下させる制御を行う。一般的には、90kHzのPCRも含めた時刻の差が所定以上大きい(同期外れ)時は、直ちに再同期するために受信PCRカウンタ部313のカウント値をタイムスタンプの値で上書きする。再生クロックは、受信PCRカウンタ部314及び自走PCRカウンタ部315に提供される。或いは27MHzのクロックを再生する際にその整数倍(例えば10倍)で発信するVCOを用い、そのクロック(逓倍クロック)を提供してもよい。
【0019】
受信PCRカウンタ部314は、PCRタイムスタンプの値がより直接的に反映されるカウンタであり、PLL部313からの再生クロックを計数する。基本的には27MHzには9bit、90kHzには33bitのカウンタを用いるが、27MHzの方は、そのカウント値が一周する周期がTSパケット(光フレームの送信間隔)の平均周期より2倍以上長くなるように、10bit以上で計数してもよい。2のべき乗以外のn倍(nは自然数)の逓倍クロックで計数する場合、本来の27MHzで計数する桁はそのままに、逓倍クロックを計数するn進カウンタ値を設ける。
【0020】
自走PCRカウンタ部315は、受信PCRカウンタ部314と同一構成で、PLL部314からの再生クロックを計数する。従って、受信PCRカウンタ部314と同じ速さで進む。自走PCRカウンタ部315は一般的なマイコンに内蔵されるプログラマブルタイマでもよい。
異常検知部316は、受信PCRカウンタ部314と自走PCRカウンタ部315の、カウント値を比較し、一致しない時に不一致信号(カウント値の差分)を出力する。
【0021】
カウンタ制御部317は、異常検知部316から不一致信号を受取ると、衛星放送のPCRに不連続があったと推定し、どのタイミングで受信PCRカウンタ部314に復帰すべきかを示す制御データの生成を、制御データ生成部318に指示する。PLL部314が安定化するにはある程度時間を要するため、最初に不連続を検知してから一定時間後或いはカウント値の差分が一定になってから、この指示を行う。この指示には、カウント値の差分(自走PCRカウンタ部315の値が0の時の受信PCRカウンタ部314の値)の情報を、基準カウンタ値mとして含みうる。この指示後、27MHzのPCRカウンタの1周期(約19μs)以内に、受信PCRカウンタ部314の値を自走PCRカウンタ部315にロードする信号も出力する。
【0022】
制御データ生成部318は、カウンタ制御部317からの指示に基づいて、基準カウンタ値mを含む切替指示の制御データを生成する。また、送信タイミング発生部302からの送信タイミング信号が入力されると、そのときの受信PCRカウンタ部314の値を含む、送信タイミングの制御データを生成する。送信タイミングの制御データは、少なくとも起動後に1回送信することが求められ、毎周期送信する必要はなく、特に自走PCRカウンタ部が選択されている間及び切替指示の制御データを送信する前後は送信しない方が良い。或いは、受信PCRカウンタ部314への復帰タイミングの直前の、PCRカウンタの1周期時間の間に、送信タイミングの制御データを確実に伝達できれば、その伝達を以て切替指示の制御データに代えることができる。
【0023】
多重化部(MUX)303は、DVB-ASIインタフェース301からのTS信号や、制御データ生成部318からの制御データ等を、所定の光通信用のフレームに多重化する。OTNの場合、3806〜3808ByteのRowを4つ有するフレームが用いられ、例えば各Rowに同じ1つのTSパケットと制御データ(もしあれば)を配置し、後半はスペシャルコード(K28.5)でパディングすることによりフレーム化する。つまり1つのOTNフレームで1つのTSパケットを伝送する。制御データは、発生都度、TSパケットなしに単体でフレーム化されうる。このほか、送信制御部403で用いられる設定値(オンエアのオン/オフ、伝送パラメータ、204個のOFDMシンボルからなるOFDMフレームの先頭位置を示す制御データ、TMCC)等、他の制御信号も任意で多重化できる。なお、TS信号を直接OTUにマッピングするよりも、IPパケット化及びIEEE802.3でframe化し、それをOTUに再フレーム化する構成の方が安価に実現できるかもしれない。その場合もOTUフレームをパディング或いはコピーしたIEEE802.3のframeで満たすなどしてジッタを低減する必要がある。
光伝送送信部304は、光通信用のフレームを、光ネットワークに送信するもので、例えば終端装置或いはONU(Optical Network Unit)と呼ばれる。
【0024】
図4は、本例の無線送信システムの中継局120,130のブロック図である。
光ファイバ回線401で伝送されてくる放送データや制御データは、光伝送受信部402に入力される。
光伝送受信部402は、OTNのデフレーム処理等を行い、放送データであるTS信号と制御データを抽出し、バッファ部403、カウンタ制御部416にそれぞれ正しい順序で出力する。なお、TS信号が、中継局毎に異ならせる必要のあるID等を含む場合、光伝送受信部402からの出力後に、そのID等の置換処理を行う。
【0025】
バッファ回路部403は、中継局間の伝送遅延差等を吸収するために、TS信号を一時蓄積する、FIFOバッファである。なおバッファ回路部403は、送信制御部404に内蔵されてもよい。
送信制御部404は、OFDM変調器(励振器)送信であり、変調された無線信号を生成する。このとき、無線信号のOFDMシンボルのタイミングが、タイミング発生部419からの指示に応じたタイミングとなるように、無線送信部405に出力する。例えば、所定のサンプルレート(512/63 = 8.12698MHz)で動作するIFFT処理を開始を、指示されたタイミングに一致させ、指示がない時はそのサンプルレートで自走する。即ち、放送用の送信制御部404は、オーブン補償水晶発振器(OCXO)等の高精度の原振を内蔵するとともに外部入力からの更に高精度の発振源などを基準にして、既に安定に動作しているため、OFDMシンボルを一致させるために周波数制御等は行わない。なお、外部入力の1つとして、衛星放送から再生した27MHzクロックを用いることは妨げない。
無線送信部405は、無線信号を電力増幅し、送信アンテナ406はその信号を空間に放射する。
【0026】
一方、衛星放送受信アンテナ411で受信した衛星放送の信号が、衛星放送受信部412に入力される。衛星放送受信部412から自走PCRカウンタ部415までの構成は、衛星放送受信部312から自走PCRカウンタ部315までの構成と、それぞれ同一である。
つまり、衛星放送受信部412は、所定の放送チャンネルに同調して、その復調、復号処理を行い、得られたTS信号を多重分離し、少なくともAdaptation Field にPCRタイムスタンプを含むTSパケットを抽出して、出力する。
【0027】
PLL部413は、PCRタイムスタンプに基づき、27MHzのプログラムクロックを再生する。
受信PCRカウンタ部414は、PLL部414からの再生クロックを計数する。再同期時はタイムスタンプの値が直接、受信PCRカウンタ部414に反映される。
自走PCRカウンタ部415は、PLL部414からの再生クロックを計数する。従って、受信PCRカウンタ部413と同じ速さで進む。
【0028】
カウンタ制御部416は、統括局110からの指示(制御データ451)に基づき、選択部417の制御等を行う。即ち、通常は、受信PCRカウンタ部413の値を選択し、受信PCRカウンタ部413の値が連続でなくなった場合には、自走PCRカウンタ部415の値を選択させる選択信号を、選択部417に出力する。
また、その後受信PCRカウンタ部の値が安定したところで、統括局110からの切替指示に従って、自走PCRカウンタ部415の値を受信PCRカウンタ部413の値に一致させる(リロードさせる)とともに、統括局110から伝達された新たな基準カウンタ値の情報を、送信タイミング発生部419に設定し、その後、再度受信PCRカウンタ部413側を選択部417で選択するための選択信号を選択部417に与える。
【0029】
選択部417は、カウンタ制御部416からの選択信号に応じて、受信PCRカウンタ部413又は自走PCRカウンタ部415のどちらか一方のカウント値を選択して送信タイミング発生部418に出力する。
送信タイミング発生部418は、統括局110より送られてくる制御データ451(送信タイミングの制御信号と基準カウンタ値)に応じて、送信タイミング信号を生成する。送信タイミング発生部418は例えば、選択部417で選択されたカウンタの値を設定値と比較し、一致したときにパルスを発生する回路や、OFDMシンボル周期に対応する計数値を加算することで次の設定値を設定する回路や、基準カウンタ値の入力があった時に次の設定値にその基準カウンタ値を加算する回路や、送信タイミングの制御データの入力があった時にその送信タイミングの制御データと上記シンボル周期計数値とを加算した値を次の設定値を設定する回路等で構成される。
【0030】
遅延補正部419は、予め局毎に設定されている地理的差異による衛星放送受信の時間差を補正するための補正情報を保持しており、送信タイミング発生部418からのタイミング信号を、補正情報の示す時間だけ遅らせて出力する。遅延補正部419は27MHzのクロックと非同期で動作させてもよい。
送信タイミング発生部419は、統括局110より送られてくる制御データ451の中から送信タイミング決定の基準となるカウンタ値に応じて、送信制御部404に送信タイミング信号を送る。
PLL発振器420は、再生した27MHzのクロックから、基準信号として一般的な10MHzを生成し、送信制御部404に提供する。PLL発振器420は、本例に必須ではない。
【0031】
本例の送信制御部404では、指示されたシンボルタイミングに一致させる都合、ごく稀に、OFDMシンボル境界において1サンプル時間程度の不連続が生じうる。27MHzのクロックに基づく上記指示タイミングは、サンプル時間より3倍以上細かいため、ずれたタイミングを指示タイミングに一致させる制御も、サブサンプル(例えば1/2、1/4サンプル)精度で行われることが望ましい。
【0032】
次に、本例の無線送信システムの動作を
図1および
図5のタイミングチャート2を用いて説明する。
統括局110は中継局120,130に対して、衛星放送用静止衛星170のデータ171〜173であるPCRカウンタがどの値を基準に無線送信のタイミングを合わせるのかを光ファイバ回線を使用して通知する。
統括局110は、PCRカウンタ値を常時監視し、放送番組切れ目等でPCRカウンタ値が急激に変化しても、
図5に示すように新たに基準とすべきカウンタ値を速やかに、中継局120,130に伝達する。
【0033】
中継局120,130側でも受信しているPCRカウンタ値が急激に変化してもすぐには追従せず、統括局110より新たな基準カウンタ値が送られてくるまで、送信タイミングを維持することにより、タイミングのズレを防ぐことができる。
【0034】
統括局110と中継局120,130間の放送データの伝送は、一般的な安価な光ファイバ回線を使用する。光ファイバ回線のデータ伝送の遅延時間は最大時間のみの保証となるが、直接送信タイミングを決定するために使用していないので問題はない。
また、中継局120,130は、局設置時の固定値と、統括局110から伝達される新たに基準とすべきカウンタ値との情報から、自局の送信タイミングを決定することにより、同期をとることが可能となる。
【0035】
上述の実施例により、本発明の無線送信システムは、安価な光ファイバ回線でのIP伝送を使用して、簡略化した回路構成にて中継局間の同期をとり、単一周波数ネットワークシステムを実現することができる。なお、放送データは、TSで伝送するものに限らず、CPRI(Common Public Radio Interface)のようにI/Q(In-phase/Quadrature)信号でもよく、或いは制御データと波長分割多重すればRoF(Radio over Fiber)のようなアナログ信号でもよい。