特許第5988984号(P5988984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5988984
(24)【登録日】2016年8月19日
(45)【発行日】2016年9月7日
(54)【発明の名称】立体自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20160825BHJP
【FI】
   B65G1/04 555A
   B65G1/04 561
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-535728(P2013-535728)
(86)(22)【出願日】2011年9月28日
(86)【国際出願番号】JP2011072277
(87)【国際公開番号】WO2013046379
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2014年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】511049406
【氏名又は名称】デマティック アカウンティング サービシーズ ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】502380361
【氏名又は名称】トーヨーカネツソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】山下 伸
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−260511(JP,A)
【文献】 独国特許出願公開第102009032406(DE,A1)
【文献】 特開2009−084006(JP,A)
【文献】 特開2011−178549(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0070099(US,A1)
【文献】 特開平11−278607(JP,A)
【文献】 特開平07−277412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00− 1/20;47/52;
47/56−47/62;47/66
E04H 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数段の棚(16)を有し、互いに平行に対向配置された第1の積層ラック(14L)及び第2の積層ラック(14R)と、
前記第1の積層ラック(14L)と前記第2の積層ラック(14R)との間にて、選択された段の棚(16)に沿って水平方向に走行可能となっている、当該棚(16)に対して荷(P)の受渡しを行うための移載シャトル(10)と、
前記移載シャトル(10)を別の段に移動させるための昇降装置(12)と
を備える立体自動倉庫(100,200,300)において、
前記昇降装置(12)は、前記第1の積層ラック(14L)及び前記第2の積層ラック(14R)に隣接する位置にて昇降可能である、前記移載シャトル(10)を載置して昇降するためのシャトル昇降台(28)と、前記シャトル昇降台(28)と水平方向において並んだ状態で前記シャトル昇降台(28)と併走することが可能である、荷(P)を載置して昇降するための第1の荷昇降台(30L)及び第2の荷昇降台(30R)とを備え、
前記シャトル昇降台(28)が前記第1の荷昇降台(30L)に並んだ状態において、前記シャトル昇降台(28)上の前記移載シャトル(10)は前記第1の荷昇降台(30L)に対して荷(P)の受渡しを行うことができ、
前記シャトル昇降台(28)が前記第2の荷昇降台(30R)に並んだ状態において、前記シャトル昇降台(28)上の前記移載シャトル(10)は前記第2の荷昇降台(30R)に対して荷(P)の受渡しを行うことができ、
前記第1の積層ラック(14L)の、前記複数段のうち少なくとも一部分の段のそれぞれに、荷(P)を載せて待機させるための第1の待機台(50L)が設けられており、前記第1の待機台(50L)の各々が前記第1の荷昇降台(30L)に対して荷(P)の受渡しが可能となっており、前記第1の待機台(50L)の各々が対応の段にある前記移載シャトル(10)に並んだ状態において該移載シャトル(10)が該第1の待機台(50L)に対して荷(P)の受渡しを行うことが可能となっており、
前記第2の積層ラック(14R)の、前記複数段のうち少なくとも一部分の段のそれぞれに、荷(P)を載せて待機させるための第2の待機台(50R)が設けられており、前記第2の待機台(50R)の各々が前記第2の荷昇降台(30R)に対して荷(P)の受渡しが可能となっており、前記第2の待機台(50R)の各々が対応の段にある前記移載シャトル(10)に並んだ状態において該移載シャトル(10)が該第2の待機台(50R)に対して荷(P)の受渡しを行うことが可能となっていることを特徴とする、立体自動倉庫。
【請求項2】
前記第1の荷昇降台(30L)及び前記第2の荷昇降台(30R)は、前記シャトル昇降台(28)と並んだ状態で、前記シャトル昇降台(28)と一体的に昇降することを特徴とする請求項1に記載の立体自動倉庫。
【請求項3】
前記シャトル昇降台(28)、前記第1の荷昇降台(30L)及び前記第2の荷昇降台(30R)は互いに独立して昇降することを特徴とする請求項1に記載の立体自動倉庫。
【請求項4】
前記第1の荷昇降台(30L)及び前記第2の荷昇降台(30R)は、載せた荷(P)を移送させることのできるコンベヤ(32)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の立体自動倉庫。
【請求項5】
前記第1の待機台(50L)及び前記第2の待機台(50R)は、載せた荷(P)を移送させることのできるコンベヤ(52)を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の立体自動倉庫。
【請求項6】
前記第1の荷昇降台(30L)には、前記第1の待機台(50L)に荷(P)を押し出し或いは前記第1の待機台(50L)から荷(P)を引き込むハンドリング機構(62)が設けられており、前記第2の荷昇降台(30R)には、前記第2の待機台(50R)に荷(P)を押し出し或いは前記第2の待機台(50R)から荷(P)を引き込むハンドリング機構(62)が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の立体自動倉庫。
【請求項7】
前記棚(16)の各々には、補助器具を取り付けるためのフレーム(40)が設けられており、前記第1の待機台(50L)及び前記第2の待機台(50R)が前記フレーム(40)に取り付けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の立体自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに平行に配置された少なくとも1対の積層ラックと、これらの積層ラック間にて水平方向に走行して積層ラックに対して荷の出し入れを行う移載シャトルとを備える高機能かつフレキシブルな立体自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
上述した型式の立体自動倉庫としては、例えば下記特許文献1に記載のものが代表的である。この特許文献1に記載の立体自動倉庫は、複数段の棚からなる少なくとも左右1対の積層ラックを備えている。積層ラック間には、水平方向に走行可能な移載シャトルが配設されている。移載シャトルは、左右の積層ラックに対して荷の出し入れを行うためのものである。
【0003】
この特許文献1に記載の立体自動倉庫は、積層ラックの各段に対して1台の移載シャトルが専有的に設けられているため、キャプティブ(Captive)型と称されている。このキャプティブ型立体自動倉庫は高い能力を有するものであるが、積層ラックの段数が多くなると、高価な移載シャトルの数及び待機台数も増え、ひいては立体自動倉庫全体のコストを増加させてしまう。
【0004】
そこで、従来においては、特許文献2に記載されているように、移載シャトルを昇降させる昇降装置を積層ラックに隣接して設けた立体自動倉庫が提案されている。すなわち、昇降装置を用いて移載シャトルを別の段に位置変更することで、移載シャトルの台数を積層ラックの段数よりも減らすようにしている。このような立体自動倉庫は、移載シャトルが積層ラックのどの段にも移動可能であることから、ローミング(Roaming)型と称されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−324721号公報
【特許文献2】特開平11−278607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような従来のローミング型立体自動倉庫にあっては、移載シャトルの台数を減じることによって倉庫全体のコストダウンを図ることができる一方、移載シャトルの昇降に時間がかかり、倉庫の能力が制限されるという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、低コストの優位性を保ちながら高能力のローミング型立体自動倉庫を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的は請求項1に記載の本発明によって達成される。すなわち、本発明の一態様によれば、複数段の棚を有し、互いに平行に対向配置された第1の積層ラック及び第2の積層ラックと、第1の積層ラックと第2の積層ラックとの間にて、選択された段の棚に沿って水平方向に走行可能となっている、当該棚に対して荷の受渡しを行うための移載シャトルと、移載シャトルを別の段に移動させるための昇降装置とを備える立体自動倉庫において、昇降装置が、第1の積層ラック及び第2の積層ラックに隣接する位置にて昇降可能である、移載シャトルを載置して昇降するためのシャトル昇降台と、シャトル昇降台と水平方向において並んだ状態でシャトル昇降台と併走することが可能である、荷を載置して昇降するための第1の荷昇降台及び第2の荷昇降台とを備え、シャトル昇降台が第1の荷昇降台に並んだ状態において、シャトル昇降台上の移載シャトルが第1の荷昇降台に対して荷の受渡しを行うことができ、シャトル昇降台が第2の荷昇降台に並んだ状態において、シャトル昇降台上の移載シャトルが第2の荷昇降台に対して荷の受渡しを行うことができることを特徴とする。
【0009】
かかる構成においては、シャトル昇降台と第1の荷昇降台及び/又は第2の荷昇降台とは、並んだ状態で昇降することが可能であり、この昇降時に荷昇降台とシャトル昇降台との間で荷の受渡しが可能となる。したがって、移載シャトルの昇降中に荷を移載シャトル上に待機させておく必要がなくなり、立体自動倉庫の能力向上に寄与することになる。
【0010】
第1の荷昇降台及び第2の荷昇降台は、シャトル昇降台と並んだ状態で固定し、シャトル昇降台と一体的に昇降するようにしてもよいし、シャトル昇降台、第1の荷昇降台及び第2の荷昇降台が互いに独立して昇降するようにしてもよい。
【0011】
また、荷昇降台は、載せた荷を移送させることのできるコンベヤを備えるものであることが好ましい。立体自動倉庫の外部の搬送システムにおける入庫コンベヤや出庫コンベヤに対して荷の受渡しを行うことができるからである。
【0012】
更に高能力を求める必要がある場合には、第1の積層ラック及び第2の積層ラックの、複数段のうち少なくとも一部分に、荷を載せて待機させるための待機台を設け、この待機台と第1の荷昇降台及び第2の昇降台との間で荷の受渡しを可能とすることが好適である。待機台を設けている場合、その部分についてはキャプティブ型の立体自動倉庫と同様に荷のみの受渡しを行う運用が可能となり、倉庫の能力を更に向上させることができる。
【0013】
なお、待機台は、荷昇降台との間の荷の受渡しを円滑に行うため、載せた荷を移送させることのできるコンベヤを備えていることが好ましい。
【0014】
待機台にコンベヤを設けなくとも、荷昇降台に、待機台に荷を押し出し或いは待機台から荷を引き込むハンドリング機構を荷昇降台に設けてもよい。
【0015】
また、棚の各々に、補助器具を取り付けるためのフレームを設けておき、このフレームに待機台を取り付けることとしてもよい。これにより、ローミング型からキャプティブ型への変更、或いは、ローミング型からローミング型とキャプティブ型のハイブリット型への変更を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
上述したような本発明による立体自動倉庫は、シャトル昇降台と荷昇降台とが並んだ状態で昇降することが可能である。したがって、移載シャトルを昇降している間に荷昇降台とシャトル昇降台との間で荷の受渡しを行うことで、移載シャトルの昇降中に移載シャトルに荷を待機させておく必要がなくなる。これにより、立体自動倉庫がローミング型であっても、その能力を向上させることができる。また、本発明による立体自動倉庫は入出荷における移載シャトル占有時間を減少させることができるため移載シャトル数の削減が見込め、その結果ローミング型本来の効果、すなわちコスト的にも有利であるという効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体自動倉庫を概略的に示す平面図である。
図2は、本発明の第1実施形態に係る立体自動倉庫を概略的に示す側面図である。
図3は、本発明の第2実施形態に係る立体自動倉庫を概略的に示す平面図である。
図4は、本発明の第2実施形態に係る立体自動倉庫を概略的に示す側面図である。
図5は、本発明の第3実施形態に係る立体自動倉庫を概略的に示す平面図である。
図6は、本発明の第3実施形態に係る立体自動倉庫を概略的に示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に沿って本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る立体自動倉庫100を示す概略平面図、図2はその概略側面図である。この立体自動倉庫100はローミング型であり、移載シャトル10を昇降するための昇降装置12を備えている。
【0020】
詳細に説明すると、この立体自動倉庫100は、図示するように、少なくとも左右1対の積層ラック14L,14Rを備えている。各積層ラック14L,14Rは、同一水平方向(図1に示す前後方向)に延びる棚16を複数段有している。対となる2基の積層ラック14L,14Rは、所定の間隔を置いて、互いに平行に対向配置されている。なお、左側の積層ラック14Lは、請求の範囲にいう第1の積層ラック、右側の積層ラック14Rは、請求の範囲にいう第2の積層ラックに相当するものである。
【0021】
これらの積層ラック14L,14R間には、段毎に、棚16が延びる方向と平行にガイドレール(図示せず)が配置されており、このガイドレールに沿って移載シャトル10が走行可能となっている。移載シャトル10は、左右の積層ラック14L,14Rに対して荷Pの出し入れを行うためのものであり、従来から知られた型式のものを用いることができる。すなわち、移載シャトル10は、詳細には図示しないが、中央部に荷Pを載置することのできる走行台車18と、この走行台車18に設けられ、載置された荷Pを右又は左に押し出したり、外部の荷Pを引き寄せたりするためのハンドリング機構20とから構成されている。このハンドリング機構20は、移載シャトル10の走行方向に対して直角の水平方向(図1に示す左右方向)において左右いずれの側にも伸縮可能である1対のアーム22と、それぞれのアーム22に開閉可能に取り付けられたフィンガ24とを備えている。フィンガ24を閉じたままでアーム22を左右いずれかの側に伸ばすと、走行台車18の中央部に載置された荷Pを押し出すことができ、それによって荷Pを、移載シャトル10における走行台車18の中央部の面と同じ高さレベルに位置する棚16に収納することが可能となる。逆に、フィンガ24を開放した状態でアーム22を棚16の中に伸ばし、フィンガ24を閉じ荷Pに引っ掛けてアーム22を収縮させることで、荷Pを走行台車18上に回収することができる。
【0022】
この立体自動倉庫100はローミング型であるため、移載シャトル10は各段に配置されておらず、移載シャトル10の数は積層ラック14L,14Rの段数よりも少なく設定されている。移載シャトル10の段間での移動は、左右の積層ラック14L,14Rの一方の端部側に配置された昇降装置12によって行われる。
【0023】
昇降装置12は、左右の積層ラック14L,14R間の間隙に隣接する位置に配置されたマスト26と、このマスト26間に昇降可能に設けられたシャトル昇降台28と、このシャトル昇降台28を昇降させる駆動モータ(図示せず)とから構成されている。シャトル昇降台28には、各段のガイドレールと連続することのできるガイドレール(図示せず)が設けられている。したがって、シャトル昇降台28を昇降させて、所望の段の高さに配置させることで、その段にある移載シャトル10をシャトル昇降台28上に引き入れることが可能となる。そして、その状態でシャトル昇降台28を別の段に移動させることで、移載シャトル10をその別の段のガイドレールに載せ替えることができる。
【0024】
なお、シャトル昇降台28を最も下げることにより、移載シャトル10を立体自動倉庫100が設置された建屋の床面に搬出することも可能である。これにより、移載シャトル10を搬出するための特別なクレーン等がなくとも、移載シャトル10を倉庫の外部に取り出することができ、移載シャトル10のメンテナンスを倉庫の外部にて行うことが可能となる。
【0025】
本実施形態に係る立体自動倉庫100は、更に、昇降装置12におけるマスト26の左右の外側にそれぞれ、荷Pを昇降させるための荷昇降台30L,30Rが昇降可能に設けられている。本実施形態では、これらの荷昇降台30L,30Rはシャトル昇降台28に水平方向に並んだ状態で連結されており、シャトル昇降台28と一体に併走、すなわち昇降する。また、これらの荷昇降台30L,30Rは、シャトル昇降台28上にある移載シャトル10との間で荷Pの受渡しが可能となっている。なお、左側の荷昇降台30Lは、請求の範囲にいう第1の荷昇降台、右側の荷昇降台30Rは、請求の範囲にいう第2の荷昇降台に相当するものである。また、これらの荷昇降台30L,30R及びシャトル昇降台28は互いに独立して昇降するよう構成してもよく、その場合には、各荷昇降台30L,30Rに対して駆動モータが用意されることになる。
【0026】
荷昇降台30L,30Rは、移載シャトル10の走行方向と平行に荷Pを移送させることができるようコンベヤ32を備えている。コンベヤ32の型式は種々考えられるが、その移送方向に対して直角の方向に沿って荷Pの出し入れを行い得るように、ローラコンベヤであることが好ましい。
【0027】
コンベヤ32の移送方向は、図示実施形態では、左側のコンベヤ32については積層ラック14Lに近づく方向、右側のコンベヤ32については積層ラック14Rから離れる方向としているが、正逆いずれにも切換え可能となっていることが好適である。
【0028】
また、荷昇降台30L,30Rは、荷Pを2個以上載置できることが好ましく、図示実施形態では、2個の荷Pを移送方向に沿って並べて載置することができるようになっているが、載置できる荷Pは1個だけとしてもよい。
【0029】
更に、荷昇降台30L,30Rのそれぞれには、立体自動倉庫100の外部の搬送システムから延びる入庫コンベヤ34と出庫コンベヤ36が接続可能となっている。入庫コンベヤ34及び出庫コンベヤ36は適当な高さレベルに設置され、図2では、入庫コンベヤ34及び出庫コンベヤ36は共に積層ラック14L,14Rの最下段と同じ高さレベルとなっている。また、左側の荷昇降台30Lを積層ラック14L,14Rの最下段と同じ高さレベルとしたときに、入庫コンベヤ34の出口端はその荷昇降台30Lと整列され、入庫コンベヤ34からの荷Pを荷昇降台30Lに乗せ込むことができる。同様に、右側の荷昇降台30Rを積層ラック14L,14Rの最下段と同じ高さレベルとしたときに、出庫コンベヤ36の入口端はその荷昇降台30Rと整列され、荷Pを荷昇降台30Rから出庫コンベヤ36に移動させることができる。
【0030】
上記構成の立体自動倉庫100においては、シャトル昇降台28と荷昇降台30L,30Rとが一体的に動作するため、移載シャトル10の昇降中に、移載シャトル10上の荷Pを荷昇降台30Rに送り出することでき、逆に荷昇降台30L上の荷Pを移載シャトル10に載せ込むことができることは理解されよう。
【0031】
例えば、(1)積層ラック14L,14Rの5段目の棚16にある荷Pを出庫コンベヤ36に送り出すこと、(2)入庫コンベヤ34からの荷Pを積層ラック14L,14Rの10段目の棚に収納すること、(3)積層ラック14L,14Rの5段目にある移載シャトル10を10段目に移動すること、という3つの作業を行う場合について説明すると、まず、5段目にある移載シャトル10を動作させ、出庫すべき荷Pの正面に移動し、ハンドリング機構20によってこの荷Pを引き取る。この間に、昇降装置12のシャトル昇降台28を昇降して、シャトル昇降台28のガイドレールと積層ラック14L,14Rの5段目にあるガイドレールとを整列させる。この後、荷Pを載せた移載シャトル10を昇降装置12のシャトル昇降台28まで移動させ、続いてシャトル昇降台28を出庫コンベヤ36と同じ高さレベルへと降下させる。シャトル昇降台28と荷昇降台30L,30Rとは隣接し且つ一体的に昇降するため、シャトル昇降台28の降下中も、移載シャトル10のハンドリング機構20を操作することで移載シャトル10上の荷Pを右側の荷昇降台30Rに移載することができる。これにより、荷昇降台30Rが出庫コンベヤ36と整列したと同時に、荷昇降台30R上の荷Pを出庫コンベヤ36に送り出すことができる。
【0032】
右側の荷昇降台30Rが出庫コンベヤ36と整列したとき、左側の荷昇降台30Lは入庫コンベヤ34と整列する。したがって、荷Pの出庫中に、入庫コンベヤ34から荷Pを荷昇降台30Lに移し替えることができる。荷Pの出庫と荷Pの入庫が完了したならば、昇降装置12を駆動してシャトル昇降台28を上昇させ、シャトル昇降台28のガイドレールを積層ラック14L,14Rの10段目のガイドレールに整列させる。この上昇中に、荷昇降台30L上の荷Pをハンドリング機構20によって移載シャトル10に取り込むことができる。したがって、シャトル昇降台28が所定の高さレベルに達したならば、すぐに移載シャトルを積層ラック内に発進することができ、棚16の所定位置に荷Pを収納することができる。
【0033】
このように、移載シャトル10の昇降中に、移載シャトル10に対して荷Pを移載することができるため、上記の3つの作業を一連の工程で、時間のロスなく行うことができ、したがって立体自動倉庫100全体の能力が向上することとなる。
【0034】
また、移載シャトル10を入庫、出庫コンベヤ34,36を経由させずに所定の段より所定の段まで直接移動させつつ荷Pを移載することも可能である。この運用では入出庫における移載シャトル占有時間を減少させることができるため移載シャトル10の能力が上がり、したがって移載シャトル数の削減が見込める。なお、この場合、荷昇降台30L,30Rは数サイクル毎(=荷昇降台上に載置できる荷数)に入庫、出庫コンベヤ34,36に戻り、出庫された荷Pを排出し、入庫されてくる荷Pを受け取る必要がある。したがって、このモードは、昇降台の能力に余裕があるが移載シャトル10の能力に余裕がない場合に実行される。実際の運用の際はこの2つのモードをダイナミックに組み合わせて全体に最適運用を実現する。
【0035】
なお、上述したように、荷昇降台30L,30Rとシャトル昇降台28とを別個独立に昇降可能とした場合には、更に多様な作業モードで荷を扱うことができることは、当業者であれば容易に理解されよう。
【0036】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0037】
図3は、第2実施形態に係る立体自動倉庫200を概略的に示す平面図であり、図4はその概略側面図である。この立体自動倉庫200は、基本的には、第1実施形態に係る立体自動倉庫100と同様な構成である。したがって、第1実施形態に係る立体自動倉庫100と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0038】
第2実施形態に係る立体自動倉庫200は、左右の積層ラック14L,14Rの、昇降装置12側の端部に、荷Pを待機させておくための待機台50L,50Rを備えている点で、第1実施形態に係る立体自動倉庫100と相違している。待機台50L,50Rは、積層ラック14L,14Rの全ての段に設けることとしてもよいが、図4に示すように、積層ラック14L,14Rを上下に2分割し、下部部分については各段に設け、上部部分には全く設けない又は全く逆とするという形を採ってもよい。図4に示す形態では、上部部分は第1実施形態に係るローミング型立体自動倉庫に相当することになり、下部部分は各段に移載シャトル10が配置されたキャプティブ型立体自動倉庫に相当することになる。これは、一部をローミング型とし、その部分に低頻度品を在庫することでコストの上昇を抑え、その一方で、残りの部分をキャプティブ型に近い運用又は完全なキャプティブ型とし、その部分に高頻度品を在庫することで能力を最大限に引き出すことを意図して設計されたものである。したがって、立体自動倉庫が高層化した場合かつ/または入庫出庫頻度の差に富んだ在庫を保有せねばならぬ時に有利となる。
【0039】
この第2実施形態における待機台50L,50Rはコンベヤ52を搭載しており、昇降装置12の荷昇降台30L,30Rに対して荷Pの受渡しが可能となっている。より詳細には、立体自動倉庫200の下部部分における左側の待機台50Lのコンベヤ52は、昇降装置12の左側の荷昇降台30Lから荷Pを受け取ることができるように、その移送方向は後向きとされており、右側の待機台50Rにおけるコンベヤ52は、昇降装置12の右側の荷昇降台30Rに荷Pを送り出すことができるように、その移送方向は前向きとされている。また、各段の待機台50L,50Rは、その段の移載シャトル10が正対することができるよう位置決めされており、それにより移載シャトル10と待機台50L,50Rとの間で荷Pの移動を行うことができる。したがって、移載シャトル10に対して荷Pを円滑に受け渡しするために、待機台50L,50Rのコンベヤ52はローラコンベヤからなることが好ましい。
【0040】
また、図示の第2実施形態では、待機台50L,50Rは2個の荷Pを載置できるよう構成されているが、荷Pを1個だけ載置するような型式でも、或いは、3個以上の荷Pを載置できるような型式でもよい。
【0041】
更に、荷昇降台30L,30Rのコンベヤ32を正逆両方向に駆動可能とした場合には、待機台50L,50Rのコンベヤ52も正逆両方向に駆動可能とすることが好ましい。
【0042】
このような構成において、立体自動倉庫200の下部部分は従来一般のキャプティブ型立体自動倉庫と同様に若しくはそれに近い形にて運用される。すなわち、昇降装置12の右側の荷昇降台30Lが入庫コンベヤ34からの荷Pを載せて、所定の右側の待機台50Rの高さレベルまで移動し、その待機台50Rに荷を移し替える。そして、その段の移載シャトル10が待機台50R上の荷Pを引き取って、棚16に収納する。一方、棚16から取り出された荷Pは、一旦、その段の左側の待機台50L上にて待機され、その後、昇降装置12の右側の荷昇降台30Rを経て出庫コンベヤ36に送り出されることになる。この間、基本的には移載シャトル10を移動する時を除いて昇降装置12のシャトル昇降台28は空の状態で昇降される。
【0043】
また、移載シャトル10上では、図3の矢印から理解される通り、荷を左右に移動させることができるため、ある段の待機台50L,50Rにて待機されていた荷Pを、昇降装置12により昇降する移載シャトル10を介して、別の段の待機台50L,50Rに移動させることも、またその逆も可能である。
【0044】
立体自動倉庫200の上部部分に関しては、先に述べた第1実施形態と同様にして運用される。
【0045】
なお、立体自動倉庫200の全体をローミング型とした上で、立体自動倉庫200の全段に待機台50L,50Rを設けることも考えられる。この場合は、立体自動倉庫200の上部部分をキャプティブ型に変更し、下部部分をローミング型に変更する必要が生じても、機械的な変更の必要がなくソフトの変更だけで容易に対応が可能となり、更に固定の設定ではなくダイナミックにキャプティブ型からローミング型への変更、またその逆が可能になるというメリットがある。
【0046】
ここで、図1に戻る。図1において二点鎖線で示す部分は、各段の棚16に設けられた、補助機器を取り付けるためのフレーム40である。このフレーム40は、そこに棚板を取外し可能に固定して棚16の面積を広げるため等に用いることができる。このフレーム40には、待機台50L,50Rを取外し可能に固定することもできる。これによって、図1及び図2に示すローミング型から図3及び図4に示すキャプティブ型への設計変更を容易に行うことができ、また、ローミング型とキャプティブ型のハイブット型への設計変更も同じく容易に行うことができる。
【0047】
[第3実施形態]
図5及び図6はそれぞれ、第3実施形態に係る立体自動倉庫300を概略的に示す平面図及び側面図である。この立体自動倉庫300は、基本構成は第1実施形態に係る立体自動倉庫100と同様であり、待機台50L,50Rが設けられている点では第2実施形態に係る立体自動倉庫200と同様である。したがって、第1と第2の実施形態に係る立体自動倉庫100,200と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0048】
図示される第3実施形態に係る立体自動倉庫300は、第2実施形態と異なり、積層ラック14L,14Rの全段に待機台50L,50Rが設けられている。また、待機台50L,50Rはコンベヤを有しておらず、その上面は1個の荷Pを載置できるだけの面積を有した平坦な面となっている。
【0049】
昇降装置12の荷昇降台30L,30Rは、2個の荷Pを載置・移送することができる部分32と、この部分32から積層ラック14L,14R側に延びる延長部分60とから構成されている。延長部分60は、荷昇降台30L,30Rを昇降させることで、各段の待機台50L,50Rに隣接配置される。両部分32,60ともコンベヤを有しており合計3個の荷Pを載置・移送することができる。合計3個の荷Pを移送方向に沿って並べて載置することができるようになっているが、それに関わらず、載置できる荷Pは1個や2個だけとしても良いし、3個よりも多くてもよい。
【0050】
更に、延長部分60には、待機台50L,50Rに対する荷Pの移載を行うための手段として、移載シャトル10に搭載されているハンドリング機構20と同様なハンドリング機構62が設けられている。すなわち、このハンドリング機構62は、移載シャトル10の走行方向において伸縮可能な1対のアーム64と、それぞれのアーム64に開閉可能に取り付けられたフィンガ66とを備えている。フィンガ66を閉じたままでアーム64を前方又は後方に伸ばすと、延長部分60に載置された荷Pを押し出すことができ、それによって荷Pを、延長部分60に隣接する待機台50L,50R又は荷昇降台30L,30Rに移載することができる。また、フィンガ66を開放した状態でアーム64を待機台50L,50Rに伸ばし、アーム先端のフィンガ66を閉じ荷Pに引っ掛けてアーム64を収縮させることで、荷Pを荷昇降台30L,30Rの延長部分60に移載することができる。
【0051】
このような構成においては、待機台50L,50Rに荷Pが乗っている場合は、その待機台50L,50Rと同じ段に移載シャトル10があり、かつ、その移載シャトル10の段間移動が不必要であれば(例えば、他の段に対してのオーダがない若しくは同一段に引き続き出庫可能な荷があるとき)、その移載シャトル10を用いて棚16に荷Pを収納したり、逆に荷Pを棚16から回収したりすることができる。すなわち、全段においてキャプティブ型立体自動倉庫の運用を行うことができる。
【0052】
また、待機台50L,50Rを用いることなく、第1実施形態と同様なローミング型の運用を行うこともできる。また、ローミング型の運用でありながら段間移動の時間を短縮するために、待機台50L,50Rを使用した運用をすることも可能である。この場合は、移載シャトル10はシャトル昇降台28上では移載を全く行わないか、入庫若しくは出庫の片方のみを行う。
【0053】
なお、第3実施形態では、荷昇降台30L,30Rにおいて荷Pの並べ替えを行うことができる。すなわち、昇降装置12におけるシャトル昇降台28上の移載シャトル10、荷昇降台30L,30Rの符号32と符号60の部分、及び、待機台50L,50Rの間で荷Pの受け渡しの方法を工夫することで、荷昇降台30L,30Rの部分32,60上で並ぶ荷Pの順番を実際の入庫、出庫の順番とは異なるように変更することができる。このように、出庫前に荷Pの並べ替えを行うことができるため、出庫後の荷Pの処理の容易化につながる。また、荷昇降台における入出庫の順番がかならずしも移載シャトル10の入出庫の順番と一致しなくてもよくなるため、移載シャトル10の待ちが減少し、すなわち稼働率が向上しひいては立体自動倉庫の能力向上もしくは移載シャトル数の減少、すなわちコスト削減に寄与することになる。
【0054】
なお、この第3実施形態に関しても、第2実施形態と同様に、図1に示す補助器具取付用フレーム40を利用して、待機台50R,50Lを棚16に対して取り付けることができる。これによつて、図1及び図2に記載の構成から図5及び図6に示す構造への設計変更を容易に行うことが可能となる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の精神又は範囲を逸脱することなく、種々の変形や変更が可能なことは言うまでもない。例えば、上記実施形態では入庫コンベヤと出庫コンベヤは1基ずつしかないが、右側と左側のそれぞれに、上下に配置した入庫コンベヤ及び出庫コンベヤを配置してもよいし、独立した昇降台を2段構成としてもよい。
【符号の説明】
【0056】
100,200,300…立体自動倉庫
10…移載シャトル
12…昇降装置
14L,14R…積層ラック
16…棚
18…走行台車
20…ハンドリング機構
22…アーム
24…フィンガ
26…マスト
28…シャトル昇降台
30L,30R…荷昇降台
32…コンベヤ
34…入庫コンベヤ
36…出庫コンベヤ
40…フレーム
50L,50R…待機台
52…コンベヤ
60…延長部分
62…ハンドリング機構
64…アーム
66…フィンガ
P…荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6