(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1〜9は本発明に係るタンク一体型ポンプ装置及びこのポンプ装置に用いるリザーバタンクの具体的な実施の形態を示す図あり、
図1は装置全体の構成を示す図であって、
図2は
図1のA−A線に沿った断面図である。また、
図3は
図1に示すタンク一体型ポンプ装置の油圧経路の概略を示していて、当該
図3のポンプ要素8は
図2のポンプ要素8のB−B線に沿った断面に相当する。さらに、
図1に示すタンク一体型ポンプ装置1においてタンク本体24は
図4,8のC−C線に沿った断面に相当する。
【0010】
図1〜3に示すタンク一体型ポンプ装置1は、外部のパワーステアリング装置P/S及びブレーキブースターB/B等の油圧利用機器に作動油を送るポンプ装置2と、ポンプ装置2に固定されて作動油を貯留するリザーバタンク3と、から大略構成されている。
【0011】
図1において、ポンプ装置2は、車両レイアウト上の制約から、例えばタンク一体型ポンプ装置1の鉛直方向の大きさを抑えるべくその全体が反時計回り方向に所定角度で傾いた姿勢で図示外の車両側の支持部材に固定されている。一方で、このポンプ装置2に固定されるリザーバタンク3は、ポンプ装置2に対する取付面が傾斜底壁29として上記所定角度に応じて傾斜している。傾斜底壁29の詳細については後述する。なお、
図1の矢印Uは鉛直方向上方を示している。
【0012】
ポンプ装置2はいわゆる可変容量型ベーンポンプであって、
図1のほか
図2,3に示すように、フロントボディ4とリアボディ5とを突き合わせてなるポンプボディ6の収容空間7にポンプ要素8を収容し、収容空間7に挿通する駆動軸9によってポンプ要素8を回転駆動することでポンプ作動を行うようになっている。
【0013】
リアボディ5の上部外面には同じくリアボディ5に穿設された吸入通路10に連通する吸入孔たる吸入プラグ接続孔11が開口形成されているとともに、この吸入プラグ接続孔11には後述するリザーバタンク3側の吸入通路接続部たる吸入プラグ32が嵌合されていて、リザーバタンク3内の作動油はポンプ装置2のポンプ要素8側へ吸入プラグ32を介して吸入されるようになっている。
【0014】
フロントボディ4の上部外面にはフロントボディボルト孔4bが穿設されていて、このフロントボディボルト孔4bと後述するリザーバタンク3側のフランジボルト孔31aとに挿通するボルト33によって、リザーバタンク3はポンプボディ6の平坦な上面に固定されている。
【0015】
ポンプ要素8は、駆動軸9に連結され、その駆動軸9によって回転駆動されるロータ12と、そのロータ12の外周側に、当該ロータ12に対する偏心量が変化する方向で揺動自在に設けられた略円環状のカムリング13と、そのカムリング13を内周側に収容し、収容空間7の外周円筒面に嵌着された略円環状のアダプタリング14と、収容空間7のうちフロントボディ4の内底面4aに配置された略円盤状のプレッシャプレート15とから主として構成されている。
【0016】
ロータ12の外周部には、径方向に沿って切欠形成されたスロット16が周方向で等ピッチに複数設けられている。各スロット16には、略平板状のベーン17がロータ12の径方向で出没自在にそれぞれ収容され、これら各ベーン17をもってカムリング13とロータ12との間の環状の空間を周方向で仕切ることにより、複数のポンプ室18が形成されている。そして、ロータ12を駆動軸9によって
図3の反時計回り方向に回転駆動することにより、各ポンプ室18がその容積を増減させながらそれぞれ周回移動してポンプ作動が行われることとなる。
【0017】
リアボディ5のうち収容空間7に臨む内側面5aには、ロータ12の回転に伴い各ポンプ室18の容積が漸次拡大する吸入領域に該当する部分に、周方向に沿う正面視略三日月状の第1吸入ポート19が切欠形成されている。そして、この第1吸入ポート19は、吸入通路10および吸入プラグ接続孔11に連通している。これにより、リザーバタンク3の吸入プラグ32を介して吸入通路10内に導入された作動油が、上記吸入領域におけるポンプ吸入作用によって各ポンプ室18に吸入されるようになっている。
【0018】
プレッシャプレート15のうちロータ12と対向する面には、ロータ12の回転に伴って各ポンプ室18の容積が漸次縮小する吐出領域に該当する部分に、周方向に沿う正面視略三日月状の第1吐出ポート20が切欠形成されている。そして、この第1吐出ポート20は、フロントボディ4のうちプレッシャプレート15に対向する内底面4aに凹設されたポンプ装置側圧力室21を介して吐出通路22に連通している。これにより、上記吐出領域におけるポンプ吐出作用によって各ポンプ室18から吐出された作動油がポンプ装置側圧力室21および吐出通路22を通じてポンプボディ6外へ吐出される。
【0019】
さらに、
図3に示すように、外部に吐出された作動油は直列に配置されたブレーキブースターB/Bとパワーステアリング装置P/Sの両方の油圧利用機器に導入され、圧力媒体として利用された後にリザーバタンク3に戻されることになる。つまり、リザーバタンク3はパワーステアリング装置P/SとブレーキブレーキブースターB/Bとに共用化または兼用化されている。なお、
図2における符号23はカムリング13のロータ12に対する偏心量を変化させることによりポンプ吐出圧を制御するコントロールバルブである。
【0020】
以下、リザーバタンク3の詳細を説明する。
【0021】
リザーバタンク3は、
図1に示すように、例えばポリアミド系樹脂等の熱可塑性樹脂材料からなるタンク本体24(本体部)の内部に、
図3のパワーステアリング装置P/S及びブレーキブースターB/Bから戻される作動油をろ過するフィルタ部材25を配置している。
【0022】
タンク本体24は、
図1のほか
図4に示すように、ポンプ装置2に取り付けられるロアータンク26と、ロアータンク26上部開口面を覆うアッパーカバー27とで、いわゆる上下二分割構造のものとして構成されていて、タンク本体24内には一定量の作動油が貯留されるようになっている。なお、これらロアータンク26とアッパーカバー27は例えば接着剤により密封状態で接合されていて、
図1の符号Bはこれらの境界線を示している。また、符号Vは作動油の油面を示している。
【0023】
ロアータンク26は、
図1のほか
図5〜
図8に示すように、平面視にて略異形矩形状をなす有底筒状または深皿状の容器であって、その底部は油面Vに対して平行な平面視略長方形状の水平底壁部28と、水平底壁部28側に向かって下り勾配で傾斜した同じく平面視略長方形状の傾斜底壁部29とから構成され、さらに水平底壁部28から下方に段付き状に突出するかたちで略円筒状のチャンバー部34が一体に形成されている。そして、水平底壁部28は傾斜底壁部29の最下部(最深部)30よりも一段高くなっているとともに、後述する吸入プラグ32の開口部32aよりも上側に位置している。なお、この傾斜底壁部29の最下部30はロアータンク26の内部空間においても最も低い位置となっている。
【0024】
また、傾斜底壁部29には、その傾斜角度のままでロアータンク26の外側に延長するかたちで、ポンプボディ6に対する結合手段として機能するフランジ部31が形成されているほか、
図1,7に示すように、傾斜方向のほぼ中央部に吸入通路接続部たる吸入プラグ32が形成されている。この吸入プラグ32は、傾斜底壁部29のうち最下部30よりも上側であって油面Vまでの間に開口する開口部32aを備えた円筒状のプラグである。そして、先に述べたように、フランジ部31はフランジボルト孔31aとフロントボディボルト孔4bとに挿通するボルト33によってポンプボディ6にボルト締結されることとなり、吸入プラグ32はポンプ装置2側の吸入プラグ接続孔11に嵌め込まれることとなる。
【0025】
図1に示すように、水平底壁部28には円筒状のフィルタ部材25が取り付けられ、フィルタ部材25の下部はその下側の略有底円筒状のチャンバー部34に臨ませてある。
【0026】
具体的には、
図1のほか
図6〜9に示すように、チャンバー部34の内部空間は後述するように所定容積の圧力室34aとされているとともに、その圧力室34aの上部には圧力室34aよりも一回り大きな円形の着座段部35が形成されている。そして、この着座段部35にフィルタ部材25が圧力室34aの上面を覆うかたちで装着される。
【0027】
チャンバー部34には、
図3のパワーステアリング装置P/Sから戻される作動油をタンク本体24内に導入するためのパワーステアリング装置側導入プラグ37と、同様に
図3のブレーキブースターB/Bから戻される作動油をタンク本体24内に導入するためのブレーキブースター側導入プラグ36とが一体に形成されていて、パワーステアリング装置側導入プラグ37の導入口37aおよびブレーキブースター側導入プラグ36の導入口36aは共に圧力室34aに開口している。そして、フィルタ部材25における最下部はタンク本体24の内部空間において吸入プラグ32の開口部32aよりも下側に位置している一方で、圧力室34aはその全体がタンク本体24の内部空間において吸入プラグ32の開口部32aよりも下側で、且つ傾斜壁部29の最下部30よりも上側に位置している。
【0028】
先に述べたアッパーカバー27は、
図1,4に示すように、ロアータンク26の平面視形状に合致する形状の深皿状のカバー部材であって、上向きで突出するように垂設された円筒状の注入パイプ38を備えていて、この注入パイプ38において最上部に位置する注入口38aから作動油が一定量注入される。なお、注入パイプ38の注入口38aは図示外のキャップによって閉塞される。また、この注入口38aとフィルタ部材25とはタンク本体24の奥行き方向(
図4,6の上下方向)でオフセットしている。このため、リザーバタンク3が奥行き方向に傾いた場合でも作動油が注入口38aから漏れにくい構造となっている。
【0029】
ここで、周知のように、リザーバタンク3は作動油レベルが最大の時に例えばタンク自体が最大45ー傾斜したとしても注入口38aから作動油が漏れ出さないように考慮する必要がある。その一方で、ポンプ装置2側への空気の混入を防ぐために吸入プラグ32の開口部32aは常に油面Vよりも低い位置にある必要がある。
【0030】
このため、本実施の形態では、
図1に示すように、上記吸入プラグ32の開口部32aと注入口38aとの位置関係は、上記開口部32aの最も上側に位置する点を通る垂線を基準にその両側に45度の角度で一点鎖線Lを引いた場合に、その注入口38aの全周の上部開口縁が双方の一点鎖線Lで挟まれた領域に位置するように、言い換えるならば、双方の一点鎖線Lが注入口38aの全周の上部開口縁よりも下側を通るように設定されている。
【0031】
なお、タンク本体24は、先に述べたように、アッパーカバー27とロアータンク26で二分割構造となっていて、組み立て時においては、ロアータンク26の内部にフィルタ部材25を装着した後に、アッパーカバー27が装着される。
【0032】
フィルタ部材25は、
図9に示すように、通流孔39aを有する胴部が開口した略円筒状の樹脂製のフィルタケース39と、フィルタケース39の内部に蛇腹状に折り重ねられた状態で収容された円環状の例えば濾紙からなる濾材40と、から大略構成されていて、フィルタケース39をシール部材39bを介してチャンバー部34の着座段部35に嵌合させることにより位置決め固定される。なお、フィルタ部材25には後述する一方向弁41が付帯している。そして、チャンバー部34の着座段部35にフィルタ部材25を装着することで、そのチャンバー部34の内部空間が圧力室34aとして機能することになる。
【0033】
以上のように構成されたタンク一体型ポンプ装置1によれば、
図3のパワーステアリング装置P/S及びブレーキブースターB/Bからリザーバタンク3に戻される作動油は、
図1の矢印で示すように、導入口36a,37aから吐出されてチャンバー部34の圧力室34a内に合流するかたちで導入される。圧力室34aに導入された作動油は、フィルタケース39の通流孔39aからフィルタ部材25を通過してタンク本体24内に吐出され、やがてはポンプ装置2の吸入通路10に再び導入されることとなる。
【0034】
この場合において、フィルタ部材25を通過する作動油は通流孔39aのほか、濾材40の通流抵抗によってその流路の断面積が絞られるかたちになる。このことがチャンバー部34の内部空間である圧力室34aが圧力室として機能する所以である。そして、上記作動油は濾材40の上流側に位置する圧力室34a及びフィルタ部材25内で高圧となって、重力に打ち勝つようにフィルタ部材25の下部から上部にかけて全体に行き渡り、濾材40を通過してポンプ本体24内に拡散することとなる。これにより、ポンプ本体24内の作動油の流れは穏やかなものとなり、作動油に気泡が発生することを抑止して、いわゆるキャビテーション等のポンプ装置2における弊害の発生を防止できる。
【0035】
ここで、先に述べたように、ポンプ装置2は、その全体が反時計回り方向に所定角度で傾いた姿勢で図示外の車両側の支持部材に固定されている。その結果として、
図1に示すようにポンプ装置2側の吸入プラグ接続孔11に嵌め込まれる吸入プラグ32の開口部32aは、タンク本体24の内部空間において最も下側の最下部30よりも上側に位置している。
【0036】
そのため、例えば圧力室34aのようなタンク本体部24の内部空間のうち上記開口部32aよりも低い位置に溜まっている作動油は利用されることがなく、その空間そのものがいわゆるデットスペースとなって、先に述べた従来技術のようにタンク一体型ポンプ装置1のスペース効率が悪くなるおそれがある。
【0037】
これに対して、本実施の形態によれば、タンク本体部24のうち上記吸入プラグ32の開口部32aよりも低い位置にある領域の一部に圧力室34aを形成して、実質的にタンク本体部24のうち上記開口部32aよりも低い位置のデッドスペースの一部を圧力室34aとして有効活用しているため、デッドスペースを大幅に縮小化してスペース効率の向上に寄与している。つまり、本実施の形態によれば、デットスペースを有効に利用することでスペース効率を向上させ、タンク一体型ポンプ装置の小型化に寄与できる。
【0038】
この場合において、先に述べたように、フィルタ部材25の下部はタンク本体24の内部空間において吸入プラグ32の開口部32aよりも下側に位置していて、実質的に上記デッドスペースの一部をフィルタ部材25の下部が圧力室34aとともに占有しているため、これによってもまた上記デットスペースを有効活用することができる。
【0039】
ここで、先に述べたように、リザーバタンク3はパワーステアリング装置P/S用とブレーキブレーキブースターB/B用とに共用化または兼用化しているため、これらパワーステアリング装置P/SとブレーキブースターB/Bを有する装置全体の部品点数が削減する。これにより、コストの削減に寄与できるのは勿論、エンジンルーム等のレイアウトの自由度が向上し、上記装置全体の小型化に寄与できる。
【0040】
また、先に述べたように、上記フィルタ部材25の下部から上部にかけて行き渡った作動油は、濾材40を通過してポンプ本体24内に拡散するために、ポンプ本体24内の作動油は穏やかなものとなり、作動油に気泡が発生することを抑止して、いわゆるキャビテーション等のポンプ装置2における弊害の発生を防止できる。
【0041】
一方で、フィルタ部材25には一方向弁41が付帯していることは、先に述べた通りである。この一方向弁41は、濾材40が万が一目詰まりしたような場合に初めて開弁状態となって、濾材40を介さずに作動油をタンク本体24内に戻すものである。
【0042】
ここで、作動油に含まれる異物や不純物(いわゆるコンタミ)がフィルタ部材25の濾材40によって捕集または捕捉されたとしても、作動油にはフィルタ部材で捕集または捕捉しきれなかったより細かな不純物等が多かれ少なかれ含まれている。これらの作動油に含まれるより細かな不純物等の多くは傾斜壁部29を伝い落ちるかたちで沈殿し、最終的にはタンク本体部24内において最も下側にある最下部30に集められることになる。そして、この最下部30は当然のことながら開口部32aよりも下側にあるため、最下部30に集められた不純物等がポンプ装置2側に吸入されるのを未然に防止することができる。このように、タンク本体24の最下部30が不純物等の収容部または溜まり部として機能することによってもまた、デッドスペースを有効活用することができる。
【0043】
なお、
図1から明らかなように、フィルタ部材25の濾材40は圧力室34aの真上に配置されているため、圧力室34aに導入される作動油に含まれる不純物は自重によってこの圧力室34aにも沈殿することとなり、これによってもまた不純物等の捕集または捕捉効果が期待できる。
【0044】
ここで、上記各実施の形態から把握される技術的思想であって、特許請求の範囲に記載していないものを、その効果とともに以下に記載する。
【0045】
(1)上記圧力室は、その全体が上記本体部のうち、上記吸入通路接続部の本体部側の開口部よりも鉛直方向下側に設けられることを特徴とする請求項1に記載のタンク一体型ポンプ装置。
【0046】
このような技術的思想では、上記圧力室の全体を上記吸入通路接続部の本体部側の開口部よりも鉛直方向下側に設けることにより、スペース効率が更に向上し、タンク一体型ポンプ装置の小型化に一段と寄与できる。
【0047】
(2)上記フィルタ部材は、その一部が上記吸入口の本体部側の開口部よりも鉛直方向下側に位置するように配置されることを特徴とする(1)に記載のタンク一体型ポンプ装置。
【0048】
このような技術的思想では、上記フィルタ部材の一部を上記デットスペースに配置することにより、上記デットスペースをより有効に利用することができるため、スペース効率がより向上し、タンク一体型ポンプ装置の小型化により一段と寄与できる。
【0049】
(3)上記油圧利用機器はパワーステアリング装置及びブレーキブースターであるとともに、上記導入口はパワーステアリング装置側の導入口及びブレーキブースター側の導入口の二つの導入口により構成されていて、上記リザーバタンクは、パワーステアリング装置用とブレーキブースター用に兼用することを特徴とする請求項1に記載のタンク一体型ポンプ装置。
【0050】
このような技術的思想では、リザーバタンクが、パワーステアリング装置用とブレーキブースター用に兼用することにより、パワーステアリング装置あるいはブレーキブースターの部品点数が削減されるため、これらパワーステアリング装置とブレーキブースターを有する装置全体のコストダウンや小型化を図ることができる。
【0051】
(4)上記フィルタ部材は、上記圧力室の鉛直方向上側に配置されることを特徴とする請求項1に記載のタンク一体型ポンプ装置。
【0052】
このような技術的思想では、上記フィルタ部材を上記圧力室の鉛直方向上側に配置することにより、上記フィルタ部材に捕捉される作動油中の不純物を上記圧力室に落下させて、上記不純物等の捕集または捕捉効果が期待できる。
【0053】
(5)上記本体部は、少なくとも組立時において上下に分割された構造となっていることを特徴とする請求項1に記載のタンク一体型ポンプ装置。
【0054】
このような技術的思想では、上記本体部は少なくとも組立時において上下に分割された構造となっているため、上記フィルタ部材の上記本体部内への配置作業の効率化が図れる。
【0055】
(6)上記本体部は、上記吸入通路接続部の本体部側の開口部よりも鉛直方向下側に形成され、作動油中の不純物を収容する不純物収容部を備えることを特徴とする請求項1に記載のタンク一体型ポンプ装置。
【0056】
このような技術的思想では、上記本体部が上記吸入通路接続部の本体部側の開口部よりも鉛直方向下側に不純物収容部を備えることにより、この不純物収容部に収容された不純物が上記吸入通路接続部から上記ポンプ装置側へ進入することを抑止できるため、ポンプ装置の動作安定性が向上する。
【0057】
(7)上記本体部は、上記吸入通路接続部の本体部側の開口部と上記不純物収容部との間の領域が、上記吸入通路接続部の本体側の開口部から上記不純物収容部に向かって鉛直方向下側に下がるように傾斜した傾斜面となっていることを特徴とする(6)のタンク一体型ポンプ装置。
【0058】
このような技術的思想では、上記吸入通路接続部の本体部側の開口部と上記不純物収容部との間の領域に落下する不純物は、上記吸入通路接続部の本体側の開口部から上記不純物収容部に向かって鉛直方向下側に下がるように傾斜した傾斜面に導かれて上記不純物収容部に収容されることとなるため、不純物をスムーズに当該不純物収容部に収容することができ、不純物の上記ポンプ装置側への進入をより効果的に抑止できる。
【0059】
(8)上記本体部は、この本体部の鉛直方向上側に開口形成されて、作動油を当該本体部に注入する注入口を備えていて、上記吸入通路接続部の本体側の開口部は、その最も鉛直方向上側に位置する点から鉛直方向上側に45度の角度で引いた線が、上記注入口よりも鉛直方向下側を通るように設定されていることを特徴とする請求項1に記載のタンク一体型ポンプ装置。
【0060】
作動油は、車両が45度傾いた状態でも注入口から溢れないことを前提としてその貯留量が設定されるが、このような技術的思想では、本体側の開口部を、当該開口部の最も鉛直方向上側に位置する点から鉛直方向上側に45度の角度で引いた線が、上記注入口よりも鉛直方向下側を通るように設定したため、車両が45度傾いた状態においても、作動油を上記注入口から溢れさせず、且つ、上記本体部側の開口部が油面から露出しないように本体部内に貯留することができる。
【0061】
(9)上記本体部は、上記圧力室と上記フィルタ部材との間に、上記圧力室よりも一回り大きな着座段部を備えていて、この着座段部に上記フィルタ部材が上記圧力室の開口部を覆うように配置されることを特徴とする請求項1に記載のタンク一体型ポンプ装置。
【0062】
このような技術的思想では、上記フィルタ部材を上記本体部に設置する際に、上記着座段部にフィルタ部材が当接してフィルタ部材の位置決めが行うことができ、フィルタ部材の組付作業の効率が向上する。また、この着座段部に上記フィルタ部材が上記圧力室の開口部を覆うように配置するため、上記圧力室側から上記吸入通路側へと流れる作動油のほぼ全量を上記フィルタ部材に通すことができ、これによってもまた一段と不純物の上記油圧利用機器側への進入を抑止できる。
【0063】
(10)上記圧力室は、その全体が上記本体部のうち、上記吸入通路接続部の本体部側の開口部よりも鉛直方向下側に設けられることを特徴とする請求項2に記載のタンク一体型ポンプ装置用リザーバタンク。
【0064】
このような技術的思想では、上記圧力室の全体を上記吸入通路接続部の本体部側の開口部よりも鉛直方向下側に設けることにより、スペース効率が更に向上し、タンク一体型ポンプ装置あるいはこの装置に用いるリザーバタンクの小型化に一段と寄与できる。
【0065】
(11)上記フィルタ部材は、その一部が上記吸入口の本体部側の開口部よりも鉛直方向下側に位置するように配置されることを特徴とする(10)に記載のタンク一体型ポンプ装置用リザーバタンク。
【0066】
このような技術的思想では、上記フィルタ部材の一部を上記デットスペースに配置することにより、上記デットスペースをより有効に利用することができるため、スペース効率がより向上し、タンク一体型ポンプ装置あるいはこの装置に用いるリザーバタンクの小型化により一段と寄与できる。
【0067】
(12)上記油圧利用機器はパワーステアリング装置及びブレーキブースターであるとともに、上記導入口はパワーステアリング装置側の導入口及びブレーキブースター側の導入口の二つの導入口により構成されていて、上記リザーバタンクは、パワーステアリング装置用とブレーキブースター用に兼用することを特徴とする請求項2に記載のタンク一体型ポンプ装置用リザーバタンク。
【0068】
このような技術的思想では、リザーバタンクが、パワーステアリング装置用とブレーキブースター用に兼用することにより、パワーステアリング装置あるいはブレーキブースターの部品点数が削減されるため、これらパワーステアリング装置とブレーキブースターを有する装置全体のコストダウンや小型化を図ることができる。
【0069】
(13)上記フィルタ部材は、上記圧力室の鉛直方向上側に配置されることを特徴とする請求項2に記載のタンク一体型ポンプ装置用リザーバタンク。
【0070】
このような技術的思想では、上記フィルタ部材を上記圧力室の鉛直方向上側に配置することにより、上記フィルタ部材に捕捉される作動油中の不純物を上記圧力室に落下させて、上記不純物の捕集また捕捉効果が期待できる。
【0071】
(14)上記本体部は、少なくとも組立時において上下に分割された構造となっていることを特徴とする請求項2に記載のタンク一体型ポンプ装置用リザーバタンク。
【0072】
このような技術的思想では、上記本体部は少なくとも組立時において上下に分割された構造となっているため、組立時に上記フィルタ部材の上記本体部内への配置作業の効率化が図れる。
【0073】
(15)上記本体部は、上記吸入通路接続部の本体部側の開口部よりも鉛直方向下側に形成され、作動油中の不純物を収容する不純物収容部を備えることを特徴とする請求項2に記載のタンク一体型ポンプ装置用リザーバタンク。
【0074】
このような技術的思想では、上記本体部が上記吸入通路接続部の本体部側の開口部よりも鉛直方向下側に不純物収容部を備えることにより、この不純物収容部に収容された不純物が上記吸入通路接続部から上記ポンプ装置側へ進入することを抑止できるため、ポンプ装置の動作安定性が向上する。
【0075】
(16)上記本体部は、上記吸入通路接続部の本体部側の開口部と上記不純物収容部との間の領域が、上記吸入通路接続部の本体側の開口部から上記不純物収容部に向かって鉛直方向下側に下がるように傾斜した傾斜面となっていることを特徴とする(15)のタンク一体型ポンプ装置用リザーバタンク。
【0076】
このような技術的思想では、上記吸入通路接続部の本体部側の開口部と上記不純物収容部との間の領域に落下する不純物は、上記吸入通路接続部の本体側の開口部から上記不純物収容部に向かって鉛直方向下側に下がるように傾斜した傾斜面に導かれて上記不純物収容部に収容されることとなるため、不純物をスムーズに当該不純物収容部に収容することができ、不純物の上記ポンプ装置側への進入をより効果的に抑止できる。
【0077】
(17)上記本体部は、この本体部の鉛直方向上側に開口形成されて、作動油を当該本体部に注入する注入口を備えていて、上記吸入通路接続部の本体側の開口部は、その最も鉛直方向上側に位置する点から鉛直方向上側に45度の角度で引いた線が、上記注入口よりも鉛直方向下側を通るように設定されていることを特徴とする請求項2に記載のタンク一体型ポンプ装置用リザーバタンク。
【0078】
作動油は、車両が45度傾いた状態でも注入口から溢れないことを前提としてその貯留量が設定されるが、このような技術的思想では、本体側の開口部を、当該開口部の最も鉛直方向上側に位置する点から鉛直方向上側に45度の角度で引いた線が、上記注入口よりも鉛直方向下側を通るように設定したため、車両が45度傾いた状態においても、作動油を上記注入口から溢れさせず、且つ、上記本体部側の開口部が油面から露出しないように本体部内に貯留することができる。
【0079】
(18)上記本体部は、上記圧力室と上記フィルタ部材との間に、上記圧力室よりも一回り大きな着座段部を備えていて、この着座段部に上記フィルタ部材が上記圧力室の開口部を覆うように配置されることを特徴とする請求項2に記載のタンク一体型ポンプ装置用リザーバタンク。
【0080】
このような技術的思想では、上記フィルタ部材を上記本体部に設置する際に、上記着座段部にフィルタ部材が当接してフィルタ部材の位置決めが行うことができ、フィルタ部材の組付作業の効率が向上する。また、この着座段部に上記フィルタ部材が上記圧力室の開口部を覆うように配置するため、上記圧力室側から上記吸入通路側へと流れる作動油のほぼ全量を上記フィルタ部材に通すことができ、これによってもまた一段と不純物の上記油圧利用機器側への進入を抑止できる。