(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、太陽熱温水器と太陽光発電装置とをコンテナの屋根に設置した場合、太陽熱温水器の集熱器と、太陽光発電装置の受光部が重ならないように、それぞれの寸法を小さくする必要がある。
【0005】
したがって本発明の目的は、使用時に太陽光発電装置と太陽熱温水器の受光領域を広く設けた移動式の温水供給システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る温水供給システムは、太陽熱温水器と、太陽光発電装置と、太陽光発電装置から供給された電力を貯めるバッテリーと、太陽熱温水器の集熱器の下に配置され、太陽熱温水器で温められた温水を排出する吐水口と、太陽光発電装置とバッテリーのいずれかから供給された電力に基づいて駆動する電気機器を有する温水供給室と、不使用時は、太陽光発電装置の受光部が集熱器の受光面と対向する位置関係になり、使用時は、太陽光発電装置の受光部が集熱器の受光面と平行若しくは受光面と同一平面上になるように、太陽光発電装置を回転移動させる開閉装置とを備える。
【0007】
不使用時は、太陽光発電装置は受光部が集熱器の受光面と対向し、太陽熱温水器の集熱器の上に太陽光発電装置が積み重なる。
【0008】
使用時は、開閉装置により、太陽光発電装置が回転移動せしめられ、受光部が集熱器の受光面(太陽熱温水器の斜面)と対向する状態から、集熱器の受光面と略平行若しくは当該受光面と同一平面上に位置する状態にされる。
【0009】
これにより、広い領域(太陽熱温水器の集熱器の受光面、太陽光発電装置の受光部)で太陽光を受け、温水や電力を温水供給室に供給することが可能になる。
また、不使用時に太陽光発電装置の受光部を裏返して、太陽熱温水器の集熱器の受光面と対向させるので、太陽光発電装置の受光部や集熱器の受光面が風雨にさらされて劣化するのを防止出来る。
【0010】
好ましくは、温水供給室を保持する土台部と、太陽熱温水器と太陽光発電装置を上下方向に移動させる昇降装置を更に備え、温水供給室は、土台部に固定された箱固定部と、昇降装置によって上下方向に移動せしめられ箱固定部によって上下方向に移動可能な状態で保持される箱可動部を有する。
【0011】
不使用時に使用時よりも全体の高さを低くし、トレーラーなどの運搬装置による運搬を容易に出来る。
【0012】
使用時は、昇降装置によって箱可動部などを上方に持ち上げられるので、箱可動部を含む温水供給室の内部スペースを広くすることが出来る。
また、太陽熱温水器の貯湯タンクの位置が高くなるため、温水供給室に供給する温水の水圧を高くすることが出来る。
【0013】
さらに好ましくは、温水供給室の箱可動部の上端は、集熱器の上端と下端の間に位置する。
【0014】
また、好ましくは、箱可動部の外形は、下部が開口し、集熱器の受光面と平行な斜面を有する台形柱形状を有する。
【0015】
また、好ましくは、温水供給室を保持する土台部と、太陽熱温水器と太陽光発電装置を上下方向に移動させる昇降装置と、昇降装置によって上下方向に移動せしめられ土台部によって上下方向に移動可能な状態で保持される可動部を更に備え、可動部の外形を形成する台形柱形状の斜面の上に集熱器が配置され、斜面の下に温水供給室が配置され、太陽光発電装置を含む部分の外形は直角三角柱形状を有し、直角三角柱形状の斜面に太陽光発電装置の受光部が配置され、太陽光発電装置の受光部が集熱器の受光面と対向する位置関係になる時、可動部と太陽光発電装置を含む部分とが合わさった部分は、直方体形状を形成する。
【0016】
また、好ましくは、発電装置を更に備え、バッテリーは、太陽光発電装置と発動発電装置から供給された電力を貯める。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明によれば、使用時に太陽光発電装置と太陽熱温水器の受光領域を広く設けた移動式の温水供給システムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態における移動式の温水供給システム1は、筐体10(土台部101、可動部102、昇降装置103)、第1温水供給室11、第2温水供給室12(箱固定部121、箱可動部122)、太陽熱温水器15、貯水タンク16、ポンプ16a、太陽光発電装置17、バッテリー18、開閉装置19、発動発電装置21、燃料タンク22を備える(
図1〜
図3参照)。
【0020】
方向を示すために、第1温水供給室11と第2温水供給室12が並べられる水平方向をx方向とし、x方向に垂直な水平方向をy方向とし、x方向とy方向に垂直な鉛直方向をz方向とする。
【0021】
筐体10は、土台部101と、土台部101によってz方向(上下方向)に移動可能な状態で保持される可動部102と、可動部102などをz方向に移動させるアクチュエータなどで構成される昇降装置103を有する。
【0022】
土台部101の外形は略直方体形状を有し、xz面の一方(使用時に太陽光発電装置17が位置する側と反対側、正面)と、上面が開口する。
可動部102の外形は略台形柱形状を有し、xz面の一方(使用時に太陽光発電装置17が位置する側と反対側、正面)と、下面が開口する。
可動部102の外形を形成する略台形柱形状の斜面の上に、太陽熱温水器15の集熱器15aが配置され、当該斜面の下に、第1温水供給室11や第2温水供給室12が配置される。
【0023】
土台部101の下部、若しくは後述する貯水タンク16が設けられた部分の一部には、フォークリフトのフォーク(ツメ)の挿入口23が設けられるのが望ましい。
【0024】
第1温水供給室11、第2温水供給室12の箱固定部121、バッテリー18、発動発電装置21、燃料タンク22は、土台部101に固定される。
また、第2温水供給室12の箱可動部122、太陽熱温水器15は、可動部102に固定される。
太陽光発電装置17は、x方向に平行な回転軸19aを中心として回転可能な状態で、可動部102に保持される。
【0025】
第1温水供給室11は、太陽熱温水器15で温められた温水を排出する第1吐水口11aと、第1温水供給室11内に排出された液体を外部に排出する第1排水口11bと、太陽光発電装置17とバッテリー18と発動発電装置21のいずれから供給された電力に基づいて駆動する第1電気機器(たとえば、照明器具)11c、第1出入口11dを有するもので、たとえば、シャワー室やトイレなどが考えられる(
図4参照)。
【0026】
本実施形態では、第1温水供給室11が2つ設けられる例を示すが、第1温水供給室11の数はこれに限るものではない。
また、
図4は、第1温水供給室11の内部構造を示すために手前の側壁(2枚)を省略している。
【0027】
第2温水供給室12は、第1温水供給室11と同様に、太陽熱温水器15で温められた温水を排出する第2吐水口12aと、第2温水供給室12内に排出された液体を外部に排出する第2排水口12bと、太陽光発電装置17とバッテリー18と発動発電装置21のいずれから供給された電力に基づいて駆動する第2電気機器(たとえば、照明器具)12c、第2出入口12dを有するもので、たとえば、流し台などが考えられる(
図5参照)。
【0028】
第2温水供給室12の外形は、上部が開口する箱固定部121と、下部が開口し箱固定部121によってz方向に移動可能な状態で保持される箱可動部122を有し、箱可動部122は、昇降装置103によってz方向に移動せしめられる。
箱可動部122が上方に移動した時、第2温水供給室12は、z方向の寸法が広い状態になる。
箱可動部122が下方に移動した時、第2温水供給室12は、z方向の寸法が狭い状態になる。
箱可動部122の外形は、略直方体形状であってもよいし、太陽熱温水器15の内壁形状に合わせて、集熱器15aの受光面と平行な斜面を有する略台形柱形状であってもよい。
【0029】
第2吐水口12aと第2排出口12bと第2電気機器12cは、箱固定部121と箱可動部122のいずれか若しくは両方に設けられる。
第2出入口12dは、箱固定部121に設けられる。
【0030】
本実施形態では、第2温水供給室12が1つ設けられる例を示すが、第2温水供給室12の数はこれに限るものではない。
また、
図5は、第2温水供給室12の内部構造を示すために手前の側壁(1枚)を省略している。
【0031】
第1温水供給室11は、第1出入口11dを閉めると略密閉空間にすることが出来るので、シャワー室など温水が内壁面に飛び散る可能性が高い温水供給装置に用いることが出来る。
【0032】
第2温水供給室12は、第2出入口12dを閉めても、箱固定部121と箱可動部122の境界部分を完全に密閉することが難しいため、流し台など温水が内壁面に飛び散る可能性が低い温水供給装置に用いるのが望ましい。
【0033】
太陽熱温水器15は、太陽熱により冷水を温める装置で、太陽の熱を集めお湯を生成する集熱器15a、集熱器15aで生成されたお湯を貯蔵する貯湯タンク15b、貯湯タンク15bの下部を支える架台15cを有する。
太陽熱温水器15の集熱器15aを構成する斜面と、z方向に延びる架台15cの間に、第1温水供給室11や第2温水供給室12が配置される。
太陽熱温水器15は、昇降装置103によってz方向に移動せしめられる。
【0034】
貯水タンク16は、水道水を排出する蛇口などから供給され、ポンプ16aを介して集熱器15aに供給する冷水を貯蔵するもので、土台部101の下に配置される、若しくは土台部101の上に配置される。
【0035】
昇降装置103によって、太陽熱温水器15などが移動範囲の下端に移動せしめられた時、第1温水供給室11の上端は、集熱器15aの上端と下端の間に位置する(
図7参照)。
第2温水供給室12の箱可動部122の上端は、集熱器15aの上端と下端の間に位置する。
【0036】
太陽光発電装置17は、太陽光に基づいて発電する装置で、太陽光発電装置17を含む部分の外形は略直角三角柱形状を有し、斜面に受光部が配置される。
【0037】
可動部102の外形を形成する略台形柱の斜面に、太陽光発電装置17を含む部分の外形を形成する略直角三角柱の斜面とが対向するように重なり合わせると、合わさった部分(太陽光発電装置17と可動部102)が、略直方体形状を形成するように、可動部102と太陽光発電装置17の寸法が設定される。
【0038】
太陽光発電装置17で得られた電力は、バッテリー18に蓄積される、若しくは、昇降装置103、第1電気機器11c、第2電気機器12c、ポンプ16a、開閉装置19の駆動に用いられる。
【0039】
太陽光発電装置17は、不使用時は受光部が集熱器15aの受光面と対向する位置関係になるように配置され(第1状態、
図6〜
図8参照)、使用時は、可動部102とともにz方向(上方)に移動し(第2状態、
図9、
図10参照)、その後、受光部が集熱器15aの受光面から離れて集熱器15aの受光面と略平行若しくは当該受光面と同一平面上に配置されるように回転移動する(第3状態、
図11〜
図13参照)。
【0040】
太陽光発電装置17の移動は、アクチュエータなどで構成される開閉装置19によるx方向に平行な回転軸19aを中心とした回転運動によって行われる。
【0041】
太陽光発電装置17は、昇降装置103によってz方向に移動せしめられる。
【0042】
発動発電装置21は、燃料タンク22から供給された燃料の燃焼に基づいて発電する装置で、たとえば、ガスボンベ(燃料タンク22)から供給されたガス(燃料)の燃焼に基づいて発電するガス発電機が考えられ、主に、太陽光発電装置17からの電力供給が十分でない時に使用される。
【0043】
不使用時は、太陽光発電装置17は受光部が集熱器15aの受光面と対向し、可動部102の斜面(太陽熱温水器15の集熱器15a)の上に太陽光発電装置17が積み重なって、太陽光発電装置17と可動部102とで略直方体を形成し、当該略直方体の下部が土台部101の上部に収納される(
図6〜
図8参照)。
【0044】
土台部101のy方向とx方向の寸法がコンテナの外形サイズ(2,438mm×12,192mm)と同等であり、少なくとも当該略直方体の下部が土台部101の上部に収納された時の温水供給システム1の高さ(z方向の寸法)が2,896mm以下であれば、ハイキューブタイプの40フィートコンテナに相当するものとして、温水供給システム1をトレーラーなどで運搬することが出来る。
【0045】
たとえば、奥行き(y方向の寸法)が約900mm、高さ(z方向の寸法)が約2,000mmのシャワーユニット(第1温水供給室11)と、奥行き(y方向の寸法、集熱器15aの下端と架台15cの距離)が約2,000mm、高さ(z方向の寸法)が約1,200mmの太陽熱温水器15とを、少なくとも第1状態の時に第1温水供給室11の上端が集熱器15aの上端と下端の間に位置するように設置し、温水供給システム1として用いることが出来る。
【0046】
土台部101のy方向とx方向の寸法がコンテナの内形サイズ(2,352mm×12,032mm)以下であり、少なくとも当該略直方体の下部が土台部101の上部に収納された時の温水供給システム1の高さ(z方向の寸法)が2,690mm以下であれば、ハイキューブタイプの40フィートコンテナの内部に収納して、温水供給システム1を含むコンテナをトレーラーなどで運搬することが出来る。
【0047】
土台部101のy方向とx方向の寸法がコンテナの外形サイズ(2,438mm×12,192mm)と同等であり、少なくとも当該略直方体の下部が土台部101の上部に収納された時の温水供給システム1の高さ(z方向の寸法)が2,591mm以下であれば、通常の40フィートコンテナに相当するものとして、温水供給システム1をトレーラーなどで運搬することが出来る。
【0048】
土台部101のy方向とx方向の寸法がコンテナの内形サイズ(2,352mm×12,032mm)以下であり、少なくとも当該略直方体の下部が土台部101の上部に収納された時の温水供給システム1の高さ(z方向の寸法)が2,385mm以下であれば、通常の40フィートコンテナの内部に収納して、温水供給システム1を含むコンテナをトレーラーなどで運搬することが出来る。
【0049】
土台部101のy方向とx方向の寸法がコンテナの外形サイズ(2,438mm×6,058mm)と同等であり、少なくとも当該略直方体の下部が土台部101の上部に収納された時の温水供給システム1の高さ(z方向の寸法)が2,591mm以下であれば、通常の12フィートコンテナに相当するものとして、温水供給システム1をトレーラーなど運搬装置で運搬することが出来る。
【0050】
土台部101のy方向とx方向の寸法がコンテナの内形サイズ(2,352mm×5,898mm)以下であり、少なくとも当該略直方体の下部が土台部101の上部に収納された時の温水供給システム1の高さ(z方向の寸法)が2,385mm以下であれば、通常の20フィートコンテナの内部に収納して、温水供給システム1を含むコンテナをトレーラーなどで運搬することが出来る。
【0051】
使用時は、温水供給システム1は、当該運搬装置若しくは当該コンテナから降ろされ、所定の位置に設置され、昇降装置103により、可動部102と太陽光発電装置17が上方に持ち上げられ(
図9、
図10参照)、その後、開閉装置19により、太陽光発電装置17が回転軸19aを中心に回転移動せしめられ、受光部が集熱器15aの受光面(太陽熱温水器15の斜面)と対向する状態から、集熱器15aの受光面と略平行若しくは当該受光面と同一平面上に位置する状態にされる(
図11〜
図13参照)。
【0052】
これにより、筐体10の土台部101よりも広い領域(太陽熱温水器15の集熱器15aの受光面、太陽光発電装置17の受光部)で太陽光を受け、温水や電力を第1温水供給室11などに供給することが可能になる。
また、不使用時に太陽光発電装置17を収納し、太陽熱温水器15を含む可動部102と太陽光発電装置17の一部を土台部101に収納出来るので、使用時よりも全体の高さを低くし、トレーラーなどの運搬装置による運搬やコンテナへの収納を容易に出来る。
また、不使用時に太陽光発電装置17の受光部を裏返して、太陽熱温水器15の集熱器15aの受光面と対向させるので、太陽光発電装置17の受光部や集熱器15aの受光面が風雨にさらされて劣化するのを防止出来る。
【0053】
使用時は、昇降装置103によって可動部102、箱可動部122、太陽熱温水器15、太陽光発電装置17などを上方に持ち上げられるので、箱可動部122を含む第2温水供給室12の内部スペースを広くすることが出来る。
また、太陽熱温水器15の貯湯タンク15bの位置が高くなるため、第1温水供給室11や第2温水供給室12に供給する温水の水圧を高くすることが出来る。
【0054】
なお、バッテリー18、発動発電装置21、燃料タンク22は、土台部101に固定される形態に限らず、可動部102に固定される形態であってもよい。この場合、可動部102が上方に移動した時に、土台部101の使用可能領域(居住スペースなど)を広くすることが出来る。
【0055】
また、太陽高発電装置17で得られた電力、バッテリー18に貯めた電力、発動発電装置21で得られた電力は、温水供給システム1内の電気機器(たとえば、第1電気機器11c)の駆動に用いられるだけでなく、外部の電気機器に供給したり、商用電源に送電(売電)したりする形態であってもよい。
温水供給システム(1)は、太陽熱温水器(15)を備える。太陽光発電装置(17)を備える。太陽光発電装置(17)から供給された電力を貯めるバッテリー(18)を備える。太陽熱温水器(15)の集熱器(15a)の下に配置され、太陽熱温水器(15)で温められた温水を排出する吐水口と、太陽光発電装置とバッテリーのいずれかから供給された電力に基づいて駆動する電気機器を有する温水供給室(11)、(12)を備える。不使用時は、太陽光発電装置(17)の受光部が集熱器(15a)の受光面と対向する位置関係になり、使用時は、太陽光発電装置(17)の受光部が集熱器(15a)の受光面と平行若しくは受光面と同一平面上になるように、太陽光発電装置(17)を回転移動させる開閉装置(19)を備える。