(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
バルブケーシングには、給気ポート、第1出力ポート及び第2出力ポートにそれぞれ連通する収容孔が形成されており、前記収容孔にはスプール弁が往復動可能に収容されており、前記バルブケーシングにおける前記スプール弁の端部側にはピストン室が形成されており、前記ピストン室にはピストンが往復動可能に収容されており、前記ピストンにより前記ピストン室にパイロット圧作用室が区画されており、前記ピストンには遮光体が設けられるとともに、パイロット弁部の電磁駆動部への通電がオンになると、前記パイロット圧作用室にパイロット圧としてのパイロット流体が供給されて、前記スプール弁が一端側へ移動して前記給気ポートと前記第1出力ポートとが連通するとともに、前記電磁駆動部への通電がオフになると、前記パイロット圧作用室への前記パイロット流体の供給が行われなくなって、前記スプール弁が他端側へ移動して前記給気ポートと前記第2出力ポートとが連通するパイロット形電磁弁であって、
投受光型の光センサを一つ有するとともに、
前記光センサからの光を受光した時間を算出する制御部を有し、
前記制御部は、前記電磁駆動部への通電がオンされて前記給気ポートと前記第1出力ポートとが連通したときに前記遮光体が前記光センサからの光を遮光可能な遮光位置から離脱するまでの離脱時間を算出するとともに、前記電磁駆動部への通電がオフされて前記給気ポートと前記第2出力ポートとが連通したときに前記遮光体が前記遮光位置に到達するまでの到達時間を算出することを特徴とするパイロット形電磁弁。
バルブケーシングには、給気ポート、第1出力ポート及び第2出力ポートにそれぞれ連通する収容孔が形成されており、前記収容孔にはスプール弁が往復動可能に収容されており、前記バルブケーシングにおける前記スプール弁の端部側にはピストン室が形成されており、前記ピストン室にはピストンが往復動可能に収容されており、前記ピストンにより前記ピストン室にパイロット圧作用室が区画されており、前記ピストンには遮光体が設けられるとともに、パイロット弁部の電磁駆動部への通電がオンになると、前記パイロット圧作用室にパイロット圧としてのパイロット流体が供給されて、前記スプール弁が一端側へ移動して前記給気ポートと前記第1出力ポートとが連通するとともに、前記電磁駆動部への通電がオフになると、前記パイロット圧作用室への前記パイロット流体の供給が行われなくなって、前記スプール弁が他端側へ移動して前記給気ポートと前記第2出力ポートとが連通するパイロット形電磁弁であって、
投受光型の光センサを一つ有するとともに、
前記光センサからの光を受光した時間を算出する制御部を有し、
前記制御部は、前記電磁駆動部への通電がオンされて前記給気ポートと前記第1出力ポートとが連通したときに前記遮光体が前記光センサからの光を遮光可能な遮光位置に到達するまでの到達時間を算出するとともに、前記電磁駆動部への通電がオフされて前記給気ポートと前記第2出力ポートとが連通したときに前記遮光体が前記遮光位置から離脱するまでの離脱時間を算出することを特徴とするパイロット形電磁弁。
前記バルブケーシングは、前記遮光体における前記スプール弁の軸方向に沿った移動を案内する案内壁を有していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のパイロット形電磁弁。
【背景技術】
【0002】
パイロット形電磁弁のバルブケーシングには、給気ポートと、第1及び第2出力ポートと、第1及び第2排気ポートとが形成されている。また、バルブケーシングには、各ポートに連通する収容孔が形成されており、収容孔にはスプール弁が往復動可能に収容されている。さらに、バルブケーシングにおけるスプール弁の一端側には第1ピストン室が形成されるとともに、バルブケーシングにおけるスプール弁の他端側には第2ピストン室が形成されている。第1ピストン室には大径の第1ピストンが往復動可能に収容されるとともに、第2ピストン室には第1ピストンよりも小径の第2ピストンが往復動可能に収容されている。そして、第1ピストンにより第1ピストン室に第1パイロット圧作用室が区画されるとともに、第2ピストンにより第2ピストン室に第2パイロット圧作用室が区画されている。
【0003】
スプール弁は、第1及び第2パイロット圧作用室に対するパイロット圧の供給に基づいて収容孔内を往復動する。具体的には、第1パイロット圧作用室は、第1パイロット流路を介して給気ポートに連通している。第1パイロット流路は、パイロット形電磁弁が備えるパイロット弁部により開閉される。また、第2パイロット圧作用室は、第2パイロット流路を介して給気ポートに常時連通している。
【0004】
そして、パイロット弁部が備える電磁駆動部への通電がオンになると、パイロット弁部が開弁して、第1パイロット圧作用室にパイロット圧として圧縮空気(パイロット流体)が供給される。すると、第1ピストンと第2ピストンの受圧面積の差から、第1ピストンに作用する圧縮空気のパイロット圧によって第1ピストンが第2ピストン室側へ押圧されて、スプール弁が第2ピストン室側へ移動する。その結果、給気ポートと第1出力ポートとが連通し、給気ポートから供給された圧縮空気が第1出力ポートを介してアクチュエータに供給される。
【0005】
また、電磁駆動部への通電がオフになると、パイロット弁部が閉弁して、第1パイロット圧作用室への圧縮空気の供給が行われなくなる。すると、第2パイロット圧作用室に供給されている圧縮空気のパイロット圧によって第2ピストンが第1ピストン室側へ押圧されて、スプール弁が第1ピストン室側へ移動する。その結果、給気ポートと第2出力ポートとが連通し、給気ポートから供給された圧縮空気が第2出力ポートを介してアクチュエータに供給される。
【0006】
ところで、例えば特許文献1では、スプール弁が収容孔内で往復動が行われているか否かを検出するために、光センサを使用してスプール弁の位置を検出することが行われている。第1ピストンには被検出部(反射体)が設けられている。被検出部は、スプール弁が第2ピストン室側へ移動してストローク端に到達したときに、光センサからの光を反射可能な反射位置に到達するようになっている。そして、光センサが、被検出部によって反射された反射光を受光することにより、第1ピストンを介してスプール弁の位置が検出される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、パイロット形電磁弁は、例えば、経年変化に伴ってバルブ性能が低下する。すると、給気ポートと第1出力ポートとの連通のタイミング、及び給気ポートと第2出力ポートとの連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れてしまうといった問題が生じる。そこで、給気ポートと第1出力ポートとの連通のタイミング、及び給気ポートと第2出力ポートとの連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れているか否かを、光センサを利用することで把握することが考えられる。
【0009】
例えば特許文献1においては、電磁駆動部への通電がオンになってから、被検出部が反射位置に到達するまでの到達時間と、電磁駆動部への通電がオフになってから、被検出部が、反射位置から離脱するまでの離脱時間とを把握することができる。ここで、離脱時間は到達時間に比べて非常に短く、これら到達時間と離脱時間とは時間に大きなずれがあるため、給気ポートと第1出力ポートとの連通のタイミング、及び給気ポートと第2出力ポートとの連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れているか否かを、到達時間及び離脱時間に基づいて把握することは困難である。
【0010】
そこで、例えば、第1ピストン及び第2ピストンに被検出部をそれぞれ設ける。さらに、パイロット形電磁弁に光センサを二つ配設する。そして、電磁駆動部への通電がオンになってから所定の時間経過したときに、第1ピストンに設けられた被検出部が、一方の光センサからの光を反射可能な反射位置に到達するようにする。さらに、電磁駆動部への通電がオフになってから所定の時間経過したときに、第2ピストンに設けられた被検出部が、他方の光センサからの光を反射可能な反射位置に到達するようにする。ここでは、パイロット形電磁弁のバルブ性能が低下しておらず正常に動作している際には、電磁駆動部への通電がオンになってから所定の時間経過すると、給気ポートと第1出力ポートとが連通するとともに、電磁駆動部への通電がオフになってから所定の時間経過すると、給気ポートと第2出力ポートとが連通するようになっている。
【0011】
そして、電磁駆動部への通電がオンになってから所定の時間経過しても、第1ピストンに設けられた被検出部が反射位置に到達せず、電磁駆動部への通電がオフになってから所定の時間経過しても、第2ピストンに設けられた被検出部が反射位置に到達しなかったとする。これによれば、給気ポートと第1出力ポートとの連通のタイミング、及び給気ポートと第2出力ポートとの連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れていることを把握することができ、パイロット電磁弁のバルブ性能が低下していることを把握することができる。
【0012】
しかし、第1ピストン及び第2ピストンに被検出部をそれぞれ設けるとともに、パイロット形電磁弁に光センサを二つ配設する必要があるため、パイロット形電磁弁が大型化してしまう。
【0013】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、光センサを一つ用いるだけで、給気ポートと第1出力ポートとの連通のタイミング、及び給気ポートと第2出力ポートとの連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れているか否かを把握することができるパイロット形電磁弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するパイロット形電磁弁は、バルブケーシングには、給気ポート、第1出力ポート及び第2出力ポートにそれぞれ連通する収容孔が形成されており、前記収容孔にはスプール弁が往復動可能に収容されており、前記バルブケーシングにおける前記スプール弁の端部側にはピストン室が形成されており、前記ピストン室にはピストンが往復動可能に収容されており、前記ピストンにより前記ピストン室にパイロット圧作用室が区画されており、前記ピストンには遮光体が設けられるとともに、パイロット弁部の電磁駆動部への通電がオンになると、前記パイロット圧作用室にパイロット圧としてのパイロット流体が供給されて、前記スプール弁が一端側へ移動して前記給気ポートと前記第1出力ポートとが連通するとともに、前記電磁駆動部への通電がオフになると、前記パイロット圧作用室への前記パイロット流体の供給が行われなくなって、前記スプール弁が他端側へ移動して前記給気ポートと前記第2出力ポートとが連通するパイロット形電磁弁であって、投受光型の光センサを一つ有
するとともに、前記光センサからの光を受光した時間を算出する制御部を有し、前記制御部は、前記電磁駆動部への通電がオンされて前記給気ポートと前記第1出力ポートとが連通したときに前記遮光体が前記光センサからの光を遮光可能な遮光位置から離脱する
までの離脱時間を算出するとともに、前記電磁駆動部への通電がオフされて前記給気ポートと前記第2出力ポートとが連通したときに前記遮光体が前記遮光位置に到達する
までの到達時間を算出する。
【0015】
上記課題を解決するパイロット形電磁弁は、バルブケーシングには、給気ポート、第1出力ポート及び第2出力ポートにそれぞれ連通する収容孔が形成されており、前記収容孔にはスプール弁が往復動可能に収容されており、前記バルブケーシングにおける前記スプール弁の端部側にはピストン室が形成されており、前記ピストン室にはピストンが往復動可能に収容されており、前記ピストンにより前記ピストン室にパイロット圧作用室が区画されており、前記ピストンには遮光体が設けられるとともに、パイロット弁部の電磁駆動部への通電がオンになると、前記パイロット圧作用室にパイロット圧としてのパイロット流体が供給されて、前記スプール弁が一端側へ移動して前記給気ポートと前記第1出力ポートとが連通するとともに、前記電磁駆動部への通電がオフになると、前記パイロット圧作用室への前記パイロット流体の供給が行われなくなって、前記スプール弁が他端側へ移動して前記給気ポートと前記第2出力ポートとが連通するパイロット形電磁弁であって、投受光型の光センサを一つ有
するとともに、前記光センサからの光を受光した時間を算出する制御部を有し、前記制御部は、前記電磁駆動部への通電がオンされて前記給気ポートと前記第1出力ポートとが連通したときに前記遮光体が前記光センサからの光を遮光可能な遮光位置に到達する
までの到達時間を算出するとともに、前記電磁駆動部への通電がオフされて前記給気ポートと前記第2出力ポートとが連通したときに前記遮光体が前記遮光位置から離脱する
までの離脱時間を算出する。
【0016】
上記パイロット形電磁弁において、前記遮光体は、前記ピストンを介して前記スプール弁に固定されていることが好ましい。
上記パイロット形電磁弁において、前記バルブケーシングは、前記遮光体における前記スプール弁の軸方向に沿った移動を案内する案内壁を有していることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、光センサを一つ用いるだけで、給気ポートと第1出力ポートとの連通のタイミング、及び給気ポートと第2出力ポートとの連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れているか否かを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態におけるパイロット形電磁弁の部分断面図。
【
図2】スプール弁が第2ピストン室側のストローク端に達した状態を示すパイロット形電磁弁の部分断面図。
【
図4】パイロット形電磁弁の電気的構成を示すブロック図。
【
図5】給気ポートと第1出力ポートとが連通した状態を示すパイロット形電磁弁の部分断面図。
【
図6】給気ポートと第2出力ポートとが連通した状態を示すパイロット形電磁弁の部分断面図。
【
図7】給気ポートと第1出力ポートとの連通、及び給気ポートと第2出力ポートとの連通が遮断された状態を示すパイロット形電磁弁の部分断面図。
【
図8】スプール弁が第1ピストン室側のストローク端に位置した状態から第2ピストン室側へ移動している際のスプール弁の動作に関するタイムチャート。
【
図9】スプール弁が第2ピストン室側のストローク端に位置した状態から第1ピストン室側へ移動している際のスプール弁の動作に関するタイムチャート。
【
図10】別の実施形態におけるパイロット形電磁弁の一部分を示す部分断面図。
【
図11】別の実施形態におけるパイロット形電磁弁の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した一実施形態を
図1〜
図9にしたがって説明する。
図1に示すように、パイロット形電磁弁10のバルブケーシング11には、給気ポート12、第1出力ポート13、第2出力ポート14、第1排気ポート15及び第2排気ポート16が形成されている。給気ポート12、第1出力ポート13、第2出力ポート14、第1排気ポート15及び第2排気ポート16は、バルブケーシング11の長さ方向において、一端側から他端側にかけて第1排気ポート15、第1出力ポート13、給気ポート12、第2出力ポート14及び第2排気ポート16の順に並んで配置されている。
【0020】
バルブケーシング11には、バルブケーシング11の長さ方向に延びる収容孔17が形成されている。収容孔17は、給気ポート12、第1出力ポート13、第2出力ポート14、第1排気ポート15及び第2排気ポート16にそれぞれ連通している。収容孔17内には、圧縮空気(圧縮流体)の流路を切り換えるスプール弁18が往復動可能に収容されている。
【0021】
収容孔17において、第1排気ポート15と第1出力ポート13との間には第1弁座21が形成されている。また、収容孔17において、第1出力ポート13と給気ポート12との間には第2弁座22が形成されている。さらに、収容孔17において、給気ポート12と第2出力ポート14との間には第3弁座23が形成されている。また、収容孔17において、第2出力ポート14と第2排気ポート16との間には第4弁座24が形成されている。
【0022】
スプール弁18には、スプール弁18の軸方向において互いに離間して配置される第1〜第4弁部31〜34が設けられている。第1〜第4弁部31〜34の直径は、スプール弁18の軸径よりも大きく設定されている。第1〜第4弁部31〜34の外周面には、第1〜第4弁座21〜24に着座して第1〜第4弁座21〜24と第1弁部31〜34との間をそれぞれシールするシール部材35が装着されている。
【0023】
バルブケーシング11におけるスプール弁18の一端部側には、ピストン室としての第1ピストン室41が形成されている。第1ピストン室41と第1排気ポート15との間は、スプール弁18の一端側に設けられたシール部36によりシールされている。第1ピストン室41にはピストンとしての第1ピストン41aが往復動可能に収容されている。第1ピストン41aは、スプール弁18の一端部に装着されている。そして、第1ピストン41aにより第1ピストン室41にパイロット圧作用室としての第1パイロット圧作用室51が区画されている。
【0024】
バルブケーシング11におけるスプール弁18の他端部側には、ピストン室としての第2ピストン室42が形成されている。第2ピストン室42と第2排気ポート16との間は、スプール弁18の他端側に設けられたシール部37によりシールされている。第2ピストン室42にはピストンとしての第2ピストン42aが往復動可能に収容されている。第2ピストン42aは、第1ピストン41aよりも小径であるとともに、スプール弁18の他端部に装着されている。そして、第2ピストン42aにより第2ピストン室42にパイロット圧作用室としての第2パイロット圧作用室52が区画されている。
【0025】
バルブケーシング11の一端側端面には、パイロット弁部60が設けられている。パイロット弁部60は、パイロット圧を制御する電磁駆動部61(
図1において二点鎖線で示す)を備えている。また、パイロット形電磁弁10は、電磁駆動部61への通電を行う給電部62を備えている。なお、パイロット弁部60は、電磁駆動部61への通電によって開閉される公知の電磁弁であるため、その詳細な説明を省略する。本実施形態のパイロット形電磁弁10は、一つのパイロット弁部60が搭載されたシングルソレノイドタイプのものである。
【0026】
スプール弁18は、第1パイロット圧作用室51及び第2パイロット圧作用室52に対するパイロット圧の供給に基づいて収容孔17内を往復動する。具体的には、第1パイロット圧作用室51は、第1パイロット流路(図示せず)を介して給気ポート12に連通している。第1パイロット流路は、パイロット弁部60により開閉される。また、第2パイロット圧作用室52は、第2パイロット流路(図示せず)を介して給気ポート12に常時連通している。
【0027】
図2に示すように、電磁駆動部61への通電がオンになると、パイロット弁部60が開弁して、第1パイロット圧作用室51にパイロット圧として圧縮空気(パイロット流体)が供給される。すると、第1ピストン41aと第2ピストン42aの受圧面積の差から、第1ピストン41aに作用する圧縮空気のパイロット圧によって第1ピストン41aが第2ピストン室42側へ押圧されて、スプール弁18が第2ピストン室42側へ移動する。その結果、給気ポート12と第1出力ポート13とが連通し、給気ポート12から供給された圧縮空気が第1出力ポート13を介してアクチュエータ(図示せず)に供給される。
【0028】
スプール弁18が第2ピストン室42側のストローク端に達した状態から、電磁駆動部61への通電がオフになると、パイロット弁部60が閉弁して、第1パイロット圧作用室51への圧縮空気の供給が行われなくなり、第1パイロット圧作用室51の圧縮空気は、パイロット弁部60に設けられた排気ポート(図示せず)より排出される。すると、第2パイロット圧作用室52に供給されている圧縮空気のパイロット圧によって第2ピストン42aが第1ピストン室41側へ押圧されて、スプール弁18が第1ピストン室41側へ移動する。その結果、給気ポート12と第2出力ポート14とが連通し、給気ポート12から供給された圧縮空気が第2出力ポート14を介してアクチュエータに供給される。
【0029】
図3に示すように、第1ピストン41aには遮光体43が設けられている。遮光体43は円柱状であるとともに、一端部が第1ピストン41aに固定されており、他端部が第1ピストン41aからバルブケーシング11の上方に向けて延びている。バルブケーシング11は、遮光体43におけるスプール弁18の軸方向に沿った移動を案内する一対の案内壁44を有する。そして、遮光体43は、一対の案内壁44の間に配置された状態で、第1ピストン41aの往復動に追従して、一対の案内壁44に案内されながらスプール弁18の軸方向に沿って移動する。
【0030】
また、パイロット形電磁弁10は、投受光型の光センサ45を一つ有する。光センサ45は、光を出射する投光部45aを有する投光部支持部451と、投光部45aに対向配置される受光部45bを有する受光部支持部452と、投光部支持部451と受光部支持部452とを繋ぐ連繋部453とから構成されている。そして、遮光体43は、投光部45aと受光部45bとの間を通過すると、投光部45aから出射された光を遮光するようになっている。
【0031】
図4に示すように、光センサ45への通電は給電部62により行われる。また、光センサ45は制御部63に信号接続されており、光センサ45において、投光部45aから出射された光が受光部45bに受光された旨の信号が制御部63に送られる。本実施形態では、光センサ45への通電と、制御部63への通電とが同一の給電部62により行われている。
【0032】
図5に示すように、スプール弁18が第1ピストン室41側のストローク端に位置した状態から、電磁駆動部61への通電がオンされて、スプール弁18が第2ピストン室42側へ移動し、第2弁部32のシール部材35が第2弁座22から離脱すると、給気ポート12と第1出力ポート13とが連通する。このとき、遮光体43が光センサ45の投光部45aから出射された光を遮光可能な遮光位置から完全に離脱し、投光部45aから出射された光が受光部45bに完全に受光されるようになる。このように、電磁駆動部61への通電がオンされて給気ポート12と第1出力ポート13とが連通したときに遮光体43が光センサ45からの光を遮光可能な遮光位置から離脱するように、第2弁部32のシール部材35及び第2弁座22の配置が設定されている。
【0033】
図6に示すように、スプール弁18が第2ピストン室42側のストローク端に位置した状態から、電磁駆動部61への通電がオフされて、スプール弁18が第1ピストン室41側へ移動し、第3弁部33のシール部材35が第3弁座23から離脱すると、給気ポート12と第2出力ポート14とが連通する。このとき、遮光体43が光センサ45の投光部45aから出射された光を遮光可能な遮光位置に完全に到達し、投光部45aから出射された光が遮光体43により完全に遮光されるようになる。よって、投光部45aから出射された光が受光部45bに完全に受光されなくなる。このように、電磁駆動部61への通電がオフされて給気ポート12と第2出力ポート14とが連通したときに遮光体43が光センサ45からの光を遮光可能な遮光位置に到達するように、第3弁部33のシール部材35及び第3弁座23の配置が設定されている。
【0034】
図7に示すように、スプール弁18が第1ピストン室41側のストローク端に位置した状態から、電磁駆動部61への通電がオンされて、スプール弁18が第2ピストン室42側へ移動し、第2弁部32のシール部材35が第2弁座22に着座しているとともに、第3弁部33のシール部材35が第3弁座23に着座しているとする。この状態では、遮光体43が光センサ45の投光部45aから出射された光を遮光可能な遮光位置から半分だけ離脱した状態になっている。すなわち、投光部45aから出射された光が受光部45bに半分だけ受光された状態になっている。
【0035】
また、スプール弁18が第2ピストン室42側のストローク端に位置した状態から、電磁駆動部61への通電がオフされて、スプール弁18が第1ピストン室41側へ移動し、第2弁部32のシール部材35が第2弁座22に着座しているとともに、第3弁部33のシール部材35が第3弁座23に着座しているとする。この状態では、遮光体43が光センサ45の投光部45aから出射された光を遮光可能な遮光位置に半分だけ到達した状態になっている。すなわち、投光部45aから出射された光が受光部45bに半分だけ受光された状態になっている。
【0036】
制御部63は、電磁駆動部61への通電がオンになってから、投光部45aから出射された光が受光部45bに完全に受光されるまでの時間T1を算出可能になっている。この時間T1は、電磁駆動部61への通電がオンになってから、遮光体43が光センサ45からの光を遮光可能な遮光位置から完全に離脱するまでの離脱時間に相当する。また、制御部63は、電磁駆動部61への通電がオフになってから、投光部45aから出射された光が受光部45bに完全に受光されなくなるまでの時間T2を算出可能になっている。この時間T2は、電磁駆動部61への通電がオフになってから、遮光体43が光センサ45からの光を遮光可能な遮光位置に完全に到達するまでの到達時間に相当する。
【0037】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図8に示すように、制御部63により算出された時間T1が予め定められた所定の時間であった場合、給気ポート12と第1出力ポート13との連通のタイミングが所望のタイミングで行われていることが把握される。
【0038】
図9に示すように、制御部63により算出された時間T2が予め定められた所定の時間であった場合、給気ポート12と第2出力ポート14との連通のタイミングが所望のタイミングで行われていることが把握される。
【0039】
一方、制御部63により算出された時間T1が予め定められた所定の時間よりも長かったとする。すなわち、電磁駆動部61への通電がオンになってから所定の時間経過しても、遮光体43が光センサ45からの光を遮光可能な遮光位置から完全に離脱しなかったとする。これによれば、給気ポート12と第1出力ポート13との連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れていることが把握される。
【0040】
また、制御部63により算出された時間T2が予め定められた所定の時間よりも長かったとする。すなわち、電磁駆動部61への通電がオフになってから所定の時間経過しても、遮光体43が光センサ45からの光を遮光可能な遮光位置に完全に到達しなかったとする。これによれば、給気ポート12と第2出力ポート14との連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れていることが把握される。
【0041】
上記実施形態では以下の効果を得ることができる。
(1)パイロット形電磁弁10は光センサ45を一つ有する。そして、電磁駆動部61への通電がオンされて給気ポート12と第1出力ポート13とが連通したときに遮光体43が光センサ45からの光を遮光可能な遮光位置から離脱するとともに、電磁駆動部61への通電がオフされて給気ポート12と第2出力ポート14とが連通したときに遮光体43が遮光位置に到達する。これによれば、例えば、電磁駆動部61への通電がオンになってから所定の時間経過しても、遮光体43が光センサ45からの光を遮光可能な遮光位置から離脱しなかった場合、給気ポート12と第1出力ポート13との連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れていることを把握することができる。また、例えば、電磁駆動部61への通電がオフになってから所定の時間経過しても、遮光体43が光センサ45からの光を遮光可能な遮光位置に到達しなかった場合、給気ポート12と第2出力ポート14との連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れていることを把握することができる。すなわち、光センサ45を一つ用いるだけで、給気ポート12と第1出力ポート13との連通のタイミング、及び給気ポート12と第2出力ポート14との連通のタイミングが所望のタイミングよりも遅れているか否かが把握可能となる。その結果、パイロット形電磁弁10における経年変化に伴ったバルブ性能の低下を把握することができる。
【0042】
(2)バルブケーシング11は、遮光体43におけるスプール弁18の軸方向に沿った移動を案内する一対の案内壁44を有する。これによれば、遮光体43を、第1ピストン41aの往復動に追従して、案内壁44に案内されながらスプール弁18の軸方向に沿って移動させることができ、遮光体43が第1ピストン41aの周方向に回動して、遮光体43が光センサ45に干渉してしまうことを防止することができる。
【0043】
(3)本実施形態では、光センサ45への通電と、制御部63への通電とが同一の給電部62により行われている。これによれば、光センサ45への通電と、制御部63への通電とを行う給電部とを別々に設ける場合に比べると、部品点数を削減することができ、パイロット形電磁弁10を小型化することができる。
【0044】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・
図10に示すように、遮光体43が、第1ピストン41aを介してスプール弁18に固定されていてもよい。これによれば、スプール弁18の往復動に同期させて遮光体43をスプール弁18の軸方向に沿って移動させることができる。
【0045】
・
図11に示すように、実施形態において、第1ピストン41aに遮光体43を設けずに、第2ピストン42aに遮光体43を設けてもよい。そして、電磁駆動部61への通電がオンされて給気ポート12と第1出力ポート13とが連通したときに遮光体43が光センサ45からの光を遮光可能な遮光位置に到達するとともに、電磁駆動部61への通電がオフされて給気ポート12と第2出力ポート14とが連通したときに遮光体43が遮光位置から離脱するようにしてもよい。
【0046】
・ 実施形態において、第2ピストン42aを削除してもよい。この場合、パイロット形電磁弁10は、スプール弁18を第1ピストン室41側へ常時付勢するコイルスプリングを有している必要がある。これによれば、スプール弁18が第2ピストン室42側のストローク端に位置した状態から、電磁駆動部61への通電がオフされると、スプール弁18が、コイルスプリングの付勢力によって第1ピストン室41側へ移動する。
【0047】
・ 実施形態において、案内壁44を削除してもよい。
・ 実施形態において、光センサ45への通電と、制御部63への通電とを行う給電部とを別々に設けてもよい。
【0048】
・ 実施形態において、パイロット形電磁弁10は、一対のパイロット弁部60が搭載されたダブルソレノイドタイプのものであってもよい。
・ 実施形態において、パイロット流体としては、圧縮空気に限らず、圧縮された流体であれば他の流体でもよい。
【0049】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
(イ)前記パイロット弁部が一つ搭載されたシングルソレノイドタイプであることが好ましい。
【0050】
(ロ)前記光センサへの通電と、前記光センサからの信号が送られる制御部への通電とが同一の給電部により行われていることが好ましい。