(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2壁部の内側面は、前記光軸方向から見たときに、前記可動体の外周面よりも前記可動体の内側に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載のレンズ駆動装置。
前記ベース部材の、前記第2壁部に囲まれた領域は、前記被写体側面よりも前記反被写体側へ窪んでいることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
前記切欠き部の一部には、前記被写体側面からの高さが前記壁部よりも低い第3壁部が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のレンズ駆動装置。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等に搭載されるカメラの撮影用レンズを駆動するレンズ駆動装置として、レンズを保持してレンズの光軸方向へ移動する可動体と、可動体が内部に収容される固定体と、可動体を光軸方向へ移動させるための駆動機構とを備えるレンズ駆動装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、可動体は、レンズを保持するレンズバレルと、レンズバレルが固定されるレンズホルダとを備えている。固定体は、レンズ駆動装置の被写体側部分を構成するカバーと、レンズ駆動装置の反被写体側部分を構成するベースと、カバーとベースとの間に配置され駆動機構の外周側を覆うヨークとを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のレンズ駆動装置の反被写体側の端面には、撮像素子を有する撮像ユニットが取り付けられる。カバーおよびベースには、被写体側からの光を撮像素子に向かって通過させるための開口が形成されている。特許文献1に記載のレンズ駆動装置が搭載されるカメラでは、ベースの開口から撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むと、撮影された画像の中にこの異物が影となって写るおそれがある。そこで、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、ベースの被写体側の面に、開口の周囲を全周に亘って取り囲むように突起が形成されている。
【0004】
また、従来、携帯電話等に搭載されるカメラの撮影用レンズを駆動するレンズ駆動装置として、レンズを保持して光軸方向へ移動する可動体と、可動体を光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、可動体を光軸方向へ移動させるための駆動機構とを備えるレンズ駆動装置が知られている(たとえば、特許文献2参照)。特許文献2に記載のレンズ駆動装置は、被写体側で可動体と固定体とを繋ぐ板バネと、反被写体側で可動体と固定体とを繋ぐ板バネとを備えている。駆動機構は、可動体に固定される駆動用コイルと、固定体に固定される駆動用磁石とを備えている。
【0005】
特許文献2に記載のレンズ駆動装置では、可動体は、レンズが固定されたレンズホルダを保持するスリーブと、駆動用コイルの端部が巻回される絡げピンとを備えている。絡げピンは、スリーブの反被写体側の端面から突出するようにスリーブに固定されている。この絡げピンは、反被写体側に配置される板バネに半田付けされて接続されている。反被写体側に配置される板バネには、給電端子が半田付けされて接続されており、給電端子および板バネ等を介して、駆動用コイルに電流が供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のように、特許文献1に記載のレンズ駆動装置では、ベースの被写体側の面に、開口の周囲を全周に亘って取り囲むように突起が形成されているため、ベースの開口から撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むのを防止することが可能になる。しかしながら、特許文献2に記載のレンズ駆動装置のように、スリーブの反被写体側の端面から突出する絡げピンが板バネに半田付けされているレンズ駆動装置において、開口の周囲を全周に亘って取り囲むように突起が形成されていると、絡げピンと板バネとの接続部分と突起とが干渉して、光軸方向への可動体の移動に支障を来す場合がある。なお、絡げピンと板バネとを半田付けする際の半田の量を管理すれば、絡げピンと板バネとの接続部分と突起との干渉を防止することが可能になるが、小型のレンズ駆動装置では、使用される半田の量がわずかであるため、半田の量を管理することは困難である。
【0008】
そこで、本発明の課題は、可動体の反被写体側へ突出する絡げピンが板バネに半田付けされていても、ベース部材の開口から撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むのを防止することが可能になるとともに、光軸方向へ可動体を適切に駆動することが可能なレンズ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のレンズ駆動装置は、被写体側からの光を反被写体側に配置される撮像素子に向かって通過させるための開口が反被写体側に形成されるレンズ駆動装置であって、レンズを保持しレンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、可動体を光軸方向へ移動可能に保持する固定体と、可動体を光軸方向へ駆動するための駆動機構と、可動体の反被写体側と固定体とを繋ぐ板バネとを備え、駆動機構は、可動体に取り付けられる駆動用コイルと、固定体に取り付けられ駆動用コイルに対向配置される駆動用磁石とを備え、可動体は、反被写体側へ突出するとともに駆動用コイルの端部が巻回される絡げピンを備え、固定体は、開口が形成されるベース部材を備え、絡げピンは、板バネに半田付けされて接続され、ベース部材には、開口を囲
む壁部が形成され、壁部は、ベース部材の被写体側の面である被写体側面から被写体側に向かって立ち上
っており、壁部の、絡げピンと板バネとの接続部分の近傍には、反被写体側に向かって切り欠かれた切欠き部が形成され、ベース部材の被写体側面の、壁部よりも外周側には、切欠き部を囲む
とともに被写体側へ立ち上
る第2壁部が形成され、第2壁部は、光軸方向から見たときに接続部分を避けた位置に形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のレンズ駆動装置では、ベース部材に、開口を囲むように壁部が形成されている。また、本発明では、壁部の、絡げピンと板バネとの接続部分の近傍に切欠き部が形成されているが、壁部よりも外周側には、切欠き部を囲むように第2壁部が形成されている。そのため、本発明では、開口を囲む壁部と、壁部に形成される切欠き部を囲む第2壁部とによって、ベース部材の開口から撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むのを防止することが可能になる。また、本発明では、ベース部材の開口を囲むように形成される壁部の、絡げピンと板バネとの接続部分の近傍に切欠き部が形成され、かつ、第2壁部は、光軸方向から見たときに接続部分を避けた位置に形成されている。そのため、本発明では、可動体の反被写体側へ突出する絡げピンが板バネに半田付けされていても、絡げピンと板バネとの接続部分が壁部および第2壁部と干渉するのを防止することが可能になる。したがって、本発明では、可動体の反被写体側へ突出する絡げピンが板バネに半田付けされていても、光軸方向へ可動体を適切に駆動することが可能になる。
【0011】
本発明において、被写体側面からの第2壁部の高さは、被写体側面からの壁部の高さよりも低くなっていることが好ましい。このように構成すると、絡げピンと板バネとの接続部分と第2壁部との干渉をより確実に防止することが可能になる。
【0012】
本発明において、第2壁部の内側面は、光軸方向から見たときに、可動体の外周面よりも可動体の内側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、可動体の外周側を通過した塵埃等の異物が第2壁部の内側へ直接、入り込むのを防止することが可能になる。したがって、ベース部材の開口から撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むのを効果的に防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、ベース部材の、第2壁部に囲まれた領域は、被写体側面よりも反被写体側へ窪んでいることが好ましい。また、本発明において、切欠き部の一部には、被写体側面からの高さが壁部よりも低い第3壁部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、第2壁部に囲まれた領域に塵埃等の異物を溜めることが可能になる。したがって、仮に、第2壁部の内側へ異物が入り込んだとしても、ベース部材の開口から撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むのを防止することが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、可動体は、2本の絡げピンを備え、切欠き部は、光軸方向から見たときにレンズの光軸を挟むように2箇所に形成されている。
【0015】
本発明において、レンズ駆動装置は、駆動用コイルへ電流を供給するための給電端子を備え、給電端子は、板バネに半田付けされて固定される半田付け部と、駆動用コイルに電流を供給するための外部機器に接続される端子部とを備え、ベース部材の外周側部分には、被写体側に向かって立ち上る外周壁が形成され、半田付け部は、外周壁の近傍に配置されるとともに、外周壁の、半田付け部の近傍には、反被写体側に向かって切り欠かれた第2切欠き部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、第2切欠き部を利用して、半田付け部と板バネとが半田付けされる部分に半田ごてを容易に近づけることが可能になる。したがって、板バネと給電端子との半田付けをより容易に行うことが可能になる。
【0016】
本発明のレンズ駆動装置は、たとえば、レンズ駆動装置の組立完了後に、ベース部材の、第2壁部に囲まれた領域に溜まった異物を切欠き部から開口へ洗い流す洗浄工程を備える製造方法で製造される。この製造方法で製造されたレンズ駆動装置では、レンズ駆動装置の組立時に、仮に第2壁部の内側へ塵埃等の異物が入り込んだとしても、洗浄工程でこの異物を洗い流すことができる。したがって、この製造方法で製造されたレンズ駆動装置では、レンズ駆動装置の組立時に、仮に第2壁部の内側へ塵埃等の異物が入り込んだとしても、洗浄工程でこの異物を洗い流して、ベース部材の開口から撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むといった不具合を防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明のレンズ駆動装置では、可動体の反被写体側へ突出する絡げピンが板バネに半田付けされていても、ベース部材の開口から撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むのを防止することが可能になるとともに、光軸方向へ可動体を適切に駆動することが可能になる。また、本発明のレンズ駆動装置の製造方法で製造されたレンズ駆動装置では、レンズ駆動装置の組立時に、仮に第2壁部の内側へ塵埃等の異物が入り込んだとしても、洗浄工程でこの異物を洗い流すため、ベース部材の開口から撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むといった不具合を防止することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0020】
(レンズ駆動装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるレンズ駆動装置1の斜視図である。
図2は、
図1のE−E断面の断面図である。
図3は、
図1に示すレンズ駆動装置1の分解斜視図である。
図4は、
図3に示すベース部材11、板バネ6、絡げピン9および給電端子13の組立状態の斜視図である。なお、以下の説明では、
図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とする。また、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、X1方向側を「右」側、X2方向側を「左」側、Y1方向側を「前」側、Y2方向側を「後(後ろ)」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0021】
本形態のレンズ駆動装置1は、携帯電話、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等で使用される比較的小型のカメラに搭載されるものであり、
図1に示すように、全体として略四角柱状に形成されている。具体的には、レンズ駆動装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。また、レンズ駆動装置1の4つの側面は、左右方向または前後方向と略平行になっている。
【0022】
本形態では、Z方向(上下方向)が光軸方向とほぼ一致している。また、本形態のレンズ駆動装置1が搭載されるカメラでは、下側に図示を省略する撮像素子が配置されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0023】
レンズ駆動装置1は、
図1、
図2に示すように、撮影用のレンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体2と、可動体2を光軸方向へ移動可能に保持する固定体3と、可動体2を光軸方向へ駆動するための駆動機構4とを備えている。また、レンズ駆動装置1は、
図2、
図3に示すように、可動体2と固定体3とを繋ぐ板バネ5、6を備えている。すなわち、可動体2は、板バネ5、6を介して固定体3に移動可能に保持されている。本形態では、板バネ5が可動体2の上端側に配置され、板バネ6が可動体2の下端側に配置されている。
【0024】
可動体2は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ7を保持するスリーブ8と、駆動機構6を構成する後述の駆動用コイル20の端部を絡げるための2本の絡げピン9(
図4参照)とを備えている。固定体3は、レンズ駆動装置1の側面の上端側部分を構成するカバー部材10と、レンズ駆動装置1の側面の下端側部分およびレンズ駆動装置1の下端面を構成するベース部材11と、板バネ5の一部が固定されるスペーサ12とを備えている。ベース部材11には、駆動機構4を構成する後述の駆動用コイル20に電流を供給するための一対の給電端子13が固定されている。
【0025】
レンズホルダ7は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ7の内周側には、複数のレンズが固定されている。スリーブ8は、たとえば、樹脂材料で形成されるとともに、略筒状に形成されている。具体的には、スリーブ8は、上下方向から見たときの内周面の形状が略円形状となり、上下方向から見たときの外周面の形状が略四角形状となる略筒状に形成されている。このスリーブ8は、その内周側でレンズホルダ7を保持している。
【0026】
絡げピン9は、導電性を有する金属材料で形成されている。この絡げピン9は、スリーブ8の下端側に形成された固定孔に固定されている。2本の絡げピン9は、スリーブ8の右後端の角部と、左前端の角部とに固定されている。絡げピン9の下端側は、スリーブ8の下端よりも下側へ突出している。スリーブ8の下端から突出した絡げピン9の下端側には、駆動機構4を構成する後述の駆動用コイル20の端部が巻回されている。
【0027】
カバー部材10は、磁性を有する金属材料で形成されている。また、カバー部材10は、底部10aと筒部10bとを有する底付きの略四角筒状に形成されている。上側に配置される底部10aの中心には、被写体側(上側)からの光を撮像素子に向かって通過させるための開口10cが形成されている。開口10cは、底部10aを貫通するように形成されている。カバー部材10は、可動体2および駆動機構4の外周側を覆っている。
【0028】
ベース部材11は、絶縁性を有する樹脂材料で形成されている。また、ベース部材11は、光軸方向から見たときの形状が略正方形となるブロック状に形成されている。このベース部材11は、カバー部材10の下端側に取り付けられている。ベース部材11の詳細な構成については後述する。
【0029】
スペーサ12は、たとえば、樹脂材料で形成されるとともに、略正方形の扁平なブロック状に形成されている。また、スペーサ12は、枠状に形成されており、その中心には、貫通孔が形成されている。このスペーサ12は、カバー部材10の底部10aの下面に固定されている。
【0030】
板バネ5は、スリーブ8の上端側に固定される円環状の可動体固定部と、スペーサ12に固定される4個の固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ4本の腕部とを備えている。この板バネ5は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ8およびスペーサ12に固定されており、可動体2の上端側と固定体3とを繋いでいる。
【0031】
板バネ6は、互いに電気的に分離された2個のバネ片15によって構成されている。この板バネ6は、可動体2の下端側と固定体3とを繋いでいる。板バネ6の詳細な構成については、後述する。
【0032】
給電端子13は、導電性を有する金属材料によって平板状に形成されている。この給電端子13は、バネ片15に半田付けされて固定される半田付け部13aと、外部コネクタや外部基板等の、外部から駆動用コイル20に電流を供給するための外部機器(図示省略)に接続される端子部13bと、半田付け部13aと端子部13bとを繋ぐ基部13cとを備えている。基部13cは、細長い略長方形状に形成されている。半田付け部13aは、略長方形状に形成され、基部13cの長手方向の一端から基部13cの長手方向に直交する方向の一方へ突出している。端子部13bは、略長方形状に形成され、基部13cの長手方向の他端から基部13cの長手方向に直交する方向の他方へ突出している。
【0033】
駆動機構4は、スリーブ8の外周側に巻回される2個の駆動用コイル20と、レンズ駆動装置1の4つの側面のそれぞれに沿って配置される駆動用磁石21とを備えている。2個の駆動用コイル20は、上下方向に所定の間隔をあけた状態で、スリーブ8の外周面に巻回されている。本形態では、1本の導線がスリーブ8の外周面に巻回されることで2個の駆動用コイル20が形成されている。駆動用コイル20を構成する導線の一端側は、2本の絡げピン9のうちの一方の絡げピン9に巻回され、導線の他端側は、他方の絡げピン9に巻回されている。駆動用磁石21は、略矩形の平板状に形成されている。駆動用磁石21は、駆動用コイル20の外周面に対向するようにカバー部材10の筒部10bの内側面に固定されている。なお、本形態のカバー部材10は、磁気回路を形成するためのヨークの機能を果たしている。
【0034】
(ベース部材および板バネの構成)
図5は、
図4に示すベース部材11、板バネ6、絡げピン9および給電端子13の組立状態の平面図である。
図6は、
図5のF−F断面の断面図である。
図7は、
図3に示すベース部材11の拡大斜視図である。
図8(A)は、
図5のG部の拡大図であり、
図8(B)は、
図5のH部の拡大図である。
【0035】
ベース部材11は、上述のように、光軸方向から見たときの形状が略正方形となるブロック状に形成されている。ベース部材11の中心には、被写体側(上側)からの光を撮像素子に向かって通過させるための開口11aが形成されている。すなわち、レンズ駆動装置1の下端側には、被写体側からの光を撮像素子に向かって通過させるための開口11aが形成されている。開口11aは、ベース部材11を貫通するように形成されている。
【0036】
ベース部材11の上面(すなわち、被写体側の面(被写体側面))11bには、開口11aを囲むように略円環状の壁部11cが形成されている。上面11bの四隅には、バネ片15を構成する後述の固定体固定部15bが固定されるバネ固定部11dが上面11bよりも上側に突出するように形成されている。上面11bの、壁部11cの外周側には、上下方向における可動体2の基準位置を決めるための位置決め部11eが上面11bよりも上側に突出するように形成されている。上面11bの外周側部分には、上側に向かって立ち上る外周壁11fが形成されている。また、ベース部材11には、給電端子13が圧入されて固定される2個の圧入部11gが形成されている。
【0037】
壁部11cは、上側に向かって立ち上るように開口11aの縁に形成されている。壁部11cには、下側に向かって切り欠かれた切欠き部11hが形成されている。切欠き部11hは、上下方向から見たときに光軸Lを挟むように2箇所に形成されている。具体的には、切欠き部11hは、壁部11cの右後ろ側と左前側の2箇所に形成されている。上面11bの、壁部11cよりも外周側には、切欠き部11hを囲むように第2壁部11jが形成されている。すなわち、上面11bの、切欠き部11hの外周側には、切欠き部11hを囲むように第2壁部11jが形成されている。第2壁部11jは、上側に立ち上るように形成されている。上面11bからの第2壁部11jの高さは、上面11bからの壁部11cの高さよりも低くなっている。
【0038】
第2壁部11jは、上下方向から見たときの形状が略五角形状となるように形成されている。また、第2壁部11jは、壁部11cの周方向における切欠き部11hの両端に繋がるように形成されている。第2壁部11jの内側面11kは、上下方向から見たときに、
図8(A)、(B)に示すように、スリーブ8の外周面(すなわち、可動体2の外周面)よりもスリーブ8の内側に配置されている。すなわち、ベース部材11の左前側に形成される第2壁部11jの内側面11kは、スリーブ8の外周面よりも右側かつ後ろ側に配置され、ベース部材11の右後ろ側に形成される第2壁部11jの内側面11kは、スリーブ8の外周面よりも左側かつ前側に配置されている。なお、本形態の第2壁部11jは、上下方向から見たときの形状が略五角形状となるように形成されているが、第2壁部11jは、上下方向から見たときの形状が四角形状、半円形状あるいはかまぼこ形状等の略五角形状以外の形状となるように形成されても良い。
【0039】
切欠き部11hの一部には、上面11bから高さが壁部11cよりも低い第3壁部11mが形成されている。第3壁部11mは、第2壁部11jに繋がるように、壁部11cの周方向における切欠き部11hの両端側に形成されている。上面11bからの第3壁部11mの高さは、上面11bからの第2壁部11jの高さと等しくなっている。また、第3壁部11mの間に形成される切欠き部11hの底面11nは、上面11bと同一平面状に形成されている。
【0040】
ベース部材11の、第2壁部11jに囲まれた領域(より具体的には、第2壁部11jと第3壁部11mとに囲まれた領域)は、上面11bよりも下側へ窪んでいる。すなわち、第2壁部11jに囲まれた領域の底面11pは、上面11bよりも下側に配置されている。
【0041】
バネ固定部11dの上面は、上下方向に直交する平面状に形成されている。位置決め部11eは、光軸Lを中心に略90°ピッチで4箇所に形成されている。位置決め部11eの上面は、上下方向に直交する平面状に形成されている。本形態では、位置決め部11eの上面にスリーブ8の下端面が当接しているときに、可動体2は、光軸方向における基準位置にある。
【0042】
外周壁11fは、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。この外周壁11fは、
図2に示すように、カバー部材10の下端側部分の内周側に配置されている。また、外周壁11fは、Y方向とZ方向とによって形成されるYZ平面に平行な2個の外周壁部11qと、Z方向とX方向とによって形成されるZX平面に平行な2個の外周壁部11rとから構成されている。
【0043】
外周壁部11qの前端側には、前後方向の所定の範囲で外周壁部11qの一部が下側に向かって切り欠かれた第2切欠き部としての切欠き部11sが形成されている。切欠き部11sは、外周壁部11qの前端から後ろ側に向かって所定の範囲に形成されている。外周壁部11qの後端側には、前後方向の所定の範囲で外周壁部11qの一部が下側に向かって切り欠かれた切欠き部11tが形成されている。切欠き部11tは、外周壁部11qの後端から前側に向かって所定の範囲に形成されている。切欠き部11s、11tは、その底面がバネ固定部11dの上面よりも下側に配置されるように形成されている。
【0044】
前側に配置される外周壁部11rには、この外周壁部11rの一部が左右方向の所定の範囲で下側に向かって切り欠かれた2個の切欠き部11uが形成されている。切欠き部11uは、前側に配置される外周壁部11fの左右両端よりも左右方向の内側へずれた位置から左右方向の内側に向かって所定の範囲に形成されている。切欠き部11uは、その底面がバネ固定部11dの上面よりも上側に配置されるように形成されている。
【0045】
2個の圧入部11gは、前側に配置される外周壁部11rに沿うように、外周壁部11rの後ろ側に形成されている。また、2個の圧入部11gは、光軸Lを通過するYZ平面に対して対称に形成されている。圧入部11gは、バネ固定部11dの上面よりも下側へ窪む凹部によって構成されており、その一部は、細い溝状に形成された溝部となっている。また、圧入部11gの左右方向の内側端には、上下方向へ貫通する貫通孔が形成されている。
【0046】
バネ片15は、
図4に示すように、スリーブ8の下端側に固定される可動体固定部15aと、ベース部材11に固定される2個の固定体固定部15bと、可動体固定部15aと固定体固定部15bとを繋ぐ2本の腕部15cとを備えている。また、バネ片15は、給電端子13が半田付けされて電気的に接続される接続部15dを備えている。バネ片15は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ8およびベース部材11に固定されている。
【0047】
可動体固定部15aは、略円弧状に形成されている。可動体固定部15aには、絡げピン9が半田付けされて接続されるピン接続部15eが形成されている。固定体固定部15bは、バネ固定部11dの上面に載置されて固定されている。腕部15cは、バネ片15の所望のバネ特性を得ることができるように形成されている。具体的には、腕部15cは、細長く形成されるとともに緩やかに湾曲している。接続部15dは、略長方形状に形成されている。この接続部15dは、前側に配置される固定体固定部15bに繋がるように形成されている。
【0048】
ピン接続部15eには、スリーブ8の右後端の角部と左前端の角部とに固定される絡げピン9のそれぞれの下端側が半田付けされて接続されている。
図5に示すように、上下方向から見たときに、絡げピン9は、第2壁部11jに囲まれた領域の中に配置されている。また、絡げピン9とピン接続部15eとの接続部分も、第2壁部11jに囲まれた領域の中に配置されている。すなわち、壁部11cの、絡げピン9とピン接続部15eとの接続部分の近傍には、切欠き部11hが形成されている。また、上下方向から見たときに、第2壁部11jは、絡げピン9とピン接続部15eとの接続部分を避けた位置に形成されている。本形態では、可動体2が光軸方向における基準位置にあるときには、
図6に示すように、絡げピン9の下端は、壁部11cの上端よりも下側にある。また、このときには、絡げピン9の下端は、第2壁部11jの上端よりも上側にある。なお、絡げピン9の下端が第2壁部11jの上端よりも下側に配置されるように第2壁部11jが形成されても良い。
【0049】
給電端子13は、2個の圧入部11gのそれぞれに圧入されて固定されている。具体的には、給電端子13とZX平面とが平行になるように、かつ、左右方向の外側に半田付け部13aが配置され、左右方向の内側に端子部13bが配置されるように、給電端子13は、圧入部11gに圧入されて固定されている。また、給電端子13は、半田付け部13aが上側に配置され、端子部13bが下側に配置されるように、圧入部11gに固定されている。
図1に示すように、端子部13bの下端側は、レンズ駆動装置1の前面側で外部に露出している。
【0050】
半田付け部13aは、ベース部材11の右前の隅および左前の隅に配置されている。半田付け部13aの後面の下端側には、バネ片15の接続部15dの前端が当接した状態で、あるいは、やや隙間をあけた状態で、接続部15dが半田付けされて固定されている。上述のように、外周壁部11qの前端側には、切欠き部11sが形成されている。すなわち、半田付け部13aと接続部15dとの接続部分の近傍には、切欠き部11sが形成されている。本形態では、切欠き部11sを利用して、半田付け部13aと接続部15dとの半田付け作業が行われる。なお、本形態では、切欠き部11s、11tを利用して、バネ固定部11dへの固定体固定部15bの固定作業が行われる。
【0051】
(レンズ駆動装置の製造方法)
以上のように構成されたレンズ駆動装置1の製造工程では、レンズ駆動装置1の組立完了後に、ベース部材11の、第2壁部11jに囲まれた領域の底面11pに溜まった塵埃等の異物を切欠き部11hから開口11aへ洗い流す洗浄工程が設けられている。この洗浄工程では、レンズ駆動装置1の組立時に底面11pに溜まった異物は、壁部11cの周方向における切欠き部11hの両端側に形成される第3壁部11mの間から開口11aへ洗い流され、開口11aへ洗い流された異物は、レンズ駆動装置1の下側へ排出される。
【0052】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ベース部材11に、開口11aを囲むように壁部11cが形成されている。また、本形態では、壁部11cに切欠き部11hが形成されているが、切欠き部11hの外周側には、切欠き部11hを囲むように第2壁部11jが形成されている。そのため、本形態では、開口11aを囲む壁部11cと、壁部11cに形成される切欠き部11hを囲む第2壁部11jとによって、開口11aから撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むのを防止することが可能になる。
【0053】
また、本形態では、壁部11cの、絡げピン9とバネ片15との接続部分の近傍には、切欠き部11hが形成され、かつ、上下方向から見たときに、第2壁部11jは、絡げピン9とバネ片15との接続部分を避けた位置に形成されている。そのため、本形態では、可動体2の反被写体側へ突出する絡げピン9がバネ片15に半田付けされていても、絡げピン9とバネ片15との接続部分が壁部11cおよび第2壁部11jと干渉するのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、可動体2の反被写体側へ突出する絡げピン9がバネ片15に半田付けされていても、光軸方向へ可動体2を適切に駆動することが可能になる。また、本形態では、上面11bからの第2壁部11jの高さが上面11bからの壁部11cの高さよりも低くなっているため、絡げピン9とバネ片15との接続部分と第2壁部11jとの干渉をより確実に防止することが可能になる。
【0054】
本形態では、第2壁部11jの内側面11kは、上下方向から見たときに、スリーブ8の外周面よりもスリーブ8の内側に配置されている。そのため、本形態では、カバー部材10の開口10cからレンズ駆動装置1の内部に侵入し、スリーブ8の外周側を通過した塵埃等の異物が第2壁部11jの内側へ直接、入り込むのを防止することが可能になる。したがって、本形態では、ベース部材11の開口11aから撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むのをより確実に防止することが可能になる。
【0055】
本形態では、第2壁部11jに囲まれた領域の底面11pは、上面11bよりも下側に窪んでいる。また、本形態では、切欠き部11hの一部に、上面11bから高さが壁部11cよりも低い第3壁部11mが形成されている。そのため、本形態では、第2壁部11jと第3壁部11mとに囲まれた領域に塵埃等の異物を溜めることが可能になる。したがって、仮に、第2壁部11jの内側へ異物が入り込んだとしても、ベース部材11の開口11aから撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むのを防止することが可能になる。
【0056】
本形態では、半田付け部13aと接続部15dとの接続部分の近傍に切欠き部11sが形成されている。そのため、半田付け部13aと接続部15dとの半田付け作業を行う際に、切欠き部11sを利用して、半田付け部13aと接続部15dとの接続部分に半田ごてを容易に近づけることが可能になる。したがって、本形態では、給電端子13とバネ片15との半田付けをより容易に行うことが可能になる。
【0057】
本形態では、レンズ駆動装置1の製造工程において、レンズ駆動装置1の組立完了後に、ベース部材11の、第2壁部11jに囲まれた領域の底面11pに溜まった塵埃等の異物を切欠き部11hから開口11aへ洗い流す洗浄工程が設けられている。そのため、本形態では、レンズ駆動装置1の組立時に、仮に第2壁部11jの内側へ塵埃等の異物が入り込んだとしても、洗浄工程でこの異物を洗い流すことができる。したがって、本形態では、レンズ駆動装置1の組立時に、仮に第2壁部11jの内側へ塵埃等の異物が入り込んだとしても、洗浄工程でこの異物を洗い流して、ベース部材11の開口11aから撮像素子側へ塵埃等の異物が入り込むといった不具合を防止することが可能になる。
【0058】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0059】
上述した形態において、第3壁部11mの端面の、第2壁部11j側に、
図9(A)に示すように、面取り部11wが形成されても良い。この場合には、レンズ駆動装置1の組立完了後の洗浄工程において、底面11pに溜まった異物が第3壁部11mの間から開口11aへ流出しやすくなる。
【0060】
また、
図9(B)に示すように、壁部11cの周方向における切欠き部11hの一端側に形成される第3壁部11mの内側面とこの第3壁部11mに繋がる第2壁部11jとの内側面とが、上下方向から見たときに略円弧状に形成されるように、第2壁部11jおよび第3壁部11mが形成されても良い。この場合には、レンズ駆動装置1の組立完了後の洗浄工程において、底面11pに溜まった異物が切欠き部11hから開口11aへ流出しやすくなる。なお、この場合には、
図9(B)に示すように、壁部11cの周方向における切欠き部11hの他端側に第3壁部11mが形成されないことが好ましい。また、この場合には、
図9(B)に示すように、第3壁部11mの端面の、第2壁部11j側に、面取り部11wが形成されることが好ましい。
【0061】
上述した形態では、第2壁部11jは、壁部11cの周方向における切欠き部11hの両端に繋がるように形成されている。この他にもたとえば、第2壁部11jは、壁部11cの周方向における切欠き部11hの両端よりも、周方向における外側で壁部11cに繋がるように形成されても良い。
【0062】
上述した形態では、上面11bからの第2壁部11jの高さは、上面11bからの壁部11cの高さよりも低くなっているが、絡げピン9とバネ片15との接続部分と第2壁部11jとの干渉を防止することができるのであれば、上面11bからの第2壁部11jの高さは、上面11bからの壁部11cの高さと同じであっても良いし、上面11bからの壁部11cの高さより高くなっていても良い。
【0063】
上述した形態では、第2壁部11jに囲まれた領域の底面11pは、上面11bよりも下側に配置されているが、底面11pは、上面11bと同一平面状に配置されても良いし、上面11bより上側に配置されても良い。また、上述した形態では、切欠き部11hに第3壁部11mが形成されているが、切欠き部11hに第3壁部11mが形成されていなくても良い。
【0064】
上述した形態では、板バネ6は、2個のバネ片15によって構成されているが、板バネ6は、互いに電気的に分離された3個以上のバネ片によって構成されても良い。この場合、スリーブ8には、バネ片の数に応じた所定本数の絡げピン9が固定される。また、上述した形態では、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。また、レンズ駆動装置1は、光軸方向から見たときの形状が略六角形状等の多角形状、円形状、あるいは、楕円形状となるように形成されても良い。