特許第5988850号(P5988850)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988850
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】集塵機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/10 20060101AFI20160825BHJP
   B01D 46/24 20060101ALI20160825BHJP
   B01D 46/52 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   A47L9/10 A
   B01D46/24 B
   B01D46/52 B
   B01D46/52 C
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-263167(P2012-263167)
(22)【出願日】2012年11月30日
(65)【公開番号】特開2014-108178(P2014-108178A)
(43)【公開日】2014年6月12日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】原 良介
(72)【発明者】
【氏名】田原 隆如
(72)【発明者】
【氏名】小浦 健太郎
【審査官】 根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−074267(JP,A)
【文献】 特開2008−296020(JP,A)
【文献】 特開2000−167330(JP,A)
【文献】 実開昭55−141526(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/10
B01D 46/24
B01D 46/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口を有したタンクの上部に、吸気ユニットを収容した本体が載置されて、前記吸気ユニットの作動によって前記吸込口から外気吸込可能であると共に、前記本体の下面に、外気が通過する一対のフィルタが備えられてなる集塵機であって、
前記一対のフィルタの間に、レバーの操作によって前記一対のフィルタを同時にクランプ/アンクランプ可能なクランプ手段が設けられていることを特徴とする集塵機。
【請求項2】
前記本体の下面及び各前記フィルタに、前記フィルタの取付位置で互いに係合して前記フィルタを位置決めする位置決め部それぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の集塵機。
【請求項3】
前記クランプ手段は、前記一対のフィルタの側縁に沿ってそれぞれ形成した被クランプ部を、U字状のクランプ板の左右の側板部で同時に押圧するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の集塵機。
【請求項4】
各前記フィルタにおける前記被クランプ部と反対側の側縁に、前記本体に設けた被係止部に係止可能な係止部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の集塵機。
【請求項5】
吸込口を有したタンクの上部に、吸気ユニットを収容した本体が載置されて、前記吸気ユニットの作動によって前記吸込口から外気が吸込可能であると共に、前記本体の下面に、外気が通過する一対のフィルタが備えられてなる集塵機であって、
前記一対のフィルタの間に、レバーの操作によって前記一対のフィルタを同時にクランプ/アンクランプ可能なクランプ手段が設けられ、
前記クランプ手段は、前記一対のフィルタの側縁に沿ってそれぞれ形成したクランプレールを、U字状のクランプ板の左右の側板部で同時に押圧するものであり、
各前記フィルタにおける前記クランプレールと反対側の側縁には、前記本体に設けた係止突起に係止可能な透孔を有する係止片が設けられていることを特徴とする集塵機。
【請求項6】
吸込口を有したタンクの上部に、吸気ユニットを収容した本体が載置されて、前記吸気ユニットの作動によって前記吸込口から外気が吸込可能であると共に、前記本体の下面に、外気が通過する一対のフィルタが備えられてなる集塵機であって、
前記一対のフィルタの間に、レバーの操作によって前記一対のフィルタを同時にクランプ/アンクランプ可能なクランプ手段が設けられ、
前記クランプ手段は、前記一対のフィルタの側縁に沿ってそれぞれ形成した被クランプ部を、U字状のクランプ板の左右の側板部で同時に押圧するものであり、
各前記フィルタにおける前記被クランプ部と反対側の側縁には、前記本体に設けた被係止部に係止可能な係止部が設けられて、
前記レバーは、前記本体の下面から前記クランプ板を貫通して下方へ突出する支持棒の先端へ回転可能に連結されて、前記クランプ板の下面に当接するカム形状の押圧板を備え、前記クランプ板側へ倒伏操作することで、前記押圧板によって前記クランプ板を前記被クランプ部側へ押圧することを特徴とする集塵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つのフィルタを備えた集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
集塵機は、吸込口を有したタンクの上部に、モータと吸込ファンとを備えた吸気ユニットを内蔵した本体を載置して、モータの駆動による吸込ファンの回転により、吸込口から外気を吸い込み可能としている。吸込口と吸気ユニットとの間には、フィルタが介在されて、外気と共に吸い込まれた塵埃をフィルタで捕捉可能となっている。このような集塵機においては、例えば特許文献1に開示の如く、フィルタを2つ備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第8015660号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の集塵機においては、各フィルタをそれぞれ個別に本体に取り付けているため、フィルタの着脱作業が煩わしいという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、フィルタの着脱作業が簡単に行え、使い勝手に優れた集塵機を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、吸込口を有したタンクの上部に、吸気ユニットを収容した本体が載置されて、吸気ユニットの作動によって吸込口から外気吸込可能であると共に、本体の下面に、外気が通過する一対のフィルタが備えられてなる集塵機であって、一対のフィルタの間に、レバーの操作によって一対のフィルタを同時にクランプ/アンクランプ可能なクランプ手段が設けられていることを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、本体の下面及び各フィルタに、フィルタの取付位置で互いに係合してフィルタを位置決めする位置決め部それぞれ設けられていることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、クランプ手段は、一対のフィルタの側縁に沿ってそれぞれ形成した被クランプ部を、U字状のクランプ板の左右の側板部で同時に押圧するものであることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項3の構成において、各フィルタにおける被クランプ部と反対側の側縁に、本体に設けた被係止部に係止可能な係止部が設けられていることを特徴とするものである。
上記目的を達成するために、請求項5に記載の発明は、吸込口を有したタンクの上部に、吸気ユニットを収容した本体が載置されて、吸気ユニットの作動によって吸込口から外気が吸込可能であると共に、本体の下面に、外気が通過する一対のフィルタが備えられてなる集塵機であって、一対のフィルタの間に、レバーの操作によって一対のフィルタを同時にクランプ/アンクランプ可能なクランプ手段が設けられ、
クランプ手段は、一対のフィルタの側縁に沿ってそれぞれ形成したクランプレールを、U字状のクランプ板の左右の側板部で同時に押圧するものであり、
各フィルタにおけるクランプレールと反対側の側縁には、本体に設けた係止突起に係止可能な透孔を有する係止片が設けられていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、吸込口を有したタンクの上部に、吸気ユニットを収容した本体が載置されて、吸気ユニットの作動によって吸込口から外気が吸込可能であると共に、本体の下面に、外気が通過する一対のフィルタが備えられてなる集塵機であって、一対のフィルタの間に、レバーの操作によって一対のフィルタを同時にクランプ/アンクランプ可能なクランプ手段が設けられ、
クランプ手段は、一対のフィルタの側縁に沿ってそれぞれ形成した被クランプ部を、U字状のクランプ板の左右の側板部で同時に押圧するものであり、
各フィルタにおける被クランプ部と反対側の側縁には、本体に設けた被係止部に係止可能な係止部が設けられて、
レバーは、本体の下面からクランプ板を貫通して下方へ突出する支持棒の先端へ回転可能に連結されて、クランプ板の下面に当接するカム形状の押圧板を備え、クランプ板側へ倒伏操作することで、押圧板によってクランプ板を被クランプ部側へ押圧することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
発明によれば、クランプ手段の採用により、フィルタの着脱作業が簡単に行え、使い勝手に優れたものとなる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、位置決め部の採用により、フィルタのクランプが適切な位置で迅速に行える。
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加えて、クランプ板の採用により、クランプ手段を省スペースで簡単に形成可能となる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、フィルタの取付時の信頼性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】集塵機の前後方向の縦断面図である。
図2】集塵機の左右方向の縦断面図である。
図3図2におけるフィルタユニット部分の拡大図である。
図4】フィルタユニットを上方から見た斜視図である。
図5】フィルタユニットを下方から見た斜視図である。
図6】本体を下方から見た斜視図である(レバー起立状態)。
図7】本体の側面図である(レバー起立状態)。
図8図1におけるクランプ板及びレバー部分の拡大図である。
図9】フィルタユニットのクランプ前状態を示す本体の背面図である。
図10】フィルタユニットのクランプ状態を示す本体の背面図である。
図11】本体を下方から見た斜視図である。
図12】ガード板の斜視図である。
図13】ガード板の説明図で、(A)は電極部分の縦断面、(B)は正面をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、集塵機の一例を示す前後方向の縦断面図、図2はその左右方向の縦断面図である。この集塵機1は、車輪3,3を備えた走行台2上に、上面を開口したタンク4を設置し、そのタンク4の上方に、吸気ユニット6を有する本体5を載置してなる。タンク4の前方(図1の左側)側面には、集塵ホースを接続可能な吸込口7が形成されている。
本体5は、吸気ユニット6を略中央に配置して、下部に設けた仕切板8をタンク4の開口に係止させることでタンク4を閉塞可能としている。仕切板8の中央部は、下向きへ有底筒状に突設した突出部9となっており、突出部9の下面中央には、吸気口10が形成されている。
【0010】
吸気ユニット6は、本体5の中央で突出部9内に突出する状態で配置されている。吸気ユニット6は、上ケース11と、下ケース12と、上ケース11と下ケース12との間に介在される中間ケース13とを有している。上ケース11と中間ケース13との間には、モータ14が出力軸15を下向きにした姿勢で保持されて、中間ケース13に軸支されて下ケース12内に突出する出力軸15の下端には、吸込ファン16が固着されている。また、下ケース12の下面には、吸気口10と対向する空気入口17が形成され、下ケース12の側面には、複数の空気出口18,18・・が周方向に並設されている。
さらに、上ケース11の下部には、仕切板8の上面に固着される支持板19が連設されており、支持板19の上部には、上面にハンドル21を備えたカウリング20が被着されている。カウリング20の前面には、運転スイッチやコンセント等を備えて図示しないコントローラに電気的接続された操作部22が設けられている。
【0011】
そして、仕切板8の下面には、吸気ケース23がネジ止めされている。この吸気ケース23の下面には、図2に示すように、吸気ユニット6を挟んだ左右に位置する一対の開口部24,24が形成され、吸気ケース23の内部には、開口部24,24と連通する一対の吸気通路25,25が形成されている。また、吸気ケース23の下面で開口部24,24の間には、前後方向に膨出部26が突設されて、膨出部26内に、突出部9の吸気口10と連通する中央通路27を形成している。この中央通路27は、吸気ユニット6の後方で各吸気通路25,25と繋がっている。
さらに、仕切板8の上側で本体5内には、下ケース12の空気出口18と連通する排気通路28が形成されて、支持板19に設けた排気口29と連通している。
【0012】
但し、仕切板8には、排気通路28の下流側を各吸気通路25,25と連通させる図示しない一対の連通路が形成されており、各連通路には、常態では排気通路28と連通路との間を閉塞して中央通路27と吸気通路25との間を開放する開閉部材30がそれぞれ設けられている。両開閉部材30,30の間には、DCモータ31によって旋回運動するカム32が設けられている。このDCモータ31の駆動に伴うカム32の旋回運動で開閉部材30を動作させることで、排気通路28と連通路との間を開放して中央通路27と吸気通路25との間を閉塞させて、排気通路28からの排気を連通路から吸気通路25に導いて逆流させることが可能となっている。
【0013】
一方、吸気ケース23の下面で各開口部24の位置には、フィルタとしての一対のフィルタユニット33,33が取り付けられている。このフィルタユニット33は、図3〜5にも示すように、開口部24よりも大きい台形状の取付板34に、有底筒状の布製の一次フィルタ35の開口を取り付けて、その一次フィルタ35の内部に、ポリウレタンスポンジ製の二次フィルタ36を筒状に収容し、その二次フィルタ36の内側に、重ね折りした紙製の三次フィルタ37を収容したものである。取付板34の中央には、三次フィルタ37の内側と連通する長円形の出口38が形成されている。取付板34の外面で出口38の周縁には、開口部24よりも小さい長円形の内リブ39と、開口部24よりも大きい長円形の外リブ40とが突設されて、両リブ39,40の間にシール材41が設けられている。
【0014】
また、取付板34の外周には、帯状の外枠42が形成されてその外枠42の内側で取付板34の外面には、内リブ39及び外リブ40と同じ高さの大外リブ43が突設されて、外リブ40と大外リブ43との間が壁リブ44,44・・で接続されている。外枠42において、出口38を長手方向で挟んで対向する周縁には、四角形状の差込片45,45が、一次フィルタ35の取付側と反対方向へ向けて突設されている。さらに、外枠42において、出口38を短手方向で挟んで対向する周縁には、係止部としての係止片46と被クランプ部としてのクランプレール47とが設けられている。この係止片46は、外枠42の短辺側で、先端を差込片45と同じ方向へ突出させたL字状で、先端には透孔48が形成されている。クランプレール47は、外枠42の長辺に沿って、一次フィルタ35の取付側へ向けた横断面U字状に形成されている。
【0015】
一方、吸気ケース23において、各開口部24の周縁には、図6に示すように、フィルタユニット33の取付状態で差込片45,45が差し込み可能な穴部49,49と、フィルタユニット33の取付状態で大外リブ43の内側に嵌合可能な突起50,50とが形成されている。この差込片45及び穴部49、大外リブ43及び突起50がそれぞれ位置決め部となる。また、吸気ケース23の外縁には、図7にも示すように、係止片46が進入可能な切欠部51が形成されており、切欠部51内には、係止片46の透孔48に嵌合可能な被係止部としての係止突起52が突設されている。
【0016】
そして、吸気ケース23の下面で開口部24,24の間には、フィルタユニット33,33を固定するためのクランプ板53とレバー54とが設けられている。まずクランプ板53は、膨出部26を跨ぐ横断面U字状の板体で、図8に示すように、膨出部26の前方で下向きに突設され、基部が大径となる前側突起55を、クランプ板53の前側裏面に形成された円形突部56の中心の有底孔57に挿入させ、膨出部26上に突設された後側突起58を、クランプ板53の後側裏面に形成された有底孔部59に挿入させている。これによりクランプ板53は、膨出部26の下側で吸気ケース23の下面と平行に且つ上下方向へ移動可能に支持される。但し、前側突起55に外装されて前側突起55と円形突部56との間に介在された前コイルバネ60と、後側突起58に外装されて膨出部26の下面とクランプ板53の裏面との間に介在された後コイルバネ61とにより、クランプ板53は、膨出部26から離れる下方側へ付勢されている。
【0017】
62は、前側突起55と後側突起58との間で膨出部26上に立設された支持棒で、クランプ板53を貫通して下方へ突出しており、この支持棒62の先端にレバー54が連結されている。レバー54は、クランプ板53よりも左右方向の幅が狭い横断面U字状の板体で、一端が左右方向の軸63によって支持棒62の先端へ回転可能に連結されて、左右の押圧板64,64をクランプ板53の下面に当接させている。この押圧板64,64の前端は、周縁から軸63までの距離が変化するカム形状となっている。すなわち、ここでは図6,7のようにレバー54を下方へ起立させた状態で上下方向での軸63と押圧板64周縁との距離が最も短くなって、そこからレバー54をクランプ板53側へ徐々に倒伏させるにつれて、軸63と押圧板64周縁との距離が徐々に長くなるようになっている。なお、クランプ板53の下面には、押圧板64,64が嵌合する溝65が凹設されている。
【0018】
よって、レバー54を下方へ起立させた状態では、前後コイルバネ60,61によって下方へ付勢されるクランプ板53は、図6,7に示すように膨出部26から最も離れる下側位置にある。一方、レバー54をクランプ板53に沿って倒伏させた状態では、押圧板64,64の押圧により、前後コイルバネ60,61の付勢に抗してクランプ板53は、図3,8に示すように、膨出部26に最も近づく上側位置にある。ここではクランプ板53の左右の側板部66,66の上方に、吸気ケース23の下面にセットした左右のフィルタユニット33,33のクランプレール47,47がそれぞれ位置しており、クランプ板53の上側位置では、左右の側板部66,66がそれぞれ左右のクランプレール47,47に嵌合するようになっている。
【0019】
そして、吸気ケース23の下面において、クランプ板53と吸込口7との間には、ガード板67が設けられている。このガード板67は、フィルタユニット33と略同じ高さでクランプ板53と吸込口7との間を仕切る板体で、図11に示すように、基端に設けた取付部68を吸気ケース23にネジ止めすることで、吸気ケース23の下面と直交状で下向きに突出している。吸込口7には、タンク4内に突出して下向きにカーブする吹出筒69が取り付けられており、ガード板67の中央は、吹出筒69との干渉を防ぐために後方へ膨出した形状となっている。
また、ガード板67におけるクランプ板53側の面で左右両側には、電極70,70が設けられている。この電極70は、コントローラに設けた水面検出回路に電気的接続される帯状の板金で、タンク4内に貯留した水が電極70,70に達して電極70,70間に通電すると、集塵機1の運転を停止させるようになっている(水位センサ)。
【0020】
この電極70は、図12,13に示すように、ガード板67に突設されたボス71によってガード板67の表面から僅かに浮かせた状態でガード板67と平行に支持されている。ガード板67の表面において電極70の周囲には、電極70を囲むように複数の突条72,72・・が突設されている。
また、ガード板67の先端中央には、電極70の先端同士を結ぶ線を越えて上方へ伸びる切欠き73が形成されている。
【0021】
以上の如く構成された集塵機1においては、本体5にフィルタユニット33を取り付ける場合、図9に示すように、レバー54を起立させた状態で、裏返した本体5の吸気ケース23上に、フィルタユニット33,33をセットする。すなわち、フィルタユニット33の係止片46を吸気ケース23の切欠部51に進入させて透孔48に係止突起52を嵌合させながら、差込片45を穴部49に差し込むと共に、大外リブ43の内側に突起50を嵌合させる。すると、フィルタユニット33が吸気ケース23上に位置決めされ、出口38が開口部24に対向した状態となる。なお、開口部24の周縁には、リブ24aが突設されて出口38側のシール材41に押圧されるようになっている(図3)。このとき左右のクランプレール47,47は、それぞれクランプ板53の側板部66,66の下方に位置する。
【0022】
この状態で、レバー54をクランプ板53側へ倒伏させると、図10に示すように、レバー54の押圧板64,64によって押圧されたクランプ板53が前後コイルバネ60,61の付勢に抗して下降し、側板部66,66がクランプレール47,47に押圧される。すなわち、左右のフィルタユニット33,33のクランプレール47,47が同時にクランプされてフィルタユニット33,33が一度に固定されることになる。なお、クランプ板53の後端には、図8に示すように、ナット75を保持した筒部74が形成されており、レバー54には、倒伏状態で筒部74に同軸で重なるボス部76が形成されている。よって、ボス部76からネジを差し込んでナット75に螺合させれば、倒伏状態のレバー54がクランプ板53に固定されてレバー54が偶発的に起立側へ回転することが防止されるようになっている。
【0023】
こうしてフィルタユニット33,33が固定された本体5をタンク4上に載置して運転スイッチをON操作すると、モータ14が駆動して吸込ファン16が回転する。すると、集塵ホースを介して吸込口7から外気がタンク4内に吸い込まれて、両フィルタユニット33,33を通過して開口部24,24から本体5内に進入し、吸気通路25,25から中央通路27を通って吸気ユニット6を通過し、排気通路28を介して排気口29から排出される。この空気の流れにより、空気と共に吸い込まれた塵埃はフィルタユニット33,33で捕捉されてタンク4内に貯留する。
【0024】
ここで、操作部22の操作によってDCモータ31を駆動させると、前述のようにカム32が旋回運動して開閉部材30が交互に動作することで、排気通路28からの排気を連通路から交互に吸気通路25へに導いて逆流させることができる。この逆流した排気がフィルタユニット33を通過することで、フィルタユニット33に付着した塵埃を吹き飛ばしてフィルタユニット33を清掃することができる。なお、逆流した排気は反対側のフィルタユニット33を通過して本体5内に進入して排出される。
【0025】
そして、集塵ホースを介して吸込口7から塵埃を含んだ水が吸い込まれてタンク4内に貯留し、上昇した水位が電極70,70に達すると、前述の水位センサが働いて運転が停止することになる。ここでは電極70,70がガード板67における吸込口7と反対側の面に設けられているので、吸い込まれた水が電極70,70に接触して偶発的に電極70,70間を通電させるおそれがなく、水位センサの誤動作を防止できる。特に、電極70,70がガード板67から浮かせた状態で支持されている上、電極70,70の間でガード板67の先端には切欠き73が形成されているため、ガード板67に付着した水滴によって電極70,70間が偶発的に通電するおそれもない。また、電極70周りの突条72によってガード板67上の水滴が電極70により付着しにくくなっている。
【0026】
なお、フィルタユニット33,33を取り外す場合は、倒伏状態からレバー54を起立させる。すると、押圧板64,64による押圧が解除されたクランプ板53が前後コイルバネ60,61の付勢によってクランプレール47,47から離れるため、各フィルタユニット33を吸気ケース23から取り外すことができる。
【0027】
このように、上記形態の集塵機1によれば、一対のフィルタユニット33,33の間に、レバー54の操作によって一対のフィルタユニット33,33を同時にクランプ/アンクランプ可能なクランプ手段(クランプ板53)を設けたことで、フィルタユニット33,33の着脱作業が簡単に行え、使い勝手に優れたものとなる。
特にここでは、本体5の下面及び各フィルタユニット33に、フィルタユニット33の取付位置で互いに係合してフィルタユニット33を位置決めする位置決め部(差込片45及び穴部49、大外リブ43及び突起50)をそれぞれ設けているので、フィルタユニット33のクランプが適切な位置で迅速に行える。
【0028】
また、クランプ手段は、一対のフィルタユニット33,33の側縁に沿ってそれぞれ形成したクランプレール47を、U字状のクランプ板53の左右の側板部66,66で同時に押圧するものであるため、クランプ手段を省スペースで簡単に形成可能となる。
さらに、各フィルタユニット33,33におけるクランプレール47と反対側の側縁に、本体5に設けた係止突起52に係止可能な係止片46を設けたことで、フィルタユニット33の取付時の信頼性が高まる。
【0029】
なお、クランプ板やレバーは上記形態に限らず、例えば前後コイルバネに代えて支持棒に1つのコイルバネを外装させてクランプ板を付勢するようにしたり等、形状や取付形態は適宜変更可能である。
また、フィルタユニットは、一次〜三次フィルタを備えたものに限らず、例えば二次フィルタがないもの等も採用できるし、形状も上記形態に限定しない。
さらに、位置決め部は、差込片と穴部との関係を逆にしたり、大外リブと突起とをなくして差込片と穴部とのみで位置決め可能としたり等、数や形態は適宜変更可能である。勿論位置決め部は省略することもできる。
【符号の説明】
【0030】
1・・集塵機、4・・タンク、5・・本体、6・・吸気ユニット、7・・吸込口、8・・仕切板、14・・モータ、15・・出力軸、16・・吸込ファン、23・・吸気ケース、24・・開口部、26・・膨出部、33・・フィルタユニット、34・・取付板、38・・出口、45・・差込片、46・・係止片、47・・クランプレール、48・・透孔、49・・穴部、51・・切欠部、52・・係止突起、53・・クランプ板、54・・レバー、60・・前コイルバネ、61・・後コイルバネ、63・・軸、64・・押圧板、66・・側板部、67・・ガード板、70・・電極、71・・ボス、72・・突条、73・・切欠き。
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