特許第5988874号(P5988874)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5988874ラウドスピーカアセンブリおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988874
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】ラウドスピーカアセンブリおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/22 20060101AFI20160825BHJP
   H04R 1/40 20060101ALI20160825BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20160825BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   H04R1/22 310
   H04R1/40 310
   B60R11/02 S
   H04R1/02 102B
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-534497(P2012-534497)
(86)(22)【出願日】2010年10月22日
(65)【公表番号】特表2013-509049(P2013-509049A)
(43)【公表日】2013年3月7日
(86)【国際出願番号】AU2010001405
(87)【国際公開番号】WO2011047435
(87)【国際公開日】20110428
【審査請求日】2013年7月22日
(31)【優先権主張番号】2009905165
(32)【優先日】2009年10月23日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】512104889
【氏名又は名称】ブループリント アコースティックス ピーティーワイ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BLUEPRINT ACOUSTICS PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100085316
【弁理士】
【氏名又は名称】福島 三雄
(74)【代理人】
【識別番号】100124947
【弁理士】
【氏名又は名称】向江 正幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140969
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100161300
【弁理士】
【氏名又は名称】川角 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100171572
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ヴェリカン、ジェリコ
【審査官】 松田 直也
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−509377(JP,A)
【文献】 特開平11−150780(JP,A)
【文献】 特開平06−303687(JP,A)
【文献】 特開平03−022796(JP,A)
【文献】 特開平01−296797(JP,A)
【文献】 特開平09−037371(JP,A)
【文献】 特開2004−032121(JP,A)
【文献】 特開平09−238393(JP,A)
【文献】 特開2004−015565(JP,A)
【文献】 特開2001−292492(JP,A)
【文献】 特開平05−232974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/22
B60R 11/02
H04R 1/02
H04R 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
300Hz以下用に適しており、車両内での使用に適している、1つの無限大バッフルトポロジを有するラウドスピーカシステムの一部を構成するラウドスピーカアセンブリであって、前記無限大バッフルトポロジは、前記車両の屋根、壁、床を含み、前記ラウドスピーカアセンブリは、コーンおよびバスケットを含むドライバと、前記車両の前記屋根、壁、床を通るダクトにより通気されたチャンバを含む少なくとも1つのヘルムホルツ共鳴器とを備え、前記ドライバに関連した動作帯域より上の周波数fでの音響的ロールオフをもたらすように、前記ヘルムホルツ共鳴器は、前記チャンバを前記ドライバよりも容積を小さくし、その結果、前記チャンバを前記無限大バッフルトポロジを有するラウドスピーカで用いられるヘルムホルツチャンバよりも小さくすることにより同調される
ことを特徴とする、ラウドスピーカアセンブリ。
【請求項2】
前記チャンバの容積は、前記ドライバに関連する前記動作帯域または近傍の同調周波数を提供するような寸法にされているチャンバに比して小さい
ことを特徴とする、請求項1に記載のラウドスピーカアセンブリ。
【請求項3】
前記無限大バッフルトポロジは前記車両の外板を含み、前記ダクトは前記外板を通過するようになされている
ことを特徴とする、請求項1または2に記載のラウドスピーカアセンブリ。
【請求項4】
前記ダクトは前記外板の既存の開口を通過するようになされている
ことを特徴とする、請求項3に記載のラウドスピーカアセンブリ。
【請求項5】
前記既存の開口は換気口を含む
ことを特徴とする、請求項4に記載のラウドスピーカアセンブリ。
【請求項6】
少なくとも1つのヘルムホルツ共鳴器の前記チャンバは、前記コーンに関連する変位範囲に閉じ込められる空気を除き、ゼロ容積に近づける
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のラウドスピーカアセンブリ。
【請求項7】
300Hz以下用に適しており、車両内での使用に適している、1つの無限大バッフルトポロジを有するラウドスピーカシステムの一部を構成するラウドスピーカアセンブリを調整する方法であって、
前記無限大バッフルトポロジは、前記車両の屋根、壁、床を含み、前記ラウドスピーカアセンブリは、コーンおよびバスケットを有するドライバと、前記車両の前記屋根、壁、床を通るダクトにより通気されたチャンバを有する少なくとも1つのヘルムホルツ共鳴器とを備え、
前記方法は、
前記ドライバに関連した動作帯域より上の周波数fでの音響的ロールオフをもたらすように、前記チャンバを前記ドライバよりも容積を小さくし、その結果、前記チャンバを前記無限大バッフルトポロジを有するラウドスピーカで用いられるヘルムホルツチャンバよりも小さくすることにより、前記ヘルムホルツ共鳴器を同調する
ことを含む方法。
【請求項8】
前記チャンバの容積は、前記ドライバに関連する前記動作帯域または近傍の前記同調周波数を提供するチャンバに比して小さいことを特徴とする、
請求項7に記載のラウドスピーカアセンブリを同調する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラウドスピーカシステムでの使用に適したラウドスピーカアセンブリに関する。アセンブリは特に300Hz以下で動作する無限大バッフルトポロジを有するラウドスピーカシステム、および具体的にはヘルムホルツ共鳴器を含むシステムに適する。
【背景技術】
【0002】
ヘルムホルツ共鳴器は、以下の3つの主な理由からラウドスピーカに付加される。
(i)ラウドスピーカドライバに関連する動作帯域の下限で、またはその近傍で同調することによって低周波数で拡張を提供するため
(ii)動作帯域の上限で、またはその近傍で同調することによって、音響フィルタリングを提供するため
(iii)動作帯域または通過帯域にコーンの最小値を作るため
【0003】
それぞれの場合において、共鳴器の物理的な形態は空気の容積を収容するチャンバおよびベントダクトとして容易に認識できる。本発明は全く異なる理由のため、先行技術のヘルムホルツ共鳴器とははっきりと異なっていてもよい形態でヘルムホルツ共鳴器を利用してもよい。
【0004】
本発明は、無限大バッフルトポロジを有するラウドスピーカシステムに適する。「無限大」という用語は、文字通りに無限大ではなく、むしろ効果が非常に大きいバッフルを記述するために使用する。例えば、部屋の壁、天井もしくは床、または車両の屋根、壁もしくは床は、実用上無限大バッフルとして考えてもよい。
【0005】
無限大バッフルトポロジを車両のラウドスピーカに適用することに関連する1つの潜在的な問題は構造的に弱化することである。例えば、車両のいずれかの部分に12インチのラウドスピーカドライバ用などの大きな穴を切削すると、構造的に弱化することがある。
【0006】
この問題を回避するある周知の方法は、ラウドスピーカドライバを個別の箱に取り付けて、はるかに小さくした開口からリスニング環境に音を伝えることである。こうするための周知の方法がいくつかある。ある方法は、適切に設計された導波管を経由することである。別の方法は車両の後部荷物棚またはデッキを貫通してリスニング環境に音を伝えるヘルムホルツ共鳴器に関連するベントダクトを使用することである。
【0007】
車両の荷物棚を貫通するために使用される周知のヘルムホルツ共鳴器は、従来の方法では、バンドパス配置構成を作るため、および/または低周波数応答を拡張するため、および/または前述の通過帯域にコーンの最小値を作るために同調される。これらの方法で使用されるとき、ヘルムホルツ共鳴器を使用する先行技術の無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカシステムは、本質的に大型である。ヘルムホルツ共鳴器を使用しない無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカは、密閉箱トポロジ型ラウドスピーカと同様なカットオフ周波数で、その動作帯域の下限でロールオフする。この構成は低周波拡張を提供できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電気音響変換器またはドライバと、ラウドスピーカシステムで使用するのに適した少なくとも1つのヘルムホルツ共鳴器とを備えるラウドスピーカアセンブリを提供することができる。ラウドスピーカアセンブリはサイズを相対的に小さくでき、感度を相対的に高くできる。また同一または同様のドライバ用の密閉箱トポロジと比較して相対的に非常に低いカットオフ周波数をもつことができる。
【0009】
低周波拡張は、所望の低周波数カットオフ近傍で低域に同調することにより達成されることが先行技術により教示されている。先行技術では、ラウドスピーカアセンブリの動作帯域より高域を同調することにより低周波拡張を達成できるとは直感に反することである。
【0010】
低周波拡張を提供するためにより高域に同調することは、ラウドスピーカアセンブリを非常に小さくできるという利点を有するであろう。ラウドスピーカはコストおよび空間の利用性を含めた実用的な要件を満たすために所望の通りに小さくしてもよい。いくつかの応用例では、所望の応答を達成するためにラウドスピーカアセンブリをさらに小さくするのが適切なことがある。
【0011】
バッフルに取り付けられているドライバを備えるラウドスピーカシステムの無効成分は、並列共振回路としてモデル化してもよい。ヘルムホルツ共鳴器の無効成分は直列共振回路としてモデル化してもよい。ヘルムホルツ共鳴器がバッフルに取り付けられているラウドスピーカドライバに付加される場合、直列共振回路の成分は並列共振回路の成分と相互作用して、以下のものを生成する。
a)一般に「低カットオフ周波数」と呼ばれる低周波数ロールオフを判定する低域同調周波数
b)一般に「ボックス同調」または「ポート同調」と呼ばれる中間同調周波数、および
c)高周波数ロールオフを判定する高域同調周波数
疑義を避けるためにいうと、動作帯域を十分上回る周波数とは、高域同調周波数のことである。
【0012】
本明細書において先行技術としてあげられる特許文献または他の事柄の引用は、その文献または事柄がオーストラリアにおいて周知であったこと、またはそれに含まれる情報が請求項のいずれかの優先日に技術常識の一部であったことの自認として解釈してはならない。
【0013】
本明細書の説明および請求項を通して、「備える(comprise)」並びに「備える(comprising)」および「備える(comprises)」などのその言葉の変体は、他の追加物または構成要素または完全体を排除することを意図するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一側面によると、無限大バッフルトポロジを有するラウドスピーカシステムでの使用に適するラウドスピーカアセンブリが提供され、前記アセンブリは、コーンおよびバスケットを含むドライバと、チャンバおよび前記チャンバに連通するとともに前記無限大バッフルを通過するようになされたベントダクトを含む少なくとも1つのヘルムホルツ共鳴器とを備えており、前記チャンバは前記ドライバに関連する動作帯域を十分上回る同調周波数を提供するような寸法にされている。
【0015】
チャンバの容積は、ドライバに関連した動作帯域内の同調周波数またはそれに近い同調周波数を提供するような寸法にされたチャンバと比して相対的に小型または超小型になるような寸法にしてもよい。例えば、20cmのドライバは、ゼロをわずかに上回る容積から実質的に3リットルまでの範囲にしてもよいチャンバ容積を含むヘルムホルツ共鳴器に関連していてもよい。
【0016】
ベントダクトの横断面積はベントダクトの空気騒音を最小限にするように設定してもよく、ベントダクトの長さは低周波拡張を制御するように設定してもよい。
【0017】
ラウドスピーカアセンブリは、ドライバの各側に1つずつ配置される2つのヘルムホルツ共鳴器を含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、アセンブリは自動車の中での使用に適するようになされていてもよい。無限大バッフルは車両の乗員室の外周を含んでもよく、ダクトは外周を通過するようになされていてもよい。無限大バッフルは車両の外板を含んでもよく、ダクトは外板を通過するようになされていてもよい。ダクトは換気口などの外板の既存の開口を通過するようになされていてもよい。
【0019】
関連ラウドスピーカシステムの周波数応答は、ヘルムホルツ共鳴器以外の手段によって、動作帯域の上限またはその近傍でロールオフしてもよい。
【0020】
限定的なケースでは、少なくとも1つのヘルムホルツ共鳴器のチャンバは、変位範囲に閉じ込められる空気またはコーンに関連する行程容積を除き、ゼロ容積に近づけてもよい。
【0021】
本発明は、前述した少なくとも1つのラウドスピーカアセンブリを含む複合ラウドスピーカアセンブリを提供することができ、前記複合アセンブリは音響的に対称になるように配置されている。複合アセンブリは、向かい合って配置されて、アイソバリックペアとして駆動されるようになされた実質的に同一の2つのラウドスピーカアセンブリを含んでもよい。
【0022】
本発明の別の側面によると、無限大バッフルトポロジを有するラウドスピーカシステムでの使用に適するラウドスピーカアセンブリが提供され、前記アセンブリはコーンおよびバスケットを含むドライバを備えており、前記バスケットは前記コーンの背面の空気を実質的に連続した隔壁および前記コーンによって形成される後側チャンバに閉じ込めるための前記隔壁を含み、前記後側チャンバは前記バスケットのベントダクトによって空気が放出される。
【0023】
ラウドスピーカアセンブリは、コーンの前面の空気を別の隔壁およびコーンによって形成される前側チャンバに閉じ込めるための別の隔壁を含んでもよい。前側チャンバは別の隔壁の別のベントダクトによって空気を放出してもよい。
【0024】
本発明は、向かい合って配置され、その間に密閉空間が設けられる2つのラウドスピーカアセンブリを含む複合ラウドスピーカアセンブリを提供することができ、各ラウドスピーカアセンブリは前述の後側チャンバに空気を閉じ込めるように構成され、アイソバリックペアとして作用するようになされる。
【0025】
本発明の別の側面によると、無限大バッフルトポロジを有するラウドスピーカシステムでの使用に適するラウドスピーカアセンブリが提供され、前記アセンブリはコーンおよびバスケットを含むドライバを備えており、前記ドライバは前記コーンの前面の空気を実質的に連続した隔壁および前記コーンにより形成される前側チャンバに閉じ込めるための前記隔壁を含み、前記前側チャンバは前記連続した隔壁のベントダクトによって空気が放出される。
【0026】
本発明は、背中合わせに配置されている2つのラウドスピーカアセンブリを含む複合ラウドスピーカアセンブリを提供することができ、各ラウドスピーカアセンブリは前述したように構成されており、複合アセンブリはアイソバリックペアとして作用するようになされる。
【0027】
本発明の別の側面によると、無限大バッフルトポロジを有するラウドスピーカシステムで使用するためのラウドスピーカアセンブリを同調する方法を提供し、前記アセンブリはコーンおよびバスケットを有するドライバと、チャンバおよび前記チャンバに連通するとともに前記無限大バッフルを通過するようになされたベントダクトを有する少なくとも1つのヘルムホルツ共鳴器とを含んでおり、前記方法は、前記チャンバを前記ドライバに関連する動作帯域を十分上回る同調周波数を提供するような寸法にすることを含んでいる。
【0028】
その方法は、ベントダクトの横断面積をベントダクトの空気騒音を最小限にするように設定することと、ベントダクトの長さを低周波拡張を制御するように設定することとを含んでもよい。
【0029】
本発明によるラウドスピーカアセンブリは、先行技術のコンポーネントから製作してもよい。あるいは、1つまたは1つ以上の内蔵ヘルムホルツ共鳴器を有するドライバとして製造してもよい。
【0030】
本発明は、リスニング環境と反対側のバッフルの側のものを含め、ノイズ、埃、泥、水および/または他の環境条件に関係なく、ベントの開口をバッフルのその側に配向することによって、ラウドスピーカアセンブリが無限大バッフルに取り付けられるようにすることもできる。ノイズ、埃およびその他同様のものからの遮蔽は必要に応じて提供してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】ヘルムホルツ共鳴器のない代表的な先行技術の無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカシステムの模式図。
【0032】
図2】動作帯域のハイエンドで同調するヘルムホルツ共鳴器を組み込んでいる代表的な先行技術の無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカシステムの模式図。
【0033】
図3】本発明の1つの実施形態による1つのヘルムホルツ共鳴器を使用した無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカシステムの模式図。
【0034】
図4】本発明の代替実施形態による1つのヘルムホルツ共鳴器を使用した無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカシステムの模式図。
【0035】
図5】本発明の1つの実施形態による車両に据えている2つのヘルムホルツ共鳴器を使用した無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカシステムの模式図。
【0036】
図6】代表的な先行技術のラウドスピーカドライバを示す図。
【0037】
図7】本発明の1つの実施形態により、ヘルムホルツ共鳴器をその後側に取り付けているラウドスピーカアセンブリを示す図。
【0038】
図8】本発明の1つの実施形態により、ヘルムホルツ共鳴器をその前側に取り付けているラウドスピーカアセンブリを示す図。
【0039】
図9】本発明の1つの実施形態により、ヘルムホルツ共鳴器をその両側に取り付けているラウドスピーカアセンブリを示す図。
【0040】
図10】本発明の1つの実施形態により、ヘルムホルツ共鳴器をその両側に取り付けている複合ラウドスピーカアセンブリを示す図。
【0041】
図11】本発明の1つの実施形態により、ヘルムホルツ共鳴器をその両側に取り付けている複合ラウドスピーカアセンブリを示す図。
【0042】
図12】本発明の1つの実施形態により、ヘルムホルツ共鳴器を両側に取り付けるとともに、ヘルムホルツ共鳴器をその中央に取り付けている機械的平衡をとった複合ラウドスピーカアセンブリを示す図。
【0043】
図13】ヘルムホルツチャンバに関連する容積をゼロに近づけている前後のヘルムホルツチャンバを有するラウドスピーカアセンブリの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0044】
ここで、本発明の好適な実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。
【0045】
無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカシステムを構成する1つの周知の方法は単にラウドスピーカドライバを図1に図示する無限大バッフルに直接取り付けることである。図1では、ラウドスピーカドライバ10は無限大バッフル12に取り付けられて、音をリスニング環境15に放射する。図1はドライバ10に関連する動作帯域の各端におけるロールオフを含む周波数応答グラフも図示している。ハイエンド側のロールオフは電気的手段で達成してもよい。低周波数ロールオフはドライバのパラメータの結果である。図1のドライバ10はリスニング環境15に向かって前方を向いて示されている。これはリスニング環境15に突出しないため一般的な先行技術の配置である。この特定のトポロジの欠点は、低周波拡張のために応答を調整できないことである。
【0046】
ある周知の調整方法は、ヘルムホルツ共鳴器を付加することである。ヘルムホルツ共鳴器を有する代表的な先行技術の無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカを図2に示している。図2では、ベントダクト21と組み合わせたチャンバ20を無限大バッフル22に取り付けて、ヘルムホルツ共鳴器を形成する。
【0047】
ラウドスピーカドライバ23は空気容積24を収容するチャンバ20内に取り付けられて、ベントダクト21を介してリスニング環境25に空気が放出される。ベントダクト21は、バッフル22に小さな穴しか必要としないという利点を有する無限大バッフル22を貫通する。
【0048】
図2に図示する先行技術のヘルムホルツ共鳴器は、図2の周波数応答グラフに図示されるように、典型的にはドライバ23に関連する動作帯域のハイエンドであるfでロールオフするように同調されて、音響バンドパス構造を作る。図2のグラフの動作帯域は各端のロールオフで画成されることに留意されたい。
【0049】
図3は、無限大バッフル31に取り付けられているラウドスピーカドライバ30を示している。図3では、チャンバ32がドライバ30のコーン33によって形成されて、それ自体と前壁35との間に小さな空気容積34を囲んでいる。チャンバ32は、無限大バッフル31を通過して、リスニング環境37に音を放射するベントダクト36によって空気が放出される。チャンバ32およびベントダクト36はヘルムホルツ共鳴器を形成する。図3には、動作帯域を十分上回るfでロールオフを生成するために高域で同調されるヘルムホルツ共鳴器を有するドライバ30に関連する動作帯域の両端におけるロールオフを示す関連する周波数応答グラフも示している。
【0050】
動作帯域を十分上回るロールオフを生成するようにヘルムホルツ共鳴器を同調することは、チャンバ32を低周波数アプリケーション用の無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカで使用される先行技術のヘルムホルツチャンバよりも実質的に小さくすることによって達成する。チャンバ32は典型的にはドライバ30とサイズを同様にしてもよい。図3の実施例では、チャンバ32はドライバ30よりも容積が小さい。実際のアプリケーションでは、チャンバ32は、ヘルムホルツ共鳴器が動作帯域を十分上回るロールオフを生成するように同調される限り、ゼロ容積からドライバ30の容積の数倍までの範囲としてもよい。
【0051】
ラウドスピーカシステムは、ベントダクト36が図3に図示するように音をリスニング環境37に放射するように配向するのが好ましい。ただし、図4に図示するように向きを逆にすることも可能である。図4に図示する要素は図3と同様であるが、各要素を指す接頭辞3を4に変えている。例えば、図3のバッフル31は図4ではバッフル41となる。図4では、ドライバ40はコーンの背面から音をリスニング環境47に放射する。ただし、このような配置の応答が理想とは程遠いこともあって、これはほとんどのアプリケーションでは好適な実施形態ではない。
【0052】
図5は、外板51およびライニング52を含む車両の壁に据えている無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカシステムの実用的な配置を示す。ラウドスピーカドライバ53は、(a)ベントダクト55と共鳴して、ドライバ53の動作帯域を十分上回る同調を提供する小さな空気容積チャンバ54を含む前側ヘルムホルツ共鳴器、および(b)ベントダクト57と共鳴して、同じくドライバ53の動作帯域を十分上回る同調を提供する小さな空気容積チャンバ56を含む後側ヘルムホルツ共鳴器で増強されている。
【0053】
相対的に小さいヘルムホルツ共鳴器チャンバ54,56により、ラウドスピーカシステムは先行技術のヘルムホルツ共鳴器の配置構成を使用した無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカを置けないような場所に置くことができる。図5では、ベントダクト57が車両のライニング52を貫通して音を車両内のリスニング環境59に放射する一方、換気口58を介して車両の外板51を貫通するベントダクト55を示している。
【0054】
製造者は車両の外板における既存の開口を使用できることに価値を見出すであろう。あるいは、所望の場所に既存の開口がない場合には、追加の開口を設けてもよい。好適な実施形態では、ベントダクトは車両の外板を貫通することがあるが、車両の後部荷物棚、デッキまたは防火壁を貫通することによってコスト削減と引換に性能が落ちることもある。
【0055】
他の実施例では、本発明の無限大バッフルトポロジ型ラウドスピーカは建物の壁、天井、屋根、または床に据え付けてもよい。
【0056】
図6は、磁石61と、バスケット62と、コーンの動きに反応して空気を流すバスケット62の通気孔63と、バスケット62とドライバ60のコーンとの間の小さな空気容積64とを備える先行技術のラウドスピーカドライバ60を示している。
【0057】
本発明によるヘルムホルツ共鳴器に必要な空気の容積は相対的に小さいため、図7に図示するラウドスピーカアセンブリ70は、図6に見られる通気孔63を設けずに構成してもよい。代わりに、バスケット71はベントダクト72を除いて囲まれている。バスケット71とアセンブリ70のコーンとの間の容積がベントダクト72とともにヘルムホルツ共鳴器を形成する。
【0058】
あるいは、バスケット81を含むラウドスピーカドライバ80を、図8に図示するように前方で、ベントダクト83によって空気が放出される小さな空洞を形成する壁82によって囲んで、本発明によるラウドスピーカアセンブリを形成してもよい。
【0059】
各実施例において、ヘルムホルツ共鳴器は、小さな密閉空気容積により、ドライバ70,80の意図される動作帯域を十分上回る高周波数ロールオフを得ることができる。関連するベントダクト72,83の横断面積はダクトの空気騒音を最小限にするように変えてもよく、ベントダクトの長さは所望の低周波拡張を設定するように変えてもよい。
【0060】
図9は、本発明による無限大バッフルトポロジ型アプリケーションで使用するためのラウドスピーカアセンブリの改良バージョンを示している。図9のドライバ90はドライバ90の各側にヘルムホルツ共鳴器を含む。ドライバ90のバスケット91はベントダクト93を除いて囲まれており、ドライバ90の前側はベントダクト94を除き壁92によって囲まれている。好適な実施形態では、そのように形成されたヘルムホルツ共鳴器は、ドライバ90の意図される動作帯域を十分上回る同じ周波数で高周波数共鳴を生成することができる。
【0061】
図10は、本発明による複合ラウドスピーカアセンブリの対称形バージョンを示しており、複合アセンブリはそれらのコーンがその間の空気の容積を閉じ込めるように向かい合わせで配置されている2つのラウドスピーカアセンブリから形成されている。各ラウドスピーカアセンブリは、ベントダクト104および105を除き囲まれているそれぞれのバスケット102および103を有する。ラウドスピーカアセンブリのモータアセンブリ100および101は、典型的にはそれらのコーンが同じ方向に動くように位相外れで配線されてもよい。コーン間の空洞はアイソバリックチャンバとして作用するデッド容積を形成する。
【0062】
図11は本発明による複合ラウドスピーカアセンブリの代替対称形バージョンを示しており、2つのラウドスピーカアセンブリは背中合わせに配置されて、磁石110および111が互いに対向して、潜在的に突き合わさっている。ラウドスピーカアセンブリ110,111の前側はベントダクト114および115を除きそれぞれの壁112および113によって囲まれている。関連するバスケット116,117およびモータアセンブリは、図11では切り取られて示される円筒形エンクロージャ118に収容されている。関連するモータアセンブリは、円筒形エンクロージャ118がアイソバリックチャンバとして作用するように位相外れで配線してもよい。
【0063】
図12は本発明による複合ラウドスピーカアセンブリの別の改良例を示しており、2つのラウドスピーカアセンブリ120,121は向かい合わせに配置されて、円筒形エンクロージャ122によって接合されている。ラウドスピーカアセンブリ120,121のバスケット123,124はベントダクト125,126を除き囲まれて、ヘルムホルツ共鳴器を形成する。ラウドスピーカアセンブリ120,121を接合する円筒形エンクロージャ122は、ベントダクト127によってリスニング環境に空気が放出されて、第3のヘルムホルツ共鳴器を形成する。
【0064】
上記の実施例において、ラウドスピーカアセンブリ120,121に関連するモータアセンブリは最低振動で機械的に平衡をとった動作を提供するために典型的には同位相(アイソバリックではない)で配線してもよい。各ヘルムホルツ共鳴器は、複合ラウドスピーカアセンブリの意図される動作帯域を十分上回る共鳴周波数を生成するように同調してもよい。好適な実施形態では、各ヘルムホルツ共鳴器は同じ共鳴周波数を生成するように同調してもよい。
【0065】
本発明によるいくつかの実施形態では、ヘルムホルツ共鳴器のチャンバに容積を与えることにほとんどまたは全く価値がなくてもよい。容積は、コーン変位を許容する以外で実質的にゼロにする、または実行できる限りゼロに近づけてもよい。図13は、「ゼロ容積」のラウドスピーカアセンブリ130を本発明により構成する方法を示している。図13では、コーン131は後側ヘルムホルツ共鳴器チャンバ132を前側ヘルムホルツ共鳴器チャンバ133から分離する。チャンバ132,133はそれぞれベントダクト134および135によって空気が放出される。コーン変位を許容した後、チャンバ132,133に関連して残る密閉空気容積は非常に小さいか、またはゼロに近いことが分かるであろう。
【0066】
最後に、本発明の精神および範囲を逸脱することなく、前述した部品の構成および配置に様々な変更、修正および/または追加を導入してもよいことは理解されるべきである。
図1
図2
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図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13