(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
表示パネルと、前記表示パネルの前方に設置される第1の枠体と、前記第1の枠体の前方に設置される第2の枠体と、前記第2の枠体の前方に設置される透光性のカバー板とを有し、
前記第1の枠体に形成された第1の窓部と、前記第2の枠体に形成された第2の窓部とが、前記表示パネルの表示画面の前方に位置し、
前記表示画面と平行な面に沿って所定の幅寸法を有して延びる通気路が、前記第1の枠体に貫通して形成されており、前記通気路は、互いに連通する外側連通部と内側連通部を有し、前記外側連通部の少なくとも一部が前記第2の枠体と重ならない位置に設置され、前記内側連通部が、前記表示パネルと前記カバー板との間の空間に連通していることを特徴とする表示装置。
前記表示パネルに金属製のケース枠体が設けられ、このケース枠体に、表示画面を露出させる表示窓部が形成されており、前記第1の窓部の縁部が、前記表示窓部の縁部よりも表示画面の中心側に位置している請求項1記載の表示装置。
前記第2の枠体に、前記通気路の前記外側連通部を露出させる穴部または切欠き部が形成されて、前記通気路が前記第2の枠体の前方の空間に連通している請求項1ないし5のいずれかに記載の表示装置。
前記通気路は、前記外側連通部と前記内側連通部との間に中間連通部を有しており、前記外側連通部と前記中間連通部との間の第1の境界部と、前記内側連通部と前記中間連通部との間の第2の境界部のそれぞれに屈曲部が設けられている請求項9記載の表示装置。
前記カバー板の前方に外装パネルが設置され、前記外装パネルに形成されたパネル窓部の縁部が、前記第1の窓部の縁部よりも表示画面の中心側に位置している請求項1ないし14のいずれかに記載の表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された液晶表示装置は、表示パネルと保護パネルとの間に多孔質の発泡体を介在させている。しかし、多孔質の発泡体に形成された微細な孔によって、表示パネルと保護パネルとの間の通気性を確保するのは困難であり、前記空間に対する通気性を十分に確保するためには、前記発泡体の厚さ寸法を大きくすることが必要である。しかし、発泡体の厚さ寸法を大きくすると、表示パネルと保護パネルとの間の距離が離れ、液晶表示装置の全体の厚さ寸法が大きくなってしまう。
【0009】
特許文献2に記載された液晶表示装置は、弾性体で形成されたシール材に通気口を厚さ方向に貫通させて形成しているため、外部から塵埃が通気口に直接に浸入する可能性が高くなり、液晶ユニットと保護ガラスとの間の空間に対する防塵機能が低下しやすい。
【0010】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、表示パネルとカバー板との間の空間の防塵性と通気性を維持し、且つ全体を薄型に構成できる表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、表示パネルと、前記表示パネルの前方に設置される第1の枠体と、前記第1の枠体の前方に設置される第2の枠体と、前記第2の枠体の前方に設置される透光性のカバー板とを有し、
前記第1の枠体に形成された第1の窓部と、前記第2の枠体に形成された
第2の窓部とが、前記表示パネルの表示画面の前方に位置し、
前記表示画面と平行な面に沿って所定の幅寸法を有して延びる通気路が、前記第1の枠体
に貫通して形成されており、
前記通気路は、互いに連通する外側連通部と内側連通部を有し、前
記外側連通部の少なくとも一部が前記第2の枠体と重ならない位置に設置され、前
記内側連通部が、前記表示パネルと前記カバー板との間の空間に連通していることを特徴とするものである。
【0012】
本発明の表示装置は、表示パネルと第2の枠体との間に挟まれた第1の枠体に通気路が形成され、第1の枠体に形成された通気路が表示画面と平行な面に沿って延びている。そのため、第1の枠体を薄い構造にしても、表示パネルとカバー板との間の空間を、通気路を介して外部空間に連通させることが可能になる。また、薄い第1の枠体に通気路を形成することで、前記空間への塵埃の介入も防止しやすくなる。
【0013】
本発明は、前記表示パネルに金属製のケース枠体が設けられ、このケース枠体に、表示画面を露出させる表示窓部が形成されており、前記第1の窓部の縁部が、前記表示窓部の縁部よりも表示画面の中心側に位置しているものとして構成できる。
【0014】
上記構成では、第1の窓部の縁部によって表示パネルの表示画面の範囲が規定されるため、第1の枠体によって、表示画面の形状の規制と通気路による通気の双方の機能を発揮させることができる。
【0015】
本発明は、前記第1の枠体は、着色された合成樹脂シートであることが好ましい。
合成樹脂シートで形成された第1の枠体は薄く構成できるため、表示装置を薄型に構成しやすくなる。
【0016】
本発明は、前記第1の窓部の縁部が、前記第2の窓部の縁部よりも表示画面の中心側に位置しているものとして構成できる。
【0017】
この場合に、前記内側連通部が、前記第1の窓部の縁部から離れた位置に形成されていることが好ましい。
【0018】
上記構成では、表示パネルの表示画面の形状と大きさを規定している第1の窓部の縁部に内側連通部が現れることがなく、通気路が、表示画面を目視するときの視野の範囲に入ることがない。
【0019】
本発明は、前記第2の枠体に、前記通気路の前記外側連通部を露出させる穴部または切欠き部が形成されて、前記通気路が前記第2の枠体の前方の空間に連通している。
【0020】
上記構成では、表示パネルとカバー板との間の空間を、第2の枠体の前方の広い外部空間に連通させることができるため、前記空間内と外部空間との間に大きな気温の差が発生するのを防止しやすくなる。
【0021】
本発明は、前記内側連通部が、前記第2の窓部の縁部から突出する位置に形成されている。この場合に、前記第2の窓部の縁部に、前記内側連通部を露出させる凹部が形成されていることが好ましい。
【0022】
上記構成では、表示パネルと第2の枠体との間に形成されている内側連通部を、表示パネルとカバー板との間の空間に確実に連通させることが可能になる。
【0023】
本発明は、前記通気路は、前記外側連通部と前記内側連通部との間で屈曲部を有しているものが好ましい。
【0024】
上記屈曲部を設けることで、塵埃が外部連通部に入ったとしても、内側連通部から表示パネルとカバー板との間の空間に移行しにくくなる。
【0025】
本発明は、前記通気路は、前記外側連通部と前記内側連通部との間に中間連通部を有しており、前記外側連通部と前記中間連通部との間の第1の境界部と、前記内側連通部と前記中間連通部との間の第2の境界部のそれぞれに屈曲部が設けられているものであってもよい。
【0026】
この場合に、前記第1の境界部よりも前記第2の境界部が表示画面から離れる位置に配置されていることが好ましい。
【0027】
また、本発明は、
前記中間連通部の中間部に屈曲部が設けられているものであってもよい。
【0028】
本発明は、前記通気路は、1つの前記外側連通部と、複数の前記内側連通部を有している。この場合に、前記通気路は、前記外側連通部と前記内側連通部との境界部に屈曲部が設けられているものとなる。
【0029】
本発明は、前記カバー板の前方に外装パネルが設置され、前記外装パネルに形成されたパネル窓部の縁部が、前記第1の窓部の縁部よりも表示画面の中心側に位置しているものとして構成できる。
【0030】
上記構成では、パネル窓部を斜め前方から見たときに、前記第1の枠体が見えにくくなり、よって、通気路も外部から目視されにくくなる。
【0031】
本発明は、前記カバー板に、タッチセンサーが搭載されているものとしても構成できる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の表示装置は、表示パネルと第2の枠体との間に配置された第1の枠体に通気路が形成され、この通気路が表示画面と平行な面に沿って延びているため、第1の枠体を薄い材料で形成しても、表示パネルとカバー板との間の空間を外部空間に連通させることができる。その結果、前記空間の温度と外部空間との温度の差を小さくでき、表示パネルやカバー板に結露が生じるのを防止しやすくなる。また、樹脂シートなどで形成された薄い第1の枠体に通気路を形成することで前記空間へ塵埃が侵入しにくくなり、また表示装置を薄型に構成しやすくなる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1と
図2に示す車載用表示装置1は、外装パネル2を有している。外装パネル2は合成樹脂材料で形成されており、表面3が化粧面となっている。車載用表示装置1は、自動車の車室内において前方のインストルメントパネルまたはダッシュボード内に埋設され、外装パネル2の表面3が、インストルメントパネルまたはダッシュボードの表面とほぼ同一面となるように設置される。
【0035】
または、車載用表示装置1が、四角形の外装筐体の内部に収納されて、自動車の前方ガラスの手前側などに設置されてもよい。この場合、外装筐体の前面パネルが外装パネル2の代わりに使用される。
【0036】
図1と
図2に示すように、外装パネル2に、パネル窓部4が前後に貫通して形成されている。
【0037】
図2に示すように、外装パネル2の内方に支持筐体5が設けられている。支持筐体5は金属板を折り曲げて形成されている。支持筐体5に、複数の保持片6,7が前方に向けて折り曲げられており、支持筐体5の前部に設置された表示パネル10が、前記保持片6,7に保持されて位置決めされている。
【0038】
図2および
図4ないし
図7に示すように、表示パネル10は、金属板で折曲げ形成された表示ケース11を有しており、この表示ケース11に液晶表示部12が保持され、液晶表示部12の背部に液晶駆動回路や電源回路などを構成する各種電子部品が実装された回路基板が配置されている。なお、表示パネル10として、液晶表示部12以外の例えばエレクトロクロミック素子などの他の構造の表示部を備えたものを使用してもよい。
【0039】
表示ケース11の前面には、表示パネル10の周囲部分を覆うケース枠体13が一体に形成されており、ケース枠体13に表示窓部14が形成されている。液晶表示部12の表示画面12aは、前記表示窓部14の内部に現れている。
【0040】
表示パネル10の前部に第1の枠体20が設置されている。
図4ないし
図7の各断面図に示されているように、第1の枠体20は、表示ケース11のケース枠体13の前面に密着して配置されている。第1の枠体20は、合成樹脂シートを切断して形成されている。合成樹脂シートの厚さ寸法は、0.1mm以上で0.5mm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1mm以上で0.35mm以下である。この実施の形態では、厚さが0.25mmの合成樹脂シートが使用されている。
【0041】
第1の枠体20を構成する合成樹脂シートは表面および内部が均一に着色されている。着色された色相は、白色と金属色以外であり、黒色、灰色、緑色、青色などである。好ましくは、黒色や灰色などの白色以外の無彩色である。
【0042】
第1の枠体20に、第1の窓部21が形成されている。第1の窓部21は、長方形状である。
図4と
図5に示すように、第1の窓部21の上側縁部21aは、ケース枠体13に形成された表示窓部14の上側縁部14aよりも、表示画面12aの中心に近い位置にある。同様に、第1の窓部21の下側縁部21bも、表示窓部14の下側縁部14bよりも、表示画面12aの中心に近い位置にある。
図6と
図7に示すように、第1の窓部21の右側縁部21cは、表示窓部14の右側縁部14cよりも、表示画面12aの中心に近い位置にある。同様に、第1の窓部21の左側縁部14dも、表示窓部14の左側縁部14dよりも、表示画面12aの中心に近い位置にある。
【0043】
図4ないし
図7に示すように、第1の窓部21の縁部21a,21b,21c,21dのそれぞれは、表示窓部14の各縁部14a,14b,14c,14dよりも表示画面12aの中心に向けてせり出している。したがって、表示パネル10の表示画面12aの表示領域(表示範囲)は、第1の窓部21の縁部21a,21b,21c,21dによって実質的に規定されている。
【0044】
ケース枠体13はメッキされた金属板で形成されているが、表示窓部14が打ち抜き工程で形成されるため、その縁部14a,14b,14c,14dには金属板の金属色がそのまま現れる。ただし、第1の窓部のそれぞれの縁部21a,21b,21c,21dが、表示窓部14の各縁部14a,14b,14c,14dよりも表示画面12aの中心に向けてせり出しているため、表示画面12aが斜め前方から目視されたときであっても、表示窓部14の各縁部14a,14b,14c,14dが、着色された合成樹脂で形成された第1の枠体20で隠されることになり、各縁部14a,14b,14c,14dが目視されるのを防止できる。
【0045】
一方、第1の窓部21も打ち抜き工程で形成されているが、第1の枠体20は着色された合成樹脂シートで形成されているため、第1の窓部21のそれぞれの縁部21a,21b,21c,21dには合成樹脂シートの着色された色相がそのまま現れる。したがって、縁部21a,21b,21c,21dが目視されても、この縁部が表示画面12aの表示範囲を規制するマスクとして認識されることになり、縁部21a,21b,21c,21dの存在によって表示品質の価値が低下させられることがない。
【0046】
図2に示すように、第1の枠体20では、第1の窓部21の上側縁部21aよりも上方の3箇所に、上部通気路22が形成されている。
【0047】
図3に示すように、上部通気路22は、1箇所の外側連通部22aと、2箇所(複数箇所)の内側連通部22b,22bと、外側連通部22aとそれぞれの内側連通部22b,22bを繋ぐ2箇所の中間連通部22c,22cとを有している。外側連通部22aと中間連通部22c,22cはT字形状に直交しており、外側連通部22aとそれぞれの中間連通部22c,22cとの間の第1の境界部22dは、ほぼ直角に曲がる屈曲部となっている。それぞれの内側連通部22b,22bとそれぞれの中間連通部22c,22cはL字形状に直交しており、それぞれの内側連通部22b,22bとそれぞれの中間連通部22c,22cとの間の第2の境界部22e,22eがほぼ直角で曲がる屈曲部となっている。
【0048】
図2に示すように、第1の枠体20では、第1の窓部21の右側縁部21cよりも右側の2箇所に側部通気路23,23が形成され、左側縁部21dよりも左側の2箇所に側部通気路23,23が形成されている。
【0049】
図3に示すように、側部通気路23は、上下に直線的に長く延びる外側連通部23aと、外側連通部23aの端部から表示画面12aに向けて延びる内側連通部23bとを有している。外側連通部23aと内側連通部23bとの間の境界部23cが、ほぼ直角に曲がる屈曲部となっている。
【0050】
3箇所に形成された上部通気路22と合計4箇所に形成された側部通気路23は、いずれも打ち抜き工程によって、第1の枠体20の一部を厚さ方向へ貫通して形成されている。第1の枠体20は、着色された合成樹脂シートで形成されているため、上部通気路22の縁部と側部通気路23の縁部は、第1の枠体20の全体の色相と同じであり、これら縁部で光が余分に反射されることはない。
【0051】
図3に示すように、それぞれの上部通気路22に2箇所ずつ設けられた内側連通部22bの下端は、いずれも第1の窓部21の上側縁部21aよりも上方に離れて位置している。右側の側部通気路23に設けられた内側連通部23bの左端は、第1の窓部21の右側縁部21cよりも右方に離れて位置している。同様に、左側の側部通気路23に設けられた内側連通部23bの右端も、第1の窓部21の左側縁部21dよりも左方に離れて位置している。
【0052】
上部通気路22の内側連通部22bと、側部通気路23の内側連通部23bが、いずれも第1の窓部21の縁部21a,21c,21dに連続せず、縁部21a,21c,21dから離れた位置に形成されている。そのため、縁部21a,21c,21dが直線形状となり、前方から表示画面12aが目視されたときに、表示画面12aの表示領域が、第1の窓部21の直線的な縁部21a,21b,21c,21dで囲まれて、長方形状の表示範囲が明確に区分される。
【0053】
図2に示すように、第1の枠体20の前方に前方筐体30が設けられている。前方筐体30は表面がメッキ処理された金属板から、打ち抜かれて折り曲げられて形成されている。前方筐体30は、前方に向けられた第2の枠体31と、第2の枠体31の上縁から後方に向けて直角に折り曲げられた上部側片32aと、第2の枠体31の下縁から後方に向けて直角に折り曲げられた下部側片32b、および第2の枠体31の左右両側縁から後方に向けて直角に折り曲げられた左右両側片32c,32dとを有している。
【0054】
前記支持筐体5と前方筐体30とが固定ねじなどによって連結されて、金属製の筐体が構成されており、前記表示パネル10と前記第1の枠体20が、前記筐体の内部に収納される。
図4ないし
図7に示すように、前方筐体30の第2の枠体31は、第1の枠体20の前面に密着しており、第1の枠体20は、表示パネル10のケース枠体13と第2の枠体31との間に挟まれ、且つ双方の表面に密着している。
【0055】
前方筐体30に設けられた第2の枠体31に長方形状の第2の窓部33が打ち抜かれて形成されている。
図4と
図5に示すように、第2の窓部33の上側縁部33aは、第1の枠体20に形成された第1の窓部21の上側縁部21aよりも上方に離れた位置、すなわち表示画面12aから離れる位置に配置されている。同様に、第2の窓部33の下側縁部33bは、第1の窓部21の下側縁部21bよりも下側に離れた位置、すなわち表示画面12aから離れる位置に配置されている。
【0056】
図6と
図7に示すように、第2の窓部33の右側縁部33cは、第1の窓部21の右側縁部21cよりも右側に離れた位置、すなわち表示画面12aから離れる位置に配置されている。同様に、第2の窓部33の左側縁部33dは、第1の窓部21の左側縁部21dよりも左側に離れた位置、すなわち表示画面12aから離れる位置に配置されている。
【0057】
第2の枠体31に形成された第2の窓部33の縁部33a,33b,33c,33dが、第1の枠体20の第1の窓部21の縁部21a,21b,21c,21dよりも表示画面12aから離れる方向へ後退しているため、表示パネル10の表示画面12aの表示領域は、第1の窓部21の縁部21a,21b,21c,21dによって規定され、第2の窓部33の縁部33a,33b,33c,33dは、前方からほとんど見えない位置となる。
【0058】
図2に示すように、第2の枠体31には、第2の窓部33よりも上方に、2つの穴部34,34と1つの切欠き部35が形成されている。
図3に示すように、第1の枠体20の右側に形成された上部通気路22の外側連通部22aの上端部が、第2の枠体31の右側に形成された前記穴部34の内部に位置し、外側連通部22aの上端部が第2の枠体31と重ならない状態となっている。
【0059】
同様に、第1の枠体20の左側に形成された上部連通部22の外側連通部22aは、第2の枠体31の左側に開口する穴部34の内部に露出している。また、第1の枠体20の中央に形成された上部連通路22の外側連通部22aは、第2の枠体31の中央部に開口する切欠き部35の内部に露出している。
【0060】
その結果、
図4において(i)で示すように、全ての外側連通部22aの上端部は、前記穴部34の内部を経てまたは前記切欠き部35の内部を経て、第2の枠体31よりも前方の空間に連通している。
【0061】
図2に示すように、第2の窓部33の上側縁部33aの複数箇所に、上方に向けて窪む凹部36が形成されている。
図3に示すように、右側に形成された上部通気路22の2つの内側連通部22bのそれぞれは、前記凹部36の内部に位置し、内側連通部22bの下端部が、第2の枠体31と重ならない状態となっている。同様に、第1の枠体20の左側と中央に位置しているそれぞれの上部通気路22の内側連通部22bの下端部は、いずれも前記凹部36の内部に露出している。
【0062】
その結果、
図5において(ii)で示すように、全ての内側連通部22bの下端部が、前記凹部36を経て、表示パネル10の前方の空間に連通している。
【0063】
図2に示すように、第2の枠体31の右縁部と左縁部のそれぞれには、穴部37(または切欠き部)が2箇所ずつ形成されている。
図3に示すように、側部通気路23の外側連通部23aの一部が、前記穴部37と重なる位置に形成されている。すなわち、外側連通部23aの一部が第2の枠体31と重ならない位置に配置されている。これは、
図3に示す側部通気路23以外の他の側部通気路23においても同じである。
【0064】
その結果、
図6において(iii)で示すように、それぞれの側部通気路23の外側連通部23aが、穴部37を通過して、第2の枠体31よりも前方の空間に連通している。
【0065】
図2と
図3に示すように、第2の枠体31の第2の窓部33における右側縁部33cと左側縁部33dに、凹部38が2箇所ずつ形成されている。
図3に示すように、側部通気路23の内側連通部23bの先端部が前記凹部38と重なる位置に延びている。
図3に示す側部通気路23以外の他の側部通気路23の内側連通部23bも、同様に凹部38の内部に露出している。
【0066】
その結果、
図7において(iv)で示すように、全ての側部通気路23の内側連通部23bが、前記凹部38を経て、表示パネル10の前方の空間に連通している。
【0067】
図2に示すように、前部筐体30に設けられた第2の枠体31の前面に、カバー板40が設置されている。カバー板40は、ガラス板または透明の合成樹脂板で形成されている。カバー板40の表面に、タッチセンサー41が設置される。タッチセンサー41は、抵抗検知式または静電容量検知式である。
【0068】
抵抗検知式のタッチセンサー41は、カバー板40またはその表面に重ねられた透明基板にITO層などの第1の透明電極層が形成され、その前方に配置された可撓性の透明シートの内面に第2の透明電極層が形成されている。可撓性の透明シートが指などで押されると、透明電極どうしが接触し、その接触点が、それぞれの透明電極の抵抗比から算出される。
【0069】
静電容量式のタッチセンサー41は、カバー板40またはその表面に重ねられた透明基板にITO層などの複数の第1の透明電極層が形成され、その前方に配置された透明な前方基板に複数の第2の透明電極層が形成されている。前方基板の前面に指が触れると、第1の透明電極層と第2の透明電極層との間の静電容量に加えて、透明電極層と指との間の静電容量が加算される。この静電容量の変化から、指の接触点が算出される。
なお、カバー板40がタッチセンサー41を有しないものであってもよい。
【0070】
図4と
図5に示すように、第2の枠体31の前面の上部と下部に薄い弾性シート42が接着されて固定され、
図6と
図7に示すように、第2の枠体31の前面の左右両部に薄い弾性シート43が接着されている。カバー板40の背面40aは、それぞれの弾性シート42,43の前面に接着されている。
【0071】
図1と
図2に示すように、外装パネル2に形成されたパネル窓部4は長方形である。
図4と
図5に示すように、パネル窓部4の上側縁部4aは、第1の枠体20に形成された第1の窓部21の上側縁部21aよりも下側にせり出し、パネル窓部4の下側縁部4bも第1の窓部21の下側縁部21bよりも上側にせり出している。表示画面12aの上下の視野範囲Vaは、上側縁部4aと下側縁部4bとの間隔によって規定されている。
【0072】
図6と
図7に示すように、パネル窓部4の右側縁部4cは、第1の枠体20に形成された第1の窓部21の右側縁部21cよりも左側へせり出し、パネル窓部4の左側縁部4dも第1の窓部21の左側縁部21dよりも右側にせり出している。表示画面12aの左右の視野範囲Vbは、右側縁部4cと左側縁部4dとの間隔によって規定されている。
【0073】
前記車載用表示装置1は、合成樹脂シートで形成された第1の枠体20に、上部通気路22と側部通気路23とが形成され、上部通気路22と側部通気路23は、表示画面12aと平行な平面内で所定の幅寸法を有して延びている。したがって、第1の枠体20の厚さ寸法が0.5mm以下の薄いものであっても、上部通気路22と側部通気路23を通じて、表示パネル10とカバー板40との間の空間を外部空間に連通させることができる。
【0074】
上部通気路22の外側連通部22aは、第2の枠体31に形成された穴部34,34または切欠き部35と重なる位置に形成されているため、
図4に示すように、表示パネル10とカバー板40との間の空間を、上部通気路22および穴部34,34または切欠き部35を通じて、第2の枠体31よりも前方の広い空間部に連通させることができる。また、側部通気路23の外側連通部23aも、第2の枠体31に形成された穴部37と対向しているため、
図6に示すように、表示パネル10とカバー板40との間の空間を、側部通気路23と穴部37を通じて、第2の枠体31よりも前方の広い空間に連通させることができる。
【0075】
表示パネル10とカバー板40との間の空間が、第2の枠体31よりも前方の広い空間部に連通しているため、前記空間と外部気温との差を小さくすることができ、カバー板40の背面40aや表示画面12aの表面が結露する現象を抑制しやすくなる。
【0076】
上部通気路22と側部通気路23が、薄い合成樹脂シートの第1の枠体20に形成されているため、上部通気路22と側部通気路23を設けても、車載用表示装置1の前後方向の寸法が大きくなることがない。
【0077】
図3に示すように、上部通気路22と側部通気路23は、比較的幅寸法を広く設定できて、空気を通過させやすいが、上部通気路22と側部通気路23の厚さ寸法は0.5mm以下と狭くなっているため、外部塵埃は、上部通気路22と側部通気路23から、表示パネル10とカバー板40との間の空間内へ侵入しにくい。
【0078】
図3に示すように、上部通気路22は、外側連通部22aと左右両方向に延びる中間連通部22c,22cとの間の第1の境界部22dにおいて通路が屈曲しており、さらにそれぞれの中間連通部22cと内側連通部22bとの間の第2の境界部22eにおいても、通路が屈曲している。よって、外部空間から微細な塵埃が、外側連通部22aに入ることがあっても、それぞれの境界部22d,22eで侵入が阻まれて、表示パネル10とカバー板40との間の空間内へ侵出しにくい。
【0079】
図3に示すように、側部通気路23も、外側連通部23aと内側連通部23bとの境界部23cで通路が屈曲しているため、外部空間から表示パネル10とカバー板40との間の空間への塵埃の侵入を阻止しやすくなっている。
【0080】
図4と
図5に示すように、自動車の搭乗者が車載用表示装置1を見るときの表示画面の上下の視野範囲Vaは、パネル窓部4の上側縁部4aと下側縁部4bとの間隔で決められ、左右の視野範囲Vbは右側縁部4cと左側縁部4dとの間隔で決められる。
【0081】
パネル窓部4の4つの縁部4a,4b,4c,4dは、第1の枠体20の第1の窓部21の縁部21a,21b,21c,21dよりも内側に位置し、第2の枠体31に形成された第2の窓部33の縁部33a,33b,33c,33dが、第1の窓部21の縁部21a,21b,21c,21dよりも表示画面12aから離れて位置し、さらに、ケース枠体13に形成された表示窓部14の縁部14a,14b,14c,14dが、第1の窓部21の縁部21a,21b,21c,21dよりも表示画面12aから離れて位置している。そのため、パネル窓部4を前方斜めから目視したときに、着色している第1の枠体20の縁部21a,21b,21c,21dのみが見えるようになり、金属製のケース枠体13や第2の枠体31が目視されにくくなっている。
【0082】
さらに、
図3に示すように、上部通気路22の内側連通部22bは、第1の窓部21の上側縁部21aよりも上方に離れて位置し、側部通気路23の内側連通部23bが、左右両側の縁部21c,21dよりも側方に離れて位置している。そのため、パネル窓部4を通じて表示画面12aを目視したときに、内側連通部22bと内側連通部23bが目視される可能性が低くなる。
【0083】
上記車載用表示装置1は、表示画面12aの表示領域(表示範囲)を規定する薄い合成樹脂シートで形成された第1の枠体20に上部通気路22と側部通気路23を形成しているので、通気路を形成するための部品を新たに追加する必要がなく、よって、通気路を形成しても車載用表示装置1の前後方向の寸法を薄型に構成することができる。
【0084】
次に、
図8に示す上部通気路の形状の変形例を説明する。
図8(A)に示す上部通気路122は、外側連通部122aと2箇所の内側連通部122bおよび2つの中間連通部122cを有している。外側連通部122aと2つの中間連通部122cの間に第1の境界部122dが、それぞれの中間連通部122cと内側連通部122bとの間に第2の境界部122eが形成されている。この上部通気路122は、第2の境界部122eが第1の境界部122dよりも、第2の窓部33の上側縁部33aから離れる位置に配置されている。よって、中間連通部122c,122cは、上側縁部33aに対して斜めに延びている。
【0085】
上記構造では、外側連通部122aに塵埃が侵入しても、上方に位置する第2の境界部122eに進行しにくくなり、内側連通部122bに塵埃が移行しにくい。
【0086】
図8(B)に示す上部通気路222は、外側連通部222aと2箇所の内側連通部222bおよび2つの中間連通部222cを有している。それぞれの中間連通部222cはそれ自体が複数の屈曲部を有している。
【0087】
そのため、外側連通部222aに塵埃が侵入しても、内側連通部222bに塵埃が進行しにくくなる。