(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジングは、所定の方向から前記第1ターミナルが圧入される第1ターミナル圧入部と、前記第1ターミナルとは反対の方向から前記第2ターミナルが圧入される第2ターミナル圧入部とを備え、
前記第1ターミナルは、前記操作部材を回動可能に支持する回動軸受け部を備え、
前記第2ターミナルは、前記操作部材が前記第1ターミナル圧入部に圧入された前記第1ターミナルで回動可能に支持された状態で前記第2ターミナル圧入部に圧入されており、かつ、前記操作部材に係合して前記操作部材を外れ止めする係合部を備え、
前記操作部材は、前記挿入方向側の後面を形成する壁部を備え、
前記壁部は、該壁部の下端部前面から前方に向けて突出する突起を備え、
前記突起は、前記係合部と係合することを特徴とする請求項1に記載の平型電線用コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1、2に示されるように、操作部材の操作に応じてターミナルの接点部間隔を広げるものでは、ターミナルの極数に比例して操作部材の操作力が大きくなるので、ターミナルの極数が多い平型電線用コネクタでは操作力が大きくなり過ぎて適用が困難になるという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、平型電線の挿入時にターミナルの接点部間隔を広げて平型電線の挿入操作力を軽減するものでありながら、ターミナルの接点部間隔を広げる操作部材の操作力が大きくなり過ぎることを回避し、多極のターミナルを備えるものにも適用することができる平型電線用コネクタの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、本発明の平型電線用コネクタは、平型電線が挿入される挿入口を有するハウジングと、前記ハウジングに前記挿入口の幅方向に所定の間隔を隔てて並列状に配置され、前記挿入口に挿入された前記平型電線に接触する接点部を有する複数のターミナルと、前記ハウジングに操作可能に配置され、その操作に応じて前記ターミナルの接点部を変位させる操作部材とを備える平型電線用コネクタであって、複数の前記ターミナルには、前記接点部の位置が前記平型電線の挿入方向にずれた第1ターミナル及び第2ターミナルが含まれ、前記第1ターミナル及び前記第2ターミナルは、前記接点部を支持し前記ハウジングに対し変位可能な可動腕部と、これらターミナルを前記ハウジングに固定する固定腕部と、前記可動腕部と前記固定腕部を連結する連結部とを備え、前記第1ターミナルは、前記接点部から前記連結部までの距離である実質的な可動腕部長さが前記第2ターミナルよりも長く、前記操作部材は、その操作に応じて、前記第1ターミナルよりも実質的な可動腕部長さが短い前記第2ターミナルの接点部のみを選択的に変位させ
、前記第1ターミナルは、前記第2ターミナルよりも前記可動腕部の剛性が高く、前記第2ターミナルは、前記可動腕部と前記連結部の連結部分から、前記可動腕部とは逆方向に片持ち状に延設された開き操作部を備え、前記開き操作部に対する前記固定腕部の方向への押圧操作に応じて、前記可動腕部が前記連結部を支点として前記固定腕部から離間する方向へ変位するように構成され、前記操作部材は、その操作に応じて、前記開き操作部を前記固定腕部の方向へ押圧する押圧部を備え、前記開き操作部は、前記連結部と逆方向の端部に、前記押圧部に押圧される押圧位置を備え、前記連結部から押圧位置までの距離である開き操作部の長さは、前記可動腕部長さより長いことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、操作部材の操作に応じて、第2ターミナルの接点部のみを選択的に変位させるので、すべてのターミナルの接点部を変位させる場合に比べ、操作部材の操作力を軽減することができ、その結果、多極のターミナルを備える平型電線用コネクタであっても、適度な操作力で所定のターミナルの接点部を変位させて平型電線の挿入操作力を軽減することが可能となる。
【0010】
また、この構成によれば、平型電線を挿入する際に生じる接点接触抵抗のうち、挿入方向奥側の接点部による接触抵抗を軽減もしくは消失させるので、接触抵抗によって平型電線の先端が挿入口の終端まで達したと誤認してしまう可能性を低減することができる。
【0012】
この構成によれば、梃子の原理を利用して第2ターミナルの接点部が変位させられるので、操作部材の操作力をさらに軽減することができる。しかも、第1ターミナルよりも剛性が低い第2ターミナルの接点部のみを選択的に変位させるので、剛性の高い第1ターミナルのみを選択的に変位させる場合と比べ、必要な接触圧を保ちながら操作部材の操作力を軽減することが可能となる。
【0013】
また、前記ハウジングは、所定の方向から前記第1ターミナルが圧入される第1ターミナル圧入部と、前記第1ターミナルとは反対の方向から前記第2ターミナルが圧入される第2ターミナル圧入部とを備え、前記第1ターミナルは、前記操作部材を回動可能に支持する回動軸受け部を備え、前記第2ターミナルは、前記操作部材が前記
第1ターミナル圧入部に圧入された前記第1ターミナルで回動可能に支持された状態で前記第2ターミナル圧入部に圧入され
ており、かつ、前記操作部材に係合して前記操作部材を外れ止めする係合部を備え、前記操作部材は、前記挿入方向側の後面を形成する壁部を備え、前記壁部は、該壁部の下端部前面から前方に向けて突出する突起を備え、前記突起は、前記係合部と係合することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、第1ターミナルを操作部材の回動軸受け部材に兼用し、第2ターミナルを操作部材の外れ止め部材に兼用することができるので、部品点数の削減や構造の簡略化を促進し、平型電線用コネクタのコストダウンに貢献することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、平型電線の挿入時にターミナルの接点部間隔を広げて平型電線の挿入操作力を軽減するものでありながら、ターミナルの接点部間隔を広げる操作部材の操作力が大きくなり過ぎることを回避し、多極のターミナルを備える平型電線用コネクタにも適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付して説明する。また、平型電線用コネクタにおいては、平型電線が挿入される面を正面、その反対側を背面、正面から見て左側の側面を左側面、その反対側の面を右側面、基板に固定される面を底面、その反対側の面を上面とし、正面、背面に向かう方向を前方向、後方向として説明する。また、平型電線用コネクタを載置する基板面に垂直な方向を上下方向とし、基板面に向かう方向を下方向とする。
【0018】
図1に示すように、平型電線用コネクタ101は、FPC、FFCなどの平型電線2を接続するためのものであって、たとえば、本実施形態の平型電線用コネクタ101は、平型電線2と基板3を電気的に接続するために基板3上に実装されている。
【0019】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る平型電線用コネクタ101は、平型電線2が挿入される挿入口112を有するハウジング111と、該ハウジング111に、挿入口112の幅方向に所定の間隔を隔てて並列状に配置され、挿入口112に挿入された平型電線2の上下両面側に挟持状に接触する上下一対の接点部152a、153a、162a、163aを有する複数のターミナル151、161と、操作可能にハウジング111に配置され、その操作に応じてターミナル161の上側の接点部163aを変位させて間隔を広げる押しボタン121(操作部材)と、基板3に対する固定補助金具であるネイル171とを備えて構成されている。以下、平型電線用コネクタ101の各部について詳細に説明する。
【0020】
図3に示すように、ターミナル151、161には、接点部152a、153a、162a、163aの位置が平型電線2の挿入方向にずれた第1ターミナル151及び第2ターミナル161が含まれている。たとえば、本実施形態では、挿入口112に挿入された平型電線2に対して、挿入口112の入口近傍位置で第1ターミナル151の接点部152a、153aが接触し、挿入口112の中間位置、すなわちハウジング111の平型電線2の挿入方向奥側で第2ターミナル161の接点部162a、163aが接触するようになっている。
【0021】
図4に示すように、本実施形態の第1ターミナル151及び第2ターミナル161は、いずれも金属板の打ち抜き加工、切断加工などで形成されており、第1ターミナル151には、固定腕部152、可動腕部153、連結部154、回路接続部155及び回動軸受け部156が設けられ、第2ターミナル161には、固定腕部162、可動腕部163、連結部164、回路接続部165及び開き操作部166が設けられている。
【0022】
固定腕部152、162は、平型電線基板2の挿入方向に延びる帯状に形成され、下側接点部152a、162aを一体的に有しており、挿入口112の下側に前後方向に沿って配置され、ハウジング111に固定される。本実施の形態では、第1ターミナル151は回路接続部155の前方でハウジング111の底面後端部に固定され、さらに連結部154の上下端部がハウジング111の上面および底面で固定されることにより、固定腕部152がハウジング111に対し固定されている。第2ターミナル161は回路接続部161の後方でハウジング111の底面先端で、固定腕部162の後端がハウジング111の底面に形成された凹部に固定されることにより固定腕部162がハウジング111に対し固定されている。また、可動腕部153、163は、やはり平型電線基板2の挿入方向に延びる帯状に形成され、上側接点部153a、163aを一体的に有しており、挿入口112の上側に前後方向に沿って配置され、平型電線2の挿入にあわせ変位可能となっている。
【0023】
連結部154、164は、固定腕部152、162と可動腕部153、163の後端部同士を連結している。すなわち、連結部154、164は、下側接点部152a、162aと上側接点部153a、163aの間隔である接点部間隔Pが所定の間隔となるように固定腕部152、162と可動腕部153、163を並列状に支持している。初期の接点部間隔Pは、平型電線2の厚さよりも小さく設定されており、上下の接点部間に平型電線2が挿入されたとき、ターミナル151、161の弾性変形によって接点部間隔Pが広がり、その弾性復元力で上下の接点部152a、162a、153a、163aが平型電線2の上下両面側に所定の接点圧をもって挟持状に接触するようになっている。
【0024】
図4に示すように、第1ターミナル151は、前述した接点部位置の違いにより、接点部152a、153aから連結部154までの距離L1である実質的な可動腕部長さが第2ターミナル161(距離L2)よりも長くなっている。そのため第1ターミナル151では、第2ターミナル161と同等の接点圧を得るために、第2ターミナル161よりも剛性が高くしてある。たとえば、本実施形態の第1ターミナル151では、腕部152、153の上下幅や連結部154の前後幅を第2ターミナル161よりも幅広にして剛性を高めている。
【0025】
回路接続部155、165は、基板3の回路パターンに対して半田付けなどで電気的に接続される部分であり、第1ターミナル151の回路接続部155は、固定腕部152の後端側に延設されており、第2ターミナル161の回路接続部165は、固定腕部162の前端側に延設されている。
【0026】
開き操作部166は、第1ターミナル151に比べて剛性が低い第2ターミナル161のみに設けられている。本実施形態の開き操作部166は、可動腕部163と連結部164の連結部分から後方に片持ち状に延設されている。そして、
図4の(c)に示すように、開き操作部166を下方へ押圧操作すると、連結部164を支点としたシーソー状の弾性変形によって可動腕部163が上方へ変位し、接点部間隔Pが広がるようになっている。
【0027】
開き操作部166の下方への押圧操作は、押しボタン121の操作に応じて行なわれる。押しボタン121による開き操作部166の押圧位置166aは、押しボタン121の操作力を考慮した場合、連結部164から可及的に離間していることが好ましい。たとえば、本実施形態では、押圧位置166aから連結部164までの距離L3を、連結部164から上側接点部163aまでの距離L2よりも長くしている。このようにすると、梃子の原理を利用して第2ターミナル161の接点部間隔Pが広げられるので、押しボタン121の操作力を軽減することが可能になる。
【0028】
回動軸受け部156は、第1ターミナル151のみに設けられており、第1ターミナル151を押しボタン121の回動軸受け部材として機能させるようになっている。たとえば、本実施形態の回動軸受け部156は、連結部154の後端と、その後方の突起156aとの間に形成されたU字状の溝からなり、この溝で押しボタン121の回動軸部123を回動可能に支持するようになっている。
【0029】
図5に示すように、ハウジング111は、上面部111a、下面部111b及び側部111cがほぼ矩形の樹脂成形部品であり、挿入口112、ターミナル圧入部113、114、ネイル圧入孔115、バネ挿通孔116及び押しボタン取り付け部117を一体的に備えている。
【0030】
挿入口112は、ハウジング111の正面に左右方向に沿って形成され、その左右幅は、平型電線2の左右方向の挿入位置を規定できるように、平型電線2の左右幅に合わせて決められている。
【0031】
ターミナル圧入部113、114は、挿入口112内の上下両側に、前後方向に沿う複数の溝として並列状に形成されている。ターミナル圧入部113、114としては、第1ターミナル151が圧入される第1ターミナル圧入部113と、第2ターミナル161が圧入される第2ターミナル圧入部114とがあり、第1ターミナル圧入部113と第2ターミナル圧入部114が交互になるように形成されている。
【0032】
第1ターミナル圧入部113は、第1ターミナル151をハウジング111の後側から前方に向けて圧入するように形成されている。そして、第1ターミナル圧入部113に圧入された第1ターミナル151の接点部152a、153aは、挿入口112内の入口近傍に位置し、回路接続部155は、ハウジング111の下面後端部に位置するようになっている。
【0033】
第2ターミナル圧入部114は、第2ターミナル161をハウジング111の前側から後方に向けて圧入するように形成されている。そして、第2ターミナル圧入部114に圧入された第2ターミナル161の接点部162a、163aは、挿入口112内で第1ターミナル151の接点部152a、153aよりも後方に位置し、回路接続部165は、ハウジング111の下面前端部に位置し、開き操作部166は、ハウジング111の後部に位置するようになっている。
【0034】
これにより、ハウジング111の挿入口112内で左右方向に並ぶ第1ターミナル151及び第2ターミナル161の接点部152a、153a、162a、163aは、前後方向に交互にずれた千鳥配置となり、平型電線2を挿入する際の挿入操作力が分散される。また、ハウジング111の下面部で左右方向に並ぶ第1ターミナル151及び第2ターミナル161の回路接続部155、165も、前後方向に交互にずれた千鳥配置となり、回路接続部155、165同士の間隔が広げられる。
【0035】
ネイル圧入孔115は、ハウジング111の左右両端部に形成されており、ハウジング111の前側から後方に向けてネイル171の本体172が圧入される。バネ挿通孔116は、ネイル圧入孔115の内側に並列状に形成されており、ネイル171を圧入する際、ネイル171のバネ部175が挿通される。
【0036】
押ボタン取り付け部117は、ハウジング111の上面と背面からなるコーナー部分を切欠き状に開口するように形成されており、この開口を塞ぐように押しボタン121が取り付けられる。また、押ボタン取り付け部117の左右両端部には、押しボタン121の係合突起125を受ける突起受け部118が形成されている。
【0037】
図2及び
図6に示すように、ハウジング111の押ボタン取り付け部117に取り付けられる押しボタン121は、左右に長い平板形状の樹脂成形部品であり、受け溝122、回動軸部123、係合孔124、係合突起125、壁部126及び突起127を一体的に備えている。
【0038】
受け溝122は、第2ターミナル161の開き操作部166が入り込むように押しボタン121の下面部に形成された複数の溝であり、左右方向に所定の間隔を隔てて並列状に形成されている。押しボタン121を下方へ押し下げ操作すると、受け溝122内の後端部分(押圧部122a)が開き操作部166の押圧位置166aを下方へ押圧するようになっている。
【0039】
回動軸部123は、押しボタン121の下面前端部から下方に突出するように形成された先端円弧形状の凸部であり、第1ターミナル151の回動軸受け部156に係合することにより押しボタン121の回動軸として機能するようになっている。
【0040】
係合孔124は、押しボタン121の左右両端部に前後を向いて形成された孔であり、ネイル171のバネ部175と係合される。具体的には、係合孔124内の押圧部124aがバネ部175の先端上面に当接し、バネ部175から上方への付勢力を受ける。この付勢力により、押し下げ操作された押しボタン121が所定の初期位置(非操作位置)に復帰することが可能になる。
【0041】
係合突起125は、押しボタン121の左右両側面に突設されており、ハウジング111の突起受け部118に上方から係合される。押しボタン121をハウジング111に取り付けた後、ハウジング111にネイル171を圧入すると、ネイル171の突出部176が突起受け部118の上方開口を塞ぎ、係合突起125が抜け止めされる。これにより、押しボタン121の左右両端部が外れ止めされるようになっている。
【0042】
壁部126は、押しボタン121の後面を形成する壁であり、その下端部前面から受け溝122の下方に向けて突起127が突出形成されている。押しボタン121をハウジング111に取り付けた後、ハウジング111に第2ターミナル161を圧入すると、第2ターミナル161の開き操作部166が受け溝122内に挿通される。このとき、開き操作部166の先端部(係合部166b)が突起127の上側に係合し、突起127の上方への変位を規制する。これにより、押しボタン121の左右中間部が外れ止めされるようになっている。
【0043】
図7に示すように、ハウジング111に圧入されるネイル171は、金属板の打ち抜き加工、切断加工、折り曲げ加工などで形成される金属部品であり、本体172、基板接続部173、連結部174、バネ部175及び突出部176を一体的に備えている。
【0044】
本体172は、ハウジング111のネイル圧入孔115に圧入固定される部分であり、その前端側に基板接続部173が形成されている。基板接続部173は、ハウジング111の下面から突出するように形成されており、基板3のダミーパターンなどに半田付けなどで接続することにより、ハウジング111を基板3に対して強固に固定することができるようになっている。
【0045】
連結部174は、本体172とバネ部175を連結している曲げ加工部分であり、連結部174から後方に延びるようにバネ部175が形成されている。バネ部175は、上下方向に弾性変形可能な板バネとして機能するように形成されており、その先端部が押しボタン121の係合孔124に係合し、押しボタン121を上方に付勢している。
【0046】
突出部176は、本体172の後端部から後方に突出形成されており、ハウジング111の突起受け部118に係合した押しボタン121の係合突起125に上方から係合することにより、押しボタン121の左右両端部を外れ止めするようになっている。
【0047】
つぎに、平型電線用コネクタ101の組み立て手順について、
図2などを参照して説明する。
図2に示すように、平型電線用コネクタ101は、ハウジング111に、押しボタン121、第1ターミナル151、第2ターミナル161及びネイル171を取り付けることにより構成される。
【0048】
まず、ハウジング111の第1ターミナル圧入部113に対し、その後側から第1ターミナル151を圧入する。つぎに、ハウジング111の押しボタン取り付け部117に押しボタン121を取り付ける。このとき、押しボタン121の回動軸部123は、第1ターミナル151の回動軸受け部156で回動可能に支持させ、また、押しボタン121の係合突起125は、ハウジング111の突起受け部118に係合させる。
【0049】
つぎに、ハウジング111の第2ターミナル圧入部114に対し、その前側から第2ターミナル161を圧入する。このとき、第2ターミナル161の開き操作部166は、押しボタン121の受け溝122内に入り込み、また、開き操作部166の先端部は、押しボタン121の突起127に上方から係合して押しボタン121の左右中間部を外れ止めする。
【0050】
つぎに、ハウジング111の前側からネイル圧入孔115に対し、その前側からネイル171の本体172を圧入する。このとき、ネイル171のバネ部175もハウジング111のバネ挿通孔116に挿通される。そして、ネイル171の突出部176は、押しボタン121の係合突起125に上方から係合して押しボタン121の左右両端部を外れ止めし、ネイル171のバネ部175は、押しボタン121の係合孔124に係合して押しボタン121を上方に付勢する。
【0051】
つぎに、平型電線用コネクタ101の動作について、
図6及び
図8を参照して説明する。
図6は、平型電線2を挿入する前であって、押しボタン121を押し操作していない状態の平型電線用コネクタ101を示している。この状態では、第1ターミナル151及び第2ターミナル161の接点部間隔が狭くなっている。
【0052】
図8は、平型電線2を挿入する前であって、押しボタン121を押し下げ操作した状態の平型電線用コネクタ101を示している。この状態では、押しボタン121の押圧部122aが第2ターミナル161の開き操作部166を下方に押すので、連結部164を支点としたシーソー状の弾性変形によって第2ターミナル161の上側接点部163aが上方に変位し、接点部間隔Pが広がる。
【0053】
平型電線2は、押しボタン121を押し下げ操作しながらハウジング111の挿入口112に挿入される。このとき、第2ターミナル161の接点部間隔Pが広がっているので、平型電線2の挿入操作力は軽減される。平型電線2の挿入が完了したら、押しボタン121の押し下げ操作を止め、バネ部175の付勢力で押しボタン121を初期位置に復帰させる。これにより、第2ターミナル161の接点部間隔Pが通常の状態に戻り、第2ターミナル161の接点部162a、163aが所定の接点圧をもって平型電線2の上下両面に挟持状に接触する。
【0054】
以上に述べた実施形態によれば、平型電線2が挿入される挿入口112を有するハウジング111と、ハウジング111に挿入口112の幅方向に所定の間隔を隔てて並列状に配置され、挿入口112に挿入された平型電線2に上下両側から挟持状に接触する上下一対の接点部152a、153a、162a、163aを有する複数のターミナル151、161と、ハウジング111に操作可能に配置され、その操作に応じてターミナル151、161の接点部を変位させてその間隔を広げる押しボタン121とを備える平型電線用コネクタ101であって、複数のターミナル151、161には、接点部152a、153a、162a、163aの位置が平型電線2の挿入方向にずれた第1ターミナル151及び第2ターミナル161が含まれ、第1ターミナル151及び第2ターミナル161は、上側の接点部153a、163aを支持し前記ハウジング111に対し変位可能な可動腕部153、163と、下側の接点部152a、162aを支持しこれらターミナル151、161を前記ハウジング111に固定する固定腕部152、162と、可動腕部153、163と固定腕部152、162の一端部同士を連結する連結部154、164とを備え、第1ターミナル151は、接点部152a、153aから連結部154までの距離である実質的な可動腕部長さが第2ターミナル161よりも長く、押しボタン121は、その操作に応じて、第1ターミナル151よりも実質的な可動腕部長さが短い第2ターミナル161の接点部のみを選択的に変位させてその間隔を広げるので、すべてのターミナル151、161の接点部を変位させてその間隔を広げる場合に比べ、押しボタン121の操作力を大幅に軽減することができ、その結果、多極のターミナル151、161を備える平型電線用コネクタ101であっても、適度な操作力で所定のターミナル151、161の接点部を変位させてその間隔を広げて平型電線2の挿入操作力を軽減することが可能となる。また、この構成によれば、平型電線2を挿入する際に生じる接点接触抵抗のうち、挿入方向奥側の接点部による接触抵抗を軽減もしくは消失させるので、接触抵抗によって平型電線2の先端が挿入口の終端まで達したと誤認してしまう可能性を低減することができる。
【0055】
また、第1ターミナル151は、必要な接点圧を得るために第2ターミナル161よりも剛性が高くしてあり、第2ターミナル161は、可動腕部163と連結部164の連結部分から、可動腕部163とは逆の方向に片持ち状に延設された開き操作部166を備え、該開き操作部166に対する下方すなわち固定腕部162の方向への押圧操作に応じて、可動腕部163が連結部164を支点として上方すなわち固定腕部162から離間する方向へ変位することにより接点部間隔を広げるように構成され、押しボタン121は、その操作に応じて、開き操作部166を下方すなわち固定腕部162の方向へ押圧する押圧部122aを備え、該押圧部122aによる開き操作部166の押圧位置166aから連結部164までの距離L3が、連結部164から上側接点部163aまでの距離L2よりも長くしてあるので、梃子の原理を利用して第2ターミナル161の接点部を変位させその間隔を広げることを可能にし、押しボタン121の操作力をさらに軽減できる。しかも、第1ターミナル151よりも剛性が低い第2ターミナル161の接点部のみを選択的に変位させるので、剛性の高い第1ターミナル151のみを選択的に変位させる場合と比べ、必要な接触圧を保ちながら押しボタン121の操作力を軽減することが可能となる。
【0056】
また、ハウジング111は、後方から第1ターミナル151が圧入される第1ターミナル圧入部113と、前方から第2ターミナルが圧入される第2ターミナル圧入部114とを備え、第1ターミナル151は、第2ターミナル161が第2ターミナル圧入部114に圧入される以前に第1ターミナル圧入部113に圧入され、かつ、押しボタン121を回動可能に支持する回動軸受け部156を備え、第2ターミナル161は、押しボタン121が第1ターミナル151で回動可能に支持された状態で第2ターミナル圧入部114に圧入され、かつ、押しボタン121に係合して押しボタン121を外れ止めする係合部166bを備えるので、第1ターミナル151を押しボタン121の回動軸受け部材に兼用するとともに、第2ターミナル161を押しボタン121の外れ止め部材に兼用することができ、その結果、部品点数の削減や構造の簡略化を促進し、平型電線用コネクタ101のコストダウンに貢献することができる。
【0057】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0058】
たとえば、前記実施形態の平型電線用コネクタでは、押しボタン121の操作に応じて、すべての第2ターミナル161の接点部間隔を広げるが、押しボタン121の操作に応じて接点部間隔を広げる第2ターミナルの数は、押しボタン121の操作力と平型電線2の挿入操作力とのバランスを考慮し、任意に変更することができる。
【0059】
また、前記実施形態の平型電線用コネクタは、接点部の位置が平型電線の挿入方向にずれた2種類のターミナルを備えるが、ターミナルの種類が3種類以上のものであってもよく、その場合には、そのうちの2種類を第1ターミナルと第2ターミナルとして本発明を適用することができる。
【0060】
また、前記実施形態では、操作部材として回動操作式の押しボタンを例示したが、操作部材の操作方式や形態はこれに限定されない。たとえば、スライド操作式の押しボタンや回動操作式のレバーであってもよい。そして、平型電線が上側接点だけに対応する場合など、固定腕部に接点を設けなくともよく、固定腕部をハウジングに固定させていることを利用してハウジングの挿入口下辺部を固定腕部より上方に設け、平型電線が、下側がハウジングに、上側がターミナルの接点部に挟持されるように構成してもよい。