特許第5988929号(P5988929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988929
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】車両制御装置及び車両制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/24 20130101AFI20160825BHJP
   F02N 11/08 20060101ALI20160825BHJP
   F02N 15/00 20060101ALI20160825BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20160825BHJP
   F02N 11/10 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B60R25/24
   F02N11/08 M
   F02N15/00 E
   F02D29/02 321B
   F02N15/00 D
   F02N11/10 Z
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-149799(P2013-149799)
(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公開番号】特開2015-20572(P2015-20572A)
(43)【公開日】2015年2月2日
【審査請求日】2015年10月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】510123839
【氏名又は名称】オムロンオートモーティブエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(72)【発明者】
【氏名】吉澤 大輔
【審査官】 三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−289142(JP,A)
【文献】 特開2011−178298(JP,A)
【文献】 特開2009−061979(JP,A)
【文献】 特開2011−063103(JP,A)
【文献】 特開2007−023919(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/00 − 25/40
B62D 1/00
F02D 29/02
F02N 11/08
F02N 11/10
F02N 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のブレーキの操作を検出するブレーキ操作検出部と、
前記車両の操舵部への手の接触を検出する接触検出部と、
認証情報を有する携帯機と無線通信を行い、前記携帯機の認証を行う認証部と、
前記車両の電源の供給及び前記車両の原動機の駆動を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記携帯機の認証が成功し、かつ、前記ブレーキの操作が検出され、かつ、前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、前記車両の所定の負荷への電源の供給を開始し、前記原動機を始動するように制御する
車両制御装置。
【請求項2】
前記認証部は、前記負荷への電源の供給及び前記原動機が停止した状態で、前記操舵部への手の接触が検出された場合に、前記携帯機の認証を行い、
前記制御部は、
前記携帯機の認証が成功した状態で、前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出され、かつ、前記ブレーキの操作が検出された場合に、前記負荷への電源の供給を開始し、前記原動機を始動するように制御し、
前記携帯機の認証が成功した状態で、前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出され、かつ、前記ブレーキの操作が検出されない場合に、前記原動機を始動せずに、前記負荷の少なくとも一部への電源の供給を開始するように制御し、その後、前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が継続して検出されている状態で、前記ブレーキの操作が検出されたとき、前記原動機を始動するように制御する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記認証部は、前記負荷の少なくとも一部への電源の供給を開始するように制御された後、前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が継続して検出されている状態で、前記ブレーキの操作が検出されたとき、前記携帯機の認証を行い、
前記制御部は、前記携帯機の認証が成功した場合、前記原動機を始動するように制御する
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記認証部は、前記負荷への電源の供給及び前記原動機が停止した状態で、前記ブレーキの操作が検出された場合に、前記携帯機の認証を行い、
前記制御部は、
前記携帯機の認証が成功し、かつ、前記ブレーキの操作が検出された状態で、前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、前記負荷への電源の供給を開始し、前記原動機を始動するように制御する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記認証部は、前記負荷への電源の供給及び前記原動機が停止した状態で前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、前記携帯機の認証を行い、
前記制御部は、
前記携帯機の認証が成功した状態で、前記ブレーキの操作が検出された場合、前記負荷への電源の供給を開始し、前記原動機を始動するように制御し、
前記携帯機の認証が成功した状態で、前記ブレーキの操作が検出されない場合に、前記原動機を始動せずに、前記負荷の少なくとも一部への電源の供給を開始するように制御し、その後、前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が継続して検出されている状態で、前記ブレーキの操作が検出されたとき、前記原動機を始動するように制御する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記認証部は、前記負荷の少なくとも一部への電源の供給を開始するように制御された後、前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が継続して検出されている状態で、前記ブレーキの操作が検出されたとき、前記携帯機の認証を行い、
前記制御部は、前記携帯機の認証が成功した場合、前記原動機を始動するように制御する
請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記認証部は、前記負荷への電源の供給及び前記原動機が停止した状態で、前記ブレーキの操作が検出され、かつ、前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、前記携帯機の認証を行い、
前記制御部は、前記携帯機の認証が成功した場合に、前記負荷への電源の供給を開始し、前記原動機を始動するように制御する
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記原動機の始動及び停止の操作が可能な押しボタン式の操作部をさらに備え、
前記制御部は、前記携帯機の認証が成功し、前記ブレーキの操作が検出され、かつ、前記操舵部の1ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、前記接触検出部の異常であると判定し、前記操作部への操作をユーザへ促す
請求項1乃至7のいずれかに記載の車両制御装置。
【請求項9】
車両のブレーキの操作を検出するブレーキ操作検出ステップと、
前記車両の操舵部への手の接触を検出する接触検出ステップと、
認証情報を有する携帯機と無線通信を行い、前記携帯機の認証を行う認証ステップと、
前記携帯機の認証が成功し、かつ、前記ブレーキの操作が検出され、かつ、前記操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、前記車両の所定の負荷への電源の供給を開始し、前記車両の原動機を始動するように制御する始動制御ステップと
を含む車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置及び車両制御方法に関し、特に、車両の始動制御に用いて好適な車両制御装置及び車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のエンジンの始動時の操作性や安全性を向上させる技術が開示されている。例えば、ブレーキペダルを踏み込んだ状態で車両の起動スイッチを押下した場合に、車両用の携帯機の認証を行い、認証が成功したとき、アクセサリ電源及びイグニッションをオンする駆動状態に遷移させる技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、特許文献1には、ブレーキペダルを踏み込まない状態で車両の起動スイッチを押下した場合に、携帯機の認証を行い、認証が成功したとき、アクセサリ電源をオンする中間駆動状態に遷移させることが示されている。そして、中間駆動状態において、ブレーキペダルを踏み込んだ状態で車両の起動スイッチを押下した場合に、携帯機の認証を行い、認証が成功したとき、駆動状態に遷移させることが示されている。また、中間駆動状態において、ブレーキペダルを踏み込まなくても、車両の起動スイッチを規定時間以上押下した場合に、携帯機の認証を行い、認証が成功したとき、駆動状態に遷移させることが示されている。
【0004】
また、車両用の携帯機の認証が成功し、シフトポジションがパーキング又はニュートラルに設定され、ブレーキペダルが踏み込まれた状態で、ステアリングホイールの左右の2ヶ所にあるシフトスイッチを押下したときに、エンジンを始動する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
さらに、車両用の携帯機の認証が成功し、ブレーキペダルが踏み込まれ、エンジンスイッチが押下された後、ステアリングホイールのスポーク部に設けられている一対のパドルスイッチを用いて入力されたパスワードの照合が成立した場合に、エンジンを始動する技術が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
以上のように、特許文献1乃至3のいずれに記載の発明においても、エンジンを始動させるために所定のスイッチ等の操作を行うようになっている。
【0007】
また、従来、ステアリングホイールに設けたセンサによりユーザの手が接触したことを検出した場合、ユーザの手のひらの静脈認証を行うことが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−301764号公報
【特許文献2】特開2001−289142号公報
【特許文献3】特開2009−202671号公報
【特許文献4】特開2003−137073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明は、運転者が運転開始時の自然な動作を行う(自然な姿勢を取る)だけで、車両のエンジン等の原動機を始動させることができ、安全性を確保しつつ、操作性を向上させるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面の車両制御装置は、車両のブレーキの操作を検出するブレーキ操作検出部と、車両の操舵部への手の接触を検出する接触検出部と、認証情報を有する携帯機と無線通信を行い、携帯機の認証を行う認証部と、車両の電源の供給及び車両の原動機の駆動を制御する制御部とを備え、制御部は、携帯機の認証が成功し、かつ、ブレーキの操作が検出され、かつ、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、車両の所定の負荷への電源の供給を開始し、原動機を始動するように制御する。
【0011】
本発明の一側面の車両制御装置においては、車両のブレーキの操作が検出され、車両の操舵部への手の接触が検出され、認証情報を有する携帯機と無線通信が行われ、携帯機の認証が行われ、携帯機の認証が成功し、かつ、ブレーキの操作が検出され、かつ、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、車両の所定の負荷への電源の供給が開始され、原動機が始動する。
【0012】
従って、運転者が運転開始時の自然な動作を行う(自然な姿勢を取る)だけで、車両の原動機を始動させることができ、安全性を確保しつつ、操作性を向上させることができる。
【0013】
この車両は、例えば、乗用車、バス、トラック等の自動車、原動機付きの二輪車や三輪車等である。この操舵部は、例えば、四輪車のステアリングホイール、二輪車のハンドルバー(グリップ)等である。この携帯機は、例えば、車両用のドアの施解錠やエンジン始動を行うためのキーフォブ(Key FOB)や車両のドアの施解錠やエンジンの始動の制御を行えるように登録された携帯電話機等である。この原動機は、例えば、エンジンやモータ等である。このブレーキ操作検出部、接触検出部、認証部、制御部は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)により構成される。
【0014】
この認証部には、負荷への電源の供給及び原動機が停止した状態で、操舵部への手の接触が検出された場合に、携帯機の認証を行わせ、この制御部には、携帯機の認証が成功した状態で、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出され、かつ、ブレーキの操作が検出された場合に、負荷への電源の供給を開始し、原動機を始動するように制御させ、携帯機の認証が成功した状態で、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出され、かつ、ブレーキの操作が検出されない場合に、原動機を始動せずに、負荷の少なくとも一部への電源の供給を開始するように制御させ、その後、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が継続して検出されている状態で、ブレーキの操作が検出されたとき、原動機を始動するように制御させることができる。
【0015】
これにより、所定の操作順序で車両を始動できるようにすることができる。また、いったん負荷への電源の供給を開始した後に、原動機を始動することが可能になる。
【0016】
この認証部には、負荷の少なくとも一部への電源の供給を開始するように制御された後、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が継続して検出されている状態で、ブレーキの操作が検出されたとき、携帯機の認証を行わせ、この制御部は、携帯機の認証が成功した場合、原動機を始動するように制御させることができる。
【0017】
これにより、車両のセキュリティが向上し、盗難等の発生がより発生しにくくなる。
【0018】
この認証部には、負荷への電源の供給及び原動機が停止した状態で、ブレーキの操作が検出された場合に、携帯機の認証を行わせ、この制御部には、携帯機の認証が成功し、かつ、ブレーキの操作が検出された状態で、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、負荷への電源の供給を開始し、原動機を始動するように制御させることができる。
【0019】
これにより、所定の操作順序で車両を始動できるようにすることができる。
【0020】
この認証部には、負荷への電源の供給及び原動機が停止した状態で操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、携帯機の認証を行わせ、この制御部は、携帯機の認証が成功した状態で、ブレーキの操作が検出された場合、負荷への電源の供給を開始し、原動機を始動するように制御させ、携帯機の認証が成功した状態で、ブレーキの操作が検出されない場合に、原動機を始動せずに、負荷の少なくとも一部への電源の供給を開始するように制御させ、その後、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が継続して検出されている状態で、ブレーキの操作が検出されたとき、原動機を始動するように制御させることができる。
【0021】
これにより、所定の操作順序で車両を始動できるようにすることができる。また、いったん負荷への電源の供給を開始した後に、原動機を始動することが可能になる。
【0022】
この認証部には、負荷の少なくとも一部への電源の供給を開始するように制御された後、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が継続して検出されている状態で、ブレーキの操作が検出されたとき、携帯機の認証を行わせ、この制御部には、携帯機の認証が成功した場合、原動機を始動するように制御させることができる。
【0023】
これにより、所定の操作順序で車両を始動できるようにすることができる。
【0024】
この認証部には、負荷への電源の供給及び原動機が停止した状態で、ブレーキの操作が検出され、かつ、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、携帯機の認証を行わせ、この制御部には、携帯機の認証が成功した場合に、負荷への電源の供給を開始し、原動機を始動するように制御させることができる。
【0025】
これにより、所定の操作順序で車両を始動できるようにすることができる。
【0026】
原動機の始動及び停止の操作が可能な押しボタン式の操作部をさらに設け、この制御部には、携帯機の認証が成功し、ブレーキの操作が検出され、かつ、操舵部の1ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、接触検出部の異常であると判定し、操作部への操作をユーザへ促させることができる。
【0027】
これにより、センサ等の故障により、操舵部への手の接触の検出に異常が発生した場合でも、ユーザが混乱することなく確実に車両の始動を行うことができる。
【0028】
本発明の一側面の車両制御方法は、車両のブレーキの操作を検出するブレーキ操作検出ステップと、車両の操舵部への手の接触を検出する接触検出ステップと、認証情報を有する携帯機と無線通信を行い、携帯機の認証を行う認証ステップと、携帯機の認証が成功し、かつ、ブレーキの操作が検出され、かつ、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、車両の所定の負荷への電源の供給を開始し、車両の原動機を始動するように制御する始動制御ステップとを含む。
【0029】
本発明の一側面の車両制御方法においては、車両のブレーキの操作が検出され、車両の操舵部への手の接触が検出され、認証情報を有する携帯機と無線通信が行われ、携帯機の認証が行われ、携帯機の認証が成功し、かつ、ブレーキの操作が検出され、かつ、操舵部の少なくとも2ヶ所への手の接触が規定時間以上検出された場合に、車両の所定の負荷への電源の供給が開始され、車両の原動機が始動する。
【0030】
従って、運転者が運転開始時の自然な動作を行う(自然な姿勢を取る)だけで、車両の原動機を始動させることができ、安全性を確保しつつ、操作性を向上させることができる。
【0031】
この車両は、例えば、乗用車、バス、トラック等の自動車、原動機付きの二輪車や三輪車等である。この操舵部は、例えば、四輪車のステアリングホイール、二輪車のハンドルバー(グリップ)等である。この携帯機は、例えば、車両用のドアの施解錠やエンジン始動を行うためのキーフォブ(Key FOB)や車両のドアの施解錠やエンジンの始動の制御を行えるように登録された携帯電話機等である。この原動機は、例えば、エンジンやモータ等である。各ステップの処理は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)により実行される。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一側面によれば、運転者が運転開始時の自然な動作を行う(自然な姿勢を取る)だけで、車両のエンジン等の原動機を始動させることができ、安全性を確保しつつ、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明を適用した車両制御装置の一実施の形態を示すブロック図である。
図2】ステアリングホイールのセンサの設置位置の例を示す図である。
図3】車両始動制御処理の第1の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
図4】プッシュスイッチを用いた場合の車両の状態遷移図の例を示す図である。
図5】ノブスイッチを用いた場合の車両の状態遷移図の例を示す図である。
図6】車両始動制御処理の第2の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
図7】車両始動制御処理の第3の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
図8】車両始動制御処理の第4の実施の形態を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
2.変形例
【0035】
<1.実施の形態>
[車両制御装置11の構成例]
図1は、本発明を適用した車両制御装置11の一実施の形態を示すブロック図である。
【0036】
車両制御装置11は、図示せぬ車両に設けられ、車両の電源の供給及び車両の原動機の駆動を制御する装置である。
【0037】
なお、車両制御装置11が設けられる車両の種類は特に限定されるものではなく、任意の種類の車両に適用することが可能である。また、車両制御装置11の制御対象となる原動機は、例えば、ガソリン車やディーゼル車等ではエンジンとされ、電気自動車ではモータとされ、ハイブリッドカーではエンジン及びモータとされる。
【0038】
車両制御装置11は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)により構成され、接触検出部31、認証部32、ブレーキ操作検出部33、シフトポジション検出部34、電源・駆動操作検出部35、及び、制御部36を含む機能を実現する。
【0039】
接触検出部31は、車両の操舵部であるステアリングホイールに設けられたセンサ12L及び12Rから供給されるセンサデータに基づいて、ステアリングホイールへの接触を検出し、検出結果を制御部36に供給する。
【0040】
図2は、センサ12L及びセンサ12Rの設置位置の例を示している。センサ12L及びセンサ12Rは、ステアリングホイール101のリング部の斜線部で示される左右の所定の位置に設けられる。より具体的には、センサ12Lは、運転時に運転者の左手が握ると想定される範囲に設けられ、センサ12Rは、運転時に運転者の右手が握ると想定される範囲に設けられる。
【0041】
また、センサ12L及びセンサ12Rは、運転者の手がステアリングホイール101に接触したことを検出することが可能な任意の種類のセンサにより構成される。例えば、センサ12L及びセンサ12Rは、近接センサ、電極を用いたタッチセンサ、ステアリングホイール101を握ったときの圧力を検出する圧力センサ等である。ここで、センサ12Lに用いられる電極などの接触子は、1つである必要はない。例えば、図2の斜線部への手の接触を検出するために、複数の接触子を用いてもよいし、センサ自体を複数配置してもよい。センサ12Rも同様である。運転者の手が検出できるように構成されていれば、いかなる態様でもよい。
【0042】
認証部32は、認証情報を有する携帯機13と無線通信を行い、携帯機13の認証を行い、認証結果を制御部36に供給する。
【0043】
なお、携帯機13は、例えば、車両制御装置11が設けられている車両用のキーフォブ等であり、車両のドアの施錠及び開錠の遠隔操作や、車両の原動機の始動や電源の供給を許可するための認証に用いられる。また、携帯機13と認証部32との間の通信方式には、任意の方式を採用することができる。例えば、LF帯やUHF帯の無線通信や、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信が採用される。
【0044】
ブレーキ操作検出部33は、ブレーキペダル14に設けられているスイッチやセンサからの信号に基づいて、図示せぬ車両のブレーキの操作、より具体的には、ブレーキペダル14の踏み込みを検出し、検出結果を制御部36に供給する。
【0045】
シフトポジション検出部34は、シフト操作部15からの信号に基づいて、車両のシフトポジションを検出し、検出結果を制御部36に供給する。
【0046】
なお、シフト操作部15は、例えば、車両のシフトポジションを切り替えるためのレバーやスイッチ等により構成される。
【0047】
電源・駆動操作検出部35は、電源・駆動操作部16から供給される信号に基づいて、電源・駆動操作部16の操作を検出し、検出結果を制御部36に供給する。
【0048】
なお、電源・駆動操作部16は、例えば、車両の電源の状態の切替えや、原動機の始動及び停止等の操作に用いるイグニッションスイッチであり、押しボタン式や回転式などの方式がある。また、機械式の鍵を挿入して操作する方式の場合もある。
【0049】
制御部36は、車両制御装置11全体の制御を行う。また、制御部36は、車両制御装置11の各部からの情報に基づいて、車両の電源の供給及び原動機の駆動の制御を行う。例えば、制御部36は、車両の電源又はその制御部に所定の指令信号を供給することにより、車両の電源モードの切り替えを制御する。また、例えば、制御部36は、車両の原動機又はその制御部に所定の指令信号を供給することにより、原動機の始動及び停止等を制御する。
【0050】
[車両始動制御処理の第1の実施の形態]
次に、図3のフローチャート、並びに、図4及び図5の状態遷移図を参照して、車両制御装置11により実行される車両始動制御処理の第1の実施の形態について説明する。
【0051】
なお、図4の状態遷移図は、電源・駆動操作部16がプッシュスイッチにより構成される場合の車両の状態遷移図を示している。一方、図5の状態遷移図は、電源・駆動操作部16がノブスイッチにより構成される場合の車両の状態遷移図を示している。
【0052】
また、以下、車両の電源モードが、OFF、アクセサリ、ONの3種類のモードを有する場合について説明する。
【0053】
電源モードがOFFに設定されている場合、車両の負荷(すなわち、電装品)は、常時給電が行われるものを除いて使用できない。また、車両の原動機を始動することができず、車両は走行できない。なお、電源・駆動操作部16がノブスイッチにより構成される場合、例えば、ノブスイッチはOFFの位置に設定される。
【0054】
電源モードがアクセサリモードに設定されている場合、車両の一部の負荷(例えば、アクセサリソケット等の電装品)に電源が供給され、使用可能になる。また、車両の原動機を始動することができず、車両は走行できない。なお、電源・駆動操作部16がノブスイッチにより構成される場合、例えば、ノブスイッチはACC(アクセサリ)の位置に設定される。
【0055】
電源モードがONモードに設定されている場合、車両の所定の負荷(例えば、全ての電装品)に電源が供給され、使用可能になる。また、車両の原動機を始動することができ、車両の走行が可能になる。なお、電源・駆動操作部16がノブスイッチにより構成される場合、例えば、ノブスイッチはONの位置に設定される。
【0056】
なお、この処理は、例えば、車両が図4及び図5に示される初期状態、すなわち、車両の電源モードがOFF、かつ、原動機が停止している状態のときに、所定の間隔で実行される。
【0057】
ステップS1において、制御部36は、接触検出部31からの検出結果に基づいて、ステアリングホイール101への接触が検出されたか否かを判定する。制御部36は、センサ12L及びセンサ12Rのうち少なくとも一方で物体の接触が検出されている場合、ステアリングホイール101への接触が検出されたと判定し、処理はステップS2に進む。すなわち、ステアリングホイール101の少なくとも1ヶ所で接触が検出された場合、その位置及び数に関わらず、処理はステップS2に進む。
【0058】
ステップS2において、認証部32は、携帯機13の認証を試みる。具体的には、制御部36は、認証部32に携帯機13の認証の実行を指令する。認証部32は、例えば、ポーリング信号等の送信を開始し、携帯機13との通信を試みる。認証部32は、携帯機13からポーリング信号に対する応答信号を受信したとき、所定の手順で携帯機13との間で認証処理を行い、認証結果を制御部36に通知する。
【0059】
ここで、認証処理は、例えば、以下のような公知の処理を行う。認証部32から携帯機13に対して、認証情報(例えば携帯機のID番号等)の返信を要求するための応答要求信号を無線で送信する。この応答要求信号を受信した携帯機13は、自己が記憶している認証情報を含む応答信号を認証部32に送信する。そして、認証部32において、応答信号に含まれた認証情報に基づいて携帯機13の認証を行い、認証結果を得る。
【0060】
ステップS3において、制御部36は、認証部32からの認証結果に基づいて、携帯機13の認証に成功したか否かを判定する。携帯機13の認証に成功したと判定された場合、処理はステップS4に進む。
【0061】
ステップS4において、制御部36は、接触検出部31からの検出結果に基づいて、ステアリングホイール101の2ヶ所に手が規定時間以上接触しているか(始動操作が行われているか否か)を判定する。制御部36は、携帯機13の認証が成功してから所定の時間が経過するまでの間に、センサ12L及びセンサ12Rの両方で同時に物体(運転者の手)の接触が規定時間以上継続して検出された場合、始動操作が行われていると判定し、処理はステップS5に進む。
【0062】
ここで、センサ12L及びセンサ12Rの両方で物体の接触が規定時間以上継続して検出されている状態とは、例えば、運転者がステアリングホイール101のリング部の左右を握った状態が継続している状態であると想定される。これは、運転者が運転開始時に通常行う自然な動作(自然な姿勢)である。
【0063】
ステップS5において、制御部36は、ブレーキ操作検出部33からの検出結果に基づいて、ブレーキペダル14が踏み込まれているか否かを判定する。制御部36は、始動操作が行われてから所定の時間が経過するまでの間に、ブレーキペダル14の踏み込みが検出された場合、ブレーキペダル14が踏み込まれていると判定し、処理はステップS6に進む。すなわち、携帯機13の認証が成功し、始動操作が行われ、ブレーキペダル14が踏み込まれている場合、処理はステップS6に進む。
【0064】
ステップS6において、制御部36は、電源供給制御及び始動制御を行う。具体的には、制御部36は、電源モードをONモードに設定するための指令信号を、図示せぬ車両の電源又はその制御部に供給する。これにより、車両の電源モードがONモードに設定される。また、制御部36は、原動機を始動するための指令信号を、図示せぬ車両の原動機又はその制御部に供給する。これにより、車両の原動機が始動し、走行可能な状態になる。その結果、図4及び図5に示されるように、車両が初期状態から駆動状態に遷移する。また、電源・駆動操作部16がノブスイッチにより構成される場合、ノブスイッチの位置がOFFからONに自動的に移動する。
【0065】
その後、車両始動制御処理は終了する。
【0066】
一方、ステップS5において、制御部36は、始動操作が行われてから所定の時間が経過するまでの間に、ブレーキペダル14の踏み込みが検出されない場合、ブレーキペダル14が踏み込まれていないと判定し、処理はステップS7に進む。
【0067】
ステップS7において、制御部36は、電源供給制御を行う。具体的には、制御部36は、電源モードをアクセサリモードに設定するための指令信号を、図示せぬ車両の電源又はその制御部に供給する。これにより、車両の電源モードがアクセサリモードに設定される。その結果、図4及び図5に示されるように、車両が初期状態から中間状態に遷移する。また、電源・駆動操作部16がノブスイッチにより構成される場合、ノブスイッチの位置がOFFからACCに自動的に移動する。
【0068】
なお、このとき、電源モードをアクセサリモードではなくONモードに設定するようにしてもよい。
【0069】
ステップS8において、制御部36は、接触検出部31からの検出結果に基づいて、ステップS4と同様の始動操作が継続しているか否かを判定する。制御部36は、センサ12L及びセンサ12Rの両方で物体の接触が検出されている状態が継続している場合、始動操作が継続していると判定し、処理はステップS9に進む。
【0070】
ステップ9において、制御部36は、ブレーキ操作検出部33からの検出結果に基づいて、ブレーキペダル14が踏み込まれたか否かを判定する。ブレーキペダル14が踏み込まれていないと判定された場合、処理はステップS8に戻る。
【0071】
その後、ステップS8において、始動操作が停止したと判定されるか、ステップS9において、ブレーキペダル14が踏み込まれたと判定されるまで、ステップS8及びS9の処理が繰り返し実行される。
【0072】
一方、ステップS9において、ブレーキペダル14が踏み込まれたと判定された場合、処理はステップS10に進む。
【0073】
ステップS10において、ステップS2の処理と同様に、携帯機13の認証が試みられる。
【0074】
ステップS11において、ステップS3の処理と同様に、携帯機13の認証が成功したか否かが判定される。携帯機13の認証が成功したと判定された場合、処理はステップS12に進む。
【0075】
ステップS12において、ステップS6の処理と同様に、電源供給制御及び駆動制御が行われる。これにより、図4及び図5に示されるように、車両が中間状態から駆動状態に遷移する。また、電源・駆動操作部16がノブスイッチにより構成される場合、ノブスイッチの位置がACCからONに自動的に移動する。
【0076】
なお、ステップS7の処理で電源モードがONモードに設定されている場合、ステップS12において、電源供給制御を省略することが可能である。
【0077】
その後、車両始動制御処理は終了する。
【0078】
一方、ステップS11において、携帯機13の認証が失敗したと判定された場合、車両が中間状態のまま、車両始動制御処理は終了する。
【0079】
また、ステップS8において、制御部36は、センサ12L及びセンサ12Rのうち少なくとも一方で物体の接触の検出が停止した場合、始動操作が停止したと判定する。その後、車両が中間状態のまま、車両始動制御処理は終了する。
【0080】
さらに、ステップS4において、制御部36は、携帯機13の認証が成功してから所定の時間が経過するまでの間に、センサ12L及びセンサ12Rの少なくとも一方で物体の接触が規定時間以上継続して検出されなかった場合、始動操作が行われていないと判定する。その後、車両が初期状態のまま、車両始動制御処理は終了する。
【0081】
また、ステップS3において、携帯機13の認証が失敗したと判定された場合、車両が初期状態のまま、車両始動制御処理は終了する。
【0082】
さらに、ステップS1において、ステアリングホイール101への接触が検出されていないと判定された場合、車両が初期状態のまま、車両始動制御処理は終了する。
【0083】
以上のようにして、正規の携帯機13を所持する運転者が、ステアリングホイール101を両手で規定時間以上握り、ブレーキペダル14を踏み込むという運転開始時の自然な動作を行うだけで、他に特別な操作をせずに、車両を始動することができる。また、上記の一連の動作を行わないと車両が始動しないため、誤操作により意図せずに車両が始動することを防止でき、安全性を確保することができる。さらに、携帯機13の認証が成功しないと、車両が始動しないため、車両の盗難等を防止することができる。
【0084】
なお、図4の例の場合、駆動状態において、車速0(ゼロ)かつシフトポジションがパーキング(P)に設定されている場合に、電源・駆動操作部16を構成するプッシュスイッチが操作されると、車両が初期状態に遷移する。また、駆動状態において、車速0かつシフトポジションがパーキング(P)以外に設定されている場合に、電源・駆動操作部16を構成するプッシュスイッチが操作されると、車両が中間状態に遷移する。さらに、中間状態において、車速0かつシフトポジションがパーキング(P)に設定されている場合に、電源・駆動操作部16を構成するプッシュスイッチが長押しされると、車両が初期状態に遷移する。
【0085】
また、図5の例の場合、駆動状態において、車速0かつシフトポジションがパーキング(P)に設定されている場合に、電源・駆動操作部16を構成するスイッチノブがACCの位置まで回転操作されると、車両が中間状態に遷移する。さらに、中間状態において、車速0かつシフトポジションがパーキング(P)に設定されている場合に、電源・駆動操作部16を構成するスイッチノブがOFFの位置まで回転操作されると、車両が初期状態に遷移する。
【0086】
さらに、図4及び図5のいずれの場合も、従来通りプッシュスイッチ又はノブスイッチを操作することにより、車両を始動したり、電源の供給を開始したりすることが可能である。
【0087】
[車両始動制御処理の第2の実施の形態]
次に、図6のフローチャートを参照して、車両制御装置11により実行される車両始動制御処理の第2の実施の形態について説明する。
【0088】
なお、この処理は、例えば、車両が初期状態のときに、所定の間隔で実行される。
【0089】
ステップS51において、図3のステップS9の処理と同様に、ブレーキペダル14が踏み込まれたか否かが判定される。ブレーキペダル14が踏み込まれたと判定された場合、処理はステップS52に進む。
【0090】
ステップS52において、図3のステップ2の処理と同様に、携帯機13との認証が試みられる。
【0091】
ステップS53において、図3のステップS3の処理と同様に、携帯機13の認証が成功したか否かが判定される。携帯機13の認証が成功したと判定された場合、処理はステップS54に進む。
【0092】
ステップS54において、制御部36は、ブレーキ操作検出部33からの検出結果に基づいて、ブレーキペダル14の踏み込みが継続しているか否かを判定する。ブレーキペダル14の踏み込みが継続していると判定された場合、処理はステップS55に進む。
【0093】
ステップS55において、制御部36は、接触検出部31からの検出結果に基づいて、ステアリングホイール101の2ヶ所に手が規定時間以上接触したか(始動操作が行われたか)否かを判定する。制御部36は、センサ12L及びセンサ12Rの少なくとも一方で物体の接触が規定時間以上継続して検出されていない場合、始動操作が行われていないと判定し、処理はステップS54に戻る。
【0094】
その後、ステップS54において、ブレーキペダル14の踏み込みが停止したと判定されるか、ステップS55において、始動操作が行われたと判定されるまで、ステップS54及びS55の処理が繰り返し実行される。
【0095】
一方、ステップS55において、制御部36は、センサ12L及びセンサ12Rの両方で同時に物体の接触が規定時間以上継続して検出された場合、始動操作が行われたと判定し、処理はステップS56に進む。
【0096】
ステップS56において、図3のステップS6の処理と同様に、電源供給制御及び始動制御が行われ、車両が初期状態から駆動状態に遷移する。
【0097】
その後、車両始動制御処理は終了する。
【0098】
一方、ステップS54において、ブレーキペダル14の踏み込みが停止したと判定された場合、車両が初期状態のまま、車両始動制御処理は終了する。
【0099】
また、ステップS51において、ブレーキペダル14の踏み込みが検出されていないと判定された場合、又は、ステップS53において、携帯機13の認証が失敗したと判定された場合、車両が初期状態のまま、車両始動制御処理は終了する。
【0100】
以上のようにして、正規の携帯機13を所持する運転者が、ブレーキペダル14を踏み込んだ後、ステアリングホイール101を両手で握るという運転開始時の自然な動作を行うだけで、他に特別な操作をせずに、車両を始動することができる。また、上記の一連の動作を行わないと車両が始動しないため、誤操作により意図せずに車両が始動することを防止でき、安全性を確保することができる。さらに、携帯機13の認証が成功しないと、車両が始動しないため、車両の盗難等を防止することができる。
【0101】
なお、ステップS55において、始動操作が行われていないと判定された場合、その都度、ステップS52に戻り、認証処理を行うようにしてもよい。また、ステップS53において、携帯機13の認証が成功した後、ステップS54とステップS55の判定処理が繰り返されている間に、所定の間隔で認証処理を行うようにしてもよい。
【0102】
[車両始動制御処理の第3の実施の形態]
次に、図7のフローチャートを参照して、車両制御装置11により実行される車両始動制御処理の第3の実施の形態について説明する。
【0103】
なお、この処理は、例えば、車両が初期状態のときに、所定の間隔で実行される。
【0104】
ステップS101において、図6のステップS55の処理と同様に、ステアリングホイール101の2ヶ所に手が規定時間以上接触したか(始動操作が行われたか)否かが判定される。始動操作が行われたと判定された場合、処理はステップS102に進む。
【0105】
ステップS102において、図3のステップS2の処理と同様に、携帯機13との認証が試みられる。
【0106】
ステップS103において、図3のステップS3の処理と同様に、携帯機13の認証が成功したか否かが判定される。携帯機13の認証が成功したと判定された場合、処理はステップS104に進む。
【0107】
ステップS104において、制御部36は、ブレーキ操作検出部33からの検出結果に基づいて、ブレーキペダル14が踏み込まれているか否かを判定する。制御部36は、携帯機13の認証が成功してから所定の時間が経過するまでの間に、ブレーキペダル14の踏み込みが検出された場合、ブレーキペダル14が踏み込まれていると判定し、処理はステップS105に進む。
【0108】
ステップS105において、図3のステップS6の処理と同様に、電源供給制御及び始動制御が行われ、車両が初期状態から駆動状態に遷移する。
【0109】
その後、車両始動制御処理は終了する。
【0110】
一方、ステップS104において、ブレーキペダル14が踏み込まれていないと判定された場合、処理はステップS106に進む。
【0111】
その後、ステップS106乃至S111において、図3のステップS7乃至S12と同様の処理が実行され、車両始動制御処理は終了する。
【0112】
一方、ステップS101において、始動操作が行われていないと判定された場合、又は、ステップS103において、携帯機13の認証が失敗したと判定された場合、車両が初期状態のまま、車両始動制御処理は終了する。
【0113】
以上のようにして、正規の携帯機13を所持する運転者が、ステアリングホイール101を両手で握った後、ブレーキペダル14を踏み込むという運転開始時の自然な動作を行うだけで、他に特別な操作をせずに、車両を始動することができる。また、上記の一連の動作を行わないと車両が始動しないため、誤操作により意図せずに車両が始動することを防止でき、安全性を確保することができる。さらに、携帯機13の認証が成功しないと、車両が始動しないため、車両の盗難等を防止することができる。
【0114】
[車両始動制御処理の第4の実施の形態]
次に、図8のフローチャートを参照して、車両制御装置11により実行される車両始動制御処理の第4の実施の形態について説明する。
【0115】
なお、この処理は、例えば、車両が初期状態のときに、所定の間隔で実行される。
【0116】
ステップS151において、図6のステップS55の処理と同様に、ステアリングホイール101の2ヶ所に手が規定時間以上接触したか(始動操作が行われたか)否かが判定される。始動操作が行われたと判定された場合、処理はステップS152に進む。
【0117】
ステップS152において、図3のステップS5の処理と同様に、ブレーキペダル14が踏み込まれているか否かが判定される。ブレーキペダル14が踏み込まれていると判定された場合、処理はステップS153に進む。
【0118】
ステップS153において、図3のステップS2の処理と同様に、携帯機13の認証が試みられる。
【0119】
ステップS154において、図3のステップS3の処理と同様に、携帯機13の認証が成功したか否かが判定される。
【0120】
ステップS155において、図3のステップS6の処理と同様に、電源駆動制御及び始動制御が行われ、車両が初期状態から駆動状態に遷移する。
【0121】
その後、車両始動制御処理は終了する。
【0122】
一方、ステップS151において、始動操作が行われていないと判定された場合、ステップS152において、ブレーキペダル14が踏み込まれていないと判定された場合、又は、ステップS154において、携帯機13の認証が失敗したと判定された場合、車両が初期状態のまま、車両始動制御処理は終了する。
【0123】
以上のようにして、正規の携帯機13を所持する運転者が、ステアリングホイール101を両手で握り、ブレーキペダル14を踏み込むという運転開始時の自然な動作を行うだけで、他に特別な操作をせずに、車両を始動することができる。また、上記の一連の動作を行わないと車両が始動しないため、誤操作により意図せずに車両が始動することを防止でき、安全性を確保することができる。さらに、携帯機13の認証が成功しないと、車両が始動しないため、車両の盗難等を防止することができる。
【0124】
<2.変形例>
以下、上述した本発明の実施の形態の変形例について説明する。
【0125】
例えば、センサ12L及びセンサ12Rのいずれか一方が故障した場合、上述した始動操作を検出できなくなる。これに対して、例えば、センサ12L及びセンサ12Rのいずれか一方のみが物体の接触を規定時間以上継続して検出している場合、すなわち、ステアリングホイール101の1ヶ所への接触が規定時間以上検出された場合、一方のセンサが故障していると判定するようにしてもよい。なお、この規定時間は、例えば、始動操作の判定に用いる規定時間以上の値に設定される。
【0126】
そして、一方のセンサが故障していると判定された場合、例えば、電源・駆動操作部16を手動で操作して車両を始動するように促すようにしてもよい。例えば、制御部36が、電源・駆動操作部16又はその近傍に設けられているLED等を点滅させたり、インストルメントパネルに手動操作を促す表示を行うように制御したりすることが考えられる。
【0127】
また、センサ12L,12Rが電力を必要とするセンサにより構成される場合、運転者がステアリングホイール101に触れる前に、センサ12L,12Rに電力を供給する必要がある。この場合、消費電力を軽減するために、例えば、車両に人が乗り込んだことを検出したとき(例えば、車両のドアが閉まったことを検出したとき等)に、センサ12L,12Rへの電力の供給を開始するようにしてもよい。
【0128】
さらに、携帯機13の認証を上述した以外のタイミングで行うようにすることが可能である。例えば、車両に人が乗り込んだことを検出したとき(例えば、車両のドアが閉まったことを検出したとき等)に、事前に携帯機13の認証を行うようにしてもよい。
【0129】
また、図3及び図7の車両始動制御処理においては、中間状態から駆動状態に遷移するときに、携帯機13の再認証を行うようにしているが、この再認証を省略するようにすることも可能である。
【0130】
さらに、以上では、車両始動制御処理を行うときのシフトポジションについては特に規定しなかったが、例えば、シフトポジションが所定のポジション(例えば、パーキング)に設定されている場合にのみ、上述した車両始動制御処理を行うようにしてもよい。
【0131】
また、ステアリングホイール101のセンサの設置位置は、運転者が両手でステアリングホイール101を握ったことを検出できれば、図2の例に限定されるものではない。例えば、センサを3ヶ所以上に設置するようにしてもよい。或いは、例えば、ステアリングホイール101のリング部全体に接触位置を検出可能な1つのセンサを設けて、具体的な接触位置を示すセンサデータを接触検出部31に供給するようにしてもよい。また、センサの設置位置や運転者の手の位置によっては、運転者が両手でステアリングホイール101を握った場合に、3ヶ所以上でステアリングホイール101への接触が検出されることも想定される。
【0132】
さらに、以上では、主に車両が乗用車、バス、トラック等の自動車である場合を想定して車両始動制御処理の説明をしたが、車両がモータバイク等の原動機付きの二輪車や三輪車等の場合にも、本発明を適用することが可能である。この場合、例えば、ステアリングホイール101の代わりに、操舵部である左右のハンドルバー(グリップ)にセンサ12L,12Rがそれぞれ設けられる。また、例えば、ブレーキの操作として、ブレーキペダル14の代わりに、ブレーキレバーやフットブレーキ等の操作が検出される。
【0133】
また、例えば、電池切れ等により携帯機13の認証が行えなくなった場合、例えば、従来のコイル付きのプッシュスイッチを用いて、コイルによる電力供給とプッシュ操作により原動機を始動するようにすることが可能である。
【0134】
[コンピュータの構成例]
上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、コンピュータにインストールされる。ここで、コンピュータには、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータなどが含まれる。
【0135】
また、コンピュータが実行するプログラムは、例えば、パッケージメディア等としてのリムーバブルメディアに記録して提供することができる。また、プログラムは、ローカルエリアネットワーク、CAN、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介して提供することができる。
【0136】
その他、プログラムは、例えば、ROMや記憶部に、あらかじめインストールしておくことができる。
【0137】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。
【0138】
また、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0139】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0140】
また、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【0141】
さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。
【符号の説明】
【0142】
11 車両制御装置
12L,12R センサ
13 携帯機
14 ブレーキペダル
15 シフト操作部
16 電源・駆動操作部
31 接触検出部
32 認証部
33 ブレーキ操作検出部
34 シフトポジション検出部
35 電源・駆動操作検出部
36 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8