特許第5988960号(P5988960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988960
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】見出し形成用器具
(51)【国際特許分類】
   B42F 21/02 20060101AFI20160825BHJP
   B42D 3/14 20060101ALI20160825BHJP
   B26F 1/32 20060101ALI20160825BHJP
【FI】
   B42F21/02 B
   B42D3/14 Z
   B26F1/32 L
   B26F1/32 H
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-501042(P2013-501042)
(86)(22)【出願日】2012年2月21日
(86)【国際出願番号】JP2012054047
(87)【国際公開番号】WO2012115075
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年2月17日
(31)【優先権主張番号】特願2011-36477(P2011-36477)
(32)【優先日】2011年2月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000104087
【氏名又は名称】カール事務器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112162
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日 直子
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀行
(72)【発明者】
【氏名】橘 竜人
【審査官】 宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】 実開平02−010982(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3117590(JP,U)
【文献】 特開2009−045696(JP,A)
【文献】 特開2005−280097(JP,A)
【文献】 実開昭61−155175(JP,U)
【文献】 特開平02−116598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42F 21/00 − 21/12
B42D 3/14
B26F 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カット刃(20)が摺接しながら案内される案内路(11)と、該案内路(11)に直交するスリット(12)と、を有する基台(10)に、刃先(22)を下方に向けた前記カット刃(20)を上方に付勢させた状態で組み付け、
前記スリット(12)にシート(2)を挿入して奥壁部(14)に当接させた状態で、前記カット刃(20)を押し下げることで、シート(2)の端縁から所定長の非カット領域(4)を介して切り込み片(3)を形成する見出し形成用器具(1)であって、
前記カット刃(20)の刃先(22)は、挿入口側から両側部に向けて下向きに傾斜する下向き傾斜部(23)を有してなり、該下向き傾斜部(23)と、前記案内路(11)と前記スリット(12)とが交差する基台エッジ部(13)と、の協働によって、前記切り込み片(3)の先端領域が形成されるようにしたことを特徴とする見出し形成用器具。
【請求項2】
前記カット刃(20)の刃先(22)は、両側部から奥壁部(14)側に向けて上向きに傾斜する上向き傾斜部(25)を有してなり、該上向き傾斜部(25)と、前記案内路(11)と前記スリット(12)とが交差する基台エッジ部(13)と、の協働によって、前記非カット領域(4)に向けての領域が形成されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の見出し形成用器具。
【請求項3】
前記カット刃(20)の操作部(50)を上面部に備えると共に、前記スリット(12)に対応する隙間(32)を側面部に備え、弾性部材からなる刃受部(60)を底面部に設けて構成されたハウジング(30)に収容されてなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の見出し形成用器具。
【請求項4】
前記切り込み片(3)を前記スリット(12)内に復帰させるための板バネ(80)を、前記奥壁部(14)から前記案内路(11)に向けて配設し
前記カット刃(20)に前記切り込み片の折り曲げを誘導するための突条部(26)を設け、
前記非カット領域(4)にスリット(9)を形成するための切り込み刃(90)を、前記奥壁部(14)と前記カット刃(20)の間に設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1つの請求項に記載の見出し形成用器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、書籍の任意のページに所定形状の切り込みを設け、折り曲げてページの端から突出させることで見出しを形成するための器具であって、特に、簡単な構造であって、位置合せや切り込み操作を安定した姿勢で行うことができる見出し形成用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
書籍の任意のページに見出しをつける際に、インデックスシールを用いることなく見出しを形成するための器具として、支点を中心に回動する上刃と下刃との間に紙を挟み、上刃を下刃に近接させることで、紙の端から一定の位置に略コの字型の切り込みを形成できるようにしたものが提案されている(特許文献1を参照)。
この見出し形成用器具の上刃と下刃は、捩りコイルバネによって離反方向に付勢されており、外側にはハンドルが形成されている。ハンドルを握って上刃と下刃とを近接させることで、上刃と下刃との協働により紙が切り込まれる。この切り込まれた部分を折り曲げ、ページの縁から外側に突出させることで、書籍の見出しを形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3117590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような回動式の見出し形成用器具は、上刃の回動端部に、下刃に向けた突起刃を設ける必要があるので、紙に対して垂直に切り込むことができないという問題があった。
また、上刃と下刃の協働によって切り込まれた部分が下刃の方に押し込まれるので、上刃が離反した際に、切り込まれた部分を元の位置に戻すための板バネを、下刃の内部に設ける必要があり、構造が複雑なものとなっていた。
【0005】
さらに、ハンドルを操作する手とは反対の手で、上刃と下刃との間に紙を差し込み、見出しを形成すべき位置に紙を固定した状態で、ハンドルを握り締めて切り込むので、位置合せや切り込み操作を、安定した姿勢で行うことができなかった。
そこで、本発明は、簡単な構造であって、位置合せや切り込み操作を安定した姿勢で行うことができる見出し形成用器具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る見出し形成用器具は、カット刃が摺接しながら案内される案内路と、該案内路に直交するスリットと、を有する基台に、刃先を下方に向けた前記カット刃を上方に付勢させた状態で組み付け、前記スリットにシートを挿入して奥壁部に当接させた状態で、前記カット刃を押し下げることで、シートの端縁から所定長の非カット領域を介して切り込み片を形成する見出し形成用器具であって、前記カット刃の刃先は、挿入口側から両側部に向けて下向きに傾斜する下向き傾斜部を有してなり、該下向き傾斜部と、前記案内路と前記スリットとが交差する基台エッジ部との協働によって、前記切り込み片の先端領域が形成されるようにしたことを特徴とするものである。
この場合、前記カット刃の刃先は、両側部から奥壁部側に向けて上向きに傾斜する上向き傾斜部を有してなり、該上向き傾斜部と、前記案内路と前記スリットとが交差する基台エッジ部と、の協働によって、前記非カット領域に向けての領域が形成されるようにしてもよい。
また、前記カット刃の操作部を上面部に備えると共に、前記スリットに対応する隙間を側面部に備え、弾性部材からなる刃受部を底面部に設けて構成されたハウジングに収容されたものであってもよい。
【0007】
また、前記切り込み片を前記スリット内に復帰させるための板バネを、前記奥壁部から前記案内路に向けて配設し前記カット刃に記切り込み片の折り曲げを誘導するための突条部を設け前記非カット領域にスリットを形成するための切り込み刃を、前記奥壁部と前記カット刃の間に設けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る見出し形成用器具は、カット刃が案内路に摺接しながら下降することによって、スリットを形成する基台の上端縁と、先端の刃先部との協働によってシートを切り込み、所定形状の切り込み片が形成されるので、形成された切り込み片を非カット領域に向けて折り曲げ、先端部をシートの端から突出させることで、シートに見出しを形成することができる。
シートをスリットに挿入し、カット刃を押し下げるだけで、切り込み片を形成することができるので、安定した姿勢で、容易に見出しを形成することができる。
【0009】
特に、カット刃の刃先を、挿入口側から両側部に向けて下向きに傾斜させたので、刃先の両側部から挿入口側に向けてシートを切り込んでいくことができる。
請求項2に係る見出し形成用器具は、両側部から奥壁部側に向けて上向きに傾斜させたので、刃先の両端部からシートの非カット領域に向けて徐々に切り込んでいくことができる。この上向き傾斜部を、カット刃を押し下げた際に、上端部が基台エッジ部よりも上方に位置するように設計することによって、カット刃を下降させた際に切り込み片が打ち抜かれてしまうのを防止できる。
請求項3に係る見出し形成用器具によれば、切り込みの際に押し下げられた切り込み片が弾性部材によって初期位置に復帰するので、切り込まれたシートをスリットから抜き出す際に切り込み片が引っ掛かるのを防止できる。
請求項4に係る見出し形成用器具によれば、切り込み片の先端領域をスリット内に復帰させることができるので、切り込まれたシートをスリットから抜き出す際に切り込み片が引っ掛かるのを防止できる。また、切り込み片を折り曲げるための誘導部を形成することができるので、切り込み片を定位置で折り曲げることが可能となり、切り込み片を差し込むためのスリットを非カット領域に形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る見出し形成用器具の正面図である。
図2】上記見出し形成用器具の側面図である。
図3】上記見出し形成用器具の背面図である。
図4】上記見出し形成用器具の平面図である。
図5】上記見出し形成用器具の底面図である。
図6】上記見出し形成用器具を使用してシートに見出しを形成する方法の説明図であり、(a)はスリットにシートを挿入して切り込み片を形成する状態、(b)はシートを抜き出した状態、(c)は切り込み片を折り曲げて見出しを形成した状態を示す。
図7】上記見出し形成用器具の分解図である。
図8】上記見出し形成用器具の使用状態を示すA−A線矢視断面図であり、(a)は切り込みを入れる前、(b)はカット刃を下降させて切り込み片を形成する状態、(c)はカット刃が初期位置に復帰される状態を示す。
図9】上記カット刃の傾斜状態を示し、(a)は図8におけるB−B線矢視断面図であり、(b)はC−C線矢視断面図であり、(c)はD−D線矢視断面図である。
図10】上記見出し形成用器具を補助具に取り付けた状態を示す斜視図である。
図11】見出し片の形状をデザイン性の高いものにした場合の実施例を示す斜視図である。
図12】上記見出し形成用器具の第1変形例として、刃受板を有しないものを示すA−A線矢視断面図である。
図13】上記見出し形成用器具の第2変形例として、刃受部をコイルバネで形成したものを示すA−A線矢視断面図である。
図14】上記見出し形成用器具の第3変形例として、刃受部を有しないものを示すA−A線矢視断面図である。
図15】上記見出し形成用器具の第4変形例として、板バネを設けたものを示すA−A線矢視断面図である。
図16】上記板バネのカット刃に対する位置関係を示す平面図であり、(a)は見出し形成用器具にシートを挿入した状態であり、(b)はシートを抜き出した状態である。
図17】上記見出し形成用器具の第5変形例として、切り込み片を非カット領域に向けて折り曲げる際の誘導部を筋付けするようにしたものを示すA−A線矢視断面図である。
図18】上記見出し形成用器具の第6変形例として、非カット領域にスリットが形成されるようにしたものを示す平面図であり、(a)は見出し形成用器具にシートを挿入した状態、(b)はシートを抜き出した状態、(c)は切り込み片を折り曲げた状態、(d)はスリットに切り込み片を差し込んで見出しを形成した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好適な実施形態について、添付図面に基づいて説明する。なお、実施形態は以下の形態に限定されるものではなく、本発明の課題を解決しうるものであれば他の態様も実施可能である。
【0012】
図1図2図3図4及び図5は、本発明の実施形態に係る見出し形成用器具1を示す正面図、側面図、背面図、平面図及び底面図である。
この見出し形成用器具1は、本、ノート或いは書類束など、複数のシートを束状又は冊子状に束ねて形成された書籍に見出し部1を作成するためのものであり、図6に示すように、シート2に切り込みを入れ、その切り込み片3を折り曲げ、先端部をシート2の端から外側に突出させることによって見出しを形成するためのものである。
【0013】
この見出し形成用器具1は、図7に示すように、基台10にカット刃20を組み付けた状態でハウジング30a,30bに収容して構成される。
基台10は、金属製の部材によって構成されており、カット刃20を挿入するための案内路11が平面視中央に設けられている。案内路11の内径は、カット刃20の外径と略一致しており、カット刃20が摺接しながら上下動されるように設計されている。
【0014】
この案内路11に直交するように、シート2を挿入するためのスリット12が設けられている。案内路11とスリット12とが交差する基台の上縁は、エッジ状になっており、そのエッジ部13と、カット刃20との協働によって、スリット12に挿入されたシートが切り込まれるように構成されている。
カット刃20は、上端にフランジ部21を有し、先端に設けられた刃先22を下に向けた状態で、基台10の案内路11内に挿入されている。
【0015】
フランジ部21と基台10との間には、スプリング40が介装されており、基台10に対し、カット刃20を常に上方に付勢している。
この付勢力に抗してカット刃20を押し下げることで、エッジ部13とカット刃20との協働によってシート2が切断され、押し下げる力を解除することで、初期位置に復帰される。
【0016】
このカット刃20の刃先22は、図8に示すように、スリット12の挿入部側から両側に向けて下向きに傾斜する下向き傾斜部23を介して、切り込み頂部24を刃先22の両側に設けた構造となっている。
そして、両側に設けられた切り込み頂部24から奥壁部14の側に向けて、上向きに傾斜する上向き傾斜部25が形成されている。
【0017】
このように構成することで、カット刃20を押し下げた際に、先ず、両側の切り込み頂部24によってシート2が切り込まれ、その後、下向き傾斜部23によって、切り込み片3の先端部3aに向けての領域が形成されると同時に、上向き傾斜部25によって、切り込み片3の基部が切り込まれるようにすることができる。
即ち、カット刃20の刃先22が、シート2の挿入口側から両側部に向けて下向きに傾斜する構造なので、両側の切り込み頂部24によって切り込み片3の両側が切り込まれた後(図9(a)を参照)、先端部3aに向けて徐々に切り込まれるようにすることができる(図9(b)を参照)。
【0018】
このため、切り込み片3の先端部3aが過度に押し下げられないので、シート2をスリット12から抜き出す際に、切り込み片3が案内路11に引っ掛かるのを防止できる。
また、図9に示すように、何れの傾斜部(23,24,25)においても、カット刃20の両側から中央部側に向けて、刃先に対して凹状に湾曲する構造としたので、切り込み片3の先端部3aが過度に押し下げられるのを防止でき、引っ掛かりを一層効果的に防止できる。
そして、カット刃20の刃先22が、両側部から奥壁部14側に向けて上向きに傾斜するように構成したので、刃先22の両端部からシート2の非カット領域4に向けて徐々に切り込んでいくことができ、切り込み片3と非カット領域4との境目(即ち、切り込み片3の基部)を美しくすることができる。
【0019】
特に、図9(c)に示すように、カット刃20を押し下げた際、上向き傾斜部25の上端部25aが、エッジ部13の高さよりも上方に位置するように設計されているので、切り込み片3が打ち抜かれてしまうのを防止することができ、シート2の端から所定長の非カット領域4を形成することが可能となる。
これによって、穿孔パンチの構造の器具を利用して、舌片状の切り込み片3を形成することが可能となる。
【0020】
このようなカット刃20と基台10の組み立て体を、ハウジング30に収容することで本実施形態の見出し形成用器具1が形成される。
ハウジング30は、上部用の半割り容器30aと、下部用の半割り容器30bと、を組み合わせて構成されており、上部用の容器30aの上面中央部に開口部31を設け、その開口部31に、カット刃20の押し下げ操作を行うためのキャップ状の操作部50を取り付けている。操作部50の上面には、カット刃20に対応する切り込み形状が表示されている。
【0021】
上部用の半割り容器30aと、下部用の半割り容器30bとは、両側面の中間部から背面にかけての領域で接合されており、接合した際に、基台10のスリット12に対応するような隙間32が正面に形成されるように設計されている。
本実施形態では、下部用の半割り容器30bの両側面に、基台10のスリット12に対応する切り欠き32bを設け、上部用の半割り容器30aの正面中央に、中央位置を示すための目印33を設けている。
【0022】
そして、下部用の半割り容器30bの底面に、カット刃20の刃先を受けるための刃受部60を取り付けている。この刃受部60は、スポンジ、ウレタン、ゴム、シリコンなどの弾性部材によって構成されており、ハウジング30の底面に設けられた保持部に嵌め込まれている。
刃受部60の上面のカット刃20に対応する位置には、刃受部60よりもやや硬質の刃受板61が配設されている。刃受板61は、ポリプロピレンやABS樹脂など、軟質な合成樹脂製の板状部材によって構成されており、カット刃20に対応する形状を成している。
【0023】
このように、カット刃20の刃先22を受ける刃受部60をハウジング30の底部に設け、その刃受部60を弾性部材で構成したので、カット刃20によって押し下げられた切り込み片3を、初期位置へと復帰させることができる。また、刃受部60の上面に、合成樹脂製の板状部材61を配設したので、カット刃20によって押し下げられた際に、切り込み片3が撓むのを低減できる。
これによって、切り込まれたシート2をスリット12から抜き出す際に切り込み片3が引っ掛かるのを一層効果的に防止できる。
【0024】
上記見出し形成用器具1を用いてシート2に見出しを形成する方法を説明する。
先ず、図6(a)に示すように、シート2の見出しを形成しようとする位置に見出し形成用器具1を差し込み、ハウジング30上面の操作部50を押し下げる。
すると、図8(b)に示すように、カット刃20が下降し、シート2が挿入されているスリット12と、カット20の摺動する案内路11とが交差する基台エッジ部13において、シート2が切り込まれる。
【0025】
このようにして作成された舌片状の切り込み片3を、シート2の非カット領域4を介して シート2の外側に向けて折り曲げ、先端をシート2の端から突出させる(図6(c)を参照)。
これによって、インデックスシールなどの特別な部材を用いることなく、シートに見出しを形成することが可能となる。
【0026】
本発明に係る見出し形成用器具は、カット刃20が案内路11に摺接しながら下降することによって、下刃として機能する基台エッジ部13と、上刃として機能するカット刃20との協働によってシート2を切り込み、所定形状の切り込み片3を形成する構造の器具であれば如何なる構成であってもよく、例えば、図10に示すように、梃子の原理を利用した操作具70を取り付けて使用されるものであってもよい。
【0027】
本実施形態のカット刃20は、両側に切り込み頂部24を設けた刃先構造とすることで、刃先22の両側部から挿入口側に向けてシートを切り込んでいくようにしたが、この構成に限られることなく、例えば挿入口側の先端部に切り込み頂部を設けた構造としてもよい。
また、本実施形態は、カット刃の刃先を、両側部から奥壁部側に向けて上向きに傾斜させ、その上向き傾斜部の上端を、カット刃が押し下げられた際に基台エッジ部よりも上方に位置するように設計することで、刃先の両端部からシートの非カット領域に向けて徐々に切り込まれるようにしたが、傾斜状とすることなく、例えば段差を設けることで、切り込み片と非カット領域との境目を明確なものとすることも可能である。
【0028】
また、見出し片の形状は、コの字型に限らず、花や動物など、デザイン性の高い形状であってもよい。このような形状の切り込みをカードなどに設け、折り曲げて起立させると、図11に示すように、メッセージ性やデザイン性の高いカードを形成することができる。
本実施形態では、カット刃20の刃先を受けるための刃受部60の上面に、やや硬質の刃受板61を配設したが、図12に示すように、刃受板61を配設することなく、スポンジ状の材料からなる刃受部60のみとしてもよい。
また、図13に示すように、刃受部60’をコイルバネで構成してもよいし、図14に示すように、刃受部自体を設けなくともよい。
【0029】
また、カット刃20が摺接しながら案内される案内路11と、該案内路11に直交するスリット12と、を有する基台10に、刃先22を下方に向けた前記カット刃20を上方に付勢させた状態で組み付けた見出し形成用器具1において、図15に示すように、カット刃20の刃先に、挿入口側から両側部に向けて下向きに傾斜する下向き傾斜部23と、両側部から奥壁部14側に向けて上向きに傾斜する上向き傾斜部25と、を設け、スリット12にシート2を挿入して奥壁部14に当接させた状態で、前記カット刃20を押し下げることで、前記案内路11と前記スリット12とが交差する基台エッジ部13と、前記上向き傾斜部25との協働によって、シート2の端縁から所定長の非カット領域4を介して切り込み片3を形成するように構成すると共に、前記奥壁部14から前記案内路に向けて延びる板バネ80を設けてもよい。
【0030】
即ち、カット刃20の下方に、図16に示すように、対面する下向き傾斜部23と上向き傾斜部25の内側に収まるような大きさの板バネ80を配設する。このようにすることで、基台エッジ部13と下向き傾斜部23との協働によって切り込まれた領域(即ち、切り込み片3の先端領域3a)を、前記スリット内12へと復帰させることができる(図15(c)を参照)。
板バネ80は、基台10の奥壁部14からスリット12に沿って配設されるが、シート2の出し入れが円滑にガイドされるような湾曲状態となっている。即ち、奥壁部14から僅かに下向きに傾斜させ、刃先22の頂部24に対応する位置81が最も高くなるように緩やかに湾曲させている。これによって、切り込み片3の先端領域3aがスリット12内へと押し戻され、シート2の出し入れをスムーズに行うことが可能となる。
【0031】
また、切り込み片3を非カット領域4に向けて折り曲げる際の誘導部3bを筋付けするために、図17に示すように、突条部26をカット刃20に設けてもよい。この突条部26は、カット刃20を押し下げた際に、基台エッジ部13と上向き傾斜部25とが交差する点を結ぶような位置に配設するのが好ましい。突条部26によって切り込み片3の基部が筋付けされることで、切り込み片が定位置で折り曲げられ、書籍に形成される見出しの突出量を統一させることができる。
また更に、非カット領域4に、切り込み片3を差し込むためのスリット9が形成されるようにしてもよい。この場合、図18に示すように、基台10の奥壁部14と、上向き傾斜部との間に切り込み刃90を設けることで、カット刃20を押し下げた際に、切り込み片3と同時にスリット9を形成することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、シートに舌片状の切り込みを設けるための器具として、あらゆる産業分野において使用することができる。
【符号の説明】
【0033】
1・・・見出し形成用器具
2・・・シート
3・・・切り込み片
9・・・スリット
10・・・基台
11・・・案内路
12・・・スリット
13・・・エッジ部
14・・・奥壁部
20・・・カット刃
21・・・フランジ部
22・・・刃先
23・・・下向き傾斜部
24・・・切り込み頂部
25・・・上向き傾斜部
26・・・突条部
30・・・ハウジング
31・・・操作部
32・・・隙間
33・・・目印
40・・・スプリング
50・・・操作部
60、60’・・・刃受部
61・・・刃受板
70・・・操作具
80・・・板バネ
90・・・切り込み刃
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
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