【実施例1】
【0010】
図1は本発明になる空気圧縮機の一実施例を示す斜視図である。
図2はカバー22を外した状態を示す斜視図である。
図3は空気圧縮機の側面図である。
図4は空気圧縮機の平面図である。
図5は空気圧縮機の正面図である。
図6は空気圧縮機の背面図である。
【0011】
図1乃至
図6に示されるように、空気圧縮機10は、例えば、建築現場などの屋外において、空圧式の釘打ち機(図示せず)に圧縮空気を供給するように構成された小型コンプレッサである。
【0012】
また、空気圧縮機10は、フレーム12に円筒形状に形成された一対のタンク14,16が平行に支持されており、タンク14,16の上部には圧縮空気を生成する空気圧縮部18と、空気圧縮部18を駆動する駆動部20とが搭載されている。さらに、タンク14,16の上部には、空気圧縮部18及び駆動部20を覆うように一体成型された樹脂製のカバー22が取り付けられている。タンク14、16は空気圧縮部18で生成された圧縮空気を貯留するものである。
【0013】
また、タンク14,16の両端下部には、脚部24〜27が設けられている。さらに、フレーム12の両端部には、コ字状に形成された把持部28,30が固着されている。空気圧縮機10は、把持部28,30を把持されて搬送される。
【0014】
また、空気圧縮機10は、空気圧縮部18の両側に空気吐出部32,34が設けられている。空気吐出部32,34は、タンク14,16の取り出し管路(図示せず)に接続された圧力調整弁36,38と、圧力調整弁36,38により調整された吐出圧力値を表示する圧力計40,42と、圧力調整弁36,38により調整された圧力の圧縮空気を吐出する吐出口44〜47とを有する。
【0015】
圧力調整弁36,38は、ハンドル36a,38aが回わされて吐出圧力を調整する。また、吐出口44〜47は、釘打ち機に接続されたホース(図示せず)が接続されるクイックカプラが設けられている。
【0016】
この圧力調整弁36は、0〜0.8MPaまでの間の任意の値に調整可能であり、低圧吐出口44、45には、一般的に0.7MPa程度で使用される低圧工具が接続される。
【0017】
また、圧力調整弁38は、0〜2.5MPaまでの間の任意の値に調整可能であり、高圧吐出口46、47には、一般的に1〜2.5MPaで使用される高圧工具が接続される。
【0018】
さらに、カバー22の上部には、操作パネル48が設けられている。この操作パネル48には、電源スイッチ及び各種表示ランプが設けられているが、物が置かれても電源オフにならないようにカバー22の凹部23内に設けられている。
【0019】
図2に示されるように、カバー22は、着脱自在に取り付けられており、空気圧縮部18及び駆動部20のメンテナンス時にはフレーム12から外される。このように、カバー22が外されると、タンク14,16の上部に設けられた空気圧縮部18及び駆動部20の他に圧力調整弁36,38、圧力計40,42、吐出口44〜47が露出された状態になる。
【0020】
ここで、圧縮部18及び駆動部20の構成について説明する。
【0021】
図7は圧縮部18及び駆動部20の内部構成を示す横断面図である。
図7に示されるように、圧縮部18は、ケーシング60の両側に配置されたピストン・シリンダ機構62,64を有する。このピストン・シリンダ機構62,64は、180°異なる向きに形成されている。
【0022】
ピストン・シリンダ機構62,64は、ピストン62a,64aと、シリンダ62b,64bと、連接棒62c,64cと、シリンダヘッド62d,64dとを有する。尚、
図7において、ピストン64aは、隠れて見えない。
【0023】
また、ケーシング60は、圧縮部18の回転部分を収納する第1の部屋60aと、圧縮用空気の導入経路に設けられたフィルタ66を収納する第2の部屋60bと、駆動部20のモータ68を収納する第3の部屋60cとを有する。
【0024】
この圧縮部18は、2段圧縮方式で空気を高圧(例えば、高圧力値=2〜3MPa)に圧縮しており、第1段のピストン・シリンダ機構62で空気導入口22mから導入された空気を圧縮した後、第2段のピストン・シリンダ機構64でさらに圧縮してタンク14,16に貯留する。尚、タンク14,16は、互いに連通されているので、同じ圧力に保持されている。
【0025】
また、第1段のピストン・シリンダ機構62と第2段のピストン・シリンダ機構64との間は、連通管(図示せず)を介して接続されている。
【0026】
一方の連接棒62cは、一端がピストン62aと一体に形成されており、他端が軸受70を介して回転軸74に支持されている。他方の連接棒64cは、一端がピストン(図示せず)と一体に形成されており、他端が軸受72を介して回転軸74に支持されている。この回転軸74は、ケーシング60の隔壁60dに保持された軸受76と、モータカバー79の内部に保持された軸受78とにより回転自在に軸承されている。
【0027】
回転軸74の一端74aには、外気を第1の空気導入口22mから吸い込むための第1のファン(羽根車)80が固着されている。また、回転軸74の他端74bには、モータ冷却用の空気を空気導入口22nから吸い込むための第2のファン(羽根車)82が固着されている。
【0028】
第1のファン80により空気導入口22mから吸い込まれた空気は、ケーシング60及びピストン・シリンダ機構62,64の表面に吹き付けられて冷却すると共に、その一部がフィルタ66を通過してろ過された後に第1段のシリンダ62bで圧縮された後、第2段のシリンダ64bに供給されて更に圧縮される。
【0029】
また、第2のファン82は、モータカバー79の入り口79aに設けられており、モータ68を冷却するための空気を吸い込んでモータ68の周囲に送風する。モータ68は、回転軸74に固定されたマグネット(ロータ)68aと、マグネット68aの外周に配置されたステータ68bと、ステータ68bの内部に巻回されたコイル68cから構成されている。このモータ68は、小型化及び軽量化されており、回転軸74を介してピストン62a,64aを往復動させると共に、ファン80,82を回転駆動する。
【0030】
また、駆動部20は、円筒状のモータカバー78の内部にファン82とモータ68が収納されているので、このファン82の回転によって空気導入口22nから外部の空気を吸い込み、モータカバー79の内部を通過して複数の排気孔22sから排気される。モータカバー79の内部では、
図7中矢印で示すように、ファン82の回転によって生じた空気流の流速が高まり、この空気流がモータ68の発熱を効率良く奪ってモータ68を冷却される。
【0031】
本実施例における空気圧縮機は上記のように構成されるが、ここで、本実施例における空気圧縮機の動作について説明する。
【0032】
本実施例における空気圧縮機は主に建築現場にて使用され、制御部によってモータ68の回転数をインバータ制御する。具体的には、ブレーカ落ちを防止するために入力電流値の上限を制限する制御を行っている。また、駆動部20を構成するモータ68の回転速度についてもある上限値を設け、回転速度制限も行っている。
【0033】
図8を用いて、本実施例の比較例における制御部によるモータ68の回転速度の制御について説明する。
図8はタンク14、16内の圧力とモータ68に供給される電流値および回転速度との関係を示したものである。空気圧縮機10の運転を開始すると、タンク14、16内圧力が低い範囲(ここでは仮に圧力P0未満)では回転速度制限によって回転速度N1一定で運転を行う。タンク14、16内の圧力(圧縮機の負荷)の上昇に伴い徐々にモータ68に供給される電流値が増加する。入力電流が制限値I1に達した後は制限値I1を超えないように回転速度を徐々に低下させて運転を行い、最高圧力P1に達すると運転を停止させる。
【0034】
図9を用いて本実施例における制御部によるモータ68の回転速度の制御について説明する。
図9はタンク14、16内の圧力とモータ68に供給される電流値およびモータ68の回転速度との関係を示した図である。本実施例では、まず空気圧縮機10を停止させる基準となる最高圧力P1未満に圧力閾値P2を設ける。タンク14、16内の圧力がP2未満(第1の圧力範囲)の場合、電流値及び回転速度をそれぞれ比較例のI1、N1よりも高いI2、N2に設定する(第1の運転モード)。なお、タンク14、16内圧力が低い範囲(圧力P0未満)では比較例と同様に回転速度を制限し、本実施例では回転速度N2一定で運転を行う。これにより、タンク14、16内圧力が低い場合に必要以上に回転速度を増加させるのを抑制でき、消費電力の低減を図ることができる。タンク14、16内の圧力がP2以上P1未満(第1の運転モードにおける圧力範囲よりも高い第2の圧力範囲)の場合、電流値及び回転速度をそれぞれ比較例のI1、N1よりも低いI3、N3に設定する(第2の運転モード)。圧力閾値P2は使用するエアー工具の必要取り出し圧力に応じて変更可能とした。これにより、必要な圧力の圧縮空気の充填量の低下を抑制することができる。なお、タンク14、16内の圧力が最高圧力P1に達すると運転を停止させるのは比較例と同様である。
【0035】
以上より、本実施例によれば、タンク14、16内の圧力がP2未満である作業開始時においては、モータ68に供給する電流値及びモータ68の回転速度を高く設定し、圧縮空気量を増加させることで充填時間を短縮させることができる。また、タンク内の圧力がP2に達したらモータ68に供給する電流値及びモータ68の回転速度を低く設定し、モータ68の負荷が大きくなることによる電力消費や騒音を低減することができる。
【実施例2】
【0036】
本発明の実施例2における空気圧縮機について
図10を用いて説明する。実施例1と同一の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0037】
本実施例では、タンク14、16内の圧力がP2以上P1未満の場合に、タンク14、16内の圧力の変化または空気の消費量を検出して、圧力の変化する速度に合わせてモータ68に供給する電流値およびモータ68の回転速度をN3以上の範囲にて電流値および回転速度を変更するようにした点に特徴がある。
【0038】
図10を用いて本実施例における制御部によるモータ68の回転速度の制御について説明する。なお、
図10には、タンク内の圧力とその圧力を充填するまでにかかる時間の関係を示したグラフも併せて載せた。
【0039】
タンク14、16内の圧力がP2以上P1未満で、空気を使用していない場合は実施例1と同様に回モータ68に供給する電流値およびモータ68の回転速度をそれぞれ、I3、N3に設定して、省エネ、低騒音を図る。一方、空気を使用している場合は、圧力の上昇する速度(ΔP/Δt)がある決められた値となるように電流値及び回転速度をそれぞれ比較例のI1、N1よりも低い範囲内において変化させて最高圧力P1まで運転させる。即ち、空気の使用量が多い場合には、電流値および回転速度を空気の使用量が少ない場合よりも増加させる。尚、電流値及び回転速度を任意または予め決められた設定値から選択できるようにしてもよい。
【0040】
本実施例によれば、電力消費や騒音を低減しつつ、空気の消費量の増加に対応してモータ68の回転数を変えることができ、圧縮空気の充填量の低下を抑制することができる。
【0041】
これまで説明してきた実施例は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。