(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、機械部品等の鉄鋼材の高度や靱性等の性能の向上を図るために、機械部品等の鉄鋼材を0℃以下の低温に冷却するサブゼロ処理が実施されている。
サブゼロ処理方法の1つとして、被冷却物を収容する冷却槽内の雰囲気を冷凍機や液化窒素により冷却することで、被冷却物を冷却する低温雰囲気法が知られている。
特許文献1には、上記サブゼロ処理を実施する際に使用するサブゼロ処理装置(
図12参照)が開示されている。
【0003】
図12は、従来のサブゼロ処理装置の概略構成を示す断面図である。
図12を参照するに、特許文献1に記載のサブゼロ処理装置100は、冷却槽102と、冷媒導入経路103と、液冷媒導入弁104と、温度調節計105と、攪拌ファン108と、整流板109と、を有する。
【0004】
冷却槽102は、断熱材で構成されており、その内部に処理空間を有する。冷却槽102の側壁には、該側壁を貫通する排気口102Aが設けられている。排気口102Aは、液体窒素(液体冷媒)の蒸発により、冷却槽102内の圧力が上昇した際、所定の圧力の範囲内となるように、冷却槽102内の窒素ガスの一部を冷却槽102の外部に排気する。
【0005】
冷媒導入経路103は、図示していない液体窒素供給源と接続されている。冷媒導入経路103は、液冷媒導入弁104(冷媒導入経路103に設けられた弁)が開かれた際、冷却槽102内に液体窒素を供給する。
【0006】
温度調節計105は、冷却槽102内の温度を測定し、その結果に基づいて、液冷媒導入弁104の開度を調節する。
攪拌ファン108は、冷却槽102に収容されている。攪拌ファン108は、液体窒素を霧状にして、冷却槽102内に拡散させると共に、冷却槽102内の低温窒素ガス(低温ガス)を撹拌する。
【0007】
整流板109は、冷却槽102に収容されると共に、攪拌ファン108と被冷却物101との間に配置されている。整流板109は、吸い込み口及び吹き出し口を有する。整流板109は、攪拌ファン108による攪拌作用を向上させる機能を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたサブゼロ処理装置100のように、冷却槽102の側壁を貫通する排気口102Aを介して、低温窒素ガスを冷却槽102の外部に排出すると、冷却槽102内に温度ムラが発生してしまう。
【0010】
このように、冷却槽102内に温度ムラが発生すると、被冷却物101の冷却の不均一を招き、被冷却物101の品質がばらついてしまう。
また、排気口102Aを設ける冷却槽102の側壁の位置によっては、低温窒素ガスが処理空間の冷却に十分寄与する前に、排気口102Aから排気されてしまうため、被冷却物101を冷却する際に使用する液体冷媒が多く必要となる。
【0011】
そこで、本発明は、被冷却物を均一に冷却することが可能で、かつ被冷却物の冷却に使用する液体冷媒を削減することの可能なサブゼロ処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明によれば、被冷却物が載置される被冷却物載置室、及び前記被冷却物載置室と接続されたファン収容室を有する冷却槽と、前記被冷却物載置室と前記ファン収容室とを区切るように前記冷却槽内に配置され、かつ前記被冷却物載置室の雰囲気を前記ファン収容室に導く吸い込み口、及び前記ファン収容室の雰囲気を前記被冷却物載置室に導く吹き出し口を有する整流部材と、前記吸い込み口と対向するように前記ファン収容室に収容され、該ファン収容室に供給された液体冷媒を霧状または低温ガスにして、前記冷却槽内の雰囲気を攪拌する攪拌ファンと、前記被冷却物載置室を構成する前記冷却槽に設けられた貫通穴から前記被冷却物載置室の内部に延在し、
かつ排気口を有する排気部材と、を有し、前記排気口は、前記被冷却物載置室のうち、上半分に位置する空間であって、かつ横方向の幅が前記吸い込み口の横方向の最大の幅と一致する排気口配置空間に
設けられており、前記排気口は、前記被冷却物と前記整流部材との間に位置する前記排気口配置空間に配置することを特徴とするサブゼロ処理装置が提供される。
【0014】
また、請求項
2に係る発明によれば、前記排気部材は、排気部材本体を有し、前記排気部材本体は、前記排気口が上方を向くように配置されることを特徴とする請求
項1記載のサブゼロ処理装置が提供される。
【0015】
また、請求項
3に係る発明によれば、前記排気部材本体は、円筒状配管であり、前記排気部材本体の延在方向と直交する面で、前記排気口を通過するように、前記排気部材を切断した状態において、前記排気口は、前記排気口の両端と前記排気部材本体の中心とを結ぶことで形成される中心角が90度以内となるように構成することを特徴とする請求項
2記載のサブゼロ処理装置が提供される。
【0016】
また、請求項
4に係る発明によれば、前記冷却槽は、冷却槽本体と、該冷却槽本体上に配置される蓋体と、を有し、前記排気口は、前記蓋体と対向するように配置することを特徴とする請求項
2または
3記載のサブゼロ処理装置が提供される。
【0017】
また、請求項
5に係る発明によれば、前記排気部材は、前記排気口の下方に水抜き用の穴を有することを特徴とする請求項
4記載のサブゼロ処理装置が提供される。
【0018】
また、請求項
6に係る発明によれば、前記整流部材は、少なくとも1つの均一な厚さとされた板状部材を有し、前記吸い込み口及び前記吹き出し口は、同一の前記板状部材を貫通していることを特徴とする請求項1ないし
5のうち、いずれか1項記載のサブゼロ処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明のサブゼロ処理装置によれば、被冷却物載置室を構成する冷却槽に設けられた貫通穴から被冷却物載置室の内部に延在し、かつ排気口を有する排気部材を設けると共に、被冷却物載置室のうち、上半分に位置する空間であって、かつ横方向の幅が吸い込み口の横方向の最大の幅と一致する排気口配置空間に排気口を配置することにより、排気口を介して、冷却槽の外部に低温ガス(液体冷媒がガス化したもの)を排気した場合でも、被冷却物載置室内の雰囲気の温度ばらつきを抑制可能となる。
これにより、被冷却物を均一に冷却することができる(言い換えれば、被冷却物の品質のばらつきを抑制できる。)。
【0020】
また、低温ガスが処理空間の冷却に十分寄与する前に、排気口から排気されることを抑制可能となるため、被冷却物の冷却に使用する液体冷媒を削減できる。
【0021】
つまり、本発明のサブゼロ処理装置によれば、被冷却物を均一に冷却することができ、かつ被冷却物の冷却に使用する液体冷媒を削減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明を適用した実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のサブゼロ処理装置の寸法関係とは異なる場合がある。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るサブゼロ処理装置の外観を示す側面図である。
図2は、
図1に示す冷却槽本体に収容されたサブゼロ処理装置の構成要素を説明するための図であり、
図1に示す蓋体を透過させて、
図1に示す冷却槽をA視した平面図である。
したがって、
図2では、第1の実施の形態のサブゼロ処理装置10の構成要素である蓋体36の図示を省略する。
【0025】
図3は、
図1に示す冷却槽本体に収容されたサブゼロ処理装置の構成要素を説明するための図であり、
図1に示す第1の側壁を透過させて、
図1に示す冷却槽をB視した図である。したがって、
図3では、第1の実施の形態のサブゼロ処理装置10の構成要素である第1の側壁39−1の図示を省略する。
また、
図1〜
図3において、同一構成部分には、同一符号を付す。
【0026】
図1〜
図3を参照するに、第1の実施の形態のサブゼロ処理装置10は、冷却槽13と、貫通穴14と、温度センサ16と、温度調節計18と、冷媒供給ライン21と、冷媒供給部23と、液冷媒導入弁24と、整流部材25と、攪拌ファン27と、回転軸28と、回転駆動装置29、排気部材31と、を有する。
【0027】
冷却槽13は、冷却槽本体35と、蓋体36と、を有する。冷却槽本体35は、底板38と、第1ないし第4の側壁39−1〜39−4と、を有する。
第1ないし第4の側壁39−1〜39−4は、矩形とされた底板38の外周縁を囲むように配置されている。第1ないし第4の側壁39−1〜39−4の下端は、底板38と一体とされている。
【0028】
第1及び第2の側壁39−1,39−2は、対向するように配置されている。第3及び第4の側壁39−3,39−4は、対向するように配置されている。
第1及び第2の側壁39−1,39−2は、それぞれ隣接する第3及び第4の側壁39−3,39−4と一体とされている。
【0029】
蓋体36は、第1ないし第4の側壁39−1〜39−4の上端面と接触している。これにより、冷却槽13内には、直方体或いは立方体とされた空間(被冷却物載置室43及びファン収容室45を含む空間)が形成される。
【0030】
冷却槽13は、被冷却物載置室43と、ファン収容室45と、を有する。被冷却物載置室43及びファン収容室45は、整流部材25により区切られている。被冷却物載置室43には、被冷却物11が載置されている。
【0031】
貫通穴14は、第3の側壁39−3を貫通するように設けられている。貫通穴14は、第3の側壁39−3のうち、被冷却物載置室43の高さHの上半分に位置する部分で、かつ被冷却物11と整流部材25との間に位置する部分に配置されている。貫通穴14の形状は、例えば、円柱とすることができる(
図4及び
図5参照)が、これに限定されない。例えば、貫通穴14の形状として、四角柱を用いてもよい。
【0032】
温度センサ16は、先端部16Aがファン収容室45内に配置されている。温度センサ16は、温度調節計18と電気的に接続されている。温度センサ16は、ファン収容室45の温度に関するデータを温度調節計18に送信する。
温度センサ16としては、例えば、熱電対を用いることができる。この場合、先端部16Aは、温接点接合点となる。
【0033】
温度調節計18は、冷却槽13の外部に設けられている。温度調節計18は、温度センサ16及び液冷媒導入弁24と電気的に接続されている。温度調節計18には、予めファン収容室45の所定の温度範囲(例えば、−80〜−70℃)に関するデータが格納されている。
【0034】
温度調節計18は、ファン収容室45の所定の温度範囲(例えば、−80〜−70℃)に関するデータ、及び温度センサ16から送信されるデータ(具体的には、ファン収容室45の実際に測定した温度に関するデータ)に基づいて、ファン収容室45の温度が所定の温度範囲となるように、液冷媒導入弁24の開度(開閉も含む)を調節する。
【0035】
冷媒供給ライン21は、その一端が冷却槽13の外部に配置された液体冷媒供給源(図示せず)と接続されており、他端がファン収容室45に配置された冷媒供給部23と接続されている。液体冷媒供給源(図示せず)としては、例えば、液体冷媒として液体窒素を供給するものを用いることができる。
【0036】
冷媒供給部23は、ファン収容室45に配置されている。冷媒供給部23は、冷媒供給ライン21により輸送された液体冷媒を攪拌ファン27の側面に供給するためのものである。
【0037】
液冷媒導入弁24は、電磁弁であり、冷媒供給ライン21に設けられている。液冷媒導入弁24は、温度調節計18と電気的に接続されている。
液冷媒導入弁24は、冷媒供給部23に液体冷媒を供給するか否か、及び冷媒供給部23に供給する液体冷媒の供給量を調節するための弁である。
液冷媒導入弁24は、ファン収容室45内の温度が上昇して、ファン収容室45内の温度が所定の温度範囲(例えば、−80〜−70℃)から外れたときに、ファン収容室45内に液体冷媒を供給する。
【0038】
整流部材25は、被冷却物載置室43とファン収容室45とを区切るように冷却槽13内に配置されている。
整流部材25は、板状部材47と、吸い込み口48と、第1及び第2の吹き出し口49−1,49−2と、を有する。板状部材47は、均一な厚さとされた部材である。
板状部材47の上端面は、蓋体36の下面36aと接触しており、板状部材47の下端面は、底板38の上面38aと接触している。
また、板状部材47の横方向の一方の端面は、第3の側壁39−3の内面と接触しており、板状部材47の横方向の他方の端面は、第4の側壁39−4の内面と接触している。
【0039】
吸い込み口48は、板状部材47のうち、ファン収容室45に収容された攪拌ファン27と対向する部分(具体的には、板状部材47の中央部)を貫通するように設けられている。
つまり、吸い込み口48、並びに第1及び第2の吹き出し口49−1,49−2は、厚さが均一な同一の板状部材47に設けられている。
吸い込み口48は、被冷却物載置室43の雰囲気をファン収容室45に導くための貫通部である。
【0040】
吸い込み口48の形状は、例えば、攪拌ファン27の外形27Aと同様な形状とすることができる。吸い込み口48の大きさは、攪拌ファン27の外形27Aと略等しい大きさとされている。
【0041】
本発明において、吸い込み口48の大きさが攪拌ファン27の外形27Aと略等しいとは、吸い込み口48の直径が攪拌ファン27の直径の0.9〜1.1倍の範囲内のことをいう。
【0042】
第1の吹き出し口49−1は、吸い込み口48と第3の側壁39−3との間に位置する板状部材47を貫通している。第1の吹き出し口49−1としては、例えば、底板38から蓋体36に向かう方向に延在する貫通溝(スリット)とすることができる。
【0043】
第2の吹き出し口49−2は、吸い込み口48と第4の側壁39−4との間に位置する板状部材47を貫通している。第2の吹き出し口49−2は、第1の吹き出し口49−1と同様な形状とされている。整流部材25は、左右対称な形状とされている。
第1及び第2の吹き出し口49−1,49−2は、ファン収容室45の雰囲気を被冷却物載置室43に導くためのものである。
【0044】
なお、
図3では、第1及び第2の吹き出し口49−1,49−2の一例として、板状部材47の上下方向に延在する貫通溝を図示したが、第1及び第2の吹き出し口49−1,49−2の形状及び数は、これに限定されない。
【0045】
例えば、第1及び第2の吹き出し口49−1,49−2として、板状部材47に円形或いは四角形とされた貫通部を一列或いは複数列設けてもよいし、該貫通部の大きさを異ならせてもよい。
他には、例えば、長方形または楕円形とされた貫通溝を板状部材47の横方向或いは縦方向に配置させてもよいし、該貫通溝の大きさを異ならせてもよい。
【0046】
攪拌ファン27は、吸い込み口48と対向するように、ファン収容室45に配置されている。攪拌ファン27は、第2の側壁39−2を貫通する回転軸の一端と接続されている。これにより、攪拌ファン27は、回転可能な状態で、ファン収容室45に配置されている。攪拌ファン27としては、例えば、シロッコファンを用いることができる。
【0047】
攪拌ファン27は、攪拌ファン27の側方から供給された液体冷媒を霧状または低温ガスにすると共に、冷却槽13内の雰囲気を攪拌する。
これにより、吸い込み口48を介して吸い込まれた被冷却物載置室43の雰囲気は、攪拌ファン27の後ろ側方に広がり、ファン収容室45の雰囲気は、第1及び第2の吹き出し口49−1,49−2を介して、被冷却物載置室43に導入される。
【0048】
回転軸28は、第2の側壁39−2を貫通している。回転軸28は、その一端が攪拌ファン27と接続されており、冷却槽13の外部に設けられた他端が回転駆動装置29と接続されている。
回転駆動装置29は、冷却槽13の外部に設けられている。回転駆動装置29は、回転軸28を介して、攪拌ファン27を回転させる。回転駆動装置29としては、例えば、モータを用いることができる。
【0049】
図4は、
図2に示す排気部材、及び冷却槽本体の第3の側壁のC−C線方向の断面図である。
図5は、
図4に示す貫通穴、及び貫通穴の周囲に位置する第3の側壁をD視した図である。
図6は、
図4に示す排気部材をE視した図である。なお、
図5では、
図4に示す排気部材の図示を省略する。
【0050】
図2〜
図4、及び
図6を参照するに、排気部材31は、排気部材本体55と、排気口56と、水抜き用の穴57と、を有する
排気部材本体55は、筒状とされた部材であり、一方の端が開放端とされている。排気部材本体55の開放端側の端部は、第3の側壁39−3に設けられた貫通穴14に挿入されている。排気部材本体55の外径は、貫通穴14の内径と等しい。
【0051】
排気部材本体55は、排気部材本体55が貫通穴14に装着された状態において、貫通穴14から被冷却物載置室43の内部に延在しており、他方の端部が排気口配置空間59内に配置されている。
排気口配置空間59は、被冷却物載置室43のうち、上半分に位置する空間であって、かつ横方向の幅が吸い込み口48の横方向の最大の幅(
図3の場合、吸い込み口48の直径)と一致する空間である。
【0052】
排気部材本体55の外形は、特に限定されないが、例えば、円形や四角形等とすることができる。
図6では、排気部材本体55の一例として、円筒状(排気部材本体55の外形が円形)とされた配管を図示する。
【0053】
なお、
図4では、一例として、排気部材本体55を貫通穴14に挿入させた場合を例に挙げて説明したが、排気部材本体55の内径と貫通穴14の内径とを同じにして、排気部材本体55の一部を貫通穴14に挿入することなく、排気部材本体55を冷却槽13に固定してもよい。
【0054】
排気口56は、ファン収容室45内に液体冷媒が供給されて、冷却槽13内の圧力が上昇した際、排気部材本体55を介して、冷却槽13の外部に低温ガス(液体冷媒がガス化されたもの)の一部を排出することで、冷却槽13内の圧力が所定の圧力範囲内となるように調整する機能を有する。
排気口56は、排気口配置空間59内に配置された排気部材本体55の他端に設けられている。これにより、排気口56は、冷却槽13の第1ないし第4の側壁39−1〜39−4から離間した被冷却物載置室45の内部に配置されている。
【0055】
このように、被冷却物載置室43のうち、上半分に位置する空間であって、かつ横方向の幅が吸い込み口48の横方向の最大の幅(
図3の場合、吸い込み口48の直径)と一致する排気口配置空間59に排気口56を配置することにより、被冷却物載置室43内の中心線上に低温ガスの流路が形成され、ここに排気口56が配置されることで偏流がなくなるため、被冷却物を均一に冷却することができる(言い換えれば、被冷却物11の品質のばらつきを抑制できる。)。
【0056】
また、第1の側壁39−1、第3の側壁39−3、及び第4の側壁39−4の近傍に位置し、被冷却物載置室43の冷却に十分寄与していない低温ガスが、排気口56から排気されることを抑制可能となるため、被冷却物11の冷却に使用する液体冷媒を削減できる。
【0057】
つまり、被冷却物11を均一に冷却することができ、かつ被冷却物11の冷却に使用する液体冷媒を削減することができる。
【0058】
なお、排気口56は、排気口56の全体が排気口配置空間59内に配置されていることが好ましいが、排気口56の一部が排気口配置空間59内に配置されている場合でも同様な効果を得ることができる。
【0059】
また、被冷却物載置室43のうち、下半分に位置する空間に、排気口56を配置させた場合、被冷却物載置室43の冷却に十分寄与することが可能な低温ガスが回収されてしまうため、上記説明したように、排気口56は、被冷却物載置室43のうち、上半分に位置する空間に配置する必要がある。
【0060】
排気部材本体55は、その他端側に上方を向くようにして開口した排気口56を有する。排気口56を上方に向けて設置することにより、冷却槽13の下方に沈んだより温度の低い低温ガスが排気部材本体55を回り込むようにして排気口56に到達するため、冷熱を無駄なく利用することができる。例えば排気部材本体55の側面に排気口56が開口している場合、水平方向から送風されてきた低温ガスを冷却槽13内循環前に排気口56から吸い込み易くなるため、冷熱に無駄が生じる。
【0061】
図7に示すように、排気部材本体55の延在方向Fと直交する面で、排気口56を通過するように、排気部材31を切断した状態において、排気口56は、排気口56の両端56A,56Bと排気部材本体55の中心とを結ぶことで形成される中心角θが90度以内となるように構成するとよい。排気口56から吸い込む低温ガス量を適切にできるため、低温ガスの冷熱をより無駄なく利用できる。
【0062】
図2及び
図4を参照するに、水抜き用の穴57は、排気口56の下方に位置する排気部材本体55を貫通するように設けられている。
ところで、冷却槽13内の温度が所定の温度範囲内の温度となり、液体冷媒の供給を停止すると、排気部材本体55(言い換えれば、排気部材31)を介して、冷却槽13の外部の大気が侵入し、大気中に含まれる水分が排気部材本体55内で結露し、凍結して、排気部材本体55内を閉塞させてしまうことがある。
【0063】
よって、排気口56の下方に位置する排気部材本体55に水抜き用の穴57を設けることで、排気部材本体55内に水分が溜まることを抑制可能となるので、排気部材本体55(言い換えれば、排気部材31)内の閉塞を抑制することができる。
【0064】
第1の実施の形態のサブゼロ処理装置によれば、被冷却物載置室43を構成する第3の側壁39−3に設けられた貫通穴14から被冷却物載置室43の内部に延在し、かつ排気口56を有する排気部材31を設けると共に、被冷却物載置室43の上半分に位置する空間であって、かつ横方向の幅が吸い込み口48の横方向の最大の幅(
図3に示す吸い込み口48の場合、直径)と一致する排気口配置空間59に排気口56を配置することにより、排気口56から低温ガス(被冷却物載置室43の冷却に寄与しない低温ガス)を排気した場合でも、被冷却物載置室43内の雰囲気の温度ばらつきを抑制可能となる。
これにより、被冷却物11を均一に冷却することができる(言い換えれば、被冷却物11の品質のばらつきを抑制できる。)。
【0065】
また、低温ガスが被冷却物載置室43の冷却に十分寄与する前に、排気口56から排気されることを抑制可能となるため、被冷却物11の冷却に使用する液体冷媒を削減できる。
【0066】
つまり、第1の実施の形態のサブゼロ処理装置10によれば、被冷却物11を均一に冷却することができ、かつ被冷却物11の冷却に使用する液体冷媒を削減することができる。
【0067】
なお、第1の実施の形態では、第3の側壁39−3に貫通穴14を設けた場合を例に挙げて説明したが、被冷却物11と整流部材25との間に位置する排気口配置空間に、排気口56を配置させることが可能であれば、貫通穴14は、被冷却物載置室43を構成する冷却槽13のどこに設けてもよい。
具体的には、第3の側壁39−3に替えて、第1の側壁39−1、第4の側壁39−4、蓋体36のいずれかに貫通穴14を設けてもよい。
【0068】
図8は、第1の実施の形態の変形例に係るサブゼロ処理装置を説明するための図であり、該サブゼロ処理装置を構成する蓋体を透過させて、該サブゼロ処理装置を平面視した図である。
図8において、
図2に示す第1の実施の形態のサブゼロ処理装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。また、
図8では、説明の便宜上、第1の実施の形態の変形例に係るサブゼロ処理装置を構成する蓋体(
図1に示す蓋体36)の図示を省略する。
【0069】
図8を参照するに、第1の実施の形態の変形例に係るサブゼロ処理装置65は、貫通穴14及び排気部材31の配設位置を異ならせたこと以外は、第1の実施の形態のサブゼロ処理装置10と同様に構成される。
第1の実施の形態の変形例に係るサブゼロ処理装置65では、被冷却物11と第1の側壁39−1との間に位置する排気口配置空間59に、排気口56が配置されるように、第1の側壁39−1の近傍に位置する第3の側壁39−3に貫通穴14が設けられている。
【0070】
このような構成とされた第1の実施の形態の変形例に係るサブゼロ処理装置65は、第1の実施の形態のサブゼロ装置10と同様な効果を得ることができる。
【0071】
(第2の実施の形態)
図9は、第2の実施の形態に係るサブゼロ処理装置を説明するための図であり、該サブゼロ処理装置を構成する蓋体を透過させて、該サブゼロ処理装置を平面視した図である。
【0072】
図9において、
図2に示す第1の実施の形態のサブゼロ処理装置10と同一構成部分には、同一符号を付す。また、
図9では、説明の便宜上、第2の実施の形態に係るサブゼロ処理装置70を構成する蓋体(
図1に示す蓋体36)の図示を省略する。
【0073】
図9を参照するに、第2の実施の形態のサブゼロ処理装置70は、第1の実施の形態のサブゼロ処理装置10を構成する整流部材25と、整流部材25で区切られた被冷却物載置室43及びファン収容室45と、に替えて、整流部材71と、整流部材71で区切られた被冷却物載置室81及びファン収容室82を有すること以外は、サブゼロ処理装置10と同様に構成される。
【0074】
整流部材71は、平面視した状態において、コの字型とされている。整流部材71は、その下端面が底板38の上面38aと接触しており、上端面が図示していない蓋体の下面と接触している。
これにより、整流部材71は、冷却槽13内において、整流部材71の内側に配置され、かつ直方体とされた被冷却物載置室81と、整流部材71の外側に配置され、かつ平面視コの字型とされたファン収容室82と、を区切っている。
【0075】
整流部材71は、第1の板状部材72−1、第2の板状部材72−2、及び第3の板状部材72−3を有する。
第1の板状部材72−1は、攪拌ファン27と排気部材31との間に配置されている。第1の板状部材72−1は、第1の側壁39−1に対して平行となるように配置されている。第1の板状部材72−1は、攪拌ファン27と対向する吸い込み口48を有する。
【0076】
図10は、
図9に示す整流部材の第2の板状部材をM視した図である。
図9及び
図10を参照するに、第2の板状部材72−2は、第3の側壁39−3に対して平行となるように、冷却槽13内で、かつ第3の側壁39−3の近くに配置されている。第2の板状部材72−2は、横方向の一方の端が第1の板状部材72−1と一体とされており、横方向の他方の端が第1の側壁39−1の内面と接触している。
【0077】
第2の板状部材72−2は、第1の吹き出し口74−1と、排気部材挿入穴76と、を有する。第1の吹き出し口74−1は、第2の板状部材72−2の下部を貫通するように設けられている。第1の吹き出し口74−1は、ファン収容室82の雰囲気を被冷却物載置室81に導く機能を有する。
【0078】
図11は、
図9に示す排気部材、冷却槽本体の第3の側壁、及び整流部材の第2の板状部材のN−N線方向の断面図である。
図11において、
図9及び
図10と同一構成部分には、同一符号を付す。
【0079】
図9〜
図11を参照するに、排気部材挿入穴76は、第2の板状部材72−2のうち、貫通穴14と対向する部分を貫通するように設けられている。排気部材挿入穴76には、排気部材31が挿入されている。
【0080】
図9を参照するに、第3の板状部材72−3は、第4の側壁39−4に対して平行となるように、冷却槽13内で、かつ第4の側壁39−4の近くに配置されている。第3の板状部材72−3は、横方向の一方の端が第1の板状部材72−1と一体とされており、横方向の他方の端が第1の側壁39−1の内面と接触している。
【0081】
第3の板状部材72−3は、第2の吹き出し口74−2を有する。第2の吹き出し口74−2は、第3の板状部材72−3の下部のうち、第1の吹き出し口74−1と対向する部分を貫通するように設けられている。
第2の吹き出し口74−2は、第1の吹き出し口74−1と同様な形状とされている。第2の吹き出し口74−2は、第1の吹き出し口74−1と同様な機能を有する。
【0082】
このような構成とされた第2の実施の形態のサブゼロ処理装置70は、第1の実施の形態のサブゼロ装置10と同様な効果を得ることができる。
【0083】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。