【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るに煮豚の製造方法は、煮豚の原料となる豚肉塊をボイルする第1のボイル工程と、該第1のボイル工程によりボイルされた豚肉塊に冷却水をシャワーリングすることにより前記豚肉塊を冷却する第1のシャワー冷却工程と、該第1のシャワー冷却工程後の豚肉塊を、前記第1のボイル工程の加熱温度よりも高い温度でボイルする第2のボイル工程と、を少なくとも含むことを特徴する。
【0008】
本発明によれば、第1のボイル工程において、第2のボイル工程の加熱温度よりも低い温度で豚肉塊をボイルするので、豚肉塊の表面の肉繊維の縮みを低減して、豚肉塊を加熱処理することができる。
【0009】
次に、第1のシャワー冷却工程において、ボイルされた豚肉塊に冷却水をシャワーリングすることにより前記豚肉塊を冷却する。これにより、ボイル後の豚肉塊の表面部分と中心部分との温度差を縮め、豚肉塊の表面の肉繊維を締めて、豚肉塊内の肉汁を表面から逃がさないようにする。これにより、しっとりとした食感(ジューシーな食感)の煮豚を得ることができる。
【0010】
その後、第2のボイル工程では、第1のシャワー冷却工程後の豚肉塊を、第1のボイル工程の加熱温度よりも高い温度でボイルするが、第1のシャワー冷却工程で、一端、豚肉塊の表面の肉繊維を締めて、豚肉塊内の肉汁を表面から逃がさないようにすることで、煮豚のしっとりとした食感(ジューシーな食感)を維持しつつ、豚肉塊の内部まで迅速に加熱することができる。これにより、煮豚の製造時の歩留まりを向上させることができる。
【0011】
また、第1のボイル工程により豚肉塊の肉温が上昇し、中心部分と表面部分の肉温に相当な差ができるが、第1のシャワー冷却工程で、冷却水をシャワーリングすることにより、豚肉塊の表面部分が冷却され温度が低下し、中心部分との温度差が縮まる。これにより、第2のボイル工程での肉温(中心部分と表面部分)の差の拡大を防ぎ、煮豚をとろっとした肉質にすることができる。
【0012】
さらに、1回のボイルのみで豚肉塊をボイルした場合には、一度に豚肉塊の中心まで加熱すると、豚肉塊の表面の肉繊維が縮み、内部にまで調味液が浸透し難いが、本発明では、豚肉塊のボイルを複数回に分けて行うので、豚肉塊の表面の肉繊維の縮みが低減され、ボイルされた豚肉塊の内部にまで調味液を浸透することができる。
【0013】
このようにボイルされた豚肉塊に味付けを行う場合には、以下の工程を行うことがより好ましい。すなわち、より好ましい態様としては、第2のボイル工程後の豚肉塊に冷却水をシャワーリングすることにより前記豚肉塊を冷却する第2のシャワー冷却工程と、該第2のシャワー冷却工程後の豚肉塊を加熱された調味液に浸漬して、該調味液で豚肉塊を煮込む煮込み工程とをさらに含む。
【0014】
この態様によれば、第2のボイル工程後の豚肉塊に冷却水をシャワーリングすることにより、ボイル後の豚肉塊の表面及び内部の温度バラツキを低減しながら豚肉塊を冷却することができる。そして、第2のシャワー冷却工程後の冷却された豚肉塊を、加熱された調味液に浸漬してこれを煮込むことで、煮豚のしっとりとした食感(ジューシーな食感)を保ったまま、調味液を豚肉塊の内部にまで浸透させることができる。また、加熱した調味液で豚肉塊を煮込んでいるため、煮込み後の豚肉塊の表面部分(表層)の水分が蒸発し調味液は豚肉塊の内部に浸透されやすくなる。
【0015】
さらに、調味液で煮込まれた豚肉塊に対して以下の工程を行うことがより好ましい。すなわち、より好ましい態様としては、前記煮込み工程後の豚肉塊を冷凍冷却する冷凍冷却工程をさらに含む。
【0016】
この態様によれば、煮込み工程後の豚肉塊を冷凍冷却する、すなわち、煮込み工程後の豚肉塊を0℃未満の(氷点下の)温度雰囲気で冷却することで、豚肉塊の表面から内部に向かって豚肉塊が冷却され、これと同時に、豚肉塊の表面部分に浸透した調味液が、表面部分よりも温度の高い豚肉塊の内部に浸透し易くなる。
【0017】
より好ましい態様としては、前記冷凍冷却工程は、前記煮込み工程後の豚肉塊を冷却する第1の冷凍冷却工程と、該第1の冷凍冷却工程後の豚肉塊を、第1の冷凍冷却工程よりもさらに低い温度で冷却する第2の冷凍冷却工程と、を含む。
【0018】
この態様によれば、第1の冷凍冷却工程において、第2の冷凍冷却工程よりも高い温度で煮込み工程後の豚肉塊を冷却するので、豚肉塊の表面部分から内部に向かって、調味液が浸透する速度に応じて、豚肉塊の表面から内部に向かって豚肉塊を冷凍冷却することができる。さらに、第2の冷凍冷却を行うことにより、豚肉塊の内部まで均一に冷却することができる。
【0019】
本願では、本発明として上述した煮豚を製造する方法を好適に行うための煮豚の製造装置も開示する。本発明に係る煮豚の製造装置は、豚肉塊を搬送部で搬送しながら前記豚肉塊から煮豚を製造する煮豚の製造装置であって、煮豚の原料となる豚肉塊をボイルする第1のボイル槽と、該第1のボイル槽から搬送された豚肉塊に冷却水をシャワーリングする第1のシャワー冷却部と、該第1のシャワー冷却部から搬送された豚肉塊を、前記第1のボイル槽内の加熱温度よりも高い温度でボイルする第2のボイル槽と、を少なくとも備えることを特徴する。
【0020】
本発明によれば、第1のボイル槽で、第2ボイル槽の加熱温度よりも低い温度で豚肉塊をボイルすることで、豚肉塊の表面の肉繊維の縮みを低減して、豚肉塊を加熱処理することができる。
【0021】
第1のボイル槽でボイルされた豚肉塊は搬送部により搬送され、搬送された豚肉塊に対して第1のシャワー冷却部で冷却水をシャワーリングすることにより豚肉塊を冷却する。これにより、ボイル後の豚肉塊の表面の温度と中心部分の温度とのバラツキを低減し、豚肉塊の表面の肉繊維を締めて、豚肉塊内の肉汁を表面から逃がさないようにする。これにより、しっとりとした食感(ジューシーな食感)の煮豚を得ることができる。
【0022】
その後、第1のシャワー冷却部で冷却された豚肉塊は搬送部により搬送され、第2のボイル槽では、搬送された豚肉塊を、第1のボイル槽の加熱温度よりも高い温度でボイルすることができる。第1のシャワー冷却部で、一端、豚肉塊の表面の肉繊維を締めて、豚肉塊内の肉汁を表面から逃がさないようにすることで、煮豚のしっとりとした食感(ジューシーな食感)を維持しつつ、豚肉塊の内部まで迅速に加熱することができる。これにより、煮豚の製造時の歩留まりを向上させることができる。
【0023】
また、第1のボイル槽で豚肉塊の肉温が上昇し、中心部分と表面部分の肉温に相当な差ができるが、第1のシャワー冷却部で、冷却水をシャワーリングすることにより、豚肉塊の表面部分が冷却され温度が低下し、中心部分との温度差が縮まる。そして、第2のボイル槽での肉温(中心部分と表面部分)の差の拡大を防ぎ、煮豚をとろっとした肉質にすることができる。
【0024】
さらに、1回のボイルのみで豚肉塊をボイルした場合には、一度に豚肉塊の中心まで加熱すると、豚肉塊の表面の肉繊維が縮み、内部にまで調味液が浸透し難いが、本発明では、豚肉塊のボイルを複数のボイル槽を用いて複数回に分けて行うため、豚肉塊の表面の肉繊維の縮みが低減され、ボイルされた豚肉塊の内部にまで調味液を浸透させることができる。
【0025】
より好ましい態様としては、前記第2のボイル槽から搬送された豚肉塊に冷却水をシャワーリングする第2のシャワー冷却部と、該第2のシャワー冷却部から搬送された豚肉塊を、加熱された調味液に浸漬し、前記調味液で豚肉塊を煮込む煮込み槽と、をさらに備える。
【0026】
この態様によれば、第2のボイル槽から搬送部により搬送された豚肉塊に、第2のシャワー冷却部で冷却水をシャワーリングすることにより、ボイル後の豚肉塊の表面及び内部の温度バラツキを低減しながら豚肉塊を冷却することができる。そして、第2のシャワー冷却部から搬送部で搬送された豚肉塊を、煮込み槽内の加熱された調味液に浸漬して煮込むので、煮豚のしっとりとした食感(ジューシーな食感)を保ったまま、調味液を豚肉塊の内部にまで浸透させることができる。また、加熱した調味液に豚肉塊を浸漬さて煮込むので、煮込んだ後の豚肉塊の表面部分(表層)の水分が蒸発し調味液は豚肉塊の内部に浸透されやすくなる。
【0027】
さらに好ましい態様としては前記煮込み槽から搬送された豚肉塊を冷凍冷却する冷凍冷却部をさらに備える。
【0028】
この態様によれば、煮込み槽から搬送部により搬送された豚肉塊を、冷凍冷却部内で冷凍冷却する。すなわち、冷凍冷却部内で豚肉塊を0℃未満の(氷点下の)温度雰囲気で冷却する。これにより、冷凍冷却部内で、豚肉塊の表面から内部に向かって豚肉塊が冷却され、これと同時に、豚肉塊の表面部分に浸透した調味液が、表面部分よりも温度の高い豚肉塊の内部に浸透し易くなる。
【0029】
より好ましい態様としては、前記冷凍冷却部は、前記煮込み槽から搬送された豚肉塊を冷却する第1の冷凍冷却部と、該第1の冷凍冷却部から搬送された豚肉塊を、前記第1の冷凍冷却部の冷却温度よりもさらに低い温度で冷凍冷却する第2の冷凍冷却部と、をさらに備える。
【0030】
この態様によれば、煮込み槽から前記搬送された豚肉塊を、第1の冷凍冷却部内で第2の冷凍冷却部内よりも高い温度で煮込み工程後の豚肉塊を冷却するので、豚肉塊の表面部分から内部に向かって、調味液が浸透する速度に応じて、豚肉塊の表面から内部に向かって豚肉塊を冷凍冷却することができる。さらに、第2の冷凍冷却部で豚肉塊の冷却を行うことにより、豚肉塊の内部まで均一に冷却することができる。
【0031】
さらに、好ましい態様としては、前記第1のボイル槽、前記第2
のボイル槽、および前記煮込み槽の
槽内には、前記搬送部が配置されており、該搬送部には、槽内の豚肉塊を係止して豚肉塊を搬送するために、搬送方向に沿って移動する複数の突出部が設けられている。
【0032】
この態様によれば、豚肉塊の搬送方向に沿って移動する複数の突出部を設けることにより、突出部が槽内の豚肉塊を係止して、これを搬送することができる。これにより、槽内に投入された順に、滞留させることなく豚肉塊を搬送させることができる。