(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
狭小地に建てられた建物では、壁面の窓から屋外の光を屋内に取入れようとしても、太陽が高い位置に来ないと太陽光を屋内に取入れられない。また、高い位置から取入れたとしても、室内の明るさ感に重要な壁や天井部が、屋外の光が届かず暗いため、室内が暗く感じられる。すりガラスでは、自然光が拡散して室内に入射するものの、大部分は下向きになっている。
【0005】
上記の出射側面にプリズム加工部を設けたものでは、太陽光を室内の奥まで導くことが可能ではあるが、室内に虹のような光模様が映る場合があり、自然光として違和感が生じてしまう。また、プリズム加工面は、その凹凸のために汚れが生じ易い。プリズム加工部の代わりに、光を屈折させる
屈折フィルムを用いることを考えたが、プリズム加工部を設けた場合と同様に、室内に虹のような光模様により自然光として違和感が生じることがある。また、
屈折フィルムは、傷や汚れ、紫外線による変性等により、その屈折の効果が減ってしまう。
【0006】
この発明の目的は、屋外の光を違和感なく屋内の奥まで十分に取入れることができて、室内の明るさ感を向上させることができ、また長期使用の間にも汚れや変性による採光機能の低下が生じ難い採光面
材を用いた建物の開口部構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
こ
の採光面材は、建物の開口部に設けられて前記開口部を塞ぎ屋外の光を屋内に取入れる複層の採光面材であって、
屋外側に設けられる非拡散性の透光板と、屋内側に設けられ透過光を拡散させる拡散板と、これら透光板と拡散板との間に介在し入射光を屈折させて透過させる表面が平坦な屈折素材層とを備え、前記屈折素材層と前記拡散板との間に空気層が介在することを特徴とする。
前記建物の開口部は、外壁の他、間仕切り壁、バルコニー腰壁等の種々の壁、屋根面等に設けられる窓開口、出入り口等である。前記屈折素材層は、屈折フィルムおよび屈折素材のコーティング層等である。
【0008】
この構成によると、例えば、高い位置にある太陽からの光を、建物の外壁の窓等の開口部から屋内に取込むときに、前記採光面材の透光板を下向きに透過した入射光が、屈折素材層により上向きの光に屈折させられ、この上向きとなった光が採光面材の拡散板を透過することで拡散光となる。これにより、屋外からの光を屋内の奥まで取入れることができ、明るさ感を得る上で重要な壁や天井が明るくなって、室内の明るさ感が向上する。そのため、狭小地等で通常では採光の望めない環境においても、開口部からの光を室内奥まで届け、室内の明るさ感を向上させることができる。この効果は、市販の樹脂材料の屈折フィルムを用いて実施形態品を製造し、試験した結果、その効果が確認できた。なお、屈折素材層により光を屈折させる方向は上方向に限らず、左右方向としても良く、この採光面材が設けられる開口部の位置や方向によっては、左右方向に光を屈折させることで、光を屋内の奥まで取入れることができる場合もある。例えば、片開きドア等の場合に、屈折方向を左右方向とすることが好ましい場合がある。
また、前記空気層を介在させることで、開口部の断熱効果を向上させることができる。
【0009】
また、
屈折素材層を透過した光は拡散板で拡散されるので、出射面に
屈折素材層を設けた場合と異なり、
屈折素材層を透過することにより透過光に生じる虹のようなプリズム現象を拡散板で緩和することができ、屋内に違和感のない光を届けることができる。
屈折素材層は透光板と拡散板の間に介在するので、露出させる場合と異なり、傷や汚れが生じにくく、また紫外線による変性等によりその
屈折の効果が低下することが防止され、長期に渡って
屈折の性能が維持される。
【0010】
この採光面材において、前記屈折素材層
が屈折フィルムであって、この屈折フィルムを前記透光板の裏面に貼り付け、前記屈折フィルムと前記拡散板との間に空気層を介在させた複層ガラスなどの採光面材としても良い。屈折フィルムを用いると、コーティング等で屈折素材層を設ける場合よりも、採光面材の生産性に優れる。また、前記空気層を介在させることで、開口部の断熱効果を向上させることができる。
【0011】
こ
の採光面材において、前記屈折素材層が屈折フィルムであって、前記透光板と前記拡散板との間に前記屈折フィルムを挟み込んだ合わせガラス等の採光面材としても良い。この構成の場合、製造が容易である。
【0012】
この採光面材を設ける前記開口部が建物の壁面における開口部であって、前記屈折素材層または屈折フィルムは、屋外側から前記透光板を下向きに透過した入射光を上向きに屈折させる屈折性を有するものであっても良い。壁面に設けられる開口部の場合、一般的には、上向きに屈折させる屈折性を有するものとすることが、室内の明るさ感を向上させる上で好ましい。
【0013】
こ
の建物の開口部構造は
、建物の開口部に採光面材
を備えたものである。この開口部構造によると、こ
の採光面材につき前述したように、狭小地等で通常では採光の望めない環境においても、開口部からの光を室内奥まで違和感なく届け、室内の明るさ感を向上させることができる。また、長期使用の間にも採光面材の汚れや変性による採光機能の低下が生じ難い。
【0014】
前記建物の開口部内の一部に前記採光面材
が設
けられ、前記開口部内の残りの部分に非拡散性の透光板
が設
けられていても良い。
この構成の場合、開口部内の一部にこの発明の採光面材を設けたので、この部分では、入射光を例えば上向きに屈折して室内に入射させることができ、従来では目隠しを目的として不透明ガラスなどを採光面材として用いた場合と同等の機能を担うだけでなく、自然光を室内の奥まで取入れる機能も担うことができる。開口部の残りの部分に設けられる透光板からは、屋外からの光が直進して室内に入射される。これにより、室内空間を十分に明るくでき、より快適な室内環境をつくることができる。
【0015】
前記開口部内の一部に前記採光面材
が設
けられる場合に、前記開口部を上下に分け、前記開口部の下側部分に前記採光面材
が設
けられ、前記開口部の上側部分に非拡散性の透光板
が設
けられていても良い。
この構成の場合、開口部の下側部分に設けられた採光面材に入射して来る光が上向きに屈折して拡散光となり、室内の壁や天井を照らす。他方、開口部の上側部分に設けられた透光板に下向きに入射して来る光はそのまま直進して室内の床面を照らす。そのため、室内の壁や天井だけでなく床面も照らすことができ、より室内空間を明るくすることができて、明るさ感がより一層向上する
。
この発明の建物の開口部構造は、建物の開口部に採光面材が設けられた建物の開口部構造であって、
前記開口部を上下に分け、前記開口部の下側部分に前記採光面材が設けられ、前記開口部の上側部分に非拡散性の透光板が設けられ、
前記採光面材が、前記開口部を塞ぎ屋外の光を屋内に取入れる複層の採光面材であって、屋外側に設けられる非拡散性の透光板と、屋内側に設けられ透過光を拡散させる拡散板と、これら透光板と拡散板との間に介在し入射光を屈折させて透過させる屈折素材層とを備える。
【0016】
こ
の建物の開口部構造は、建物の複数の開口部
に上記いずれかの構成の採光面材が設けられ、前記開口部の位置によって前記採光面材の前記屈折素材層の屈折率が互いに異なっていても良い。
この構成の場合、開口部の位置に応じて、開口部からの入射光の屈折角度を異ならせるので、各開口部の位置の日照条件に応じて、各開口部からの入射光で室内の床面、壁、天井を屋内の奥部まで適切に照らすことができる。
【発明の効果】
【0017】
こ
の採光面材は、建物の開口部に設けられて前記開口部を塞ぎ屋外の光を屋内に取入れる複層の採光面材であって、屋外側に設けられる非拡散性の透光板と、屋内側に設けられ透過光を拡散させる拡散板と、これら透光板と拡散板との間に介在し入射光を屈折させて透過させる表面が平坦な屈折素材層とを備え、前記屈折素材層と前記拡散板との間に空気層が介在するため、屋外の光を違和感なく屋内の奥まで十分に取入れることができて、室内の明るさ感を向上させることができ、また長期使用の間にも汚れや変性による採光機能の低下が生じ難い耐久性に優れたものとなる。
この発明の建物の開口部構造は
、建物の開口部に採光面材が設けられた建物の開口部構造であって、前記開口部を上下に分け、前記開口部の下側部分に前記採光面材が設けられ、前記開口部の上側部分に非拡散性の透光板が設けられ、前記採光面材が、前記開口部を塞ぎ屋外の光を屋内に取入れる複層の採光面材であって、屋外側に設けられる非拡散性の透光板と、屋内側に設けられ透過光を拡散させる拡散板と、これら透光板と拡散板との間に介在し入射光を屈折させて透過させる屈折素材層とを備える。このため、屋外の光を違和感なく屋内の奥まで十分に取入れることができて、室内の明るさ感を向上させることがで
き、また長期使用の間にも汚れや変性による採光機能の低下が生じ難い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】この発明の一実施形態にかかる採光面材を用いた建物の開口部の一部を破断して示す断面図である。
【
図2】(A)は同採光面材を開口部に設けた部屋の一例の採光状態を示す縦断面図、(B)は(A)の部屋の開口部に従来の採光面材を設けた場合の採光状態を示す水平断面図、(C)は(A)の部屋の採光状態を示す水平断面図である。
【
図3】同採光面材を開口部に設けた部屋の他の例の採光状態を示す縦断面図である。
【
図4】同採光面材を開口部に設けた部屋のさらに他の例の採光状態を示す縦断面図である。
【
図5】同採光面材を開口部に設けた部屋のさらに他の例の採光状態を示す縦断面図である。
【
図6】同採光面材を複数の開口部に設けた例を示す水平断面図である。
【
図7】(A)はこの発明の他の実施形態にかかる採光面材を示す縦断面図、(B)は同採光面材の分解斜視図である。
【
図8】(A)はこの発明のさらに他の実施形態にかかる採光面材を示す縦断面図、(B)は同採光面材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の一実施形態を
図1ないし
図5と共に説明する。
図1はこの採光面材を用いた建物の開口部を示す断面図である。この採光面材1は、建物の開口部11に設けられて前記開口部11を塞ぎ屋外の光を屋内に取入れる面材である。この例では、前記採光面材1を窓戸枠7内に取付けて窓戸6が構成され、この窓戸6が前記開口部11の開口枠11a内に設けられる。同図の開口部11は、建物の外壁面に設けられる窓開口である。窓戸6は、開き戸であっても、スライド戸やその他の開閉形式の戸であっても良い。開口部11を設けた建物は、戸建住宅、集合住宅、事務所ビル等のいずれであっても良く、またどのような構法の建物であっても良い。
【0020】
前記採光面材1は、屋外側に設けられる非拡散性の透光板2と、屋内側に設けられ透過光を拡散させる拡散板3と、これら透光板2と拡散板3との間に介在し入射光を屈折させて透過させる
屈折素材層である
屈折フィルム4とを備え、複層ガラス等の複層構造の採光面材とされている。透光板2は、例えば単板の透明ガラスが用いられるが、透明ガラス以外の透明アクリル樹脂等の透明な合成樹脂等の板材を用いても良い。拡散板3としては、単板のすりガラスが用いられるが、この他に、単板の透明ガラスの片面に光拡散性を有する拡散フィルムを貼付けたものや、透過光拡散光性の合成樹脂板を用いても良い。
屈折フィルム4は、フィルムに限らず、
屈折素材を透光板2等にコーティングした層であっても良い。また、
屈折フィルム4には、具体的には、市販のアクリル系等の合成樹脂を主材料とする
屈折フィルムを用いることができる。
【0021】
ここでは、前記
屈折フィルム4は、屋外側に設けられる透光板2の屋内側を向く片面に貼付けられ、透光板2を下向きに透過した入射光を上向きに屈折させる屈折性を有する。また、この
屈折フィルム4と、屋内側に設けられる拡散板3との間には空気層5が設けられ、空気層付きのペアガラスを構成する。
屈折フィルム4および上記
屈折素材層の材質は、光の透過性に優れ、かつ屈折率の高い合成樹脂材料等が用いられる。
【0022】
上記構成の採光面材1を用いた窓戸6を備える開口部構造によると、
図1のように高い位置にある太陽Sからの光を前記開口部11から屋内に取込むとき、採光面材1の透光板2を下向きに透過した入射光L1は、
屈折フィルム4により上向きの光L2に屈折させられ、さらに上向きとなった光L2は採光面材1の拡散板3を透過するときに拡散光L3となる。
このように入射光L1が
屈折フィルム4で屈折することにより、屋外からの光を屋内の奥まで取入れることができて、明るさ感の上で重要となる壁や天井が明るくなることから、明るさ感を向上させることができる。また、
屈折フィルム4を透過した光は拡散板3で拡散されるので、
屈折フィルム4を透過することにより透過光に生じる虹状の光模様のプリズム現象を拡散板3で緩和することができ、屋内に違和感のない光を届けることができる。また、自然光が居住者の目に入ることで、サーカディアンリズムの調整作用が働き、健康にも寄与できる。
なお、窓戸6の採光面材が例えば透光板2だけからなる従来例の場合には、透光板2を下向きに透過した入射光L1はそのまま下向きの光L4として屋内に取込まれるので、屋内の奥まで光が届かず屋内を暗くしてしまう。このような問題が、採光面材1によって解消される。
また、
屈折フィルム4は透光板2と拡散板3の間に介在するので、屋外面や屋内面に露出させる場合と異なり、傷や汚れが生じにくく、また紫外線による変性等によりその
屈折の効果が低下することが防止され、長期に渡って
屈折の性能が維持される。
【0023】
図2は、前記採光面材1を開口部11に用いた建物10の開口部構造の一例の採光効果を、一般的なLDKプランの部屋の例で示している。
図2(A)はその建物10の縦断面図を示し、
図2(C)はその水平断面図を示す。なお、
図2(B)は同じ建物10における開口部11に上記した透光板2だけからなる従来の採光面材を用いた場合の水平断面図を示す。各図における破線のハッチングを付した部位は、屋外から入射した光が届かない範囲を示す。
【0024】
図1でも示したように、建物10の壁面に位置する開口部11を、前記採光面材1を用いた窓戸6で塞ぐ開口部構造では、
図2(A)のように、高い位置にある太陽Sから開口部11の採光面材1に下向きに入射してくる光L1が上向きに屈折させられ、しかも拡散光L3となって室内の奥まで届くので、壁や天井が明るくなり、
図2(C)のように部屋全体を十分に明るくして明るさ感を向上させることができる。同図の例では、開口部11に隣接してリビング・ダイニング部分LDが設けられ、奥側にキッチンKが設けられているが、キッチンKの部分まで明るくなり、快適に作業をすることができる。
これに対して、採光面材が例えば上記した透光板2だけからなる従来の窓で前記開口部11を塞ぐ場合には、開口部11に下向きに入射して来た光L1がそのまま直進するので、
図2(B)のように直進してきた光L4は室内の奥のキッチンKまで届かず、また部屋全体が暗くなってしまう。
【0025】
図2〜
図4に各例を示すように、開口部11の位置や形状により適する
屈折光の屈折角度が異なるため、適した屈折角
度の屈折フィルム4を用いる。
図3は、前記採光面材1を開口部11に用いた建物10の開口部構造の他の例の縦断面図を示している。この開口部構造では、開口部11の位置が
図2の場合よりも下位置となっている。そのため、採光面材が例えば上記した透光板2だけからなる従来の窓で前記開口部11を塞ぐ場合には、高い位置にある太陽Sから開口部11へ下向きに入射して来た光L1はそのまま直進し、採光面材を透過してきた光L4は室内の一部床面を照射するだけとなり、開口部11が高い位置にある
図2の場合に比べて、部屋全体はさらに暗くなってしまう。
【0026】
そこで、
図3の実施形態の開口部構造では、前記開口部11を前記採光面材1を用いた窓戸6で塞ぎ、しかも採光面材1を構成する
屈折フィルム4の屈折角度を、
図2の場合よりも大きくしている。つまり、
屈折フィルム4により入射光L1が上向きに屈折する角度を、
図2の例の場合よりも大きくしている。このため、開口部11へ下向きに入射してきた光L1が採光面材1で十分な角度だけ上向きに屈折させられ、しかも拡散光L3となって室内の奥まで届くので、壁や天井が明るくなり部屋全体を十分に明るくすることができる。
【0027】
図4は、前記採光面材1を開口部11に用いた建物10の開口部構造のさらに他の例の縦断面図を示している。この開口部構造は、建物10の壁面に開口する開口部11を上下に分けた窓戸6,16で閉じる構成であって、窓戸6,16は、例えば、上げ下げ戸とされる。この例では、開口部11の下側部分に前記採光面材1を用いた窓戸6を設け、開口部11の上側部分には前記非拡散性の透光板2を用いた従来の窓戸16を設けている。
この開口部構造では、開口部11の下側部分に設けられた窓戸6に下向きに入射して来る光L1が上向きに屈折して拡散光L3となり、室内の壁や天井を照らす。他方、開口部11の上側部分に設けられた窓戸16に下向きに入射して来る光L1はそのまま直進して室内の床面を照らす。そのため、室内の壁や天井だけでなく床面も照らすことができ、より室内空間が明るくなって明るさ感を向上させることができる。
【0028】
図5は、前記採光面材1を開口部11に用いた建物10の開口部構造のさらに他の例の縦断面図を示している。この開口部構造でも、建物10の壁面に開口する開口部11の一部に前記採光面材1を用いた窓戸6を設け、開口部11の残りの部分には前記非拡散性の透光板2を用いた従来の窓戸16を設けている。特に、この例では、開口部11を上部分、中間部分、および下部分の3つに区画して、中間部分に前記採光面材1を用いた窓戸6を設け、上部分および下部分に前記非拡散性の透光板2を用いた従来の窓戸16をそれぞれ設けている。
この開口部構造では、開口部11の高さ方向の中間部分に前記採光面材1を用いた窓戸6を用いているので、開口部11の中間部分では屋外からの入射光L1が上向きに屈折して室内に入射することになり、従来目隠しを目的として不透明ガラスなどを採光面材として用いた窓と同等の機能を担うだけでなく、自然光を室内の奥まで取入れる機能も担うことになる。開口部11の上部分や下部分に設けられる窓戸16からは屋外からの光L1が直進して室内に入射される。これにより、室内空間を十分に明るくでき、快適な室内環境をつくることができる。
【0029】
図6は、さらに他の開口部構造の例を示す。同図の例では、建物の開口部11が複数あり、それらの各開口部11を、前記採光面材1を用いた窓戸6でそれぞれ塞いでいるが、それらの開口部11の位置によって、各採光面材1における
屈折フィルム4の屈折率を互いに異ならせている。
この構成の場合、開口部11の位置に応じて、開口部11からの入射光の屈折角度を異ならせるので、各開口部11の日照等の採光条件等に応じて、いずれの開口部11からも室内の奥部まで入射光を届かせることができる。また、室内の床面、壁、天井に過不足無く均等に照らすことも可能となる。
【0030】
図7(A),(B)は、それぞれこの発明の採光面材の他の実施形態を示す。この採光面材1Aは、屋外側に設けられる非拡散性の透光板2と、屋内側に設けられる拡散板3とで、
屈折フィルム4を隙間なく挟み付けた合わせガラスとしたものである。なお、
屈折フィルム4は3枚のフィルム層4aを積層して構成される。
この採光面材1Aでは、
屈折フィルム4が透光板2と拡散板3とで隙間なく挟み付けられるので、
屈折フィルム4は、屋外面や屋内面だけでなく、採光面材内部の空気層とも触れず、より一層良好に、汚れ防止や変性防止の作用が得られる。その他の効果は
図1の実施形態の場合と同様である。
【0031】
図8(A),(B)は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この採光面材1Bは、
図7の採光面材1Aにおいて、
屈折フィルム4を1層構造のものとしている。その他の構成および作用効果は
図7の実施形態の場合と同様である。なお、同図の合わせガラス形式の採光面材1と他の透光板(図示せず)とを、空気層を介して組み合わせ、ペアガラスとしても良い。
図7,
図8の例の採光面材1Aにおいても、透光板2および拡散板3は、合成樹脂製であっても良い。
【0032】
なお、上記実施形態では自然光を取り込む用途に使用する場合につき説明したが、参考提案例として示すと、上記各実施形態の採光面材1,1Aおよび開口部構造は、照明光を取り込む箇所にも使用できる。また、前記採光面材1,1Aおよび開口部構造屋外から室内に光を取り込む箇所に限らず、屋内の間仕切り壁における開口部に適用することもできる。