【実施例】
【0016】
図1に示すように、実施例に係る横形充填包装機(単に包装機という)は、フィルム供給源から引き出した熱収縮性を有するフィルムFに向けて供給手段10,12により物品Gを所定間隔毎に供給すると共に、フィルム成形手段(図示せず)により物品Gの周囲を覆うように成形したフィルムFの重合部に、一対のシールローラからなる縦シール手段14で縦シールを施すよう構成される。実施例の供給手段は、第1供給コンベヤ10と、この第1供給コンベヤ10の下流側に接続され、1個の物品Gを載置可能な第2供給コンベヤ12とを備え、第1供給コンベヤ10の搬送終端部に到来した物品Gを供給検知センサ16により検知し、物品G間が不揃いで送られてきた物品Gでも第2供給コンベヤ12に所定間隔毎に切り離して移送し得るようになっている。縦シール手段14の上側には、搬送ベッド18が配設され、第2供給コンベヤ12から所定間隔毎にフィルムFに供給された物品GがフィルムFの搬送に伴って搬送ベッド18に載置されて下流側に搬送されると共に、搬送ベッド18から下方に延出したフィルムFの長手方向端縁部を重ね合わせた重合部が、縦シール手段14により加熱されて連続して縦シールされる。そして、縦シールが施されて筒状とされたフィルムFと共に物品Gが搬入コンベヤ20で横シール手段22に向けて搬送され、筒状のフィルムF中に所定間隔毎に供給されている各物品G,G間の中間位置(横シール位置)でフィルム搬送方向と交差する方向に横シール手段22における一対のシール体24,24によって横シールを施すと共に切断して、包装品を得るようにしている。横シールおよびカットされて得られた包装品は、搬出コンベヤ26で搬出され、その下流側に配設された加熱トンネル(図示せず)を通過することで、熱収縮したフィルムFが物品Gの外周に沿って密着した包装品となる。第1供給コンベヤ10は、シール体24,24によるフィルムFの挟持位置がフィルムFに送り込まれた物品相互の前後間隔に合致するよう、物品Gが第2供給コンベヤ12を経てフィルム成形手段により成形されるフィルムF中に所定間隔毎に搬送されるようにコンベヤの速度を変速または停止制御するようになっている。なお、供給検知センサ16が次の包装サイクルに対する一定期間に亘って物品Gを検知しない場合は、第1供給コンベヤ10、第2供給コンベヤ12、搬入コンベヤ20、シール体24,24およびフィルム搬送手段の包装動作が休止される。
【0017】
前記横シール手段22は、フィルムFの搬送路の上下に対向配置された一対のシール体24,24を備え、一対のシール体24,24は、サーボモータ等の駆動手段で作動する公知の作動機構(何れも図示せず)によって筒状のフィルムFを挟持しながら下流側に向けて所要距離だけ水平移動した後に相互に離間する動作を行う、所謂ボックスモーション動作を繰り返す。搬入コンベヤ20および搬出コンベヤ26は、シール体24,24の横シール動作に合わせて対向端部のプーリが互いに近接・離間移動するようになっている。
【0018】
前記包装機は、制御手段28によって、フィルムFを送る送りローラ30を備えたフィルム搬送手段と供給手段10,12と横シール手段22とを含む各種作動機構を、包装品種毎に設定された動作パラメータに従って駆動制御する。また、包装機は、運転状況や前記動作パラメータの各種設定条件や後述する判定情報等を表示する表示手段と、該表示手段の操作画面のタッチ操作によって前記動作パラメータの入力・設定等を行う設定手段としての機能を兼ねる、例えばタッチパネル式表示器32を備えている。
【0019】
前記包装機は、前記縦シール手段14で縦シールを施す位置より下流側でかつ前記シール体24,24の挟持位置より上流側において、横シール手段22に向けて搬送されるフィルムF中の物品Gを検知するズレ検知センサ(検知手段)34を備えている。ズレ検知センサ34は、搬送ベッド18の上方に配設され、フィルム搬送方向前後に連続する2つの物品G,Gのうち、先行物品Gの後端と後続物品Gの前端とを少なくとも検知し得るようになっている。また、制御手段28は、ズレ検知センサ34による先行物品Gの後端の通過検知および後続物品Gの前端の通過検知により得た前後の物品G,G間の隙間の半分となる中間位置を横シールすべき位置として求め、タッチパネル式表示器32により予め設定されているズレ検知センサ34からシール体24,24の挟持位置までの距離に関するデータ(設定距離データ)Dおよび1包装分のフィルム長さ(シールピッチ)の関係から、前記中間位置がシール体24,24の挟持位置に対して実際のフィルムFの送り位置との関係で位置ズレしているか否かが判定される。物品Gのズレ位置が噛み込
みすると判定した場合には、その位置ズレ判定した物品Gの前側または後側がシール体24,24により横シールされる挟持位置までに搬送される包装サイクル数後において、一対のシール体24,24がフィルムFを挟持することなく横シール動作が一時休止されるよう動作制御される。なお、
図2(a)に示すタッチパネル式表示器32に表示されるホーム画面には、シール体24,24での物品Gの噛み込み防止動作制御の使用の有無を切り替え設定し得る切替部35が設けられ、噛み込み防止動作制御を行う場合は「カットレス」「入」となっている。
【0020】
前記噛み込み防止制御は、実際の包装運転においてズレ検知センサ34で検知したフィルムF中に供給されている物品Gの位置に基づいて、一対のシール体24,24
で物品G
を噛み込
む位置ずれ検知タイミング
(後述)を補正するティーチングモードを有している。先ず、
図2(b)に示すタッチパネル式表示器32において選択表示した画面における機能設定ボタン(ティーチングモード設定手段)36で、ティーチングモード(「カットレス(自動計算)」の「使う」が対応)を用いることを選択設定することで(
図4のステップS1)、ティーチングモードが選択される。ここで、ズレ検知センサ34からシール体24,24の挟持位置までの機械的距離に関する設定距離データDが実際の測定値により入力設定され、ズレ検知センサ34から挟持位置までに至る区間に対する包装サイクル数38が、
図3(b)に示す如く算出されている。なお、実施例ではズレ検知センサ34で検知した直後の包装サイクルにシール体24,24を停止制御するので、包装サイクル数38は「シフト=0個」と表示される。
【0021】
図3(a)に示すタッチパネル式表示器32の表示画面としての第1の基本設定画面で、ティーチングモードにおいてズレ検知センサ34で物品Gを何個分検知させるかのティーチング回数40を、1以上の整数値として入力設定する。なお、
図3(b)に示す第2の基本設定画面では、1包装サイクルを360°とし、一対のシール体24,24が最も離間した位置を0°とした場合のシール動作を停止し始めるタイミングを規定する設定・表示部42としての「カットレスタイミング」、シール体24,24がフィルムFを挟持する期間との関係でズレ検知センサ34の検知したタイミングがシール体24,24と接触干渉して噛み込みが生じる位置ズレの範囲を規定する設定・表示部44としての「位置ずれ
検知タイミング」などが表示されると共に設定変更し得るようになっている。また、第1および第2の基本設定画面には、前述したようにズレ検知センサ34からシール体24,24の挟持位置までの設定距離データDを示すエリア46が設けられる。そして、
図2(a)に示すタッチパネル式表示器32のホーム画面において、品種情報表示部48には品種識別可能な設定品種やフィルム長さや製品高さの値が表示されるのに加え、前記「カットレス自動計算」を「使う」に設定することでティーチングモード開始ボタン(「カットレスティーチング」が対応)50が出現表示されるようになり、それをタッチ操作することで(
図4のステップS2)、包装機が運転状態であればティーチングモードが開始され(
図4のステップS3:YES)、包装機が停止状態であれば包装機を運転開始することでティーチングモードが開始される(
図4のステップS3:NO,ステップS4)。
【0022】
前記ティーチングモードでは、包装機の包装運転中に、フィルムF内において搬送方向前後に連続する2つの物品G,Gのうち、先行する物品Gの後端の通過をズレ検知センサ34で検知すると共に(
図4のステップS5)、後続する物品Gの前端の通
過をズレ検知センサ34で検知し(
図4のステップS6)、隣り合う物品G,Gにおける先行物品Gの後端から後続物品Gの前端までの距離を求め、一対のシール体24,24により挟持されるべき位置であるその中間位置を算出する(
図4のステップS7)。前記ティーチング回数が1回に設定されている場合には、求めた中間位置と前記設定距離データDと比較して該設定距離データDに補正値Hを与え、これにより
位置ずれ検知タイミングの設定値が得られる(
図4のステップ8:YES、ステップS9:NO、ステップS10およびS13)。なお、ズレ検知センサ34による物品Gの検知により、物品Gの端縁または該端縁の通過を直接的に検出する構成に限られず、ズレ検知センサ34の検知信号から他のパラメータなどとの関係で間接的に前後の物品Gの位置を検出してもよい。
【0023】
前記ティーチング回数が複数回に設定されている場合は、フィルムF中において搬送方向前後に連続して搬送される複数の物品Gについて、先行物品Gの後端の通過検知および後続物品Gの前端の通過検知からなる位置検知を、設定されたティーチング回数分に対応する検知回数分行う(
図4のステップS8:NO、ステップS5〜S7)。すなわち、前記位置検知の夫々から求めた前記距離から算出した中間位置が、ティーチング回数に対応した検知回数分得られる。そして、検知回数分の複数の中間位置の平均値を求め、この平均値と前記設定距離データDと比較して該設定距離データDに補正値Hを与え、これにより
位置ずれ検知タイミングの設定値が得られる(
図4のステップS9:YES、ステップS11〜S13)。ズレ検知センサ34による物品検知に基づくシール体24,24での物品Gの
位置ずれ検知タイミングが、実際の包装運転の結果を反映して自動補正される。そして、自動補正がなされると、報知手段としても機能するタッチパネル式表示器32により、前記基本設定画面の前記エリア46にズレ検知センサ34の位置に関して設定距離データDとティーチングモードで自動算出された補正値Hが並べて表示されると共に、画像表示や音声出力などにより、ティーチングモードによる自動補正が完了したことが報知された後に、ティーチングモードが完了される(
図4のステップS14,S15)。このように、ティーチングモードによる自動補正の完了を、タッチパネル式表示器32による報知により作業者が把握することができる。
【0024】
前記搬送ベッド18に載置されて案内される際に縦シール手段14からの熱の影響を受けてフィルムFが収縮して上流側に引き戻されるなどによって、シール体24,24の挟持位置に至るまでの物品Gの間隔および物品Gの位置が規定位置からずれることがある。このような場合には、予め設定された前記設定距離データDに基づく計算上の検出位置とは異なるタイミングでズレ検知センサ34により物品が検知されてしまい、実際にはシール体24,24の挟持位置に到来した際に位置ズレしないのに位置ズレしていると判定されたり、実際にはシール体24,24の挟持位置に到来した際に位置ズレしているのにかかわらず位置ズレしていないと判定されるなど、ズレ検知センサ34による物品検知に基づくシール体24,24での物品Gの噛み込み防止動作の不良に繋がる原因となる。前述した実施例の噛み込み防止制御装置によれば、ティーチングモードを行うことで、実際の包装運転での物品Gの位置が反映された
位置ずれ検知タイミングの設定値を得ること
ができ、この設定値に基づいてズレ検知センサ34による物品Gの検知によるシール体24,24での物品Gの
位置ずれ検知タイミングを
補正して判定することで、噛み込み回避に係る誤動作を防止できる。しかも、ティーチングモードによれば、実際の包装運転でフィルムFの収縮などの要因によって搬送位置がずれている状態をズレ検知センサ34によ
り物品Gを検知させた結果に基づき自動補正された
位置ずれ検知タイミングの設定値が得られるので、シール体24,24での物品Gの
位置ずれ検知タイミングについて、人が目視で動作状況を確認しつつ補正する作業が不要となる。特に人的補正操作においては、連続運転中のズレ現象と直結した補正値を与えることができないので補正操作を何度も繰り返す必要があるが、その様な煩わしさから解放されることにより操作者の負担を大幅に軽減し得る。また、複数の物品Gの位置検知から得られた複数の中間位置(検知データ)の平均値から補正値を求めることで、
位置ずれ検知タイミングの設定値を実際の包装運転により合致した適正な値にすることができる。
【0025】
前記ティーチングモードは、一対のシール体24,24における物品Gの
位置ずれ検知タイミングの補正だけでなく、一対のシール体24,24がフィルムFを挟持する挟持タイミングの初期設定時における自動補正についても、該
位置ずれ検知タイミングの補正と同様
に採用できる。すなわち、予め自動計算や操作者の入力設定などによりシール体24,24の挟持タイミングが予備的に設定された状態にて、包装機を通常運転時の処理速度でテスト運転を行い、その包装運転中に、フィルムF内において搬送方向前後に連続する2つの物品G,Gのうち、先行物品Gの後端の通過および後続物品Gの前端の通過をズレ検知センサ34で検知し、隣り合う物品G,Gにおける先行物品Gの後端から後続物品Gの前端までの距離を求め、一対のシール体24,24により挟持されるべき位置であるその中間位置を算出する。前記ティーチング回数が1回に設定されている場合には、求めた中間の位置と前記設定距離データDと比較して該設定距離データDに補正値Hを与え、これにより
挟持タイミングの設定値が得られる。また、ティーチング回数が複数回に設定されている場合には、ティーチング回数に対応する検知回数分の複数の中間位置の平均値を求め、この平均値と前記設定距離データDと比較して該設定距離データDに補正値Hを与えて、
挟持タイミングの設定値が得られる。これにより、横シール手段22における一対のシール体24,24の挟持タイミングが、実際の包装運転の結果を反映して自動補正され、
図2(a)に示したホーム画面にその補正値が「エンド位置」表示欄52に初期設定値に対する補正量の値として表示される。そして、自動補正が完了したことを、タッチパネル式表示器32で報知するようにしてもよい。このようにして
位置ずれ検知タイミングの補正と同様にシール体24,24による噛み込みを防止するための初期設定
としても適用することができる。
【0026】
このように、制御装置によるティーチングモードによって実際の包装運転での物品Gの位置が反映された設定値に基づいて、シール体24,24でフィルムFを挟持する挟持タイミングを合わせることで、シール体24,24において物品Gの噛み込みをより確実に防止できる。しかも、ティーチングモードによれば、ズレ検知センサ34による実際の包装運転での物品Gの検知に基づき自動補正された
挟持タイミングの設定値が得られるので、シール体24,24でフィルムFを挟持する挟持タイミングについて、人が目視で動作状況を確認しつつ補正する作業が不要となる。また、複数の物品Gの位置検知から得られた複数の検知データの平均値から補正値を求めることで、
挟持タイミングの設定値を実際の包装運転により合致した適正な値にすることができる。なお、このように補正された設定値は、包装品種毎に記憶されて、任意に呼びだしてまたは品種選択に応じて設定可能にすることが好ましい。
【0027】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1)熱収縮性のフィルムFに限られず、その他の伸縮性を有するフィルムなど各種材質のフィルムとの関係や、ズレ検知センサ34の位置実測値に対して実際の包装時の補正が要求される種々の包装条件において適用することができる。
(2)検知手段34は、フィルムFの外側に配置しても、上流側からフィルムF中に挿入してフィルムFの内側に配置してもよい。
(3)検知手段34としては、フォトセンサなどの光学式等、物品Gの端縁を検知し得るものであればよい。
(4)横形充填包装機としては、供給手段10,12から供給された物品Gの周囲を覆うようにフィルム成形手段によりフィルムFを成形する構成や、フィルム成形手段で筒状に成形されたフィルムF内に物品Gを供給する横形製袋充填機など、横シール手段を有する各種横形のフィルム包装機に適用できる。
(5)ティーチングモードによる自動補正がなされた結果での報知手段32による報知は、必要に応じて採用すればよい。また、報知手段は、タッチパネル式表示器32と別の手段で行ってもよい。
(6)タッチパネル式表示器32に代えて、キーボードやボタンや切替スイッチなどの入力・設定手段と、表示パネルなどの表示手段とが独立した構成であってもよい。