【実施例】
【0041】
以下、本発明にかかわる電源装置の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。
【0042】
図6および
図7は本発明の実施例における電源装置の構成を示す回路図である。
図6の回路と
図7の回路とは、
図6右端および
図7左端のG1−G2ラインでつながっている。
【0043】
まず、構成要素を列挙する。
図6、
図7において、10は交流電源、11は1次側入力段のコネクタ、12は2次側出力段のメイン側のコネクタ、13は2次側出力段のサブ側のコネクタ、20は入力ライン切替回路、30はスイッチング電源回路、40はスイッチングトランス、50はメイン出力回路、60はサブ出力回路、70は第1のLED、80は第2のLED、90は切替制御回路である。コネクタ11が交流電源10に接続され、コネクタ12に第1のLED70が接続され、コネクタ13に第2のLED80が接続される。
【0044】
入力ライン切替回路20は、交流電源10をスイッチング電源回路30のみに接続する状態と、交流電源10をスイッチング電源回路30および切替制御回路90に接続する状態とに切り替えるものであり、
図2で示したように切替スイッチ21と一方向性素子のダイオード22とで構成されている。
図3の構成でもよい。
【0045】
スイッチング電源回路30は、全波整流用のダイオードブリッジDB、平滑コンデンサC1、チョークコイルL1、Nチャンネル型MOSトランジスタQ1、力率改善回路(PFC制御回路)33、ダイオードD2、電解コンデンサからなる平滑コンデンサC2、Nチャンネル型MOSトランジスタQ2および1次側メイン制御回路(コンバータ回路)34を備えている。
【0046】
ダイオードブリッジDBの入力側は入力ライン切替回路20の出力側(第1の出力端子)とコネクタ11の負極とに接続され、その出力側は正極電源ラインA1と負極電源ラインB1とに接続されている。正極電源ラインA1と負極電源ラインB1との間に平滑コンデンサC1が接続され、平滑コンデンサC1と正極電源ラインA1の接続点にはチョークコイルL1とダイオードD2の直列回路が接続されている。ダイオードD2のカソードは平滑コンデンサC2の正極およびスイッチングトランス40の1次巻線N0に接続されている。チョークコイルL1とダイオードD2のアノードとの接続点と負極電源ラインB1との間にNMOSトランジスタQ1のドレイン・ソースが接続され、そのゲートに力率改善回路33の制御出力端子が接続されている。力率改善回路33は、交流電源10に流れる電流を正弦波状にするようにNMOSトランジスタQ1のスイッチングを制御する。
【0047】
ダイオードD2のカソードと負極電源ラインB1との間に電解コンデンサからなる平滑コンデンサC2が接続されている。平滑コンデンサC2の両端間にスイッチングトランス40の1次巻線N0とNMOSトランジスタQ2とが接続されている。NMOSトランジスタQ2のゲートには1次側メイン制御回路34の制御出力端子が接続されている。この1次側メイン制御回路34が2次側からのフィードバック制御に関係している(詳しくは後述する)。
【0048】
メイン出力回路50は、ダイオードD3、電解コンデンサからなる平滑コンデンサC3、シャント抵抗R1を備えている。スイッチングトランス40における第1の2次巻線N1の正極側にダイオードD3のアノードが接続され、そのカソードと第1の2次巻線N1の負極側との間に平滑コンデンサC3が接続されている。平滑コンデンサC3の正極端子がコネクタ12の正極に接続され、コネクタ12の負極がシャント抵抗R1を介して平滑コンデンサC3の負極端子に接続されている。コネクタ12には第1のLED70が接続されるようになっている。LED(発光ダイオード)は半導体発光素子の例である。
【0049】
一方、サブ出力回路60は、ダイオードD4、電解コンデンサからなる平滑コンデンサC4、サブ側定電流制御回路61、電流制限抵抗R11、プルアップ抵抗R14、平滑コンデンサC5を備えている。サブ側定電流制御回路61は、NPN型のトランジスタTr1,Tr2,Tr3、抵抗R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9,R10およびシャントレギュレータSRを備えている。スイッチングトランス40における第2の2次巻線N2の正極側にダイオードD4のアノードが接続され、そのカソードと第2の2次巻線N2の負極側との間に平滑コンデンサC4が接続されている。
【0050】
サブ側定電流制御回路61の構成は次のようになっている。平滑コンデンサC4の両端間に抵抗R2、抵抗R3、トランジスタTr1の直列回路が接続されている。トランジスタTr2のコレクタが平滑コンデンサC4の正極端子に接続され、そのエミッタはトランジスタTr3のベースに接続され、トランジスタTr2のベースは抵抗R2,R3の接続点に接続されている。トランジスタTr2のベースは抵抗R4を介してトランジスタTr3のベースに接続されている。トランジスタTr3のコレクタは平滑コンデンサC4の正極端子に接続され、そのエミッタは抵抗R5を介してベースに接続されている。トランジスタTr3のコレクタと負極電源ラインB3との間に起動抵抗R6,R7,R8の直列回路が接続されている。抵抗R7と抵抗R8との接続点にトランジスタTr1のベースが接続されている。抵抗R6と抵抗R7の接続点にシャントレギュレータSRのカソードが接続され、そのアノードは負極電源ラインB3に接続されている。サブ側定電流制御回路61における正極電源ラインA3と負極電源ラインB3との間に抵抗R9と抵抗R10の直列回路(抵抗分割回路)が接続され、両抵抗R9,R10の接続点にシャントレギュレータSRのレファレンス端子が接続されている。サブ側定電流制御回路61における正極電源ラインA3と負極電源ラインB3との間には平滑コンデンサC5が接続されている。平滑コンデンサC5の正極端子が電流制限抵抗R11を介してコネクタ13の正極に接続されている。コネクタ13には第2のLED80が接続されるようになっている。コネクタ13の負極はNチャンネル型MOSトランジスタQ3を介して負極電源ラインB3に接続されている。NMOSトランジスタQ3が前述の開閉部65や開閉素子に対応している。NMOSトランジスタQ3のドレインがコネクタ13の負極に接続され、そのソースが負極電源ラインB3に接続され、そのゲートが切替制御回路90の出力端子T1に接続されている。NMOSトランジスタQ3のソースは第2の2次巻線N2から延出の負極電源ラインB3に接続されている。
【0051】
次に、メイン出力回路50とスイッチング電源回路30との間のフィードバック制御のメイン側定電流制御回路51について説明する。このメイン側定電流制御回路51は、オペアンプで構成されたコンパレータCm1、逆流防止ダイオードD6、フォトカプラPC1、抵抗R12,R13,R14,R15,R16,R17を備えている。コンパレータCm1の反転入力端子(−)は抵抗R13,R12の直列回路を介してメイン出力回路50の負極電源ラインB2に接続されている。その接続点は、コネクタ12とシャント抵抗R1との接続点となっている。コンパレータCm1の非反転入力端子(+)は抵抗R15と抵抗R16の接続点に接続されている。抵抗R16は負極電源ラインB3に接続され、プルアップ抵抗R15,R14は、サブ出力回路60の正極電源ラインA3に接続されている。コンパレータCm1の出力端子は逆流防止ダイオードD6のカソードに接続され、そのアノードはフォトカプラPC1における発光ダイオードD5のカソードに接続されている。フォトカプラPC1における発光ダイオードD5のアノードは抵抗R17を介して正極電源ラインA3に接続されている。フォトカプラPC1におけるフォトトランジスタP5のコレクタが1次側メイン制御回路34の制御入力端子に接続され、そのエミッタが負極電源ラインB1に接続されている。
【0052】
次に、メイン出力回路50とサブ出力回路60との間のメイン出力電圧安定化回路100について説明する。このメイン出力電圧安定化回路100は、メイン出力回路50の出力電圧とサブ出力回路60の出力電圧との差分でスイッチング電源回路30をフィードバック制御するもので、オペアンプで構成されたコンパレータCm2、逆流防止ダイオードD7、フォトカプラPC1、抵抗R14,R17,R18,R19,R20,R21,R22を備えている。このメイン出力電圧安定化回路100は前述の状態遷移部55の一部を構成する。
【0053】
コンパレータCm2の反転入力端子(−)は抵抗R18,R19の接続点に接続されている。プルアップ抵抗R18の他端はメイン出力回路50の正極電源ラインA2に接続され、抵抗R19の他端はサブ出力回路60の負極電源ラインB3に接続されている。コンパレータCm2の非反転入力端子(+)はプルアップ抵抗R20,R14を介してサブ出力回路60の正極電源ラインA3に接続されている。また、その非反転入力端子(+)は抵抗R21と抵抗R22を介してサブ出力回路60の負極電源ラインB3に接続されている。コンパレータCm2の出力端子は逆流防止ダイオードD7のカソードに接続され、そのアノードはフォトカプラPC1における発光ダイオードD5のカソードに接続されている。
【0054】
切替制御回路90は、電流制限抵抗R23、抵抗R24,R25,R26、逆流防止ダイオードD8、ツェナーダイオード(定電圧ダイオード)ZD、電解コンデンサからなる平滑コンデンサC6、フォトカプラPC2を備えている。電流制限抵抗R23の一端が入力ライン切替回路20の第2の出力端子に接続され、他端が逆流防止ダイオードD8のアノードに接続されている。逆流防止ダイオードD8のカソードはツェナーダイオードZDの正極および平滑コンデンサC6の正極に接続され、それぞれの負極はコネクタ11の負極に接続されている。コンデンサC6の正極にフォトカプラPC2の発光ダイオードD9のアノードが接続され、そのカソードは抵抗R24を介してコンデンサC6の負極に接続されている。フォトカプラPC2におけるフォトトランジスタP9のコレクタがサブ出力回路60における正極電源ラインA3に接続され、そのエミッタが抵抗R25および抵抗R26を介してサブ出力回路60の負極電源ラインB3に接続されている。抵抗R25と抵抗R26の接続点が出力端子T1に接続され、その出力端子T1がNMOSトランジスタQ3のゲートに接続されている。また、フォトトランジスタP9と抵抗R25の接続点が出力端子T2に接続され、その出力端子T2が抵抗R27と抵抗R28を介して負極電源ラインB3に接続され、抵抗R27と抵抗R28の接続点がNPN型のトランジスタTr4のベースに接続されている。
【0055】
次に、電圧シフト回路110について説明する。電圧シフト回路110は前述の状態遷移部55の一部を構成する。つまり、メイン出力電圧安定化回路100と電圧シフト回路110とで状態遷移部55が構成される。電圧シフト回路110は、NPN型のトランジスタTr4、抵抗R21,R22,R27,R28を備えている。抵抗R21と抵抗R22とはメイン出力電圧安定化回路100の構成要素でもある。トランジスタTr4のコレクタが抵抗R21と抵抗R22の接続点に接続され、エミッタが負極電源ラインB3に接続されている。トランジスタTr4のベースは抵抗R27と抵抗R28の接続点に接続されている。
【0056】
<動作説明> 次に、動作を説明する。
【0057】
本実施例の電源装置の動作モードには、第1のLED70を点灯させるメイン動作モードと、第2のLED80を点灯させるサブ動作モードとがある。
【0058】
(1)メイン動作モード
まず、メイン動作モードについて説明する。メイン動作モードにあっては、入力ライン切替回路20はスイッチング電源回路30に対してのみ電力を供給する状態に設定される。なお、後述するサブ動作モードにおいては、スイッチング電源回路30と切替制御回路90の双方に電力を供給する状態に設定される。この2つの状態は二律背反的に切り替えられるようになっている。メイン動作モードにおいては、入力ライン切替回路20からは切替制御回路90に対する給電が行われていない。したがって、切替制御回路90の出力端子T1からの切替制御信号SS1および出力端子T2からの切替制御信号SS2はともに“L”レベルであり、サブ出力回路60における開閉素子であるNMOSトランジスタQ3はオフ状態となっている。つまり、第2のLED80は消灯状態に維持されている。
【0059】
メイン動作モードにおいて、交流電源10から入力ライン切替回路20を介して入力されてくる交流電圧がダイオードブリッジDBにおいて全波整流され、さらに平滑コンデンサC1によって平滑化されて直流電圧となる。力率改善回路33の制御のもとでのNMOSトランジスタQ1のスイッチングによってチョークコイルL1に電磁エネルギーを蓄積したり、そこからエネルギーを解放したりの動作を繰り返すことにより力率改善を行う。さらにダイオードD2で整流し、平滑コンデンサC2で平滑化する。
【0060】
さらに、1次側メイン制御回路34の制御によってNMOSトランジスタQ2をオン/オフ制御すると、スイッチングトランス40の1次巻線N0から第1および第2の2次巻線N1,N2に交流電圧が誘起される。メイン出力回路50において、整流ダイオードD3と平滑コンデンサC3とで2次側直流電圧を生成し、コネクタ12を介して第1のLED70に直流電流を供給して第1のLED70を点灯させる。
【0061】
メイン動作モードにおけるメイン出力回路50からスイッチング電源回路30へのフィードバック制御は定電流制御によって行われる。メイン出力回路50におけるシャント抵抗R1によってメイン出力回路50を流れる電流を電圧のかたちで検出する。その検出電圧(検出電流)は、抵抗R12,R13を介してコンパレータCm1の反転入力端子(−)に印加される。コンパレータCm1の非反転入力端子(+)には、直列のプルアップ抵抗R14,R15と抵抗R16によって抵抗分割された基準電圧が印加される。メイン出力回路50の出力電流が増加してシャント抵抗R1での検出電圧がコンパレータCm1の基準電圧を上回ると、コンパレータCm1の出力端子が“H”レベルから“L”レベルへと反転する。その結果、ダイオードD6が導通し、フォトカプラPC1の発光ダイオードD5に電流が流れる。発光ダイオードD5からの光がフォトトランジスタP5に入射し、フォトトランジスタP5が導通する。これにより、フィードバック制御信号FCが1次側メイン制御回路34に与えられ、1次側メイン制御回路34はNMOSトランジスタQ2をオフに反転制御する。その結果として、メイン出力回路50に流れる電流が減少する。
【0062】
一方、メイン出力回路50の出力電流が減少してシャント抵抗R1での検出電圧がコンパレータCm1の基準電圧を下回ると、コンパレータCm1の出力端子が“L”レベルから“H”レベルへと反転する。その結果、ダイオードD6が非導通状態に切り替わり、フォトカプラPC1の発光ダイオードD5の電流が遮断される。結果として、フィードバック制御信号FCは無効となり、NMOSトランジスタQ2はオンに反転制御される。その結果として、メイン出力回路50に流れる電流が増加する。
【0063】
以上の制御動作の繰り返しにより、メイン出力回路50に流れる電流は規定値に安定化される。
【0064】
メイン動作モードでは前述の通り切替制御回路90の出力端子T2からの切替制御信号SS2は“L”レベルであり、電圧シフト回路110のトランジスタTr4はオフしている。このときメイン出力電圧安定化回路100におけるコンパレータCm2の非反転入力端子(+)には直列の抵抗R21,R22での降下電圧が印加されている。その結果、コンパレータCm2の出力は“H”レベルで、逆流防止ダイオードD7は非導通、フォトカプラPC1はオフ状態であり、スイッチング電源回路30のNMOSトランジスタQ2はオン状態にある。このときのメイン出力回路50の安定的な出力電圧のレベルは、第1のLED70の順方向電圧Vfよりも充分に高い一定レベルに安定化される。第1のLED70の順方向電圧Vfはおよそ60〜80[V]であるが、ここでは順方向電圧Vfを例えば70[V]とすれば、メイン出力回路50の安定的な出力電圧のレベルを例えば80[V]にするように抵抗R18,R19,R20,R21,R22の抵抗値を設定しておけばよい。このように設定しておけば、メイン出力回路50の安定的な出力電圧レベル80[V]は第1のLED70の順方向電圧Vf(=70[V])を上回っているので、第1のLED70には電流が流れ、第1のLED70は所期通りに点灯することになる。
【0065】
なお、上記の通りNMOSトランジスタQ3がオフしているため、サブ出力回路60は不活性状態にあり、第2のLED80は消灯している。
【0066】
(2)サブ動作モード
次に、サブ動作モードについて説明する。入力ライン切替回路20においてライン切り替えを行うと、それまでのスイッチング電源回路30に対してのみの電力供給状態から、スイッチング電源回路30と切替制御回路90の双方への電力供給状態へと切り替えが行われる。切替制御回路90において、電流制限抵抗R23によって電流が制限され、逆流防止ダイオードD8を介して平滑コンデンサC6に充電が行われる。平滑コンデンサC6への充電電圧はツェナーダイオードZDの降伏電圧によって定まる。フォトカプラPC2の発光ダイオードD9に電流が流れ、フォトトランジスタP9が導通することにより、分割抵抗R25,R26の接続点と分割抵抗R27,R28の接続点に所定の電圧が印加されることになる。これによって、サブ出力回路60のNMOSトランジスタQ3に対する切替制御信号SS1と、電圧シフト回路110のトランジスタTr4に対する切替制御信号SS2がともに活性化して有効となる。
【0067】
切替制御信号SS1が“L”レベルから“H”レベルに反転すると、それまでオフ状態にあったNMOSトランジスタQ3が反転してオン状態に切り替わり、サブ出力回路60に電流が流れることになる。結果、スイッチングトランス40の1次巻線N0から第2の2次巻線N2に誘起された交流電流が整流ダイオードD4と平滑コンデンサC4とで2次側直流電圧を生成し、サブ側定電流制御回路61におけるトランジスタTr3および電流制限抵抗R11からコネクタ13を介して第2のLED80に直流電流を供給して第2のLED80を点灯させる。
【0068】
このときのサブ側定電流制御回路61の動作は次のように行われる。平滑コンデンサC4の正極端子からの電流が起動抵抗R6,R7,R8を通り負極電源ラインB3に流れ込む。起動抵抗R8の両端電圧によってトランジスタTr1がターンオンし、連動してトランジスタTr2,Tr3もターンオンする。平滑コンデンサC4からの電流がオン状態となったトランジスタTr3を介して平滑コンデンサC5を充電し、正極電源ラインA3の電圧レベルが上昇する。
【0069】
平滑コンデンサC5に対する充電電流は分割抵抗R9,R10によって監視される。分圧抵抗R10での降下電圧がシャントレギュレータSRのレファレンス端子に印加されるが、充電電流の増加によって分圧抵抗R10での降下電圧がシャントレギュレータSRの基準電圧を上回ると、シャントレギュレータSRがターンオンし、直列の抵抗R7,R8が短絡されるので、トランジスタTr1のコレクタ電流が絞られる。連動してトランジスタTr3のコレクタ電流も絞られ、平滑コンデンサC5に対する充電電流が抑えられる。逆に、充電電流の減少によって分圧抵抗R10での降下電圧がシャントレギュレータSRの基準電圧を下回ると、シャントレギュレータSRがターンオフし、直列の抵抗R7,R8が接続されるので、トランジスタTr1のコレクタ電流が増加する。連動してトランジスタTr3のコレクタ電流も増加し、平滑コンデンサC5に対する充電電流が増える。以上のサブ側定電流制御回路61の動作の繰り返しによりサブ出力回路60の正極電源ラインA3に流れる電流が安定化される。この電流は電流制限抵抗R11によって限流され、第2のLED80に供給され、第2のLED80が点灯する。第2のLED80の定格電圧は4〜12[V]で、これは第1のLED70の定格電圧の60〜80[V]よりもかなり低い。そこで、第2のLED80へ供給する電流は電流制限抵抗R11によって制限を与えている。
【0070】
一方、切替制御回路90における出力端子T2の切替制御信号SS2が活性化して有効となると、電圧シフト回路110におけるトランジスタTr4が導通し、メイン出力電圧安定化回路100における抵抗R22が短絡される。その結果、メイン出力電圧安定化回路100におけるコンパレータCm2の非反転入力端子(+)の印加電圧が低下し、コンパレータCm2の出力端子がそれまでの“H”レベルから“L”レベルへと反転する。結果、逆流防止ダイオードD7が導通し、フォトカプラPC1が前述同様に機能して、スイッチング電源回路30の1次側メイン制御回路34を介してNMOSトランジスタQ2がオフし、メイン出力回路50の正極電源ラインA2の電圧が低下する。この正極電源ラインA2が次に反転して上昇するようになるときのコンパレータCm2の非反転入力端子(+)に印加される電圧は、トランジスタTr4がオンする前と後とで大きく異なる。それは、正極電源ラインA2の電圧が第1のLED70の順方向電圧Vf未満に下がることに対応している。
【0071】
第1のLED70の順方向電圧Vfは60〜80[V]、第2のLED80の順方向電圧Vfは4〜12[V]である。いま、第1のLED70の順方向電圧Vfが70[V]であるとして、トランジスタTr4がオンする前の正極電源ラインA2の安定電圧を例えば80[V]、トランジスタTr4がオフしたのちの正極電源ラインA2の安定電圧を50[V]とする。そうなるようにメイン出力電圧安定化回路100の各抵抗R18,R19,R20,R21,R22,R23の抵抗値を設定する。
【0072】
サブ動作モードにおいては、上記のように電圧シフト回路110のトランジスタTr4が導通してメイン出力回路50の正極電源ラインA2の安定電圧が第1のLED70の順方向電圧Vf(=70[V](一例))よりも低い電圧(50[V](一例))となる結果、半導体発光素子である第1のLED70に電流が流れなくなり、第1のLED70は点灯状態から消灯状態へと切り替わることになる。
【0073】
以上をまとめると、メイン動作モードにあってはサブ出力回路60におけるNMOSトランジスタQ3を非導通状態とし、サブ動作モードにあってはメイン出力回路50の出力電圧を第1のLED70の順方向電圧Vfを下回る電圧として第1のLED70に電流が流れないようにしている。よって、メイン動作モードにおいてサブ出力回路60の入力端の第2の2次巻線N2を活性状態に保っていてもよいし、サブ動作モードにおいてメイン出力回路50の入力端の第1の2次巻線N1を活性状態に保っていてもよい、ということになる。すなわち、2次側の出力回路としてメイン出力回路50とサブ出力回路60との2つの出力回路を有するものでありながら、用いるべきスイッチングトランスとしては1つのみのスイッチングトランス40でよいことになる訳である。
【0074】
ここで、切替制御回路90について、その電力源を考える。その電力源は、スイッチング電源回路30の電力源と同じ交流電源10である。共通の交流電源10を電力源としながら、入力ライン切替回路20での経路切り替えによって、スイッチング電源回路30に対してのみの電力供給状態と、スイッチング電源回路30と切替制御回路90の双方への電力供給状態とを切り替えなければならない。
【0075】
そのための工夫として、
図2に示すように構成してある。切替スイッチ21はトランスファ接点構成のもので、そのコモン端子がコネクタ11の正極に接続され、その常閉接点ncがスイッチング電源回路30におけるダイオードブリッジDBの入力側に接続され、その常開接点noが切替制御回路90における電流制限抵抗R23に接続されている。さらに、常開接点noと常閉接点ncとの間に一方向性素子22が接続されている。一方向性素子22のアノードが常開接点noに接続され、そのカソードが常閉接点ncに接続されている。
【0076】
このような一方向性素子22付きの切替スイッチ21をもって入力ライン切替回路20を構成してあるので、電力源を共通単一の交流電源10としながら、スイッチング電源回路30に対してのみの電力供給状態と、スイッチング電源回路30と切替制御回路90の双方への電力供給状態とを切り替えることが可能となっている。
【0077】
ただし、交流電源10のほかに乾電池やスーパーキャパシタのような別途の直流電源を利用できるのであれば、入力ライン切替回路20は必ずしも必要としない。その直流電源と切替制御回路90との間にスイッチ手段を介装すればよいだけである。その場合、入力ラインには単極単投のスイッチ手段を設けるだけでよい。