(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記警告モジュールは、前記電極の不適切な位置決めを示し、前記着衣は、前記電極を収納するように構成されたポケットを含み、前記ポケットは、導電メッシュを含む第1の側面と、導電面スレッドを含む第2の側面とを有する、請求項1に記載の着用可能治療装置。
前記導電スレッドは、四角形の形状と、多角形の形状と、矩形の形状と、円形の形状と、楕円形の形状と、丸みのある形状と、三角形の形状との少なくとも1つを含むパターンを形成する、請求項1に記載の着用可能治療装置。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明の局面および実施形態は、対象者によって着用されるよう構成されている着用可能治療装置に向けられる。着用可能治療装置は、少なくとも1つの電極を、たとえば、着用可能治療装置のポケット内に含む。適切に位置決められると、電極の導電面は対象者に面するポケット内に対象者の皮膚の近くで配置され得、情報(たとえば、心臓の情報)が検出され得るか、または治療(たとえば、除細動ショック)が対象者に適用され得る。導電スレッドは、対象者の皮膚の近くにないポケットの部分を含む着用可能治療装置の部分に縫われ得る。回路は、電極の導電面が導電スレッドに連結した場合に形成され得る。この回路が形成されると、電極の導電面は、通常、対象者の皮膚に近くにはなく、治療を適用する位置にはない。電極の導電面と導電スレッドとの連結に基づいて、警告モジュールが、電極が適切または不適切に位置決められていることを示し得る。
【0005】
少なくとも1つの局面は、着用可能治療装置に向けられる。着用可能治療装置は着衣を含み、着衣は電極および導電スレッドを含む。制御装置は、導電スレッドに連結され、電極の導電面と導電スレッドとの間の電気的な接続を識別し、警告モジュールは、電気的な接続に基づいて着衣内の電極の位置決めについての情報を示す。
【0006】
少なくとも1つの他の局面は、対象者のケア(care)を容易にする方法に向けられる。当該方法は、電極および導電スレッドを含む着用可能治療装置を提供する。当該方法は、電極の導電面と導電スレッドとの間の電気的な接続もまた識別する。当該方法は、電気的な接続に基づいて電極の位置決めの情報を示す通知を提供する。
【0007】
少なくとも1つの他の局面は、着衣を有する着用可能治療装置を提供することを含む方法に向けられる。着衣は電極を収納し、導電スレッドを含む。着用可能治療装置は、導電スレッドに連結する制御装置を含む。制御装置は、電極と導電スレッドとの間の接続を識別する。警告モジュールは、電気的な接続に基づいて着衣内の電極の位置決めの情報を示す。
【0008】
電極は、治療電極または感知電極であってもよい。いくつかの実施形態において、着衣は電極を収納するポケットを含む。ポケットは、第1の側面および第2の側面を有し得、導電スレッドは第1の側面に、または第2の側面に縫われる。一実施形態において、一方の側面は導電メッシュを含み、他方は導電スレッドを含む。第1の側面は対象者の近位にあってもよく、第2の側面は対象者から遠位にあってもよく、導電スレッドはポケットの第2の側面に配置される。
【0009】
一実施形態において、導電要素が着衣内に含まれ得る。コネクタは、導電スレッドを導電要素に連結し得る。制御装置は、導電スレッド、電極の導電面、および導電要素を含む電流経路をさらに検知し得る。一実施形態において、着衣はベルトを含み、導電要素はベルトに含まれる。コネクタは、導電スレッドを導電要素に結合し、電極の導電面と導電要素との間の電気的な接続を形成する。コネクタは留め金を含み得る。導電要素は、導電スレッドの1つ以上の地点で導電スレッドと接続できる。
【0010】
一実施形態において、導電スレッドは着衣内で縫合パターンを形成する。導電スレッドは、少なくとも2つの実質的に平行な縫合された配線を含む縫合パターン、または、四角形の形状と、多角形の形状と、矩形の形状と、円形の形状と、楕円形の形状と、丸みのある形状と、三角形の形状とのうちの少なくとも1つのパターンもまた形成し得る。一実施形態において、導電スレッドは、電極との電気的な接続する部分を形成する。
【0011】
一実施形態において、警告モジュールは、着用可能治療装置を着用している対象者、または看護業者(health care provider)に、電極が適切または不適切に位置決められていることを通知できる。モニタは、電極が適切または不適切に位置決められているという指示を表示できる。
【0012】
いくつかの実施形態において、電極は着衣のポケット内に収納され得、導電スレッドはポケットの内部に縫われ得る。電極は、導電面が対象者と反対側に面している状態で位置決められていると判断され得る。電極の導電面および導電スレッドを含む閉回路が検知され得、電極の不適切な位置決めが判断され得る。一実施形態において、着用可能治療装置は導電要素を含み、導電スレッドと、電極の導電面と、導電要素との導電面と、導電要素とを含む電流経路が検知され得る。一実施形態において、導電スレッドは導電要素に結合され得る。
【0013】
一実施形態において、命令が提供され得、着用可能治療装置を操作する。命令は、電極の導電面を対象者の近くに位置決めるように対象者に指示する少なくとも1つの命令を含み得る。着用可能治療装置は、電極を収納するポケットを有する着衣を含み得る。ポケットは少なくとも一部分に導電メッシュから形成され得、導電メッシュに面している電極の導電面を位置決めるための命令が提供され得る。導電スレッドの反対側に面して電極の導電面を位置決めるための命令もまた提供され得る。
【0014】
他の局面および実施形態は、以下で詳細に記載される。前述の情報および以下の詳細な記載は、様々な局面および実施形態の例示を含み、請求項に記載の局面および実施形態の本質や特質について理解するための概要または枠組みを提供することを意図したものである。図面は、様々な局面および実施形態の説明および一層の理解をもたらし、本明細書に組み込まれて明細書の一部を構成する。図面は、明細書の残りの部分と併せて、明細書および請求項に記載の局面および実施形態を説明する役割を果たす。
【0015】
図面の簡単な説明
添付の図面は、縮尺どおりに表わすことを意図していない。図面においては、様々な図面に示される同一またはほぼ同一の各構成要素は、同様の符号で表わされる。明瞭化のため、全ての図面において全ての構成要素に符号が付されるわけではない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
ここに記載のシステムおよび方法の実施については、明細書に規定される、または図面に示される構成要素の構造および配置の詳細に限定されるものではない。本発明は、他の実施形態を採用することも可能であり、様々な手法によって実施または実行することができる。ここで使用される表現および用語は、説明を目的としており、限定と捉えられるべきではない。ここで使用される「含む」、「備える」、「有する」、「含有する」、「伴う」、およびこれらの変形などの用語は、後に列記される事項、その均等物、および追加の事項を含むことを意味し、後に排他的に列記される事項からなる代替的な実施形態を含むことも意味する。
【0018】
様々な局面および実施形態が、対象者に着用され得る着用可能治療装置に向けられる。着用可能治療装置は、少なくとも1つの電極を収納する少なくとも1つを有する着衣を含み得る。電極が適切に位置決められると、電極の導電面は対象者に面し、対象者の皮膚に直接または間接に接触する。適切に位置決められると、除細動ショックのような治療を対象者に適用し得る。たとえば、対象者の移動、または対象者、看護業者、若しくは製造者による不適切な据え付けに起因して、電極は不適切に位置決められ得、その導電面は対象者に面さない。電極が不適切に位置決められると、その導電面は、着衣内に含まれる導電スレッドに接触し得る。これにより電気的な接続が形成され得、電気的な接続の検知は、対象者についての情報を検出し、または対象者に治療を適用するための電極が不適切に位置決められていることを示し得る。警告モジュールは、電極が適切にまたは不適切に位置決められているという通知を提供できる。矯正する行動が、電極を適切に位置決めるために取られ得る。
【0019】
図1は、実施形態に従う着用可能治療装置100を示すブロック図である。一実施形態において、着用可能治療装置100は、2011年5月17日に出願された「着用可能治療装置」と題された同一人に所有される米国特許出願第13/109,079号で説明される着用可能治療装置を含み、当該出願の全体が本出願に引用により援用される。引用される出願は、着用可能治療装置を一般に説明している。
【0020】
着用可能治療装置100は、ベストまたはシャツの形をした少なくとも1つの着衣105を含み得る。着衣105は、少なくとも1つのベルト110もまた含み得る。ベルト110は、対象者の胴部の周りで、対象者の胸部の周り若しくは横切る、より高い位置で、または対象者の胴部と肩部との間の他の位置で着用され得る。着衣105を含む、着用可能治療装置100の構成要素は、対象者の服の下か、上か、または部分的に下かつ部分的に上かに着用され得る。一実施形態において、着衣105は、通気性のある布地で形成される。着衣105は、伸縮可能であってもよい。
【0021】
一実施形態において、着用可能治療装置100は、以下の要素の少なくとも1つを含む:着衣105、ベルト110、体外除細動器115、警告モジュール120、モニタ125、制御装置130、感知電極135、治療電極140、肩紐145、導電スレッド150、導電要素155、および、ポケット160。一実施形態において、体外除細動器115、警告モジュール120、モニタ125、制御装置130、感知電極135、治療電極140、導電スレッド150、導電要素155、および、ポケット160の少なくとも1つは、着衣105、ベルト110、または肩紐145に含まれるか、または取り付けられる。たとえば、着用可能治療装置100の構成要素は、バックルか、マジックテープ(登録商標)か、ホルスターか、輪どめか、ポーチか、ベルト110または肩紐145の部分を形成するスリーブかによって、開閉ポケット160内に適合され得、または、そうでなければ着衣105に取り付けられる。これらの要素もまたベルト110若しくは肩紐145に組み込まれ、そして、これらの要素は、ベルト110若しくは肩紐145の恒永的な部分であってもよく、または、ベルト110若しくは肩紐145から解放可能であってもよい。着衣105は、一連のベルト110または肩紐145を含み、一枚の服を構成する必要はない。着用可能治療装置100は、1つ以上または全ての上述の要素と、制御装置130、体外除細動器115、警告モジュール120、モニタ125、感知電極135、および治療電極140に電力を提供するための少なくとも1つの電源のような付加的な要素とを含み得る。
【0022】
体外除細動器115は、着用可能治療装置100の一部として含まれ得る。たとえば、体外除細動器115は、着衣105、ポケット160内に含まれ、肩紐145に取り付けられ、またはベルト110に配置される。一実施形態において、体外除細動器115は、治療電極140に電気的に連結される。着用可能治療装置100は、少なくとも1つの容器を含んでもよく、当該容器は、その中に封入された、および着衣105内に収納された導電性流体を有する。たとえば、当該容器は、感知電極135および治療電極140の少なくとも一方の近くにベルト110または肩紐145に配置され得る。一実施形態において、電極135および140は、乾燥した電極である。制御装置130は、容器から導電性流体を放出でき、感知電極135または治療電極140と、着用可能治療装置100を着用している対象者との間の電気的な接続を高め、たとえば、対象者の心電計の情報を検出する、または治療を対象者に施す。容器は、当該容器の導電性流体が放出された後、またはそれらがなくなると交換され得る。ショックが与えられると、治療電極140、対象者の体、および体外除細動器115は、少なくとも電流経路の一部を形成する。1つの実施形態は、少なくとも1つの感知電極135と、対象者の前、たとえば対象者の胸部の近くに配置される1つの治療電極140と、対象者の後ろ、たとえば対象者の背中の近くに配置される2つの治療電極140とを含む。
【0023】
着衣105は、電極135および140を、対象者の胴部の周りの対象者の皮膚に対して定位置で保持する。服または他の素材が、着衣105と対象者の皮膚との間に存在し得る。対象者に対して位置決めされると、感知電極135は、対象者の心臓活動を監視するために、制御装置130が使用する心電図信号を検出できる。制御装置130が不整脈または他の心臓の事象を識別すると、治療電極140は、導電面が対象者に面した状態で位置決められた場合に、除細動エネルギーを対象者に送ることができ、不整脈を正常洞調律に変換する。
【0024】
一実施形態において、感知電極135および治療電極140は、対象者の体に面してしっかりと位置決められ、感知電極135が心臓、呼吸、または他の対象者の情報を検出し、治療電極140が治療を対象者に適用する。たとえば、感知電極135は、最小限の人工物で心電図信号を検出するために、直接にまたは間接に(たとえば、服、導電性の防護壁、または導電性の流体を介して)対象者の皮膚に接触する心電図の電極を含んでもよい。さらに、治療電極140の導電面は、直接にまたは間接に対象者の皮膚に接触でき、治療電極140と対象者の皮膚との間の電気抵抗を減らし、熱傷、水ぶくれ、または炎症を引き起こさずに除細動エネルギーを効果的に送る。一実施形態において、導電性流体は、着用可能治療装置100に配置される交換可能な容器から放出され、対象者の皮膚と、感知電極135または治療電極140の表面とに接触し、電気抵抗を減らし、検出される心電図信号の質を改善する。
【0025】
一実施形態において、着用可能治療装置100は、少なくとも1つの導電スレッド150を含む。導電スレッド150は、縫合(たとえば、ジグザグ)パターンで構成される導電性の金属線のような金属または他の導電材料を含み得る。導電スレッド150は、着衣105と共に伸縮または拡張できる。導電スレッド150は、少なくとも部分的に保護され、被覆され、または絶縁され得、導電スレッド150の残りの部分よりも広い接触面を含んでもよく、感知電極135または治療電極140の導電面に接触するように構成される。導電スレッド150は、着用可能治療装置100の電源に直接に、または導電要素155若しくは金属線のような介在要素を介して接続され得る。電源は、体外除細動器115、制御装置130、警告モジュール120、またはモニタ125とも結合され得る。
【0026】
制御装置130は、導電スレッド150と、感知電極135および治療電極140の少なくとも一方とを含む開回路または閉回路を検知でき、電極135または140が不適切に位置決められていること、たとえば対象者と反対側に面しているか、または、適切に位置決められていること、たとえば対象者(または対象者が着用可能治療装置100を着用しているときに対象者が占有している領域)の方に面しているかを判断する。たとえば、導電スレッド150は、対象者から遠位にある、ポケット160の側面に位置され得る。電極135または140の導電面が導電スレッドに接触した場合、当該導電面は、対象者と反対側に面し、この例においては、心臓の情報を検出する、または治療を対象者に与えるには、当該導電面は適切に位置決められていないことになる。制御装置130は、たとえば、接触によって形成される閉回路に起因する電流を検知することによってこの接触を検知でき、電極135または140が不適切に位置決められていると判断する。他の例において、導電スレッド150は、対象者に近い、ポケット160の側面に位置され得る。電極135または140の導電面が導電スレッドに接触すると、この例においては、当該導電面は、心臓の情報を検出する、または治療を対象者に適用するために、対象者の方に面し、適切に位置決められていることになる。電流が流れ得るこの回路の形成は、制御装置130によって識別され得、電極135または140が適切に位置決められていると判断する。
【0027】
他の例において、導電スレッド150が対象者に近い、たとえば、対象者に最も近い、ポケット160の側面にある場合に、開回路は、電極135または140が欠けていることか、導電面が対象者と反対側に面した状態で不適切に位置決められていることかを示し得る。導電スレッド150が対象者から遠位にある、たとえば、対象者から最も遠いポケット160の側面にある場合に、開回路は、この例においては、導電面が対象者に面して、かつ、導電スレッド150と反対側に面した状態で電極135または140が適切に位置決められていることを当該電極が示し得る。
【0028】
一実施形態において、着衣105またはその構成要素(たとえば、ベルト110または肩紐145)は、少なくとも1つのポケット160を含み、少なくとも1つの電極(たとえば、感知電極135または治療電極140)を収納する。少なくとも1つのポケット160は、制御装置130と、体外除細動器115と、警告モジュール120と、モニタ125と、電源およびメモリ記憶装置のような他の電子機器とを収納し得る。ポケット160は、感知電極135若しくは治療電極140を入れる、または取り除くための少なくとも1つの側にある開口部を有する、ポーチ、スリーブ、スリット若しくは垂れぶたの形を取り得る。少なくとも1つのボタン、留め金、またはジッパーは、たとえば、治療電極140が対象者の動きに起因してポケット160から落下しないようにポケット160の開口部を固定し得る。一実施形態において、ポケット160の開口部は、付加的な要素(たとえば、ボタン、留め金、マジックテープ、ファスナー、掛金、またはジッパー)によって固定されず、感知電極135または治療電極140を収容するように形成される。たとえば、ポケット160の少なくとも一部分は、弾性の特徴を有し得、少なくとも一部が拡張して、感知電極135または治療電極140が入るように収容し、ポケット160内に収納される任意の電極を固定するように縮まる。
【0029】
一実施形態において、ポケット160は、第1および第2の側面と、三方の縁の周りの縫い目と、感知電極135または治療電極140をポケット160内に入れるおよび取り除くように対応するために開いている第4の縁とを有する。縫い目は、連続している必要はなく、縫い合わされる必要もない。たとえば、一連の、ボタン、マジックテープ、ジッパー、または留め金は、ポケット160の第1および第2の側面に互いに取り付け得る。縫い目は、感知電極135または治療電極140と、たとえば、制御装置130とに接続される、金属線または他の電気的な構成要素を収容するために開口部を有し得る。
【0030】
一実施形態において、ポケット160の第1および第2の側面の少なくとも一方は、少なくとも一部分において導電メッシュ材料から形成される。たとえば、メッシュ材料は、対象者に面するポケット160の側面に含まれる細かい格子またはメッシュパターンの導電性の(たとえば、金属性の)布地であってもよい。メッシュ材料は、感知電極135または治療電極140と、対象者の皮膚との間の電気的な接続を容易にできる。一実施形態において、導電スレッド150は、ポケット160の少なくとも一つの側面に含まれる。たとえば、(着用可能治療装置100を着用する場合に)対象者の反対側に面する、ポケット160の第1の側面は、導電スレッド150を含んでもよく、対象者の方に面する第2の側面は、メッシュ材料を含み得る。導電スレッド150は、ポケット160の両方の側面に含まれ得る。一実施形態において、制御装置130は、導電スレッド150と、感知電極135または治療電極140との間の電気的な接続(たとえば、電流)を検知し、電極135,140の位置決めが適切か不適切かを判断する。
【0031】
一実施形態において、心臓の情報を検出すること、または治療を適用することに先立って、導電性の流体は、メッシュ布地に近いカプセルから放出される。カプセルは、ポケット160内に、または近くに位置され得る。導電性の流体は、少なくともメッシュ布地と対象者の皮膚との一部分、および、感知電極135または治療電極140の導電面を覆い得、電気抵抗を減らす。これにより、感知電極135からの信号の乱れを減らすことができ、より効果的および快適な治療の効用を治療電極140からもたらすことができる。
【0032】
一実施形態において、制御装置130は、2010年7月9日に出願された「診断装置の電力を節約するシステムおよび方法」と題された同一人に所有される米国特許出願第12/833,096号で説明される少なくとも1つのプロセッサを含み、当該出願の全体が本出願に引用により援用される。引用される出願は、電力を節約するように構成される処理構成を一般に説明している。制御装置130は、対象者の状態を監視でき、着用可能治療装置100の操作を制御し得る。たとえば、感知電極135は、対象者の心臓の信号の電気活動を検出し得る。これらの信号は、モニタ125上に心電図として表示され得る。不整脈の事象、または他の形態の心疲労が検知された場合に、警告モジュール120は、着用可能治療装置100を着用している対象者が、たとえば、心不全の危機にあるという、または心不全が起こっているという警告を与え得る。この警告は、聴覚的、視覚的、触覚的(たとえば、警告モジュール120の振動)またはこれらの組み合わせである。この、および他の情報は、医者、救助者、対象者、または看護業者による分析のために制御装置130に結合されるメモリ装置に格納され得る。
【0033】
一実施形態において、治療電極140が対象者の体の近くに配置され、対象者が着用可能治療装置100を着用している場合に、警告モジュール120は、対象者が体外除細動器115および少なくとも1つの治療電極140から電気ショックを受けることを示す警告を与える。電気ショック形式による治療は、体外除細動器115がショックを適用することを妨げる行動を対象者が取らない限り、着用可能治療装置100を着用している対象者に適用され得る。たとえば、警告モジュール120またはモニタ125は、少なくとも1つのボタンまたはタッチスクリーンを有するインタフェースを含み得る。この例においては、対象者がボタンを押下できる。これは、対象者が意識のあることを示す。この例においては、対象者が十分な時間ボタンを押下している間、または、たとえば感知電極135によって検知される電気的な心臓の活動が正常に戻ったことを制御装置130が判断すると、ショックが適用されない。この例を続けて説明すると、もし対象者が意識を失うと、対象者はボタンから手を離すことにより、体外除細動器115は少なくとも1つの治療電極140を介してショックを与え得る。
【0034】
警告モジュール120は、モニタ125の一部、または着用可能治療装置100の別個の要素であってもよい。一実施形態において、警告モジュール120は、警告を発し、対象者に、感知電極135または治療電極140を位置決める、または位置決め直すための修正行動をとるよう指示する。一実施形態において、警告モジュール120は、感知電極135または治療電極140が不適切に位置決められているという通知を提供する。たとえば、不適切に位置決められた電極135または140の導電面は、対象者と反対側に面し(たとえば、対象者に面していない、または接触していないので、情報が検出され得ない、または治療が適用できず)、かつ導電スレッド150に接触し得る。この不適切な位置決めは、その導電面が対象者と反対側に面した状態で、対象者、製造者、若しくは看護業者が電極135若しくは140を誤って逆向きに挿入したことに起因、または、着用可能治療装置100を着用している間の対象者の動きに起因し得る。導電スレッド150と、感知電極135または治療電極140の導電面との接触により電気回路が完結し、または閉じ、導電スレッド150と、電極135または140の導電面とを含む経路に電流が流れる。制御装置130は、閉回路を識別し得、電極135または140が不適切に位置決められていることを示し、不適切な位置決めを対象者に通知するように警告モジュール120に指示する。
【0035】
警告モジュール120は、感知電極135または治療電極140が適切に位置決められているという通知もまた提供し得る。たとえば、導電スレッド150は、対象者と、感知電極135または治療電極140との間に位置され得る。この例においては、導電スレッド150と、電極135または140との間の接触は、導電面が対象者の方に面した状態で電極135または140が適切に位置決められていることを示す。制御装置130は、この接触を検知でき、電極135,140を適切に位置付いていることを対象者に通知するように警告モジュール120に指示する。
【0036】
警告モジュール120は、感知電極135または治療電極140を位置決める、または位置決め直すために、対象者にベルト110を締めるように指示し得る。これにより、たとえば、より強い心電図信号が検出され得る、対象者の皮膚の近く、または対象者の体の好ましい一部の近くに感知電極135を位置決めることによって感知電極135での信号の干渉を減らすことができる。これにより、治療電極140と対象者との間、または、複数の治療電極140の間の電気抵抗もまた減らし、より効率的および効果的に、対象者に治療を適用することができる。
【0037】
感知電極135および治療電極140は、着用可能治療装置100の一時的または恒永の構成要素である。電極135および140は、着衣105内の任意の場所に収納され得る。たとえば、少なくとも1つの感知電極135は、着衣105に対して一体的で対象者が着用可能治療装置100を着用している場合に、対象者の胸部または腹部の近くのポケット160内に配置され得る。少なくとも1つの治療電極140は、着衣105に対して一体的で、対象者が着用可能治療装置100を着用している場合に、対象者の背中に近いポケット160に配置される。感知電極135および治療電極140は、一般的に円形、楕円形、四角形の形状である、金属板、薄片、メッシュ、金属線、スレッド、または導電材料のような導電面を含み得る。
【0038】
一実施形態において、感知電極135および治療電極140は、着用可能治療装置100に織られた、縫いつけられた、または刺繍された導電材料を含む。導電材料は、電極135および140と、導電スレッド150と、導電要素155と、バッテリーで電力供給される体外除細動器115とのいずれかの間の接続を提供し得る。一実施形態において、感知電極135は、対象者の心電図信号を検出し、検出された情報を制御装置130または体外除細動器115に提供する。
【0039】
感知電極135および治療電極140の少なくとも一部分を形成し得る導電物質は、適切な心電図の検出を実現し、治療を管理するために様々なパターンを有し得る。一実施形態において、感知電極135または治療電極140は、導電性の縫い糸しかを含まない。感知電極135または治療電極140は、薄片または他の導電性の構成要素を着衣105の適所に保持する導電性の縫い糸もまた含んでもよく、感知電極135または治療電極140は、導電性スレッドおよび導電性の薄片の両方を含む。
【0040】
導電材料は、着衣105(たとえば、ベルト110)内に着衣105の一部分として伸縮できるジグザグパターンで縫われ得る。この伸縮可能な導電性の縫い糸は、付加的な金属線を欠いて、感知電極135および治療電極140を制御装置130または他の着衣105の構成要素(たとえば、体外除細動器115)と接続する。一実施形態において、導電材料(たとえば、導電性の金属線)は、対象者の皮膚の方に、または反対側に面し得る。
【0041】
一実施形態において、着衣105は、通気性のある布地、または対象者の体から熱を逃す材料を含む。このことは、対象者の皮膚と、感知電極135または治療電極140との間の温度上昇を減らし得る。一実施形態において、電極135または140が、さらに他の金属または導電性の薄片を欠いて、縫い付けられた導電物質から形成される場合に、電極135または140用に導電性の縫い糸を用いることで温度上昇が減る。一実施形態において、感知電極135または治療電極140は、対象者の皮膚の近くに空気が流れ得る穴が開けられた導電物質で作られる。この空気の流れは、汗または皮膚からの他の流体を乾燥し得、温度上昇および刺激の結果として生じる発疹や他の皮膚の問題を防ぐ。
【0042】
着衣105は、対象者にぴったりフィットするように調整され得る。たとえば、感知電極135および治療電極140を含む着衣105の一部は、対象者に実質的にくっついて、たとえば、電極135および40は、対象者が日課の一部で動き回っている場合、または適度な身体活動を行なっている場合に、対象者に対して実質的に定位置に留まる。服が着衣105と対象者との間に存在し得る。警告モジュール120は、着用可能治療装置100が対象者に十分しっかり合っていない、またはぴったり合っていない場合に知らせることができる。たとえば、警告モジュール120は、感知電極135または治療電極140を含む着衣105の一部(たとえば、ポケット160)が実質的に定位置で患者にくっつかない、または正確にぴったり合わない場合に対象者に通知し得る。
【0043】
着衣105、または、ベルト110若しくは肩紐145のような着衣105の構成要素は、時間とともに、または繰り返し使用されると拡張または伸縮し得、対象者の近くの感知電極135および治療電極140の位置決めと密着度とを緩め得る。さらに、対象者の呼吸は、典型的には着衣105の定期的な拡張をもたらす。制御装置130は、この拡張を検知し得、たとえば、着衣105を締め付けることによって、感知電極135または治療電極140を必要に応じて位置決め直すように対象者に命令する。
【0044】
着用可能治療装置100は、たとえば、着衣105、ベルト110、または肩紐145に位置する少なくとも1つの導電要素155を含み得る。一実施形態において、導電要素155は、導電スレッド150を制御装置130に接続する。たとえば、導電要素155は、導電スレッド150と、感知電極135若しく治療電極140の導電面とが互いに電気的に接触した場合に形成される回路の一部分になり得る。一実施形態において、留め金または雄雌コネクタのようなコネクタは、導電要素155と導電スレッド150とを接続する。
【0045】
図2は、実施形態に従う着用可能治療装置100を示す概略図である。
図2の例において、着衣105は、対象者200の背中に近い2つのポケットを含む。これらのポケット160の各々は、1つの治療電極140を含む。
図2において直接示されていないが、ポケット160は導電スレッド150を含んでもよく、導電スレッド150は、たとえば、対象者200に最も近い、ポケット160の側面内側に縫われるか、または、対象者200に最も遠いポケット160の側面外側に縫われる。感知電極135は、対象者200の胸部の近くのポケット160に、つまり大体心臓の付近にもまた配置される。導電要素155は、制御装置130を治療電極140と接続する。着用可能治療装置100は、1つ以上の導電要素155を含み得る。たとえば、同じまたは第2の導電要素155が、制御装置130を少なくとも1つの感知電極135に接続する。着用可能治療装置100は、
図2に示されない他の要素、たとえば、電源、付加的な電極、対象者200の胸部を横切る、導電要素155を含み得る付加的な肩紐をも含んでもよい。一実施形態において、少なくとも1つの治療電極140が、胸部の近くの対象者200の前のポケット160内に位置される。
【0046】
一実施形態において、制御装置130は、感知電極135または治療電極140の向きを判断し、電極135,140の導電面が対象者200に面した状態で適切に位置決められているか、または、電極135,140の導電面が対象者200の反対側に面した状態で不適切に位置決められているかを判断する。制御装置130は、対象者200に通知を提供するように警告モジュール120に指示し得る。通知は、感知電極135または治療電極140を位置決めるように、または位置決め直すように対象者200に指示し得る。通知は、感知電極135からの情報に基づいて不整脈の心臓の事象が検知されたこともまた示し得、たとえば、数秒の時間内に対象者に適用する、または適用されるであろうという警告を提供する。
【0047】
図3は、実施形態に従う着衣105の一部を示し、着衣105において、ポケット160は導電スレッド150を含む。
図3を参照して、導電スレッド150は、ポケット160の側面305の素材に縫われ得る。側面305は、対象者が着用可能治療装置100を着用している場合に、対象者に向かって内側に面するポケット160の内側面になり得、または、対象者が着用可能治療装置100を着用している場合に、対象者の反対側の外側に面するポケット160の外側面になり得る。一実施形態において、
図3に示されない、ポケット160の第2の側面は、たとえば、治療電極140と対象者との間の電気的な接続の電気抵抗を低下する導電性のメッシュを含む。
【0048】
一実施形態において、ポケット160の開口部310は、感知電極135または治療電極140を受け入れる。1つ以上の垂れぶた、ボタン、留め金、ファスナー、マジックテープ、またはジッパーは、電極135または140がポケット160内に配置されると開口部310を閉じ得る。電極135または140は、交換、充電、修理、または位置決め直しのために、ポケット160から取り外し得る。導電性留め金320のような1つ以上のコネクタ315は、導電スレッド150を導電要素155と結合できる。制御装置130は、導電スレッド150から入力情報として受け付け得、導電スレッド150が電極135または140の導電面と接続するか否かを判断する。
【0049】
少なくとも1つの治療電極140が、
図3に示されるように、ポケット160内に配置され得る。感知電極135は、ポケット160にもまた配置され得る。一実施形態において、治療電極140の導電面325は、ポケット160の側面305に縫われる導電スレッド150と接続する。制御装置130は、たとえば、導電要素155における電流を検出することによってこの接続が成されていると判断し、導電面325が面している方向、たとえば対象者に向かって内方向か対象者の反対側の外方向かを識別する。制御装置130は、その後、治療電極140および除細動115に、(たとえば、治療電極140が適切に位置決められている場合に)治療を適用するか、(たとえば、治療電極140が不適切に位置決められている場合に)治療を保留することを指示する。制御装置130は、警告モジュール120またはモニタ125によって位置決めが適切であるか不適切なであるかを対象者に通知する、または対象者に治療電極140若しくは着衣105を位置決め直すように指示できる。
【0050】
図4は、実施形態に従う着衣105の一部を示し、着衣105において、ポケット160は導電スレッド150を含む。導電スレッド150は、ポケット160の側面壁305に様々なパターンを形成し得る。たとえば、導電スレッド150は、ポケット160の布地に織られ得、一連の配線を形成し、各配線は側面305の縁部に実質的に平行であり、導電パッチ405は側面305の4つの角の各々に配置される。付加的な導電パッチ405は、導電スレッド150が導電パッチ405の中央をパターンの残りに接続した状態で、側面305の実質的に真ん中に位置され得る。導電パッチ405は、中央部410が側面壁305の残りと同じ材料で作られた状態で、導電パッチ405の縁部の周りに導電スレッド150を含み得る。または、中央部410は、メッシュのような導電材料を含んでもよく、導電スレッド150に接続される。1つ以上の導電要素155は、1つ以上の導電パッチ405または側面壁305の領域の角のような、導電スレッド150の一つまたは複数の地点で導電スレッド150に接続できる。一実施形態において、複数の導電要素155は、複数の導電スレッド150と側面305で接続する。
【0051】
図5は、実施形態に従う、着衣105の一部を示し、着衣105において、ポケット160は導電スレッド150を含む。導電スレッド150は、側面305の縁部に沿って縫われ得、複数の導電スレッド150の実質的に平行な配線は、側面305を対角線上に横切って延在している。実質的に平行な配線は、等間隔であっても、または等間隔でなくてもよい。他の構成が可能である。たとえば、導電スレッド150は、曲がりくねった、円形、楕円形、四角形、コイル状または三角形の形状を側面305上に形成し得る。一実施形態において、導電スレッド150は、実質的に間隔を空けて側面305に縫われ、導電面325が側面305に面した状態で感知電極135または治療電極140がポケット160に配置された場合に導電面325が導電スレッド150に接続する。導電要素155は、複数の導電スレッド150の地点で導電スレッド150と接続できる。
【0052】
図6は、ポケット160内に配置される治療電極140を有する着衣105の断面図である。導電面325は、導電性メッシュ605および対象者200の方に面しており、導電スレッド150と反対側にあり、この例においては、導電面325が、導電性メッシュ605を介して対象者200に接触しているので、対象者200に治療を適用するために適切に位置決められていることになる。導電性流体または服のような介在要素が存在し得る。導電スレッド150は、ポケット160の側面305に織られ、導電面325と電気的に接続しない。一実施形態に従うと、制御装置130は、治療電極140がポケット160内に適切に位置決められることを導電面325と導電スレッド150との間の電気的な接続の欠如に基づいて判断し得る。一実施形態に従うと、感知電極はポケット160内に配置される。
【0053】
一実施形態に従うと、感知電極135または治療電極140は複数の導電面325を含む。たとえば、単一の連続する導電面325ではなく、治療電極140は、間に絶縁している、または非導電性の隙間を有する2つの別個の導電面325を有し得る。この例において、閉回路は、導電スレッド150が隙間を架けて、2つ(以上)の導電面325の各々に接続した場合に形成される。制御装置130は、両方の導電面325と、導電スレッド150との間の電気的な接続に基づいて、治療電極140がポケット160に不適切に位置決められていることを、または、電気的な接続の欠如に基づいて治療電極140がポケット160に適切に位置決められていることを判断する。
【0054】
図7は、ポケット160内に配置される治療電極140を有する着衣105の断面図である。導電面325は、導電スレッド150の方に、導電性メッシュ605および対象者200と反対側に面し、この例においては、導電面325が直接的または間接的に対象者200と接触していないので、対象者に治療を施すには不適切に位置決められている。導電スレッド150は、ポケット160の側面305に縫われ、導電面325と電気的に接続する。一実施形態に従うと、制御装置130は、この電気的な接続を検知し得、この接続に基づいて、治療電極140がポケット160に不適切に位置決められていると判断する。治療電極140は、絶縁部または非導電性の隙間によって分けられる複数の導電面325を有し、(導電スレッドの存在により)複数の導電面325の間の電気的な接続があれば不適切な位置決めを示すことを認識されるべきである。一実施形態において、感知電極は、ポケット160のそれと同様のポケット内にもまた配置され得る。
【0055】
一実施形態において、ポケット160の表面は、導電スレッド150との接続を検知するために、導電面325の代替手段または補足として、ばね荷重センサまたは圧電センサのような加圧センサを含み得る。感知電極135および治療電極140もまた、ポケット160の表面との接続を検知するために、加圧センサを含み得る。これらの加圧センサは、導電面325または導電スレッド150のような、着衣105の構成要素との電気的な接続を検知するために導電要素を含み得る。これらの加圧センサもまた、ふさわしい位置で対象者に治療を提供する治療電極140のような、着衣の構成要素を保持するために、着衣105が対象者に適切に適当な張力でフィットしているかを判断する。
【0056】
図8は、対象者のケアを容易にする方法800を示すフローチャトである。一実施形態において、方法800は、着用可能治療装置を提供する動作(動作805)を含む。一実施形態において、着用可能治療装置を提供すること(動作805)は、治療電極または感知電極のような少なくとも1つの電極と、少なくともある長さの導電スレッドとを含む装置に提供することを含む。電極は、着用可能治療装置の着衣内に収納され、着用可能治療装置を提供すること(動作805)は、電極が含まれるポケットの側面のように少なくとも着衣の一部に含まれる導電スレッドを装置に提供することを含み得る。
【0057】
着用可能治療装置を提供すること(動作805)は、接続またはその欠如の識別に基づいて電極の位置決めを判断し、適切または不適切な電極の位置決めを対象者に通知するために、電極の導電面と導電スレッドとの間の電気的な接続を識別するように構成される制御装置を有する装置を提供することをもまた含み得る。着用可能治療装置を提供すること(動作805)は、対象者の事象か、状態か、対象者の状態について、またはその構成要素の位置決めを含む着用可能治療装置の状態についての情報かを通知するために制御装置に結合される警告モジュールを有する装置を提供することもまた含み得る。
【0058】
方法800は、電気的な接続を識別する動作(動作810)を含み得る。一実施形態において、これは、治療電極の導電面と導電スレッドとの間の電気的な接続を識別することを含む。たとえば、導電面と導電スレッドとの間の接続は、回路を形成し得、制御装置は、導電面と導電スレッドとの間の経路を流れる電流を検知でき、これらの構成要素の電気的な接続を識別する(動作810)。たとえば、導電スレッドを電源または制御装置に接続する導電要素のような他の要素が回路に含まれ得る。
【0059】
方法800は、電極の位置決めを判断する動作(動作815)を含み得る。一実施形態において、電極の位置決めの判断(動作815)は、電気的接続の識別(動作810)に基づく。たとえば、導電スレッドが、対象者から遠位の、または対象者が装置を着用している時に占有する領域から遠位の、ポケット160の側面に縫われている場合に電気的な接続が識別されると(動作810)、電極の位置決めが対象者と反対側に不適切に面していると判断され得る(動作815)。
【0060】
一実施形態において、電気的な接続が識別(動作810)されない場合に、電極の位置決めは正しいと判断され得る(動作815)。たとえば、開回路が検知され、開回路は電極の導電面および導電スレッドの少なくとも一部を含む。導電スレッドが対象者と電極の導電面との間に位置すると、電極は、電極の導電面と導電スレッドとの間の接続が存在する場合に適切に位置決められていると判断し得る(動作815)。
【0061】
方法800は、通知を提供する動作(動作820)を含み得る。一実施形態において、警告モジュールは、電極が適切または不適切に位置決められているという通知を提供する(動作820)。通知は、着用可能治療装置に含まれる警告モジュールによって聴覚的、視覚的、触覚的に提供され得る(動作820)。通知は、装置を着用している対象者、またはネットワーク接続を介して対象者から遠隔の看護業者に提供され得る(動作820)。一実施形態において、通知を提供すること(動作820)は、電極の位置決めの調整の指示を提供することを含む。たとえば、電極が装置のポケット内において不適切に位置決められているという通知が提供され得(動作820)、通知は、電極の導電面が対象者の方に内側に面するように電極を位置決める指示を含み得る。一実施形態において、通知を提供すること(動作820)により、電極を適切に置くことが確認される。通知は、心臓の事象または他の情報が感知電極によって検出されたことか、治療が治療電極によって適用されるであろうことか、または治療が治療電極によって適用されたことかを示すことを提供する。一実施形態において、通知を提供すること(動作820)は、治療の適用が終わったことか(たとえば、除細動ショック)、治療の適用が差し迫っていることかに起因して、第三者または看護業者に対象者から離れるよう、および対象者に触れないように警告する。
【0062】
一実施形態において、方法800は、指示を提供する動作(動作825)を含む。たとえば、指示を提供すること(動作825)は、着用可能治療装置を操作する指示を提供すること、または着用可能治療装置の着用方法の指示を提供することを含み得る。一実施形態において、指示は、検出または治療電極のような着用可能治療装置の構成要素の位置決めに対象者が注意を払う指示を含む。たとえば、電極と着衣の導電スレッドとの間の電気的な接続の識別(動作810)に起因して、背中の中央部のような対象者の体の領域の近くか、対象者の胸部および心臓の近くかに電極を位置決めるための指示が提供され(動作825)、電極は、治療を対象者に提供するために位置決められ、または、対象者の心臓若しくは呼吸機能を検出する。
【0063】
本発明のいくつかの例示的な実施形態について記載したが、上記のものは例示であって限定ではなく、一例として示されることは、当業者にとっては明らかである。特に、ここに示される多くの例は、方法の動作またはシステムの要素の具体的な組み合わせを含むが、これらの動作およびこれらの要素は、同じ目的を達成するために他の方法で組み合わせられることが分かる。1つの実施形態のみと関連付けて記載された動作、要素、および特徴は、他の実施形態における同様の役割から除外されることを意図したものではない。
【0064】
図1から
図8において、符号が付与された事項は個々の要素として示されている。しかしながら、ここに記載されたシステムおよび方法を実際に実施する場合、それらはデジタルコンピュータなどの他の電子機器の分離不可能な構成要素であり得る。それゆえに、上記の動作は、少なくともある程度がプログラム記憶媒体を含む製品に例示されるソフトウェアで実施され得る。一実施形態において、プログラム記憶媒体は、一時的でない。プログラム記憶媒体は、1つ以上の搬送波、コンピュータディスク(磁気、または光学(たとえば、CDまたはDVD、または両方))、不揮発性メモリ、テープ、システムメモリ、およびコンピュータハードドライブにおいて具体化されるデータ信号を含む。
【0065】
上記から、ここに記載の着用可能治療装置の実施形態は、効果的な方法で適切な電極の位置決めの確認をもたらすことを認識されるべきである。様々な実施形態に従う着用可能治療装置は、電極と着衣に縫われた導電スレッドとの間の電気的な接続に基づいて電極の位置決めを判断でき、情報が正確に検出され、適切な時に治療が適用される。これにより着用可能治療装置の効率および有効性が増加する。
【0066】
前および後ろ、左および右、上および下、内側および外側、向かっておよび反対側、または、上方および下方等についての言及は、記述の便宜を意図し、本システムおよび方法、またはそれらの構成要素を任意の位置的または空間的な配向に限定するものではない。
【0067】
ここに単数で言及される、実施形態、または要素、またはシステムおよび方法の動作の任意についての言及は、複数のこれらの要素を含む実施形態もまた包含し得、任意の実施形態または要素または動作に対する複数への任意の言及は、ただ1つの要素を含む実施形態も包含する。単数または複数の形式の言及は、開示される本システムまたは本方法、それらの構成要素、動作、または単一若しくは複数の構成に限定することを意図していない。任意の情報、動作または要素に基づく任意の動作または要素への言及は、実施形態を含んでもよく、当該実施形態において、動作または要素は、少なくとも任意の情報、動作、または要素の一部に基づく。
【0068】
ここに開示される任意の実施形態は、任意の他の実施形態と組み合わせることができ、「実施形態」、「いくつかの実施形態」、「代替的な実施形態」、「様々な実施形態」、「一実施形態」などについての言及は、必ずしも相互に排他的ではなく、実施形態に関連付けて記載された識別の特徴、構造、または特質が少なくとも1つの実施形態に含まれ得ること示すことを意図している。ここに使用されるこのような用語は、全てが同じ実施形態を参照しているとは限らない。任意の実施形態は、ここに開示の局面および実施形態と一致する態様で他の任意の実施形態と組み合わせ得る。
【0069】
「または」についての言及は、包括的なものと解釈され、これにより、「または」を使用して記載された全ての用語は、単一、1つ以上、および全ての記載の用語を示す。介在する実施形態、動作、または要素は、特に言わない限り必須ではない。
【0070】
図面、詳細な説明、または請求項に記載の技術的特徴には、参照符号が付されているが、参照符号は、図面、詳細な記載、および請求項の理解度を高める目的のみのために含まれるものである。このため、参照符号またはそれらの欠如により、いずれの請求項の要素の範囲に限定的な効果を与えるものではない。
【0071】
当業者は、ここに記載のシステムおよび方法は、都の特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で具体化することができることを理解するであろう。たとえば、対象者の方にまたは反対側に面する電極についての参照は、着用可能治療装置を着用している時に対象者が位置決めるであろう位置についての参照を含む。電極の位置決めは、対象者が装置を着用していなくても判断され得る。さらに、導電スレッド、導電要素、電極、および他の構成要素は、少なくとも部分的に絶縁され、被覆され、またはスリーブを付けられる。電極の位置決めは、電気的な接続の検知、または電気的な接続の欠如に基づいて適切であるか不適切であるかを判断され得る。たとえば、外側に面する電極を示す電気的な接続か、内側に面する電極を示す電気的な接続の欠如かのどちらかは、不適切に位置決められた電極を示し得る。いくつかの実施形態において、内側に面する電極を示す電気的な接続、または外側に面する電極を示す電気的な接続の欠如は、適切に位置決められた電極を示し得る。上記の実施形態は、記載されるシステムおよび方法の例示であり、限定ではない。それゆえに、ここに記載のシステムおよび方法の範囲は、上記の記載であるよりも添付の請求項によって示され、請求項の均等の意味および範囲内で行われる変更は、ここに包含される。